
共有物件では、各共有者が一定の割合で所有権を持っています。
これを一般的に「共有持分」と呼びますが、この共有持分は自分の持ち分しか売ることができません。
また、共有持分だけを専門に買い取ってくれる不動産買取業者もあります。
この記事では、共有持分を売却したい方に役立つ情報として、以下のポイントをわかりやすくお伝えします。
共有持分を売却する際の価格について
共有持分のおすすめ買取業者とその特徴
共有持分を高く売るための方法
目次
■共有持分とは?
共有持分とは「共有不動産において、各所有者が保有する権利の割合」のことです。
多くの場合、不動産の名義は購入者になっていますが、誰かと一緒に出資している場合は、その出資者との共有になります。基本的には、出資額に応じて所有権の割合が決まり、登記されます。
・自分の持分は許可なく単独で売却が可能
共同で購入した不動産の持分を持っている場合、その持分だけを売却することができます。
例えば、夫婦で購入した土地と家について、夫と妻がそれぞれ自分の持ち分を持っていて、その割合が夫1/2、妻1/2の場合、妻は夫の許可を得ずに持ち分の1/2を単独で売却することができます。
ただし、上記はあくまでも物理的に分割できる自分の持ち分と、土地に付随する持ち分のみを売却したい場合の話です。
共有不動産のすべてを売却したい場合は、共有者全員の同意が必要です。
■共有持分の買取価格相場は?
普通の不動産と違って、共有名義は権利関係が難しい物件です。取引の対象が不動産そのものではなく、権利そのものであるため、共有者との間で紛争が発生することも珍しくありません。
そして、共有持分の買取価格がいくらになるのかという質問に対しては、「共有持分の買取価格に相場はない」という答えになります。
なぜなら、不動産そのものの価値は、所有権の割合や共有者の数によって変動・変化するため、案件ごとに価格を決定する必要があるからです。
・購入金額を持分割合で割った価格が買取価格ではない
例えば、不動産全体を3,000万円で購入したとします。
その不動産を1,000万円出して購入し、1/3の持ち分を持った場合、純粋に1,000万円で売却できるわけではなく、むしろもっと低い価格で評価されるケースが多いのです。
購入後、誰かと共有している不動産(ましてや権利だけ)を契約者が運用することは難しいので、その不動産を購入しても利益は出ないと判断され、安値で購入されるのです。そもそも、そのような1/3の持分だけの不動産の購入自体を断られることも珍しくありません。
・全体で売却するよりも1/2から1/3程度の買取価格に
通常の不動産として1/1を売る場合の相場が3,000万円でその1/3を所有している場合、持分割合に対して1/2から1/3程度の掛け目がかけられてしまうため、500万円から300万円程度にまでに抑えられるのが一般的です。
しかし、共有持分買取に特化した専門業者では、買取相場に関係なく、比較的高い価格で購入を行っている場合があります。
■共有持分を専門とする買取業者に売却する
大手不動産会社は一般的に、トラブルのない戸建てやマンションの購入には力を入れていますが、共有名義などの法的な問題が発生する可能性のある物件には力を入れていません。
仮に購入したとしても、非常に低い価格で購入されてしまいます。
そこで、共有持分買取に特化した専門業者の出番です。
■信用できる高額買取業者を選ぶコツ
共有持分は、通常の物件よりも少し特殊で、前述のように通常の物件を主に扱う不動産会社では、本来は買取をしてもらうことができません。
では、どのようにして信用できる持分専門業者を見つければ良いのでしょうか?
ここでは、優良な持分専門買取業者を見分けるために、どのようなポイントに気をつければよいのかを解説します。
・100万円以下の小額物件も扱っているか
安価な物件は買い手が付きづらいため断られてしまうことがあります。
不要な空き家など、市場価値が低い小額物件も買取可能な業者は、物件の価値を最大化できるノウハウと売却先のつてがあるので、どんな物件でも適正価格で買取をしてもらえる可能性が高いです。
・1億円以上の高額物件も買取が可能な持分専門買取業者
資金力のない業者は、買取金額の上限を記載しているところもあります。
1億円以上の物件も買取可能と記載しているところは、会社の体力面でも信用ができます。
・共有持分に強い弁護士と提携をしているか
共有持分のトラブルや、相続トラブルなどに強い弁護士と提携をしている買取業者は、通常の大手不動産会社とは全く違う、問題をすぐに解決できるスキームを持った不動産買取業者なので、買取価格の査定もしっかりと行うことができます。
・売却したい物件が買取対応エリア内かどうか
買取業者によっては、主要都市部のエリアしか買取を行っていない場合があります。
地方エリアの買取相談の場合は、買取対応エリア外という理由で、買取を断られてしまうか、低い金額で買い取られてしまうケースがありますので、全国対応している買取業者であれば、適正価格で買取を行ってくれるでしょう。
■共有持分を高く売るためには
共有持分を高く売るためには、買取業者に任せるだけではなく、自ら売却条件を改善するための行動を起こすことが大切です。
・持分割合を増やす
不動産の共有者が3人以上いる場合は、他の人の持分を買うことで自分の持ち分を増やすことができます。
物件全体を売却できない場合は、自分の持ち分を売りたいと思っている共有者と交渉して、その人から買い取ることで、自分の持ち分だけを増やすことができます。不動産全体を売ることができない場合は、自分の持分を売りたいと思っている共同所有者と交渉することで、自分の持分を単独で増やすことができます。
・持分共有者と良好な関係を築く
共同所有者との関係が良好であれば、買い手も喜んでくれるはずです。
売却や交渉自体がスムーズに進めば、買い手は利益を得られる可能性があるため、積極的な購入価格を提示するでしょう。
一方、共有者との関係があまりにも悪かったり、共有者と買主の間でコミュニケーションが取れていなかったりすると、買主は手間がかかるので消極的になる傾向があります。
■共有持分の査定ポイント
共有物件の価格査定のポイントを知ることで、より有利に売却することができます。
共有不動産の共有持分は、高額な価格で査定されるものもあれば、逆にさらに低額な価格で査定されるものもあります。
・共有不動産の査定ポイント
1、不動産の状態と周辺環境
2、共有持分の所有者の人数と割合
3、土地と建物の両方に持分があるかどうか
4、住宅ローンの残額があるか
5、実際に居住している共有者がいるかどうか
6、隣地との境界標示の有無
上記はほんの一例に過ぎません。
・不動産の状態と周辺環境
“物件 “を購入する場合、”物件 “の状態を確認する必要があります。
物件の状態とは、建物の間取りや傷み具合などを指し、周辺環境とは、建物の周辺の立地条件を指します。
それに加えて、敷地に接している道路のアクセス状況(再建築不可かどうか)も重要です。
これらは共有物件に限らず、一般の不動産でも基本的な評価ポイントとなります。
・共有持分の所有者の人数
“共有者の人数 “も、共有不動産の鑑定評価に大きな影響を与えます。
例えば、物件の条件や周辺環境がほぼ同じであるAとBという2つの共有不動産があったとします。
共有不動産Aは夫婦で所有しているため共有者が2人(共有持分はそれぞれ2分の1)、共有不動産Bは先祖代々受け継がれているため共有者が8人(共有持分はそれぞれ8分の1)の場合、どちらの不動産の評価額が高くなるでしょうか。
上記のケースでは、不動産の条件や周辺環境がほぼ同じであっても、共有不動産Aの評価額が高くなります。
これは単純に、共有者の数が少なければ少ないほど、一人当たりの共有持分の割合が大きくなり、残りの共有者との交渉や必要な手続きに手間がかかるためと考えられます。
・土地と建物の両方に持分があるか
“土地 “と “建物 “の両方に共有持分があるかどうかも、不動産の共有持分(共同所有権)を評価する上で重要です。
結論から言うと、土地と建物のどちらかに共有持分を所有していれば、その不動産を売却することができます。
例えば、土地と建物の共有持分を2分の1ずつ所有しているが、建物の共有持分を所有していないAさんと、土地と建物の共有持分をそれぞれ2分の1ずつ所有しているBさんの2人がいたとします。
この場合、前者のAさんは、建物の持分権を持っていないため、土地の持分権の2分の1しか売却できません。
しかし、建物はすでに他人の名義になっているので、自由に使えない土地の部分を買おうとする人はいないでしょう。
そのため、土地の共有持分のみを売却する場合、買取査定も相場より低くなってしまいます。
共有持分を売却したい場合は、必ず土地と建物の両方の共有持分を所有した上で査定を依頼するようにしましょう。
・住宅ローンの残額
共有不動産のローンが残っていて抵当権(土地や建物を担保にする権利)が設定されている場合、売却が難しい場合があります。
住宅ローンなどを組んで不動産を共有で購入後、自分の共有持分を売却したいという場合には、まずローン等の抵当権を外す必要があるかもしれません。
買取業者の中には、ローンが残っている状態でも買取をしてくれる業者もいますので、一度相談してみると良いでしょう。
・実際に居住している共有者がいるかどうか
共有不動産を査定する上では、その物件に実際に誰が住んでいるのかを知ることも重要です。
共有物件の一部しか所有していない場合、不動産を自由に扱うことができないため、買主(不動産会社)は残りの共有者に持分の売却を交渉する必要があります。
そのため、実際に住んでいる共有者がいる場合には、交渉が長期化する可能性が高くなります。
また、行方不明などで他の共有者と連絡が取れない場合は、共有者訴訟(裁判所を通じて共有関係を解消するための訴訟)を起こすことができませんので、不動産を購入できるまでに時間がかかり、査定価格に影響を与える可能性があります。
・隣地との境界表示の有無
土地の売却で一番トラブルになりがちなのが境界になります。
売却する土地の境界がはっきりしていないと、売却後の境界に対する場所についてのトラブルに発展し、訴訟になる可能性も少なくありません。
このような場合を考慮して、買主(不動産会社)は、境界標を正しく設定していない不動産(土地)の査定額を低く設定することがあります。
■まとめ
現在、不動産の共有持分を所有していて、それを売却して手放したいと考えているのであれば、その不動産の共有持分の状況を詳しく把握することが何よりも重要です。
自分がどれだけの持分を持っているのか、他の共有者とどのような関係にあるのか、いくらで売りたいのかを明確にすることで、買い手への依頼がスムーズにできるようになります。
できれば事前に共有者と持分についてどうしたいのか、話し合っておくとよいでしょう。
ただし、共有者にも秘密に売却したい事情がある場合は、信用できる買取業者の選び方を参考に、条件を守ってくれる買取業者に査定依頼をしましょう。
