こんにちは。ワケガイ編集部です。
共有不動産を相続したものの、他の共有者と意見が合わず売却や利用が進まないケースでは、資産が眠ったままとなり、維持費や固定資産税の負担だけが続くといった問題が発生します。
その際に選択肢となるのが「共有持分の買取業者」です。共有持分の買取業者とは、不動産の持分だけを買い取り、複雑な権利関係を整理する専門の業者です。
共有者全員の合意が得られない状況でも、速やかに現金化できる手段として注目されています。
そこで本記事では、共有持分買取業者の目的や仕組み、利用の流れ、注意点、トラブル防止のポイントまで詳しく解説します。
目次
共有持分の買取業者とは?
共有持分の買取業者とは、共有名義になっている不動産のうち、一部の持分だけを買い取る専門業者のことです。相続や離婚などをきっかけに、複数人で一つの不動産を所有しているケースでは、売却や管理を進めるうえで多くの制約が生じます。
そうした「動かしにくい不動産」を現金化する手段として、共有持分の買取サービスが注目されています。
ただし、一般的な不動産売却とは取引の仕組みが大きく異なります。ここからは、まず「仲介の不動産業者との違い」と「共有持分が扱いにくい理由」について整理していきましょう。
仲介の不動産業者との違い
共有持分の買取業者は、「仲介」ではなく直接買取を行う立場にあります。通常の不動産仲介業者は、売主と買主の間を取り持ち、取引が成立したときに仲介手数料を受け取ります。
一方、買取業者は自らが買主となり、契約後に不動産を再販・再利用することで利益を得ます。
この違いにより、売却スピードや手続きの手間が大きく変わります。仲介では買い手探しに時間がかかるうえ、共有不動産の場合は共有者全員の同意がなければ取引が成立しません。
その点、買取業者に依頼すれば、自分の持分だけを単独で売却できるため、スピーディーに現金化が可能です。さらに、買取業者との契約では、仲介手数料が不要であることや、契約不適合責任(いわゆる瑕疵担保責任)が免除されるケースが多いことも特徴です。
取引にかかる心理的・時間的負担が少なく、共有関係に悩む人にとって利用しやすい仕組みといえます。
| 項目 | 仲介業者 | 買取業者 |
| 取引形態 | 第三者との仲介 | 業者による直接買取 |
| 共有者の同意 | 全員の同意が必要 | 自分の持分のみで可能 |
| 売却までの期間 | 数ヶ月〜半年程度 | 最短数日〜数週間 |
| 仲介手数料 | 発生する | 不要 |
| 契約不適合責任 | 負う必要あり | 免除される場合が多い |
このように、買取業者を利用することで「早く」「確実に」「手間をかけずに」共有持分を整理できる点が大きなメリットです。
共有持分はそもそも扱いが非常に難しい
共有持分とは、不動産の「所有権の一部」を意味します。仮に、兄弟3人で実家を相続した場合、それぞれが3分の1ずつの共有持分を持つことになります。
一見すると平等な所有に見えますが、実際には意思決定に共有者全員の同意が必要であり、自由に売ったり貸したりすることができません。
このように、権利が分散している状態では、建て替え・賃貸・売却といった活用が難しくなります。さらに、共有者の一人が亡くなれば相続が発生し、権利関係がさらに細分化していくため、関係者の把握すら困難になることもあります。
結果として、「誰も使わないのに売れない」「処分したくても合意できない」という状況に陥りやすく、一般の不動産会社では取引リスクが高いため、取り扱いを断られるケースも少なくありません。
そのような複雑な状況に対応できるのが、共有持分の買取業者で、法的な制約や共有者間の調整までを含めて処理するノウハウを持っているのが特徴です。
関連記事:【2025年版】共有持分の買取業者のおすすめ厳選6社!今買取をお願いするべき専門業者とは?
共有持分の買取業者の目的
共有持分の買取業者は、単に不動産を仕入れて転売するだけの存在ではありません。共有者同士の対立や、利用できないまま放置された不動産を再び市場に戻すという、明確な目的をもって活動しています。
ここからは、共有持分買取業者がどのような目的で持分を取得するのか、その代表的なケースを紹介します。
目的①:単独所有化して不動産の価値を最大化するため
共有状態の不動産は、権利関係が複雑であるため、市場での評価が大きく下がってしまいます。そのため、買取業者は他の共有者から持分を買い集め、最終的に単独所有にしてから不動産全体を売却するという手法をとります。
単独所有化されることで、売却・賃貸・再建築といった活用が自由に行えるようになり、不動産の価値が一気に回復します。
過去には、共有状態では1,000万円の評価しかつかなかった土地が、単独所有化後には1,800万円で売れたケースも存在します。
このように、持分を整理して物件を再流通させることは、業者にとって利益につながるだけでなく、社会的にも“動かない資産を再び活かす”という役割を果たしています。
目的②:共有物分割請求訴訟を活用して換価処分するため
共有者同士の話し合いがまとまらない場合、買取業者は共有物分割請求訴訟という法的手続きを活用することがあります。これは、裁判所の判断によって物件を競売や任意売却にかけ、その売却代金を持分割合に応じて分配する制度です。
業者はこの仕組みを使い、自身の持分に応じた金銭を確実に回収します。
そのため、他の共有者が売却に同意しない場合でも、裁判所の手続きを経ることで、強制的に物件を現金化できるのです。
もちろん、訴訟には時間や費用がかかるため、すべての案件で活用されるわけではありません。しかし、共有者同士の対立が深刻で話し合いが進まないケースでは、法的手段を取ることで解決の糸口が見えることもあります。
目的③:リフォームや再利用によって付加価値を高めるため
共有持分の買取業者のなかには、老朽化した建物や長期間使われていない空き家を取得し、リフォームや用途変更を行うことで物件の価値を高めるタイプの業者もあります。単に権利を整理して転売するのではなく、建物そのものに手を加えて再販売する「再生型の不動産事業」としての側面を持っています。
具体的には、古い住宅をリノベーションして賃貸住宅にしたり、空き家を小規模な店舗や事務所に用途変更したりするケースがあります。
こうした取り組みは、所有者にとっては売却機会を広げ、地域全体にとっては老朽ストックの再生という社会的意義を持っています。
つまり、共有持分の買取は単なる資産取引にとどまらず、使われていない不動産に新たな価値を生み出す仕組みでもあるのです。
目的④:交渉主導権を握って共有関係を整理するため
共有不動産の問題の多くは、「共有者間で話し合いが進まない」ことにあります。誰か一人でも反対すると、売却や利用ができず、結果として資産が動かなくなってしまいます。
こうした状況を打開するために、買取業者が一部の持分を取得し、交渉の主導権を握るという方法をとる場合があります。業者が新たな共有者として関与することで、他の共有者に現実的な判断を促し、売却や分割の話を前に進めやすくなるのです。
この手法は、共有関係を一方的に崩すものではなく、停滞していた不動産を動かすためのきっかけづくりとして機能します。特に、長年膠着していた相続不動産などでは、業者の介入によって合意形成が進むケースも少なくありません。
目的⑤:活用されていない不動産を市場に戻すため
共有持分の買取業者が果たすもう一つの重要な役割は、放置されている不動産を市場に戻すことです。共有状態や複雑な権利関係を理由に活用されていない不動産は、全国的に増加しています。
このような物件を業者が引き取り、再販売や再利用につなげることで、眠っていた資産を再び動かすことができます。
結果として、地域の空き家問題や資産の停滞解消にも貢献します。市場に流通しない不動産を動かすという点で、共有持分の買取業者は単なる営利目的の存在ではなく、社会的な意義を担っているともいえます。
共有持分の買取業者に依頼するメリット
共有不動産を売却したいと思っても、共有者全員の同意が得られないと取引が進まないことがあります。
そのような状況で現実的な選択肢となるのが、共有持分の買取業者への依頼です。ここからは、買取業者を利用することで得られる代表的なメリットを紹介します。
- メリット①:共有者の合意を得ずに早期売却できる
- メリット②:一般市場で買い手がつかない持分でも売却できる
- メリット③:法律やトラブル対応の専門知識がある
- メリット④:現金化までの流れが明確で手続きが簡単である
- メリット⑤:共有者に知られずに売却できる場合がある
それぞれ個別にみていきましょう。
メリット①:共有者の合意を得ずに早期売却できる
通常、不動産を売却する場合は、所有者全員の同意が必要です。しかし、共有持分の買取業者を利用すれば、自分の持分だけを単独で売却することが可能です。
(参考:e-Gov 法令検索「民法」)
他の共有者が反対していても手続きを進められるため、長年停滞していた不動産を動かせる大きなきっかけになります。また、買取業者は仲介ではなく自らが買主となるため、買い手探しに時間がかかりません。査定から契約・入金までが早く、早ければ数日から数週間で現金化できるケースもあります。
共有者との交渉が難航している場合や、早急に資金を確保したい場合には、この「スピード感のある売却」は非常に有効です。固定資産税や管理費といった維持コストの負担を早期に解消できる点も、大きなメリットといえるでしょう。
メリット②:一般市場で買い手がつかない持分でも売却できる
共有持分は、一般の不動産市場ではほとんど買い手がつかないのが実情です。理由は明確で、共有持分を購入しても、物件全体を自由に使うことができず、収益性が低いからです。
買主から見れば「自分の意思で活用できない不動産」を購入するリスクが高く、取引が成立しにくいのです。
一方、共有持分の買取業者は、権利関係の整理や訴訟対応などを含めた専門的なノウハウを持っています。通常の不動産会社が扱わない「難物件」を対象としており、複雑な共有関係でも適正価格で買い取ってくれる点が特徴です。
実際に、不動産会社に相談しても「買い手が見つからない」と断られた持分でも、買取業者を通じれば売却が成立するケースは少なくありません。一般市場では動かない資産を現金化できるという点で、共有持分買取サービスは非常に有効な手段といえます。
メリット③:法律やトラブル対応の専門知識がある
共有不動産の売却には、民法や不動産登記法、税法など複数の法律が関係します。さらに、共有者間の関係がこじれていたり、相続登記が未了であったりする場合には、法的な判断が必要となることもあります。
共有持分の買取業者は、こうした法的リスクやトラブル対応に関する専門知識を持っている点が大きな強みです。弁護士や司法書士と提携している会社も多く、登記や契約内容の確認、訴訟対応までをワンストップで支援してくれます。
そのため、共有者同士の関係が複雑な場合でも、法的な観点から適切な手続きを進めることができます。「法律が絡んでどうすればいいかわからない」という状況でも、専門知識をもつ業者なら安心して相談できます。
メリット④:現金化までの流れが明確で手続きが簡単である
共有持分の買取では、通常の不動産売買と比べて手続きが非常にシンプルです。
買取業者が直接契約相手となるため、買主探しや広告掲載などの工程が不要で、短期間で現金化できます。
一般的な流れは次のとおりです。
| 手続きの流れ | 内容 |
| ① 査定依頼 | 所有している共有持分の情報をもとに査定を依頼する |
| ② 価格提示 | 業者が調査結果をもとに買取価格を提示する |
| ③ 契約締結 | 契約内容を確認し、売買契約を締結する |
| ④ 代金受取 | 決済日に現金または振込で代金を受け取る |
このように、全体の流れが明確で、複雑な手続きがほとんどありません。「不動産の売却は難しそう」と感じている人でも、共有持分の買取なら専門業者のサポートを受けながらスムーズに完了できます。
メリット⑤:共有者に知られずに売却できる場合がある
事情があって他の共有者に知られたくない場合でも、買取業者を利用すれば一定の範囲で非公開のまま売却を進められることがあります。買取業者との取引は個人間の契約であり、一般の市場に情報が公開されることがないためです。
また、共有持分の売却は自分の権利の範囲内で行う行為のため、他の共有者の同意を得る必要がありません。そのため、事前に伝えづらい事情がある場合でも、静かに手続きを完了できるケースがあります。
ただし、売却後に登記が変更されることで結果的に他の共有者が知る可能性はあります。それでも、業者によっては個人情報や取引内容の扱いを厳重に管理しており、プライバシーに配慮した形で進めることが可能です。
共有者との人間関係をこじらせずに問題を整理したい人にとって、買取業者の利用は有効な選択肢の一つといえるでしょう。
共有持分の買取業者に依頼した場合の流れ
共有持分の買取は、通常の不動産売買と比べるとスムーズに進むのが特徴です。とはいえ、初めて依頼する人にとっては「どんな手順で進むのか」「何を準備すればいいのか」が気になるところでしょう。
ここからは、共有持分を買取業者に売却する際の一般的な流れをステップごとに解説します。
- STEP①:買取相談・査定依頼
- STEP②:物件調査と買取価格の提示
- STEP③:売却条件の確認・契約内容のすり合わせ
- STEP④:売買契約の締結
- STEP⑤:代金の支払いと持分の引き渡し
- STEP⑥:登記手続き・完了報告
それぞれ個別に解説します。
STEP①:買取相談・査定依頼
最初のステップは、買取業者への相談と査定依頼です。まずは、所有している不動産の所在地・登記情報・持分割合・共有者の人数といった基本情報を伝えます。登記事項証明書(登記簿謄本)を手元に用意しておくと、業者がより正確に査定を進められます。
近年では、インターネット上のフォームから簡易査定を依頼できる業者も多く、数日以内におおよその価格を提示してもらえるケースが一般的です。ただし、この段階の金額はあくまで概算であり、実際の契約金額を決定するには現地調査が必要です。
複数の業者に同時査定を依頼すれば、相場を把握しやすくなり、より納得のいく取引につながります。
STEP②:物件調査と買取価格の提示
査定依頼後、業者が現地を訪問して物件の状態を調査します。建物の老朽化の程度や土地の形状、接道条件、近隣の環境などを確認し、より正確な価格を算出します。
共有持分の取引では、他の共有者の利用状況や権利関係が重要な判断材料となるため、詳細なヒアリングが行われることもあります。
調査の結果をもとに、業者から正式な買取価格が提示されます。この価格には、登記費用や法務手続き費用など業者が負担するコストも含まれるため、一般的な市場価格より低く見えることもあります。しかし、その分だけ確実に現金化でき、契約までのスピードも早いというメリットがあります。
提示された金額を確認する際は、金額のほかに支払い時期・契約条件・手数料の有無といった項目もあわせて確認しておきましょう。見積もりは書面で受け取り、内容を保存しておくことがトラブル防止につながります。
STEP③:売却条件の確認・契約内容のすり合わせ
買取価格に納得したら、契約前に条件を最終確認します。この段階では、契約内容・支払い方法・決済日・引き渡し条件など、細かな取り決めを業者とすり合わせます。不明点や不安な点があれば、必ずこの時点で質問しておきましょう。
共有持分の取引では、契約不適合責任(いわゆる瑕疵担保責任)が免除されることが多いですが、契約書の文言によっては例外もあります。
書類の内容をしっかり読み込み、必要に応じて司法書士や専門家のチェックを受けると安心です。
また、契約の際には印鑑証明書や本人確認書類が必要になるため、事前に準備しておきましょう。条件に合意できれば契約を締結し、次のステップである決済・引き渡しへと進みます。
STEP④:売買契約の締結
すべての条件に合意できたら、いよいよ売買契約を締結します。この段階では、契約書の内容を最終確認し、署名・捺印を行います。契約書には、買取価格・支払い方法・決済日・引き渡し条件・契約不適合責任の有無など、取引に関する重要事項が明記されています。
なお、契約時には、印鑑証明書や本人確認書類、登記済権利証(登記識別情報)などの書類が必要で、業者によっては司法書士が同席し、本人確認や書類の確認を行うこともあります。
不明点があるまま署名してしまうと、後にトラブルになるおそれがあります。納得できない箇所があれば、必ずその場で質問し、内容を明確にしてから署名・捺印するようにしましょう。
STEP⑤:代金の支払いと持分の引き渡し
契約が完了すると、決済・引き渡しの手続きに移ります。買取業者との取引では、代金の支払いと持分の移転が同時に行われる「同時履行」が原則です。
代金の支払いは、当日現金または銀行振込で行われ、司法書士が立ち会って登記書類の確認を行います。支払いが完了した時点で、所有していた共有持分は正式に業者へ引き渡されます。
なお、代金の受け取り後は、税務申告が必要な場合もあります。譲渡所得として課税対象となるケースもあるため、金額が大きい場合は税理士など専門家に相談しておくと安心です。
STEP⑥:登記手続き・完了報告
決済が完了すると、業者が司法書士を通じて登記の移転手続きを行います。登記とは、不動産の所有権を正式に記録する手続きであり、これによって所有権が完全に移転します。
手続き自体は業者側が進めてくれるため、売主が特別な作業を行う必要はありません。登記が完了すると、司法書士または業者から完了報告が届き、売却手続きはすべて終了します。
共有持分の売却は、一般の不動産売買と比べてシンプルで、短期間で完結するのが特徴です。書類のやり取りを正確に行い、契約内容を確認しながら進めれば、スムーズに取引を終えることができます。
共有持分の買取業者との間で起こり得るトラブル例
共有持分の買取は、専門的な知識を要するため、ほとんどの業者が慎重に取引を進めます。しかし、中には説明不足や対応の不透明さによってトラブルに発展するケースもあります。
代表的なトラブル事例としては、次のものが挙げられます。
- 相場より大幅に低い価格で買い叩かれる
- 提示額と契約額が異なりトラブルになる
- 共有者との関係が悪化して紛争に発展する
以下より、個別にみていきましょう。
相場より大幅に低い価格で買い叩かれる
共有持分は一般的な不動産よりも市場価値が低く評価されますが、その特性を悪用して相場とかけ離れた安値で買い叩かれるケースがあります。特に、相場の知識がないまま「この価格が限界です」と言われてしまうと、妥当な金額かどうか判断できずに契約してしまうことがあります。
このような事態を避けるには、複数の業者に査定を依頼し、価格の比較検討を行うことが必要です。また、見積書の内訳を確認し、「なぜこの価格になるのか」という根拠を説明してもらいましょう。
相場よりも極端に低い場合は、すぐに契約せず、一度専門家に相談するのが安心です。
提示額と契約額が異なりトラブルになる
当初提示された査定額と、契約書に記載された金額が異なるというトラブルも見られます。多くは「現地調査後に修正された」という名目で金額が下がるケースですが、中には説明が不十分なまま金額が変更されることもあります。
もちろん、現地調査の結果によって価格が変動すること自体は珍しくありません。しかし、再査定の理由や金額の根拠を明確に説明しない業者には注意が必要です。
契約前には、提示された金額が最終価格であるかを必ず確認し、口頭の約束だけで進めないようにすることが大切。見積書や契約書に記載された金額・条件をよく読み、納得したうえで署名・捺印を行いましょう。
共有者との関係が悪化して紛争に発展する
共有持分を売却すると、他の共有者との関係が悪化してしまうことがあります。特に、他の共有者が売却を知らなかった場合や、買取業者が新たな共有者として加わった場合にトラブルが起こりやすくなります。
具体的には、「勝手に第三者に売った」と誤解される。あるいは業者との交渉方針をめぐって感情的な対立が生じたりすることがあります。
このような場合、話し合いがこじれると共有物分割請求訴訟などの法的手続きに発展することもあります。こうしたリスクを最小限に抑えるには、売却を検討する段階で専門業者や弁護士に相談し、手続きを慎重に進めましょう。
トラブルを避けるための共有持分買取業者の選び方
共有持分の買取は、専門的な知識と経験が求められる分野です。そのため、業者選びを誤ると「安く買い叩かれた」「説明が不十分だった」などのトラブルにつながるおそれがあります。
そういった自体を避けるためにも、以下の点に留意して業者を選定しましょう。
- ポイント①:共有持分やの取引実績が豊富
- ポイント②:査定根拠や見積もり内容を明確に提示してくれる
- ポイント③:弁護士・司法書士など法的サポート体制が整っている
- ポイント④:契約条件や支払いスケジュールの説明が丁寧である
- ポイント⑤:秘密保持・個人情報管理への配慮がある
- ポイント⑥:複数社の査定を比較して適正価格である
それぞれ詳しく解説します。
ポイント①:共有持分の取引実績が豊富な業者を選ぶ
共有持分の買取は、通常の不動産売買と異なり、法的リスクや権利関係の調整が必要になります。そのため、共有不動産や訳あり物件の取り扱いに慣れている業者を選ぶことが大切です。
公式サイトなどで過去の取引事例を確認し、「共有名義」「相続」「トラブル物件」などのキーワードに対応した実績があるかをチェックしましょう。対応件数が多い業者ほど、共有者との調整や訴訟対応など、複雑なケースにも柔軟に対処できます。
また、相談時にこちらの事情を丁寧に聞き取ってくれるかどうかも大切です。実績と対応姿勢の両方を見て、信頼できるパートナーを選ぶようにしましょう。
ポイント②:査定根拠や見積もり内容を明確に提示してくれる
査定金額を提示された際には、その根拠が具体的に説明されているかどうかを確認しましょう。「近隣の相場」「持分割合」「権利関係のリスク」など、どのような要素を基に算出しているかを明示してくれる業者であれば、信頼性が高いといえます。
一方で、根拠を示さずに「この金額が限界です」とだけ伝える業者には注意が必要です。金額の妥当性を判断できないまま契約してしまうと、後から後悔するケースもあります。
見積もりを受け取ったら、金額だけでなく「手数料」「諸経費」「支払い時期」などの条件も含めてチェックしましょう。
ポイント③:弁護士・司法書士など法的サポート体制が整っている
共有持分の売却では、法的なトラブルや相続関連の問題が絡むことも少なくありません。そのため、弁護士や司法書士と提携している業者を選ぶことが望ましいです。
法的なサポート体制がある業者であれば、契約書の内容確認や登記手続きもスムーズに進みます。また、共有者間で意見が対立している場合や、訴訟の可能性があるケースでも、専門家の助言を受けながら安心して取引を進めることができます。
公式サイトに「法律専門家との連携」や「顧問弁護士」の記載があるかを確認し、相談時にも具体的なサポート内容を聞いておくとよいでしょう。
ポイント④:契約条件や支払いスケジュールの説明が丁寧である
信頼できる業者かどうかを見極めるうえで、契約条件や支払いスケジュールの説明がどれだけ丁寧かもチェックしましょう。
契約前の段階で、支払い日・支払い方法・契約不適合責任の有無・キャンセル時の対応などを具体的に説明してくれる業者であれば、安心して取引を進められます。
一方で、「契約書を見ればわかります」「その場で説明します」といった曖昧な対応をする業者には注意が必要です。後になって「聞いていなかった」とトラブルになるケースは、説明不足が原因であることが少なくありません。
ポイント⑤:秘密保持・個人情報管理への配慮がある
共有持分の売却では、家族関係や相続内容など、プライベートな情報を扱うことが多くなります。そういった理由から、秘密保持や個人情報管理にどのような配慮をしているかも業者選びの重要なポイントです。
「相談内容を他の共有者や第三者に漏らさない体制を整えているか」「契約書類や身分証などの個人情報を厳重に管理しているか」を確認しておきましょう。
信頼できる業者であれば、プライバシーポリシーを明示し、個人情報の扱いについても丁寧に説明してくれます。
ポイント⑥:複数社の査定を比較して適正価格である
共有持分の取引は、市場に出回る事例が少ないため、適正な買取価格を自分で判断するのが難しいという特徴があります。そのため、必ず複数の業者に査定を依頼し、価格だけでなく対応の丁寧さや説明の分かりやすさも比較しましょう。
業者によっては、査定の基準や重視するポイントが異なります。例えば、再販を目的とする業者は物件の状態を重視し、法的整理を得意とする業者は権利関係を重視する傾向があります。
複数の視点から評価を受けることで、より現実的な相場感をつかむことができます。
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当社(株式会社ネクスウィル)は、共有持分や空き家、再建築不可など、通常の不動産市場では売却が難しい物件をスムーズに現金化できるサービス「ワケガイ」を提供しています。
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共有持分買取業者の目的に関するQ&A
共有持分の買取業者について、「なぜ買うのか」「どのように利益を出しているのか」と疑問を持つ方は多くいらっしゃるのではないでしょうか。最後に、共有持分の取引構造や、一般の不動産会社との違いについて、よくある質問にお答えします。
共有持分買取業者はどのように利益を得ているのか?
共有持分買取業者は、取得した持分を再販したり、他の共有者と交渉して物件全体を単独所有化することで利益を得ています。共有状態では市場価値が低いため、相場よりも低い価格で持分を仕入れ、単独所有化後に不動産全体を一体として売却することで、価値を回復させます。
なぜ業者は共有状態の物件をわざわざ買いたがるのか?
共有不動産は、一般の買主にとっては扱いづらいものですが、専門業者にとっては「価値を上げる余地のある資産」として捉えられています。共有者同士の交渉や法的整理を通じて単独所有化できれば、物件の市場価値を大きく引き上げられるためです。
また、共有物分割請求訴訟などの法的手段を適切に活用すれば、他の共有者の同意が得られない物件でも換価処分が可能です。
一般の不動産会社と共有持分買取業者の違いは何か?
一般の不動産会社は、売主と買主をつなぐ「仲介」を行うのに対し、共有持分買取業者は自らが買主となって直接買取を行う点が大きな違いです。仲介では共有者全員の同意がなければ売却できませんが、買取業者であれば自分の持分だけを単独で売却することが可能です。
まとめ
共有不動産の問題は、感情や人間関係が絡み合うため、時間をかけても解決しにくいのが現実です。共有持分の買取業者は、そうした“動かない不動産”を法的・実務的な観点から動かす存在であり、単なる買い取り業者ではありません。市場での価値を回復させ、放置された資産を再び流通させるという社会的な役割も担っています。
一方で、すべてのケースで買取が最善とは限りません。共有者間の関係性や、物件の将来性、税負担などを踏まえたうえで、「本当に売るべきか」「どこに相談すべきか」を冷静に判断することが大切です。
もし売却を検討している場合は、複数の業者に査定を依頼し、説明の丁寧さや透明性を比較することをおすすめします。自分の権利を正しく理解し、納得できる形で取引を進めることが、トラブルを防ぐ最も確実な方法です。焦らず、信頼できる専門家とともに最適な解決策をみつけていきましょう。


















