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住宅ローンを抱える中で、まとまった資金が発生したケースや、将来の返済負担を軽減したいケースでは、毎月の返済額や返済総額に関する不安が生じることでしょう。その際に検討すべきなのが住宅ローンの繰り上げ返済です。
繰り上げ返済とは、契約で定められた返済とは別に、住宅ローン残高の一部または全部を前倒しで返済する方法。
しかし、繰り上げ返済には住宅ローン控除への影響や、手元資金の減少リスクなど、慎重な判断が必要な要素が含まれています。
本記事では、繰り上げ返済のメリット・デメリットから具体的な実施手順まで、賢い判断のために必要な知識をわかりやすく解説します。
目次
ローンの繰り上げ返済とは
住宅ローンの繰り上げ返済は、毎月の決まった返済とは別に、住宅ローン残高の一部または全部を前倒しで返済する方法です。
たとえば3,000万円の住宅ローンを組んで5年が経過し、退職金や相続資金など500万円の余裕資金が発生した場合、この資金を繰り上げ返済に充てることで、将来の返済負担を大きく軽減できます。
期間短縮型と返済額軽減型の違い
繰り上げ返済には、「期間短縮型」と「返済額軽減型」という2つの方式があります。それぞれの特徴を具体的な数字で見てみましょう。
<前提条件>
- 借入額3,000万円、金利1.5%、返済期間35年の住宅ローンで、5年経過後に500万円を繰り上げ返済した場合
期間短縮型 |
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返済額軽減型 |
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期間短縮型は返済総額の削減効果が大きく、定年前の完済を目指す方に適しています。一方、返済額軽減型は毎月の支出を抑えられるため、教育費増加期の子育て世帯や、収入が不安定な自営業の方に向いています。
選択の際は、ご家族の今後のライフプランに合わせて検討することが大切です。
ローンの繰り上げ返済のメリット
住宅ローンを借り入れている人にとって、以下のようなメリットがあります。
- 支払い総額を大幅に削減できる
- 返済期間を短くできる
- 将来の金利上昇リスクを減らせる
それぞれ個別にみていきましょう。
支払い総額を大幅に削減できる
住宅ローンの支払総額を実際の数字で確認してみましょう。3,000万円を35年返済、金利1.5%で借り入れた場合、支払総額は約3,850万円になります。このうち850万円が利息となります。
ここで借入から5年後に500万円の繰り上げ返済を行うと、支払総額は約3,670万円まで減少。約180万円もの支払いを軽減できます。
これは将来支払う予定だった利息分が不要になるためです。特に借入れ初期は返済額に占める利息の割合が高いため、早い段階での繰り上げ返済ほど大きな効果を発揮します。
返済期間を短くできる
返済期間の短縮は、人生設計に大きな影響を与えるでしょう。先ほどの例で500万円を繰り上げ返済すると、返済期間は約6年短縮されます。
当初は65歳まで続くはずだった返済が59歳で完了することになり、定年後の生活設計が大きく変わってきます。
住宅ローンから解放されることで、その分を老後の生活資金や趣味の活動に回せるようになります。子どもの教育費がかさむ時期に返済が終わっていれば、より充実した教育機会を提供することも可能でしょう。
将来の金利上昇リスクを減らせる
現在は低金利時代が続いていますが、将来的な金利上昇への備えも重要です。特に変動金利型の住宅ローンを組んでいる場合、金利上昇は大きな懸念要素となります。
例えば、借入残高が2,000万円の時に金利が1%上昇すると、年間で約20万円の負担増となります。繰り上げ返済で借入残高を1,500万円まで減らしていれば、同じ金利上昇でも年間約15万円の負担増で済みます。
このように繰り上げ返済は、将来の金利上昇リスクに対する一種の保険としての役割も果たすのです。
ローンの繰り上げ返済の課題
繰り上げ返済は将来の返済負担を軽減する有効な手段ですが、いくつかの重要な課題も存在します。具体的には、つぎのようなもの。
- 手元資金が減少するリスクがある
- 住宅ローン控除が受けられなくなる可能性がある
- 手数料負担が発生しかねない
以下より、詳しく解説します。
手元資金が減少するリスクがある
余裕資金をすべて繰り上げ返済に回すことは危険です。例えば、3,000万円の住宅ローンを抱える40代の世帯で、貯蓄1,000万円のうち800万円を繰り上げ返済に充てたとします。
確かに毎月の返済額は3万円ほど減少しますが、手元に残る200万円では急な出費に対応できません。
特に子育て世代は教育費の増加や住居の修繕費用など、予期せぬ支出が発生しやすい時期です。人生の転機となる独立や転職のチャンスを逃さないためにも、最低でも年収の半分程度は手元に残しておくことを推奨します。
住宅ローン控除が受けられなくなる可能性がある
住宅ローン控除は、年末のローン残高に応じて税負担を軽減する制度です。2022年以降に入居した場合、13年間にわたって年末残高の0.7%が税額から控除されます。
繰り上げ返済によってローン残高が減ると、控除額も減少します。年収800万円の世帯が3,000万円を借り入れ、5年目に1,000万円の繰り上げ返済を行った場合、控除額は年間約7万円減少します。
返済期間が10年未満になると、控除自体が受けられなくなる点にも注意が必要です。
手数料負担が発生しかねない
金融機関によって手数料体系は異なりますが、店頭での手続きでは一般的に1万円以上の手数料が発生します。これに保証会社の手数料が加わると、20万円の繰り上げ返済では手数料だけで1割以上を占めることも。
インターネットでの手続きなら無料の場合が多いものの、システムの都合で大型連休や年末年始は利用できないケースがあります。事前に手数料と期日を確認し、効率的な返済計画を立てましょう。
【タイミング別】ローンの繰り上げ返済が適しているかどうかの判断基準
住宅ローンの繰り上げ返済は、実施するタイミングによって効果が大きく変わります。賢明な選択のため、状況別の適切なタイミングをみていきましょう。
借入れ開始から5年以内がベストタイミング
住宅ローンは借入れ初期ほど、毎月の返済額に占める利息の割合が高くなっています。例えば、3,000万円を35年返済で借り入れた場合、最初の5年間で支払う利息は約200万円となります。
同じ金額を繰り上げ返済するなら、この時期に実施することで最も大きな効果が得られます。
住宅ローン控除期間の満了後が有利
2022年以降に入居を開始した住宅の場合、13年間にわたって住宅ローン控除が適用されます。控除額は年末のローン残高によって決まるため、控除期間中の繰り上げ返済は税制上のメリットを減少させる可能性があります。控除期間が終了する13年目以降に実施するのが賢明です。
十分な手元資金が確保できたとき
繰り上げ返済を行う際は、最低でも年収の半分程度は手元に残しておくことをおすすめします。例えば年収800万円の世帯なら、400万円は緊急時の備えとして確保するといった形です。
それ以上の余裕資金が生まれたタイミングでの実施が望ましいでしょう。
大きな支出が落ち着いた時期
子どもの教育費や住宅のリフォーム費用など、大きな支出が予定されている場合は、その完了後に繰り上げ返済を検討します。特に教育費は予想以上にかかることも多いため、学費の支払いが一段落してからの実施をおすすめします。
子どもが大学を卒業し、世帯の支出が落ち着く40代後半から50代前半は、繰り上げ返済の検討に適した時期といえます。
繰り上げ返済の具体的な手順
住宅ローンの繰り上げ返済は、慎重な準備と正確な手続きが求められます。順を追って実施することで、スムーズな手続きが可能になります。
具体的な手順としては、以下のとおり。
- 手順①:シミュレーションで効果を確認
- 手順②:申込方法の選択と必要書類の準備
- 手順③:手続き方法の決定と手数料の確認
- 手順④:申込書の記入と提出
- 手順⑤:返済方式の選択
それぞれ個別にみていきましょう。
手順①:シミュレーションで効果を確認
まずは金融機関のホームページにあるシミュレーターで、具体的な効果を試算します。例えば、借入残高2,500万円、残り25年の住宅ローンで、500万円を繰り上げ返済する場合を考えてみましょう。
返済方式によって効果は大きく異なります。期間短縮型を選択すると返済期間が約5年短縮され、総返済額は約120万円減少。一方、返済額軽減型では毎月の返済額が約2万円減少し、総返済額は約80万円の減少となります。
このように、具体的な数字を把握することで、より適切な判断が可能になります。
手順②:申込方法の選択と必要書類の準備
申込方法は大きく分けて3つです。インターネット、テレビ窓口、店頭窓口から選択します。それぞれの特徴を把握し、自分に合った方法を選びましょう。
インターネットなら24時間いつでも申込みが可能で手数料も無料です。必要なのは契約番号とキャッシュカードの情報のみ。
対して、店頭窓口では本人確認書類や届出印が必要ですが、不明点をその場で確認できる利点があります。
手順③:手続き方法の決定と手数料の確認
各申込方法の締切日と手数料を確認します。インターネットは返済希望日の2営業日前まで、店頭窓口は10営業日前までが一般的です。手数料はインターネットが無料なのに対し、店頭では16,500円程度が必要になります。
金融機関によっては保証会社への手数料として別途11,000円が必要なケースも。事前に総費用を把握し、手続きのスケジュールを立てることが重要です。
手順④:申込書の記入と提出
申込書には返済金額、返済方式、希望日などを正確に記入します。特に気を付けたいのは返済用口座の残高です。手続き時に十分な残高がないと、折角の申込みが無効になってしまいます。
インターネットの場合は画面の指示に従って入力を進めます。誤入力を防ぐため、確認画面でしっかりとチェックすることが大切です。
手順⑤:返済方式の選択
最後に期間短縮型か返済額軽減型かを選択します。この決定は今後の返済計画に大きな影響を与えます。
期間短縮型は総返済額の削減効果が高く、返済額軽減型は毎月の負担を減らせます。
例えば、教育費の増加が見込まれる子育て世帯なら返済額軽減型、定年前の完済を目指す世帯なら期間短縮型が適しているでしょう。家計の状況や将来設計に合わせて、慎重に選択することをおすすめします。
繰り上げ返済の具体的なシミュレーション事例
実際の家計に即して、繰り上げ返済のシミュレーションを見ていきましょう。世帯の状況によって最適な選択は異なります。具体的な事例を通じて、自身の状況に合わせた判断材料を考えてみましょう。
世帯年収600万円の40代夫婦のケース
40代夫婦(世帯年収600万円)が35年返済で3,000万円を借り入れ、投資用マンションの売却で得た500万円を7年目に繰り上げ返済するケースを考えてみましょう。
この世帯では子どもが高校生と中学生の2人。教育費の支出が今後も続くことを考慮し、返済額軽減型を選択します。繰り上げ返済前の毎月の返済額87,510円が78,078円に減少。年間で約11万円の支出削減となり、教育費の増加に対応できる余裕が生まれます。
ただし、この時期はまだ住宅ローン控除の適用期間内。返済額の減少により年間の控除額も約3万円減少するため、実質的な家計改善効果は年間8万円程度となります。
退職金での繰り上げ返済を考える50代夫婦のケース
54歳で早期退職する夫が受け取る退職金2,000万円のうち1,000万円を繰り上げ返済に充てるケースです。住宅ローンの残高は2,000万円、残り期間は15年となっています。
期間短縮型を選択した場合、返済期間は15年から8年に短縮。69歳だった完済時期が62歳となり、退職後の返済負担を大幅に軽減できます。ただし、毎月の返済額は変わらないため、退職金残額の1,000万円を老後の生活資金として確保することが重要です。
この世帯の場合、すでに住宅ローン控除の適用期間は終了しているため、税制上の影響を気にする必要はありません。退職後の収入減も見据え、手元資金として残す1,000万円は、年金受給までの生活費に充てることができます。
定年までの返済完了と老後資金の確保を両立させた、賢明な選択といえるでしょう。
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まとめ
繰り上げ返済は、将来の返済負担を軽減する有効な手段ですが、その効果を最大限に引き出すには適切な判断が欠かせません。特に現在の超低金利時代では、繰り上げ返済よりも資産運用を優先すべきケースも考えられます。
また、住宅ローン控除の活用や、将来の資金需要を見据えた手元資金の確保など、総合的な判断も重要です。損をしないためにも、ファイナンシャルプランナーなど専門家に早めに相談しましょう。