相続物件

空き家の放置を続けるとどうなる? 行政代執行までの流れを解説!

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人口減少の影響により、空き家の数は年々増え続けており、全国で848万9000戸の空き家があるとされ、その数は住宅全体の13.6%にも該当します。

今後も年々増加していくであろうと言われておりまして、2033年には1,955万戸にもなると予想されております。

 

その多くは空き家を相続しても、誰も管理せず、そのまま使用することなく放置されてしまっている空き家となっています。

 

そのような空き家は、建物の老朽化による倒壊の危険や、ゴミの異臭、蚊など害虫の発生によって近隣トラブルにつながってしまいます。

 

空き家を相続などで所有してしまった場合は、早期に売却などを含めた対応をおオススメしますが、自分が知らないうちに空き家の相続対象となっていたという事例も多くあり、知らずにそのまま放置し続け、市区町村からの指摘で初めて気付くということもあります。

 

では、空き家を放置し続けてしまった場合、どのような事態となってしまうのでしょうか?

今回は、行政代執行までの流れを解説します。

■空き家特別措置法の施行

2015年に空き家特別措置法が施行されたことにより、放置され続けている空き家に対して、行政(市区町村)が強制的に解体を行える、行政代執行が命令できるようになりました。

 

この行政代執行ですが、市区町村が自ら解体を行い、その費用は所有者へ強制的に請求、徴収をされることになります。

 

では、実際に行政代執行が行われた例から、どのような経緯で執行までに至ったのか、そして、請求された費用はどれくらいになったのかを確認していきましょう。

 

■空き家に対して行われた行政代執行の事例

 

・事例1 東京都品川区

構造(築年数):木造2階建て(築58年)

損壊状況等:壁の破損、ベランダの腐食。

周辺環境:小学校の通学路に面しているため、空き家の改善要望書(署名1600人余り)が提出された。

動産:建物内部に大量の廃棄物が残されている

所有者等の状況:建物所有者と土地所有者が別。登記上の建物所有者が死亡。相続人の2人のうち1人は相続放棄し、別の1人は居所不明。

費用:423万円

費用回収状況:預金差し押さえにより回収済

 

経過

平成27年8月 特定空き家等判定

平成27年9月 助言・指導

平成27年10月 勧告

平成28年2月 命令

平成28年3月 戒告

平成28年5月 行政代執行の実施(廃棄物の処理、外壁、柱の補修)

 

相続人を特定後、協議を行えていたが、のちに連絡が取れなくなり、行政代執行が行われた事例です。

かかった費用は相続人の預金差し押さえによって支払われました。

 

・事例2 千葉県柏市

構造:鉄骨造3階建て(築45年)

損壊状況等:建物全体が老朽化により劣化している。

周辺環境:JRの線路及び都市計画道路に近接

動産:有り

所有者の状況:元事業所であり、建物は法人名義だが当該法人は実態がない(解散等はしておらず登記上存続しているものの営業は行なっていない)

費用:1,000万円

費用回収状況:土地差し押さえ後、公売により一部回収

 

経過

平成28年4月 特定空き家等判定

平成28年4月 助言・指導

平成28年5月 立ち入り調査

平成28年10月 勧告

平成29年2月 命令

平成29年2月 戒告

平成29年4月 行政代執行の実施(解体)

 

所有者である法人代表者との協議の結果、所有者による除却は経済的理由により対応困難とのことから、解体後に土地差し押さえ、公売にて一部費用を回収されました。

 

・事例3 新潟県十日町市

構造:木造2階建て(築48年)

損壊状況等:建物の一部が降雪により倒壊

周辺環境:郊外の田園集落

動産:なし

所有者等の状況:土地所有者と建物所有者が別。所有者は県外に居住しており、平成25年より空き家への対応を依頼してきたが、27年2月に一部が倒壊。同年10月に所有者死亡。相続人へ対応依頼したが、相続人全員が相続放棄のため所有者等不確知と判断。その後、所有者の生前所有の土地の債権回収のため、相続財産管理人が選任されていたことから、当該相続財産管理人を相手方都市、行政代執行を実施。

費用:270万円

費用回収状況:所有者の他所有土地の差し押さえ後、それらの公売により一部回収

 

経過

平成27年12月 立ち入り調査

平成27年12月 特定空き家等判定

平成28年11月 助言・指導

平成28年12月 勧告

平成28年12月 命令

平成28年12月 戒告

平成29年1月 行政代執行の実施

 

特定空き家判定後に、所有者が死亡。相続人が相続放棄した一例。

別の土地で相続財産管理人が選定されていたため、それらの土地を差し押さえ後、公売によって費用を一部回収されました。

 

・行政代執行に至る事例の特徴

空き家に対して行政代執行された事例を見ていくと、所有者が特定できても経済的に対応ができない状況であったり、相続人が複数いて特定困難で会ったり、相続放棄されており、協議対象者が不在であったりする事例が多く散見されました。

■放置している空き家でお困りの場合はプロに相談しよう

老朽化した空き家は、そのまま放置し続けることで、建物の損壊等で隣家や通行人に危害を加えてしまう可能性もありますし、空き家特別措置法の施行により、ペナルティを受けたり、行政代執行にて費用負担の請求をされたりすることになりますので、放置せず、すぐに空き家のような訳あり不動産を取り扱っているプロに相談し、対応してもらうようにするといいでしょう。

 

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