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実家じまいとは、親や祖父母の住んでいた実家を片付け、整理・処分することを指します。子どもの立場から、両親や祖父母の家を片付ける作業であり、親が亡くなった後や高齢になって施設に入居した際に行われるケースも多々あります。
実家じまいには、親の負担を減らしたり、相続トラブルを防いだりするなどの目的があります。しかし、実家じまいを早めに行うべき理由や、費用を抑えるポイントなどについては詳しくない人も多いはず。
そこで本記事では、実家じまいの具体的な手順やポイントについて解説してます。
目次
実家じまいとは
実家じまいとは、親や祖父母の家を子どもや孫が整理・処分することを指します。これは、子どもの視点から見た両親や祖父母の家の片付けを意味します。一方、「家じまい」という言葉は、自分が所有して住んでいる家を自分で処分することを指します。
家じまいは、親や祖父母が所有している家を、終活の一環として子どもや孫に相続させずに処分することです。例えば、親が高齢で独り身であり、将来的に家の維持や相続手続きに負担がかかると考えた場合、親自身が子や孫のためではなく、自分自身のために家を処分します。
つまり、実家じまいは子どもが親や祖父母の家を整理することで、家じまいは、終活などで親が自分の家を子どもや孫に相続させることなく処分する行為です。
実家じまいは、通常、親が高齢化し自立して別の場所で生活するようになった場合や、親が亡くなった後に行われます。親が健在で実家に住み続けている間は、実家じまいを行う必要はありません。
実家じまいを行う理由
実家じまいを行う主な理由は2つが挙げられます。
まず1つが、親が亡くなった後、実家を相続したお子さんたちの負担を軽減するためです。実家を維持するための税金や管理コストを避けることができます。
もう一方が、自分が高齢になり、実家の維持や管理が困難になった場合、実家を処分することで手間やコストを削減するためです。終活の一環として、自身の負担を軽くするためです。
実家じまいをしないと、ご両親が亡くなった後、お子さんたちに実家の処分を任せることになります。しかし、お子さんたちの事情によっては、すぐに対応できない場合もあり、負担がかかる可能性があります。
そのため、比較的早い段階、つまりご自身がある程度体力的・精神的に余裕をもって動ける時期から、実家じまいを計画的に進めることが望ましいとされています。これにより、お子さんたちへの負担を軽減でき、ご自身の終活もスムーズに行えます。
実家じまいを行う時期
実家じまいが推奨される時期・タイミングとしては、次のものが挙げられます。
- 親が施設に入ったタイミング
- 家の維持管理が負担になったとき
- 相続発生時
以下より、個別にみていきましょう。
親が施設に入ったタイミング
高齢になった親御さんが施設に入居するため、住んでいた家が不要になるケースも考えられます。税負担や維持・管理のコストを考慮すると、その段階で実家じまいを検討するのも適切なタイミングといえるでしょう。
ただし、この場合には、施設に入居された親御さんの心身の状態に注意を払う必要があります。所有者である親御さんが認知症などで判断能力がないと認められた場合、家の売却のような重大な法律行為ができなくなります。
こういったケースでは、成年後見人を選任するなどの手続きを踏まなければならず、時間を要する可能性があります。
家の維持管理が負担になったとき
親御さんがご健在で実家に住んでいる場合でも、より住みやすい賃貸マンションなどへの転居を前提に、実家じまいを検討するのも有効な選択肢です。
子どもが独立して2人だけの世帯となった高齢のご夫婦にとって、広すぎる自宅の維持が負担になるケースが多くあります。階段の上り下りが困難になり「2階を使わなくなった」という話も耳にします。
築年数の経った実家は、設計時にバリアフリーなどへの配慮が不十分な場合があり、ちょっとした段差が怪我につながる危険性があります。
一方、バリアフリーに配慮された賃貸マンションであれば、そのような心配を大きく軽減できます。エレベーターを完備した住宅を選ぶことも重要です。
相続発生時
実家じまいを行うタイミングの代表例が、親が亡くなって相続が発生した場合です。空き家となった実家を相続すると、そこに住まなくても固定資産税などの税負担が生じるほか、適切な維持・管理の義務が発生します。
放置すれば住宅は劣化し、価値が下がるだけでなく「老朽化した屋根が落下して通行人に怪我を負わせた」などのトラブルリスクもあります。相続した実家を利用する予定がないのであれば、できるだけ速やかに処分することが賢明です。
実家じまいは早めに行うべき理由
実家じまいを早めに行うべき理由としては、以下のとおりです。
- 維持管理で無駄に資金が必要になる
- 親が認知症になると売却が難しくなる
- 空き家になると痛みやすくなる
次項より、詳しく解説します。
維持管理で無駄に資金が必要になる
実家がマンションの場合、管理費や修繕積立金の支払いが必要になります。一般的に、これらの費用は毎月契約者の銀行口座から引き落とされます。住宅ローンとは異なり、終了期限がなく、実家を所有し続ける限り支払い続けなければなりません。
さらに、残高不足で管理費等が引き落とされず、滞納が続くと、最悪の場合マンションが差し押さえられる可能性があります。実家を維持し続けることで、無駄な出費が発生する可能性があるのです。
親が認知症になると売却が難しくなる
親が認知症などで意思確認ができなくなると、実家の売却が極めて難しくなります。不動産売買には所有者の意思が必須となるためです。
親の状態が急変し、結果的に相続まで待たざるを得なくなるケースも少なくありません。
そのため、親がまだ健在な間に、実家じまいについて話し合っておく必要があります。この問題を先送りにしていると、親が亡くなった後に実家を処分する際、後ろめたさや罪悪感を覚えるリスクがあります。
後悔のない実家じまいを実現するには、「その家をどうするか」という点について、親が健康な内に意思を確認し、早めに両親と相談することが大切です。あまり考えたくない問題かもしれませんが、避けて通るべきではありません。
空き家になると痛みやすくなる
人が住まなくなった家は、以下の理由から急速に傷みが進行します。
- 換気不足によるカビの発生
- 害虫の発生
- 排水管やガス管の劣化
- 雨漏り
長期間、窓や戸を閉め切ったままにしておくと、建物内部の湿度が上昇しやすくなります。湿度の高い環境はカビの発生を促進する要因となります。排水管やガス管も長期間使用されないと劣化し、ひび割れや破損が起こりがちです。
さらに、屋根が劣化すれば雨漏りが発生します。人が住んでいれば対処できますが、空き家の場合は放置されがちで、ますます劣化が進行します。
家が傷んでしまってからでは、売却を望んでも買い手がつきにくくなります。状況によっては、においや倒壊の危険性などから、近隣に迷惑をかける可能性も否めません。
そのため、できるだけ家の劣化が進行する前に、実家じまいについて検討しておくことが賢明です。
実家じまいの手順
実家じまいの手順としては、以下のとおりです。
- 手順①:処分の方法の決定
- 手順②:不用品・残置物の処分
- 手順③:不動産会社探し
- 手順④:実家の売却
それぞれ詳しく解説します。
手順①:処分の方法の決定
実家じまいの第一歩は、ご実家の最終的な処分方法を決定することです。売却するのか、解体して更地にするのか、あるいは賃貸物件として活用するのかなど、複数の選択肢があります。
この決定は、相続開始後であれば相続人同士で、親御さんがご健在であればご本人と兄弟姉妹を交えて話し合うことをおすすめします。どの方法が最適かは、その家の築年数や立地条件など、状況次第で異なります。専門家のアドバイスを参考にしながら検討するとよいでしょう。
いずれの処分方法を選択しても、数ヶ月の期間を要する可能性があるため、早めに相談し決定することが重要です。
手順②:不用品・残置物の処分
処分方法が決まれば、次は家の中にある不用品や残置物を処分する必要があります。ご自身で処分するか、残置物処分や遺品整理の専門業者に依頼するか、状況に応じて選択しましょう。
ただし、相続開始により実家じまいを行う場合、不用品も含めてすべてが相続財産であることに留意が必要です。相続人の代表者は、他の相続人にとって価値のあるものを処分してしまわないよう、遺産を整理・把握し、必要か否かを相続人全員で判断する必要があります。
特に、相続放棄を検討している場合は注意が必要です。被相続人の遺産を処分すると、相続放棄が認められなくなるリスクがあるためです。処分作業を進める際は、このようなリスクを十分に認識しておきましょう。
手順③:不動産会社探し
売却や賃貸など、実家の処分方針が決まれば、次は不動産業者に相談します。売却を選択した場合は、複数の不動産会社に査定を依頼するのがよいでしょう。
各社の査定額には一定の幅が生じるのが一般的です。これは、採用する査定手法や提案する売却プランによって算出される金額が異なるためです。
ただし、必ずしも高い査定額を提示した業者を選ぶ必要はありません。「売却プランが具体的」「担当者が信頼できそう」など、別の基準で選んでも構いません。なぜなら、最終的な売り出し価格は売主が決めるのであり、査定額とは別の会社に売却を依頼することも可能だからです。
手順④:実家の売却
実家の売却は、不動産会社と連携しながら進めます。ただし、不要な実家を売却する場合、購入検討客の内覧への立ち合いや物件管理が難しい状況も考えられます。そのような時は、売却期間中の管理業務も不動産会社に一任できないか相談するとよいでしょう。
空き家売却の際には、鍵を不動産会社に預け、一任して管理してもらうケースが一般的です。できる限り負担の少ない手続きを提案してくれる不動産会社を選ぶことも、合理的な選択基準の一つとなります。
実家じまいにかかる費用
実家じまいには、次の費用が必要です。
- 不用品の処分費用
- 引っ越しにかかる費用
- 家の解体費用
以下より、詳しく解説します。
不用品の処分費用
不用品の処分方法によって、かかる費用は大きく異なります。
ご自身で処分する場合は、粗大ゴミ収集や処分場への持ち込み費用が主な出費となり、数千円から数万円程度と比較的安価に収まります。一定の価値がある不用品を売却できれば、その収入で費用を賄えるケースもあります。
一方、専門業者に依頼する場合は、事前に見積もりを取ることが重要です。30坪程度の一戸建てでは20~30万円が相場とされています。不用品の種類・量だけでなく、建物の立地状況によっても人件費が変わるため、複数社から見積もりを取り比較するとよいでしょう。
売却にかかる費用
売買が成約すれば、不動産会社への仲介手数料が必要になります。一般的には「物件価格の3%+6万円+消費税」が手数料の計算式です。例えば1,000万円で売却した場合、手数料は39万6,000円となります。
ただし、成約価格が400万円以下の低価格物件では、別の計算式が適用されます。調査費用として最大18万円+消費税を別途請求される可能性もあります。
家の解体費用
実家が老朽化していれば、解体して更地にしたほうが有利な条件で売却できるケースがあります。不動産会社と相談し、解体費用の支出とメリットを比較して検討しましょう。
一般的な木造住宅の解体費用は1坪当たり3〜5万円が相場とされますが、立地条件次第で大きく変動します。重機の搬入が難しい場合など、解体費が1.5〜2倍にもなる可能性があります。
実家じまいの費用を安く抑えるポイント
実家じまいにかかる費用をなるべく抑えたいなら、以下の点に注意しましょう。
- なるべく自力で片付ける
- 実績のある処分業者・解体業者に依頼する
- 相見積もりをとる
それぞれ個別に解説します。
なるべく自力で片付ける
費用を抑えたい場合は、できるだけご自身で片付けを行うのがよいでしょう。ご自身で不用品を処理すれば、その分の費用を節約できます。
特に不用品の量が多い場合、一定程度整理を進めてから遺品整理業者に依頼すれば、大幅な費用削減が期待できます。
ただし、実家の片付けには感情的なハードルもあり、思い出に囚われて作業が中断してしまう可能性があります。実家が遠方にある場合は、逆に交通費がかさんで割高になるリスクもあります。
ご自身で進める場合とそうでない場合のメリット・デメリットを冷静に検討し、全面的に業者に依頼するのも選択肢の一つです。
実績のある処分業者・解体業者に依頼する
遺品整理業者を選ぶ際は、不用品の買取サービスの有無も重要な基準となります。
買取サービスのある業者に依頼すれば、回収した不用品を現金化できる可能性があり、結果的に遺品整理にかかる費用を抑えられます。
相見積もりをとる
遺品整理業者に依頼する前に、複数社から見積もりを取ることをおすすめします。サービス内容と料金を比較することで、市場の相場観が掴めます。
過度に高額または安価な見積もりがあれば、その業者は避けたほうがよいでしょう。
実家問題を解決可能な「ワケガイ」の買取サービス
実家じまいを検討する際、不動産の売却や処分に関して様々な課題に直面することがあります。例えば、共有持分や共有名義の物件、再建築不可の土地、空き家やゴミ屋敷、事故物件などは、通常の不動産市場では売却が難しいケースが多いのです。
こうした課題を抱える不動産でも、「ワケガイ」なら買取が可能です。ワケガイは、訳あり物件や不動産の買取に特化したサービスを提供しています。全国47都道府県で豊富な買取実績を持ち、あらゆる種類の不動産に対応可能です。
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まとめ
実家じまいは、親の老後の安心や相続トラブルの防止につながる大切な作業ですが、同時に多くの労力とコストを要する手続きでもあります。
特に、実家の維持管理費の負担や、親の認知症による売却の難しさ、空き家の老朽化などの問題に直面することも少なくありません。
こうした課題を円滑に解決するには、不用品の処分や不動産の売却、解体など、いくつもの専門的な作業が必要となります。
実家じまいを検討する際は、1人で抱え込まずに、経験豊富な専門家に相談することをおすすめします。遺品整理や不動産売買に精通したプロのアドバイスを受けることで、効率的かつ適切な方法で実家じまいを進められるはずです。
運営団体 株式会社ネクスウィル 2019年1月29日設立。訳あり不動産の買取を行う不動産会社。相続やペアローンによる共有持分、空き家、再建築不可物件、借地、底地など、権利関係が複雑な不動産を買い取り、法的知識や専門知識を以って、再度市場に流通させている。 |