公正証書とは?普通の契約書との違いや効力を解説

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公正証書は、法務大臣に任命された公証人が作成する公文書であり、契約内容の明確化やトラブル防止に重要な役割を果たします。

しかし、具体的にどのような場合に公正証書が用いられるのか、詳しく知らない方も少なくないはずです。

そこで本記事では、公正証書の基礎知識から、不動産取引で公正証書が用いられるケース、作成の流れと必要書類まで、公正証書に関する事柄を詳しく解説します。

公正証書とは

公正証書とは何かを、公証人による作成や高い証明力などとともに示した図解

公正証書は、公証人が作成する信頼性の高い公的な文書です。

公正証書とは、法務大臣に任命された公証人が作成する公文書を指します。

個人や企業などの私人からの依頼を受けて、土地や建物の売買、賃貸借、金銭消費貸借などの契約に関して作成されるのが一般的です。

公正証書は、契約内容が法律に則っており、公序良俗に反していないことを公証人が確認し、当事者双方の意思を確認した上で作成されます。

原本は公証役場で保管され、当事者には謄本が交付されます。公正証書は、後々のトラブルを未然に防ぐために重要な役割を果たします。

公正証書を作成する「公証人」とは?

公証人とは、公正証書の作成などを通じて契約や法律行為を公的に証明する法律実務の専門家です。

国家公務員法上の公務員ではありませんが、国の公務である公証作用を担う実質的な公務員にあたります。

公証人は原則として、裁判官や検察官、弁護士などとして法律実務に携わった人の中から法務大臣が任命します。公正証書を作成する際は、一方の当事者だけに有利な内容にするのではなく、中立・公正な立場から本人の意思や契約内容を確認するのが公証人の役割です。

公正証書とは、こうした公証人が当事者の意思や法律関係を確認したうえで作成する公文書です。私人同士だけで作成する契約書とは作成過程が異なるため、契約内容や合意の成立について争いが生じた際にも高い証明力を持ちます。

普通の契約書との違い

公正証書と普通の契約書との効力の違いを示した図解

公正証書は一般の契約書とは違った効力があります。契約によっては、公正証書での締結を条件としたものもあります。

公正証書と普通の契約書の大きな違いは、作成者と証明力、一定の条件を満たした場合の強制執行力にあります。

普通の契約書は当事者が作成する私文書ですが、公正証書とは公証人が当事者の意思などを確認して作成する公文書です。

そのため、公正証書には真正に成立した文書であることについて強い推定が働きます。ただし、公正証書を作成すれば契約内容について一切争えなくなるわけではありません。公正証書と普通の契約書の違いを理解する際は、証明力と強制執行力を分けて考えることが大切です。

さらに、一定額の金銭の支払いについて強制執行認諾文言を記載した公正証書は、債務名義として強制執行に利用できます。支払いが滞った場合に、改めて訴訟で債務名義を取得せず強制執行を申し立てられる点も、普通の契約書との重要な違いです。

不動産取引で公正証書が用いられるケース

不動産取引で公正証書が用いられる主なケースを4つに分けて示した図解

不動産取引では、売買代金の分割払い、金銭消費貸借契約、贈与や遺産分割、賃貸借契約などで公正証書が用いられる場合があります。

不動産取引において、公正証書が用いられるケースは大きく分けて、以下の2つがあります。

  • 法律で義務付けられている場合
  • 当事者の合意により使われる場合

それぞれ個別にみていきましょう。

法律で義務付けられている場合

不動産取引において、法律で公正証書の作成が義務付けられているのが「事業用定期借地権」です。

事業用定期借地権とは、事業用建物の所有を目的とした土地の賃貸借契約のことを指し、借地借家法第23条により公正証書による契約締結が義務付けられています。

事業用定期借地権を普通の契約書で締結した場合、その契約は無効となります。法律で定められた要件を満たすためにも、公正証書の作成が不可欠です。
(参考:e-Gov 法令検索「借地借家法」)

関連記事:借地権付き建物とは?メリット・デメリット、売却方法を詳しく解説

当事者の合意により使われる場合

法律で義務付けられている場合以外にも、当事者間の合意により公正証書が用いられるケースがあります。

例えば、不動産売買や賃貸借において、契約内容を明確にし、トラブルを未然に防ぐために公正証書を作成することがあります。

特に、高額な取引や長期間に及ぶ契約の場合、公正証書を用いることで契約の安定性を高めることが可能です。金銭消費貸借契約において、貸主側が債権回収を確実にするために公正証書を要求するケースもあります。

公正証書を使うメリット・デメリット

公正証書を利用することには、メリットとデメリットがあります。

以下では、それぞれについて詳しく解説します。

公正証書を使うメリット

公正証書を使う主なメリットは、契約や合意の内容を明確に残せることと、高い証明力を得られることです。

公正証書とは、公証人が当事者の意思や契約内容を確認して作成する公文書であり、当事者だけで作成する契約書よりも成立について争われにくくなります。

契約内容を公正証書として残しておけば、「そのような約束はしていない」「合意した内容が違う」といった後日のトラブルを防ぐ効果も期待できます。不動産売買や賃貸借のように金額が大きく、契約関係が長期間続く場面では特に有効です。

また、一定額の金銭債務について強制執行認諾文言を記載しておけば、支払いが滞った際に公正証書を債務名義として利用できます。契約内容を明確に残すだけでなく、将来の債権回収に備えられることも公正証書の大きなメリットです。

公正証書を使うデメリット

公正証書には高い証明力などのメリットがある一方、作成には手続きと費用が必要です。

通常の契約書のように当事者だけで作成するのではなく、公証人への相談や必要資料の提出、内容の調整などを行わなければなりません。

公正証書の作成費用は一律ではなく、契約などの目的の価額に応じて公証人手数料が定められています。

2025年10月1日以降、法律行為に関する公正証書では50万円以下なら3,000円、50万円を超えて100万円以下なら5,000円です。目的の価額が高くなるにつれて手数料も変わるため、作成前に費用を確認する必要があります。

もっとも、費用や手間だけで公正証書の必要性を判断するのは適切ではありません。契約金額や不払いのリスク、将来争いになる可能性まで考え、普通の契約書で十分なのか公正証書にするべきなのかを検討することが大切です。

公正証書作成の流れと必要な書類

公正証書の作成には、一定の流れと必要書類があります。

ここからは、公正役場への申込みの方法と、公正証書作成に必要な書類について説明します。

公正役場への申込み

公正証書を作成する場合は、まず公証役場に相談し、作成したい公正証書の内容や必要資料を確認しましょう。

契約内容の案や関係資料を事前に提出し、公証人と内容を調整したうえで作成日時を決めます。

従来は公証役場に出向いて作成する方法が中心でしたが、2025年10月1日から公正証書の作成手続きがデジタル化されました。現在は原則としてPDF形式の電磁的記録で公正証書が作成され、列席者はパソコンを使って電子サインを行います。

また、嘱託人から申出があり、ほかの嘱託人に異議がなく、公証人が相当と認めた場合には、ウェブ会議を利用したリモート方式で作成することも可能です。すべてのケースで当事者双方が公証役場に出向く必要があるわけではないため、利用できる方法を事前に公証役場へ確認すると手続きを進めやすくなります。

公正証書作成に必要な書類

公正証書を作成する際には、以下の書類を準備する必要があります。

  • 本人確認書類(運転免許証、パスポート、マイナンバーカードなど)
  • 印鑑証明書(実印を使用する場合、3ヶ月以内に発行されたもの)
  • 委任状(当事者本人が公証役場に出向けない場合、実印と印鑑証明書が必要)
  • 契約関連書類(売買契約書、賃貸借契約書など)
  • 登記簿謄本(不動産に関する契約の場合、法務局で発行されたもの)
  • その他の必要書類(契約内容によって異なる)

これらの書類は、公正証書の作成において重要な役割を果たします。

公証役場からの指示に従って、必要な書類を漏れなく準備することが大切です。書類の不備があると、公正証書の作成が遅れたり、追加の手間が発生したりする可能性があるので注意しましょう。

FAQ:公正証書についてよくある質問

公正証書についてよくある質問は、以下のとおりです。

  • 公正証書はどういう時に使う?
  • 公正証書を作るのにいくらお金がかかる?
  • 公正証書で約束を破ったらどうなる?
  • 遺言公正証書とはどのようなもの?

それでは、それぞれの質問とその回答を紹介します。

公正証書はどういう時に使う?

離婚に伴う養育費や財産分与の取り決め、金銭の貸し借り、遺言の作成、賃貸借契約や事業用の重要な契約などで用いられます。共通するのは、後日の紛争を避けたい場面や、約束が守られなかったときに速やかに回収したい場面です。特に金銭の支払いを伴う取り決めでは、強制執行認諾文言を付けておくことで、不払いの際に訴訟を経ずに差押えができる点が大きな利点になります。

公正証書を作るのにいくらお金がかかる?

手数料は、取り決めた金額(目的の価額)に応じて法令で定められています。2025年10月1日以降は、目的の価額が50万円以下なら3,000円、100万円以下なら5,000円、200万円以下なら7,000円、500万円以下なら1万3,000円、1,000万円以下なら2万円です。
(出典:日本公証人連合会「公証人手数料」)

遺言公正証書では、相続人や受遺者ごとに財産の価額から手数料を算出します。また、目的価額の合計額が1億円以下の場合は、通常の手数料に1万3,000円の遺言加算が加わります。
(出典:日本公証人連合会「2 遺言」)

公正証書で約束を破ったらどうなる?

金銭の支払いについて強制執行認諾文言が付されている場合、支払いが滞ると、債権者は裁判を起こすことなく給与や預貯金、不動産の差押えを申し立てられます。実際には、まず公証役場で執行文の付与を受け、送達証明書を取得したうえで裁判所に申し立てる流れになります。強制執行認諾文言がない場合は、訴訟を経る必要がありますが、公正証書は有力な証拠として扱われます。

遺言公正証書とはどのようなもの?

遺言者が公証人に遺言の内容を口授し、公証人が文章にまとめて作成する遺言です。証人2名の立会いが必要で、方式の不備で無効になるおそれがほとんどない点が最大の利点です。原本が公証役場に保管されるため紛失や改ざんの心配もなく、相続開始後の家庭裁判所の検認手続きも不要です。自筆証書遺言に比べて費用と手間はかかりますが、確実性を重視する場合に適しています。

まとめ

公正証書は、不動産取引において契約内容を明確にし、法的安定性を高めるために重要な役割を果たします。特に、事業用定期借地権では公正証書の作成が法律で義務付けられています。

公正証書を利用することで、強制執行力の付与や契約内容の保全といったメリットがある一方、作成に時間と手間がかかることや費用が発生するといったデメリットもあります。

公正証書の作成には、公証役場への申込みや必要書類の準備など、一定の手続きが必要です。

不動産取引における公正証書の活用に関して不明な点がある場合は、弁護士や司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。専門家の適切なアドバイスを受けることで、より安心で円滑な不動産取引が可能になるでしょう。

 

運営団体

株式会社ネクスウィル

2019年1月29日設立。訳あり不動産の買取を行う不動産会社。相続やペアローンによる共有持分、空き家、再建築不可物件、借地、底地など、権利関係が複雑な不動産を買い取り、法的知識や専門知識を以って、再度市場に流通させている。

訳あり不動産の買取サービス「ワケガイ」、空き家、訳あり不動産CtoCプラットフォーム「空き家のURI・KAI」を展開。

経済界(2022年)、日刊ゲンダイ(2022年)、TBSラジオ「BOOST!」(2023年)、夕刊フジ(2023年)などで訳あり不動産について解説している。2024年度ベストベンチャー100選出。

これまでの買取の経験をもとに、訳あり不動産の解説をする著書『拝啓 売りたいのに家が売れません』(代表取締役 丸岡・著)を2024年5月2日に出版。

この記事の監修者

監修者プロフィール写真

川村 有毅 (司法書士)

私が司法書士になる前は、接客サービス・営業等、お客様と直に接する仕事に長く携わってきました。
そこから、お客様とのコミュニケーションを事務的にせず、お話をしっかりと拝聴し、問題を共有することの大切さを学びました。
お客様と接する機会をもっと重要視し、人と人とのつながりを大切にします。
お客様に人の手のぬくもりが感じられる「あたたかな安心」を提供いたします。

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