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相続した不動産を売却したらかかる税金は?特別控除はどう使う?

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相続した不動産を売却する際、相続登記や税金の手続き、相続人全員の同意取得など、通常の不動産売買以上に複雑な課題が生じます。特に、被相続人の取得時期が不明な場合や、相続人間で意見が対立するケースでは、売却までの道のりが長期化してしまうことも。

その際に重要となるのが、相続不動産の売却に関する正しい知識です。売却時期によって適用される税制が異なり、3年以内の売却であれば取得費加算の特例が使えるなど、知っておくべき制度も数多く存在します。

そこで本記事では、相続不動産の売却に必要な手続きや税金の知識、特例制度の活用方法について、実務に即して解説します。

相続不動産を売却する前に知っておくべきこと

相続で取得した不動産を売却するには、以下のような確認事項があります。

  • 売却前に相続登記をしなければならない
  • 相続人全員の同意が必要になる
  • 売却のタイミングで税金が異なる

次項より、個別にみていきましょう。

売却前に相続登記をしなければならない

不動産の売却には、必ず事前の相続登記が求められます。これは民法第177条により、登記を行わなければ第三者に対して所有権を主張できないと定められているためです。

相続登記の申請は、不動産の所在地を管轄する法務局に対して行います。申請時には、戸籍謄本や遺産分割協議書など、相続人であることを証明する書類の提出も必須となっています。

相続人全員の同意が必要になる

遺言書がない場合、相続財産は法定相続人の共有財産となるため、相続不動産の売却には、原則として法定相続人全員の同意が不可欠です。一人でも反対する相続人がいると、売却は実現できません。

そのため、売却を円滑に進めるには、事前に相続人間で十分な話し合いを行い、売却金額や分配方法について合意を形成しておくことが望ましいでしょう。

売却のタイミングで税金が異なる

売却時期によって適用される税制が大きく変わってきます。例えば、相続開始から3年10カ月以内に売却すれば、「取得費加算の特例」を利用して譲渡所得税を軽減できる可能性が懸念されます。

一方、空き家の売却では「3,000万円特別控除」が適用できるケースもありますが、この場合は相続開始から3年以内という期限が設けられています。税負担を最小限に抑えるためには、これらの期限を意識した売却計画を立てることが賢明です。

相続不動産を売却するメリット

相続した不動産を売却することは、相続人にとってさまざまな利点をもたらします。具体的には、次のとおり。

  • 相続税の納付資金が確保できる
  • 維持費や固定資産税の負担がなくなる
  • 遺産分割が容易になる

以下より、詳しく解説します。

相続税の納付資金が確保できる

相続税の納付期限は相続開始を知った日の翌日から10カ月以内と定められています。不動産の占める割合が大きい相続では、この期限内に納税資金を用意することに苦労するケースが少なくありません。

不動産を売却することで、相続税の納付資金を確保できるだけでなく、相続開始から3年10カ月以内であれば「取得費加算の特例」も活用できます。これにより、譲渡所得にかかる税金も抑制することが可能です。

なお、納付期限内に売却が間に合わない場合は、延納制度や物納制度の利用も検討に値するでしょう。

維持費や固定資産税の負担がなくなる

不動産を保有し続けると、毎年の固定資産税に加え、建物の修繕費や管理費などの支出が発生します。特に築年数が経過した建物では、老朽化に伴う修繕費用が予想以上に高くなりかねません。

売却によってこれらの負担から解放されるため、相続人の経済的な負担は大幅に軽減されます。また、空き家として放置すれば、防犯上のリスクや近隣への迷惑にもなりかねません。売却は、こうした将来的なリスクの回避にもつながります。

遺産分割が容易になる

不動産を現物のまま相続人間で分割することは、その性質上、非常に困難です。特に1つの不動産を複数人で共有すると、将来的な利用方法や維持管理の方針で意見が対立しやすくなります。

不動産を売却して現金化することで、相続人それぞれの希望に応じた柔軟な分割が可能となり、相続人間のトラブルを未然に防ぐことにもつながります。

ただし、売却時期や価格について相続人全員の合意を得ることが前提となるため、早い段階からの話し合いが欠かせません。

相続不動産を売却するリスク

不動産は一般的に価値の大きい財産であり、その売却は相続人全員の生活や将来設計に影響を及ぼします。売却によって得られるメリットは大きい一方で、以下のようなリスクも把握しておきましょう。

  • 相続人間で意見が対立する可能性がある
  • 売却価格の設定で揉めるリスクがある
  • 税金の負担で調整が必要になる

それぞれ個別に解説します。

相続人間で意見が対立する可能性がある

相続人の中には「実家を売却したくない」「思い出の詰まった家を残したい」といった感情的な理由から、売却に消極的な人もいるでしょう。

また、将来の値上がりを期待して保有を主張する人や、賃貸活用を提案する人など、それぞれの立場や考え方によって意見が分かれることも珍しくありません。

遺言書が残されていない場合、相続財産は法定相続人の共有となるため、1人でも反対すれば売却は実現できないのが実情です。このような意見の対立は、相続人間の人間関係にも影響を及ぼす可能性があります。

売却価格の設定で揉めるリスクがある

不動産の価格は、立地や建物の状態、市場動向など、多くの要因によって左右されます。相続人それぞれが思い描く適正価格には開きがあり、「もっと高く売れるはず」「この価格では売りたくない」といった意見の相違が生じやすいものです。

特に都市部の不動産は価格が高額になりやすく、わずかな価格の違いでも金額にすると大きな差となって表れます。

不動産会社による査定額を参考にしても、相続人全員が納得できる売却価格に至るまでには、慎重な話し合いが求められます。

税金の負担で調整が必要になる

売却時には譲渡所得税が発生し、この税負担をどのように分担するかという問題が浮上します。

売却益に対する税金は、売却時の収入から取得費と譲渡費用を差し引いた金額に課税されますが、その計算方法や負担の按分について相続人間で認識の違いが生じることもあります。

また、相続開始から3年10カ月以内の売却であれば取得費加算の特例が使える一方で、空き家の3,000万円特別控除との併用はできないなど、複雑な税制への理解も必要となります。

税負担の調整を適切に行わないと、相続人間の公平性が損なわれる恐れがあるでしょう。

相続税に関するトラブルを防ぐための対策方法

相続不動産の売却におけるトラブルの多くは、相続人間の認識の違いや手続きの不備から生じます。そのため、次のような対策を講じる必要があります。

  • 専門家に相談して進める
  • 売却条件を書面で明確にする
  • 売却後の精算方法を事前に決める

次項より、個別にみていきましょう。

専門家に相談して進める

相続不動産の売却には、相続法や不動産取引、税務など、多岐にわたる専門知識が必要です。税理士は取得費加算の特例など税制面でのアドバイスを、司法書士は相続登記の手続きを、不動産鑑定士は適正な売却価格の算定をサポートしてくれます。

また、相続人間で意見が対立した際は、弁護士による調整も有効です。専門家に相談することで、見落としがちな法的リスクを把握でき、相続人全員が納得できる売却計画を立てやすくなります。

売却条件を書面で明確にする

売却に関する重要事項は、必ず書面に残すことなります。特に相続人全員で合意した内容については、遺産分割協議書や売却に関する同意書などの形で文書化しておくことが重要です。

書面には、売却の意思決定方法、最低売却価格、仲介会社の選定方法、売却までのスケジュールなど、具体的な条件を明記します。曖昧な部分を残さないことで、後々のトラブルを未然に防ぐことができるでしょう。

売却後の精算方法を事前に決める

売却代金の分配方法や諸経費の負担割合については、売却前に相続人間で明確な合意を形成しておく必要があります。特に重要なのは、仲介手数料や登記費用などの売却に伴う経費、譲渡所得税の負担方法、売却代金の振込先口座の指定などです。

分配方法については、法定相続分に応じた按分や、他の相続財産との総合的な調整など、さまざまな選択肢が考えられます。

相続人全員が納得できる精算方法を、専門家のアドバイスを受けながら決定していくことをおすすめします。なお、これらの取り決めも必ず書面化し、相続人全員の合意を得ておくことが肝要です。

売却時にかかる税金の種類と計算方法

相続不動産を売却する際には、複数の税金が発生します。中でも大きな割合を占めるのが譲渡所得税です。

そのほか、契約時の印紙税なども必要となるため、これらの税金について正確な知識を持っておくことが重要。計画的な資金準備のためにも、予め税負担の全体像を把握しておきましょう。

譲渡所得税

前述したように、譲渡所得税は不動産を売却して得た利益に対してかかる税金です。計算方法は以下のとおり。

  • 譲渡所得金額 = 売却価格 – (取得費 + 譲渡費用)
  • 譲渡所得税額 = 譲渡所得金額 × 税率

税率は不動産の所有期間によって異なり、売却した年の1月1日時点で5年を超える所有期間の場合は長期譲渡所得として20.315%(所得税15.315%、住民税5%)、5年以下の場合は短期譲渡所得として39.63%(所得税30.63%、住民税9%)となります。

相続した不動産の所有期間は、被相続人の取得時から通算されるため、多くの場合は長期譲渡所得として扱われます。

 所得税住民税復興特別所得税合計
短期譲渡所得(5年以内)30%9%0.63%39.63%
長期譲渡所得(5年超)15%5%0.32%20.32%

不動産取得税

不動産取得税は、不動産を取得した際に、その取得者に課される地方税です。実は相続による不動産の取得は非課税とされているため、相続不動産の売却時に売主が支払う必要はありません。

ただし、買主側には課税されます。買主が支払う不動産取得税は、課税標準額(固定資産税評価額)に税率(住宅4%、その他の建物・土地は4%)を乗じて計算されます。売主としても、この税負担が価格交渉に影響を与える可能性があることは知っておく必要があるでしょう。

印紙税

印紙税は、不動産売買契約書を作成する際に必要となる税金です。売買契約書の金額に応じて税額が定められており、令和6年3月31日までは軽減税率が適用されます。

例えば、売買金額が5,000万円以下1億円以内の場合、通常は6万円ですが、軽減税率が適用されると3万円となります。印紙税は、収入印紙を契約書に貼付し、印紙の上に契約日などを記載して消印することで納付します。

なお、契約書を複数部作成する場合は、正本1部のみに収入印紙を貼付し、その他はコピーとすることで、印紙税の節約が可能です。

契約金額印紙代
1万円未満非課税
1〜10万円200円
10〜50万円400円
50〜100万円1,000円
100〜500万円2,000円
500〜1,000万円1万円
1,000〜5,000万円2万円
5,000万〜1億円6万円
1億〜5億円10万円
5億〜10億円20万円
10億〜50億円40万円
50億〜60万円
契約金額の記載のないもの200円

売却前に必要な準備と手続き

相続不動産の売却は、通常の不動産売買以上に慎重な準備が求められます。

令和6年4月からは相続登記が義務化され、その期限や手順も厳格化されました。スムーズな売却に向けて、次のように1つひとつの準備を確実に進めていく必要があります。

  • 手順①:相続登記の手順を確認する
  • 手順②:必要書類を準備する
  • 手順③:売却価格の査定を依頼する

以下より、個別に解説します。

手順①:相続登記の手順を確認する

相続登記は不動産の所在地を管轄する法務局で行います。まず、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本を収集し、法定相続人を確定させます。

次に、遺産分割協議書の作成に移ります。この書類には相続人全員の署名・押印が必要となるため、早めに準備を始めることが賢明です。相続登記の申請書類一式を法務局に提出し、登録免許税(相続の場合は不動産価額の0.4%)を納付して手続きは完了します。

なお、相続登記の義務化に伴い、相続を知った日から3年以内の申請が必要となりました。

手順②:必要書類を準備する

売却に向けて、複数の書類を用意する必要があります。特に「不動産の権利証(登記識別情報)」「固定資産評価証明書」は必須です。

また、建物の場合は建築確認通知書や検査済証も重要な書類となります。マンションであれば管理規約や修繕積立金の残高証明書なども必要。これらの書類は役所や管理会社への申請に時間がかかることもあるため、早めの準備をおすすめします。

特に相続に関する書類(戸籍謄本、遺産分割協議書など)は取得に時間を要することが多いため、優先的に準備を進めましょう。

手順③:売却価格の査定を依頼する

適正な売却価格を把握するため、複数の不動産会社に査定を依頼します。査定価格には会社によって開きが生じることがあるため、おおよそ2〜3社以上に依頼することをおすすめします。

査定時には、建物の図面や修繕履歴、固定資産税評価証明書などを提示すると、より正確な査定が可能となります。

また、周辺相場や今後の市場動向についても詳しく説明を求めましょう。相続人全員が納得できる売却価格を設定するためにも、各社の査定根拠を丁寧に確認することが重要です。

相続不動産の場合、取得費加算の特例など税制上の優遇措置も考慮に入れた売却価格の設定が望ましいでしょう。

税金を抑えるための特例と控除

相続不動産の売却には、適切に活用することで大きな節税効果が期待できる特例制度があります。

ただし、これらの特例にはそれぞれ適用要件や期限が設けられており、中には併用が認められないケースも存在しますので、留意しましょう。自身の状況に合った特例を選択することが、税負担の軽減につながります。

3年以内売却で使える取得費加算の特例

相続開始から3年10カ月以内に不動産を売却する場合に利用できる特例です。この制度では、売却による譲渡所得を計算する際の取得費に、相続税の一部を加算することが認められています。

取得費が増えることで課税対象となる譲渡所得が減少し、結果として譲渡所得税の負担が軽減されます。具体的な加算額は以下の計算式で求められます。

  • 取得費加算額 = 相続税額 × (売却した不動産の相続税評価額 ÷ 相続した全財産の相続税評価額)

相続税を納付した場合にのみ適用できる制度であり、相続税の基礎控除内で相続が完了した場合は利用できない点に注意が必要です。

空き家の3,000万円特別控除の活用術

被相続人が1人で住んでいた古い家屋とその敷地を売却する際に使える特例です。譲渡所得から最大3,000万円を控除できる制度で、令和5年12月31日までに売却することが条件となっています。

適用には、以下の要件をすべて満たす必要があります。

  • 昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること
  • 相続開始から3年以内に売却すること
  • 売却価格が1億円以下であること
  • 相続開始時から売却時まで事業や貸付、居住の用に供されていないこと

特に耐震基準への適合が求められる点は重要です。要件を満たさない場合は、耐震リフォームを実施してから売却するという選択肢も検討に値するでしょう。

居住用財産の特例と要件

被相続人と同居していた相続人が、相続した家屋を売却する場合に使える特例です。相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却することで、譲渡所得から3,000万円の特別控除を受けることができます

この特例は取得費加算の特例との併用が認められており、より大きな節税効果が期待できます。また、10年超所有していた場合は、譲渡所得税の税率が20.315%から14%に軽減される特例も適用できます。

ただし、これらの特例を受けるには、売却までの期間、その家屋を相続人の居住用として使用していることが条件となります。一時的な転勤などで不在となった場合でも、将来的な居住の意思が認められれば適用は可能です。

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まとめ

相続不動産の売却を成功させるには、できるだけ早い段階から具体的な行動を起こすことが重要です。特に相続開始から3年以内であれば、税制上の特例を活用できる可能性が高まります。

まずは相続登記を完了させ、相続人全員で売却方針を確認。その上で、税理士や不動産鑑定士など、各分野の専門家に相談することをおすすめします。

併せて、売却後の精算方法についても、事前に書面で合意を形成しておく必要があります。

相続不動産の売却は一般的な不動産取引以上に慎重な対応が求められますが、適切な準備と手順を踏むことで、相続人全員が納得できる形での売却が実現できるでしょう。

この記事の監修者

監修者プロフィール写真

川村 有毅 (司法書士)

私が司法書士になる前は、接客サービス・営業等、お客様と直に接する仕事に長く携わってきました。
そこから、お客様とのコミュニケーションを事務的にせず、お話をしっかりと拝聴し、問題を共有することの大切さを学びました。
お客様と接する機会をもっと重要視し、人と人とのつながりを大切にします。
お客様に人の手のぬくもりが感じられる「あたたかな安心」を提供いたします。

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