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不動産取得税がかからないケースとは?新築・中古別の軽減措置を解説

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不動産を取得する際には多額の税金が発生しますが「いつ、いくら支払うのか」を把握していないケースが多く見られます。また、軽減措置の申請を知らなかったために、必要以上の税負担を強いられるといった問題も起きています。

そこで重要となるのが不動産取得税の正しい理解です。不動産取得税とは、土地や建物を取得した際に一度だけ課される地方税で、さまざまな軽減措置が用意されています。

本稿では、不動産取得税の基本的な仕組みから、非課税となるケース、軽減措置の活用方法、申告手続きの注意点まで、実践的な知識を詳しく解説します。

不動産取得税とは

不動産取得税は、土地や建物を新たに取得した際に一度だけ課される地方税です。

2022年度の税収は4,185億円に上り、地方財政を支える重要な財源となっています。購入や贈与、建築など、取得方法を問わず課税される一方で、相続による取得は対象外となります。

納税先は不動産が所在する都道府県となり、その取得額に応じて税額が決定されます。

不動産取得税はいつ、いくら支払うのか?

不動産取得税の支払時期は、不動産の取得から通常3〜6ヶ月後です。都道府県から送られてくる納税通知書に基づいて納付する仕組みとなっています。

新築住宅の場合は、建物の完成から翌年4月以降に通知が届くケースも珍しくありません。

税額は原則として取得価格ではなく、固定資産税評価額をベースに計算されます。現在は特例により、土地と住宅については本来の税率4%から3%に軽減されています。

計算方法と具体例

実際の計算方法を具体例でみてみましょう。例えば、固定資産税評価額2,000万円の新築一戸建てを購入した場合を考えます。

本来なら2,000万円×3%で60万円の税金となりますが、新築住宅には1,200万円の控除が適用されます。

その結果、(2,000万円-1,200万円)×3%で実際の税額は24万円となります。

土地部分については、固定資産税評価額の半分に税率をかけ、さらに一定の控除が適用されるため、実質的な負担は大幅に軽減されます。東京都の平均的な一戸建て住宅(床面積100.7㎡、敷地144.1㎡)では、これらの特例により実質非課税となるケースも多くみられます。

このように、不動産取得税は基本税率こそ高めに設定されているものの、実際の負担額は各種特例措置によって大きく軽減される仕組みとなっています。

不動産取得税が非課税となるケース

不動産を取得すれば必ず課税されると思われがちな不動産取得税ですが、取得方法や用途によって非課税となるケースがあります。具体的には、以下のとおり。

  • 相続で不動産を取得した
  • 免税点未満の取得となった
  • 公共の用に供する道路を取得した

それぞれ個別に解説します。

相続で不動産を取得した

相続による不動産の取得は完全な非課税対象となります。これは配偶者や子どもなどの法定相続人が取得する場合に限らず、遺言書による包括遺贈でも同様の扱いを受けます。

ただし、特定の財産を指定して相続人以外の人に遺贈する「特定遺贈」の場合は課税対象となる点に注意が必要です。

また、生前贈与は相続とは異なり、親族間であっても通常の不動産取得税が課されます。相続税の対策として生前贈与を検討する際は、この点も考慮に入れた判断が求められます。

免税点未満の取得となった

取得した不動産の価格が一定金額を下回る場合、免税点制度により課税が免除されます。

具体的には、土地の場合は10万円未満、建物については新築や増改築で23万円未満、売買などその他の取得で12万円未満が免税点となります。

ただし、同一人から1年以内に隣接する土地を取得したり、一構となる建物を取得したりした場合は、それらの価格を合算して判定されます。

そのため、意図的に取引を分割して免税点未満にすることはできない仕組みとなっています。

公共の用に供する道路を取得した

公衆用道路として広く一般に開放される私道を取得した場合も、非課税措置の対象となります。

具体的には、公道と公道をつなぐ道路や、複数の住民が日常的に利用する通路などが該当します。

ただし、特定の居住者だけが使用する私道や、将来的に建物用地として利用する予定の土地は対象外です。公共性の高い道路としての利用実態が重視される点も特徴といえます。土地区画整理事業による換地の取得も、同様の理由で非課税となります。

不動産取得税の申告手続きの基礎情報

不動産取得税の手続きは、不動産の所在する都道府県税事務所を通じて行われます。購入や贈与など取得形態を問わず、定められた期限内での申告が求められるため、計画的な対応が重要となります。

申告期限や必要書類

不動産を取得した日から原則60日以内に申告する必要があります。取得日とは、通常、所有権移転登記を行った日を指します。必要な書類には、不動産取得税申告書のほか、売買契約書や登記事項証明書、住民票などが含まれます。

特に軽減措置を受ける場合は、適用要件を証明する書類の添付も求められます。新築住宅であれば建築確認済証や検査済証、中古住宅の場合は耐震基準適合証明書などが該当します。

還付申請や猶予制度の活用方法

土地を先行取得し、後から住宅を建てる場合などは、納税猶予制度を活用できます。この制度では、住宅の完成まで土地にかかる不動産取得税の納付を延期できます。

申請には「納税猶予申請書」「建築計画を示す資料」の提出が必要となりますが、将来的な住宅建設を予定している場合は積極的な活用を検討する価値があります。

一方、すでに納付した税金についても、要件を満たせば還付を受けられます。還付の申請期限は納付日から5年以内となっているため、要件を満たした段階で速やかに手続きを進めましょう。

不動産取得税の申告で注意すべき要素

不動産取得税の申告における手続きの遅延や不備は、予期せぬ金銭的負担を招く可能性があるため、慎重な対応が求められます。そのため、以下の点に留意しましょう。

  • 期限超過で追徴課税になる
  • 書類不備で軽減措置が受けられなくなる

それぞれ詳しく解説します。

注意点①:期限超過で追徴課税になる

申告期限を過ぎると、本来の税額に加えて延滞金が課されます。延滞金は年利14.6%(納期限から1カ月以内は7.3%)という高率で計算されるため、数か月の遅れでも大きな負担となりかねません。

特に、不動産の取得日から60日以内という申告期限は、引っ越しなどで見落としがちです。

また、正当な理由なく申告を怠ると、過料が科される場合もあります。取得時期が決まった段階で、すぐにカレンダーに期限を書き込むなど、確実な対策を講じておく必要があります。

注意点②:書類不備で軽減措置が受けられなくなる

軽減措置の適用には、各種証明書類の提出が不可欠です。中古住宅の耐震基準適合証明書や、新築住宅の建築確認済証など、取得に時間がかかる書類も少なくありません。

これらの書類が期限までに揃わない場合、いったん通常税率での納付を迫られる事態も想定されます。

特に中古住宅の購入では、物件選定の段階から証明書の有無を確認し、必要に応じて取得のための時間的余裕を見込んでおくことが重要です。

不動産取得税の納税は軽減措置も活用しよう

不動産取得税の軽減措置は、取得者の負担を和らげる重要な制度です。この制度は、良質な住宅の取得を促進し、住環境の向上を図る目的で設けられています。

特に住宅購入では、頭金や諸費用など多額の初期投資が必要となります。軽減措置を活用することで、これらの費用負担を適切にコントロールできます。また、土地の取得から建物の完成までのタイミングに応じて、納税猶予制度を利用することも可能です。

申請のタイミングや必要書類の準備など、事前の計画が重要となりますが、適切に活用すれば大きな経済的メリットが得られます。

ここからは、具体的な効果について詳しく見ていきましょう。

メリット①:初期費用の抑制ができる

不動産取得税の軽減は、住宅ローンの頭金や諸費用の確保に大きく貢献します。

例えば、3,000万円の新築住宅を購入する場合、通常90万円程度必要な不動産取得税が、特例措置により24万円程度まで圧縮できます。

この差額の66万円は、リフォーム費用や家具の購入など、新生活の準備資金として活用できます。住宅ローンの借入額を抑える選択肢も広がり、月々の返済負担の軽減にもつながります。

メリット②:計画的な資金準備ができる

軽減措置の適用要件を事前に把握することで、より計画的な資金準備が可能になります。

例えば、土地を先行取得する際の納税猶予制度を利用すれば、建物建築までの期間、税金の支払いを延期できます。

この間に着実に資金を貯めることで、無理のない支払い計画を立てられます。住宅購入後も、固定資産税の減額など、継続的な優遇措置を見据えた長期的な家計設計が可能となります。

条件別に適用できる不動産取得税の軽減措置

不動産取得税の軽減措置は所有する不動産の状況に応じて適用要件が異なっています。ここからは、それぞれ個別に解説します。

新築住宅の軽減措置

新築住宅の取得では、固定資産税評価額から1,200万円を控除する制度が適用されます。例えば評価額2,000万円の住宅であれば、(2,000万円-1,200万円)×3%で税額は24万円となります。

この特例を受けるには、床面積が50㎡以上240㎡以下という条件を満たす必要があります。なお、長期優良住宅として認定を受けた物件では控除額が1,300万円に拡大され、より大きな軽減効果が期待できます。

中古住宅の軽減措置

中古住宅では築年数に応じて100万円から1,200万円の控除が適用されます。1997年4月以降に建築された住宅は1,200万円、1989年4月から1997年3月までの住宅は1,000万円というように、比較的新しい物件ほど控除額が大きくなります。

ただし、昭和56年以前に建てられた住宅については、耐震基準適合証明書の提出が必要です。耐震基準を満たさない場合でも、取得後6か月以内に改修工事を行えば、最大126,000円の控除を受けられる制度も設けられています。

住宅用土地の軽減措置

住宅用の土地には2段階の軽減措置が適用されます。まず評価額が2分の1に圧縮され、そこから一定額が控除されます。

控除額は「45,000円」「土地の1㎡あたりの価格×住宅の床面積の2倍(上限200㎡)×3%」のいずれか高い方が選択されます。

ただし、土地だけを先に購入する場合は注意が必要。3年以内に住宅を建築するか、建物取得から1年以内に土地を購入するなどの期限が設けられているためです。

まとめ

不動産取得税は、適切な対応を取ることで大幅な負担軽減が可能です。新築住宅であれば1,200万円の控除、中古住宅でも最大1,200万円の控除を受けられる可能性があります。

ただし、これらの軽減措置を活用するには、取得から60日以内の申告や、必要書類の準備が不可欠です。

特に、耐震基準適合証明書など、取得に時間がかかる書類については、物件購入の検討段階から準備を始めることをおすすめします。

また、納税猶予制度や還付制度も上手に活用することで、資金計画の柔軟性を高められます。住宅購入の際は、これらの制度を十分に理解し、計画的な対応を心がけましょう。

この記事の監修者

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川村 有毅 (司法書士)

私が司法書士になる前は、接客サービス・営業等、お客様と直に接する仕事に長く携わってきました。
そこから、お客様とのコミュニケーションを事務的にせず、お話をしっかりと拝聴し、問題を共有することの大切さを学びました。
お客様と接する機会をもっと重要視し、人と人とのつながりを大切にします。
お客様に人の手のぬくもりが感じられる「あたたかな安心」を提供いたします。

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