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不動産の取得や売却を検討する際、多くの方が税金の計算方法や納付時期に頭を悩ませています。特に、相続や贈与による取得、空き家の売却など特殊なケースでは、適用できる特例制度を見落としたり、申告期限を誤ったりするリスクが高まります。
その際に把握しておくべきなのが、不動産にかかる税金の全体像です。不動産の税金は、取得時・保有時・売却時の各段階で異なる種類と計算方法が存在します。
そのため、どのタイミングでどのような税金が発生するのかを理解しておくことが不可欠です。
本記事では、不動産にまつわる各種税金の基礎知識から、具体的な計算方法、活用できる特例制度まで詳しく解説します。
目次
不動産の税金はいつ、どのようなタイミングでかかるのか?
不動産にまつわる税金は、その取得から売却まで、異なるタイミングでさまざまな種類が課せられます。これらの税金は、国税と地方税に大別され、支払い先や納付方法も税金の種類によって変わってきます。例えるなら、不動産という1つの「物」に対して、その取引や保有の各場面で異なる「税金」という名のルールが適用されるのです。
不動産の税金は主に3つのタイミングで発生します。
まず「①:購入や取得時」には、不動産取得税や登録免許税などを納める必要があります。これは新しく不動産を手に入れる際の「入場料」のような性質を持っています。
次に「②:所有している期間中」は毎年、固定資産税と都市計画税を支払います。これは不動産を持ち続けるための「会費」ともいえるでしょう。
そして最後に「③:売却時」には譲渡所得税という形で、売却による利益に対して課税されます。
不動産の取得・保有・売却時の税金の概要
取得時の税金では、不動産取得税が最も大きな比重を占めます。この税金は、土地や建物の価格に応じて計算され、住宅用の場合は軽減措置が適用されるため、一般的な住宅購入者の負担は抑えられています。
保有中にかかる固定資産税は、その不動産の評価額に基づいて毎年課税され、土地と建物それぞれに対して計算されます。市街化区域内の不動産には、これに都市計画税が上乗せされます。
売却時の譲渡所得税は、売却価格から取得費や譲渡費用を差し引いた利益に対して課税されます。所有期間が5年を超えると税率が優遇される仕組みになっているため、長期的な不動産所有が税制面でも有利となるよう設計されています。
一見複雑に見えるこれらの税金制度ですが、各々の目的と意味を理解することで、より賢い不動産活用が可能になります。例えば、住宅取得の際の軽減措置を活用したり、売却のタイミングを検討したりすることで、税負担を適切にコントロールすることも視野に入れられます。
不動産を購入・取得する際にかかる税金
不動産の購入時には複数の税金を支払う必要があり、その総額は取得価格の数%から10%程度に達します。具体的には、以下のものです。
- ①:不動産取得税
- ②:登録免許税
- ③:印紙税
- ④:消費税
それぞれ個別に解説します。
①:不動産取得税
不動産取得税は、不動産の固定資産税評価額に税率を掛けて計算されます。一般的な税率は4%ですが、土地や住宅用の建物については軽減措置により3%となっています。
例えば、4,000万円の住宅用建物を購入した場合、固定資産税評価額を3,000万円と仮定すると、90万円(3,000万円×3%)の税金となります。
なお、新築住宅の場合は1,200万円の控除が受けられ、この場合の税額は54万円((3,000万円-1,200万円)×3%)まで軽減されます。
②:登録免許税
登録免許税は不動産の所有権を登記する際にかかる税金です。取引価格に税率を掛けて計算され、住宅用の土地なら1.5%、建物なら0.3%となっています。
先ほどの例で、4,000万円の建物を購入した場合、登録免許税は12万円(4,000万円×0.3%)となります。この税金は、司法書士に登記を依頼する際にまとめて支払うのが一般的な流れとなっています。
<建物の登記>
内容 | 税率 |
---|---|
所有権の保存 | 0.4% |
売買または競売による所有権の移転 | 2% |
相続または法人の合併による所有権の移転 | 0.4% |
その他の所有権の移転(贈与・交換・収用等) | 2% |
③:印紙税
不動産売買では契約書の作成時に印紙税が必要です。契約金額に応じて税額が決められており、例えば5,000万円の契約なら3万円の印紙を貼付します。
印紙は郵便局やコンビニエンスストアで購入でき、契約書に貼って消印をすることで納付が完了します。2024年3月末までは、不動産売買契約書について印紙税の軽減措置が適用されており、通常の半額程度で済むようになっています。
契約金額 | 印紙代 |
1万円未満 | 非課税 |
1〜10万円 | 200円 |
10〜50万円 | 400円 |
50〜100万円 | 1,000円 |
100〜500万円 | 2,000円 |
500〜1,000万円 | 1万円 |
1,000〜5,000万円 | 2万円 |
5,000万〜1億円 | 6万円 |
1億〜5億円 | 10万円 |
5億〜10億円 | 20万円 |
10億〜50億円 | 40万円 |
50億〜 | 60万円 |
契約金額の記載のないもの | 200円 |
④:消費税
不動産取引における消費税は、建物の取引にのみ課税されます。土地の売買には非課税となっています。新築住宅を購入する場合、建物価格の10%が消費税として上乗せされます。
中古住宅の場合、売主が個人なら非課税、法人なら課税というように、取引の相手方によって課税関係が変わってきます。なお、仲介手数料や、建物の取り壊し費用などの付随費用にも消費税がかかることを覚えておくと良いでしょう。
取引価格(税抜) | 仲介手数料(上限) |
〜200万円〜 | 取引物件価格(税抜)×5%+消費税 |
200万円超~400万円以下 | 取引物件価格(税抜)×4%+2万円+消費税 |
400万円〜 | 取引物件価格(税抜)×3%+6万円+消費税 |
不動産を保有している間にかかる税金
不動産を所有していると、毎年1月1日時点の所有者に対して固定資産税と都市計画税が課税されます。
これらの税金は、その土地が所在する市区町村に納めるものです。納税通知書は毎年5月頃に届き、年4回に分けて納付するのが一般的です。近年は自治体によってスマートフォン決済なども導入され、納付方法の選択肢も広がっています。
①:固定資産税
固定資産税は、土地と建物それぞれについて課税されます。税額は固定資産税評価額に1.4%の税率を掛けて計算します。例えば、評価額3,000万円の土地であれば、年間42万円(3,000万円×1.4%)の固定資産税を納める計算になります。固定資産税評価額は3年ごとに見直され、地価の変動に応じて変更されます。評価額の目安は、実勢価格の約7割とされていますが、地域や用途によって異なります。
土地については、住宅用地の場合、小規模住宅用地(200㎡以下)は評価額の6分の1、一般住宅用地(200㎡超)は3分の1に軽減される特例があります。
特定空き家に指定されると固定資産税が最大6倍になる
空き家の状態が著しく悪化し、周辺の生活環境に深刻な影響を及ぼすと判断された場合、特定空き家に指定される可能性があります。
特定空き家に指定されると、それまで受けていた住宅用地の特例が適用されなくなり、固定資産税が最大で6倍に跳ね上がります。
例えば、200㎡の土地で年間10万円だった固定資産税が、60万円に増加する可能性があるため、空き家の適切な管理や早期売却の検討が望ましいでしょう。
②:都市計画税
都市計画税は市街化区域内の土地・建物に課される税金で、税率は0.3%です。先の例で評価額3,000万円の土地の場合、年間9万円(3,000万円×0.3%)となります。
この税金は都市の計画的な整備や開発のための費用に充てられます。都市計画税も固定資産税と同様に、住宅用地に対する軽減措置が適用されます。
固定資産税と都市計画税を合わせると、評価額に対して最大で1.7%の税率となり、これが毎年の税負担の目安となります。
不動産保有中の税金を安く抑える方法とは?
固定資産税と都市計画税を抑制するには、まず課税の基準となる評価額に注目する必要があります。評価額が実態と合っていないと思われる場合は、市区町村の固定資産評価審査委員会に審査を申し出ることが可能。
また、住宅用地の特例を最大限活用することも重要なポイントです。新築住宅の場合は、一定期間、税額が2分の1に減額される制度もあります。
居住用の建物については、バリアフリー改修や省エネ改修を行うことで、固定資産税が一時的に減額される特例も設けられています。これらの制度を上手に活用することで、年間の税負担を適正な範囲に収めることができます。
不動産を売却する際にかかる税金
不動産を売却して利益が出た場合、譲渡所得として所得税と住民税が課されます。この税金は売却した年の確定申告で精算することになります。
売却による利益に対する税率は、保有期間によって大きく異なり、長期保有を優遇する仕組みとなっています。
譲渡所得税/住民税
譲渡所得は、売却価格から取得費と譲渡費用を差し引いて計算します。保有期間が5年を超える長期譲渡所得の場合、所得税15.315%と住民税5%の合計20.315%の税率が適用されます。
一方、5年以下の短期譲渡所得では、所得税30.63%と住民税9%の合計39.63%と税率が跳ね上がります。
例えば、5,000万円で購入した不動産を10年後に6,000万円で売却し、諸経費が200万円かかった場合、譲渡所得は800万円となり、約162万円(800万円×20.315%)の税金が発生します。
所得税 | 住民税 | 復興特別所得税 | 合計 | |
短期譲渡所得(5年以内) | 30% | 9% | 0.63% | 39.63% |
長期譲渡所得(5年超) | 15% | 5% | 0.32% | 20.32% |
確定申告の手続きと期限
不動産を売却した翌年の2月16日から3月15日までの期間に確定申告を行います。申告には、売買契約書や登記簿謄本、取得時や売却時の諸費用の領収書など、多くの書類が必要となります。
特に取得時の書類は古いものとなるため、日頃から整理して保管しておくことが重要です。
不動産の税金を賢く管理するポイント
住宅ローン控除は、住宅ローンの年末残高の0.7%を所得税から控除できる制度です。最長13年間にわたって適用され、年間最大35万円の控除を受けることが可能です。
新築住宅や耐震基準を満たすリフォーム物件では、固定資産税が一定期間半額になる特例も用意されています。これらの制度を組み合わせることで、税負担を大幅に軽減できる可能性があります。
居住用不動産の売却には、3,000万円の特別控除が適用できます。これは売却利益から3,000万円を控除できる制度で、確定申告を通じて適用を受けます。また、住み替えの場合には、売却利益の課税を繰り延べられる特例もあります。
この特例を使えば、同程度以上の価格の住宅を2年以内に購入する場合、売却時の税金を新しい住宅を売却するまで先送りすることができます。
ただし、これらの特例には居住期間や所有期間などの要件があり、適用には慎重な確認が必要です。
また、生前贈与を活用する場合、教育資金や結婚・子育て資金の贈与は一定額まで非課税となります。
住宅取得等資金の贈与についても、最大1,000万円までの非課税措置があり、世代間での資産移転を税制面でサポートする仕組みが整備されています。
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まとめ
不動産に関する税金対策で最も重要なのは、計画性です。取得時の税金は住宅ローン控除などの特例を活用することで大幅な軽減が可能です。保有中の固定資産税は、適切な評価額の見直しや住宅用地の特例適用で負担を抑えられます。
売却時は譲渡所得の計算における取得費の算出方法を工夫したり、各種特例制度を組み合わせたりすることで、税負担を適正化できます。
そのため、早い段階から税理士に相談し、長期的な視点で税金対策を進めましょう。