その他

地上権とは?賃借権との違いと注意点を解説

地上権とは?賃借権との違いと注意点を解説のサムネイル画像

【訳あり物件・不動産の処分・買取】
について今すぐご相談できます。
お電話での無料査定
9:00~18:00 / 定休日 日・祝・水
お電話での無料査定
0120-536-408
9:00~18:00 / 定休日 日・祝・水
タップで
お電話する

他人の土地を利用して建物を建てる場合、所有者との契約内容によっては、自由な利用が制限されたり、途中で契約を解除されるリスクが発生することがあります。

特に、長期的に安定した土地利用を望む場合、単なる賃貸借契約ではなく、より強い権利を確保しなければなりません。その際に有効なのが地上権です。

地上権とは、土地の所有者の許可がなくても、その土地を自由に利用し、建物を建築・維持できる権利。これは通常の賃借権と異なり、物権として法的に強く保護されており、譲渡や転貸も可能です。

そのため、不動産開発や長期的な事業利用において重要な役割を果たします。

そこで本記事では、地上権の基本的な定義や賃借権との違い、特徴、契約時の注意点について詳しく解説します。

目次

地上権とは

地上権とは、他人の土地を使用し、その土地の上に建物や構造物を建てる権利のことです。日本の民法では、地上権を「他人の土地において工作物または竹木を所有するために、その土地を使用する権利」と定めています(民法第265条)。

つまり、土地を所有していなくても、建物や設備を長期にわたって維持するために利用することができます。

最大の特徴は、「土地の所有者の許可なしに自由に使用できる」点にあります。

通常、土地を借りる場合は所有者の承諾が必要ですが、地上権は物権であるため、契約で定められた範囲内であれば第三者に譲渡したり、転貸したりすることができます。

また、地上権は登記することで権利が公示され、所有者が変わっても影響を受けません。

地上権は、公共事業のための地下鉄や送電線の敷設、商業施設の建設、長期的な土地の利用契約など、さまざまな場面で活用されています

特に、都市部では土地の所有権とは別に建物の権利を確保する方法として利用されることが多く、重要な役割を担っています。

地上権と賃借権の違い

土地を利用する権利には、地上権のほかに「賃借権」があります。両者はどちらも他人の土地を使用する権利ですが、根本的な性質が異なります。

地上権は物権であり、土地の所有者に依存せずに権利を行使できます。

例えば、地上権を設定した後に土地の所有者が変わったとしても、新しい所有者の許可なしに土地を引き続き利用できます。また、第三者へ自由に譲渡したり、抵当権を設定したりすることが可能。

一方、賃借権は債権であり、土地の所有者との契約関係に基づくものです。所有者の承諾なしに第三者へ譲渡したり、転貸したりすることは原則として認められていません

また、契約が終了すると土地を返還しなければならず、契約更新の際には所有者の意向が影響します。

こういった違いにより、地上権は長期間にわたって安定した土地利用を保証する仕組みとして利用され、特に大規模な開発プロジェクトや事業用地において有効な選択肢となるのです。

 

地上権の特徴

地上権には、賃借権にはない独自のルールが存在します。具体的には、次のとおり。

  • 存続期間と更新制度がある
  • 地代の支払い義務はない
  • 登記によって第三者に対抗できる

それぞれ個別にみていきましょう。

存続期間と更新制度がある

地上権の存続期間は、法律で最低30年と定められています(民法第269条)。これは、地上権が長期的な土地利用を前提としているため、短期間での終了による不安定な状態を防ぐための規定です。

また、契約によって存続期間を自由に設定することも可能ですが、その期間があまりに短いと無効となる場合があります。

例えば、契約で10年と定めたとしても、法律上30年以上が必要なため、30年に補正されることになります。一方で、存続期間の上限は法律で決まっていないため、50年や100年といった長期間の設定も可能です。

更新については、契約の内容によります。地上権は物権であるため、契約の満了後に自動的に消滅しますが、当事者間で合意すれば再契約が可能です。

地代の支払い義務はない

地上権には、地代の支払い義務がありません。これは、地上権が土地所有者の許可なしに独立して成立する権利であるためです。

ただし、実際には多くの契約で地代の支払いが定められています。土地の所有者にとっては、地上権を設定することで収益を得ることができるため、一定の対価を求めるのが一般的です。

また、長期にわたる土地の利用を考えると、物価の変動や税制の変更などを考慮し、契約時に地代の改定条項を設けるケースもあります。

登記によって第三者に対抗できる

地上権は登記することで、第三者に対して権利を主張できます。

登記を行わなかった場合、土地所有者が変わった際に新しい所有者から地上権の存在を否認されるリスクが生じるため、特に長期間にわたる契約では登記を必ず行うべきです。

また、登記が済んでいれば、地上権を第三者に譲渡したり、金融機関から融資を受ける際の担保として利用したりすることも可能になります。

不動産取引においては、登記の有無が権利関係を明確にする上で大きな意味を持つため、契約締結後は速やかに登記手続きを行うことが望ましいでしょう。

一方で、登記には手続きの煩雑さや費用の負担があるため、契約時にはこれらの点を十分に考慮する必要があります。

 

地上権が設定されるケース

地上権は、土地を所有していなくても、その土地を利用し続けるための権利として活用されています。

特に、長期間にわたって建物や工作物を維持する必要がある場面では、賃借権ではなく地上権を設定するケースが多く見られます。

ここからは、地上権が実際に設定される代表的なケースを解説します。

公共事業で地上権を設定する場合

公共事業では、道路、鉄道、送電線、上下水道といったインフラの整備が必要になります。しかし、それらの施設を建設・維持するために、すべての土地を国や自治体が買い上げるのは現実的ではありません。

そのため、特定の土地を一定期間利用するために地上権を設定するケースがあります。

例えば、地下鉄を建設する場合、地上の土地所有者の権利を完全に奪うわけではなく、地下部分のみを利用する権利として地上権が設定されます。

同様に、送電線や高速道路の高架部分も、土地の上空を利用するために地上権を設定することがあります。これは「空間地上権」とも呼ばれ、限られた土地を効率的に活用するための重要な手段となっています。

土地の有効活用として地上権を利用する場合

地上権は、土地所有者が自ら建物を建てたり管理したりするのが難しい場合に、土地を有効活用する手段としても利用されます。

特に、所有者が土地を手放したくないが、そこから収益を得たいと考える場合、地上権を設定して第三者に長期間貸し出すことがあります。

例えば、大都市の商業地では、地主が土地を売却せずに、デベロッパーに地上権を設定し、商業施設やオフィスビルを建設するケースが存在します。

この方法を取ることで、地主は定期的な収益を得ることができ、デベロッパーも土地を購入するより低コストで開発を進めることが可能になります。

企業や個人間の契約で使われる場合

企業や個人間の契約においても、地上権が利用される場面は少なくありません。特に、不動産開発や事業用地の確保において、地上権の設定は重要な役割を果たします。

例えば、大手企業が新たに工場を建設する際、土地を購入せずに地上権を設定して長期的に利用することがあります。これは、土地の購入にかかる初期費用を抑えながら、事業を安定的に運営するための方法として選ばれることが多いです。

また、工場が閉鎖された場合でも、地上権を第三者に譲渡できるため、企業側にとっても柔軟な対応が可能になります。

個人間の契約では、例えば親族間で土地を貸し借りする際に、将来的な相続トラブルを防ぐために地上権を設定することがあります。

これにより、所有権を分割せずに土地を利用し続けることができ、親族間の権利関係を明確にすることができます。

 

法定地上権の成立条件

法定地上権とは、特定の条件を満たした場合に法律上当然に成立する地上権のことを指します。通常の地上権は契約によって設定されますが、法定地上権は当事者の合意がなくても自動的に成立する点が大きな違いです。

この制度は、特に抵当権の処分による影響を最小限に抑えるために設けられています。

法定地上権が成立するケースの代表例は「土地と建物が同じ所有者によって利用されていたが、その後の事情によって別々の所有者に分かれる場合」です。

具体的には、次のような条件が満たされると、法定地上権が成立します。

  • 土地と建物に抵当権が設定されていること
  • 抵当権が実行され、土地と建物の所有者が異なる状態になること
  • 建物がその土地の上に存続する必要があること

例えば、ある人が土地と建物を所有しており、両方に金融機関の抵当権を設定していたとします。その後、ローンの返済が滞り、抵当権が実行されて土地が競売にかけられた場合、土地の新しい所有者が変わることになります。

しかし、このとき建物の所有者がそのまま建物を使用し続けられるようにするために、法定地上権が成立します。

この制度がないと、土地を競売で落札した新しい所有者が、建物の撤去を求めることができてしまい、住んでいた人や事業を営んでいた人が突然立ち退きを迫られる可能性が生じます。

法定地上権があることで、建物の所有者は一定の権利を保護され、引き続きその建物を利用できる仕組みになっています。

 

地上権のメリットとデメリット

地上権は、土地を所有せずに長期間利用できる権利として、多くの場面で活用されています。

しかし、メリットがある一方で、デメリットも存在するため、契約を結ぶ際には両面を理解しておくことが重要です。ここでは、地上権の長所と短所について詳しく解説します。

地上権のメリット

地上権には、一般的な賃貸借契約にはない自由度の高さと安定性がある点が大きなメリットです。具体的には、以下のような利点があります。

メリット①:土地所有者の承諾なしに自由に利用できる

地上権は物権であるため、契約締結後は土地の所有者の許可を得ることなく自由に利用できます。

例えば、所有者が変わった場合でも、新しい所有者に許可を求める必要はありません。これは、一般的な賃借権と大きく異なる点です。

メリット②:譲渡や転貸が可能

賃借権の場合、土地の所有者の許可がなければ他人に貸したり、売却したりすることはできません。

しかし、地上権は自由に第三者へ譲渡したり、転貸したりすることが可能です。これにより、不動産投資や事業用地としての利用がしやすくなります。

メリット③:長期間の安定利用が可能

地上権の存続期間は最低でも30年と法律で定められています。そのため、短期間で契約を更新しなければならない賃貸借契約と比べて、長期的な視点で土地を活用することができます。

メリット④:土地を担保に融資を受けられる

地上権を設定すると、その権利を担保にして銀行などから融資を受けることができます。特に事業用の土地利用では、金融機関からの借り入れを行う際に有利になるケースがあります。

地上権のデメリット

一方で、地上権には以下のようなデメリットもあるため、慎重に契約内容を確認する必要があります。

デメリット①:土地所有者の権利が制限される

地上権が設定されると、土地の所有者はその土地を自由に利用することができなくなります。例えば、所有者が土地を売却したい場合でも、地上権者がいるために用途が制限され、思うように活用できない可能性があります。

デメリット②:設定や解除の手続きが複雑

地上権を設定する際には契約書の作成や登記が必要になります。また、地上権を解除する際には、権利者との合意が必要であり、単純な賃貸借契約と比べると手続きが煩雑になります。

デメリット③:固定資産税などの費用負担が発生する

地上権者は、その土地に関する固定資産税都市計画税を負担するケースが多いため、実質的なコストが発生します。また、契約によっては地代を支払う必要があり、単純な賃貸借契約よりも経済的負担が大きくなることがあります。

 

地上権の売却と譲渡

地上権は物権であるため、土地所有者の許可を得ることなく売却や譲渡が可能です。これは、通常の賃貸借契約と大きく異なる点であり、地上権の大きな特徴のひとつ。

しかし、売却や譲渡には注意点があり、適切な手続きを踏まなければトラブルに発展する可能性もあります。ここでは、売却手続きの流れと、譲渡時に気をつけるべきポイントについて解説します。

地上権の売却手順

地上権の売却は、通常の不動産売買と同様に進められますが、いくつか特有の手続きが必要になります。基本的な流れは以下のとおりです。

手順①:売却先を決定する

地上権は譲渡可能な権利ですが、市場において売買のニーズが限られているため、買い手を見つけるのが難しい場合があります。不動産会社に相談し、適切な相手を探すことが一般的です。

手順②:売買契約の締結

売却が決まったら、売買契約を締結します。契約書には、売却金額、支払い方法、引き渡し時期などの詳細を記載し、双方の合意を明確にします。

手順③:登記の変更手続き

地上権の売却後は、法務局で登記の名義変更手続きを行う必要があります。これを行わなければ、第三者に対して地上権の移転を主張することができません。

手順④:税金の申告と支払い

地上権の売却によって利益が発生した場合、譲渡所得税が課されることがあります。売却後には適切に確定申告を行い、納税義務を果たすことが求められます。

譲渡時の注意点

地上権を譲渡する際には、契約内容や税金、手続き上の問題など、いくつか注意すべきポイントがあります。

契約内容の確認

地上権の契約には、譲渡に関する制限が含まれている場合があります。例えば、「譲渡の際には所有者に通知する義務がある」といった特約があると、契約に違反することになります。事前に契約書を確認し、必要に応じて所有者と調整を行うことが大切です。

税金の負担額

地上権を譲渡した場合、譲渡所得税のほか、登録免許税不動産取得税が発生する可能性があります。税金の負担を事前に把握しておかないと、想定外のコストが発生し、売却後にトラブルになりかねません。

買い手の信用力

地上権の譲渡では、新しい権利者が適切に土地を管理できるかも重要なポイントです。信用力の低い相手に譲渡すると、地代の未払いが発生したり、所有者との関係が悪化したりするリスクがあります。

特に、事業用地の譲渡では、買い手の経営状態をよく確認しておくことが望ましいでしょう。

 

地上権設定時の注意点

地上権は、契約内容や登記、税金などの要素が複雑に絡み合うため、事前にしっかりと確認しておかなければなりません。契約を適当に結んでしまうと、後になって思わぬトラブルに巻き込まれる可能性があります。

特に、以下の点に留意しましょう。

  • 契約内容を明確にする
  • 登記を確実に行う
  • 地代や更新条件を確認する

次項より、詳しく解説します。

契約内容を明確にする

地上権は長期間にわたる契約になるため、利用条件を明確に定めておかなければ、将来的なトラブルにつながる可能性があります。

特に、存続期間や契約解除の条件、譲渡の可否 については事前にしっかりと確認しておくことが重要です。

例えば、契約期間が満了した際の扱いを明確にしておかないと、更新の際に新たな条件を提示され、不利な立場になることがあります。

また、地上権は物権であり、譲渡や転貸が可能ですが、契約によっては制限が設けられるケースもあるため、契約書の内容を慎重に確認しましょう。

登記を確実に行う

地上権は登記を行うことで初めて第三者に対して権利を主張できます。登記を怠ると、土地所有者が変わった際に新しい所有者から地上権の存在を認められず、土地の使用が制限される可能性があります。

また、登記されていれば、金融機関からの融資を受ける際の担保として利用することも可能。地上権を安定して活用するためには、契約締結後、速やかに登記手続きを済ませることが重要です。

地代や更新条件を確認する

地上権には法律上の地代支払い義務はありませんが、多くの契約では地代を定めています。そのため、地代の金額、支払い方法、改定条件 について事前に確認しておくことが大切です。

また、契約満了後の更新条件も重要なポイントです。契約期間が終了すると地上権は消滅するため、更新の際にどのような手続きが必要になるのか、契約時に取り決めておくと安心といえます。

 

「ワケガイ」なら権利関係が複雑な物件も短期で買取可能!

当社(株式会社ネクスウィル)は、共有持分や再建築不可物件などの訳あり不動産を専門に買取する「ワケガイ」を運営しています。

通常の市場では買い手がつきにくい物件でも、独自の査定基準とスピーディな手続きにより、最短1日で買取が可能。

共有名義の不動産は、所有者全員の合意が必要になるケースが多く、売却が難航しがちです。しかし、ワケガイでは単独持分の買取にも対応しており、共有者の同意がなくても売却できます。

また、再建築不可の土地や借地権付き物件など、流通しにくい不動産も積極的に買取を行っていますので、お気軽に無料査定をご活用ください。

 

まとめ

地上権は、土地を所有せずに長期間安定して利用するための強い権利です。賃借権と異なり、所有者の承諾なしに譲渡や転貸が可能であり、建物を自由に建てられる点が大きな特徴です。

しかし、その分、契約内容の設定が重要となり、地代の有無や更新条件、登記の有無によって権利の保護範囲が変わるため、慎重に確認する必要があります。

また、法定地上権のように、抵当権の実行によって生じるケースもあるため、事前にどのような場面で発生し得るのかを理解しておくことが大切です。

特に、地上権の設定や譲渡を考える際には、契約書の内容を詳細に確認し、トラブルを防ぐための対策を講じましょう

この記事の監修者

監修者プロフィール写真

丸岡 智幸 (宅地建物取引士)

訳あり不動産の買取を専門にする会社の代表取締役。
相続やペアローンによる共有持分、空き家、再建築不可物件、借地、底地など、権利関係が複雑な不動産の買取を専門としている。
訳あり不動産の買取サービス「ワケガイ」、空き家、訳あり不動産CtoCプラットフォーム「空き家のURI・KAI」を運営。
買取の経験をもとに、訳あり不動産の解説をする著書『拝啓 売りたいのに家が売れません』を2024年5月2日に出版。

【訳あり物件・不動産の処分・買取】
について今すぐご相談できます。
お電話での無料査定
9:00~18:00 / 定休日 日・祝・水
お電話での無料査定
0120-536-408
9:00~18:00 / 定休日 日・祝・水
タップで
お電話する

この記事をシェアする


最新の投稿

カテゴリー

キーワードから探す