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実家の相続でやってはいけないこと8選!将来を見据えた対応策を解説

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こんにちは。ワケガイ編集部です。

相続後に実家をどう扱うか判断を誤ると、「登記を放置して売却できない」「兄弟間でもめる」「維持費だけがかさむ」といった問題が発生します。

その際に知っておきたいのが「実家の相続でやってはいけないこと」です。

実家の相続でやってはいけないこととは、法的手続きを怠ったり、方針を決めずに放置するなど、後々のトラブルにつながる行動を指します。

こうした失敗を避けるためには、早い段階で相続登記・管理・処分の方向性を整理する必要があります。

そこで本記事では、実家の相続でやってはいけない典型的なケースを8つ挙げ、それぞれのリスクと正しい対処法を解説します。

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目次

実家の相続でやってはいけないこと8選

実家の相続は、「とりあえず名義を変えればいい」と考えて安易に進めると、思わぬリスクを抱えることになります。

特に、判断を先延ばしにしたり、家族間での話し合いを曖昧にしたまま進めたりすると、将来的に処分できない不動産を抱え込むことにもなりかねません。ここからは、実家の相続で避けるべき典型的な失敗パターンを具体的に紹介します。

  • ①:活用・処分方針を決めずに相続する
  • ②:兄弟姉妹で共有名義にしてしまう
  • ③:相続登記をせずに放置する
  • ④:とりあえず所有して放置する(空き家化)
  • ⑤:無計画な家屋解体・更地化を行う
  • ⑥:相続直後に慌てて売りに出す
  • ⑦:被相続人の債務や連帯保証を確認しない
  • ⑧:告知義務・事故物件リスクを無視する 

それぞれ個別にみていきましょう。

①:活用・処分方針を決めずに相続する

実家を相続するときに最も多い失敗は、「とりあえず相続だけして方針を決めない」ことです。住むのか、貸すのか、売るのかを明確にしないまま所有し続けると、固定資産税や修繕費といったコストだけが増え、空き家化のリスクも高まります。

さらに、相続人の間で「残す派」「売る派」が分かれると、遺産分割が進まずに不動産が“塩漬け”状態になることもあります。相続後すぐに動けない場合でも、今後どうするかの方向性だけは早めに話し合っておくことが大切です。

方針を定めることが、相続トラブルと資産価値の低下を防ぐ第一歩となります。

②:兄弟姉妹で共有名義にしてしまう

「平等に分けたい」という思いから、兄弟姉妹で共有名義にするケースは少なくありません。しかし共有名義は、後々のトラブルを招きやすいリスクの高い形態です。

リフォーム・売却・賃貸など、物件に関する決定には全員の同意が必要となり、ひとりでも反対すると手続きが進みません。

また、相続人の誰かが亡くなった場合、その持分が次の世代に引き継がれ、権利関係がさらに複雑化します。将来の争いを防ぐには、単独名義にまとめるか、代償金を支払って分割する方法が望ましいでしょう。

公平さよりも「管理と処分のしやすさ」を重視することが、現実的な相続対策になります。

③:相続登記をせずに放置する

相続登記をしないままにしておくと、権利関係が複雑化し、将来的に売ることも貸すこともできなくなるおそれがあります。2024年4月からは「相続登記の義務化」が始まり、正当な理由がないまま3年以内に登記を行わない場合、10万円以下の過料が科されることになりました。

(参考:東京法務局「相続登記が義務化されました(令和6年4月1日制度開始)」)

相続登記を放置することで起きる主な問題は次のとおりです。

  • 所有者不明化 相続人が増え続け、誰が所有者なのか分からなくなる
  • 売却・活用が困難 所有者全員の同意が必要になり、話がまとまらない
  • 税金や管理責任が曖昧に 固定資産税の請求先や管理責任者が不明になる

一度でも世代をまたぐと、相続人が十数人に増えることも珍しくありません。そうなると、遺産分割協議もまとまらず、不動産は“動かせない資産”となります。

相続が発生したら、まずは法定相続情報一覧図の取得や登記申請の準備を進め、早めに所有者を確定させましょう。

関連記事:相続登記の費用はいくらかかる?司法書士への依頼費用や必要経費を金額例で徹底解説!

④:とりあえず所有して放置する(空き家化)

「将来使うかもしれない」と理由をつけてそのまま放置してしまうと、空き家は一気に負の資産に変わります。老朽化による倒壊リスクだけでなく、近隣トラブルや固定資産税の増額、さらには行政からの指導につながるケースもあります。

特に注意すべきは、「特定空き家」に指定されるケースです。以下のような状態にあると、住宅用地の特例が外れ、固定資産税が最大6倍に跳ね上がります。

(参考:e-Gov 法令検索「空家等対策の推進に関する特別措置法」)

  • 屋根や外壁の崩落など、安全性が著しく損なわれている
  • 雑草やゴミで景観・衛生が悪化している
  • 長期間、所有者が管理していない

放置のコストは意外に大きく、修繕・清掃・固定資産税を合計すると年間10万円以上かかることもあります。使う予定がない場合は、「賃貸」「売却」「専門業者への相談」など、方向性を早めに決めることが賢明です。

⑤:無計画な家屋解体・更地化を行う

老朽化した家を見ると、「とりあえず壊してしまおう」と考えがちですが、それは最も避けたい判断のひとつです。家を解体すると、住宅があることで適用されていた固定資産税の軽減措置が外れ、翌年から税額が約6倍に増える場合があります。

状況固定資産税の目安
住宅が建っている評価額 × 約1/6(住宅用地特例あり)
解体して更地にした評価額 × 約1(特例なし)

また、再建築不可の土地や、接道義務を満たさない土地では、一度更地にすると二度と建物を建てられないケースもあります。さらに、解体費用は100万円〜300万円前後が相場で、見積もりを誤ると売却価格より費用が上回ることも。

解体を検討する際は、次の3点を必ず確認しましょう。

  • 再建築が可能か(接道・用途地域の確認)
  • 固定資産税の増減見込み
  • 解体後の活用・売却計画

無計画な更地化は、資産価値を下げるだけでなく、税負担も増やします。「壊す前に調べる」を徹底し、専門家と相談しながら慎重に判断することが求められます。

関連記事:実家の解体にかかる費用はどのくらい?手順や相場を徹底解説

⑥:相続直後に慌てて売りに出す

相続直後に「維持費がかかるから」「早く手放したいから」と焦って売却すると、後悔するケースが少なくありません。

相続した不動産の価値は、土地の条件や建物の状態だけでなく、登記・税金・権利関係によって大きく左右されます。準備不足のまま売りに出すと、以下のようなリスクが生じます。

  • 相続登記が終わっておらず、売却手続きが進まない
  • 相続税や譲渡所得税の計算を誤り、税負担が増える
  • 複数の相続人がいる場合、全員の同意が得られず契約が無効になる
  • 訳あり不動産として査定額が大幅に下がる

また、相続直後に売却した場合、取得費や譲渡所得の証明が十分に整っていないことが多く、結果として課税額が増えてしまうこともあります。相続から売却までの流れを整理し、税理士や不動産業者に相談してから売却時期を見極めることが大切です。焦るよりも、準備を整えることで結果的に手取り額が増えるケースが多くあります。

⑦:被相続人の債務や連帯保証を確認しない

「家だけ相続したい」「財産がプラスだから安心」と思い込むのは危険です。相続では、被相続人(亡くなった人)の債務や連帯保証も自動的に引き継がれるため、確認を怠ると予期せぬ借金を背負うことになりかねません。

特に見落とされやすいのが以下のケースです。

  • 個人事業や会社の借入金の連帯保証
  • クレジットカードやリース契約の未払い
  • 税金・社会保険料などの滞納
  • 他人の保証人になっていた契約

債務の内容を把握するには、「信用情報の開示」や「金融機関・税務署への照会」が有効です。もし債務が多い場合は、相続開始から3か月以内に「相続放棄」または「限定承認」を家庭裁判所に申し立てることで、被害を防げます。

財産のプラス面だけで判断せず、マイナスの遺産にも目を向けることが、リスクのない相続の第一歩です。

⑧:告知義務・事故物件リスクを無視する

相続した家を売却する際、過去に死亡事故や火災、事件などがあったにもかかわらず、それを買主に伝えないのは大きなトラブルのもとです。

2021年に国土交通省が定めたガイドライン(「宅地建物取引業者による人の死に関する告知に係るガイドライン」)では、心理的瑕疵(いわゆる事故物件)に関する告知義務の基準が明確化されました。

(参考:国土交通省「『宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン』を策定しました

主な内容は以下のとおりです。

内容告知義務の有無
老衰・病死などの自然死原則として不要(ただし発見が著しく遅れた場合は要告知)
自殺・殺人・火災による死亡原則として要告知(期間の目安は概ね3年間)
隣地・共用部分での死亡状況に応じて判断(心理的影響が大きい場合は要告知)

これらを隠して売却すると、契約解除や損害賠償を請求されるリスクがあります。事故や事件があった場合は、必ず不動産業者に正確な情報を伝え、販売方法を相談しましょう。訳あり物件として扱うことで、専門の買取業者が対応できる場合もあります。

「言わなければ分からない」ではなく、「正しく伝えること」がトラブル回避の近道です。

 

実家を相続した方がいいのはどんなケース?

実家の相続は「引き継ぐか、手放すか」の判断が難しいテーマです。維持コストや管理負担を理由に売却を検討する人も多い一方で、条件によっては相続したほうが長期的に得になるケースもあります。

ここからは、実家を相続することで経済的・生活的なメリットが得られる代表的なパターンを紹介します。

親と同居・二世帯化の予定がある場合

親と同居したり、二世帯住宅として実家を活用する予定がある場合は、相続して居住することが有利です。自ら居住することで、固定資産税の住宅用地特例(最大6分の1に軽減)や、相続税の小規模宅地等の特例(最大80%減額)を適用できる可能性があります。

また、既存の建物をリフォームして同居することで、建て替えよりもコストを抑えつつ、親世代の生活サポートも可能になります。

このように「生活基盤を移す意思がある」場合には、売却よりも相続・活用を選ぶ方が合理的といえます。単に資産としてではなく、家族の暮らしを支える住まいとして引き継ぐ選択肢です。

立地が良く資産価値が高い場合

都市部や駅近、商業エリアなどの好立地にある実家は、今後も安定した需要が見込める資産です。こうした物件は、将来的に賃貸・売却・建て替えなど、柔軟に運用できる点が大きな魅力です。

特に地価が上昇しているエリアでは、今すぐ売却するよりも保有を続けたほうが長期的に利益を得られる可能性もあります。さらに、リノベーションを行って賃貸物件として活用すれば、安定収入を得ながら資産価値を維持することも可能です。

立地条件が良い実家は、「住む」「貸す」「売る」のどの選択肢にも強い資産です。短期的な現金化よりも、将来の運用・相続を視野に入れた保有を検討する価値があります。

再建築可能で利用価値の高い土地である場合

相続した土地が再建築可能な物件であれば、将来的な活用の幅は非常に広がります。再建築不可物件とは異なり、接道義務(幅員4m以上の道路に2m以上接している)を満たしていれば、建て替えやリフォーム、さらには分筆・売却なども柔軟に行えます。

(参考:e-Gov 法令検索「建築基準法

再建築可能な土地は、以下のような特徴を持つため「長期的な資産」として保有する意義があります。

  • 建物を解体・新築しても再建が認められる
  • 分筆(分けて売却)や賃貸用住宅など多用途に転用できる
  • 接道があることで不動産評価額が安定しやすい
  • 将来的な相続や売却時にも流動性が高い

このような土地は、エリアの再開発やインフラ整備によって資産価値が上昇する可能性もあります。すぐに手放すのではなく、「建て替えて賃貸にする」「一部を売却して資金を得る」など、中長期的な運用プランを立てたうえで保有する選択肢も検討に値します。

家族が将来的に使う予定がある場合

相続した家や土地を、子どもや孫の住宅用地・セカンドハウスとして利用する計画がある場合は、維持・管理を前提とした保有も選択肢のひとつです。

単に「いつか使うかもしれない」ではなく、具体的な利用予定があるかどうかが重要な判断基準になります。

特に、次のようなケースでは、保有する意義があるといえるでしょう。

  • 子どもが数年以内に結婚や転勤で戻る予定がある
  • 二世帯住宅として建て替える計画がある
  • 週末利用の別荘やセカンドハウスとして維持する
  • 高齢になった親が将来的に戻る意向を持っている

こうした場合、空き家化のリスクを抑えつつ、代々の財産を承継する形で運用できます。

ただし、使うまでの期間が長い場合は、定期的な点検や軽微な修繕を怠らないようにし、固定資産税などのコストを踏まえて維持計画を立てておくように

「使う予定がある」ことを口頭だけで済ませず、家族で共有し、将来の相続や売却にも備えておくことが大切です。

賃貸や事業用としての収益が見込める場合

相続した不動産が駅近や住宅需要の高いエリアにある場合、賃貸住宅や事業用物件として運用することで収益を得られる可能性があります

たとえ古い建物でも、リフォームや用途変更を行えば、十分に活用できるケースは少なくありません。具体的に、以下のような条件を満たしている場合は、相続して活用する価値があります。

  • 駅やバス停、商業施設が近く、交通の利便性が高い
  • 建物の構造がしっかりしており、リフォームで再利用可能
  • 敷地が広く、駐車場や事業スペースに転用できる
  • 周辺に賃貸需要(学生・単身・高齢者など)がある

このような物件は、相続税や固定資産税といった維持費を上回る家賃収入を得られる場合もあります。ただし、賃貸経営には修繕費や空室リスクも伴うため、収支シミュレーションを行い、長期的に黒字が見込めるかを慎重に判断しましょう。

収益化の可能性が見込めるなら、単に“負担のある不動産”ではなく、“働く資産”として相続を前向きに検討する意義があります。

被相続人の遺志を尊重する必要がある場合

被相続人(亡くなった方)が明確な意思を残していた場合、その遺志を尊重することも相続の大切な判断材料です。

「実家を残してほしい」「先祖代々の土地を守ってほしい」「墓守を続けてほしい」といった意向がある場合、家族の精神的なつながりを継ぐ意味を持ちます。

ただし、感情だけで判断してしまうと、維持管理や税負担の現実に苦しむことにもなりかねません。次のポイントを踏まえて、バランスよく検討することが大切です。

  • 維持費(税金・修繕費・光熱費)を年間でいくら負担できるか
  • 定期的に管理・清掃を行う体制を整えられるか
  • 将来的に誰が引き継ぐかを家族間で合意しているか

遺志を尊重することは大切ですが、経済的・現実的な維持可能性を確認したうえで判断することが、長く続けるための条件です。感情と現実の両面を整理しておくことで、「守る相続」が無理のない形で実現します。

相続税の特例が適用できる場合

被相続人が居住していた土地・建物には、「小規模宅地等の特例」が適用されるケースがあります。この制度を利用すれば、相続税の課税評価額を最大で80%減額できるため、結果的に相続税の負担を大きく軽減できます。

区分減額割合限度面積
被相続人の自宅(特定居住用宅地)80%330㎡まで
事業用宅地(店舗・事務所など)80%400㎡まで
賃貸住宅用宅地(貸付事業用)50%200㎡まで

ただし、特例を受けるには条件があります。相続人が被相続人と同居していた。あるいは相続後も引き続き住み続けることなどが求められます。一方で、相続後すぐに売却してしまうと特例が取り消される可能性もあるため、適用の可否を慎重に確認する必要があります。

この特例を上手に活用すれば、税負担を抑えつつ実家を維持できるため、節税面から見ても「相続するメリット」が明確になります。

 

実家相続後の活用の選択肢

実家を相続したあと、「住む」「貸す」「活用する」といった判断を迫られる人は多くいます。相続の段階では「とりあえず保留」と考えがちですが、時間が経つほど維持費や劣化が進み、選択肢は狭まっていきます。

ここからは、実家相続後に取り得る活用方法を整理し、それぞれのメリット・注意点を見ていきましょう。

  • 選択肢①:そのまま居住する(リフォーム・建て替えを含む)
  • 選択肢②:空き家として貸し出す(賃貸活用)
  • 選択肢③:建物を解体して土地活用する
  • 選択肢④:売却して現金化する(一般・訳あり買取含む)
  • 選択肢⑤:親族や知人に譲渡・贈与する
  • 選択肢⑥:自治体やNPOへ寄付する 

次項より、詳しく解説します。

選択肢①:そのまま居住する(リフォーム・建て替えを含む)

もっともシンプルなのが、相続した家に自分や家族がそのまま住むという選択です。居住する場合、固定資産税の住宅用地特例(最大6分の1軽減)を継続して受けられるうえ、空き家リスクも防げます。

築年数が古い場合でも、リフォームや建て替えを行えば快適な住環境に生まれ変わります。

費用の目安は次のとおりです。

内容費用の目安
部分リフォーム(内装・水回りなど)100〜300万円前後
フルリフォーム(耐震・断熱含む)500〜1,000万円前後
建て替え2,000万円〜3,000万円程度

一方で、古い配管や構造体の問題など、リフォームしても再利用が難しいケースもあります。居住を前提にするなら、まずは建物診断(ホームインスペクション)を実施し、安全性と費用対効果を見極めるようにしましょう。

選択肢②:空き家として貸し出す(賃貸活用)

自分では住まない場合でも、賃貸として活用する方法があります。立地や間取りによっては、賃貸住宅・シェアハウス・民泊など、さまざまな用途で運用が可能です。

賃貸化の主なメリットは以下のとおりです。

  • 家賃収入によって固定資産税・維持費をまかなえる
  • 空き家放置による老朽化や特定空き家指定を防げる
  • リフォーム費用が経費として扱える場合がある

ただし、賃貸経営には修繕費・管理費・空室リスクが伴います。特に老朽化した木造住宅は入居者が限られるため、賃貸需要のあるエリアかどうかを事前に確認するようにしましょう。

最近では、専門業者による「空き家賃貸サポート」や「リノベ賃貸化」などのサービスも登場しており、自分で管理できない場合でも、プロに運営を委託することで安定的に収益を得ることが可能です。

選択肢③:建物を解体して土地活用する

老朽化が進んでいる場合や、建物としての価値が低い場合は、家を解体して土地として活用する方法も検討に値します。

駐車場・アパート建設・太陽光発電など、土地単体での活用方法は多岐にわたります。

代表的な土地活用の例は次のとおりです。

  • 月極駐車場:初期費用が少なく、短期運用に向く(利回り2〜5%)
  • アパート経営:安定収入が見込めるが初期投資が大きい(利回り5〜8%)
  • 太陽光発電:長期契約で固定収入を得られるが設置費用が高い
  • 貸地(事業用):安定した地代収入、ただし契約解除に時間がかかる

ただし、建物を解体すると住宅用地の固定資産税特例が外れ、翌年から税額が約6倍になる点には注意が必要です。また、再建築不可の土地では、一度更地にすると二度と家を建てられなくなることもあります。

土地活用を選ぶ際は、以下の要素を踏まえて、専門家と相談しながら最適な方法を選びましょう。

  • 用途地域・接道条件
  • 将来的な売却計画
  • 初期費用と税負担のバランス

選択肢④:売却して現金化する(一般・訳あり買取含む)

実家を維持する予定がない場合、売却して現金化するのが最も分かりやすい選択肢です。不動産を現金に換えることで、相続人間の公平な分配ができるほか、管理負担や固定資産税の支払いからも解放されます。

売却には大きく分けて「一般仲介」と「買取」の2つの方法があります。

方法特徴向いているケース
一般仲介不動産会社を通じて買主を探す。市場価格で売れやすいが、成約まで時間がかかる。立地や状態が良く、買い手が見つかりやすい物件
買取(訳あり含む)不動産会社が直接買い取る。早期現金化が可能で、訳あり物件でも対応可。共有名義・再建築不可・空き家・事故物件など

特に、老朽化・共有持分・心理的瑕疵といった「訳あり不動産」は、一般の買主が敬遠しやすく、専門業者による直接買取が有効です。買取なら最短数日〜1週間で売却が完了し、相続税の納税期限(10か月以内)にも間に合うケースが多くあります。

ただし、買取価格は市場相場より2〜3割ほど低くなるのが一般的です。「早く売りたい」「管理を手放したい」など、優先したい条件を整理し、仲介と買取の両方で査定を比較してから判断するのが賢明です。

選択肢⑤:親族や知人に譲渡・贈与する

実家を親族や知人に譲る場合は、譲渡(売買)と贈与の2つの方法があります。親しい相手に引き継げるため安心感がありますが、税務上の扱いには注意が必要です。

  • 譲渡(売買):名義を移す代わりに代金を受け取る形式。売却益が出た場合は譲渡所得税がかかる。
  • 贈与:無償または低額で譲る形式。年間110万円を超える部分には贈与税が課される。

贈与税の負担を避けるためには、以下のような制度を活用する方法もあります。

制度名内容
相続時精算課税制度生前に最大2,500万円まで非課税で贈与でき、相続時に清算される
住宅取得資金贈与の非課税子や孫の住宅購入資金として贈与した場合、一定額まで非課税(期間限定)

(参考:国税庁「相続時精算課税の選択/直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」)

ただし、形式上の贈与で実際は無償譲渡だったと判断されると、贈与税の追徴を受けるおそれがあります。譲渡・贈与どちらの場合も、契約書の作成と登記変更を正式に行うことが大切です。

また、知人間でのやり取りはトラブルになりやすいため、専門家を介して手続きを進めるのが安全です。

選択肢⑥:自治体やNPOへ寄付する

「自分では使わない」「親族も引き取り手がいない」という場合、自治体やNPO法人に寄付するという選択肢もあります。

社会的な目的に活用されることで、管理の負担を手放しつつ、地域貢献にもつながります。

寄付先としては、主に以下のような団体があります。

寄付先活用例
自治体地域の空き家対策・福祉施設・防災拠点などに転用
NPO・公益法人子育て支援、地域交流スペース、移住促進住宅などに活用

ただし、どの自治体も無条件で受け取ってくれるわけではありません。老朽化が著しい、再建築不可、立地が悪いなどの理由で受け入れを断られるケースも多く見られます。

また、登記や解体費用など、寄付前に所有者が一定の負担を求められることもあります。

 

ご両親が存命のうちからできる実家の相続に対する対策

実家の相続は、相続が発生してからでは手遅れになることが多いテーマといえます。「うちは揉めないから大丈夫」と思っていても、実際には兄弟間の意見の食い違いや、不動産の評価をめぐるトラブルが起きやすいものです。

特に実家のように分割しにくい資産は、生前の準備がその後の相続を大きく左右します。ここからは、ご両親が存命のうちからできる代表的な対策を紹介します。

  • 遺言書を作成してもらう
  • 不動産の名義や権利関係を整理しておく
  • 生前贈与を検討する
  • 生命保険を活用して納税資金を確保する
  • 専門家に相談して総合的にプランを立てる

それぞれ個別にみていきましょう。

遺言書を作成してもらう

実家の相続をめぐるトラブルの多くは、「誰が家を引き継ぐか」が明確でないことに起因します。そのため、まず行うべきは遺言書を作成してもらうことです。

遺言書があれば、相続人の意向が食い違っても、法的な根拠に基づいて円滑に遺産分割が進められます。遺言書には主に次の3種類があります。

種類作成方法特徴
自筆証書遺言自筆で全文を書く手軽だが形式不備で無効になるリスクがある
公正証書遺言公証人と証人の立会いで作成法的に最も確実で、紛失・改ざんの心配がない
秘密証書遺言内容を秘密にしたまま公証役場に預ける公開を避けたい場合に有効だが、利用例は少ない

特におすすめなのは「公正証書遺言」です。公証役場に原本が保管されるため、紛失や偽造のリスクがなく、裁判などで争いになった場合も法的効力が強いのが特徴です。

また、単に「家は長男に」と記すだけでなく、固定資産税や修繕費の負担、売却時の取り分なども明記しておくと、後のトラブルを防ぎやすくなります。遺言書の作成はデリケートな話題ですが、家族全員にとって安心できる「将来への設計図」として考えることが大切です。

不動産の名義や権利関係を整理しておく

相続時に混乱を招くもうひとつの要因が、不動産の名義や権利関係があいまいなまま放置されていることです。登記簿上の名義が祖父母のまま、あるいは土地と建物で名義が異なるケースも珍しくありません。

この状態では相続手続きが複雑化し、時間も費用も余計にかかってしまいます。

生前のうちに次の点を確認しておくと安心です。

  • 登記簿謄本を取得し、現在の名義人を明確にする
  • 土地と建物の所有者が一致しているかを確認
  • 共有名義になっている場合、持分割合や相続後の承継方針を話し合う
  • 境界線や接道義務など、法的制限や建築条件も調べておく

また、過去の贈与や分筆登記の履歴も確認しておくと、後の評価や課税の際にスムーズです。特に都市部の古い住宅地では、隣地との境界トラブルが起こりやすいため、測量や筆界確認を行っておくと安心です。

これらの準備をしておくことで、相続発生後の手続きが大幅に簡略化され、家族間の無用な対立を防ぐことができます。相続は“起きてから考える”のではなく、“起きる前に整えておく”ことが最大のリスク回避策です。

生前贈与を検討する

相続発生後に財産をまとめて受け取ると、相続税の負担が大きくなります。そこで有効なのが、生前贈与によって少しずつ資産を移しておく方法です。

生前贈与には毎年使える非課税枠があり、長期的に行えば相続税対策として大きな効果を発揮します。主な制度は次のとおりです。

制度名概要非課税枠
暦年贈与1年ごとに少額を贈与し、毎年非課税枠を活用年間110万円まで非課税
相続時精算課税制度最大2,500万円まで非課税で贈与でき、相続時に清算生涯で2,500万円まで非課税
住宅取得等資金贈与子や孫の住宅購入資金として贈与最大1,000万円(条件あり)

特に暦年贈与は、長期的に続けることで効果を発揮します。ただし、形式的なやり取り(口座間移動のみなど)だと「贈与の実態がない」とみなされる場合もあるため、贈与契約書を作成し、証拠を残しておくことが大切です。

また、制度の選択や贈与額のバランスは、家族構成や資産内容によって最適解が異なります。税理士やファイナンシャルプランナーに相談し、相続税・贈与税をトータルで最適化する設計を立てておくと安心です。

生命保険を活用して納税資金を確保する

不動産を相続する際に発生しがちなのが「相続税を払う現金が足りない」という問題です。実家のように評価額は高くても換金しづらい資産を相続する場合、生命保険を納税資金の確保手段として活用するのが有効です。

生命保険には、相続税の課税対象から除外される非課税枠があります。

  • 相続人が受け取る生命保険金 500万円 × 法定相続人の数

仮に、相続人が3人なら1,500万円まで非課税ですので、この範囲内で保険金を受け取れば、税負担を軽減しつつ、現金で納税資金を確保できます。

また、終身保険や一時払い保険など、相続を見据えた商品も増えています。保険金を受け取る人(受取人)を明確に指定しておけば、遺産分割協議を経ずにスムーズに現金が手に入るのも大きな利点です。

不動産中心の資産構成の場合は、「相続=資金不足」にならないよう、保険による流動性確保を検討しておくと安心です。

専門家に相談して総合的にプランを立てる

実家の相続は、税金・登記・評価・家族関係など複数の要素が絡み合うため、個人で全てを判断するのは難しいといえます。そのため、早い段階で専門家に相談し、相続全体を見通したプランを立てておくことが不可欠です。

相談先としては、以下のような専門家がそれぞれ異なる分野をカバーします。

専門家主な相談内容
税理士相続税・贈与税の試算、節税シミュレーション
司法書士相続登記、名義変更、遺言書の作成支援
弁護士遺産分割協議、相続トラブルの予防・解決
不動産会社(買取・仲介)実家の売却・活用・査定相談
ファイナンシャルプランナー保険・贈与・資産運用を含めた総合設計

こうした専門家の知見を組み合わせれば、「どのタイミングで何をすべきか」「どんな制度が使えるか」を一気通貫で整理できます。一人で悩まず、信頼できる専門家チームに早めに相談しておくことで、相続発生時の混乱を防ぎ、後悔のない判断ができるようになります。

 

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他社で断られた物件や、相続後の管理に困っている不動産があれば、お気軽に無料査定をご活用ください。

 

実家の相続に関するQ&A

実家の相続は「何をどう進めればいいのか分からない」「よくある質問をあらかじめ確認しておきたい」といった疑問が多く発生します。そこで、典型的な疑問・トラブルになりがちなポイントをQ&A形式で整理しましたので、ぜひお役立てください。

実家の相続で「やってはいけない後始末」とはどんなこと?

実家の相続後に起きがちな失敗とは、先延ばしと無計画な対処です。登記をせず放置したり、長年空き家のまま維持費を払い続けたりすると、管理責任や売却可能性が著しく低下します。

具体的には、誰の所有か分からなくなった土地、相続人が多数に増えて売却できない不動産、住宅用地の税軽減が外れたケースなどが挙げられます。典型的な“やってはいけない後始末”を知っておけば、早期に対策を立てる助けになります。

なぜ「実家の持ち家はやばい」と言われるのか?

一見「資産」だった実家が、実は大きな負担になることがあります。それを指して「実家の持ち家はやばい」と言われるのです。

老朽化・空き家化・再建築不可といった条件が重なると、固定資産税・修繕費・管理コストがかさみ、売却も困難になります。このような背景を理解することで、「相続=いいことばかり」と安易に考えず、現実的なコストやリスクを含めた判断をするきっかけになります。

兄弟で実家を相続するときに注意すべきポイントは?

兄弟で実家を共有名義で相続する場合、話し合いの不足や負担の不均衡が原因でトラブルに発展しやすいのが実情です。

実際、賃貸にするか売却するかを巡り意見が割れたり、一部の相続人だけが使用・管理を担ったりするケースがあります。こうした状況を防ぐためにも、事前に誰がどの役割を担うのか、費用や収益の分配はどうするのかを整理してようにしましょう。

実家の名義変更はいつ・誰が行うべき?

相続が発生した実家の名義変更(相続登記)は、所有者を明らかにするために必須の手続きです。2019 年の改正法により、相続発生から3年以内の登記申請が義務化されました。登記を行わずに放置すると、過料が科される可能性があり、売却や貸出といった次のステップも阻まれます。

登記申請書類の用意や代表者の決定など、手続きを誰が進めるかを明確にしておくと、スムーズな対応につながります。

 

まとめ

実家の相続では、「登記を後回しにする」「方針を決めずに放置する」「感情で判断する」といった行動が、のちのトラブルを生みます。最も重要なのは、「早めに整理し、現実的な選択を取る」ことです。

相続登記を済ませ、維持費や税金の見通しを立て、共有状態を避けるよう意識しましょう。また、相続後の活用(住む・貸す・売るなど)は、法的手続きや税務を踏まえて冷静に判断することが大切です。

実家は思い出と同時に責任も伴う資産です。感情や先延ばしではなく、家族で情報を共有しながら、「将来のための選択」としての相続を進めていきましょう。

この記事の監修者

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川村 有毅 (司法書士)

私が司法書士になる前は、接客サービス・営業等、お客様と直に接する仕事に長く携わってきました。
そこから、お客様とのコミュニケーションを事務的にせず、お話をしっかりと拝聴し、問題を共有することの大切さを学びました。
お客様と接する機会をもっと重要視し、人と人とのつながりを大切にします。
お客様に人の手のぬくもりが感じられる「あたたかな安心」を提供いたします。

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