空き家が売れない理由とは?対処・処分方法・放置するリスクまで解説!

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相続した空き家は売却したいと思っても、1年以上売れないなどよく起こります。

空き家が売れない背景には、立地条件、建物の老朽化、法的制限、価格設定、権利関係の未整理など、複数の要因が重なっています。

放置すると管理費用・税の負担や近隣へ悪影響が広がり、売却はさらに難しくなってしまいます。

処分するには仲介だけでなく、古家付き土地としての売却、更地化、買取など多岐にわたるため、状況に合った方法を見極めることが大切です。

本記事では、訳あり物件不動産の専門家であるワケガイ編集部が、空き家が売れない理由から具体的な対策、処分方法、注意点まで解説します。

空き家が売れない8つの理由

空き家が売れない8つの理由

空き家が売れない背景には、地理的状況・建物の状態・法律に関する条件など8つの要因が挙げられます。

売れない理由主な原因
立地条件が悪い人口減少地域・郊外で住宅需要が少なく、生活利便性が低い
建物が老朽化雨漏り・シロアリ被害・外壁のひび割れなどの劣化があり、住宅ローンも通りにくい
再建築不可建築基準法上の道路要件を満たさず、解体すると新築できない
権利関係が未整理境界未確定・相続登記未了・名義人が亡くなったままで、金融機関の融資対象から外れる
価格設定が高い相場を超える価格をつけており、検索段階で候補から外れる
住宅ローンが通りにくい老朽化・再建築不可・境界や登記のあいまいさで、現金購入が必要になる
心理的瑕疵がある事故・事件・孤独死などの履歴があり、価格を下げても反応が鈍い
田舎の物件人口減少と都市部への若者流出で需要が縮小、扱える不動産会社も少ない

理由①:需要が弱い立地・周辺環境にある

理由①:需要が弱い立地・周辺環境にある

空き家が売れにくくなる主な理由は、需要が伸びにくい地域であることです。人口減少が続く地方や郊外では、住宅ニーズそのものが少なくなります。

買い手は住みやすさで判断するため、利便性が低い場所ではそもそも検討されません。

物件に魅力があっても普段の買い物や病院へアクセスしにくいと、長く暮らすイメージができません。特に高齢化が進む地域では、将来の交通手段や生活インフラの心配もあり、住宅購入に踏み切る人が少なくなります。

理由②:建物が老朽化し破損が見られる

理由②:建物が老朽化し破損が見られる

老朽化や破損が見られる空き家では、修繕が必要なため購入ハードルが一気に上がります。雨漏り・シロアリ被害・外壁のひび割れといった劣化箇所は一つにとどまらず、構造部分に及ぶことも珍しくありません。

買い手にとっては「どこまで修理が必要なのか」「追加コストがどれほどかかるのか」が読みにくいため、購入先の候補から外される可能性が高まります。

さらに、現行の耐震基準に適合していない住宅の場合、住宅ローンが通りづらくなる点も影響します。

理由③:再建築不可など法的制限がある

理由③:再建築不可など法的制限がある

空き家の中には、建築基準法上の道路要件を満たさず「再建築不可」とされる物件があります。一度解体すると新築できないため、買い手にとって活用方法が大きく制限されてしまい、購入をためらってしまいます。

建物の価値ではなく土地側の制約によるため、空き家の価格を引き下げても買い手はすぐに現れません。

理由④:境界や登記が不明瞭で権利関係が未整理

理由④:境界や登記が不明瞭で権利関係が未整理

土地の境界や登記が不明瞭な空き家は、買い手が安心して取引に進めないため売却がうまくいきません。

境界標が紛失していたり塀や樹木があいまいな区切りだと、公図と今の状況が違うため金融機関の融資対象から外れることもあります。

相続手続きが止まっている、住所変更が反映されていない、名義人が亡くなったまま更新されていない、といった登記の未整備でも買い手は購入をためらってしまいます。

理由⑤:販売価格が相場より高く設定されている

相場を超える価格設定は空き家が売れ残る原因です。買い手は検索段階で価格帯を絞り込むため、相場から外れた物件は問い合わせされません。

相場は地域の需要や実際に成約した物件によって決まります。そのため売主自身がどれだけ思い入れや価値を感じていても、その水準を超える価格をつければ「割高な物件」となります。

さらに空き家の場合は「このまま住めるのか」「修繕にどれくらい費用がかかるのか」といった不安もあるため、より一層シビアに見られます。

理由⑥:住宅ローンが通りにくい条件を抱えている

住宅ローンを使えなかったり使いにくい物件は売却が難しくなります。ローンが通りにくくなる要因は主に以下があります。

  • 再建築不可物件
  • 建物の老朽化が激しい
  • 境界が未確定
  • 未登記・違法増築がある
  • 権利関係が複雑(共有名義・借地権など)
  • 建築確認済証・検査済証がない

現金で購入できる人は限られるため、「ローンが組めない」と分かった時点で買い手は候補から外してしまうことがあるのです。

また、再建築できない土地は将来的な価値が見込めず、そもそも融資対象から外されるケースも少なくありません。

境界が未確定、登記されていない部分がある、増築部分が合法かどうか確認できない、といった物件もリスクが高い案件と位置づけられ、審査が難しくなります。

理由⑦:心理的瑕疵があり購入が敬遠される

心理的瑕疵のある物件は、建物そのものに問題がなくても売却の難易度が大きく上がります。

住宅は生活の基盤となる場所です。そのため事故・事件・孤独死などが起きた物件だと、構造や設備に欠陥がなかったとしても、買い手に抵抗感を与えてしまいます。
(参考:国土交通省「管理不全空家等及び特定空家等に対する措置に関する適切な実施を図るために必要な指針(ガイドライン」)

どこまで告知義務が及ぶのかトラブルになることもあるため、売主側があらかじめ事実関係を整理して、適切な情報開示をしなくてはなりません。

関連記事:瑕疵物件とは?種類や告知義務、売却時の注意点を紹介

理由⑧:田舎の空き家はそもそも売れにくい

田舎にある空き家は買い手が少なく売却に時間がかかります。人口減少や都市部への若者流出によって需要が縮小しているからです。

地域売却期間の目安
都市部約3~6か月
地方都市約6か月~1年
過疎地域・山間部1~3年以上かかることも珍しくない

地元に残っている住民の多くはすでに持ち家を持っているため、新たに家を探している人はなかなか見つかりません。

駅やバス停まで車で数十分かかる、近くにスーパーやコンビニがない、といった利便性の低さも田舎の空き家が敬遠される原因です。

さらに、田舎の物件を扱う不動産会社が少ないことも売却を難しくしています。不動産会社は物件数が多いエリアに店舗を構えるため、地方部ではそもそも対応してくれる会社を見つけることが困難です。

 

空き家が売れないときの対処法・処分する方法

空き家が売れないときの9つの処分方法

空き家の売却が思うように進まないときは、建物の状態・立地・法的な制約によって対処法が大きく変わります。処分方法は主に以下の9つです。

処分方法概要向いているケース
訳あり物件の買取専門業者業者が直接買い取る老朽空き家・短期間で処分したい・遠方の物件
価格・販売戦略・媒介契約の見直し価格や広告、契約形態を見直す長期間問い合わせがない物件
古家付き土地として売却建物付きの土地として売る建物の劣化が激しい物件
リフォーム後に売却水回り・外壁・屋根などを修繕してから売却老朽化で買い手がつかない物件
建物を解体して更地で売却建物を取り壊して土地のみ売却修繕が難しい物件・心理的瑕疵がある物件
自治体の空き家バンク自治体の窓口に物件を登録する地方や古民家の物件
賃貸や民泊への転用収益物件として活用するカフェ・倉庫・駐車場など需要のあるエリア
相続土地国庫帰属制度相続した土地を国に引き取ってもらう買い手が見つからない土地
寄付や相続放棄自治体や団体への寄付、相続放棄売却も活用も困難な物件

訳あり物件の買取専門業者に依頼する

事故物件や老朽化が進んだ住宅といった扱いが難しい物件では、専門業者へ依頼する方法があります。買取は業者が直接買主となるため、成約までの期間が短く手間も大幅に抑えられます。

評価が低い物件でも業者は再生・再販を前提に価格を算出するため、確実に引き取ってもらえます。

ただし、改修費やリスクを業者が負うため、買取は仲介に比べて相場より安くなるのが一般的です。それでも、赤字になりそうな老朽空き家を売りたい、短期間で処分したい、遠方で管理が難しい、といった場合はおすすめの処分方法になります。

関連記事:空き家の買取価格を上げるコツとは?相場や業者選びのポイントを解説

価格・販売戦略・媒介契約を見直す

なかなか売れない空き家は、価格・販売戦略・媒介契約の3つを見直すことも必要です。長期間問い合わせがない物件は、どれかがミスマッチを起こしていると考えられます。

価格は周辺で成約している同条件の物件と比較し、明らかに高ければ値下げを検討しましょう。

販売戦略では物件写真の質・掲載情報の充実度・広告の出し方を見直します。暗い写真や情報の少ない掲載になっていないか確認してください。

媒介契約には、専属専任媒介・専任媒介・一般媒介の3種類があります。長く反応がない場合は、契約形態を変える・不動産会社そのものを切り替える、といった選択肢も検討しましょう。

古家付き土地として売却する

建物の状態が悪い場合でも、あえて解体せず「古家付き土地」として売り出す手法があります。建物の劣化が激しくても、解体やリフォームを進めたい、土地として利用したいという買い手には受け入れやすい方法です。

古家付き土地として売却する最大のメリットは、解体費を売主が負担しなくていいことです。解体には数十万円から百万円以上かかることがあるので、費用を抑えつつ売却することができます。

リフォームして売却する

老朽化が進んで買い手がつかない空き家は、リフォームすることで売却につながりやすくなります。

水回り・外壁・屋根など、買い手が負担になりそうな箇所を優先して修繕するのが効果的です。ただ、間取り変更や設備の入れ替えまで行うフルリノベーションは費用がかさむため、費用対効果を見極めなければなりません。

リフォーム費用をかけても売却価格に上乗せできるとは限らず、立地や築年数によって工事費を回収できないケースもあります。

必ず工事前に不動産会社へ「リフォームした場合の想定売却価格」を確認しましょう。

建物を解体して更地で売却する

老朽化が進み修繕が難しい物件や心理的瑕疵がある物件では、建物を解体してから売却する方法もあります。

更地は利用用途が広く、買い手が住宅用地や駐車場、事業用として検討しやすいため、売却しやすくなります。特に、建物が傾いている、雨漏りが激しい、害獣被害が深刻といった場合には建物を残すより更地のほうがおすすめです。

ただし解体費用が発生し、建物の規模や構造によって費用は異なります。また、解体すると住宅用地の特例が外れ、翌年度以降の固定資産税が高くなる可能性があるので注意しましょう。

自治体の空き家バンクを活用して売却する

自治体が運営する「空き家バンク」を利用する方法もあります。空き家バンクは、低コストで住宅を確保したい利用者や古民家を活用したい事業者など、物件を探す人の窓口になっています。

主な特徴は、売主と買主が自治体を介してやり取りする仕組みが整っている点です。移住希望者とのマッチング支援や、改修補助金の案内など、地域ごとに提供されるサポートがあります。

登録物件が限定されているため「競合が多すぎて埋もれる」といった心配も少なくて済みます。

賃貸や民泊に切り替えて収益化を図る

売却するのではなく賃貸や民泊として活用する方法もあります。すぐに現金化できるわけではありませんが、生活スペースとして再利用されることで維持管理がしやすくなり、収益が得られる可能性があります。

古民家カフェやアトリエとしての貸し出し、倉庫利用、月極駐車場への転用など、建物や立地の特徴に合わせた使い方が挙げられます。

ただし、初期費用とのバランスを見ることが大切です。大幅なリフォームを施すのか、最低限の補修にとどめるかで投資回収期間が変わります。

また、そもそも利用ニーズがあるエリアかどうかも確認することが大切です。

相続土地国庫帰属制度を利用する

買い手も借り手も見つからない土地は、相続土地国庫帰属制度を利用して国に引き取ってもらう方法があります。2023年4月に施行された比較的新しい制度で、相続や遺贈で取得した土地を国に引き渡すことができます。

対象は相続や遺贈で取得した土地に限られ、自分で購入した土地は対象外です。申請は土地が所在する法務局の不動産登記部門で受け付けています。

ただし、空き家がある状態では申請できません。建物・工作物がある土地は引き取り対象外のため、まず自費で解体して更地にする必要があります。境界が不明確な土地・土壌汚染がある土地・管理に過度の費用がかかる土地なども申請できません。

審査手数料は14,000円、承認時の負担金は原則20万円以上かかります。宅地などは面積に応じて算定されるケースもあるため、事前確認が必要です。

解体費を負担してでも管理から解放されたい、買い手がまったく見つからないといった場合におすすめです。

NPOや自治体への寄付や相続放棄を検討する

市場で売却できず、賃貸としても活用が難しい場合には、寄付や相続放棄といった方法があります。寄付は自治体や公益団体が受け入れ窓口になりますが、どこでも受け付けているわけではなく、活用の見込みがある物件に限られることが多いです。

相続した空き家であれば、相続放棄という選択肢もあります。ただし、相続放棄は不動産だけを放棄するのではなく、故人の財産すべてについて権利を持たない制度です。相続放棄すると他の相続人に管理責任が移る可能性があるので、家族間でよく話し合いましょう。

期限は相続の開始を知った時から原則3か月と定められているため、遅れないように注意してください。

 

売れない空き家を放置する7つのリスク

売れない空き家を放置する7つのリスク

売却のめどが立たないまま空き家を置いておくと、経済的な負担や建物の劣化など売却のハードルが上がります。

特に影響が大きいリスクとしては、次の7つが挙げられます。

リスク・費用項目内容
管理費用や固定資産税の負担固定資産税や都市計画税が毎年発生、維持管理も必要
特定空家に指定される倒壊の危険・衛生上有害・景観を損ねる状態で指定
老朽化で倒壊や火災の危険湿気や劣化で建物の傷みが進む
害虫・害獣の侵入ダニ・ネズミ・ハクビシンが繁殖
近隣トラブル枝の越境・雑草・フェンスの倒れ込み
資産価値の低下放置期間が長いほど傷みが進む
犯罪が起こる空き巣・不法侵入・放火の対象になりうる

管理費用や固定資産税の負担が続く

空き家は住んでいなくても所有している限り、固定資産税や都市計画税、管理費用など以下にように毎年発生します。

費用・負担年間の目安内容
固定資産税・都市計画税数万円~数十万円所有している限り毎年発生
草刈り・庭木の剪定2万~10万円程度敷地の広さや依頼回数による
建物の維持管理1万~5万円程度換気・通水・簡易清掃など
修繕費数万円~数百万円老朽化の進行状況による
火災保険数千円~数万円補償内容によって異なる
合計年間5万~50万円以上老朽化が進むほど負担は増えやすい

住宅用地の特例が適用されている場合は税額を抑えられるものの、売れないまま数年が過ぎると負担が大きくなります。
(参考:総務省「固定資産税/都市計画税」)

固定資産税が毎年一定額かかる一方で、建物の価値は時間とともに下がるため、資産としてのバランスが崩れやすくなります。

税負担以外にも、草木の手入れ・郵便物の管理・通気換気など、最低限の維持管理をしなければなりません。近隣に影響する場合は市区町村から指導が入ることもあり、状況によっては改善命令を受ける可能性があります。

特定空家に指定され固定資産税が最大6倍になる

空き家を放置して状態が悪化すると「特定空家」に指定され、固定資産税が最大6倍まで上がるリスクがあります。住宅が建っている土地に適用される「住宅用地の特例」が解除され、軽減措置がなくなるためです。

特定空家とは、倒壊の危険がある・著しく衛生上有害・景観を損ねている、といった状態の空き家を指します。

住宅用地の特例は土地200㎡以下の部分で1/6・200㎡超の部分で1/3に課税標準を軽減する制度で、解除されるとそれぞれ最大6倍・最大3倍まで税額が上がります。

指定された後、市区町村による助言・指導があり、勧告を受けた時点で住宅用地特例が解除されます。さらに命令にも従わない場合は50万円以下の過料が科されます。最終的には行政代執行で強制的に解体され、その費用も所有者に請求されます。

なお、2023年12月の法改正で「管理不全空家」も加わり、特定空家になる前段階の物件でも勧告を受ければ特例が解除されます。

老朽化が進み倒壊や火災の危険が高まる

使われていない建物は、人が住んでいる住宅より傷みやすい傾向があります。定期的に換気されないことで湿気がこもり、木材の腐食やカビの発生が広がります。外壁や屋根の劣化が進むと強風や大雨の際に破損しやすくなり、落下物が近隣に被害を与える危険もあります。

家具や壁紙が湿気を吸った状態では、害虫や小動物が住み着きやすく、内部の損傷がさらに進むことがあります。

このような老朽化が進むと倒壊のリスクもあり、自治体が「特定空家」と判断した場合、所有者には改善指導が入り、従わないと固定資産税の優遇が外れ、課税額が増える可能性があります。

状況が改善されない場合には、勧告や命令が続き、最終的には行政代執行による解体が行われることになります。

費用は所有者に請求されるため、負担はさらに重くなります。

関連記事:空き家の防犯対策はどうすればいい?防犯グッズや役立つ知識を解説

害虫や害獣の侵入で衛生環境が悪化する

空き家は人の出入りがなくなることで害虫や小動物が繁殖しやすい環境に変わります。定期的に換気されない室内では湿気がこもり、ダニやゴキブリが増えやすい状態になります。

また、屋根裏や床下はネズミやハクビシンといった害獣が侵入しやすい空間で、糞尿による汚染や断熱材の破損が進むと、衛生面だけでなく建物の構造にも悪影響です。放置されるほど被害が大きくなり、修復にかかる費用がさらに増えるという悪循環に陥ります。

衛生状態が悪い物件は敬遠されやすいので、衛生と安全を確保する上でも定期的な管理が欠かせません。

近隣トラブルを招きやすくなる

空き家が手入れされないと、隣家の敷地に枝が越境したり落ち葉が大量に流れ込むなど、トラブルに発展する場合があります。

また、塗装の剥がれ、庭木の伸び放題、フェンスの倒れ込みなど、外観の傷みが目立ちやすくなります。

特に雑草が生い茂った状態は地域の景観を損ね、周囲に“管理されていない家”という印象を与えます。

空き巣や不法投棄のターゲットになりやすく、近隣住民の不安の原因にもつながります。

資産価値が下がり将来の売却がさらに難しくなる

空き家を放置すると、資産価値がどんどん低下していきます。建物は使われない期間が長いほど、傷みが進み修繕が必要になります。

特に木造住宅は湿気の影響を受けやすい構造です。見た目にはわからない部分の劣化が進むと、売却前に大規模な工事が必要になることもあります。

資産価値の低下は建物だけに限りません。雑草の繁茂や越境、敷地の不衛生化によってその地域の価格帯全体に影響が及ぶ場合があります。

犯罪が起こる可能性がある 

人の出入りがない空き家は犯罪のターゲットになりやすく、空き巣・不法侵入・不法占拠・放火といった被害に遭うリスクが高まります。窓ガラスが割れている、郵便物がたまっている、庭が荒れている状態は「管理されていない家」のサインとなり、犯罪者に狙われる原因になります。

不法侵入されると、そのまま犯罪グループに住み着かれ、拠点として利用されるケースも少なくありません。家財が盗まれる、室内を荒らされる、ゴミを投棄される、といった被害に加えて犯罪拠点になれば近隣住民への不安も生じます。

また、空き家は人目につきにくく敷地内に可燃ゴミが放置されているケースも多いため、放火のターゲットにもされやすい環境です。

火災が周辺に延焼し管理不足が原因と認められた場合、所有者が損害賠償請求される可能性もゼロではありません。

空き家であっても管理責任は問われるため、放置することで犯罪に巻き込まれるリスクがあります。

 

売れない空き家の処分で誤解されがちなこと

空き家を手放すときには制度ごとに厳密なルールがあります。特に誤解が生じやすい以下の4つのケースを紹介します。

  • 相続放棄をすれば管理義務もなくなるという誤解
  • 賃貸経営はすぐに収益化できるという誤解
  • 自治体は空き家の寄付を必ず受け入れるという誤解
  • 国が無条件で土地を引き取るという誤解

相続放棄をすれば管理義務もなくなるという誤解

相続放棄は「不動産だけを放棄する制度」と誤解されることがあります。しかし、実際は「相続財産全てについて権利を持たない」という手続きであり、空き家だけをピンポイントで手放すことはできません。

さらに、相続放棄には期限があり、原則として相続開始から3か月以内に家庭裁判所へ申述しなければなりません。この期限を過ぎると、放棄そのものができなくなります。

相続放棄をした場合でも、空き家の管理責任が即座に消えるわけではありません。相続人が全員放棄するまでは民法上の「管理義務」が残る可能性があるため、放棄したのに固定資産税の納付通知が届いたというケースもあります。
(参考:e-Gov法令検索「民法第940条」

関連記事:空き家を相続する場合の判断基準とは?相続放棄についてもセットで紹介

賃貸経営はすぐに収益化できるという誤解

空き家を賃貸経営すれば必ず収益化できる、というわけではありません。建物の状態・立地・需要の有無によって大きく変わります。老朽化が進んだ空き家をそのまま貸し出すことはほぼ不可能で、多くの場合はリフォームが必要です。

ところが、改修費が高額になると賃料収入で投資を回収できない可能性が高くなります。

賃貸経営には「入居者対応」「設備不具合の修繕」「家賃管理」などの手間もかかり簡単ではありません。空き家の所有者は遠方在住の場合も多く、日常的に管理するのが難しいケースがあります。

自治体は空き家の寄付を必ず受け入れるという誤解

自治体は空き家を積極的に受け入れることはほとんどありません。管理コストがかかり、活用の見込みも不透明なため、基本的には寄付を断るケースが大半です。受け入れられるのは、公共利用が見込まれる場所や防災上の必要性がある土地など、ごく限られた条件の物件のみです。

寄付が成立したとしても、事前の測量や権利関係の整理など、所有者側の負担になる場合があります。老朽化が著しい建物が残っている場合、解体してからでないと受け入れられないケースも珍しくありません。寄付は簡単な処分方法ではなく「条件に合う物件だけが選ばれる例外的な手段」と考えましょう。

国が無条件で土地を引き取るという誤解

日本には不要な不動産を国へ返す制度がありません。

国庫帰属制度は2023年から始まりましたが、これは土地のみを対象とした制度であり、建物が残っている場合は解体が必要です。

厳しい審査基準も設けられており、「管理が必要な土地」「境界が曖昧な土地」「崖地に近い土地」などは申請が認められません。

 

売れない空き家を売却する不動産会社の選び方

空き家の売却では、どの不動産会社に依頼するかによって売却スピードや提案内容が大きく変わります。不動産会社を選ぶ際は、以下のポイントを確認しましょう。

  • 空き家・訳あり物件の取扱実績を確認する
  • 販売戦略の提案力を見極める
  • 査定額の根拠が明確に示されているか確認する
  • 仲介と買取の両方に対応できるか確認する
  • 地域の相場や需要に精通しているか確認する

次項より、詳しく解説します。

空き家・訳あり物件の取扱実績を確認する

空き家や訳あり物件を取り扱った実績がある会社を必ず選びましょう。空き家の売却は一般的な中古住宅の売却とは性質が異なります。老朽化、境界不明瞭、再建築の可否、心理的瑕疵の有無など、物件特有の事情を踏まえなければなりません。

空き家特有のリスクや売れにくさを理解し、販売時にどの部分を補強すべきか、どのような買い手層が狙えるかといった判断が必要です。

取扱実績が少ない会社の場合、必要な事前調査が抜けていたり接道要件の確認が不十分など、内見で買い手が不安になりかねません。

販売戦略の提案力を見極める

提案力のある不動産会社へ依頼することも大切です。空き家を売却するには「どう見せるか」「どこに需要を探すか」といった戦略の組み立てが重要になります。売主の事情を踏まえた上で、価格設定、売り出す時期、広告の方法、ターゲット層などを組み合わせ、実現性のある販売計画を考えなくてはなりません。

物件の状況に応じて、古家付きとして売り出すか、更地化を提案するかなど、複数の選択肢を検討してくれる会社か確認してください。

「価格を下げて様子を見る」といった単調な方針しか取らず、売却期間だけが引き延ばされる不動産会社は避けましょう。

査定額の根拠が明確に示されているか確認する

不動産会社がどのような基準で査定額を算出したか説明してくれることもポイントです。査定には近隣の成約事例、土地の条件、建物の状態、再建築の可否といった複数の要素を考慮しなくてはなりません。

根拠があいまいで高額な査定額を提示する会社には注意してください。売主の期待を引きつけるために高めの査定を出し、売却活動が始まってから価格を下げるケースがあります。

仲介と買取の両方に対応できるか確認する

空き家の売却では「仲介」と「買取」のどちらにも対応できる不動産会社がおすすめです。仲介は一般の買い手を探す方法で高く売れやすいですが、売却までに時間がかかる場合があります。

買取は不動産会社が直接買い取る形式のため、価格は相場より低くなるものの売却が早めで手続きも簡単です。

この二つの方法を比較しながら提案できる不動産会社であれば、売主の事情や物件の特徴に合わせて柔軟に対応してくれます。

対応方法が仲介のみの会社では、老朽化が激しい物件や再建築不可の土地など、一般市場では動きにくい物件の売却が難しくなります。その結果、価格を大きく下げる提案が繰り返され、売主にとってマイナスになることも少なくありません。

地域の相場や需要に精通しているか確認する

地域の相場や需要の傾向を判断できる不動産会社か確認しましょう。周辺の成約事例や地価の推移、将来の開発計画などを把握している会社であれば、適切な売却方針を立てることができます。

不動産市場は全国一律ではなく、同じ市区町村でもエリアによって価格帯や買い手の層が大きく異なります。

地域の理解が不足している会社では、適切な価格設定ができず売却がうまくいきません。

空き家のように条件が複雑な物件では相場の読み違いが結果に直結しやすいため、地域の事情を細かく把握している会社を選ぶことが大切です。

 

売れない空き家を処分する際の注意点

空き家の売却や処分を進める際、途中で想定外の費用が発生したり手続きが滞らないよう、以下の点に注意が必要です。

  • 処分完了まで固定資産税や管理費用が発生する
  • 解体費や測量費など追加コストが発生する
  • 共有名義では他の相続人の同意が必要になる
  • 瑕疵説明が不足するとトラブルにつながる
  • 放置期間が長いほど売却条件が悪化する

それぞれ個別に解説します。

処分完了まで固定資産税や管理費用が発生する

空き家の処分が完了するまでは固定資産税の負担が続きます。住宅用地の特例が適用されていれば税額は抑えられますが、売却が長引くと累積負担は軽いものではありません。
(参考:総務省「固定資産税」)

また、雑草の繁茂を防いだり、郵便物の処理を行ったりと、基本的な維持管理も必要になります。遠方の所有者の場合、巡回管理を依頼する費用が加わることもあります。

放置したままにしておくと、老朽化や近隣トラブルにつながり、売却条件がさらに悪くなることもあるので注意しましょう。

解体費や測量費など追加コストが発生する

空き家の処分では手続き費用だけでなく、解体費と測量費、その他に様々なコストが発生します。

追加コスト費用の目安発生するケース
解体費100万~300万円程度老朽化が進み、更地での売却を求められる場合
境界確定測量費30万~80万円程度土地の境界が不明確で、売却前に確定測量が必要な場合
建物滅失登記費用3万~10万円程度建物を解体した後に登記を抹消する場合
残置物撤去費用10万~100万円程度家財や不用品を処分して引き渡す場合
樹木伐採・草刈り費用5万~30万円程度庭木や雑草が繁茂している場合
修繕・応急補修費用数万円~数十万円程度内覧や売却に向けて最低限の補修を行う場合

老朽化が激しく安全に住めない物件では、買い手側が「更地のほうが扱いやすい」と判断することがあります。そのため売主が解体費を負担するケースがあり、建物の構造や広さによりますが、数十万円から百万円を超える例も珍しくありません。

正確な面積や隣地との境界を明確にする測量費も意外と負担が生じる項目です。土地の境界が不明瞭なままでは買い手が安心して契約できず、住宅ローンの審査にも影響が出る場合があります。

共有名義では他の相続人の同意が必要になる

空き家が共有名義の場合、売却や解体といった重要な手続きには、共有者全員の同意が必要です。誰か一人でも反対していると契約が進まず、売却機会を逃すことになりかねません。

共有者が遠方に住んでいる場合や、連絡が取りにくい相続人がいる場合には、合意形成に時間がかかります。

認知症などで意思表示が難しい共有者がいる場合には、成年後見制度を利用するなど、さらに別の手続きが必要になることもあります。

瑕疵説明が不足するとトラブルにつながる

瑕疵に関する説明が不足すると、売却後に買主との間でトラブルに発展しやすくなります。雨漏り、シロアリ被害、越境、未登記部分、設備の欠陥など、事前に把握できた可能性のある情報を告げなかったと判断されると、契約解除や損害賠償請求につながるリスクが生じます。

心理的瑕疵がある物件では、売主側が「言わなくてもよい」と思っていた事項が、買主にとっては大きな判断材料になる場合もあります。

どんな些細なことでも売主は実態を正確に説明することが重要です。

放置期間が長いほど売却条件が悪化する

空き家は、時間が経つほど売却条件が厳しくなりやすいです。建物は人が住んでいない状態が続くと傷みが早まり、内部の湿気、木材の腐食、害虫・害獣被害が拡大します。

数年放置するだけで修繕費が大幅に増えることも珍しくありません。

売却に影響するのは建物だけではなく、雑草の繁茂や越境、ゴミの堆積は近隣からの苦情につながります。自治体から指導を受けることもあり、特定空家に指定されると固定資産税の優遇が外れ、税負担が増える可能性もあります。

 

空き家処分で使える補助金・税制優遇

空き家の改修や解体の経済的負担を軽減するため、自治体の補助制度があります。

補助の内容は地域ごとに異なり、家財整理から耐震改修まで幅広いのでチェックしましょう。

空き家3000万円特別控除の活用条件

相続した空き家を売却するときに条件を満たせば、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる特例があります。主な条件は次の5つです。

  • 被相続人が亡くなる直前まで1人で住んでいた家
  • 昭和56年(1981年)5月31日以前に建築された家屋(マンションは対象外)
  • 相続後、人に貸したり住んだりしていない
  • 売却価格が1億円以下
  • 相続開始から3年を経過する年の12月31日までに売却

建物を残して売る場合は耐震基準を満たす必要があり、満たさない場合は取り壊して更地で売却する必要があります。適用期限は2027年12月31日までで、2024年からは買主が売却後に耐震改修や取り壊しを行うケースも対象になりました。ただし相続人が3人以上の場合は、1人あたりの控除額が2,000万円に減額されます。

利用するには、市区町村で「被相続人居住用家屋等確認書」を取得し、確定申告で申請する流れです。

【東京都】空き家家財整理・解体促進事業

【東京都】空き家家財整理・解体促進事業

(出典:住宅政策本部「東京都空き家ワンストップ相談窓口

東京都では、空き家の家財整理や解体にかかる費用の一部を補助する「空き家家財整理・解体促進事業」を実施しています。

補助内容は次のとおりです。

  • 家財整理費用:費用の2分の1(上限5万円)
  • 建物解体費用:費用の2分の1(上限10万円)

申請には東京都空き家ワンストップ相談窓口への事前相談が必要です。

交付決定の前に業者と契約・着工すると補助対象外になるため、申請の順序には注意が必要です。

契約相手は相談窓口が紹介する協力事業者に限られ、共有名義の場合は共有者全員の合意が求められます。他の補助金で対象になっている費用は重複して申請できません。
(参考:住宅政策本部「東京都空き家家財整理・解体促進事業

参考記事:空き家の処分方法を知りたい!売れないときはどうすればいい?補助金情報も解説

【大阪市】空家利活用改修補助制度【東京都】空き家家財整理・解体促進事業1

【東京都】空き家家財整理・解体促進事業2

(参考:大阪市「空家利活用改修補助制度」)

大阪市の空家利活用改修補助制度は、空き家を安全に活用できる状態へ整えるための改修費の一部を補助する仕組みです。

制度には住宅として再生する「住宅再生型」と、子ども食堂や高齢者サロンなどに活用する「地域まちづくり活用型」の区分があります。一般的なリフォームではなく、既存住宅状況調査・耐震診断・耐震改修・省エネ改修・バリアフリー改修など、住宅性能の向上に関わる工事が対象です。

住宅再生型の性能向上改修工事の補助率は1/2以内、上限は75万円/戸です。対象は2000年5月31日以前に建築された戸建または長屋建の住宅で、3か月以上空家であることが要件となります。

ただし、本制度は売却を前提とした空き家には利用できません。空き家を手放すために改修する場合は対象外となるため、売却を考えている場合は買取専門業者などの選択肢を検討する必要があります。また、利活用事例として大阪市が情報発信することへの承諾も求められ、耐震性が不足している場合は耐震改修工事が必須となります。

【福岡市】地域貢献等空き家活用補助金

福岡市が実施する「地域貢献等空き家活用補助金」は、空き家を子育て世帯向けの住宅や地域貢献施設として再生する際に活用できる補助制度です。
(参考:福岡市「福岡市地域貢献等空き家活用補助金」)

制度は次の2区分に分かれています。

  • 子育て居住型:市街化調整区域内の空き家を子育て世帯の住宅として改修(補助率1/2・上限100万円)
  • 地域貢献型:子ども食堂・福祉施設・地域交流施設などへの改修(補助率1/2・上限250万円)

対象となる空き家は1年以上利用されていないことが要件で、いずれの区分も10年以上の活用が条件です。

本制度は売却を目的とした改修には利用できません。子育て居住型は市街化調整区域内の指定地区に限られ、災害危険区域や土砂災害警戒区域などは対象外です。旧耐震基準の建物は耐震性の確保が必要で、交付決定日より前に工事請負契約を結ぶと補助対象外になります。

 

FAQ:空き家が売れない問題に関するよくある質問

売れない実家を手放すにはどのような方法がありますか?

一般的な仲介で買い手が見つからない場合は、古家付き土地として売り出す、解体して更地で売却する、買取専門業者に依頼する、といった方法が検討しましょう。時間をかけずに手放したい場合は買取業者の利用がおすすめです。買い手も借り手も見つからない土地であれば、相続土地国庫帰属制度で国に引き取ってもらうこともできます。

空き家は何年放置するとダメになりますか?

明確な基準はありませんが、人が住まない状態が続くと数年単位で急速に劣化が進みます。換気がされず湿気がこもることで、内部の腐食やカビ、シロアリ被害が広がりやすくなります。庭木や雑草の繁茂、害獣の侵入、不法投棄も起こりやすく、近隣トラブルや自治体からの指導につながることがあります。特定空家に指定されると固定資産税が最大6倍になるため、早めの対応が重要です。

築20年の家は3000万円からどれほど価値が下がりますか?

築20年の木造一戸建ての残存価値は新築時の約15%程度です。3,000万円で購入した家であれば、建物価値は450万円前後まで下がる計算になります。木造住宅の法定耐用年数は22年とされており、これを超えると税務上の資産価値はほぼゼロとなり、売却価格は土地価値が中心になります。ただし、立地やメンテナンス状況、リフォーム歴によって実際の評価は変動します。

売れない空き家は「ワケガイ」にご相談ください!

当社(株式会社ネクスウィル)は、訳あり物件の買取に特化したサービスであるワケガイを提供しています。老朽化が進んだ空き家や共有名義の不動産、再建築不可の土地など、通常の市場では買い手が見つかりにくい物件でも、現状のままお引き取りできる点が特徴です。

空き家は放置期間が長くなるほど売却条件が悪くなり管理負担も増えます。

しかし、ワケガイでは最短即日の買取提示が可能で専門家と連携しながら手続きをスムーズに進められます。

相談の費用はかかりませんので、全国どこからでもお申し込みいただけます。空き家の売却にお悩みの方はお気軽に無料査定をご活用ください。

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この記事の監修者

監修者プロフィール写真

丸岡 智幸 (宅地建物取引士)

訳あり不動産の買取を専門にする会社の代表取締役。
相続やペアローンによる共有持分、空き家、再建築不可物件、借地、底地など、権利関係が複雑な不動産の買取を専門としている。
訳あり不動産の買取サービス「ワケガイ」、空き家、訳あり不動産CtoCプラットフォーム「空き家のURI・KAI」を運営。
買取の経験をもとに、訳あり不動産の解説をする著書『拝啓 売りたいのに家が売れません』を2024年5月2日に出版。

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