「借地権付き建物は売れない」と聞いたことはありませんか?
借地権付き建物は、土地を借りて建物だけを所有している不動産です。
通常の所有権物件とは異なり、「買い手が見つからない」「思ったより安くしか売れない」といった問題が起こりやすい傾向があります。
借地権付き建物が売れないといわれる理由は、借地権特有の権利関係や費用負担によって、購入希望者が限られてしまうことです。しかし、借地権の種類や契約内容を確認し、自分の状況に合った方法を選べば、売却できる可能性は十分にあります。
本記事では、訳あり物件不動産の専門家であるワケガイ編集部が借地権付き建物が売れない理由や売却相場、売却方法について詳しく解説します。
について今すぐご相談できます。
訳アリ物件専門のワケガイ編集部について
「ワケガイ」のコラムは、相続した空き家、共有持分、再建築不可物件、借地・底地など、いわゆる“訳あり不動産”にお悩みの方が、売却・処分・活用の判断を正しく行えるようにすることを目的に運営しています。私たちは運営会社・株式会社ネクスウィルが訳あり不動産の買取実務で培った一次情報にもとづいた記事づくりを徹底しています。
編集ポリシー・コンテンツ制作方針の詳細借地権付き建物とは?売れない理由を解説

地権付き建物が売れないと言われる理由は、以下のとおりです。
- 土地と建物の所有権が異なり権利関係が複雑
- 地主の許可が必要で売却に費用と時間がかかる
- 借地権付きだと住宅ローンの審査が厳しくなり売れにくい
- 地代や更新料が固定負担となり継続的に支出がある
- 建物が老朽化して資産価値が低下している
ここからは、各理由について詳しく解説します。
土地と建物の所有者が異なるため売却に制限がかかる
借地権付き建物が建っている土地は地主から借りている状態です。
特に、購入を検討する人は次のような点に不安を感じやすい傾向があります。
- 自由に売却・建替えできない
- 将来の費用負担が読みにくい
- 資産価値が下がりやすい
- 権利関係が複雑でトラブルにならないか
借地権付き建物は「売れない」というよりも、「通常の不動産より売却のハードルが高い不動産」なのです。
地主の譲渡承諾と承諾料が必要になる

借地権には、建物の所有を目的とする「地上権」と「土地の賃借権」があります。
どちらに該当するかによって、第三者へ売却するときの扱いが異なります。
土地の賃借権を第三者へ譲渡する場合は、原則として地主の承諾が必要です。一方、地上権であれば、原則として地主の承諾を得ずに譲渡できます。
そのため、売却を始める前に、借地契約書や登記事項証明書から権利の種類を確認しておくことが重要です。
土地の賃借権について地主の承諾が得られない場合でも、一定の要件を満たせば、裁判所へ申し立てて地主の承諾に代わる許可を求められます。
また、譲渡承諾料は法律で一律に定められているものではありません。借地権価格の10%前後が実務上の目安とされることはありますが、契約内容や地域、地主との交渉によって金額は変わります。
住宅ローン審査が通りにくく買主が限定される
借地権付き建物は、普通の戸建てより住宅ローンを組みにくくなります。
土地を所有していないことから、金融機関が担保価値を低く見積もるためです。
借地権付き建物の住宅ローン審査が通りにくくなる理由は以下のとおりです。
- 土地を所有してないので担保価値が下がる
- 借地契約の残存期間が短いと長期ローンが組みにくい
- 地主の譲渡承諾や承諾料の支払いが必要になる場合があり、手続きが複雑になりやすい
借地権付き建物は再売却がしにくいため融資に慎重になる購入希望者の多くは住宅ローンを利用するため、融資を受けにくい物件は買主が限られます。特に定期借地権のように契約満了がある物件は、残存期間が短いほど審査で不利になり、、売却期間の長期化や価格下落につながります。
毎月の地代や更新料など継続的な負担がある

借地権付き建物を購入すると、建物の購入代金に加えて、土地を利用するための費用が発生します。
| 費用項目 | 内容 | 金額の考え方 |
| 地代 | 地主へ支払う土地の使用料 | 借地契約で定めた金額 |
| 更新料 | 契約更新時に発生することがある費用 | 契約内容や地域の慣行などによって異なる |
| 譲渡承諾料 | 土地の賃借権を譲渡する際、地主の承諾を得るために支払うことがある費用 | 借地権価格の10%前後が一つの実務目安だが、法定率ではない |
| 建替承諾料 | 建て替えについて地主の承諾を得る際に発生することがある費用 | 契約内容や交渉条件によって異なる |
借地契約ごとに負担条件が異なるため、「更新料は〇%」「建替承諾料は〇%」と一律に判断することはできません。購入希望者に費用を説明できるよう、売却前に契約書と過去の支払履歴を確認しておくと、将来の負担を整理しやすくなります。
建物が古く資産価値が下がっているケースが多い
借地権付き建物は、築年数が古く、建物自体の価値が下がっていることも多くあります。
建物の評価が低い場合、売却価格は建物よりも借地権の価値を中心に判断されます。
特に、老朽化した建物では、買主は以下のポイントを気にします。
- 雨漏りや設備故障がないか
- 建替えができるか
- 解体費用がかかるか
- そのまま住める状態か
例えば、築30年以上の木造住宅では、建物価格がほとんど付かず「古家付きの借地権」として評価されることがあります。
売却前には、建物の状態だけでなく、建替えや増改築ができる契約内容かどうかも確認しておきましょう。
借地権付き建物の種類による売却難易度の違い

借地権の種類によって、契約期間や更新の有無、契約終了時の扱いが変わります。
売却を検討するときは、「定期借地権」と一括りにせず、どの権利が設定されているかまで確認する必要があります。
| 借地権の種類 | 存続期間 | 売却時の主な確認点 |
| 旧法借地権 | 設定時期・契約内容による。期間の定めがない場合の法定期間は堅固建物60年、その他の建物30年 | 契約期間、更新状況、権利の種類を確認する |
| 普通借地権 | 当初30年以上。最初の更新は20年以上、2回目以降は10年以上 | 更新状況と残存期間を確認する |
| 一般定期借地権 | 50年以上 | 更新がなく、残存期間が売却条件へ影響しやすい |
| 一時使用目的の借地権 | 一時的な利用目的に応じた短期間 | 売却対象になりにくい |
| 事業用定期借地権等 | 10年以上50年未満 | 事業用建物に限定され、居住用には利用できない |
| 建物譲渡特約付借地権 | 30年以上 | 一定期間経過後に建物を地主へ譲渡して借地権を消滅させる特約を確認する |
| 一時使用目的の借地権 | 利用目的に応じる | 一時使用であることを前提に契約内容を確認する |
旧借地権は借地人の権利が強く比較的売却しやすい

旧借地権とは、現在の借地借家法が施行された1992年8月1日より前に設定された借地権です。
旧借地法では、契約で期間を定めていない場合の存続期間について、堅固な建物は60年、その他の建物は30年とされていました。契約で期間を定めている場合は扱いが異なるため、実際の契約期間は借地契約書を確認する必要があります。
また、1992年8月1日より前に設定された借地権については、建物の朽廃や契約更新などの一部で旧借地法のルールが引き続き適用されます。
売却する場合は、新法・旧法の区別だけで判断せず、設定時期、契約期間、更新履歴を整理しておくことが重要です。
普通借地権は更新できるため買主が見つかりやすい
普通借地権は、当初の契約期間は30年以上とされており、契約期間が満了しても更新が認められています。
購入後も継続して利用できる可能性が高く、定期借地権と比べると買主が見つかりやすい傾向があります。
ただし、建物の建て替えや譲渡に地主の承諾が必要になることもあるため、自由に売却できるわけではありません。
それでも、契約更新によって長期利用が期待できることから、借地権付き建物の中では比較的需要があり、売却しやすい種類といえます。
定期借地権は残存期間が短いほど売却しにくくなる
定期借地権等には複数の種類があり、すべてが「50年以上・更地返還」という同じ条件ではありません。
一般定期借地権は50年以上で設定され、契約の更新や建物築造による期間延長を行わない特約を設けます。事業用定期借地権等は10年以上50年未満で、事業用建物の所有を目的とする制度です。
これに対して、建物譲渡特約付借地権は30年以上経過した日に建物を地主へ相当の対価で譲渡し、借地権を消滅させる特約を設けます。
そのため、売却時には「定期借地権かどうか」だけではなく、具体的な種類と残存期間を確認することが重要です。利用できる残存期間が短ければ、買主の利用期間や資金計画に影響し、売却条件が厳しくなる可能性があります。
一時使用目的の借地権は売却の対象になりにくい
一時使用目的の借地権とは、工事現場の仮設事務所やイベント施設など、一時的な利用を目的として設定される借地権です。
借地借家法では、臨時設備などの一時使用を目的とする場合には、普通借地権や定期借地権に関する規定を適用しないこととされています。
(参考:e-Gov 法令検索「借地借家法」)
一時使用目的では、短期間の利用を前提としているため、第三者が購入して長期間利用することは想定されていません。
そのため、不動産市場で売買の対象となるケースは少なく、売却が難しい借地権といえます。
借地権付き建物を売却する4つの方法

借地権付き建物を売却する4つの方法は、以下のとおりです。
- 地主に買い取ってもらう
- 第三者へ売却する
- 底地を買い取って所有権化して売却する
- 借地権専門の買取業者へ売却する
次項より、詳しく解説します。
方法①:地主に買い取ってもらう
地主にとっては、借地権が消滅することで土地を自由に利用できるようになるため、条件次第では買い取りに応じてもらえる可能性があります。
地主へ売却する場合のメリット・デメリットは、以下のとおりです。
| メリット |
|
| デメリット |
|
| 向いている人 |
|
まずは地主の意向を確認し、交渉の余地があるかを探ることが大切です。
方法②:第三者に買い取ってもらう
借地権付き建物を第三者へ売却する方法は、最も一般的な売却方法でしょう。特徴は、以下のとおりです。
| メリット |
|
| デメリット |
|
| 向いている人 |
|
ただし、借地権付き建物は権利関係が複雑であるため、通常の不動産よりも買主が見つかりにくいのが実情です。
なお、借地契約の内容によっては、地主の承諾が得られなければ売却を進められない場合があります。
方法③:底地権を買い取って売却する
地主が所有する底地権を買い取り、土地と建物を一体の所有権不動産にしてから売却する方法もあります。
メリット・デメリットをまとめると、以下のとおりです。
| メリット |
|
| デメリット |
|
| 向いている人 |
|
この場合、底地の価格は高額になるケースが多く、まとまった資金を用意しなければなりません。また、地主に売却の意思がなければ実現できない方法でもあります。
方法④:借地権専門の買取業者に売却する

「地主が買い取ってくれない」「第三者への売却が進まない」という場合は、借地権を専門に扱う買取業者へ売却する方法があります。
専門業者は、地主との交渉や権利関係の整理を前提に物件を購入するため、一般の不動産会社では取り扱いが難しい借地権付き建物でも対応可能です。
| メリット |
|
| デメリット |
|
| 向いている人 |
|
訳あり物件の買取専門サービスであるワケガイでは、借地権付戸建の買取実績もあります。借地権があるためどの業者も買い取ってくれないとお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
借地権付き建物売却における手取額

借地権付き建物の売却では「想定していたより手元に残る金額が少なくなった」とならないよう、以下の2点を知り、売却前におおまかな金額を把握しておくことも大切です。
- 借地権割合と借地権価格の計算方法
- 承諾料・名義書換料など売却時にかかる費用
借地権価格の計算方法と、売却時に発生する主な費用について解説します。
借地権割合と借地権価格の計算方法
借地権割合は、相続税や贈与税の財産評価に用いられる割合で、地域ごとに国税庁の路線価図や評価倍率表へ表示されています。
一般的な借地権の相続税評価額は、次の式で計算します。
借地権の相続税評価額=自用地としての価額×借地権割合
例えば、自用地としての評価額が3,000万円、借地権割合が70%なら、相続税評価上の借地権価額は2,100万円です。
ここで注意したいのは、この金額がそのまま実際の売却価格になるわけではない点です。
実際の取引価格には、借地契約の残存期間や地代、地主の譲渡承諾、建物の状態、立地、買主の資金調達など複数の条件が影響します。また、一般定期借地権や事業用定期借地権等では、相続税評価の方法自体も異なります。
借地権割合は売却価格を直接算出する式としてではなく、借地権の価値を検討する際に参照できる一つの資料として捉えるとよいでしょう。
承諾料・名義書換料など売却時にかかる費用
借地権付き建物を売却する際は、通常の不動産売却費用に加え、地主との契約関係から費用が発生する場合があります。
| 費用項目 | 目安・確認方法 | 内容 |
| 譲渡承諾料(名義書換料) | 借地権価格の10%前後が一つの実務目安。ただし法定率ではない | 土地の賃借権を譲渡する際の承諾について地主と取り決める費用 |
| 仲介手数料 | 売買価格に応じた法定上限を確認する | 買主探しや契約手続きに対する報酬 |
| 印紙税 | 契約書に記載する契約金額によって異なる | 売買契約書などの課税文書にかかる税金 |
| 登記関係費用 | 必要な登記手続きによって異なる | 抵当権抹消などが必要な場合に発生する費用 |
仲介手数料の「売却価格×3%+6万円+消費税」という速算式は、売買価格が400万円を超える場合に用いられる計算方法です。また、価格800万円以下の宅地・建物には、一定の条件で「低廉な空家等」の特例が適用される場合があります。
印紙税についても一律ではなく、契約書に記載した金額によって税額が変わります。不動産の譲渡契約書には、2027年3月31日まで軽減措置が設けられています。
借地権付き建物を売却する際の注意点
借地権付き建物を売却する際の注意点は、以下のとおりです。
- 借地権の種類と契約内容を確認する
- 地主の譲渡承諾を事前に得る
- 借地人に認められる権利の範囲を整理する
- 建物時価と借地権価格のバランスを取る
- 売却に必要な書類を揃える
- 契約不適合責任のリスクに備える
ここからは、上記について個別に解説します。
借地権の種類と契約内容を確認する
借地権の種類によって、売却方法や必要な手続きは変わってきます。
例えば、普通借地権と定期借地権では契約更新の有無が異なるといった形です。
売却前には、少なくとも以下の項目を確認しておきましょう。
- 借地権の種類
- 契約期間と残存期間
- 契約更新の有無
- 地代の改定条件
- 建替えに関する条項
- 譲渡承諾の条件
古い借地契約では「契約書を紛失している」「契約内容が曖昧になっている」こともあります。
まずは借地契約書や登記事項証明書を確認し、自分の借地権がどのような内容になっているのかを把握しましょう。
地主の譲渡承諾を事前に得る
借地権付き建物を第三者へ売却する場合、契約内容によっては地主の譲渡承諾が必要です。
買主が決まってから承諾を求めると、交渉が長引いて契約が破談になることもあるため、売却を検討し始めた段階で地主へ相談しておきしょう。
事前に確認しておきたい事項は、以下のとおりです。
- 借地契約上、地主の譲渡承諾が必要か
- 譲渡承諾料が発生するか
- 承諾料はいくら程度を求められるか
- 地主が売却に協力的か
承諾を得るまでにどのくらい時間がかかるかまた、地主によっては、そもそも借地権の売却に前向きではないこともあるでしょう。できるだけ早い段階で相談し、協力を得られる環境を整えておくことが大切です。
借地人に認められる権利の範囲を整理する
借地契約の内容によっては、建物の建替えや借地権の譲渡に制限が設けられている場合があります。
これらを把握しないまま売却を進めると、契約後のトラブルにつながることもあります。
確認したい項目は以下のとおりです。
| 確認項目 | 確認する理由 |
| 建物の増改築・建替えの可否 | 建物の利用価値に影響するため |
| 借地権の譲渡・転貸の可否 | 売却手続きに制限が生じるため |
| 地代の支払い条件 | 将来的な負担を把握するため |
| 契約期間満了時の建物の取り扱い | 更地返還義務の有無を確認するため |
例えば、建替えが自由にできない借地権や、契約終了時に建物を解体して返還しなければならない借地権は、買主にとって大きな負担になります。
売却活動を始める前に借地契約書を確認し、権利の範囲を整理しておく必要があります。
建物時価と借地権価格のバランスを取る
借地権付き建物の売却価格は、建物の価値だけで決まるわけではなく、以下の要素によって左右されます。
| 価格要素 | 主な判断材料 |
| 建物の時価 | 築年数、構造、設備、修繕状況など |
| 借地権価格 | 借地権割合、残存期間、地代など |
| 権利関係 | 地主との関係、譲渡承諾の取得状況など |
例えば、築40年の建物では建物自体の価値がほとんど残っていない一方、立地が良く借地権割合が高い場合は、借地権の価値が価格の大部分を占めることがあります。
相場とかけ離れた価格設定をすると、売却が長期化する原因になりますので、借地権の取扱実績が豊富な不動産会社へ査定を依頼することをおすすめします。
売却に必要な書類を揃える
借地権付き建物の売却時、必要書類が不足していると、買主や金融機関の確認作業に時間がかかり、売却手続きが長引くことがあります。
主な必要書類は以下のものが挙げられます。
| 書類名 | 用途 | 取得方法 |
| 建物の登記事項証明書 | 所有者や権利関係の確認 | 法務局または登記情報提供サービスで取得 |
| 借地契約書 | 契約内容や残存期間の確認 | 手元の契約書を確認。紛失時は地主へ相談 |
| 固定資産税納税通知書 | 税額や物件情報の確認 | 毎年自治体から送付。紛失時は市区町村へ相談 |
| 建物の図面・設備資料 | 建物状況の確認 | 購入時資料や建築会社の資料を確認 |
| 地主の譲渡承諾書 | 譲渡承諾が必要な場合 | 地主と協議して作成 |
| 譲渡承諾料の領収書 | 承諾料支払いの証明 | 地主へ支払い後に発行してもらう |
古い借地権では、契約書を紛失していることもあります。その場合は、地主や不動産会社へ相談し、契約内容を確認しながら手続きを進めましょう。
契約不適合責任のリスクに備える
契約不適合責任とは、引き渡した不動産が契約で定めた種類や品質などに適合していない場合に、売主が負う可能性のある責任です。
借地権付き建物では、建物そのものの状態に加えて、借地契約の内容も正確に整理しておく必要があります。
<売却前に確認したい項目>
- 雨漏りやシロアリ被害など、把握している建物の不具合
- 借地契約の期間や地代
- 譲渡や建て替えに関する制限
- 境界や越境などの権利関係
- 地主との間で交わしている特約や合意
築年数が古いからという理由だけで、一律に「免責条項を設ければよい」と判断するのは適切ではありません。
契約不適合責任について特約を設けられる場合もありますが、売主と買主の属性や契約内容によって効力が異なります。特に宅地建物取引業者が自ら売主となる取引では、買主に不利な特約について宅地建物取引業法上の制限があります。
把握している不具合や借地条件を事前に整理し、契約書へどのように反映するかを不動産会社や法律の専門家と確認することが重要です。
地主の承諾が得られない場合の対処法

借地非訟手続きや地主との買取交渉など、承諾が得られない場合の主な選択肢を整理しています。
土地の賃借権を伴う借地権付き建物を第三者へ売却する場合、地主から譲渡承諾を得られないことがあります。
| 対処法 | 概要 | 向いているケース |
| 借地非訟手続き | 裁判所に地主の承諾に代わる許可を求める | 地主が正当な理由なく承諾しない場合 |
| 建物のみの売却 | 借地契約の解消を前提に建物を処分する | 借地権自体を手放したい場合 |
| 任意売却 | 金融機関の同意を得て売却する | 住宅ローンの返済が困難な場合 |
| 専門家への依頼 | 交渉を第三者へ委ねる | 地主との関係が悪化している場合 |
状況によっては複数の選択肢があるため、まずは自身の状況に合った対処法を把握することが大切です。
次項より、それぞれの対処法を解説します。
借地非訟手続きで裁判所に許可を求める
土地の賃借権を伴う建物を第三者へ譲渡したいにもかかわらず地主の承諾を得られない場合、借地借家法19条に基づく借地非訟手続きを利用できることがあります。
対象となるのは、買主が土地の賃借権を取得しても地主に不利となるおそれがないにもかかわらず、地主が譲渡を承諾しないケースです。
裁判所は、賃借権の残存期間やこれまでの借地関係、譲渡が必要となった事情などを考慮して判断します。また、当事者間の利益を調整するため、金銭の支払いなどを条件として許可することもあります。
申立てをすれば必ず許可される制度ではないため、売却条件や買主の資力などを整理して進めることが重要です。
建物のみの売却を試みる
「建物だけを売れば、地主の承諾は必要ない」とは限りません。
土地の賃貸借契約に基づく借地権付き建物では、建物の第三者への譲渡に伴って土地の賃借権も移転するため、原則として地主の承諾が問題になります。
借地権自体を手放すのであれば、借地契約を終了できるか、建物を地主へ譲渡するのか、解体して土地を返還するのかといった条件を地主と協議する必要があります。
地主の承諾を回避する方法として「建物だけを第三者へ売却する」と考えるのではなく、借地契約の終了と建物の処分方法を一体で整理することが大切です。
任意売却を検討する
任意売却は、住宅ローンなどの返済が困難になった場合に、債権者である金融機関の同意を得て不動産を売却する方法です。
そのため、地主から譲渡承諾を得られないこと自体を解決する制度ではありません。
土地の賃借権を伴う借地権付き建物を任意売却する場合も、地主の譲渡承諾が必要となる問題は別に残ります。住宅ローンの返済問題がある場合に限り、金融機関との調整と地主との調整を並行して進める選択肢として検討することになります。
地主との交渉を専門家に依頼する
地主との関係が悪化していて、自分で交渉することに不安がある場合は、専門家へ依頼することも有効です。
借地権を取り扱う不動産会社や弁護士であれば、過去の事例を踏まえて交渉を進めてもらえます。
専門家へ依頼するメリットは以下のとおりです。
<交渉代行を依頼するメリット>
- 感情的な対立を避けやすい
- 適正な承諾料を判断できる
- 法的手続きを検討できる
- 売却まで一貫してサポートを受けられる
特に、借地権のトラブルは法律と不動産実務の両方の知識が必要になるため、当事者同士だけで解決しようとすると長期化することがあります。
借地権付き建物を少しでも高く売るコツ
借地権付き建物を少しでも高く売却したい場合は、以下のポイントを意識しましょう。
- 建物の状態を整える
- 借地権のメリットを整理する
- 複数の不動産会社へ査定を依頼する
以下より、個別に解説します。
建物のリフォームで価値を高める
借地権付き建物でも、建物の状態が良ければ買主が見つかりやすくなり、売却価格の改善に繋がります。
以下のように、比較的少ない費用で印象を改善できるリフォームは、売却前に検討する価値があります。
| リフォーム内容 | 期待できる効果 | 費用目安 |
| 壁紙や床の張り替え | 室内の印象が良くなり、内覧時の評価が上がりやすい | 5万〜30万円程度 |
| 水回り設備の交換・補修 | 購入後の修繕負担への不安を軽減できる | 30万〜150万円程度 |
| 外壁や屋根の部分補修 | 建物の老朽化した印象を和らげられる | 20万〜100万円程度 |
| 給湯器や設備の交換 | 「すぐ住める家」として訴求しやすい | 15万〜50万円程度 |
ただし、大規模なリフォームを行えば高く売れるとは限りません。
まずは借地権に詳しい不動産会社へ相談し、必要な範囲だけ手を入れることをおすすめします。
立地など借地権の強みをアピールする
借地権付き建物を売却する際は、建物だけでなく、借地権そのもののメリットを買主へ伝えることも大切です。
以下のような条件は買主にとってプラス材料になります。
| 買主に伝える情報 | 買主にとってのメリット |
| 駅から近い立地 | 資産価値や利便性が高い |
| 借地権の残存期間が長い | 長期間利用できる |
| 地代が周辺相場より低い | 維持費を抑えられる |
| 更新可能な借地権である | 将来的な利用の安心感がある |
| 建替えが認められている | 自由度が高い |
普通借地権や旧借地権は、契約更新が見込めるため、定期借地権よりも需要が高い傾向があります。
売却時には、「なぜこの物件に価値があるのか」を具体的に整理し、買主へ分かりやすく伝えることが高値売却に繋がるでしょう。
複数の不動産会社に査定を依頼する
借地権付き建物は、不動産会社によって借地権の評価方法や地主との交渉ノウハウが異なるため、同じ物件でも査定額に数百万円の差が出ることもあります。
比較したいポイントは以下のとおりです。
| 比較項目 | 確認ポイント |
| 査定額 | 相場とかけ離れていないか |
| 借地権の取扱実績 | 売却事例が豊富か |
| 地主との交渉経験 | 承諾取得のサポートがあるか |
| 販売戦略 | どのような買主を想定しているか |
| 費用 | 仲介手数料や諸費用 |
1社だけで売却を決めてしまうと、本来より安い価格で手放してしまう可能性があります。
まずは複数の不動産会社へ相談し、査定額だけでなく、借地権の取扱実績や提案内容も含めて比較しましょう。
売却タイミングを契約更新前後で見極める
借地権付き建物は、売却するタイミングによって価格が変わることがあります。特に変動しやすいのは、以下のタイミングです。
| 売却タイミング | 特徴 | 注意点 |
| 更新直後 | 利用期間が長く、買主が見つかりやすい | 更新料を支払った直後は手取り額も確認する |
| 契約満了が近い時期 | 価格が下がりやすい | 住宅ローン審査で不利になりやすい |
| 残存期間が十分にある時期 | 比較的有利に売却しやすい | 早めに売却準備を進めると選択肢が広がる |
借地権付き建物の売却を検討している場合は、契約期間の残りや更新時期も踏まえ、早めに売却の準備を進めましょう。
「ワケガイ」なら借地権付き建物も短期で買取可能!

当社が提供するワケガイは、借地権付き建物をはじめ、通常の不動産市場では売却しにくい物件の買取に対応しています。
借地権付き建物は、一般的な不動産会社では取り扱いが難しいのが実情です。ワケガイでは、こうした権利関係を踏まえて査定を行い、売却方法をご提案します。
「地主との交渉が進まない」「建物が古く買主が見つからない」「他社で断られた」といった借地権付き建物でも、状況に応じて買取いたします。
借地権付き建物の売却でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
借地権付き建物が売れない場合についてよくある質問
借地権付き建物が売れない場合についてよくある質問は、以下のとおりです。
- 借地権付き建物は売却できますか?
- 建物を解体して更地に戻す必要はあるか?
- 借地権の建物が老朽化したらどうなる?
- 地主は借地権付き建物の買取を拒否できますか?
- 借地権付き建物のメリットとデメリットは何ですか?
それでは、それぞれの質問とその回答を紹介します。
借地権付き建物は売却できますか?
借地権付き建物は売却できます。ただし、借地権が土地の賃借権である場合、建物の譲渡に伴う賃借権の移転には原則として地主の承諾が必要です。一方、地上権であれば、原則として地主の承諾を得ずに譲渡できます。土地の賃借権について承諾が得られない場合でも、一定の要件を満たせば、借地非訟手続きによって裁判所へ地主の承諾に代わる許可を求められます。
建物を解体して更地に戻す必要はあるか?
借地権の種類と契約内容によって異なります。一般定期借地権や事業用定期借地権等では、契約終了時に建物を取り壊して土地を返還することが原則です。一方、建物譲渡特約付借地権は、設定から30年以上経過した時点で建物を地主へ相当の対価で譲渡して借地権を消滅させる仕組みであり、更地返還とは異なります。普通借地権や旧借地権についても一律ではないため、借地契約書で契約終了時の条件を確認する必要があります。
借地権の建物が老朽化したらどうなる?
建物が老朽化しただけで、借地権が一律に消滅するわけではありません。1992年8月1日より前に設定された借地権については、建物の朽廃による借地権の消滅に旧借地法のルールが引き続き適用されます。一方、現在の借地借家法には、建物が朽廃しただけで借地権を当然に消滅させる同様の規定はありません。設定時期や契約期間によって扱いが変わるため、古い借地権では契約書と設定時期を確認することが重要です。
地主は借地権付き建物の買取を拒否できますか?
借地人から地主へ任意で買取りを持ちかけた場合、地主に応じる義務があるわけではないため、買取りを断られることがあります。一方、借地権の存続期間が満了して契約が更新されない場合には、借地借家法13条に基づき、借地人が地主へ建物などを時価で買い取るよう請求できる制度があります。任意の買取交渉と法律上の建物買取請求権は別のものです。実際に買取請求権を行使できるかは、契約が終了した経緯や借地権の種類などを確認して判断する必要があります。
借地権付き建物のメリットとデメリットは何ですか?
メリットは、土地を購入しないため取得時の負担を抑えやすく、土地そのものの固定資産税を建物所有者が直接負担しないことです。一方、地代が継続的に発生するほか、土地の賃借権では売却や建て替えに地主の承諾が必要になる場合があります。住宅ローンの利用や将来の売却で条件が付くこともあるため、購入時には契約期間や地代、譲渡条件まで確認しておくことが重要です。
まとめ:借地権に詳しい不動産会社に早めに相談しよう
借地権付き建物は、土地と建物の所有者が異なるため、一般的な所有権物件より売却のハードルが高くなります。
地主の譲渡承諾、承諾料、住宅ローンの通りにくさ、地代や更新料の負担などが、買主の不安につながるためです。
借地権付き建物を売却するなら、契約内容と手取り額を整理したうえで、借地権に詳しい不動産会社へ早めに相談しましょう。












