「借地権を売りたいが、いくらで売れるのか分からない」「地主に買い取ってもらう場合の相場や、借地権付き建物の売却価格を知りたい」とのお悩みは多く耳にします。
借地権の売却相場は、一般的に更地価格の10〜50%程度が目安です。
ただし、借地権の種類や残存期間、地主との関係、売却方法によって価格は変わります。
相場を知らずに売却を進めると、本来より安く売ってしまったり、地主との交渉で手続きが進まなくなったりすることがあります。借地権は、一般的な不動産より権利関係が売却価格に影響しやすいためです。
本記事では借地権・訳あり不動産の専門家であるワケガイ編集部が、借地権の売却相場や計算方法、売却時の注意点について解説します。
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目次
借地権の売却相場はいくら?早見表で目安を確認

借地権の売却相場は更地価格の10~50%
借地権の売却相場は、更地価格の10〜50%程度がひとつの目安です。まずは全体の相場感を確認しておきましょう。
| 借地権の条件 | 売却相場の目安(更地価格比) |
| 条件が良い(都市部・権利関係が良好) | 40〜50%前後 |
| 一般的な借地権 | 20〜40%前後 |
| 条件に難あり(地方・制約あり) | 10〜30%前後 |
借地権は土地の所有権ではなく「土地を使う権利」のため、立地や契約条件によって価格差が大きくなります。
同じ借地権でも、地主の承諾条件や残りの借地期間によって査定額は変わります。「更地価格の何割か」という目安と、個別条件の確認をセットで考えることが売却価格を見極めるポイントです。
更地価格の10〜50%が目安となる5つの理由
借地権の売却価格が更地価格の10~50%になるのは、利用する権利だけを売る性質上、以下の5つの安くなる理由が存在します。
| 理由 | 内容 |
| 土地そのものを売るわけではない | 借地権は土地の所有権ではなく、利用する権利だけを売るため、更地価格の満額にはなりにくい |
| 借地権の種類によって権利の強さが違う | 旧法借地権は高くなりやすく、定期借地権は安くなりやすい |
| 契約の残り期間で価値が変わる | 残存期間が短いと、買主にとって使いにくくなり価格が下がりやすい |
| 地主の承諾条件が影響する | 譲渡承諾や承諾料の条件が厳しいと、売却しにくくなる |
| 地代や利用条件に差がある | 地代が高い、再建築に制限があるなど、負担が大きいと価格が下がりやすい |
借地権は契約内容によって使いやすさが変わるため、価格差も大きくなります。
つまり、借地権の価格は「更地価格の何割」と一律に決まるのではなく、買主がその借地権を使いやすいかどうかで変わるのです。
査定を受ける際は、更地価格だけでなく、上記の条件も一緒に確認しておくと判断しやすくなります。
売却先別の相場一覧(地主・第三者・不動産業者)

| 相場の目安 | メリット | 注意点 | |
| 地主 | 借地権価格の50〜100%程度 | 交渉がまとまればスムーズ | 相場より安く買い取られることがある |
| 第三者(仲介・一般買主) | 更地価格の20〜50%程度 | 高値で売れる可能性がある | 地主の譲渡承諾が必要 |
| 不動産業者(買取) | 更地価格の10〜30%程度 | 売却までが早い | 買取価格は低くなりやすい |
借地権は「誰に売るか」で相場が変わります。
一般的には、第三者への売却が最も高値になりやすく、地主への売却は相場より低くなる傾向があります。
すぐに手放したいなら不動産買取への売却、高く売りたいなら仲介・第三者売却という形で考えると判断しやすいでしょう。
借地権の譲渡には地主の承諾が原則必要であり、借地借家法上も一定のルールが定められています。
(参考:e-Gov 法令検索「借地借家法」)
旧法借地権と定期借地権で相場が違う理由
旧法借地権の方が、定期借地権より高く売れます。 理由は、旧法借地権の方が借地人の権利が強く、更新によって長く使える可能性が高いためです。
| 借地権の種類 | 相場への影響 | 主な理由 | 確認したいポイント |
| 旧法借地権 | 高くなりやすい | 更新前提で権利が強い | 契約が1992年8月以前か・更新できるか |
| 普通借地権(新法) | 中間 | 更新可能だが新法ルール | 契約期間がどのくらい残っているか |
| 定期借地権 | 安くなりやすい | 更新なし・返還前提 | 契約終了時期・返還条件 |
旧法借地権は、平成4年(1992年)8月より前の契約に多く、法定更新によって長期間使い続けられるケースがあります。
一方、定期借地権は借地借家法で「更新しない」ことを前提に設計されているため、買主から見ると資産価値が読みやすい反面、残り期間が短いと価格が下がりやすいのが特徴です。
借地権の売却先別の相場と特徴
借地権の売却先別の相場と特徴については、以下のとおりです。
| 売却先 | 相場目安(更地価格比) | 向いているケース | 特徴 |
| 地主に買い取ってもらう | 30〜50%程度 | 早く整理したい | 承諾料が不要なことが多く、売却が進みやすいが、価格は下がりやすい |
| 第三者に売却する(仲介) | 50〜70%程度 | 高値売却を狙いたい | 高値を期待しやすいが、地主の承諾料や買主探しが必要 |
| 不動産業者に買い取ってもらう | 30〜50%程度 | すぐ現金化したい | 売却が早く、権利関係が複雑でも対応しやすい |
| 借地権と底地を同時に売却する | 80〜100%程度 | 高値売却を狙いたい | 完全所有権として売れるため、市場価格に近づきやすい |
借地権は、売却先によって「価格」と「売りやすさ」が大きく変わります。高く売りたいなら第三者売却、早く手放したいなら地主や不動産業者への売却という形で、何を優先するかによって選び方が変わります。
借地権は地主との承諾関係も絡むため、相場だけでなく手続きの進めやすさも含めて判断しましょう。
地主に買い取ってもらう場合の相場
地主への売却は、借地権価格の50〜100%程度が目安です。一般的には第三者売却より安くなることがありますが、交渉がまとまれば比較的スムーズに売却しやすい方法です。
| 項目 | 内容 |
| 相場の目安 | 借地権価格の50〜100%程度 |
| 向いているケース | 早く整理したい・地主が買い取りに前向き |
| メリット | 売却が進みやすい |
| 注意点 | 相場より安くなることがある |
地主は、借地権を買い取ることで底地と借地権を一本化できるため、メリットがあります。
地主に買い取る義務はないため、交渉では「安い価格なら買う」という条件になることもあるため、価格よりも早期売却や権利整理を優先したい場合に向いている方法です。
第三者に売却する場合の相場
第三者への売却は、更地価格の20〜50%程度が目安で、借地権売却の中では比較的高値を狙いやすい方法です。
| 項目 | 内容 |
| 相場の目安 | 更地価格の20〜50%程度 |
| 向いているケース | 高値売却を狙いたい |
| メリット | 市場価格に近い価格で売れる可能性がある |
| 注意点 | 地主の譲渡承諾が必要 |
なお、第三者売却では地主の譲渡承諾や承諾料が必要になることが多く、一般的な不動産より売却が進みにくいことがあります。
時間をかけても高く売りたい場合に向いていますが、売却まで長引くこともあるため留意しましょう。
等価交換で売却する場合の相場
等価交換は、借地権と底地を一本化し、その後の土地や建物を一定割合で分ける方法です。権利調整後の資産価値で評価され、借地権単独で売るより有利になることがあります。
| 項目 | 内容 |
| 相場の目安 | 借地権単独売却より高くなることがある |
| 向いているケース | 地主と協議ができる・再開発や建て替えを検討している |
| メリット | 権利関係を整理しやすい |
| 注意点 | 地主との合意が前提 |
借地権と底地を別々に持ったままだと売却価格が伸びにくい場合でも、等価交換で権利を整理すると、土地全体の価値を活かしやすくなります。
ただし、地主との合意や専門的な権利調整が必要になるため、一般的な借地権売却より手続きは複雑です。
底地と同時売却する場合の相場
底地と借地権を同時に売却する方法は、更地価格に近い価格を狙いやすい方法です。権利関係が一本化されるため、通常の借地権売却より市場価値が上がりやすくなります。
| 項目 | 内容 |
| 相場の目安 | 更地価格の80〜100%程度も期待できる |
| 向いているケース | 地主と共同売却できる |
| メリット | 高値売却を狙いやすい |
| 注意点 | 地主との協議が必要 |
借地権だけでは買い手が限られる物件でも、底地とセットで売却すれば「完全な所有権」として売れるため、買主が付きやすくなります。
借地権単独より高値になりやすい一方、地主との調整が前提になる点は事前に確認しておきましょう。
不動産買取業者に売却する場合の相場
不動産買取業者への売却は、更地価格の10〜30%程度が目安です。価格は低くなりやすいものの、借地権の中では比較的早く現金化しやすい方法です。
| 項目 | 内容 |
| 相場の目安 | 更地価格の10〜30%程度 |
| 向いているケース | 早く手放したい・権利関係が複雑 |
| メリット | 売却までが早い |
| 注意点 | 買取価格は低くなりやすい |
買取業者は、再販や権利調整を前提に価格を決めるため、仲介売却より安くなるのが一般的です。
「地主との関係が悪い」「建物が老朽化している」「買主が付きにくい」といった状況でも対応で得るため。価格よりもスピードや手間の少なさを優先したい場合に向いている方法です。
借地権の売却相場を自分で計算する方法

借地権の売却相場を自分で計算する方法については、以下のとおりです。
| 計算方法 | 向いているケース | 特徴 |
| 借地権割合を使って計算する方法 | 相場を具体的に知りたい | 路線価図を使って比較的正確に計算できる |
| 更地価格を目安に簡易計算する方法 | おおよその目安を知りたい | すぐに概算しやすい |
借地権の売却価格は、不動産会社の査定を取らなくても、ある程度の目安なら自分で計算できます。
比較的正確に知りたい場合は、国税庁の路線価図にある借地権割合を使う方法が基本です。
一方で、大まかな相場を知りたい場合は、更地価格をもとに簡易的に考える方法もあります。まずは計算方法ごとの特徴を確認していきましょう。
借地権割合を使って計算する方法

(出典:国税庁「路線価図・評価倍率表」)
借地権価格は、更地価格 × 借地権割合で計算します。事例を紹介します。
※借地権割合とは、土地価格のうち借地権が占める価値の割合で、国税庁の「路線価図・評価倍率表」で確認できる指標です。
| 計算例 | |
| 土地面積 | 100㎡ |
| 路線価 | 30万円/㎡ |
| 更地価格 | 3,000万円 |
| 借地権割合 | 60% |
| 借地権価格(目安) | 1,800万円 |
このケースでは、100㎡ × 30万円 = 更地価格3,000万円となり、借地権割合60%を掛けると、借地権価格の目安は1,800万円になります。
なお、「更地価格-(更地価格×借地権割合)」は底地価格を出す計算なので、借地権価格とは区別して考えましょう。
関連記事:底地を売却する方法とは?売却のメリットや注意点を紹介
路線価図から借地権割合を調べる手順
借地権割合は、路線価の数字の後ろに付いているアルファベットで確認できます。
| 手順 | 確認内容 | 具体例 |
| 手順① | 国税庁の路線価図を開く | 「路線価図・評価倍率表」で検索 |
| 手順② | 物件所在地を選ぶ | 都道府県 → 市区町村 → 地図 |
| 手順③ | 前面道路の表示を見る | 「300D」などの表記を確認 |
| 手順④ | アルファベットを割合に置き換える | D=60% |
借地権割合の目安は、A=90%、B=80%、C=70%、D=60%、E=50%、F=40%、G=30%です。 「300D」と記載されている場合は「300千円が路線価」「Dが借地権割合60%」を意味します。数字だけでなく、後ろのアルファベットまで確認することがポイントです。
更地価格を目安に簡易計算する方法
「借地権割合を調べるのは手間」という場合は、更地価格の50%前後を目安にする簡易計算も使えます。
| 更地価格 | 簡易計算(50%目安) | 概算の借地権価格 |
| 1,000万円 | ×50% | 約500万円 |
| 2,000万円 | ×50% | 約1,000万円 |
| 3,000万円 | ×50% | 約1,500万円 |
| 5,000万円 | ×50% | 約2,500万円 |
この方法は計算が簡単ですが、地域によって借地権割合は30〜90%まで差があります。おおよその相場を知るための方法として使い、売却を具体的に考える段階では路線価図や査定で確認しましょう。
【シミュレーション】土地評価3,000万円の場合
土地評価額が3,000万円でも、借地権割合によって借地権価格は大きく変わります。実際に数字で見ると、相場感をつかみやすくなります。
| 借地権割合 | 計算式 | 借地権価格の目安 |
| 70% | 3,000万円 × 70% | 2,100万円 |
| 60% | 3,000万円 × 60% | 1,800万円 |
| 50% | 3,000万円 × 50% | 1,500万円 |
| 40% | 3,000万円 × 40% | 1,200万円 |
同じ土地評価額でも、借地権割合が違うだけで数百万円単位の差が出ます。さらに実際の売却では、地主への売却なのか、不動産業者への買取なのかでも価格は変動します。
まずはこのようなシミュレーションで目安を把握したうえで、査定価格と比較すると判断しやすくなります。
借地権の売却相場が下がる5つの要因

借地権の売却相場が下がる主な要因については、主に以下の5つが挙げられます。
| 要因 | 相場への影響 | 確認したいポイント |
| 残存期間が短い | 買主が付きにくくなる | 契約の残り期間・更新条件 |
| 地代や更新料が高い | 維持費負担が重くなる | 毎月の地代・更新料 |
| 地主との関係が悪化している | 売却交渉が進みにくい | 譲渡承諾・過去のトラブル |
| 建物の老朽化が進んでいる | 修繕・解体負担が増える | 建物の状態・解体費用 |
| 再建築や増改築に制限がある | 活用しにくくなる | 建て替え条件・契約制限 |
借地権は、更地価格や借地権割合だけで売却価格が決まるわけではありません。買主から見て「購入後に使いにくい」「負担が大きい」と判断される条件があると、相場は下がりやすくなります。
売却前にどの条件が価格に影響するのか把握しておくと、その後の売却方法も選びやすくなりますので、しっかりと確認しましょう。
残存期間が短い
借地権は、残りの契約期間が短いほど相場が下がりやすくなります。
| 残存期間の目安 | 相場への影響 | 買主からの見え方 |
| 20年以上 | 比較的高くなりやすい | 長く利用できる |
| 10〜20年 | 標準的 | 条件次第 |
| 10年未満 | 下がりやすい | 更新リスクが大きい |
定期借地権は、契約満了後に土地を返還する前提のため、残存期間が短くなるほど価格が下がりやすくなります。
普通借地権でも、更新条件が不透明な場合は買主が慎重になるため、契約書で残りの借地期間と更新条件を確認しておくことが大切です。
地代や更新料が高い
借地権は、地代や更新料が高いほど相場が下がりやすくなります。 買主にとって購入後の維持費負担が大きくなるため、購入希望者が減りやすくなることが理由です。
| 費用項目 | 相場への影響 | 確認すべきこと |
| 地代が相場並み | 大きな影響は出にくい | 毎月の支払額 |
| 地代が高い | 下がりやすい | 周辺相場との差 |
| 更新料が低い・明確 | 影響が出にくい | 更新条件 |
| 更新料が高い・不透明 | 下がりやすい | 更新時の負担額 |
売却価格が同程度の借地権でも、毎月の地代が高い物件は、住宅ローンに加えて固定費が増えるため買主が付きにくくなります。価格交渉をスムーズにするため、地代と更新条件を整理しておきましょう。
地主との関係が悪化している
借地権は、地主との関係が悪化していると相場が下がりやすくなります。 借地権の売却では地主の譲渡承諾が必要になるケースが多く、関係がこじれていると売却手続きが進みにくくなるからです。
| 状況 | 相場への影響 | 買主が気にする点 |
| 関係が良好 | 大きな影響は出にくい | 承諾が得やすい |
| 条件交渉が難しい | やや下がりやすい | 承諾料・条件面 |
| トラブルがある | 下がりやすい | 売却後の関係悪化リスク |
借地権は購入後も地主との関係が続くため、権利内容だけでなく人間関係も売却価格に影響するのが特徴です。
売却前に、地主との契約条件や過去のやり取りを整理しておくと判断しやすくなります。
建物の老朽化が進んでいる
借地権付き建物は、建物の老朽化が進んでいると相場が下がりやすくなります。 建物に価値がなくなるだけでなく、解体費用や建て替え制限まで買主が考慮するためです。
| 建物の状態 | 相場への影響 | 買主からの見え方 |
| そのまま居住可能 | 比較的高くなりやすい | すぐ使える |
| 修繕が必要 | やや下がりやすい | 修繕費がかかる |
| 老朽化が激しい | 下がりやすい | 解体前提になる |
特に借地権付き建物は、「建物を解体して更地にすればよい」という単純な話になりません。
建て替え時に地主承諾が必要なケースもあり、古い建物ほど買主からの負担感が大きくなります。雨漏りや傾き、設備の故障がある場合は、建物付きの価値ではなく“負担付き借地権”として見られることもあります。
再建築や増改築に制限がある
借地権は、再建築や増改築に制限があると相場が下がりやすくなります。 買主が自由に建物を建て替えたり、リフォームしたりできないと、活用の幅が狭くなるからです。
| 制限内容 | 相場への影響 | 確認すべきこと |
| 制限が少ない | 大きな影響は出にくい | 契約条件 |
| 地主承諾が必要 | やや下がりやすい | 承諾料・手続き |
| 再建築不可・制限が強い | 下がりやすい | 建築可否・法的条件 |
「建て替えには地主承諾が必要」「増改築に細かい条件がある」「接道義務を満たさず再建築できない」といった借地権は、買主が限られやすくなります。
特に古い借地契約では、契約書に厳しい制限が入っていることもあるため、売却前に再建築や増改築の条件を確認しておきましょう。
借地権付き住宅の売却方法
「借地権付き住宅を手放したい」と考えた際に、売却する方法としては以下のものが存在します。
| 売却方法 | 向いているケース | 特徴 |
| 地主に買い取ってもらう | 早く整理したい | 売却がまとまりやすい |
| 等価交換をする | 地主と協議できる | 権利調整によって価値を高めやすい |
| 借地権と底地をいっしょに売却する | 高値売却を狙いたい | 更地価格に近づきやすい |
| 不動産業者に売却する | すぐ現金化したい | 買取価格は低いが売却が早い |
借地権付き住宅は、一般的な不動産のように自由に売却できるとは限りません。
地主との関係や権利調整が必要になるため、「高く売りたいのか」「早く手放したいのか」によって選ぶ方法が変わります。それぞれの特徴を確認し、自分に合った方法を選びましょう。
地主に買い取ってもらう
地主への売却は、借地権を比較的スムーズに整理しやすい方法です。地主にとっては、借地権を買い取ることで底地と権利を一本化できるため、条件がまとまれば売却が進みやすくなります。
| 確認ポイント | 内容 |
| 向いているケース | 早く手放したい |
| メリット | 売却交渉がまとまりやすい |
| 注意点 | 相場より安くなることがある |
建物が老朽化している場合は、解体して更地にしたうえで借地権を売却するケースもあります。ただし、解体費用の負担は契約内容によって異なるため、事前に確認しておきましょう。
一方で、建物が比較的新しい場合は、建物付きのまま売却できることもあります。解体を前提にせず、地主との協議や不動産会社の査定を踏まえて判断すると進めやすくなります。
等価交換をする
等価交換は、借地権と底地を一定の割合で交換し、権利関係を整理する方法です。地主と借地人が協議したうえで、土地を分筆してそれぞれ所有する形になることもあります。
| 確認ポイント | 内容 |
| 向いているケース | 地主と協議できる・権利整理をしたい |
| メリット | 借地権を単独で売るより有利になることがある |
| 注意点 | 権利割合や税金の確認が必要 |
借地権と底地をそのまま持ち続けると、どちらも単独では売却しにくいことがあります。等価交換で権利関係を整理すると、その後の売却や活用を進めやすくなるケースがあります。
なお、交換差金(不足分の金銭)を支払う場合は、譲渡所得税などの課税対象になることがあります。税金が発生するケースもあるため、事前に確認しておくと安心です。
借地権と底地をいっしょに売却する
借地権と底地を同時に売却する方法は、借地権単独より高値で売りやすい方法です。
| 確認ポイント | 内容 |
| 向いているケース | 高値売却を狙いたい |
| メリット | 更地価格に近い価格を期待しやすい |
| 注意点 | 地主との協議が必要 |
売却代金は、一般的に借地権割合をもとに分配されますが、地主と借地人が合意すれば別の割合にすることも可能です。
地主が売却に消極的な場合でも、借地権単独より高値で売れる可能性があることを踏まえて交渉すると、話が進みやすくなることがあります。
専門の不動産業者に売却する
地主が借地権の買い取りに応じない場合は、借地権の取り扱いに詳しい不動産業者を通じて第三者に売却する方法があります。
| 確認ポイント | 内容 |
| 向いているケース | 地主が買い取らない・早く売却したい |
| メリット | 借地権の売却先を探しやすい |
| 注意点 | 地主の承諾や条件調整が必要 |
借地権は個人へ売却することも可能ですが、借地権付き住宅を購入したい個人は限られます。
ただし、地主に相談せずに第三者への売却を進めると、トラブルになることがあります。まずは地主に売却の意向を伝え、条件を確認したうえで進めることが大切です。
不動産業者を通じて売却する際は、主に以下の承諾が必要になることがあります。
| 必要な承諾 | 内容 |
| 譲渡の承諾 | 借地権を第三者へ売却する承諾 |
| 建物建て替えの承諾 | 建て替え・増改築を行う場合の承諾 |
| 抵当権設定の承諾 | 買主が住宅ローンを利用する際の承諾 |
特に、抵当権設定の承諾が得られないと、買主が住宅ローンを組みにくくなり、売却が進みにくくなることがあります。
借地権付き住宅を売るときの流れ
借地権付き住宅を売却する流れは、次のとおり大別されます。
| 手順 | 内容 |
| 手順①:地主に借地権の買い取りを打診する | 地主が買い取る意思があるか確認する |
| 手順②:地主に売却の許可を得る | 第三者へ売却するための譲渡承諾を得る |
| 手順③:不動産会社に相談し、査定依頼する | 借地権の相場や売却方法を確認する |
| 手順④:地主に譲渡承諾料を支払う | 条件に応じて地主へ承諾料を支払う |
| 手順⑤:売買契約を締結する | 買主と契約し、決済・引き渡しを行う |
借地権付き住宅の売却は、一般的な不動産売却と違い、地主との権利調整が必要になる点が特徴です。
特に、譲渡承諾や承諾料の条件が売却価格や手続きに影響するため、契約内容を整理したうえで、不動産会社と相談しながら進めるのが現実的です。それぞれの流れを順番に見ていきましょう。
手順①:地主に借地権の買い取りを打診する
まず、地主に借地権の買い取りを打診します。 借地権の売却では、地主の意向によって売却方法が変わるため、最初に確認しておく必要があります。
| 確認項目 | 内容 |
| 地主の買い取り意思 | 借地権を直接買い取る意向があるか |
| 底地の売却意思 | 底地も含めて売却できるか |
| 売却方法への影響 | 地主売却・同時売却・第三者売却の判断材料になる |
地主が底地も手放す意向がある場合は、借地権と底地の同時売却を検討する方法もあります。
借地権単独より高値で売れることもあるため、この段階で地主の意向を確認しておくと、その後の進め方を判断しやすくなります。
手順②:地主に売却の許可を得る
地主が買い取る意思や、底地と同時に売却する意思がない場合は、借地権を第三者に売却するための譲渡承諾を得る必要があります。
| 確認項目 | 内容 |
| 譲渡承諾の可否 | 第三者売却が可能か |
| 譲渡承諾料 | 承諾に必要な費用 |
| 契約条件 | 更新条件や制限の有無 |
借地権は、一般的な不動産のように自由に売却できるとは限りません。地主の承諾が必要になるケースが多く、譲渡承諾料や契約上の条件が売却価格にも影響します。 事前に条件を整理しておくと、その後の売却交渉を進めやすくなります。
手順③:不動産会社に相談し、査定依頼する
地主から売却の許可を得た後は、借地権の取り扱いに精通した不動産会社に相談し、査定を受けます。
| 確認項目 | 内容 |
| 査定額 | 借地権の相場を確認する |
| 売却方法 | 仲介・買取・地主売却など |
| 会社の実績 | 借地権の取り扱い経験があるか |
借地権は、一般的な不動産より権利関係が複雑なため、査定額に差が出ることがあります。
借地権の価値は所有権の土地より低く評価されることもあるため、借地権に強い不動産会社へ相談し、売却方法まで含めて比較することがポイントです。複数社に査定を依頼すると、相場も把握しやすくなります。
手順④:地主に譲渡承諾料を支払う
借地権を第三者に売却する場合は、地主に譲渡承諾料を支払う必要があります。 金額は契約内容や地域によって異なりますが、一般的には借地権価格の10%前後が目安とされています。
| 確認項目 | 内容 |
| 相場の目安 | 借地権価格の10%前後 |
| 支払先 | 地主 |
| 確認したいこと | 金額・支払時期・契約条件 |
ただし、これはあくまで目安であり、実際の金額は契約内容や地主との交渉によって変わります。譲渡承諾料は売却時の費用として差し引かれるため、事前に金額を確認しておくことが大切です。
手順⑤:売買契約をする
地主に譲渡承諾料を支払った後は、買主と借地権の売買契約を締結します。 契約後に決済と引き渡しを行えば、借地権付き住宅の売却は完了です。
| 手続き一覧 | 内容 |
| 売買契約 | 買主と契約条件を確定する |
| 決済 | 売買代金の受領 |
| 引き渡し | 名義変更・物件引き渡し |
売買契約では、売却価格だけでなく、引き渡し時期や契約条件も確認されます。契約後は、決済日に売買代金を受け取り、名義変更などの手続きを進めます.
借地権売却にかかる税金と3,000万円特別控除
借地権を売却して利益が出た場合は、譲渡所得税(所得税・住民税・復興特別所得税)がかかります。
ただし、借地権付き建物がマイホーム(居住用財産)に該当する場合は、譲渡所得から最大3,000万円を差し引ける特別控除が使えることがあります。
(参考:国税庁「マイホームを売ったときの特例」)
借地権売却で確認したい税金のポイントは、以下のとおりです。
- 譲渡所得税の計算方法
- 3,000万円特別控除の適用条件
- 所有期間による税率の違い
借地権は「売却代金=そのまま課税」ではなく、取得費や売却費用を差し引いた利益(譲渡所得)に対して課税されます。
さらに、居住用財産の特例が使えるかどうかで税額が大きく変わるため、売却前に計算の仕組みを把握しておくことが大切です。
譲渡所得税の計算方法
借地権売却でかかる税金は、売却価格そのものではなく「譲渡所得(利益)」に対して課税されます。計算の基本は以下のとおりです。
| 項目 | 内容 |
| 売却価格(収入金額) | 借地権を売った金額 |
| 取得費 | 借地権の取得費・購入費など |
| 譲渡費用 | 仲介手数料・印紙代など |
| 計算式 | 売却価格 −(取得費+譲渡費用)=譲渡所得 |
(参考:国税庁「土地や建物を売ったとき」)
さらに、居住用財産の3,000万円特別控除が使える場合は、以下の形になります。
- 課税譲渡所得=売却価格−(取得費+譲渡費用)−3,000万円
(参考:国税庁「マイホームを売ったときの特例」)
なお、3,000万円特別控除は居住用財産に該当する場合のみ適用されるため、借地権なら必ず使えるわけではない点には注意しましょう。
マイホーム3,000万円特別控除の適用条件
借地権付き建物がマイホーム(居住用財産)に該当する場合は、譲渡所得から最大3,000万円を差し引ける特別控除が使えることがあります。利益が3,000万円以下なら、譲渡所得税が発生しないケースもあります。
| 主な適用条件 | 内容 |
| 居住用財産である | 自分が住んでいた家屋とその借地権である |
| 売却期限 | 住まなくなった日から3年後の12月31日までに売却 |
| 売却相手 | 親子・夫婦など特別な関係者への売却は対象外 |
| 特例の利用状況 | 前年・前々年に同じ特例を使っていない |
| 確定申告 | 特例を使うには申告が必要 |
特に注意したいのは、借地権なら自動的に使える制度ではないという点です。あくまで「居住用財産」の条件を満たす必要があります。
賃貸用の借地権や親族間売買では適用できないため、売却前に条件を確認しておきましょう。なお、この特例は所有期間の長短に関係なく適用可能です。
所有期間による税率の違い
借地権売却で利益が出た場合の税率は、所有期間が5年を超えるかどうかで大きく変わります。5年を超えると長期譲渡所得となり、税率が大きく下がります。
| 所有期間 | 区分 | 税率(所得税・住民税・復興特別所得税含む) |
| 5年以下 | 短期譲渡所得 | 約39.63% |
| 5年超 | 長期譲渡所得 | 約20.315% |
(参考:国税庁「短期譲渡所得の税額の計算/長期譲渡所得の税額の計算」)
所有期間の違いだけで税額が大きく変わるため、売却時期の判断にも影響します。なお、判定基準は「売却した年の1月1日時点」で所有期間5年を超えているかどうかです。
地主が売却を拒否する場合の対処法
地主が売却を拒否する場合の主な対処法については、以下のとおりです。
| 対処法 | 向いているケース | 特徴 |
| 借地非訟手続きで裁判所の許可を得る | 地主が承諾しない | 裁判所の許可で売却できる可能性がある |
| 専門の買取業者に相談する | 権利関係が複雑・早く売りたい | 買取や交渉を含めて相談しやすい |
借地権は、地主の承諾が必要になるケースが多いため、地主が売却に反対すると手続きが進まなくなることがあります。
ただし、地主が承諾しないからといって、必ず売却できなくなるわけではありません。裁判所の手続きや借地権専門の業者を活用する方法もあるため、状況に応じて対処法を検討しましょう。
借地非訟手続きで裁判所の許可を得る
地主が正当な理由なく売却を拒否する場合は、借地非訟手続きによって裁判所の許可を得られることがあります。 これは、地主の承諾に代わって裁判所が譲渡を認める制度です。
| 確認ポイント | 内容 |
| 向いているケース | 地主が承諾しない |
| メリット | 売却できる可能性が残る |
| 注意点 | 時間や費用がかかる |
借地権は、地主の承諾がないと第三者売却が難しいケースがありますが、地主が合理的な理由なく拒否している場合は、裁判所に申し立てる方法があります。裁判所が許可を出せば、地主の承諾がなくても売却を進められる可能性があります。
ただし、借地非訟手続きは法的な手続きになるため、申立費用や時間がかかります。地主との交渉が完全に難航した場合の選択肢として考えるとよいでしょう。
専門の買取業者に相談する

地主との交渉が難しい場合は、借地権や底地に強い専門の買取業者へ相談する方法もあります。一般的な不動産会社より、権利関係が複雑な案件に対応していることがあります。
| 確認ポイント | 内容 |
| 向いているケース | 地主との関係が悪い・権利関係が複雑 |
| メリット | 売却や交渉をまとめて相談しやすい |
| 注意点 | 買取価格は低くなりやすい |
借地権専門の業者は、借地権の買取だけでなく、地主との交渉や底地との調整まで含めて対応しているケースがあります。
訳あり物件の買取専門サービスであるワケガイでは、借地権付戸建の買取実績もあります。借地権があるためどの業者も買い取ってくれないとお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
借地権を高く売るための4つのコツ
借地権を高く売るためのコツについては、以下のとおりです。
| コツ | 期待できる効果 | 確認したいポイント |
| 地主との交渉を円滑に進める | 売却が進みやすくなり、価格交渉もしやすい | 譲渡承諾・承諾料・更新条件 |
| 借地権専門の不動産会社に依頼する | 適正価格で売却しやすい | 借地権・底地の取り扱い実績 |
| 底地との同時売却も検討する | 借地権単独より高値を狙いやすい | 地主との共同売却の可否 |
| 複数の売却方法を比較する | 条件の良い売却先を選びやすい | 仲介・買取・地主売却の比較 |
借地権は、一般的な土地や建物と違い、地主との関係や権利調整が売却価格に大きく影響します。
少しでも高く売りたい場合は、事前の準備や売却先の選び方も確認しておきましょう。
地主との交渉を円滑に進める
借地権を高く売るには、地主との交渉を円滑に進めることが有利です。 借地権の第三者売却では地主の譲渡承諾が必要になるケースが多く、ここで条件がまとまらないと売却価格が下がったり、買主が離れたりすることがあります。
| 確認ポイント | 売却への影響 | 事前に確認したいこと |
| 譲渡承諾の可否 | 売却の進みやすさに影響 | 承諾の意向 |
| 承諾料の金額 | 買主負担に影響 | 相場・支払条件 |
| 更新条件 | 将来の価値に影響 | 更新料・更新時期 |
一例を挙げると、承諾料が高すぎたり、地主が譲渡に消極的だったりすると、買主にとって負担が大きくなり価格交渉で不利になります。
逆に、条件が整理されている借地権は買主も検討しやすくなります。売却前に地主との条件を確認し、交渉の見通しを立てておくことが高値売却につながります。
借地権専門の不動産会社に依頼する
借地権を高く売りたいなら、借地権専門の不動産会社に依頼する方法も有効です。
| 比較ポイント | 一般的な不動産会社 | 借地権専門の不動産会社 |
| 借地権の知識 | 会社によって差がある | 実績が多い傾向 |
| 地主との交渉 | 対応に差がある | 交渉経験が豊富なことがある |
| 売却方法の提案 | 仲介中心になりやすい | 買取・底地同時売却なども提案しやすい |
借地権は一般的な不動産仲介より権利関係が複雑なため、経験の少ない会社では適正価格で売却しにくいことがあります。
借地権に強い会社なら、単純な査定額だけでなく、どの売却方法が有利かまで比較しやすいのが特徴です。依頼する際は、借地権や底地の取り扱い実績があるかを確認しましょう。
売却前に契約内容を整理しておく
借地権を高く売るには、売却前に契約内容を整理しておくことが有効です。 契約条件が曖昧なままだと、買主が不安を感じたり、査定額が下がったりすることがあります。
| 確認項目 | 売却への影響 | 事前に確認したいこと |
| 借地期間 | 価格に影響しやすい | 残存期間・更新時期 |
| 地代・更新料 | 買主負担に影響 | 支払額・改定条件 |
| 譲渡承諾 | 売却の進みやすさに影響 | 承諾の可否・承諾料 |
| 増改築条件 | 活用のしやすさに影響 | 制限の有無 |
売却前に契約内容を整理し、説明できる状態にしておくことで、買主からの不安を減らしやすくなります。
複数社の査定を比較する
借地権を高く売るには、以下の観点から複数社の査定を比較することが有効です。
| 比較ポイント | 確認したいこと |
| 査定額 | 金額に大きな差がないか |
| 売却方法 | 仲介・買取・地主売却などの提案内容 |
| 借地権の実績 | 借地権・底地案件の経験があるか |
| 査定根拠 | なぜその価格になるのか |
借地権は不動産会社によって査定額や売却方法の提案が大きく変わることがあるため、1社だけで判断すると相場より安く売ってしまうことがあります。
査定額だけを見るのではなく、売却方法や査定根拠まで比較することで、より有利な売却先を選びやすくなります。 最低でも2〜3社程度は比較しておくと判断しやすくなります。
借地権売却の相場のまとめ
借地権付き住宅は、地主にも借地人にもあらゆる権利が設定されているため、理解した上で進めないとトラブルになってしまうことがあります。
借地権に精通しているプロに頼ることで、地主との関係悪化を防ぎながらスムーズに手放すことが可能。
「借地権付き住宅を地主が買い取ってくれない」「売却の承諾をしてくれない」などでお困りの場合はプロに相談しましょう。
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