空き家の売却を検討するとき、「どのような売却方法があるのか」「売ったときにかかる費用や税金はいくらなのか」と、疑問を抱く方も多いでしょう。
売却する方法は主に6つあり、空き家の状態や自身の考えに適した売却方法を選ばなければ、早期売却・高値売却が難しくなります。また、選択する売却方法によって、費用・税金の種類や金額が異なるため注意が必要です。
本記事では、空き家を売却する方法や売却時にかかる費用・税金について解説します。あわせて、費用や税金を抑える方法も紹介しますので、少しでも手元に多くのお金を残したい人は、本記事を参考に売却の手続きを進めてみてください。
目次
空き家を売却する6つの方法

| 売却方法 | 目安期間 | メリット | デメリット | 適するケース |
| 仲介でそのまま売却 | 3~6か月 | 相場で売却しやすい | 売却に時間がかかる | 売却資金を多く手元に残したいとき |
| 買取業者に売却する | 1週間前後 | すぐに現金化できる | 売却金額が相場より低くなりやすい | すぐにまとまった資金が必要なとき |
| リフォームして売却 | 2~5か月 | 早期売却を狙いやすい | リフォーム費用がかかる | 空き家の状態が良好なとき |
| 更地にして売却 | 2~5か月 | 早期売却を狙いやすい | 解体費用がかかる | 空き家の状態が悪いとき |
| 自治体や民間の空き家マッチングサイトで売却する | 1年以上 | 郊外でも売却できる可能性がある | 売却までにかなり時間がかかる | 仲介会社が取り扱ってくれないとき |
| 個人間で売買する | 取引による | 買主を探さなくてもよい | トラブルになりやすい | 知り合いが購入してくれるとき |
空き家を売却する方法は主に6つあり、それぞれの方法で売却期間やメリット・デメリット、適したケースが異なります。
各項目を理解せずに売却の手続きを進めると、思いもよらぬトラブルが発生する可能性もあるため注意が必要です。
ここでは、空き家を売却する6つの方法について解説します。空き家売却時のトラブル発生を防ぐためにも、まずは各種方法の内容を理解しましょう。
仲介でそのまま売却をする

| メリット | デメリット |
| 相場で売却しやすい | 売却に時間がかかる |
| 幅広い購入希望者にアプローチできる | 仲介手数料がかかる |
| 法的なリスクを軽減できる | 内覧対応が必要になる |
仲介は仲介会社と媒介契約を締結し、物件を市場に公開して購入希望者を探す方法です。
媒介契約後、新たに買い手を探す必要があるため、引き渡しまでに3〜6か月かかります。また、仲介会社を利用することで仲介手数料がかかり、内覧の希望が入るたびに対応しなければなりません。
一方で、相場で購入してくれる買い手が見つかりやすいことや、仲介会社が取引の安全性を確保してくれることなどのメリットもあります。
メリット・デメリットを比較すると、仲介は時間がかかっても相場で売却したい方に向いている売却方法といえるでしょう。
空き家買取専門の不動産会社に買取してもらう

| メリット | デメリット |
| すぐに現金化できる | 売却金額が相場より低くなりやすい |
| 仲介手数料がかからない | 価格交渉の余地が少ない |
| 契約不適合責任が免責される場合がある | 相場かどうか判断しにくい |
買取は買取業者に不動産を購入してもらう方法です。
一般的に、買取金額は相場より低くなるうえに、その金額が相場なのか確認しにくい傾向にあります。また、買取業者は自社の利益や再販売のコストを計算したうえで買取金額を提示するため、価格交渉がしにくいのもデメリットです。
しかし、1週間前後で空き家を現金化でき、売買契約の責任が軽くなる場合があるのは大きなメリットといえるでしょう。
どうしても早く売却しなければならない方、取引の責任をあまり負いたくない方は、空き家買取が適しています。
リフォームして売却する
| メリット | デメリット |
| 早期売却を狙いやすい | リフォーム費用がかかる |
| 売却価格が相場よりやや高くなる | 売却開始時期が遅れる |
| 競争力が高まる | 購入者の好みにあわない可能性もある |
仲介や買取を依頼する前に、空き家をリフォームしてから売却するのも一つの方法です。
リフォーム費用がかかり、工事が終わるまで売却できないなどのデメリットはあるものの、修繕完了後は売りやすくなるといったメリットが生まれます。
ただし、建物の状態がよい空き家に限られる手法なうえ、支払ったリフォーム費用は全額回収できない可能性が高いため注意が必要です。
不動産には相場があり、リフォームにお金をかけても、売却金額はそれほど高くなりません。リフォーム費用分の損失を負う可能性があるため、修繕したうえで売却する場合は不動産会社に相談してから手続きを進めましょう。
解体して更地で売却する
| メリット | デメリット |
| 早期売却を狙いやすい | 解体費用がかかる |
| 建物管理の必要がなくなる | 土地の固定資産税が高くなる |
| 建物の契約不適合責任がなくなる | 古家付きを探している人の需要を逃す |
仲介や買取の依頼前に、空き家を解体して更地で売却する方法もあります。
更地にするには解体費用がかかるため、その費用分が手取り金額から差し引かれます。ただし、空き家の状態が悪い場合、古家付きで売却しても解体費分が査定額から引かれる可能性が高いため、大きなデメリットとはいえません。
状態の悪い空き家を事前に解体すれば、管理の手間や建物の契約不適合責任がなくなり、売主の負担が軽くなります。また、見た目がよくない空き家がなくなることで、買い手の購入意欲が高まり、早期売却しやすくなるメリットも生まれます。
自治体や民間の空き家マッチングサイトで売却する
| メリット | デメリット |
| 郊外でも売却できる可能性がある | 売却までにかなり時間がかかる |
| 補助金・助成金を受けられるケースがある | 法的なトラブルが発生しやすい |
| 空き家探索者にアプローチできる | 仲介会社を選べない場合がある |
空き家が仲介会社に取り扱ってもらえないエリアにある場合、自治体や民間のマッチングサイトを利用して売却する方法があります。
自治体や民間のサイトに空き家の売り情報を掲載するだけであるため、売却までに相当な時間がかかります。買い手が見つかった場合、サイト指定の仲介会社を利用する必要があったり、買主と直接契約したりしなければならないのが一般的です。
なお、自治体のマッチングサイトを利用して成約した場合、補助や助成を受けられるケースがあります。マッチングサイトを利用するときには、補助や助成が受けられるのか事前に確認しましょう。
個人間で売買する
| メリット | デメリット |
| 買主を探さなくてもよい | トラブルになりやすい |
| 仲介手数料がかからない | 書類をすべて作成する必要がある |
| 買主と直接やり取りできる | 現金で購入できる人しか対象にならない |
仲介会社や買取業者を利用せず、個人間での直接売買も可能です。
直接売買する場合、契約書の作成や買い手との交渉を自身で行う必要があり、トラブルに発展しやすいのが大きなデメリットです。また、住宅ローンや投資用ローンを借りるには、不動産会社が作成した重要事項説明書・売買契約書が必須となるため、多額の現金を保有している買い手しか個人間売買の対象になりません。
仲介手数料がかからない、買主と直接やり取りできるといったメリットはあるものの、デメリットがかなり大きいため、司法書士や弁護士などに相談しつつ進めるべき方法といえるでしょう。
空き家売却にかかる費用・税金

空き家売却時には、以下のようにいくつもの費用・税金がかかります。
- 譲渡所得税と住民税
- 印紙税・登記費用などの諸費用
- 仲介手数料の相場
- 解体費用の目安
- リフォーム費用
- 残置物の片付け・処分費用
売却金額から費用・税金を差し引いたものが手元に残るお金です。それぞれの費用の詳細を理解し、売却後にどのくらいのお金が残るのか計算しておきましょう。
譲渡所得税と住民税
空き家を売却して譲渡所得が発生した場合、譲渡所得税と住民税が課されます。
譲渡所得とは土地や建物などの資産を譲渡したときに発生する所得であり、以下の計算式で算出できます。
| 課税譲渡所得 = 収入金額 -( 取得費 + 譲渡費用)- 特別控除額 |
また、譲渡所得に以下の税率を乗じて譲渡所得税・住民税が課されます。
| 区分 | 短期譲渡所得 | 長期譲渡所得 |
| 所有期間 | 5年以下 | 5年超 |
| 税率 | 譲渡所得税30.63% 住民税 9% | 譲渡所得税15.315% 住民税 5% |
※譲渡所得税率には復興特別所得税も含みます。
※復興特別所得税は2037年まで課される特別措置法に基づく所得税です。
なお、税率は空き家の所有期間によって異なります。売却した年の1月1日時点で、所有期間が5年以下なら短期譲渡所得、5年を超えているなら長期譲渡所得が適用されます。譲渡所得税と住民税の計算は複雑であるため、正確な税額を知りたい場合は不動産会社に確認しましょう。
(参照:国税庁「No.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)」)
印紙税・登記費用などの諸費用
| 費用の名称 | 支払い時期 | 支払い方法 |
| 仲介手数料 | 契約時・引き渡し時 | 仲介会社に支払う |
| 印紙税 | 契約時 | 契約書に収入印紙を貼る |
| 登記費用 | 引き渡し時 | 司法書士に支払う |
| 住宅ローン繰上返済費用 | 繰上返済時 | 金融機関に支払う |
仲介手数料・印紙税・登記費用・繰上返済費用など、諸費用の合計金額の目安は、売却価格の4〜6%です。
例えば、空き家を1,000万円で売却した場合、40万〜60万の諸費用がかかります。
なお、この諸費用の中には、譲渡所得税・住民税や解体費用、リフォーム費用は含まれません。もし、これらの税金や費用が発生する場合、諸費用の合計額は目安を大きく超えるため注意が必要です。
仲介手数料の相場
仲介手数料の相場は、売却価格によって以下のように変動します。
| 売却価格 | 計算式 |
| 400万円超 | 仲介手数料 =(売買金額 × 3% + 6万円)× 1.1 |
| 200万超400万円以下 | 仲介手数料 =(売買金額 × 4% + 2万円)× 1.1 |
| 200万円以下 | 仲介手数料 = 売買金額 × 5% ×1.1 |
※税込価格の計算式です。
空き家を1,000万円で売却したと仮定すると、39万6,000円(税込)の仲介手数料がかかります。
なお、2022年5月、売却価格800万円以下の物件の仲介手数料上限が33万円(税込)に引き上げられました。800万円以下の空き家を売却する際には、計算式で算出した金額を超えるケースがある点には注意しましょう。
(参照:国土交通省「<消費者の皆様向け>不動産取引に関するお知らせ」)
解体費用の目安
| 建物の構造 | 坪単価の費用目安 |
| 木造 | 3万~5万円/坪 |
| 鉄骨造 | 5万〜7万円/坪 |
| 鉄筋コンクリート造 | 6万〜11万円/坪 |
解体費用は壊す建物の構造によって変わります。
木造40坪の空き家を解体する場合、120万〜200万円が費用の目安となります。
ただし、アスベストが利用されている建物、敷地に重機が入らない土地などで解体を行う場合、解体費用が目安を大幅に超える場合もあるため注意が必要です。
解体費用は高額になる費用の一つであるため、複数の解体業者から見積もりを取得し、金額や工事内容を比較することが大切です。
リフォーム費用
| 工事の名称 | 費用の目安 |
| 畳の交換(一部屋) | 6万~12万円 |
| 壁クロスの張り替え(一部屋) | 6万~30万円 |
| 洗面化粧台の交換 | 20万~50万円 |
| システムキッチンの交換 | 40万~100万円 |
| システムバスの交換 | 60万~150万円 |
リフォームする場合、どこを修繕するのかによって費用が変わります。
畳や壁クロスなら数十万円で交換・張り替えできますが、水回りをリフォームすると費用が高額になります。
空き家をリフォームしても費用全額を回収できるわけではないため、売却を前提とした修繕を行うときは不動産会社に相談し、工事は必要最低限にとどめておきましょう。
(参照:国土交通省「部位別リフォーム費用一覧」)
残置物の片付け・処分費用
空き家の中に家具や家電などが残っている場合、残置物の片付け・処分費用がかかります。
残置物の片付け・処分費用の相場は、1立方メートルあたり5,000〜15,000円といわれています。空き家の中に残置物が詰め込まれている場合、50万円近く費用がかかるケースもあるため注意しなければなりません。
残置物の量が多いのであれば、複数の業者に室内を確認してもらい、見積もりを取得したうえで片付け・処分を依頼しましょう。
空き家を売却するときにかかる費用・税金を減らす方法

空き家を売却するときにかかる費用・税金が高額になりがちですが、以下のように節約する方法があります。
- 相続した空き家は3,000万円特別控除を利用する
- 取得費を証明できる売買契約書・領収書を保管する
- 相続税を支払った場合は取得費加算の特例を活用する
- 売却にかかった費用は漏れなく譲渡費用として計上する
- 所有期間が5年を超えるタイミングで売却する
- 解体費用や残置物処分の補助金・助成金を活用する
- 不要なリフォームはせず現状で売却を検討する
- 古家付きと更地、それぞれの手取り額を比較する
- 仲介だけでなく買取も比較して維持費を抑える
費用・税金を減らす方法を理解したうえで空き家を売却すれば、手元に残るお金がより多くなります。手取り額を増やすためにも、節約方法を活用できるよう知識を得ておきましょう。
相続した空き家は3,000万円特別控除を利用する
相続した空き家を売却するときに、「被相続人の居住用財産(空き家)の3,000万円特別控除」を利用すれば譲渡所得税・住民税を節税できます。
一定の要件を満たした場合、譲渡所得から3,000万円を控除できるため、大幅な節税が可能です。
3,000万円特別控除を受けるための条件の一例は、以下のとおりです。
- 2027年末までに相続・遺贈によって取得した被相続人の家屋・敷地を売却する
- 売却する建物は区分所有建物登記のない1981年5月31日以前に建築されたもの
- 原則として相続開始直前に被相続人以外に居住した人がいない建物である
条件は複雑なうえにいくつもあるため、3,000万円特別控除が利用できるかどうか自己判断せず、税理士といった専門家に確認しましょう。
また、相続人が3人以上の場合は控除額が2,000万円に下がる点にも注意しなければなりません。
(参照:国税庁「No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」)
取得費を証明できる売買契約書・領収書を保管する
空き家の取得費を証明できる売買契約書・領収書があれば、譲渡所得税・住民税の節税が可能です。
空き家売却時に取得費として認められる主な費用は以下のとおりです。
- 空き家を購入したとき納付した登録免許税・不動産取得税・印紙税
- 土地の取得時に支払った測量費
- 土地の造成費用
空き家を購入したときの費用がすべて取得費とは認められません。どの費用が取得費に該当するのか事前に確認しましょう。
なお、取得費として認められるには、購入時に受け取った領収書が必要となります。領収書がない場合は計上できない可能性が高いと考えましょう。
(参照:国税庁「No.3252 取得費となるもの」)
相続税を支払った場合は取得費加算の特例を活用する
取得費加算の特例を利用すれば、譲渡所得税・住民税を節税できます。
相続や遺贈により取得した空き家を一定の期間に売却し、かつ相続税を納付している場合、納付した額の一部が取得費として計上できます。
この特例を利用するためには、以下の条件を満たさなければなりません。
- 相続や遺贈で取得した人である
- 相続財産を取得した人に相続税が課されている
- 相続財産を相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後の3年間までに売却する
取得費加算の特例の利用条件は多くなく、適用されるかどうか自己判断するのは比較的容易といえます。ただし、取得費として計上できる金額の計算が複雑であるため、可能な限り税理士に相談したうえで特例を利用したほうがよいでしょう。
(参照:国税庁「No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」)
売却にかかった費用は漏れなく譲渡費用として計上する
空き家の売却にかかった費用の領収証を保管すれば、譲渡所得税や住民税の課税額を減らせます。
空き家売却時に譲渡費用として認められる主な費用は以下のとおりです。
- 空き家を売却したときに支払った仲介手数料・印紙税
- 空き家を売るための条件として取り壊したときの解体費用
- さらに有利な条件で売却するために支払った売買契約の違約金
取得費と同様に、売却時の費用がすべて譲渡費用として認められるわけではありません。また、固定資産税や維持修繕費など、空き家の管理のために支払った費用は譲渡費用にならない点にも注意しましょう。
(参照:国税庁「No.3255 譲渡費用となるもの」)
所有期間が5年を超えるタイミングで売却する
所有期間が5年を超えるタイミングで売却すると、譲渡所得税・住民税の税率が大幅に下がります。
短期譲渡所得と長期譲渡所得では、以下のように税率が大きく異なります。
| 区分 | 譲渡所得税・住民税の合計税率 | 合計税率の差 |
| 短期譲渡所得 | 39.63% | 19.315% |
| 長期譲渡所得 | 20.315% |
※譲渡所得税率には復興特別所得税も含みます。
※復興特別所得税は2037年まで課される特別措置法に基づく所得税です。
短期譲渡所得と長期譲渡所得の税率の差は19.315%もあり、課税額が大幅に変わります。
空き家を数か月所有し続けるだけで長期譲渡所得が適用される場合は、節税するためにも少し待ってから売却するとよいでしょう。
解体費用や残置物処分の補助金・助成金を活用する
解体費用や残置物処分の補助金・助成金を活用すれば、諸費用の負担の軽減が可能です。
自治体によっては、老朽化した空き家や倒壊の危険があるブロックの解体、残置物の撤去費用に対する補助・助成制度を設けています。
例えば、東京都であれば東京都空き家家財整理・解体促進事業を実施しており、最大で10万円の補助を行っています。補助や助成には複数の条件が設定されているため、制度の利用を検討する際は自治体の窓口に相談しましょう。
(参照:東京都「東京都空き家家財整理・解体促進事業」)
不要なリフォームはせず現状で売却を検討する
不要な修繕はせずに現状で売却すれば、リフォーム費用を抑えられます。
空き家をリフォームしても支払った費用分を回収するのは難しく、現況のまま売却できるかどうかを検討したほうが手残り額が多くなります。
また、中古戸建てを探している買い手は自身の好みに修繕したいと考えている傾向があり、リフォーム済みの物件は敬遠されるかもしれません。
空き家売却においてリフォームは費用対効果があまり高くないため、修繕する場合は必要最低限に抑え、多額の費用をかけるのはやめておきましょう。
古家付きと更地、それぞれの手取り額を比較する
古家付き土地と更地、それぞれの手取り金額を比較すれば、どちらが得なのか判断可能です。
空き家を更地にするには解体費用がかかり、古家付き土地の売却価格は相場よりやや低くなります。解体が安く済む場合、更地で売却したほうが手元に残る額が多くなりやすく、逆の場合は古家付きで売却したほうが条件がよくなりやすい傾向にあります。
また、更地にした後の草刈り費用、古家を残したときの管理費や交通費も手残り額に影響するため、比較のときに考慮しなければなりません。
これらの要素を総合的に検討して資金計画を立てれば、更地と古家付きのどちらが手元に多くのお金が残る売却方法なのかがわかります。
仲介だけでなく買取も比較して維持費を抑える
必ずしも仲介のほうが手元に残る額が多くなるとは限らないため、買取で抑えられる費用も確認しましょう。
買取は仲介手数料がかからず、すぐに売却できるため管理費の負担から解消されます。仲介で数年間かけても売れない場合、管理費・交通費や固定資産税などの費用がかかり、買取のほうが手残り額が多くなる可能性があります。
郊外の空き家は交通費のほかに管理するために宿泊費がかかる場合もあるため、結果的に買取のほうが手元にお金が残るケースが多くなる可能性も否定できません。仲介のほうが手元に残るお金が多いと思い込んでいると損する可能性があるため、必ず買取との比較を行いましょう。
空き家を売却する流れ

空き家を売却するときは、以下の流れで進めます。
- 名義と権利関係の確認
- 不動産会社への査定依頼
- 媒介契約の締結
- 売却活動と内覧対応
- 売買契約と引き渡し
- 売却後の確定申告
なお、仲介や買取、個人間売買では手続きに違いがあります。ここでは、売却の代表的な方法である仲介の流れを紹介します。
名義と権利関係の確認
空き家を売却するときには、まず名義と権利関係を確認します。
名義と権利関係は法務局が発行する全部事項証明書(登記簿謄本)を確認すればわかります。全部事項証明書を取得するには、確認する空き家の所在地を調べたうえで法務局の窓口またはWebサイトで入手可能です。
ただし、相続で建物と土地の登記を怠った物件の場合、司法書士による調査をしないと名義と権利関係が明確にならないケースがあります。空き家を長年放置している場合は、まず司法書士に相続登記を依頼しましょう。
不動産会社への査定依頼
名義と権利関係を確認したら、次に不動産会社に査定を依頼します。
査定は主に、データのみで算出する簡易査定(机上査定)とデータ収集と現地確認を行う訪問査定の2種類があります。空き家の売却を検討している場合は、精度の高い訪問査定を依頼しましょう。
また、1社に依頼しても正確な査定額かどうかがわからないため、3社以上から査定を受けることが重要です。査定額とともに査定の根拠まで比較すれば、売却予定の空き家の相場がわかります。
媒介契約の締結
信頼できる不動産会社が見つかったら、その会社と媒介契約を締結します。
媒介契約とは、売主と買主が不動産会社に対し、相手方探しや条件交渉などの仲介を依頼するために結ぶ契約です。
専属専任媒介契約・専任媒介契約・一般媒介契約の3種類があり、以下のように契約の内容が異なります。
| 専属専任媒介契約 | 専任媒介契約 | 一般媒介契約 | |
| 有効期限 | 3か月 | 3か月 | 期間の定めなし |
| 依頼可能な会社数 | 1社のみ | 1社のみ | 1社以上複数可 |
| 依頼主への報告義務 | 1週間に1回以上 | 2週間に1回以上 | なし |
| レインズへの登録義務 | 5営業日以内 | 7営業日以内 | なし |
| 自己発見取引 | 不可 | 可 | 可 |
いずれの契約も仲介手数料の金額は変わらないため、自身の希望に適したものを選択するとよいでしょう。
売却活動と内覧対応
媒介契約を締結すると売却活動が開始され、買い手から内覧の希望が入ったら対応しなければなりません。
不動産会社は媒介契約の締結をもって売却活動を開始し、売り物件の情報をWebサイトに掲載したり、既存の顧客に紹介したりします。活動の結果、買い手から問い合わせがあれば、空き家の内覧を実施します。
空き家の場合、鍵を不動産会社に預ければ売主不在でも内覧を行えますが、買い手の購入意欲を高めるためにも事前の清掃・整理整頓が欠かせません。買い手に好印象を与えられれば、売却できる可能性が高まるため、定期的に空き家を管理することが大切です。
売買契約と引き渡し
買い手との条件交渉が終わったら、売買契約の締結と引き渡しを行います。
内覧後、購入を決断した買い手から購入申込書が提出されるため、書面の内容を確認して金額や契約条件について交渉しましょう。
売主・買主ともに交渉内容に合意したら、合意の内容をもとにして不動産会社が売買契約書を作成します。売買契約締結後、契約書の内容に従って、引き渡し期日までに空き家を引き渡します。
売却後の確定申告
空き家の売却後、一定条件に該当するときは確定申告が必要です。
一定の条件とは、以下のいずれかに該当した場合です。
- 譲渡所得が発生した
- 特例を利用する
- 年間所得が2,000万円を超える
- 医療費控除を受ける
- 副業による所得が年間20万円を超える
条件の具体例は一例であり、そのほかにも確定申告が必要なケースがあります。自身が確定申告が必要なケースに該当しているかどうかは、国税庁ホームページで確認しましょう。
なお、譲渡所得税が課される場合は確定申告と同時に納税し、住民税は翌年度の4月ごろに届く納税通知書に従って納めます。
(参照:国税庁「確定申告が必要な方」)
空き家の売却で押さえておきたい注意点

空き家を売却する前には、以下の注意点を押さえておきましょう。
- 放置による固定資産税の負担増
- 「特定空家」に指定されるリスク
- 境界・越境トラブルの確認
- 売主が負う契約不適合責任
- 更地にするタイミングを見誤らないようにする
空き家売却の注意点を理解せずに進めるとトラブルが発生する可能性があります。不動産売却のトラブルは大きくなりがちであるため、注意点を事前に確認することが大切です。
放置による固定資産税の負担増
空き家を放置すると、土地の固定資産税が最大で6倍になるため注意が必要です。
住宅の敷地には住宅用地特例が適用され、土地の固定資産税が最大で6分の1になっています。
空き家を放置して倒壊しそうなほど危険な状態になったり、害獣・害虫の棲家になったりした場合、自治体が住宅用地特例を解除するケースがあります。
自治体は特例解除前に、空き家の所有者へ管理に対する助言・指導・勧告を行うため、これらの内容に従って建物の状態を改善させましょう。
(参照:総務省「固定資産税」)
「特定空家」に指定されるリスク
「特定空家」に指定されると、固定資産税の負担増以外にもリスクが発生します。
適切に管理されていない空き家は、自治体から特定空家に指定されます。
特定空家に指定されると、固定資産税の住宅用地特例の解除だけでなく、最終的には行政代執行によって強制的に解体されるため注意が必要です。行政代執行の解体でかかった費用は空き家の所有者に請求され、支払わないと財産を差し押さえられます。
特定空家に指定されるリスクはかなり大きいため、定期的に空き家を管理する、管理できないなら買取で売却するなどの対策を講じましょう。
境界・越境トラブルの確認
空き家を売却するときには、境界・越境のトラブルがないか確認しましょう。
長年空き家を放置していると、境界標がずれたり、草木が隣地に越境したりします。境界があいまいな状態だと住宅ローンが借りられない場合がありますし、越境物を残したままにすると隣地とのトラブルに発展するかもしれません。
境界・越境のトラブルは大きな問題になるため、必要に応じて土地家屋調査士に相談し、確定測量を行いましょう。確定測量をするには40万円前後の費用がかかりますが、必要経費と考え、資金計画に入れておくことが大切です。
売主が負う契約不適合責任
長年利用していない空き家だとしても、原則として契約不適合責任を負わなければなりません。
契約不適合責任とは、売買で引き渡された物件が契約内容と一致しない場合、売主が負う法的責任です。例えば、雨漏りがない物件であると契約書に記載したにもかかわらず、引き渡し直後に雨漏りが発見された場合、売主は契約不適合責任を負う必要があります。責任が発生すると、該当部分の補修や損害賠償の支払いなどを買主から請求されます。
不具合を隠して契約すると契約不適合責任を問われるため、物件状況報告書に空き家とその敷地の状態を正確に記載しましょう。
更地にするタイミングを見誤らないようにする
空き家を更地にするタイミングを見誤ると、維持費が増加して手元に残る金額が少なくなります。
実際に売却をする日まで日数があるにもかかわらず、空き家を解体すると、土地の固定資産税が高くなったり、草刈りの費用がかかったりします。
更地にすると固定資産税の住宅用地特例が適用されなくなり、草刈りをシルバー人材センターに依頼すると1回で数十万円かかったりするためです。
解体するタイミングは手残り額に大きな影響を与えるため、不動産会社に相談してから空き家を取り壊しましょう。
空き家の売却についてよくある質問
空き家の売却についてよくある質問は、以下のとおりです。
- 空き家の売却の相談先はどこがある?
- 空き家が売れないときはどうする?
- 不用品や残置物は自分で処分する必要がある?
- 空き家の放置は何年なら問題ない?
それでは、よくある質問とその回答を紹介します。
空き家の売却の相談先はどこがある?
空き家売却の主な相談先は、以下のとおりです。
| 相談先 | 相談内容 |
| 仲介会社・買取業者 | 単純に売却したい |
| 司法書士 | 相続登記が必要 |
| 税理士 | 節税したい |
| 土地家屋調査士 | 境界があいまい |
| 自治体の窓口 | 空き家を活用したい |
空き家売却の相談先は、相談内容によって異なります。
ただし、仲介会社・買取業者の多くは各相談先と連携しているため、どのような相談でも受け付けている会社もあります。空き家について悩みがある場合、まずは仲介会社・買取業者に相談するとよいでしょう。
空き家が売れないときはどうする?
空き家が売れないときは売却価格や売却方法、依頼先を変えるとよいでしょう。
不動産には相場があり、相場からかけ離れた金額ではなかなか売却できません。また、売却金額が適正だとしても、自身や依頼先の販売戦略が市場とあっていない場合、売却するのに時間がかかります。
空き家が1年以上売れない場合は、再度、複数社から査定を受けて適正価格で売り出しましょう。また、査定を受けて売却価格を大幅に下回る査定額を提示された場合、買取を検討するのも一つの方法です。
不用品や残置物は自分で処分する必要がある?
不用品や残置物は、必ずしも自分で処分する必要はありません。
仲介の場合、買主が残してほしいと希望したもの以外、すべて撤去する必要があります。一方、買取の場合は買取業者が不用品や残置物を引き取ってくれるのが一般的です。
不用品や残置物の処分を業者に依頼すると数十万円かかったり、自身で処分しようとすると何度も空き家と自宅を往復し負担がかかったりするかもしれません。
金銭的にも身体的にも負担がかかる可能性があるため、不用品や残置物を処分してくれるサービスを行っている不動産会社に売却を依頼するとよいでしょう。
空き家の放置は何年なら問題ない?
空き家の放置が、一概に何年なら問題ないとはいえません。
建物の劣化が進んでいるにもかかわらず、放置すると自治体から特定空家に指定される可能性があります。特定空家に指定されると、住宅用地特例の解除や行政代執行による強制解体が行われる恐れがあります。
また、放置するほど建物の状態や見た目が悪くなり、売りにくくなる点にも注意が必要です。売却に時間がかかると、管理費や固定資産税などの維持コストが大きくなるため、買取を利用して早めに処分してもよいでしょう。
まとめ
空き家を売却するときには、まず自身の考えや建物の状態に適した売却方法を選択する必要があります。
売却方法によって売却までの時間やメリット・デメリットが異なり、適した方法を選択しないと希望条件で売れる可能性が低くなります。また、空き家の売却時にかかる費用や税金は高額になりがちであるため、節約方法の理解も欠かせません。
売却方法と節約方法、そして注意点を理解したうえで売却を進めれば、希望する条件で売却しやすくなります。自身の大切な空き家の売却を成功させられるよう、十分な知識を得ておきましょう。












