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空き家問題への対策方法とは?放置リスクと解決法を徹底解説

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高齢者の施設入居や相続による空き家の増加に伴い、適切な管理がされないまま放置される物件が増加しています。そのまま放置すると、建物の老朽化や固定資産税の増額、特定空家への指定など、さまざまな問題が発生する恐れがあります。

こうした事態を防ぐには、適切な空き家対策が不可欠。空き家対策とは、物件の状態に応じて売却や賃貸、解体などの方法を選択し、実行に移すことです。

本記事では、空き家対策の具体的な進め方や、活用できる支援制度について詳しく解説します。

空き家問題とは

日本の空き家は増加の一途を辿っています。2023年10月時点の調査によると、日本の空き家率は13.8%で、これは過去最高を記録しました。2018年の前回調査から0.2ポイント上昇し、空き家の数も5年間で50万戸増加して899万戸となっています。

主な発生要因は、相続や高齢者の施設入居です。例えば、実家を相続したものの遠方に住んでいるため管理が難しい、あるいは一人暮らしの親が施設に入居したため家が空いてしまうといったケースが多く存在します。

国土交通省の『令和元年空き家所有者実態調査』によると、相続により取得した空き家が約55%を占めています。また、所有者の約7割が空き家から1時間以内の場所に居住していますが、残りの約3割は1時間以上離れた場所に住んでおり、適切な管理が難しい状況にあることが明らかになっています。

空き家の種類は、売却や賃貸を目的とした「流通用の空き家」と、具体的な使用目的のない「その他の空き家」に大別されます。問題となっているのは主に後者で、相続後の実家や高齢者の施設入居後の住居など、今後の活用方針が定まっていない物件が該当します。

このような背景から、空き家問題は個人の資産管理の問題にとどまらず、地域社会全体の課題として認識されるようになりました。

空き家を放置することで発生するリスク

空き家は放置すればするほど、所有者の負担が大きくなります。具体的には、以下のようなリスクが高まります。

  • 建物の老朽化が進む
  • 固定資産税が上がる
  • 特定空家に指定される

それぞれ個別にみていきましょう。

建物の老朽化が進む

いきます。最も深刻なのは、雨漏りによる建物内部の腐食です。放置された雨漏りは、建物の構造部分にまで影響を及ぼし、最悪の場合、倒壊の危険性も生じかねません。

築年数が古い建物では、屋根や外壁の劣化も顕著に現れます。瓦が割れたり、外壁が剥がれたりすることで、近隣への飛散物の危険性も高まります。

定期的な点検や修繕を行わないまま放置すると、建物の資産価値は年々低下していきます。

固定資産税が上がる

空き家の敷地は通常、住宅用地の特例により固定資産税が軽減されています。しかし、建物が「特定空家等」に指定されると、この特例が適用されなくなり、税負担が最大で6倍にまで跳ね上がることがあります。

<住宅用地の場合の固定資産税(200平方メートル以下の場合)>

  • 特例適用時:評価額の1/6
  • 特例適用外:評価額の全額

特定空家に指定される

適切な管理が行われない空き家は、自治体から「特定空家等」に認定されるリスクがあります。認定の主な基準となるのは、以下の状態です。

  • 建物が倒壊するおそれがある
  • 衛生上の問題が発生している
  • 景観を著しく損なっている
  • 周辺の生活環境に悪影響を及ぼしている

特定空家等に指定されると、行政から改善命令が出され、従わない場合は行政代執行により強制的に解体される可能性もあります。

この場合、解体費用は所有者の負担となり、予期せぬ支出を強いられることになります。

空き家の状態に合わせた対策方法

空き家対策は、建物の状態や立地条件によって最適な方法が変わってきます。ここでは、以下の対策方法とそれぞれの特徴をみていきましょう。

  • 売却して現金化する
  • 賃貸物件として運用する
  • 解体して更地にする

次項より、詳しく解説します。

売却して現金化する

空き家を売却する場合、建物の状態によって2つの選択肢があります。

まず、比較的状態の良い建物であれば、リフォームを行ってから売却する方法が考えられます。築年数が浅く、大規模な修繕が不要な場合は、この方法が有効です。

一方、建物の劣化が進んでいても、立地条件が良ければ、現状のまま売却できる可能性もあります。不動産会社に相談すれば、買取を専門とする業者を紹介してもらえるかもしれません。

ただし、築年数や劣化状態によって売却価格は大きく変わるため、複数の不動産会社から査定を受けることをおすすめします。

賃貸物件として運用する

立地条件が良く、建物の状態も比較的良好な場合は、賃貸物件としての活用が選択肢に入ります。賃貸活用のメリットは、毎月の家賃収入を得られることです。また、建物を所有し続けることで、将来の資産活用の可能性も残せます。

賃貸活用を検討する際は、リフォーム費用と予想される家賃収入のバランスを考慮する必要があります。一般的に、水回りの設備更新や内装の改修は必須となるでしょう。これらの初期投資は、家賃収入によって2~3年程度で回収できる金額に抑えることが望ましいとされています。

解体して更地にする

建物の劣化が著しく、改修費用が高額になる場合は、解体して更地にすることも選択肢の1つです。特に、土地の評価額が高い地域では、更地にすることで売却しやすくなる場合があります。

ただし、解体を選択する際は、税金面での影響も考慮が必要です。住宅用地の特例が外れることで固定資産税が上がる可能性があるため、解体後の土地の活用方法もあらかじめ検討しておくべきでしょう。

解体費用は建物の構造や規模によって異なりますが、一般的な木造2階建ての場合、150~200万円程度を見込んでおく必要があります。

費用を抑えて空き家対策を進める方法

空き家対策には一定の費用が必要ですが、各種支援制度を活用することで、所有者の負担を軽減できます。具体的な方法としては、以下が挙げられます。

  • 行政の支援制度を活用する
  • 空き家バンクに登録する
  • 専門家に相談する

それぞれ個別にみていきましょう。

行政の支援制度を活用する

国や地方自治体では、空き家の改修や解体に対する補助金制度を設けています。例えば、耐震改修工事の場合、工事費用の最大80%(上限100万円)が補助される制度もあります。解体工事においても、費用の一部を補助する自治体が増えてきました。

補助金制度は地域によって内容が異なりますが、主な支援対象は以下のとおりです。

  • 耐震診断・耐震改修費用
  • リフォーム工事費用
  • 解体工事費用
  • 不動産取引に関する諸費用

なお、これらの支援を受けるには、建物の築年数や構造などの要件を満たす必要があります。申請手続きも自治体によって異なるため、できるだけ早い段階で確認することが求められます。

空き家バンクに登録する

空き家バンクは自治体が運営する空き家の情報サイトです。売却や賃貸を希望する空き家の情報を登録し、利用希望者とのマッチングを図るシステムとして注目を集めています。

登録料は無料のケースが多く、不動産会社に支払う仲介手数料も一般的な取引より安価に設定されていることが特徴です。

また、自治体によっては、空き家バンクを通じた取引に対して、リフォーム費用の補助や、購入者向けの支援金制度を設けているところもあります。

専門家に相談する

専門家への相談は有料の場合が多いものの、適切なアドバイスを得ることで、中長期的なコスト削減につながる可能性があります

例えば、建築士に依頼する建物診断では、必要な修繕箇所を的確に把握でき、無駄な工事を避けることができます。

相談先は目的によって使い分けると効果的です。建物の状態確認は建築士、売却や賃貸の市場価値は不動産会社、税金対策は税理士というように、各分野の専門家の知見を活用することで、より効率的な対策が可能となります。

なお、一般社団法人移住・住みかえ支援機構(JTI)では、空き家の管理や活用に関する無料相談窓口を設けています。このような公的機関の相談窓口を活用することで、初期段階での費用負担を抑えることができるでしょう。

空き家対策の具体的な進め方

空き家対策を効率的に進めるには、手順を踏んで計画的に実施することが大切です。ここでは、実際の進め方について、6つのステップに分けて解説します。

  • 手順1:空き家の状態を確認する
  • 手順2:対策方針を決める
  • 手順3:必要な費用を算出する
  • 手順4:行政の支援制度を確認する
  • 手順5:専門家に相談する
  • 手順6:具体的な対策を実施する

以下より、個別に解説します。

手順1:空き家の状態を確認する

まずは実際に空き家を訪れ、建物の状態を細かくチェックします。建物内部の確認では、雨漏りの形跡や床の沈み、柱の傾きなどに注意を払います。天井や壁のシミ、カビの発生は雨漏りの可能性を示す重要なサインとなります。

建物の状態によっては、専門家による耐震診断も必要になってくるでしょう。この診断結果は、今後の対策方針を決める重要な判断材料となります。

手順2:対策方針を決める

建物の状態確認が終わったら、具体的な対策方針を検討します。築年数が浅く状態が良好な場合は売却や賃貸が有効です。

逆に、老朽化が進んでいる場合は、解体して更地にすることも選択肢に入ってきます。周辺の不動産相場や地域性も考慮しながら、最適な方針を見極めていきます。

手順3:必要な費用を算出する

対策方針が決まったら、必要な費用を具体的に算出します。売却の場合は仲介手数料や諸経費、賃貸活用ではリフォーム費用、解体の場合は工事費用など、方針によって必要な費用は大きく異なります。

見積もりは複数の業者から取得し、適正な価格を見極めることが重要です。

手順4:行政の支援制度を確認する

空き家対策に関する行政の支援制度は年々充実してきています。特に改修や解体に関する補助金は、自己負担を軽減する有効な手段です。

支援制度は地域によって内容が異なり、申請時期や予算枠にも制限があります。早めに情報を収集し、自身の対策プランに組み込んでいくことが賢明です。

手順5:専門家に相談する

方針が固まってきたら、具体的な実施方法について専門家の意見を聞きます。不動産会社からは市場価値や売却戦略、建築士からは改修プランやコストの妥当性など、専門的な見地からのアドバイスを得ることで、より確実な対策が可能になります。

手順6:具体的な対策を実施する

最後は実際の対策実施です。売却であれば媒介契約の締結から引き渡しまで、改修工事であれば施工業者との契約から工事完了まで、それぞれの工程を丁寧に進めていきます。

実施中も定期的に進捗を確認し、必要に応じて軌道修正を図ることで、より良い結果につながるはずです。

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物件の状態や所有者様のご希望に合わせて、最適な解決策をご提案させていただきますので、まずはお気軽にご相談ください

まとめ

空き家対策は、建物の状態確認から始めることが重要です。現地調査で老朽化の程度を把握し、必要に応じて耐震診断を実施。その結果をもとに、売却や賃貸、解体など最適な対策方法を選択します。

費用面では、国や自治体の支援制度を積極的に活用することで、所有者の負担を軽減できます。また、早めに専門家へ相談することで、より効率的な対策が可能になります。空き家問題は放置するほどリスクが高まります。

家屋の状態が良好なうちに、計画的な対策を進めるようにしましょう。

この記事の監修者

監修者プロフィール写真

丸岡 智幸 (宅地建物取引士)

訳あり不動産の買取を専門にする会社の代表取締役。
相続やペアローンによる共有持分、空き家、再建築不可物件、借地、底地など、権利関係が複雑な不動産の買取を専門としている。
訳あり不動産の買取サービス「ワケガイ」、空き家、訳あり不動産CtoCプラットフォーム「空き家のURI・KAI」を運営。
買取の経験をもとに、訳あり不動産の解説をする著書『拝啓 売りたいのに家が売れません』を2024年5月2日に出版。

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