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空き家解体で使える補助金にはどんなものがある?申請方法や条件を紹介

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こんにちは。ワケガイ編集部です。

空き家を相続したものの「修繕費がかさむ」「老朽化が進む」「相続人間で管理方針がまとまらない」といったケースでは、放置するほど問題が複雑化していきます。

こうした場合、建物の解体が現実的な選択肢になりますが、解体には数十万円から数百万円の費用がかかる点がネックです。

そこで検討したいのが、自治体が実施している空き家解体補助金です。空き家解体補助金とは、老朽化した建物の除却を後押しするために、解体費用の一部を公費で支援する制度です。

本記事では、補助金の仕組みや申請の流れ、自治体ごとの支援内容、利用時の注意点などをわかりやすく解説します。

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目次

空き家解体補助金とは何か

空き家の老朽化や放置が全国的に深刻化するなか、倒壊や火災などの危険を防ぐために自治体が導入しているのが「空き家解体補助金」です。

制度の目的は、所有者が解体費用の一部を負担する際の経済的負担を軽くし、地域の安全や景観を守ることにあります。

ただし、補助金の内容や申請手続きは自治体によって大きく異なりますので、まずは制度の背景と、国や地方がどのように役割を分担しているのかを整理しておきましょう。

制度の背景と目的

全国の空き家は年々増加しており、総務省の調査では2023年時点で約900万戸を超えたとされています。少子高齢化や相続放置などが背景にあり、なかでも問題視されているのが、管理が行き届かず倒壊や放火の危険を伴う「管理不全空き家」や「特定空家等」です。

令和5年住宅・土地統計調査

(出典:総務省「令和5年住宅・土地統計調査」)

こうした建物は所有者だけでなく、地域全体にも悪影響を与えます。

この状況を受けて2015年に施行されたのが「空家等対策特別措置法」です。自治体が危険空き家に対して指導や改善命令を出し、最終的には行政代執行で解体できる仕組みが整いました。

(参考:e-Gov 法令検索「空家等対策の推進に関する特別措置法」)

ただし、実際に解体するとなると数十万円から数百万円の費用がかかり、個人負担では難しいのが現実です。そこで導入されたのが、解体費用の一部を公費で補助する制度です。

関連記事:空き家の解体費用はどのくらい?抑えるための方法や高くなるケースを解説

補助金制度の全体像:国・自治体の役割

空き家解体補助金は、基本的に市区町村単位で運用される制度です。国が直接お金を出すのではなく、国土交通省が(参考:e-Gov 法令検索「空家等対策の推進に関する特別措置法などの枠組みで自治体を財政的に支援し、各地域が実情に応じて制度内容を設計します。

つまり、国が方向性を示し、自治体が現場で制度を具体化する仕組みです。

また、補助金の申請や審査を担当するのも自治体の空き家対策課や建築指導課です。対象判定や現地調査、交付決定までの流れを管理するのが地方自治体であり、国はその基盤づくりを支援しています。

したがって、同じ「空き家解体補助金」という名称でも、支給額や条件は地域によってまったく違います。

 

空き家解体の補助金の上限はどのくらい?

空き家解体の補助金は、全国的に見ると30万円〜150万円前後が中心的な水準です。建物の老朽化が進み、倒壊の危険性が高いと判断されたケースや、耐震改修とあわせて行う場合は、上限額がさらに拡大される自治体もあります。

例えば、大阪市では狭あい道路沿いの老朽住宅を対象にした制度があり、重点対策地区では戸建て100万円、集合住宅200万円までの補助が設けられています。

こうした高額の上限設定は、再開発や防災政策と密接につながっているのが特徴です。

 

空き家解体の補助金を申請してから受給するまでの一般的な流れ

補助金の申請は、「書類を提出すれば終わり」という単純なものではなく、大まかには以下のステップを経る必要があります。

  • STEP1:自治体への事前相談と要件確認
  • STEP2:申請書類の準備と提出
  • STEP3:交付決定と工事着手
  • STEP4:工事完了報告と実績確認
  • STEP5:補助金の受給(精算・振込)

全体の流れを把握しておくと、手続きの途中で迷うことが減りますので、順番にみていきましょう。

STEP1:自治体への事前相談と要件確認

補助金の申請は、まず「自分の空き家が制度の対象に該当するか」を自治体に確認するところから始まります。老朽化の程度や建物の用途、建築時期など、自治体の基準に沿っているかどうかを判断してもらうためです。

窓口では、現地調査の日程調整や必要書類の説明も行われます。特に、相続登記が済んでいない場合や共有名義になっている場合は、追加書類が必要になることが多いため、申請前に相談しておくとスムーズです。

STEP2:申請書類の準備と提出

要件を満たしていると確認できたら、申請に必要な書類を揃えます。登記事項証明書、現況写真、解体工事の見積書、所有者の本人確認書類などが一般的で、自治体が指定する形式や撮影方法に沿う必要があります。

書類が不足していると、差し戻しになって申請が遅れるため、担当課に確認しながら準備するのが確実です。書類一式が整ったら、窓口やオンラインで提出し、受付完了の通知を受けて次の段階に進みます。

STEP3:交付決定と工事着手

申請書類の審査が終わると、自治体から「交付決定通知」が届きます。この通知が手元に届くまでは工事を始めることができません。着工日が交付決定日より前だった場合、どれほど条件を満たしていても補助対象から外れてしまいます。

解体業者との契約を急ぎたくなる場面もありますが、ここで焦ると補助金がもらえなくなる可能性が高いため注意が必要です。交付決定を受けたあとで契約や着工日を確定し、近隣への挨拶や仮設工事の準備などを進めます。

STEP4:工事完了報告と実績確認

解体工事が終わったら、自治体に「完了報告書」を提出します。施工前後の写真、工事費の領収書、契約書の写しなどを添えて、実際に行われた内容が申請時の計画と一致しているかを確認してもらいます。

自治体によっては担当者が現地に来て、建物がすべて撤去されているか、整地されているかといった点を直接確認する場合があります。完了報告が不十分だったり、請求金額に不明点がある場合は追加資料を求められるため、書類は丁寧に揃えることが大切です。この工程がクリアされると、補助金の最終額が確定します。

STEP5:補助金の受給(精算・振込)

実績確認が完了すると、補助金の額が正式に決まり、自治体から精算通知が届きます。通知の内容に沿って請求書を提出すると、指定した口座へ補助金が振り込まれます。支給までの期間は自治体によって異なりますが、数週間から1か月ほどかかることが一般的です。

この段階で初めて補助金が振り込まれるため、工事費は一時的に自己負担となる点を理解しておく必要があります。

 

日本全国の空き家解体の補助金例(※2025年版)

空き家解体の補助金制度は、自治体ごとに特色が大きく異なります。同じ「空き家対策」であっても、都市部では防災や景観の改善を重視し、地方では空き家の増加を抑えるために高めの補助額を設定するなど、それぞれの地域事情が制度に反映されています。

ここからは、代表的な5都市の制度を取り上げ、上限額や対象条件の違いをわかりやすく紹介します。

東京都

東京都では「空き家家財整理・解体促進事業」を通じて、老朽化した空き家への支援を行っています。対象となるのは、倒壊の危険があるなど、一定の基準に該当する空き家です。

(参考:住宅政策本部「東京都空き家家財整理・解体促進事業」)

東京都「東京都空き家ワンストップ相談窓口

(出典:東京都「東京都空き家ワンストップ相談窓口

家財整理と解体が補助対象に含まれ、費用の2分の1以内を助成する仕組みになっています。上限額は家財整理が5万円、解体が10万円で、都市部の中では比較的控えめな水準です。

この制度は、東京都が広域的に実施するもので、各区市町村が独自に上乗せを行う場合があります。

大阪市

大阪市では、都市構造に根強く残る「狭あい道路」の改善を目的とした「狭あい道路沿道老朽住宅除却促進制度」を運用しています。対象となるのは、幅員4メートル未満の道路に面した老朽住宅で、昭和56年5月31日以前に建築されたものが中心です。

(参考:大阪市「狭あい道路沿道老朽住宅除却促進制度」)

狭あい道路沿道老朽住宅除却促進制度

(出典:大阪市「狭あい道路沿道老朽住宅除却促進制度」)

これは、耐震基準が大きく改正される前の建物で、地震時に倒壊の危険が高いとされるためです。

補助金の上限額は地区区分によって異なり、対策地区では戸建て75万円・集合住宅150万円、重点対策地区では戸建て100万円・集合住宅200万円となっています。

名古屋市

名古屋市では、危険度の高い空き家を優先的に除却するため「老朽危険空家等除却費補助金」を運用しています。対象となるのは、市が「特定空家等」と判断した建物で、危険度を点数化して補助額を決める仕組みが特徴です。

(参考:名古屋市「名古屋市老朽危険空家等除却費補助金」)

具体的には、危険度が75点以上であれば除却費の3分の1(上限40万円)、125点以上に達すると3分の2(上限80万円)まで助成されます。基準が明確に設定されているため、所有者は自分の空き家がどの程度の危険度にあるのかを客観的に把握しやすく、除却の判断材料としても役立ちます。

福岡市

福岡市では、市街化調整区域などで増加する空き家への対策として「空き家活用補助金」を設けています。名称のとおり“活用”を軸にした制度で、老朽化した建物を解体して活用用地に転換する場合や、リフォームを行って再利用する場合など、幅広いケースを想定しています。

(参考:福岡市「福岡市空き家活用補助金(市街化調整区域における定住化促進」)

解体だけを対象とした明確な上限額は設けられていませんが、活用を前提とした除却や改修を支援する仕組みになっており、年度の方針や申請用途によって助成額が変わる点が特徴です。

市街化調整区域は建築規制が厳しく、新たに建物を建てるには多くの条件を満たす必要があります。そのため、既存建物の利活用や解体後の土地活用が地域課題となりやすく、制度が導入されています。

札幌市

札幌市は寒冷地特有の老朽化リスクに対応するため、「危険空家等除却補助制度」を導入しています。制度は「通常型」と「地域連携型」の2種類があり、それぞれ上限額と条件が異なります。

(参考:札幌市「令和7年度札幌市危険空家等除却補助制度のご案内

通常型は工事費の3分の1以内で上限50万円、危険度が高い空き家の除却を目的とした基本的な支援です。

一方、地域連携型は工事費の10分の9まで(上限150万円)という非常に高い補助率が設定されており、除却後の土地を自治会などが地域活動で使うことを条件としています。

 

空き家解体の補助金を利用する上で気をつけたいポイント

補助金を利用して解体を進める場合、制度の仕組みを十分に理解していないと「補助金がもらえると思って工事を進めたのに、結局対象外だった」という事態に陥りかねません。特に、申請の順序や費用区分の考え方は自治体ごとに細かい取り決めがあります。

特に、申請時に誤解が多いポイントとしては以下のものが挙げられます。

  • 交付決定前に工事を始めない
  • 補助対象外の費用を把握する
  • 共有名義や相続登記未了の空き家に注意する
  • 申請期間と予算枠に注意する
  • 必要書類を早めに準備する

それぞれ個別にみていきましょう。

交付決定前に工事を始めない

補助金制度では、工事を始めるタイミングに厳格なルールがあります。交付決定通知が届く前に着工すると、どれだけ条件を満たしていても補助対象外となるのが一般的です。

「見積もりも取れたし、日程も合うから早めに解体してしまおう」と判断してしまうと、その時点で補助は受けられなくなります。

自治体が交付決定を出すのは、申請内容や現地の状況を確認し、対象要件を満たしていると判断したあとです。工事の安全性や費用の妥当性を行政が担保したうえで支援するという趣旨があるため、順番が入れ替わることは許されません。

解体業者との契約日・着工日は、交付決定通知に記載される日付以降に設定する必要があります。業者側が日程調整を急ぐこともありますが、補助金が前提であれば必ず“通知が届いてから着工”という流れを守ることが大前提です。

補助対象外の費用を把握する

解体工事にはさまざまな費用が発生しますが、補助金の対象範囲は「建物本体の除却」に限定される場合が多く、すべての費用を申請できるわけではありません。よく誤解される項目として、家財道具の処分、庭木・ブロック塀・物置などの撤去、整地費、アスベスト除去費があります。

これらは自治体が「生活残置物」「外構工事」「付帯工事」と分類し、対象外として扱うケースも存在します。

見積書を提出する際に、補助対象部分と対象外部分が明確に区分されていないと、審査で差し戻されることがあります。

共有名義や相続登記未了の空き家に注意する

空き家が共有名義になっている場合や、相続発生後に登記がそのまま放置されている場合は、補助金申請の段階でつまずきやすくなります。自治体の制度では、多くの場合「所有者全員の同意」が前提とされており、同意書や印鑑証明書を揃えなければなりません。

たとえ持分割合が少なくても、一人でも同意しない人がいれば申請が進まないことがあります。家族間で疎遠になっている、連絡がつかない共有者がいる、といった状況では、書類準備だけで数か月かかることも珍しくありません。

相続登記が済んでいない空き家では、現在の「正式な所有者」が誰なのかが分からず、自治体が申請を受理できないケースがあります。

補助金を利用する予定がある場合、申請手続きと同時並行で名義の整理を行うよりも、事前に登記を整えておくほうが結果的にスムーズです。

申請期間と予算枠に注意する

どの自治体でも、補助金は無尽蔵に支給できるわけではなく、年度ごとに用意された予算枠の範囲で運用されています。毎年4月に募集を開始し、一定件数に達すると年度の途中でも受け付けを締め切る方式が多く、特に需要が高い地域では早い段階で予算が消化される傾向があります。

年度末に近づくほど受付が終了している自治体が多いため、補助金を活用したい場合は、スケジュールの後ろ倒しを避ける必要があります。自治体によっては、予算消化状況をホームページで定期的に更新しているところもあり、こまめに確認しておくと安心です。

必要書類を早めに準備する

補助金申請には、以下のように多数の書類を揃えることが求められます。

  • 登記事項証明書
  • 現況写真
  • 見積書
  • 印鑑証明書
  • 共有者の同意書

など

書類そのものは難しい内容ではありませんが、法務局での登記事項証明書の取得や、役所での証明書発行に時間がかかることもあり、期限ぎりぎりに動くと間に合わないケースが出てきます。

特に共有名義の場合、同意書を郵送で取り寄せる必要があるなど、書類収集の負担が大きくなる傾向があります。

現況写真についても、自治体が指定する撮影方法や角度が決められていることがあり、要件を満たしていないと再提出が求められます。見積書についても、補助対象と対象外の費用を区分するため、解体業者に依頼して書式を整えてもらう必要があります。

 

逆に、空き家を解体せずに放置するリスクとは?

空き家をそのままにしておくと、費用をかけずに済むようにみえますが、実際にはさまざまな問題が重なり、将来的な負担が大きく膨らむ可能性があります。

代表的なリスクとしては、次のものが挙げられます。

  • 建物の老朽化が進み、倒壊事故につながりかねない
  • 特定空家等に指定され、税負担が増えるおそれがある
  • 不法侵入や放火のリスクが高まる
  • 周辺の地価が下がり、地域全体の価値が損なわれる
  • 相続や売却が難航し、負動産化するおそれがある

次項より、個別に解説します。

建物の老朽化が進み、倒壊事故につながりかねない

空き家は人が住まなくなると、湿気や害虫の影響を受けやすくなり、劣化のスピードが一気に早まります。屋根の瓦が落ちたり、外壁が剥がれたりするだけでも危険ですが、老朽化が進むと建物全体が傾いたり、強風や大雨で一部が崩れるといった事故につながることがあります。

通行人や隣家を巻き込むような被害が発生した場合、所有者が損害賠償を求められる可能性は避けられません。

木造住宅は特に劣化しやすく、数年間放置されただけで構造材が腐り、自治体から「危険建築物」に分類されることもあり、問題が判明した時点で修繕するには膨大な費用が必要になるため、結果的に解体しか選択肢がなくなるケースもあります。

特定空家等に指定され、税負担が増えるおそれがある

空き家の管理が行き届かなくなると、自治体から「特定空家等」に指定される可能性があります。この指定は、空家等対策特別措置法に基づくもので、倒壊の危険性がある、衛生上問題がある、景観を著しく損なう、といった状態が該当します。

対象になると、通常は最大6分の1まで軽減される住宅用地の固定資産税特例が外れ、課税額が一気に跳ね上がります。実質的に税負担が6倍になるケースもあり、放置を続けるほど費用面の負担は重くなります。

(参考:e-Gov 法令検索「空家等対策の推進に関する特別措置法」)

さらに厄介なのは、改善命令に従わなかった場合です。自治体が行政代執行によって強制的に解体し、その費用を所有者に請求することが認められています。代執行は通常の解体より高額になりやすく、数百万円単位の費用が後から一括で請求されることも珍しくありません。

不法侵入や放火のリスクが高まる

人の出入りがなく、管理されていない空き家は、犯罪の温床になりやすい傾向があります。空き家の周辺に生活の気配がないと、不審者が侵入しやすい環境となり、物品の持ち出しや住みつきといった問題が生まれやすくなります。

また、粗大ごみの不法投棄の対象になることも多く、ゴミが積み重なれば火災の危険も高まります。特に夜間や人とおりの少ない地域では、放火を誘発しやすい状態になることが指摘されています。

関連記事:空き家の防犯対策はどうすればいい?防犯グッズや役立つ知識を解説

周辺の地価が下がり、地域全体の価値が損なわれる

管理されていない空き家は、外観が荒れ、雑草が伸び放題になるなど、周囲の景観に強い影響を与えます。道路に面した建物であればなおさら視認性が高く、「治安の悪い地域」という印象をもたれやすくなります。

こうした視覚的な荒廃が積み重なると、周辺に住む人の生活満足度が下がり、結果として地価にも影響が及びます。空き家が多い地域では「空き家の連鎖」が起こりやすく、荒廃のスピードが加速する危険もあるのです。

相続や売却が難航し、負動産化するおそれがある

空き家を長く放置すると、建物の劣化が進むだけでなく、敷地境界が不明確になるなど、相続手続きや売却に大きな支障が生じます。老朽化した住宅は安全性の問題から買い手がつきにくく、市場価値も極めて低くなりがちです。

いざ売却しようとしても、解体費用が相当額に上るため、売却代金では費用を賄えず「負動産」として所有者の負担だけが残る状況に陥りやすくなります。

2024年には相続登記の義務化が始まり、相続放置が続いている空き家ほどリスクが増えます。登記がされていない土地や建物は、所有者が不明確なため手続きが複雑になり、補助金の申請どころか、売却の交渉も進みません。

 

空き家を解体せずに利活用するアイデア

空き家の課題は「壊すかどうか」だけではありません。建物の状態や立地によっては、解体よりも利活用を選んだほうが費用対効果が高くなることがあります。

近年メジャーな活用方法としては、次のものが挙げられます。

  • 賃貸住宅としてリノベーションする
  • 地域のシェアスペースやカフェに転用する
  • 民泊や短期滞在施設として運用する
  • 駐車場やトランクルームとして活用する
  • 行政やNPOに貸し出す 

それぞれ個別に解説します。

賃貸住宅としてリノベーションする

建物の基礎や骨組みが健全な状態であれば、古い空き家でも賃貸住宅として再生することができます。特に水回りの老朽化が目立つ物件では、キッチン・浴室・トイレなどを中心に改修するだけで居住性が大きく向上し、若年層や単身者向けの需要を取り込めるようになります。

築年数の古さを活かしてレトロな内装に仕上げるケースもあり、リノベーションの方向性によっては独自性のある賃貸物件として人気が出ることもあります。

住宅需要が高い地域では、解体に数十万円〜百万円単位の費用をかけるよりも、必要最低限のリフォームで賃貸収入を得るほうが経済的な利益を見込めるでしょう。

地域のシェアスペースやカフェに転用する

空き家を地域住民が集う場として再生する動きも各地で増えています。古民家をリノベーションしてカフェにしたり、アトリエやワークショップのスペースとして開放したりと、住宅の間取りや雰囲気をそのまま活かした形で活用されることが多いのが特徴です。

住宅だった空間を別の用途に変えることで、地域のコミュニティが再生されたり、新しい交流が生まれたりする効果も期待できます。

こうした用途変更では、建物の魅力をどう引き出すかがポイントになります。古い梁や柱を残して雰囲気を整えるリノベーションが好まれることもあり、観光地や住宅地の一角にちょっとした名所が生まれるケースも存在します。

民泊や短期滞在施設として運用する

観光地や都市周辺では、空き家を民泊施設に転用するケースが着実に増えています。宿泊料として収益を得られる点が大きな特徴で、通常の賃貸よりも高い収益性を期待できる場合があります。

特に古民家や築年数のある住宅は、デザインや雰囲気が評価され、国内外の旅行者に好まれることも多いです。

ただし、運用にあたっては「住宅宿泊事業法(民泊新法)」に基づく届け出が必要で、年間営業日数の上限や衛生管理のルールが明確に定められています。旅館業法の許可が必要な形態もあるため、どの区分で運営するかを最初に整理しておきましょう。

また、消防設備の設置や防火対策、定期的な清掃体制の確保など、運営の前提となる環境づくりにも一定のコストと手間がかかります。

収益性は立地や稼働率に左右されるため、近隣の宿泊需要や競合施設の状況を調べたうえで判断すると、事業化の見通しが立てやすくなります。

駐車場やトランクルームとして活用する

建物の全解体をせずに土地を活用したい場合、駐車場やトランクルームへの転用が現実的な選択肢になります。住宅の一部だけを撤去したり、倉庫として再利用できる部分を残したりすることで、解体費用を最小限に抑えつつ収益化につなげられます。

特に住宅街では車やバイクの置き場所に困るケースが多く、月極駐車場の需要が比較的安定している傾向があります。

トランクルームとして利用する場合は、既存建物の内部を補強しつつ最低限の収納区画を整えるだけで運用できるため、初期投資を抑えられる点がメリットです。

行政やNPOに貸し出す

空き家を行政機関や地域のNPOに貸し出すという活用方法も選択肢に入ります。子育て支援の拠点、高齢者の交流スペース、地域防災用の倉庫など、公共的な用途として利用されるケースが多く、空き家の社会的な役割が明確になる点が特徴です。

所有者にとっては、管理の負担を大幅に減らしつつ、地域との関わりを維持できるメリットがあります。

公共用途での活用は、企業や民間団体に貸し出す場合と比べ、長期間安定した利用が期待できる点も魅力です。自治体側も、地域課題の解決に直結する施設として歓迎する傾向があり、用途によっては簡易な改修で受け入れられることもあります。

 

空き家解体で頼れる相談先

空き家の解体を検討し始めると、制度の複雑さや手続きの多さがネックとなります。補助金の対象要件、解体業者の選び方、相続や名義の整理まで、判断しなければならないテーマは多岐にわたります。

こうした不安を解消する上では、早い段階から適切な相談先を確保しておくことが大切です。以下では、実際に役立つ主要な窓口を紹介します。

  • 自治体の空き家対策課
  • 空き家相談センターやNPO
  • 信頼できる解体業者・専門家

上記についても、個別に解説します。

自治体の空き家対策課

最初に頼りたいのが、各市区町村に設けられている空き家対策課(名称は自治体により異なります)です。補助金の要件や申請方法は自治体ごとに細かく異なるため、最も正確な情報を把握している自治体窓口に確認するのが確実です。

申請書の書き方や必要書類の整え方についても丁寧に案内してくれるため、補助金の活用を前提にするなら必ず一度は相談しておきたい窓口です。

空き家対策課では、解体後の土地活用や地域の条例に関する相談も受け付けており、建築基準法や都市計画上の制約についても情報提供を行っています。

補助金の申請期間や予算枠の状況など、一般には伝わりにくいタイムリーな情報も得られるため、早めのアポイントが役立ちます。

空き家相談センターやNPO

自治体の窓口以外にも、空き家問題を専門に扱う相談センターやNPOが全国で活動しています。これらの団体は、空き家所有者の悩みに寄り添いながら、解体・売却・利活用・相続といった幅広い切り口でアドバイスを行うのが特徴です。

行政とは異なる立場から助言を得られるため、「何から手をつければよいかわからない」という段階でも相談しやすいのがメリットです。

また、空き家の調査や現地確認を行ってくれる団体もあり、劣化状況やリスクを把握したうえで今後の対応を検討することができます。

信頼できる解体業者・専門家

解体工事を実際に担当するのは業者であるため、最終的には「誰に依頼するか」が肝になってきます。

建設業許可の有無、アスベスト調査の実績、見積書の内訳の明瞭さなど、確認すべきポイントはいくつかありますが、複数社から見積もりを取って比較するだけでも費用面・工事内容の違いが見えてきます。

また、相続登記や共有名義の整理が関係する場合は、司法書士や税理士の助力が必要になることもあります。解体業者と士業が連携してワンストップで対応する体制を持つ会社もあるため、状況に応じて専門家の紹介を受ける方法も有効です。

 

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FAQ:空き家解体の補助金に関するよくある質問

ここからは、読者から寄せられることの多い代表的な質問を取り上げ、ポイントを整理していきます。特に「どこまでが補助対象になるのか」「申請後の流れはどう進むのか」など、実務に直結する疑問は事前に解消しておきましょう。

補助金を使って解体したあとに土地を売っても問題はある?

補助金を利用して解体した土地を売却すること自体は、通常は問題ありません。自治体の多くは「解体後の土地利用」を制限していないため、売却・活用・相続などは自由に判断できます。

ただし、制度の中には「解体後に一定期間は転売を目的とした利用を行わないこと」などの条件を設けている自治体が一部存在します。

家財道具の処分費も補助の対象になる?

家財処分費は、多くの自治体では補助対象外とされています。空き家対策の補助金はあくまで「解体工事そのもの」に対する支援であり、室内に残された家財の処分、庭木の伐採、外構や倉庫の撤去、アスベスト除去などは別費用として扱われることが一般的です。

ただし、東京都のように「家財整理を含む制度」を個別に用意している自治体もあり、その場合は上限額が別枠で設定されていることがあります。

助金の申請から交付までどのくらい時間がかかる?

申請から交付決定までの期間は自治体によって幅がありますが、一般的には1〜3か月程度が目安になります。提出された書類をもとに、現地調査や書類審査が行われ、要件に適合しているかを自治体が判断するためです。

補助金を受けられなかった場合の代わりの支援はある?

補助金の対象外になったとしても、ほかの支援策や選択肢を検討する余地はあります。自治体によっては、地域の空き家バンクへの登録支援、老朽住宅の除却に関する別制度、リフォーム補助など複数の施策があるためです。

 

まとめ

空き家の解体は、費用の大きさや手続きの複雑さから後回しにされがちですが、老朽化が進むほど倒壊や特定空家指定のリスクが高まり、結果として費用負担が増える可能性があります。

補助金制度を上手に活用するには、申請前の事前相談、必要書類の整理、交付決定の時期を踏まえたスケジューリングを行いましょう。また、解体だけが唯一の選択肢ではなく、リノベーションや地域活用など別の道が開けるケースもあります。現状に合った選択をするためには、制度の仕組みを理解し、早めに行動することが最も効果的です。

空き家を抱えて不安を感じている場合は、まず情報を整理し、自分にとって最適な方向性を見極めるところから始めてください。

この記事の監修者

監修者プロフィール写真

佐藤 丈太郎 (税理士)

税理士の職域に留まらず、クライアントファーストで多岐に渡る業務に従事。
大規模な相続対策や節税コンサルティングを得意としている。

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