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共有持分権とは、複数の人が共同で不動産を所有する権利のことです。では、共有持分権を持つと何ができるのか、具体的にご存知でしょうか。
共有物の管理や処分には、どのような制限があり、共有持分権を手放したくなった場合にどのような方法があるのか、ご存知の方は少ないのではないでしょうか。
そこで本記事では、共有持分権の基本的な内容から、その行使に伴う制限、共有持分権を手放す方法、さらには共有持分権をめぐる紛争の解決方法まで詳しく解説します。
目次
共有持分権とは
共有持分権とは、複数の人が共同で所有する財産(共有物)について、各共有者が有する権利のことをいいます。共有持分権を有する者は、その持分に応じて以下のような権利を行使できます。
- 共有物を使用・収益する権利
- 共有物の維持・修繕を行う権利
- 共有物の管理に関する決定に参加する権利
- 共有物を処分(売却・賃貸など)する権利
ただし、これらの権利を行使する際には、他の共有者の同意を得る必要があります。つまり、共有持分権者は、共有物に対してさまざまな権利を有しているものの、その権利行使には一定の制限が伴うのです。
例えば、共有不動産を売却する場合、これは共有物の処分行為にあたるため、全ての共有者の同意が必要となります。共有不動産のリフォームを行う場合は、共有物の変更行為にあたるため、共有者の過半数の同意が必要。
このように、共有持分権者は、共有物に対する権利と義務を同時に有しているのです。
共有持分とは
共有持分とは、複数の人が共同で所有する不動産について、各共有者が有する所有権の割合のことをいいます。
例えば、1億円の土地をA、B、Cの3人で購入した場合、各自の出資額に応じて以下のように共有持分が決定されます。
- Aの出資額6,000万円:共有持分は60%
- Bの出資額2,000万円:共有持分は20%
- Cの出資額2,000万円:共有持分は20%
土地や建物が共有名義になっている場合、各共有者は、その持分に応じて、不動産の管理・使用に関する権利を有します。しかし、一部の重要な決定については、全ての共有者の同意が必要となります。
共有者には、持分に応じた管理義務も生じます。具体的には、以下のような費用を負担しなければなりません。
- 固定資産税や都市計画税などの税金
- 共有物の維持・修繕に要する費用
- 共有物の管理に要する費用(管理会社への委託費用など)
共有持分を有する者は、これらの権利と義務を十分に理解した上で、共有物の管理・運営に携わる必要があります。
関連記事:共有持分とは?トラブルの元となるリスクや売却方法を徹底解説
共有持分権のメリット
共有持分権のメリットとしては、以下のものが挙げられます。
- 住宅ローン控除を各権利者が受けられる
- 売却時の控除額も同様
それぞれ詳しく解説します。
住宅ローン控除を各権利者が受けられる
共有名義で不動産を取得する際、共有者全員で住宅ローンを組むことで、住宅ローン控除を各共有者が受けることができます。
住宅ローン控除とは、毎年末の住宅ローン残高または住宅取得価格のいずれか少ない方の金額の1%相当額を、10年間にわたって所得税額から控除できる制度です。
ただし、控除額には上限があり、1年目から10年目までは年間400万円、11年目から13年目までは年間80万円が最大控除額となっています。
例えば、夫婦で5,000万円の不動産を購入し、住宅ローンを組む場合を考えてみましょう。片方のみが不動産を所有する場合、計算式は以下のようになります。
- 5,000万円×1%×10年=500万円
この場合、本来なら500万円の控除が可能ですが、最大控除額が400万円に制限されてしまいます。
対して、夫婦で借入金5,000万円を2,500万円ずつ負担した場合、計算式は次のとおりです。
- 夫:2,500万円×1%×10年=250万円
- 妻:2,500万円×1%×10年=250万円
このように、共有名義で住宅ローンを組むことで、夫婦それぞれが住宅ローン控除を受けられ、合計で500万円分の控除が可能となります。共有名義で住宅ローンを組むことで、控除の適用範囲を広げることができるのです。
売却時の控除額も同様
不動産を売却する際には、譲渡所得税が課税されます。しかし、一定の条件を満たす場合、「3,000万円の特別控除」という特例の適用を受けられます。
この特例が適用されると、不動産の売却益が3,000万円以下であれば、その全額が控除の対象となります。さらに、夫婦で共有している不動産を売却する場合、夫婦それぞれが3,000万円の特別控除の対象となるため、夫婦それぞれの売却益から3,000万円ずつ控除することができます。つまり、合計で最大6,000万円分の特別控除が受けられるのです。
このように、共有名義の不動産を売却する際にも、共有者全員が税制上の恩恵を受けることができます。
共有持分権のデメリット
では、共有持分権のデメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。具体的には、以下のとおり。
- 利活用には各権利者の同意が必要
- 相続発生で権利者がどんどん増えていく
次項より、詳しく解説します。
利活用には各権利者の同意が必要
「共有名義の不動産を売却する」「大規模な修繕を行う」など、不動産の処分行為を行う場合、各共有者の持分割合に関わらず、全共有者の同意を得る必要があります。
つまり、共有者の中に一人でも処分行為に反対する者がいれば、不動産の利活用について話し合いが進展しなくなってしまうのです。
ただし、建物の壁紙の張り替えや雨どいの修理など、不動産の現状を維持するための軽微な修繕については、各共有者が単独で実施することが可能です。
相続発生で権利者がどんどん増えていく
共有持分権を長期間保有していると、共有者の中で相続が発生する可能性が高くなります。
もともと共有者の数が少ない場合でも、共有者間でトラブルが起こりやすいのですが、相続によって共有者の数が増えてしまうと、トラブルのリスクがさらに高まってしまいます。
相続が発生すると、共有者の数が増えるだけでなく、共有者同士の関係性が希薄になっていくという問題もあります。
例えば、当初は夫婦や兄弟など親密な関係の人たちで共有していたとしても、兄弟の1人が亡くなって相続が発生すると、甥や姪などの親族が新たに共有者となる可能性があります。
顔を合わせたこともない遠い親族が共有者になってしまうと、不動産の売却や維持費の負担について合意形成が難しくなり、トラブルに発展するケースも少なくありません。
関連記事:共有持分を相続するリスクとは?相続税や単属名義にする方法をあわせて解説
共有持分にかかる費用の支払い方法
共有名義の不動産であっても、固定資産税の納税義務が生じます。ただし、税務署から各共有者に個別の納税通知書が送付されるわけではありません。
通常、いずれかの共有者に納税通知書が送付され、共有者全員が連帯納税義務を負うことになります。つまり、各共有者は自己の持分に応じた納税義務だけでなく、不動産全体の固定資産税について連帯して納付する義務を負うのです。
共有者の1人が固定資産税の全額を納付すれば、他の共有者の納税義務も消滅します。しかし、1人だけで税負担を負うのは公平とはいえません。そのため、共有者間で話し合いを行い、事前に税負担の割合を決めておくことが望ましいでしょう。
固定資産税だけでなく、共有不動産の維持・管理に要する費用についても、共有者間で負担割合を決めておく必要があります。
軽微な修繕については、各共有者が単独で実施できますが、大規模な修繕を行う場合には、共有者全員の同意が必要となります。
共有持分権を手放す方法
共有持分権を手放す方法には、次の3つが存在します。
- 持分放棄
- 持分の売却
- 分筆
以下より、個別にみていきましょう。
持分放棄
共有持分を放棄する際には、他の共有者の同意は不要で、自分の意思表示のみで放棄することが可能です。
ただし、共有持分の放棄を登記するためには、他の共有者との共同申請が必要となります。
つまり、共有持分の放棄自体は単独で行えますが、放棄の事実を公的に証明するためには、他の共有者の協力が不可欠なのです。
共有持分を放棄し、その旨を登記する際には、共有不動産を管轄する法務局に以下の書類を提出する必要があります。
<持分放棄の提出書類>
- 登記済証または登記識別情報通知
- 登記原因証明情報
- 印鑑証明書(発行日から3ヶ月以内のもの)
- 固定資産評価証明書
- 実印
- 本人確認書類
なお、持分を放棄する者の住所・氏名等が登記簿の記載と異なる場合には、以下の追加書類が必要です。
- 住民票または戸籍の附票
- 戸籍謄本
- 地番変更証明書(市区町村役場で発行)
持分を放棄する者以外の共有者には、以下の書類の提出が求められます。
- 住民票
- 認印
- 本人確認書類
共有持分の放棄登記には、登録免許税が課されます。具体的な税額については、事前に司法書士等の専門家に相談しておくことをおすすめします。
関連記事:共有持分の放棄とは?持分放棄の方法や必要書類を解説
持分の売却
共有持分権を手放す別の方法として、自己の持分を売却するという選択肢があります。
共有不動産全体を売却するなら全共有者の同意が必要ですが、自己の持分のみを売却する場合には、他の共有者の同意は不要。
共有持分の売却に際しては、共有持分の買取を行っている不動産会社に依頼するのが一般的です。共有持分は、その利用に制約があるため、個人での購入需要は乏しいのが実情です。そのため、共有持分の売却先としては、不動産会社が主となります。
不動産会社に共有持分を買い取ってもらう際には、以下の書類が必要となります。
- 登記済証または登記識別情報通知
- 印鑑証明書(発行日から3ヶ月以内のもの)
- 固定資産税評価証明書
- 実印
- 本人確認書類
これらは必須の提出書類ですが、不動産会社から追加で以下のような書類の提出を求められることがあります。
- 確定測量図(土地・戸建ての場合)
- 建物図面(戸建て・マンションの場合)
- 建築確認(戸建て・マンションの場合)
- 検査済証(戸建て・マンションの場合)
- マンション管理関連書類(マンションの場合)
関連記事:共有持分の不動産は売却できる?必要な条件や手続き方法を解説
分筆
共有持分権を解消する方法の1つとして、共有不動産を共有持分の割合に応じて分筆し、各共有者が分割された土地を単独で所有するという方法があります。
これは、共有持分権を手放すというよりも、共有関係そのものを解消するという意味合いが強いといえます。
建物とは異なり、土地については分筆による分割が可能です。例えば、3人の共有者がそれぞれ3分の1ずつの共有持分権を有している場合、土地を3つに分割し、分割後の各土地をそれぞれの共有者が単独で所有するというわけです。
これにより、共有関係が解消され、各共有者は自己の土地について単独の所有権を取得することになります。
ただし、分筆を行うためには、法務局に対して分筆登記の申請を行う必要があります。分筆登記申請に必要な主な書類は、以下のとおり。
- 申請書
- 境界確認書
- 境界同意書
- 境界協定書
- 地積測量図
- 現地案内図
これらの書類のほとんどは、一般の方には用意が難しいものばかりです。そのため、分筆登記を行う際には、土地家屋調査士に依頼し、確定測量から始めましょう。
共有持分権に関する注意点
共有持分権は、複数人で不動産を所有する権利であり、単独所有とは異なるさまざまな制約があることを理解する必要があります。
共有持分権者は、自己の持分に応じて、不動産の管理・利用について一定の権利を有しますが、その行使には他の共有者の同意が必要となる場合が少なくありません。
共有不動産の管理・処分に関する主な制約は、以下のとおりです。
- 単独で可能な行為:不動産の保存行為、自己使用
- 過半数の同意が必要な行為:不動産の利用行為、改良行為
- 全員の同意が必要な行為:不動産の処分行為
このように、共有不動産は、単独所有の不動産とは異なり、自由な利用・処分が制限されています。
共有持分権を有していても、他の共有者の同意なく不動産を売却することはできないのです。共有持分権の取得・管理に当たっては、このような制約を十分に理解し、共有者間の緊密なコミュニケーションを図ることが肝要です。
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まとめ
共有持分権は、複数の人が共同で不動産を所有する権利であり、持分に応じたさまざまな権利を行使できる一方で、その行使には一定の制限が伴います。共有持分権を手放す方法としては、持分放棄、持分の売却、分筆などがありますが、いずれも専門的な知識と手続きが必要となります。
共有持分権をめぐっては、共有者間の合意形成の困難性や、責任の無限連帯性など、さまざまな問題点が存在します。これらの問題に適切に対処するためには、早期の対応と専門家の助言が不可欠です。
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