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固定資産税評価額は、毎年届く納税通知書で目にする言葉ですが、その意味や目的についてはご存知でしょうか。
評価額の調べ方や計算方法、評価額から算出される税金の種類など、詳しい内容までは周知されていないのが実情のように感じられます。固定資産税評価額は、単に固定資産税の基準となるだけでなく、資産価値の目安としても重要な指標です。
そこで本記事では、固定資産税評価額の概要や調べ方、計算方法、関連する税金について、わかりやすく解説します。
目次
固定資産税評価額とは
固定資産税評価額とは、固定資産税の課税標準となる土地・家屋・償却資産の価格のことです。各市区町村が、総務大臣の定める固定資産評価基準に基づいて評価し、原則として3年ごとに見直しが行われます。
固定資産税評価額は、土地については公示価格の7割程度を目安に、家屋は再建築価格と経年減点補正率等を考慮して算出されます。算定された評価額に基づき、各年度の1月1日時点での資産価格が決定され、課税標準額となります。
固定資産税評価額は、固定資産税だけでなく、都市計画税や不動産取得税、登録免許税の算出にも用いられ、資産の売却時の参考価格としても活用されています。
固定資産税評価額の目的
固定資産税評価額の主な目的は、固定資産税の課税標準を決定することです。固定資産税は、土地・家屋・償却資産といった固定資産の所有者に対して、その資産価値に応じて課される税金です。
市町村は、固定資産から得られる収入を、道路や公園、学校などの公共施設の整備や維持管理、福祉サービスの提供など、地域住民のための行政サービスに活用しています。
固定資産税評価額を適切に算定し、公平な課税を行うことで、市町村の安定的な財源確保と住民サービスの向上が図られます。同時に、資産所有者にとっては、その資産価値に見合った応分の負担を求められることになります。
固定資産税評価額の特徴
土地の評価においては、地価公示価格の7割程度を目途に評価されます。これにより、市町村間の評価のバランスを確保し、公平な課税の実現を図っています。
固定資産税評価額は、原則として3年ごとに見直され、その間は据え置きます。これは、膨大な量の土地や家屋を毎年評価することが実務上困難であるためです。
定資産税は市町村税であるため、評価額の算定は各市区町村の責任で行われます。ただし、その際は総務大臣が定める固定資産評価基準に従う必要があります。
相続税評価額との違い
固定資産税評価額と相続税評価額は、どちらも資産の価値を評価するものですが、以下のような違いがあります。
固定資産税評価額 | 相続税評価額 | |
目的 | 固定資産税の課税標準を決定するため | 相続税や贈与税の計算に用いられる |
評価主体 | 各市区町村が評価 | 国税庁が定めた評価基準に基づいて算出 |
評価方法 | 公示価格の7割程度を目安とする | 路線価方式や倍率方式などを用いて算定 |
評価頻度 | 3年に一度見直し | 毎年1月1日時点の価額が適用 |
固定資産税評価額の調べ方
固定資産税評価額は、以下の3つの方法で調べることができます。
- 納税通知書の確認
- 固定資産課税台帳の閲覧
- 固定資産評価証明書の請求
それぞれの方法について、詳しくみていきましょう。
納税通知書の確認
固定資産税の納税通知書は、毎年4月初旬に届きます。この通知書に同封されている課税明細書に、所有する土地・家屋の固定資産税評価額が記載されています。
課税明細書には、資産の種類や所在地、地番、評価額などの情報が含まれており、「価格」や「評価額」の欄に記載された金額が、その資産の固定資産税評価額となります。
納税通知書と課税明細書を確認することで、手軽に自身の所有資産の評価額を知ることができます。
固定資産課税台帳の閲覧
固定資産課税台帳とは、固定資産税の課税対象となる土地・家屋について、所在地や所有者、評価額などの情報を登録した帳簿です。各市区町村の税務課などで作成・保管されています。
納税者は、自己の所有する固定資産について、固定資産課税台帳を閲覧し、評価額を確認することができます。閲覧を希望する場合は、対象の固定資産がある市区町村の税務課窓口などで手続きを行います。
閲覧の際には、納税者本人であることを確認するため、運転免許証などの身分証明書が必要となります。
固定資産評価証明書の請求
固定資産評価証明書は、固定資産課税台帳に登録されている情報を証明する公的な書類を指します。資産の所在地や所有者、地積、評価額などが記載されています。
固定資産評価証明書は、所有者や関係者が市区町村の窓口で請求することで入手できます。請求の際には、申請書や本人確認書類、手数料が必要となります。
郵送での請求も可能です。その場合は、申請書や手数料分の定額小為替、返信用封筒などを同封して送付します。
固定資産評価証明書は、資産の売買や担保設定などの際に、第三者に資産の価値を証明する目的で利用されることが多い書類です。
固定資産税評価額の計算方法
固定資産税評価額は、土地と家屋で異なる方法で計算されます。土地については、主に公示価格等を基準とした評価方法が用いられ、家屋については、再建築価格方式と呼ばれる方法で評価が行われます。以下、それぞれの計算方法について詳しく見ていきましょう。
土地の評価方法
土地の固定資産税評価額は、「固定資産評価基準」に基づいて、土地の用途(地目)ごとに定められた方法により評価されます。宅地の場合、主に以下の2つの方式が用いられます。
- 路線価方式:道路に面する標準的な宅地の1平方メートル当たりの価格(路線価)に、土地の面積や形状、接道状況などに応じた補正率を乗じて評価額を算出する。
- 標準地比準方式:路線価が設定されていない地域において、近隣の標準地の価格を基準に、土地の面積や形状、利用状況などを考慮して評価額を算出する。
いずれの方式においても、評価額は公示価格等の7割程度を目安として調整されます。
家屋の評価方法
家屋の固定資産税評価額は、「再建築価格方式」により計算されます。この方法は、評価対象となる家屋と同一のものを、評価時点に新築する場合に必要となる建築費(再建築価格)を基に、経年減価などを考慮して評価額を算出するものです。
具体的な計算手順は以下の通りです。
- 家屋の再建築価格を求める:各部分(屋根、外壁、内装など)の標準的な工法と使用資材に基づく再建築費評点数を算出し、これに補正係数と単価を乗じて再建築価格を求める。
- 経年減点補正を行う:再建築価格に、家屋の築年数に応じた経年減点補正率を乗じます。これにより、建築後の経年による価値の減少を反映させる。
- 家屋の評価額を算出する:経年減点補正後の価格に、需給事情による補正率や一定の減価率を乗じて、最終的な評価額を算出する。
算出された評価額と前年度の評価額を比較し、低い方の価格が、当該年度の固定資産税評価額となります。
固定資産税評価額から計算できる4つの税金
固定資産税評価額は、固定資産税だけでなく、都市計画税、不動産取得税、登録免許税の計算にも用いられます。以下、それぞれの税金について詳しくみていきましょう。
固定資産税
固定資産税は、土地・家屋・償却資産の所有者に対して、毎年1月1日時点の所有者に課される税金です。課税標準額(税額計算の基礎となる金額)は、原則として固定資産税評価額となります。
税額は、課税標準額に税率(標準税率1.4%)を乗じて計算します。ただし、住宅用地や小規模住宅用地などには、課税標準額を一定割合に減額する特例措置が適用される場合があります。
都市計画税
都市計画税は、都市計画事業や土地区画整理事業に要する費用に充てるため、都市計画区域内の土地・家屋の所有者に課される税金です。課税標準額は固定資産税と同様に固定資産税評価額が用いられ、税率は0.3%以下で、各市町村が条例で定めます。
都市計画税は、固定資産税と合わせて賦課・徴収されるのが一般的です。
不動産取得税
不動産取得税は、土地や家屋を取得した際に、その取得者に課される税金です。課税標準額は、原則として固定資産税評価額となります。
税率は、宅地及び住宅については3%(令和6年3月31日まで)、その他の不動産については4%です。ただし、一定の要件を満たす住宅や土地については、税額の減額や免除などの特例措置が適用される場合があります。
登録免許税
登録免許税は、不動産の所有権保存登記や移転登記、住宅ローン等の抵当権設定登記などを行う際に課される税金です。登記の種類によって、課税標準額や税率が異なります。
例えば、売買による所有権移転登記の場合、課税標準額は不動産の固定資産税評価額となり、税率は2%(令和5年3月31日までは1.5%)です。一方、相続による所有権移転登記の場合、税率は0.4%に軽減されます。
抵当権設定登記の場合は、課税標準額が債権金額(借入金額)となり、税率は0.4%です。
固定資産税評価額以外の3つの土地着価格
土地の評価額には、固定資産税評価額以外にも、次のような評価基準があります。
- 時価(実勢価格)
- 公示価格(公示地価)
- 相続税評価額(路線価)
以下、各評価額について詳しくみていきましょう。
時価(実勢価格)
時価(実勢価格)とは、不動産市場における実際の取引価格を指します。土地の売買や賃貸借などの際に、市場の需給バランスを反映して形成される価格です。
時価は、地域の経済状況や不動産市場の動向、物件の立地条件や周辺環境、土地の形状や接道状況など、様々な要因によって変動します。不動産鑑定士による鑑定評価や、周辺地域の取引事例の分析などを通じて把握されます。
不動産取引の際には、この時価を参考に価格交渉が行われるのが一般的です。ただし、時価は必ずしも公的な評価額ではないため、個別の事情によって、実際の取引価格とは異なる場合もあります。
公示価格(公示地価)
公示価格(公示地価)は、国土交通省が毎年3月に公表する、標準地の1平方メートル当たりの価格です。標準地とは、都市計画区域内で、土地の利用状況が一般的で、また造成後の地形が大部分完了している土地のことを指します。
公示価格は、不動産鑑定士による鑑定評価に基づいて決定されます。鑑定評価では、対象地の周辺地域における土地の取引事例や賃料水準、さらには地域の社会経済情勢などを総合的に分析し、価格が算定されます。
公示価格は、土地の取引価格の指標や公共事業用地の取得価格の算定基準などとして広く利用されています。固定資産税評価額の算定においても、公示価格の7割程度を目途として評価額が決定されます。
相続税評価額(路線価)
相続税評価額(路線価)は、相続税や贈与税の計算の基礎となる土地の評価額です。路線価とは、国税庁が毎年7月に発表する、主要な道路に面する標準的な宅地の1平方メートル当たりの価額のことを指します。
路線価は、地価公示価格の8割程度を目安として設定されます。各道路について、奥行価格補正率表などを用いて、道路からの距離に応じた補正が行われます。
路線価が定められていない道路に面する土地については、付近の路線価を基に、土地の形状や利用状況などを考慮して評価額が算定されます。
相続税や贈与税の申告に際しては、この路線価を基に土地の評価額を計算し、税額が決定されます。
ただし、地価が下落している地域では、鑑定評価による評価額の方が路線価による評価額よりも低くなる場合があります。このような場合には、一定の要件のもと、鑑定評価額を相続税評価額とすることも認められています。
まとめ
固定資産税評価額は、固定資産税をはじめとする各種税金の計算基準であり、資産価値を判断する上でも重要な指標となります。評価額の調べ方や計算方法を理解することで、自身の資産管理に役立てることができるでしょう。
土地の評価額には、固定資産税評価額以外にも時価や公示価格、相続税評価額などがあり、それぞれ異なる目的や算定方法に基づいています。
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