不動産売却ではどのようなトラブルが発生する?対処法や回避策について徹底解説

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「不動産売却では、どのようなトラブルが発生する?」
「売却後のトラブルを防ぐには、何に注意すればよい?」

不動産売却では、物件の不具合や契約内容の認識違い、仲介手数料などをめぐってトラブルが発生することがあります。こうした問題を防ぐには、物件の状態を正確に把握し、契約条件や売主が負う責任の範囲を事前に確認しておく必要があります。

また、2020年4月施行の改正民法では、従来の瑕疵担保責任が契約不適合責任に改められました。2024年7月には、800万円以下の低廉な空家等に関する仲介手数料の特例も拡充されています。

本記事では、訳あり不動産の専門家であるワケガイ編集部が、不動産売却で発生しやすいトラブルの事例と予防策、問題が起きた場合の対処法について解説します。

訳アリ物件専門のワケガイ編集部について

「ワケガイ」のコラムは、相続した空き家、共有持分、再建築不可物件、借地・底地など、いわゆる“訳あり不動産”にお悩みの方が、売却・処分・活用の判断を正しく行えるようにすることを目的に運営しています。私たちは運営会社・株式会社ネクスウィルが訳あり不動産の買取実務で培った一次情報にもとづいた記事づくりを徹底しています。

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不動産売却時に発生する主なトラブルとは

不動産売却時のトラブルは、売主・買主・不動産会社の三者間で発生することが一般的です。買主や不動産会社との契約内容の認識違い、売却物件の瑕疵に関する問題、仲介手数料の取り扱いなど、多岐にわたる紛争が報告されています。

発生するトラブルは多様ですが、適切な事前準備と正確な情報共有を行うことで、未然に防げるケースが多くなります。
特に重要事項説明や契約条件に関する十分な確認、物件状態の正確な把握と開示などが重要となります。

不動産の取引は一般的に高額で、一度トラブルが発生すると解決までに時間と労力がかかります。安全な取引を実現するためにも、トラブルの種類と対策について理解を深めておきましょう。

特に訳あり物件の売却では要注意!

不動産売却において、特に注意すべきなのが「訳あり物件」の取引です。これは、一般的な物件に比べてトラブルのリスクが高く、慎重な対応が求められます。訳あり物件とは、物件の状態や環境、過去の経緯に何らかの問題がある不動産を指します。
例えば、雨漏りやシロアリ被害などの物理的な問題、騒音や悪臭といった環境面での課題、過去に事故や事件があった心理的な要素などが該当します。

こうした問題がある場合、売却時には買主への正確な情報開示が不可欠です。

不動産会社との間に発生し得るトラブル

不動産売却において、仲介会社との関係は非常に重要な要素となります。具体的に発生し得るトラブルとしては、以下のものが考えられます。

  • 仲介手数料の不明瞭さが発生した
  • 媒介契約の内容を見落とした
  • 売却活動の不備が起こった

次項より、詳しく解説します。

仲介手数料の不明瞭さが発生した

不動産売却時の仲介手数料には、宅地建物取引業法に基づく国土交通省の告示によって上限が定められています。売買価格が400万円を超える通常の取引では、「(売買価格×3%+6万円)+消費税」が上限です。
(参考:国土交通省「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額」)

ただし、2024年7月1日からは、売買価格800万円以下の低廉な空家等について、仲介手数料の特例が拡充されました。この特例では、不動産会社が依頼者にあらかじめ説明し、合意を得ている場合、売主・買主それぞれから受け取れる仲介手数料の上限が税込33万円となります。

また、通常の仲介業務に含まれる広告費用を別途請求されたり、手数料の支払時期について認識が食い違ったりすることもあります。媒介契約を締結する際は、仲介手数料の金額や追加費用の有無、支払時期を確認しましょう。

媒介契約の内容を見落とした

媒介契約には、一般媒介契約・専任媒介契約・専属専任媒介契約の3種類があり、それぞれ売主の権利や不動産会社の義務が異なります。

契約内容を十分に理解せずに締結すると、売却活動の進め方や他社への依頼をめぐってトラブルになる可能性があります。

特に注意したいのが、不動産会社が他社からの購入希望者の紹介を不当に妨げ、自社で買主を見つけようとする「囲い込み」です。

専任媒介契約や専属専任媒介契約では、レインズへの登録が義務付けられています。契約後は登録証明書を受け取り、売主専用画面で取引状況を確認しましょう。

売却活動の不備が起こった

不動産会社による売却活動の不備も深刻な問題となっています。具体的には、適切な価格査定を行わない、広告活動が不十分、内見対応が杜撰といったケースが挙げられます。

レインズ(不動産流通標準情報システム)への登録状況や、実際の広告出稿状況を定期的に確認することで、このようなトラブルを防ぐことが可能です。なお、売却活動の進捗状況は必ず記録に残し、不動産会社と共有するようにしましょう。

買主との間に発生し得るトラブル

不動産売買では、売主と買主の間でもトラブルが発生します。具体例を挙げると、以下のとおり。

  • 物件状況の開示が不十分だった
  • 価格交渉が難航した
  • 契約条件の曖昧さが問題になった

それぞれ個別にみていきましょう。

物件状況の開示が不十分だった

物件状況の開示不足は、売買契約後に大きなトラブルへと発展するケースが多くあります。例えば、雨漏りの履歴や過去の修繕状況、騒音や日照の問題など、売主にとっては些細に思える情報でも、買主の購入判断に大きく影響する可能性があります。

そのため、「告知書」には物件に関する情報を漏れなく記載し、不動産会社を通じて買主に正確に伝える必要があります。

価格交渉が難航した

価格交渉でのトラブルは、主に物件価格の相場観の違いから生じます。

売主は高く売りたい、買主は安く買いたいという基本的な利害の対立だけでなく「リフォーム費用の負担」「設備の評価額をめぐる認識の違い」なども、交渉を複雑にする要因となっています。

このような場合には、不動産会社を通じて近隣相場や取引事例を具体的に示しながら、互いが納得できる落としどころを探ることが重要です。

契約条件の曖昧さが問題になった

売買契約書の条件があいまいだと、引き渡し後に深刻なトラブルとなることがあります。特に多いのが、残置物の取り扱いや、修繕箇所の負担範囲、住宅ローン特約の適用条件などです。

売買契約書には、これらの条件を明確に記載し、売主・買主の双方が内容を十分に理解したうえで契約を締結する必要があります。

 

物件に関するトラブル

ここからは、物件そのもので発生するトラブルをみていきましょう。

  • 瑕疵の内容を理解しなかった
  • 補償や保険の手続きを怠った

次項より、詳しく解説します。

瑕疵の内容を理解しなかった

物件の瑕疵は、その種類によって対応方法が異なります。主な瑕疵の種類は以下のとおりです。

  • 物理的瑕疵:建物の強度不足、雨漏り、シロアリ被害など
  • 心理的瑕疵:自殺や事故死、暴力団員の居住歴など
  • 法的瑕疵:建築基準法違反、接道義務違反など
  • 環境的瑕疵:日照、騒音、悪臭など

特に2020年4月の民法改正により従来の「瑕疵担保責任」は「契約不適合責任」へと変更されました。この改正により、売主は単に瑕疵の有無ではなく、契約内容に適合しているかどうかで責任を問われるようになっています。

つまり、事前に問題を把握していたかどうかに関わらず、契約内容と異なる点があれば売主の責任となる可能性があるのです。
(参考:e-Gov 法令検索「民法等の一部を改正する法律について」)

補償や保険の手続きを怠った

不動産売却後に発覚した建物の欠陥によるトラブルに備える方法として、「既存住宅売買瑕疵保険」があります。

この保険は、引き渡し後に建物の構造耐力上主要な部分や、雨水の浸入を防止する部分などに瑕疵が見つかった場合に、修補費用や調査費用などを補償するものです。保険金額は商品によって異なり、最大1,000万円の補償を受けられる商品もあります。

 

保険には、個人が売主となる取引などを対象とした「個人間売買タイプ」と、不動産会社が売主となる「宅建業者販売タイプ」があります。保険期間は個人間売買タイプでは1年間または5年間、宅建業者販売タイプでは2年間または5年間が基本ですが、商品によって異なります。

加入にあたっては、保険法人が定める建物検査などを受け、所定の基準を満たす必要があります。また、個人間売買タイプでは、原則として登録検査事業者や仲介事業者が保険に加入し、買主に保証を提供する仕組みです。

保険の利用を検討する場合は、売却前に不動産会社へ相談し、補償範囲や保険期間、加入条件を確認しましょう。
(参考:住宅瑕疵担保責任保険協会「既存住宅売買のかし保険(個人間売買タイプ)/既存住宅売買のかし保険(宅建業者販売タイプ)」)

法的なトラブル

不動産売却において、法的なトラブルは最も深刻な問題に発展する可能性があります。売買契約は取引金額が大きく、契約書の内容や重要事項説明、告知義務など、法律に基づく手続きが多岐にわたります。

基本的には不動産会社の担当者などがチェックしてくれますが、オーナーとして以下のポイントを意識しておきましょう。

  • 契約書の確認を怠った
  • 重要事項説明を見落とした
  • 適切な告知をしなかった

それぞれ個別にみていきましょう。

契約書の確認を怠った

売買契約書は、取引の根幹を定める重要な書類です。特に注意が必要なのは、住宅ローン特約や手付金の取り扱い、契約解除の条件などです。

契約書の内容をよく理解しないまま契約を締結すると、後になって取り返しのつかない事態を招くことがあります。
例えば、住宅ローン特約の期限設定が不明確な場合、ローン審査が通らなかった際の手付金の返還について争いが生じる可能性があります。

重要事項説明を見落とした

重要事項説明は、物件の権利関係や法的な制限、設備の状況など、買主の意思決定に重要な影響を与える事項を説明する機会です。

重要事項説明の内容は、売買契約前に十分に確認し、不明点があればその場で質問することが重要です。特に、土地の用途制限や法的規制については慎重に確認しましょう。

適切な告知をしなかった

告知義務違反は、売買契約後に大きなトラブルとなるケースが多発しています。売主は、物件の瑕疵や修繕履歴、事故の有無など、知り得る範囲の情報を買主に告知する義務があります。

これらの情報を意図的に隠したり、あいまいな説明をしたりすると、引き渡し後に損害賠償請求を受ける可能性があります。

 

不動産トラブルを相談すべき専門家

トラブルの内容によって、相談すべき専門家は異なります。早期の段階で適切な専門家に相談することで、問題の拡大を防ぐことが可能です。

契約トラブル→不動産会社

売買契約に関するトラブルは、まず仲介を担当した不動産会社に相談します。取引の経緯を把握している不動産会社であれば、円滑な解決に向けた助言や対応が期待できます。

ただし、不動産会社の対応に不満がある場合は、所属する協会の相談窓口を利用することも検討しましょう。

法的紛争→弁護士

損害賠償請求や契約解除など、法的な判断が必要なトラブルは、弁護士への相談が不可欠です。特に「金銭的な損失が大きい」「当事者間での話し合いが難しい」といった場合は、早めに弁護士に相談することをおすすめします。

弁護士は法的な観点から解決策を提示し、必要に応じて訴訟対応もサポートしてくれます。

書類や登記の不備→司法書士

登記手続きの不備や、売買に必要な書類の不足は、司法書士に相談するのが最適です。司法書士は不動産登記の専門家として、必要な書類の確認や手続きの助言を行います。

特に相続絡みの物件売却では、権利関係が複雑になりがちなため、早めの段階での相談が望ましいでしょう。

裁判以外で解決を図るADR(裁判外紛争解決手続)の活用方法

ADR(裁判外紛争解決手続)とは、裁判によらず、第三者が当事者間の話し合いを支援して紛争解決を目指す手続です。

不動産取引でトラブルが発生した場合、まずは宅建協会などの相談窓口に相談できます。ただし、一般的な無料相談窓口と、調停などを行うADR機関は異なります。

不動産取引に関するADRとしては、不動産適正取引推進機構の特定紛争処理事業などがあります。また、法務省の「かいけつサポート」では、紛争内容に応じた認証ADR事業者を探すことができます。
(参考:法務省「かいけつサポート」)

丸岡 智幸

丸岡 智幸

代表取締役 / 株式会社ネクスウィル

所有権に関する境界トラブルにおいては、弁護士や土地家屋調査士といった専門家が仲介し、当事者間の和解を通じて解決を図るADR(裁判外紛争解決手段)が有効な選択肢となります。ただし、この制度は相手方に出頭義務を強制するものではないため、相手方が出席しない場合には手続きが進まない可能性がある点に留意が必要です。

出典: 丸岡智幸『拝啓売りたいのに家が売れません』

 

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まとめ

不動産売却では、契約条件の認識違いや物件の不具合、仲介手数料などをめぐってトラブルが発生することがあります。

売却前には、雨漏りや修繕履歴などの物件情報を整理し、買主に正確に伝えましょう。必要に応じて建物検査(インスペクション)や既存住宅売買瑕疵保険の利用も検討できます。

また、不動産会社との媒介契約では、仲介手数料の金額や支払時期、売却活動の内容を確認してください。売買契約を締結する際には、契約解除の条件や契約不適合責任の範囲についても確認しておきましょう。

共有持分や再建築不可物件など、売却が難しい不動産を所有している場合は、訳あり不動産の買取専門業者に相談する方法もあります。

運営団体

株式会社ネクスウィル

2019年1月29日設立。訳あり不動産の買取を行う不動産会社。相続やペアローンによる共有持分、空き家、再建築不可物件、借地、底地など、権利関係が複雑な不動産を買い取り、法的知識や専門知識を以って、再度市場に流通させている。

訳あり不動産の買取サービス「ワケガイ」、空き家、訳あり不動産CtoCプラットフォーム「空き家のURI・KAI」を展開。

経済界(2022年)、日刊ゲンダイ(2022年)、TBSラジオ「BOOST!」(2023年)、夕刊フジ(2023年)などで訳あり不動産について解説している。2024年度ベストベンチャー100選出。

これまでの買取の経験をもとに、訳あり不動産の解説をする著書『拝啓 売りたいのに家が売れません』(代表取締役 丸岡・著)を2024年5月2日に出版。

この記事の監修者

監修者プロフィール写真

丸岡 智幸 (宅地建物取引士)

訳あり不動産の買取を専門にする会社の代表取締役。
相続やペアローンによる共有持分、空き家、再建築不可物件、借地、底地など、権利関係が複雑な不動産の買取を専門としている。
訳あり不動産の買取サービス「ワケガイ」、空き家、訳あり不動産CtoCプラットフォーム「空き家のURI・KAI」を運営。
買取の経験をもとに、訳あり不動産の解説をする著書『拝啓 売りたいのに家が売れません』を2024年5月2日に出版。

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