こんにちは。ワケガイ編集部です。
私道を複数の所有者で共有しているケースでは、通行や駐車、修繕の負担をめぐってトラブルが発生することがあります。その際に理解しておくべきなのが「共有持分の私道」です。
共有持分の私道とは、複数人が一定の割合で所有権を持つ私道のことで、通行権や利用制限の扱いが公道とは大きく異なります。仕組みを誤解したまま使うと、近隣との関係悪化や売却時の支障につながるおそれがあります。
そこで本記事では、共有持分の私道の基本構造や種類、法的な位置づけ、注意すべき利用上のポイントについて詳しく解説します。
目次
そもそも共有持分の私道とは?
「共有持分の私道」とは、複数の人が一定の割合で所有権を持っている私道のことです。
私有地でありながら、建築基準法上は「道路」としての機能を果たしているケースも多く、法的にも実務的にも取り扱いが複雑です。
(参考:e-Gov 法令検索「建築基準法」)
共有持分の私道では、通行・駐車・修繕・売却などの行為を行う際、他の共有者との調整が必要になる点が特徴です。そのため、通常の土地のように自由に使えるわけではなく、ルールや同意を欠いた利用がトラブルに発展することもあります。
私道の2つの共有パターン
共有の形態は大きく分けて2つあり、それぞれで管理方法や注意点が異なります。以下で代表的な2つのパターンをみていきましょう。
相互持分型(隣接所有者が等分で持ち合う)
相互持分型とは、私道に面した各住宅の所有者が、その道路部分を平等に持ち合っている形態をいいます。仮に、4軒が並ぶ宅地であれば、それぞれが私道の4分の1を所有しているようなケースです。
この場合、全員が平等に通行できますが、自分の家の前だからといって自由に駐車することはできません。他の所有者の通行を妨げる行為は「独占利用」とみなされ、注意や苦情の対象になることもあります。
| 特徴 | 内容 |
| 所有形態 | 隣接所有者が持ち分を等分して共有 |
| 管理方法 | 原則として全員の合意で決定 |
| 注意点 | 駐車・物置設置などの独占使用は不可 |
単独所有型(1人または1社が所有し他が通行権を得る)
単独所有型とは、私道全体を1人または1つの法人が所有し、他の住人は通行のための承諾(通行承諾書)を得て利用している形態です。分譲地や開発地でよく見られる形式で、所有者が開発業者や地主である場合も少なくありません。
この場合、通行権は認められますが、駐車や工事などの占有的な利用は原則として所有者の許可が必要です。
所有者の判断次第でルールが変わることもあるため、将来的な権利関係を確認しておくことが大切です。
| 特徴 | 内容 |
| 所有形態 | 1人または法人が全体を所有 |
| 利用権 | 通行承諾書などに基づく限定的な利用 |
| 注意点 | 駐車・掘削などは所有者の許可が必要 |
関連記事:私道の共有とは?知っておくべき権利と売却時の注意点を解説!
建築基準法上の私道の3つの定義
私道と一口にいっても、建築基準法上では複数の分類が存在します。どの種類に該当するかによって、建物の建築可否や通行権の扱い、さらには駐車の可否にまで影響が及びます。
ここからは、建築基準法第42条で定められている代表的な3つの道路形態について整理します。
①:位置指定道路(建築基準法第42条1項5号)
位置指定道路とは、開発時に行政が「この通路を建築基準法上の道路として扱う」と指定した私道のことです。
一般の住宅地や分譲地に多く、原則として幅員4メートル以上、かつ建築基準法に定める構造・排水要件を満たしています。
この道路に接していれば、原則として建築確認が可能であり、建物の新築や再建築も行えます。ただし、所有者が個人や開発業者であるため、維持管理や修繕の費用は共有者負担となります。
②:みなし道路(同法第42条2項)
みなし道路とは、法改正(1950年の建築基準法施行)以前から存在し、幅員4メートル未満でも例外的に道路とみなされる通路を指します。古い住宅街や路地裏でよく見られるタイプであり、実際の幅が2〜3メートル程度しかないこともあります。
(参考:e-Gov 法令検索「建築基準法」)
建物を新築・再建築する場合は、道路中心から2メートル後退する「セットバック」が必要となることが多く、敷地が狭くなる・建物制限がかかる点に注意が必要です。
③:開発道路(開発許可によって設けられる私道)
開発道路は、開発行為の許可(都市計画法第29条)に基づいて新たに整備された道路です。
分譲地開発などで行政の許可を受けた後、開発業者が造成・整備したうえで、住民に引き渡される形が一般的です。
(参考:e-Gov 法令検索「都市計画法」)
幅員6メートル前後のしっかりした道路構造を持ち、生活道路としての利便性が高い反面、所有権は分譲住民の共有になっている場合が多く、管理責任は各所有者にあります。
建築法上の分類が「駐車可否」に影響する理由
私道がどの分類に当たるかによって、「駐車してよいか」「警察が介入できるか」「管理ルールを誰が決めるか」が変わります。位置指定道路や開発道路のように、一般交通の用に供されている私道であれば、道路交通法が適用され、無断駐車は警察の指導対象となります。
一方、みなし道路や完全な私有通路では、法的には民事問題の範囲となり、警察が直接動けないケースもあります。
また、位置指定道路の場合でも、建築確認時に通行権の確保が前提となっているため、独占的な駐車は法的・実務的に制限されます。つまり、建築法上の分類は単なる行政上の区分ではなく、私道をどう使えるか、どこまでが「共有の自由」なのかを左右する重要な基準なのです。
共有持分の私道って駐車してもいいの?
共有持分の私道では、「自分も所有者の一人だから駐車しても問題ない」と考える人が少なくありません。しかし、共有関係にある土地は自分だけで自由に使えるものではなく、他の共有者の通行や利用を妨げるような行為は制限されるのが原則です。
ここからは、法的な位置づけや判例、関連法との関係をもとに、共有持分の私道での駐車が認められるかどうかを整理します。
共有持分者による使用の限界 — 独占利用は許されない
民法では、共有者は共有物を使用・収益することができると定めています(民法第249条)。しかしその権利は、「共有者全員の利益に反しない範囲」で行使することが前提です)。
(参考:e-Gov 法令検索「民法」)
つまり、他の共有者が通行する道路上に車を常時停めてしまうと、通行妨害や独占的利用と判断されるおそれがあります。
共有物を一方的に占有する行為は、他の共有者の権利を侵害することになり、妨害排除請求や損害賠償請求の対象となる場合があります。「自分の持分だから自由に使っていい」と考えるのは誤りであり、共有持分の使用には常に他の共有者への配慮が求められます。
裁判例・最高裁判決に見る「駐車の可否判断」
共有名義の私道では、たとえ自分の持分があっても、他の共有者の利用を妨げるような使い方は認められません。
法律上、共有物の利用は「他の共有者の利益を不当に害さない範囲」で行うことが前提とされており(民法249条・252条)、特定の共有者が私的に占有する行為はトラブルの原因となります。
(参考:e-Gov 法令検索「民法」)
実際、判例や学説でも「共有者の一人が共有物を独占的に使用することは、他の共有者の使用権を侵害するおそれがある」とされています。この考え方を私道に当てはめれば、他の共有者や通行人の通行を妨げるような駐車、長時間の占有、来客車両による継続的な使用などは、共有の趣旨に反すると判断される可能性が高いといえます。
つまり、「自分の持分があるから停めても問題ない」と考えるのは誤りであり、私道を利用する際には共有者全員の利用バランスを踏まえた配慮が不可欠です。
車庫法・道路交通法との関係と適用範囲
私道での駐車は、建築基準法や民法だけでなく、車庫法(自動車の保管場所の確保等に関する法律)や道路交通法の適用範囲にも関係します。
まず、車庫法では「自動車の保管場所を確保しなければならない」と定められており、原則として道路上での保管は認められていません。
(参考:e-Gov 法令検索「自動車の保管場所の確保等に関する法律」)
私道であっても、事実上、一般交通の用に供されている場合には「道路」とみなされるため、長時間の駐車は違反となる可能性があります。
一方で、完全な私有地で他人の通行がない場合には、道路交通法の適用外となることもあります。ただしその場合でも、他の共有者の通行を妨げる行為は民事上の違法行為として責任を問われることがあるため、注意が必要です。
位置指定道路・私道としての性質と駐車の可否判断基準
位置指定道路や開発道路のように、行政から道路として認定されている私道は、一般交通に供される性格が強いため、道路交通法上の規制を受けやすくなります。この場合、警察による指導や撤去要請の対象となる可能性もあり、私有地とはいえ自由な駐車はできません。
一方、みなし道路や完全な私有通路など、通行者が限定されている私道では、警察の直接的な介入は難しく、共有者間の合意形成が前提となります。ただし、どの分類であっても「通行妨害」「独占利用」とみなされれば、法的リスクを免れることはできません。
したがって、共有持分の私道で駐車を行う場合は、他の共有者全員の同意を得たうえで、使用ルールを明文化することが最も安全な方法です。
関連記事:私道の共有持分で発生するトラブルとは?対処法もセットで詳しく解説
私道への無断駐車・利用で実際に起こるトラブル例
共有持分の私道では、「少しだけ」「自分の前だから」という軽い気持ちでの駐車や利用が、思わぬトラブルを引き起こすことがあります。
共有者全員が権利を持つ以上、一人の行為が他の共有者全員の利益に影響するため、無断利用は慎重な対応が求められます。ここからは、実際に起こりやすい4つのトラブルを紹介します。
- 通行が妨げられるようになる
- 無断駐車が長期化し、トラブルが深刻になっていく
- 近隣や第三者からの苦情が増えていく
- 維持管理費や税負担をめぐる不満が生じていく
それぞれ個別にみていきましょう。
通行が妨げられるようになる
私道に車を停めることで、他の共有者や住人の通行が妨げられ、通行権の侵害とみなされるケースがあります。特に幅員が狭い住宅街では、1台の駐車だけで車両や歩行者の通行が難しくなり、日常生活に支障をきたすことも少なくありません。
こうした場合、法的には妨害排除請求の対象となる可能性があり、実際に訴訟へ発展した例もあります。通行の妨げは、共有者同士の信頼関係を壊すだけでなく、住民全体の生活環境を悪化させる原因にもなります。
無断駐車が長期化し、トラブルが深刻になっていく
短時間の駐車であっても、それが繰り返されるうちに「常態化」してしまいかねません。結果として、他の共有者が通行や利用を控えるようになり、実質的に特定の共有者が私道を独占している状態になります。
このような場合、民法上の共有権限を逸脱する行為と判断され、損害賠償請求や使用差止請求を受ける可能性があります。また、注意や警告を無視した場合、感情的な対立が長期化し、近隣関係全体に悪影響を及ぼすこともあります。
近隣や第三者からの苦情が増えていく
来客や業者などが所有者に無断で私道を利用し、第三者による無断駐車や通行トラブルが発生することもあります。特に「誰の許可で停めているのか」が曖昧な場合、地域全体での不信感が高まり、自治会や管理組合を巻き込んだ問題に発展するケースも見られます。
私道の利用は、所有者本人だけでなく、来訪者や工事関係者などの行動にも影響します。第三者が関わるトラブルを防ぐためには、私道の利用ルールを明確に示す看板や掲示を設置するなど、予防策が求められます。
維持管理費や税負担をめぐる不満が生じていく
共有持分の私道は、所有者全員が固定資産税や修繕費を負担するのが基本ですが、実際には使用状況の偏りから不公平感が生まれることがあります。
一例を挙げると、一部の共有者だけが駐車や通行を頻繁に行い、他の共有者がほとんど利用していないのに同額を負担している場合です。
このような状態が続くと、「使っていないのに払うのはおかしい」といった不満が高まり、費用の支払い拒否や共有関係の悪化につながります。公平な管理を保つには、共有者間で費用負担のルールや利用条件を定めた管理規約を整備することが重要です。
私道の共有持分に無断で駐車された場合の対処法
私道への無断駐車は、放置すると繰り返されやすく、最終的には法的紛争に発展するおそれがあります。
ただし、いきなり強硬な対応を取ると感情的な対立を招き、問題がこじれることも少なくありません。そのため、「証拠を残す → 穏便に注意する → 必要に応じて法的措置へ」という段階的な対応が基本になります。
ここからは、実際にトラブルが発生した際の初期対応と、法的手段に進むまでの適切な流れを解説します。
- まずは状況を正確に把握する
- 穏便な注意・警告を行う
- 警察や行政に相談する
- 弁護士に依頼して法的措置を取る
- 再発を防ぐルールや環境を整える
次項より、個別にみていきましょう。
まずは状況を正確に把握する
誰が、いつ、どのような状況で駐車しているのかを正確に把握します。写真や動画で証拠を残し、日時・車種・ナンバー・駐車時間などを記録しておくことが重要です。
これにより、一時的な停車なのか、継続的な違法駐車なのかを見極める判断材料になります。また、複数回発生している場合は、共用者間で情報を共有し、共通認識を持っておくと後の対応がスムーズです。
穏便な注意・警告を行う
初期段階では、冷静かつ丁寧に注意することが基本です。口頭や張り紙で伝える場合は、「私道につき通行の妨げになっています」「次回以降は警察・弁護士へ相談します」と、目的と根拠を明確に記載します。
感情的な言葉を使うと相手の反発を招きやすいため、あくまで事実を淡々と伝えるのが望ましいでしょう。また、警告を行った日時・内容・相手の反応も記録しておき、再発時に備えておくと、後の法的対応が取りやすくなります。
警察や行政に相談する
私道であっても、一般の交通に供されている状態(通り抜けできる・近隣住民が日常的に使用しているなど)であれば、警察が対応してくれるケースがあります。通行の妨げや危険を伴う無断駐車の場合、現場確認のうえで移動要請や警告を行ってもらえる可能性があります。
まずは最寄りの警察署または交番に相談し、現場の写真や駐車時間の記録を提示しましょう。また、自治体によっては、生活安全課やまちづくり推進課などが地域トラブルの相談窓口を設けています。「私有地につき駐車禁止」などの看板設置に補助金を出している自治体もあるため、行政への相談も有効です。
弁護士に依頼して法的措置を取る
注意や警告を行っても無断駐車が続く場合は、弁護士を通じた正式な法的対応を検討します。まずは内容証明郵便で「駐車の中止および再発防止を求める通知」を送り、記録を残します。
それでも改善されない場合、妨害排除請求や損害賠償請求を行うことが可能です。悪質なケースでは、仮処分を申し立てて車両を撤去することもできます。
特に駐車によって通行が不可能になっている場合や、危険を伴う場合は早急な対応が求められます。弁護士に依頼すれば、法的根拠に基づいた手続きと相手方への正式な交渉が可能になり、問題解決のスピードが大きく変わります。
再発を防ぐルールや環境を整える
問題が解決した後も、再発防止策を講じることが大切です。共有者全員で話し合い、「駐車禁止区域」「来客の一時停車の条件」などの利用ルールを明文化しておきましょう。
このとき、文書化した合意書や掲示物を私道の入り口などに設置すると、第三者に対しても抑止力が働きます。また、防犯カメラやセンサーライトの設置、チェーンポールや車止めの導入も有効です。
こうした物理的対策と運用ルールの両立によって、長期的に安定した環境を維持することができます。共有者全員が「自分の権利と責任を理解し合う」仕組みを整えることが、最も確実なトラブル予防策です。
共有持分となっている私道を売却することは可能?
共有持分の私道は「共有者全員でなければ売れない」と思われがちですが、実は自分の持分だけを単独で売却することも可能です。ただし、買主側にとっては利用や管理に制限が多いため、実務上は取引が難しいケースも少なくありません。
ここからは、共有持分の私道を売却に関わる基礎知識を解説していきます。
自分の持分だけを単独で売却することはできる
前述のとおり、民法上、共有者は他の共有者の同意を得なくても、自分の持分を第三者に譲渡することができます。したがって、法的には単独で売却が可能です。
(参考:e-Gov 法令検索「民法」)
ただし、共有持分のみを購入しても、買主には土地全体を自由に使う権利はなく、他の共有者の同意を得なければ駐車や工事なども制限されることがあります。そのため、一般の個人購入者が現れることはまれで、共有持分を専門に扱う不動産買取業者が主な買主となる傾向があります。
取引価格は通常の土地相場より低くなりますが、共有関係から早期に抜け出したい場合には有効な選択肢といえます。
共有者全員での一括売却を検討する
共有者全員が合意すれば、私道全体を一括で売却することができます。この場合、土地全体を一つの不動産として評価できるため、一般の市場価格に近い金額で売却できる可能性があります。
売却後は、代金を持分割合に応じて分配する形となり、共有関係を完全に解消することが可能です。
もちろん、共有者の中に不在者がいたり、意見がまとまらない場合には、合意形成に時間がかかることがあります。それでも、最もトラブルが少なく、経済的メリットの大きい方法であることに変わりはありません。
共有者の所在不明・同意拒否に対応する
共有者の一部が行方不明で連絡が取れない場合は、家庭裁判所に「不在者財産管理人」の選任を申し立てることが可能です。選任された管理人が不在者の代わりに意思表示を行うことで、売却手続きなどを進めることができます。
また、所在はわかっていても同意が得られない場合は、共有物分割訴訟を提起する方法もあります。裁判所が売却や分筆などの方法を判断し、共有状態を解消する形で決着を図ります。
これらの手続きは時間と費用がかかりますが、共有関係を長期に放置するよりも早期の安定化につながるケースが多々あります。実務では、弁護士や司法書士に相談し、必要な証拠や申立書類を整えた上で進めるのが確実です。
共有持分買取業者への売却を活用する
共有者との調整が難航している場合は、共有持分を専門に扱う買取業者に売却する方法も有効です。こうした業者は、共有不動産の法的整理や他共有者との交渉を前提に買取を行うため、一般市場では売却できない物件でも対応してもらえることがあります。
価格は相場より2〜4割ほど下がる傾向がありますが、確実に現金化でき、共有関係から早期に抜け出す手段として有効です。特に、長年共有状態が続いていて話し合いが難しい場合や、相続で権利者が多い場合に適しています。
複数の買取業者から査定を取り、価格・対応スピード・法的サポート体制を比較することで、より納得度の高い取引が実現できます。「共有持分だから売れない」と諦めず、専門ルートを活用して出口を見つけることが大切です。
私道共有持分を売却する際の注意点
共有持分の私道を売却する際は、一般的な土地取引とは異なり、権利関係が複雑でトラブルに発展しやすいのが実情です。特に、通行権や境界の不明確さを放置したまま売却すると、契約後にクレームや契約解除につながることがあります。
安全で円滑な取引を進めるためには、事前に権利関係の確認と境界の確定を行わなければなりません。具体的には、以下のとおり。
- 私道の権利関係と利用制限を正確に確認する
- 測量・境界確認を行いトラブルを防ぐ
- 売却価格が下がりやすい点を理解しておく
- 契約書に使用制限や権利範囲を明記する
それぞれ個別に解説します。
私道の権利関係と利用制限を正確に確認する
まずは、登記簿謄本を取得して所有者や持分割合を確認し、地積測量図や公図で範囲を把握します。あわせて「通行承諾書」「掘削承諾書」「管理規約」などの関連書類を確認し、どのような利用制限が設定されているかを明確にしておきましょう。
これらを整理しないまま売却を進めると、「通行権がない」「上下水道工事ができない」といったトラブルに発展する可能性があります。
特に、私道に埋設されたライフラインの掘削や舗装の修繕には他の共有者の同意が必要な場合もあるため、事前確認と書面整備が不可欠です。買主への説明責任を果たす意味でも、これらの権利関係を明確にしておくことが信頼性の高い取引につながります。
測量・境界確認を行いトラブルを防ぐ
私道は複数人で所有しているため、どこまでが自分の権利範囲なのかが不明確なケースが多々あります。隣接地との境界や他共有者との境界線が曖昧なまま取引を進めると、「越境」「面積の相違」「通行妨害」などの紛争に発展しかねません。
売却前には、専門の土地家屋調査士に依頼して現況測量または境界確定測量を行うのが望ましいです。測量図が整っていれば、買主も安心して契約でき、金融機関からの融資も受けやすくなります。
反対に、境界不明のままでは取引自体が成立しないこともあるため、測量は価格査定と並行して進めるべき最優先事項といえます。
売却価格が下がりやすい点を理解しておく
まず、登記簿謄本で所有者と持分割合を確認し、地積測量図・公図で土地の範囲と形状を把握します。加えて、通行承諾書や掘削承諾書、管理規約などを確認し、通行・掘削・上下水道などの利用制限があるかを明確にしておくことが必要です。
これらの権利関係が曖昧なまま売却すると、買主から「実際には通れない」「水道が引けない」といったクレームが発生する可能性があります。権利書類が不足している場合は、共有者や関係機関に確認し、事前に整備・補完しておくことが安全な取引につながります。
契約書に使用制限や権利範囲を明記する
私道では、隣接地や共有者同士の境界が不明確なままになっているケースが多く見られます。境界があいまいな状態で売却を進めると、「越境」「通行範囲の誤認」「面積の食い違い」などのトラブルが起こるリスクが高まります。
そのため、売却前に土地家屋調査士による現況測量や境界確定測量を行うことが求められます。境界が明確であれば、買主も安心して取引でき、融資審査も通りやすくなります。
一方で、境界未確定のままでは価格査定や契約が進まないこともあるため、早い段階で測量を実施しておくことが望ましいです。
私道の共有持分でお悩みなら「ワケガイ」にご相談ください!

当社(株式会社ネクスウィル)は、共有持分や再建築不可などの“訳あり不動産”を専門に扱う買取サービス「ワケガイ」を提供しています。共有者との調整が難しい私道や、利用制限によって市場で買い手がつきにくい土地でも、ワケガイなら迅速に査定し、最短1日で買取可能です。
弁護士や司法書士などの専門家と連携し、権利関係の整理から契約までを一貫してサポート。売主様の負担を最小限に抑えながら、安全で確実な取引を実現します。
他社で断られた物件でも対応実績がございますので、共有私道の売却にお悩みの方は、お気軽に無料査定をご活用ください。
私道への駐車に関するQ&A
以下に、共有持分の私道に関する代表的な疑問を取り上げ、法律上の考え方や実際の対応方法をわかりやすく整理しました。「どこまでがOKで、どこからがNGなのか」を理解するための参考にしてください。
私道で家の前に駐車しても法的に問題ありませんか?
家の前が私道であっても、他の人の通行を妨げるような駐車は法律上問題となります。私道は個人の所有地であっても、実際に近隣住民や業者などが通行している場合、道路交通法上の「道路」に該当します。
そのため、長時間の駐車や通行の妨げになる行為は、通行権の侵害や道路交通法違反として警察の指導を受ける可能性があります。
また、共有私道であれば他の共有者の権利も尊重する必要があり、「自宅前だから」といって自由に駐車することはできません。
共有持分がある私道には自分の車を置けますか?
共有持分を持っていても、他の共有者の通行や使用を妨げない範囲でしか利用できません。
民法では、共有物の使用は「共有者全員の利益に反しない範囲」でのみ認められており(民法第249条・第252条)、駐車のような独占的な利用は原則として禁止されています。
(参考:e-Gov 法令検索「民法」)
私道に無断駐車された場合、警察は動いてくれますか?
私道であっても、一般の交通に供されている状態(誰でも通れる状況)であれば、警察が対応してくれる場合があります。通行妨害や迷惑駐車に該当すれば、警察が現場で移動要請や警告を行うことがあります。
違法駐車を防ぐために有効な対策には何がありますか?
無断駐車を防ぐには、物理的対策と心理的抑止の両方を組み合わせるのが効果的です。まずはチェーンポールや車止めを設置して、物理的に車の進入を防ぐ方法があります。 また、「私有地につき駐車禁止」と書かれた明確な看板を設置することで、第三者への警告効果も高まります。 さらに、防犯カメラやセンサーライトを設置すれば、監視されているという意識が抑止力となり、再発防止に効果的です。
まとめ
私道の駐車トラブルは、「自分の土地だから大丈夫」と思い込むことから始まるケースが多いです。しかし、共有持分の私道は他の共有者や第三者の通行権を尊重して使うことが前提であり、独占的に利用することは法律上も認められていません。
また、警察が介入できるケースと民事対応にとどまるケースがあるため、まずは現状を正確に把握し、証拠を残すことが大切です。
無断駐車が続く場合は、早い段階で警察や弁護士、専門業者などの第三者へ相談することで、スムーズな解決につながります。そして再発防止のためには、共有者全員で利用ルールを明文化し、看板や物理的対策を整えることが有効です。
「使いにくい道路」ではなく「安全に管理できる共有資産」に変えていく意識を持つことが、長期的にトラブルを防ぐ最善の対応といえるでしょう。


















