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離婚したら持ち家はどうなる? 不動産を売るときに知っておきたい共有持分と財産分与

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賃貸住宅ではなく持ち家に住んでいる場合、離婚をする際に悩むことのひとつが「家をどうするか」ということではないでしょうか。

不動産を購入するとき、夫婦どちらか1人がすべて出しているケースもあれば夫婦2人でお金を出し合っているケースもあると思います。

「住宅購入費用を自分の方が多く払っているから、離婚時の財産分与は多くなるのか?」

「住宅ローンが残っている場合はどうなるのか?」

など、離婚した際の不動産についてわからないことは多いでしょう。

そこで今回は、共有名義の不動産を持っているときの対処方法や自宅を売った後の財産分与などについてお伝えします。

 

■財産分与とは?

離婚をする際には、夫婦が共同生活を送る中で形成した財産は公平に分配しなければいけません。自宅などの不動産も同じで、これを「財産分与」と言います。

 

不動産を購入するとき、夫婦2人でお金を出し合ったりローンを組んだりして共有名義にすることがあります。このとき、半分ずつの負担にすることもあれば比率が異なることもあるでしょう。「共有持分」が多ければ財産分与が多いのかというと、そうではないため注意が必要です。

なぜなら、民法に以下のようなルールがあり、「一切の事情を考慮する」からです。

 

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  1. 協議上の離婚をした者の一方は、相手方に対して財産の分与を請求することができる。
  2. 前項の規定による財産の分与について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、当事者は、家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求することができる。ただし、離婚の時から二年を経過したときは、この限りでない。
  3. 前項の場合には、家庭裁判所は、当事者双方がその協力によって得た財産の額その他一切の事情を考慮して、分与をさせるべきかどうか並びに分与の額及び方法を定める。

次に、共有持分と財産分与について詳しく説明します。

 

■共有持分とは?

共有持分とは、1つの不動産を2人以上で所有している際にそれぞれが持っている所有権の割合のことを指します。これは、その不動産を取得するに対して支出した負担割合に応じて決定することが一般的です

例えば、3000万円の不動産を夫婦で購入するときに、夫が2000万円、妻が1000万円支払ったとしたら、共有持分は夫が3分の2、妻が3分の1となります。

ちなみに、共有持分とあわせて「共有名義」という言葉が出てくることがあります。共有名義とは、その不動産の所有持分で登記されていることを指します。1人の名義で登記する場合は「単独名義」と言います。

 

■離婚時には共有持分の割合は反映されない

「離婚時に不動産を売却すれば、共有持分の財産が得られるのか?」というと、そうではありません。購入時に夫が3分の2・妻が3分の1の割合で取得していたとしても、そのまま分配されるわけではないのです。婚姻中に購入した不動産は、他人同士が共有している状態とは違い、「夫婦共有財産」とみなされ財産分与の対象となることもあります。なぜなら、上述した通り「一切の事情を考慮して」財産分与の内容を決めるため、個別に判断がされるからです。

 

【財産分与は2分の1ずつ】

財産分与は、登記されている共有持分とは関係なく、法律的な考えによって「2分の1ずつ」とされることもあります。

つまり「みかけの共有持分」は財産分与として評価されません。

妻が専業主婦で夫がすべて支払っていたとしても、婚姻中に購入した不動産は「妻の協力があったから形成された財産である」とみなされ、妻にも公平に分配されます。

しかし例外として、夫(または妻)が特殊な才能や職業によって一般的な収入よりもはるかに高い収入を得ている場合は、財産分与の割合が変わることがあります。どのような割合になるかは、話し合いや裁判によって決められます。

 

■住宅ローンがない場合の財産分与の仕方

不動産を財産分与として分配する際は、ローンが残っていない場合と残っている場合でその方法は異なります。まずは、不動産を一括購入していたりローン返済を終えていたりして、住宅ローンがない場合の財産分与についてご紹介します。

2パターンあるため、夫婦で話し合いどちらにするか決めましょう。

 

不動産を売り、2分の1で分ける

不動産を売り、得たお金を2分の1ずつで分ける方法です。

共有持分が、夫3分の2・妻3分の1の割合だったとしても半分ずつの分配となります。登記されている持分割合とは関係ないため気をつけましょう。

また、3000万円で購入した不動産が3000万円で売れるとは限りません。さらに売却するときには手数料や税金などさまざまな経費がかかります。不動産売却をする前に分配するのではなく、売った後に残ったお金を確認してから分けるようにしましょう。

 

夫(妻)が取得して妻(夫)にお金を支払う

売却せず、どちらかが住み続ける場合は、相手にお金を支払う必要があります。この際も購入時の共有持分は関係ありません。不動産査定をしてもらい、査定額の2分の1を相手に代償金として払いましょう。

このとき、共有名義であったり家を引き継がない方の名義であったりする場合、名義変更をする必要があります。名義変更については後ほど詳しくお伝えします。

 

■住宅ローンが残っている場合の財産分与の仕方

次に、住宅ローンが払い終わっていない場合の分配方法をご紹介します。

売却してもローンが残る「オーバーローン」か、売却すれば完済できる「アンダーローン」かどうかで方法は異なります。

 

「オーバーローン」の場合

不動産を売却してもローンが残る場合は、「資産価値がない」ということになるため、財産分与の対象ではなくなります。そのため夫婦のどちらかが住み続ける場合、相手に代償金を支払う必要がありません。

このとき不動産名義と住宅ローン名義を住む方に変更しておきましょう。

どちらも家に住まない場合は、残りのローンを貯金などで支払う必要があります。また、「任意売却」という方法で清算することもできます。

任意売却とは、住宅ローン債務者と共同で不動産を売る方法です。競売を避けつつ不動産市場で売ることができ、競売よりも高額で売れる場合があります。また引越し費用を出してもらえるケースもあるなど、その後の支払いや生活がスムーズになります。

 

「アンダーローン」の場合

不動産の売却額よりも残っている住宅ローンの額が少ない状態を「アンダーローン」と言います。売ってもお金が残るため、財産分与の対象となります。

どちらも家に住まない場合は、不動産売却代金から住宅ローンを完済し、残ったお金を夫婦で2分の1ずつ分けます。

どちらかが住み続ける場合は、家の価値からローン残高を引いた価格の2分の1のお金を相手に支払う必要があります。このとき、不動産の名義と住宅ローン名義は住み続ける方に変更しておきましょう。名義と実際に住んでいる人が異なると、あらゆる不具合が生じます。それでは名義変更について、次にご紹介します。

 

■どちらかが住み続ける場合、不動産名義と住宅ローン名義を変更しよう

オーバーローンの場合でもアンダーローンの場合でも、夫婦どちらかが家に住み続ける場合は、不動産の名義と住宅ローン名義を変更しておく必要があります。

不動産名義とは、登記簿に記載されている家や土地などの所有者のことです。そして住宅ローン名義とは、ローンを金融機関から借りている人のことを指します。

不動産名義と住宅ローン名義は法律的な関係はなく、実際には一致する場合がほとんどですが、違う人であっても問題はありません。また夫と妻で現金を出し合い、残りをペアローンにするなどの共有名義である場合も多いです。

 

このような背景から、不動産名義と住宅ローン名義は離婚後に家を引き継ぐ人の名前で統一されているとは限りません。名義が誰になっているのか確認し、住み続ける方ではない場合は変更しておきましょう。

 

名義変更をしておかないと、住んでいる相手が支払い停滞した場合、住んでいないのに催促状が届くことがあります。また、後から「やはり不動産を売りたい」と思っても名義になっている相手の合意が必要となるため、スムーズにできない場合もあります。

それでは次に、どのように名義変更をしたらいいかご紹介します。

 

不動産の名義を変更する方法

不動産の所有権が誰にあるのか、という情報は法務局の登記簿に登録されています。そのため、法務局に対して登記申請をすることで家や土地などの名義を変更することができます。

 

住宅ローン名義を変更する方法

住宅ローン名義の変更方法は2パターンあります。1つ目の方法で名義変更ができない場合は、2つ目の方法を試すこともいいでしょう。

 

①現在の金融機関の住宅ローン名義を変更する

現在借入をしている金融機関に交渉し、住宅ローン名義を変更する方法です。

例えば、夫が2000万円、妻が1000万円で合計3000万円のローンを組んでおり、妻が住み続ける場合は妻が3000万円のローンになるよう変更してもらいます。ただし、このとき金融機関が「信用や資力を考慮した結果、妻に3000万円の支払い能力はない」と判断すれば名義を変更することができません。

 

②別の金融機関でローンを組みかえる

現在支払っている金融機関とは別のところでローンを借りかえる方法もあります。

家に住み続ける方が別の金融機関で3000万円のローンを単独で組み、現在支払っている金融機関に完済します。そして、その後は新たに借りた金融機関へローン返済をしていきます。ただし別の金融機関で3000万円を借りられるかどうかは、その人の支払い能力によって異なります。

 

ローン名義の変更が難しい場合は不動産を売却することがいいでしょう。アンダーローンであれば手元にお金が残りますし、オーバーローンであっても任意売却をすれば残債を減らすことが可能となります。

 

■オーバーローンかアンダーローンかを調べる方法

「オーバーローンかアンダーローンか分からない」という方も少なくないかと思われます。そこで簡単な調べ方を、3つの段階でご紹介します。

 

(第1段階)住宅ローン残債を調べる

まずは住宅ローン残債を調べます。住宅ローンが残りいくらあるかは、借りている金融機関から届くローン返済計画書や残高証明書を確認しましょう。金融機関によっては、インターネット上で確認できることもあります。分からない場合は、直接問い合わせてもいいでしょう。

 

(第2段階)家の売却価格を調べる

次に家の売却価格を調べます。自宅周辺で似たような条件の不動産がいくらで売りに出されているかを確認することで、おおよその価格がわかります。ただし正確ではありません。

正確な売却価格を確認するためには、不動産会社に査定をしてもらうといいでしょう。

 

(第3段階)住宅ローン残債と家の売却価格を比べる

住宅ローンの残債と家の売却価格を調べたら、どちらが高いかを確認します。住宅ローン残債の方が高ければ「オーバーローン」、家の売却価格の方が高ければ「アンダーローン」となります。

 

■共有名義の持分だけを売ることはできないのか?

「不動産3000万円のうち2000万円が自分の共有持分だから、その分を売却したい」という方がいますが、財産分与前に相手の承諾なしで売却することはできません。

みかけの共有持分が多かったとしても、婚姻中に夫婦で購入した不動産は「共有財産」となるため、2分の1ずつの権利があります。そのため、もし勝手に売ってしまうと、後から損害賠償請求をされてしまうこともあるので気をつけましょう。

 

共有持分を自由に売却できる状態とは

しかし、必ずしも「持分を売ることができない」というわけではありません。自分の持分を自由に売却できる状態はおもに以下の2つです。

 

①財産分与が終わった場合

すでに財産分与が終わった場合は、自分の持分を共有持分買取業者などに売ることができます。相手の承諾なしに売却しても財産分与が済んで権利が確定しているため、問題ありません。

 

②離婚後、2年経過した場合

離婚時に財産分与の話しをせず、離婚をして2年が過ぎれば財産分与請求権がなくなります。この場合も自分の共有持分を自由に売却しても問題ありません。

反対に言えば、財産分与がしたい場合は家庭裁判所に申立てができる離婚後2年以内に必ず行っておきましょう。

 

■「2分の1ずつは納得できない」という場合は話し合いを

自分の方が共有持分の割合が多いと、財産分与の「2分の1」に納得がいかないこともあるでしょう。基本的には離婚時の財産分与は半分ずつとなることが多いですが、夫婦で話し合った結果、みかけの共有持分通りにすると決めたのであれば、それも有効です。

口頭での約束では、後から「やはり半分にしてほしい」と言われたときに効力がないため、離婚協議書や公正証書などを作成しておくといいでしょう。

 

離婚時、不動産のことで困ったらプロに相談

不動産は価格が高いことや共有名義等で対処方法が複雑な場合があることから、知識がない状態で売却や分配を進めるとトラブルになってしまいがちです。

夫婦2人が納得いく形にするためには、不動産のプロに頼ることをおすすめします。煩雑な手続き等もサポートしてくれる場合があるため、一度相談してみてはいかがでしょうか。

 

【監修】

司法書士リーガル・パートナー 代表 堀内貴敬。

22歳で司法書士資格取得後
一貫して個人の不動産・相続・相続対策に取り組んでいる
不動産法務と相続のプロフェッショナル。
セミナー講師やYouTubeでの解説が「わかりやすい」と高評価。
ご相談に丁寧に向き合うことを大事にしている。

http://legal-ps-tokyo.com/

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