について今すぐご相談できます。
お電話する
親が亡くなり実家を相続したときに、「住むか住まないか」で悩むケースは珍しくありません。「家賃がかからない」「思い出の詰まった家に住める」といった理由から、そのまま住む選択をする方もいらっしゃるでしょう。
しかし、本来はメリット・デメリットを正確に理解した上で、総合的に判断することが大切です。また、実家を相続して住む際の手続きや注意点、住まない選択をした場合の選択肢と具体的な進め方についても知っておく必要があります。
そこで本記事では、相続した実家に住む場合と住まない場合のメリットとデメリット、各選択肢の手続き、避けるべき行為について詳しく解説していきます。
目次
相続した実家に住むメリットとデメリット
親から実家を相続した際、そこに住むか住まないかを決める必要があります。それぞれにメリット・デメリットがありますので、よく検討しましょう。
相続した実家に住むメリット
相続した実家が住宅ローンを完済済みなら、家賃や住宅ローンの支払いは不要です。賃貸住宅に住んでいた場合、家賃負担から解放されますので、その分生活が楽になります。
被相続人と同居していた相続人が実家を相続して住み続ける場合、「小規模宅地等の特例」の適用を受けられる可能性があります。この特例では、土地の評価額を最大で80%減額でき、相続税を大幅に抑えられます。
子供の頃の思い出が詰まった実家で暮らせるのは、金銭には代えがたい価値があります。住み慣れた地域で生活を続けられるのも大きなメリットです。
相続した実家に住むデメリット
実家を相続すると、その不動産の所有者として固定資産税を支払う必要があります。税額は固定資産評価証明書や課税明細書で確認できます。
老朽化した実家の場合、水回りや屋根、外壁など大規模なリフォームが必要になることがあります。リフォーム費用が高額になれば、金銭的な負担が大きくなります。
実家の立地が現在の勤務先から遠かったり、間取りが家族構成に合わなかったりする場合、生活しづらくなるかもしれません。
その場合、通勤時間や交通費、リフォーム費用などを総合的に考える必要があります。
資産価値や立地、老朽化の度合いを考慮して判断しよう
実家に住むかどうかは、その不動産の資産価値、立地、建物の老朽化具合を考慮して判断しましょう。将来的に資産価値が下がりそうな物件は、早めに売却を検討するのも一案です。
一方で、立地が良く、多少の修繕で住み続けられるなら、相続税の節税メリットを享受できます。
建物の劣化状況をよく調べ、修繕費用を見積もったうえで、金銭面とともに、家族の同意や生活スタイルへの影響も考慮して、総合的に判断することが大切です。
関連記事:配偶者居住権とは?相続における権利範囲と注意範囲を解説
実家を相続して住む際の手続きと注意点
実家を相続して住むと決めたら、適切な相続手続きを行うことが重要です。具体的には、以下のようなものです。
- 遺言や遺産分割協議で相続人の合意を得る
- 相続登記の手続きを行う
- 相続税の申告と納税
それぞれについて、注意点とセットでみていきましょう。
遺言や遺産分割協議で相続人の合意を得る
被相続人の遺言があれば、その内容に従って実家を含む遺産を分割します。遺言がない場合は、相続人全員で遺産分割協議を行い、実家の所有者を決める必要があります。
実家を取得する代わりに、他の相続人に金銭的な補償をすることで、納得してもらうのが一般的で、これを「代償分割」といいます。話し合いで合意が得られない場合は、家庭裁判所に調停を申し立てることになります。
関連記事:実家じまいはいつするべき?必要な費用や時期について解説
相続登記の手続きを行う
遺産分割が決まったら、不動産の所有権を被相続人から相続人に移転する相続登記の手続きを行います。
相続登記に必要な主な書類は以下のとおりです。
- 登記申請書
- 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
- 相続人全員の戸籍謄本と印鑑証明書
- 遺産分割協議書または調停調書
- 登記済権利証、登記識別情報
など
2024年4月からは相続登記が義務化され、原則として相続開始から3年以内に申請しないとペナルティが科されます。期限を守って手続きを進めましょう。
相続税の申告と納税
相続した実家を含む遺産の総額が基礎控除を超える場合、相続税の申告と納税が必要です。基礎控除額は「3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数」で計算します。
申告期限は原則として相続開始から10カ月以内。実家の土地や建物の評価額は、路線価や固定資産税評価額を基に計算します。
小規模宅地等の特例の適用を受ける場合も、税務署への申告手続きが必要です。相続税の申告は非常に複雑なので、専門家に依頼することをおすすめします。
相続した実家に住まない場合の選択肢と手続き
相続した実家に住まない場合でも、売却、賃貸、土地活用、相続放棄など、いくつかの選択肢があります。それぞれの特徴と必要な手続きをみていきましょう。
売却する
相続した実家を売却するメリットは、不動産を現金化でき、相続税の納税資金や他の投資に充てられることです。
ただし、老朽化した建物は買い手がつきにくく、売却価格も低くなりがちです。その場合、リフォームを施してから売却するという選択肢もありますが、リフォーム費用が高額になれば、売却益を圧迫してしまいます。
売却するタイミングにも注意が必要です。相続開始から3年以内に売却すれば、売却時の譲渡所得から最大3,000万円を控除できる「空き家に係る譲渡所得の特別控除」の適用を受けられます。
この特例を利用するには、その他にも、被相続人が亡くなる直前まで一人暮らしであったこと、売却までの間は空き家であったことなどの要件を満たす必要があります。
売却手続きは、まず不動産仲介会社に依頼し、物件情報の開示と価格査定を行います。その後、媒介契約を結び、売却活動に入ります。買主が見つかれば、売買契約を締結し、決済・物件引渡しを行います。
賃貸に出す
実家を賃貸に出せば、毎月の賃料収入を得られるというメリットがあります。また、入居者がいることで建物が管理され、老朽化を防ぐこともできます。ただし、入居者の募集や退去時の修繕などには手間とコストがかかります。
賃貸に出す際は、物件の状況を確認し、リフォームや修繕を行うことも必要です。特に水回りや設備の老朽化が進んでいる場合、入居者を募集する前に改修工事を行うことをおすすめします。また、家財道具の処分や遺品整理なども求められます。
賃料設定は、近隣の相場を参考にしつつ、物件の立地や設備、築年数などを考慮して決定しましょう。敷金や礼金、更新料といった初期費用も設定しましょう。
入居者の募集は、不動産仲介会社に依頼するのが一般的です。仲介会社は、物件の広告掲載や内覧対応、入居審査、賃貸借契約の締結などを行います。
賃貸管理には、家賃の集金、入居者との連絡、建物の維持・修繕、トラブル対応などが含まれます。
これらはオーナー自身で行うことも可能ですが、手間と専門知識が必要になります。賃貸管理を管理会社に委託するのも選択肢の1つです。
更地にして土地活用する
老朽化が進んだ実家を取り壊して更地にすれば、駐車場経営や貸し資材置き場、太陽光発電事業など、さまざまな土地活用が可能になります。建物の解体費用はかかりますが、更地であれば管理が容易で、固定資産税の負担も軽減されます。
土地活用の選択肢は、立地や周辺環境、土地の形状や面積などによって異なります。例えば、駅前や繁華街の一角であれば、時間貸し駐車場が有望でしょう。
工場や物流施設が多い地域なら、貸し資材置き場や倉庫として活用できます。日当たりの良い郊外の土地であれば、太陽光発電事業を検討する価値があります。
土地活用を始めるには、まず不動産コンサルタントや土地活用の専門家に相談し、最適な活用方法を探ることをおすすめします。その上で、事業計画を立て、必要な許認可を取得し、工事を発注します。資金調達は、金融機関からの借り入れや補助金・助成金の活用が一般的です。
土地活用で得られる収益は、事業の種類や規模によって大きく異なります。駐車場経営の場合、1区画あたり月額1万~3万円程度の収益が見込めます。太陽光発電事業なら、1kWあたり年間1万5,000円程度の売電収入が期待できます。
ただし、土地活用にはリスクも伴います。例えば、駐車場経営では、近隣に競合施設ができれば収益が下がる可能性があります。太陽光発電事業では、天候不順による発電量の低下や、設備のトラブルによる修繕費用の発生などが懸念されます。
相続放棄する
相続した実家が老朽化していたり、立地が悪かったりして、活用が難しい場合は相続放棄を検討しましょう。
相続放棄は、相続開始を知った日から3カ月以内に家庭裁判所に申述する必要があります。
申述が受理されれば、相続人としての権利と義務(債務など)が発生しなくなります。ただし、相続放棄は、実家を含む被相続人のすべての財産を放棄しなければなりません。
預貯金などの金融資産も含めて、プラスの財産も引き継げなくなるので注意が必要です。
実家の相続でやってはいけない損をする行為
せっかく実家を相続しても、誤った対応をすると、かえって損をしてしまうことがあります。そのため、以下のポイントを意識しましょう。
- 管理を怠り特定空き家に指定されること
- 相続登記をせずに放置すること
- 建物だけを取り壊すこと
それぞれ個別に解説します。
管理を怠り特定空き家に指定されること
相続した実家の管理を怠ると、「特定空家等」に指定される恐れがあります。特定空家等とは、そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態や、著しく衛生上有害となるおそれのある状態にある空き家のことを指します。
指定を受けると、行政からの勧告や命令、代執行、最大50万円の過料といったペナルティを受けるおそれがあります。固定資産税の住宅用地の特例が適用されなくなり、最大6倍の課税となる点も痛手です。
定期的に通って換気したり、庭木を剪定したりと、こまめな管理を心がけましょう。
相続登記をせずに放置すること
相続登記をしないまま放置してしまうと、トラブルのもとになります。登記名義が被相続人のままでは、第三者に勝手に売却されたり、抵当権を設定されたりする恐れがあります。共有名義になる可能性もあり、他の相続人の債権者から差し押さえを受ける可能性もあります。
また、相続人が亡くなった場合、さらなる相続(二次相続)が発生し、権利関係が複雑になります。
不動産の売却や賃貸の際にも、相続登記が必要となるため、早めの名義変更がおすすめです。
建物だけを取り壊すこと
更地にすれば管理が楽になると考え、建物だけを解体する人がいますが、これは得策とはいえません。
更地は住宅用地の特例が適用されず、固定資産税が高くなるためです。建物を解体した場合、土地は「住宅用地」から「非住宅用地(雑種地)」に地目変更されます。その結果、固定資産税の負担が約3〜6倍になってしまうのです。
建物の管理が大変なら、賃貸に出すことを検討したほうが良いでしょう。建物を残しておけば、将来的に売却したり自分が住んだりする選択肢も残せます。
「ワケガイ」なら訳あり物件も短期で買取可能!
相続した実家に住まず、売却を検討する際に、物件の状態や立地によっては買い手が見つからないことがあります。老朽化が進んだ空き家やゴミ屋敷、事故物件など、いわゆる「訳あり物件」は特に売却が難しいケースが多いのです。
当社が提供するワケガイは全国47都道府県の訳あり物件を対象に、最短1日での買取を実現します。空き家やゴミ屋敷はもちろん、共有持分物件や再建築不可の土地なども、現状のまま買い取り可能です。
査定は無料で、買取額は最大3億円。仲介手数料もかからないため、煩雑な売却活動をせずにスピーディーに不動産を売却できます。
相続した実家の売却に悩んでいる方は、ぜひワケガイの空き家買取サービスをご検討ください。
まとめ
以上のように、相続した実家への対応は、「住む」「住まない」どちらの選択をするにしても、それぞれにメリット・デメリットがあり、適切な手続きと注意点を押さえておく必要があります。
特に、「管理を怠る」「相続登記を放置する」「安易に建物を取り壊す」といった行為は、思わぬ損失につながる可能性が高いので避けるべきです。
一方で、実家の相続は、法的にも感情的にも複雑な問題が絡むため、素人判断で対応することは危険です。
資産価値や立地、建物の状態、相続人の意向など、さまざまな要素を総合的に考慮した上で、最適な選択をしなければなりません。
もし少しでも実家の相続に不安や迷いがあるなら、専門家に相談することをおすすめします。プロの助言を得ることで、リスクを最小限に抑えつつ、納得のいく相続を実現できるはずです。
運営団体 株式会社ネクスウィル 2019年1月29日設立。訳あり不動産の買取を行う不動産会社。相続やペアローンによる共有持分、空き家、再建築不可物件、借地、底地など、権利関係が複雑な不動産を買い取り、法的知識や専門知識を以って、再度市場に流通させている。 |