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住宅ローンを完済したり不動産を売却したりする際、抵当権の抹消手続きが必要になりますが、費用や手続きの方法がわからず困るケースが少なくありません。
その際に必要となるのが抵当権抹消登記です。抵当権抹消登記とは、住宅ローンの返済が完了した後、不動産に設定された抵当権を法務局で抹消する手続きのことです。
手続きを放置すると不動産売却や新規融資の妨げになるほか、相続時にトラブルの原因となるケースも。
本記事では、抵当権抹消登記にかかる具体的な費用や手続きの流れ、放置するリスクについて、実例を交えながら詳しく解説します。
目次
抵当権抹消とは
抵当権は、住宅ローンなどで不動産を購入した際に設定される権利です。住宅ローンの返済が滞った場合、金融機関がその不動産を競売にかけて債権を回収できる権利を有します。
ローンを完済した後、この抵当権を消すための手続きを「抵当権抹消」と呼びます。
抵当権の抹消は、ローン完済後に自動的に行われるわけではありません。法務局での登記手続きを経て、初めて登記簿からその記載が消えることになります。
具体的には、登記簿の抵当権の記載部分に「抹消」の旨が記録され、抵当権の効力が消滅したことが明示されます。ただし、過去の登記情報は抹消後も記録として残り、閲覧することが可能です。
手続きは自分で行うことも司法書士に依頼することも可能です。住宅ローンを完済して時間に余裕がある場合は自分で手続きを行えますが、不動産売却に伴う抵当権抹消の場合は、一般的に司法書士に依頼します。
抵当権を抹消せずに放置すると、将来の不動産取引や新たな融資を受ける際に支障をきたす可能性もあるため、ローン完済後は速やかに手続きを進めることが望ましいとされています。
抵当権抹消で必要な費用
抵当権抹消には、以下の費用が必要です。
- 登録免許税
- 各種証明書の取得費用
- 司法書士への依頼費用
- 郵送や交通費などの雑費
適切な費用の見積もりと準備を行うためにも、それぞれの詳細についてしっかりと理解しておきましょう。次項より、個別に解説します。
登録免許税
登録免許税は、登記の種類によって異なる税率が適用される税金です。例えば、抵当権抹消登記の場合、不動産1件につき1,000円の税額がかかります。
一般的な一戸建てで土地と建物の両方に登記が必要な場合、それぞれ1,000円ずつ、合計2,000円の登録免許税がかかります。
マンションの場合も、専有部分(建物)と敷地権(共有する土地部分)のそれぞれに税額が発生します。敷地権が複数の土地に分かれている場合、筆数に応じて1,000円ずつ加算されます。
なお、登録免許税は法務局に納付する税金であり、自分で手続きをする場合も、司法書士に依頼する場合も税額は変わりません。ただし、司法書士に依頼する場合は別途報酬が必要となります。
このように、登録免許税は登記の種類や不動産の状況によって変動するため、事前に適用される税額を確認することが重要です。
各種証明書の取得費用
手続きの前後で必要となる証明書の取得費用は以下のとおりです。
<登記事項証明書(登記簿謄本)>
- 窓口請求:600円/通
- オンライン請求:500円/通
- 登記事項要約書:450円/通
司法書士への依頼費用
司法書士に依頼する場合の手数料は、全国平均で1.5万円前後です。地域によって相場が異なり、関東で約1.6万円、近畿で約1.9万円といった具合です。
複雑な案件や住所変更などの追加手続きが必要な場合は、別途費用が発生することもあります。ただし、この費用には通常、事前調査や書類作成、申請手続きなどの一連の業務が含まれています。
郵送や交通費などの雑費
自分で手続きを行う場合は、法務局への往復交通費が必要です。また、金融機関とのやり取りで郵送料がかかることもあります。
司法書士に依頼する場合、これらの実費を含めて請求されるケースが多いため、事前に費用に含まれるか確認するとよいでしょう。郵送料は一般的に書留で400円程度、簡易書留で320円程度を想定しておく必要があります。
抵当権抹消で必要な費用相場
不動産1物件あたりの抵当権抹消にかかる平均的な費用は2〜3万円程度です。
その内訳は、基本の登録免許税(2,000円)、登記事項証明書の取得費用(1,200円程度)、司法書士への依頼費用(1.5万円前後)などとなります。
都市部では司法書士費用が2万円を超えることも珍しくありません。
抵当権抹消の費用負担者
費用を負担するのは、原則として不動産の所有者です。住宅ローン完済時の抵当権抹消では、その不動産の所有者が費用を負担します。
不動産売却の場合は売主が負担するのが一般的で、これは売買契約書にも明記されます。住宅ローンの残債がある物件の売却時は、売却代金で一括返済し、その上で抵当権抹消の費用を売主が支払います。
ケース別の抵当権抹消費用例
抵当権抹消の費用は、ケースによって大きく変わることがあります。住所変更や相続が絡むと、追加の手続きと費用が必要になります。
ケース①:住所変更がある場合の費用
住所変更を伴う場合は、まず住所変更登記を行い、その後に抵当権抹消登記を行います。住所変更登記にも不動産1個につき1,000円の登録免許税がかかります。
また、住民票(300円程度)や、複数回の引っ越しがある場合は戸籍附票(300円程度)の取得費用も必要です。
司法書士に依頼すると、住所変更と抵当権抹消をまとめて依頼できますが、追加で5,000円程度の手数料が発生するのが一般的です。
ケース②:相続が発生した場合の費用
相続に伴う抵当権抹消では、まず相続登記が必要です。相続登記の登録免許税は固定資産税評価額の0.4%となります。
例えば評価額3,000万円の不動産なら、12万円の登録免許税がかかります。さらに、戸籍謄本(450円)や除籍謄本(750円)、住民票(300円)などの書類取得費用、司法書士への依頼費用(6〜9万円程度)も必要になります。
これらの費用に加えて、通常の抵当権抹消費用も別途必要となります。
抵当権抹消を行うべきタイミング
抵当権の抹消には適切なタイミングがあり、放置するとさまざまなリスクが生じる可能性があります。手続きのタイミングと注意点について、具体的に解説していきます。
ローン完済後
住宅ローンを完済した際、金融機関から抵当権抹消に必要な書類(抵当権解除証書、金融機関の代表者事項証明書など)が送付されます。これらの書類には有効期限があるため、完済後3か月以内に手続きを進めることが求められます。
期限を過ぎると、書類の再発行が必要になり、時間と手間が増えてしまいます。特に金融機関が合併や閉鎖している場合、書類の再発行が難航するケースもあるため、完済後は迅速な行動が重要です。
また、司法書士への依頼を検討することで、確実かつスムーズな手続きが可能になります。
不動産売却時
不動産を売却する場合、登記簿に抵当権が残っていると、買主が権利関係に不安を感じるため、取引が進まない可能性があります。そのため、売却契約の締結前に抵当権を抹消しておくことが必要です。
また、買主にとっても「抵当権のない状態」での引き渡しが条件となるケースがほとんどです。
売却を計画している段階で、事前に金融機関や司法書士と相談し、必要な手続きを進めることで、売却をスムーズに進めることができます。
相続時
相続時に抵当権が残っている場合、相続登記と抵当権抹消の手続きを同時に進める必要があります。これにより、相続人が不動産を自由に活用したり、売却したりすることが可能になります。
抵当権を放置すると、相続人間で権利関係が複雑化したり、売却時にトラブルの原因となる可能性があります。
また、相続人が複数いる場合は、手続きがさらに煩雑化するため、相続開始後なるべく早く手続きを進めることが理想です。
抵当権抹消を放置するリスク
抵当権抹消の手続きを先送りにすると、予期せぬトラブルに発展する可能性があります。具体的には、以下のとおり。
- 不動産売却時に手続きが滞る
- 相続時に相続人間のトラブルを引き起こす
- 第三者から法的な問題が発生する
次項より。具体的な内容をみていきましょう。
不動産売却時に手続きが滞る
抵当権が残ったままだと、不動産売却の大きな障害となります。買主は完全な所有権を得られない状態では購入を躊躇するでしょう。
また、買主が住宅ローンを組む際、金融機関から融資を断られる可能性も出てきます。これは、先順位の抵当権が存在すると、金融機関の担保権が後順位になってしまうためです。
結果として、売買契約の締結から決済までの期間が大幅に延びかねません。最悪の場合、売却自体が不可能になったりすることも考えられます。
相続時に相続人間のトラブルを引き起こす
相続発生時に抵当権が残っていると、相続人全員の合意を得る必要が出てきます。
特に、抵当権抹消に必要な書類を紛失していた場合、金融機関での再発行手続きや、相続人全員の署名・押印が必要になるなど、手続きが複雑化します。
相続人の中に連絡が取れない人がいたり、協力を得られない人がいたりすると、事態は更に深刻になります。
また、抵当権抹消の費用負担をめぐって相続人間で意見が分かれ、新たな争いの火種となることも珍しくありません。
第三者から法的な問題が発生する
抵当権が設定されている金融機関が合併や解散した場合、抹消手続きに想定以上の時間と労力がかかります。
また、抵当権が残っていることで、不動産の担保価値が下がり、新たな融資を受けられなくなる可能性もあります。
さらに、登記簿上の記載と実態が異なる状態が続くことで、取引の安全性が損なわれ、第三者との間で予期せぬトラブルが発生するリスクも考えられます。
これらの問題を未然に防ぐためにも、住宅ローン完済後は速やかに抵当権抹消の手続きを行うことが賢明です。
抵当権抹消登記の費用に関して把握しておくべきこと
登記費用の見積もりや準備を行う際には、以下の点に注意しましょう。
- 法定費用以外の費用がある
- 書類不備で追加費用が発生する
- 費用を事前に確認する方法がある
以下より、それぞれ個別に解説します。
法定費用以外の費用がある
登録免許税や証明書取得費用といった法定費用の他にも、実務上必要となる費用があります。
例えば、金融機関とのやり取りに使う郵送料(書留で400円程度)や、自分で手続きを行う場合の法務局への交通費なども考慮に入れる必要があります。
また、複数の金融機関から借り入れがある場合は、それぞれの抵当権について手続きが必要となり、費用も倍加します。
書類不備で追加費用が発生する
書類の不備や記載ミスがあると、再申請のための費用が別途必要になります。
特に住所変更や相続が絡むケースでは、戸籍謄本や住民票などの追加書類が必要となり、取得費用がかさむ可能性があります。
また、有効期限のある書類は期限切れに注意が必要で、再発行には追加の費用と時間がかかります。
費用を事前に確認する方法がある
具体的な費用は、法務局のWebサイトで基本料金を確認できるほか、司法書士事務所に事前相談をすることで、おおよその総額を把握できます。
特に、住所変更や相続などの追加手続きが必要な場合は、司法書士に相談して詳細な見積もりを取ることをおすすめします。
見積もりの際は、実費や追加手数料の有無についても確認しておくと、後々のトラブルを防ぐことができます。
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まとめ
抵当権抹消登記は、不動産取引の重要な手続きの一つです。手続きを放置すると、不動産売却の妨げになるだけでなく、相続時のトラブルや新規融資を受ける際の支障となる可能性もあります。
費用面では、基本の登録免許税に加え、証明書取得費用や司法書士への依頼費用など、ケースによって異なる費用が発生することも理解しておく必要があります。住宅ローンを完済したら、まずは必要書類を確認し、期限切れに注意しながら速やかに抵当権抹消の手続きを進めましょう。