抵当権抹消にかかる費用の相場はいくら?必要な費用と自分でできる手続きを解説

抵当権抹消にかかる費用の相場はいくら?必要な費用と自分でできる手続きを解説のサムネイル画像
住宅ローンを完済したり不動産を売却する際、抵当権抹消登記という手続きが必要です。不動産に設定された抵当権を法務局で抹消しなければなりません。

しかし、費用や手続きの方法がわからず放置すると不動産売却や新規融資の妨げになり、トラブルの原因となるケースも少なくありません。

本記事では、抵当権抹消登記にかかる具体的な費用や手続きの流れ、放置するリスクについて、実例を交えながら詳しく解説します。

抵当権の抹消を検討している方は、早めに対応するため参考にしてください。

抵当権抹消とは

抵当権抹消

抵当権は、債権を優先的に回収するために設定する権利です。

ローンを完済した後、この抵当権を消すための手続きを「抵当権抹消」と言います。抵当権の抹消は、ローン完済後に自動的に行われるわけではありません。法務局での登記手続きを経て、初めて登記簿からその記載が消えることになります。

具体的には、登記簿の抵当権の記載部分に「抹消」の旨が記録され、抵当権の効力が消滅したことが明記されます。過去の登記情報は抹消後も記録として残り、閲覧することが可能です。

手続きは自分で行うことも司法書士に依頼することも可能です。住宅ローンを完済して時間に余裕がある場合は自分で手続きを行えますが、不動産売却に伴う抵当権抹消の場合は、一般的に司法書士へ依頼します。

抵当権を抹消せずに放置すると、将来の不動産取引や新たな融資を受ける際に支障をきたすこともあるため、ローン完済後は速やかに手続きを進めましょう。

抵当権抹消で必要な費用

抵当権抹消手続きで発生する主な4つの費用を図解

抵当権抹消に必要な登録免許税・書類取得費用・司法書士費用・郵送交通費

抵当権抹消には、以下の費用が必要です。

  • 登録免許税
  • 各種証明書の取得費用
  • 司法書士への依頼費用
  • 郵送や交通費などの雑費

適切な費用の見積もりと準備を行うためにも、それぞれの詳細についてしっかりと理解しておきましょう。

登録免許税

登録免許税は、登記の種類によって異なる税率が適用される税金です。

項目登録免許税
基本額不動産1件につき1,000円
一戸建て土地1,000円+建物1,000円=合計2,000円が一般的
マンション専有部分と敷地権の対象となる土地ごとに1,000円
敷地権が複数ある場合土地の筆数に応じて1,000円ずつ加算

例えば、抵当権抹消登記の場合、不動産1件につき1,000円の税額がかかります。

一般的な一戸建てで土地と建物の両方に登記が必要な場合、それぞれ1,000円ずつ、合計2,000円の登録免許税がかかります。
マンションの場合も、専有部分(建物)と敷地権(共有する土地部分)のそれぞれに税額が発生します。敷地権が複数の土地に分かれている場合、筆数に応じて1,000円ずつ加算されます。

なお、登録免許税は法務局に納付する税金であり、自分で手続きをする場合も、司法書士に依頼する場合も税額は変わりません。ただし、司法書士に依頼する場合は別途報酬が必要となります。

このように、登録免許税は登記の種類や不動産の状況によって変動するため、事前に適用される税額を確認することが重要です。
(参考:国税庁「登録免許税のあらまし」)

各種証明書の取得費用

抵当権抹消登記で登記事項証明書を取得する場合、手数料は請求方法と受取方法によって異なります。

オンライン請求では、書面で請求する場合より手数料を抑えられるためです。

登記事項証明書は書面請求が1通600円、オンライン請求で郵送受取の場合は520円、オンライン請求で窓口受取の場合は490円です。登記事項要約書の交付は1通500円です。

必要書類の取得費用を見積もるときは、証明書の種類だけでなく請求方法と受取方法も確認しましょう。

司法書士への依頼費用

住宅ローン完済後の抵当権抹消を司法書士に依頼する場合は、登録免許税などの実費に加えて司法書士報酬が発生します。

司法書士報酬は一律ではなく、事務所の料金設定や不動産の個数、追加登記の有無などによって変わります。

登記名義上の住所や氏名が現在の情報と一致していない場合は、抵当権抹消の前提として住所・氏名の変更登記の費用が追加される場合があるため注意しましょう。

司法書士費用を比較するときは、報酬額だけでなく登録免許税や書類取得費用などを含めた総額を見積もりで確認することが重要です。

郵送や交通費などの雑費

自分で抵当権抹消登記を行う場合は、法務局までの交通費や書類を郵送する際の費用などがかかります。

司法書士に依頼する場合も、郵送料や交通費などの実費が報酬とは別に請求されることがあります。依頼前に、見積もりにどこまで含まれているか確認しておきましょう。

抵当権抹消で必要な費用相場

抵当権抹消を自分で行う場合と司法書士に依頼する場合の費用相場

抵当権抹消の費用相場を、自分で手続きする場合と司法書士に依頼する場合に分けて比較しています。

不動産1物件あたりの抵当権抹消にかかる平均的な費用は2〜3万円程度です。

その内訳は、基本の登録免許税(2,000円)、登記事項証明書の取得費用(1,200円程度)、司法書士への依頼費用(1.5万円前後)などとなります。

都市部では司法書士費用が2万円を超えることも珍しくありません。

抵当権抹消の費用負担者

費用を負担するのは、原則として不動産の所有者です。

住宅ローン完済時の抵当権抹消では、その不動産の所有者が費用を負担します。

不動産売却の場合は売主が負担するのが一般的で、これは売買契約書にも明記されます。住宅ローンの残債がある物件の売却時は、売却代金で一括返済し、その上で抵当権抹消の費用を売主が支払います。

ケース別の抵当権抹消費用例

ケース別の抵当権抹消費用例を自分で申請・司法書士に依頼・追加登記が必要な場合で比較した図

抵当権抹消にかかる費用は、自分で申請するか司法書士に依頼するか、住所変更や相続登記などの追加手続きが必要かによって変わります。

抵当権抹消の費用は、ケースによって大きく変わることがあります。住所変更や相続が絡むと、追加の手続きと費用が必要になります。

ケース①:住所変更がある場合の費用

住所変更を伴う場合は、まず住所変更登記を行い、その後に抵当権抹消登記を行います

住所変更登記にも不動産1個につき1,000円の登録免許税がかかります。また、住民票(300円程度)や、複数回の引っ越しがある場合は戸籍附票(300円程度)の取得費用も必要です。

司法書士に依頼すると、住所変更と抵当権抹消をまとめて依頼できますが、追加で5,000円程度の手数料が発生するのが一般的です。

ケース②:相続が発生した場合の費用

相続登記の登録免許税は固定資産税評価額の0.4%です。

評価額3,000万円の不動産なら、12万円の登録免許税がかかります。さらに、戸籍謄本(450円)や除籍謄本(750円)、住民票(300円)などの書類取得費用、司法書士への依頼費用(6〜9万円程度)も必要になります。

これらの費用に加えて、通常の抵当権抹消費用も別途必要となります。

抵当権抹消を行うべきタイミング

抵当権抹消を行うべきタイミングは、次のとおりです。

タイミング対応内容注意点
ローン完済後金融機関から必要書類を受け取り、抵当権抹消登記を行う書類の期限切れ
不動産売却時売却に向けて抵当権を抹消する抵当権が残っていると、売却手続きが進みにくい
相続時相続登記とあわせて抵当権抹消を進める放置すると権利関係が複雑になり、売却や活用の妨げに

ローン完済後

住宅ローンを完済したら、金融機関から抵当権抹消に必要な書類を受け取り、できるだけ早く法務局へ登記申請を進めます。

抵当権は住宅ローンを完済しただけでは登記簿から自動的に抹消されず、受け取った書類を紛失・汚損すると手続きの負担が増えてしまいます

完済後は必要書類を受け取ったまま長期間保管せず、内容を確認して抵当権抹消の手続きを進めます。

不動産売却時

不動産を売却するときに登記簿に抵当権が残っていると、買主が権利関係に不安を感じて取引が進まない可能性があります。

そのため、売却契約の締結前には抵当権を抹消する必要があります。

不動産売買時には、「抵当権のない状態」での引き渡しが条件となるケースがほとんどです。売却を計画している段階で、事前に金融機関や司法書士と相談し、売却をスムーズに進めるように準備しましょう。

相続時

相続時に抵当権が残っている場合、相続登記と抵当権抹消の手続きを同時に進める必要があります。

これにより、相続人が不動産を自由に活用したり、売却することが可能です。

抵当権を放置すると、相続人の間で権利関係が複雑化したり、売却時にトラブルの原因となる可能性があります。相続人が複数いる場合は、手続きがさらに難しくなるため、相続開始後なるべく早く手続きを進めましょう。

抵当権抹消を放置するリスク

抵当権抹消の手続きを先送りにすると、以下のような予期せぬトラブルに発展する可能性があります。

  • 不動産売却時に手続きが滞る
  • 相続時に相続人間のトラブルを引き起こす
  • 第三者から法的な問題が発生する

不動産売却時に手続きが滞る

抵当権が残ったままだと、不動産売却の大きな障害となります。

買主は完全な所有権を得られない状態では購入をためらってしまいます。

また、買主が住宅ローンを組む際、金融機関から融資を断られる可能性もあります。先順位の抵当権が存在すると、金融機関の担保権が後順位になってしまうためです。

売買契約の締結から決済までの期間が大幅に延びたり、最悪の場合は売却自体が不可能になることもあります。

相続時に相続人間のトラブルを引き起こす

相続発生時に抵当権が残っていると、相続人全員の合意を得る必要があります。

抵当権抹消に必要な書類を紛失すると、金融機関での再発行手続きや相続人全員の署名・押印が必要になるなど、手続きがかなり複雑になります。

相続人の中に連絡が取れなかったり、協力を得られず手続きが長引くこともあります。抵当権抹消の費用負担をめぐって相続人間で意見が分かれ、新たなトラブルになるケースも珍しくありません。

第三者から法的な問題が発生する

抵当権が設定されている金融機関が合併や解散した場合、抹消手続きに想定以上の時間と労力がかかります。

抵当権が残っていることで、不動産の担保価値が下がり、場合によっては新たな融資を受けられません。

登記簿上の記載と実態が異なる状態が続くことで、取引の安全性が損なわれ、第三者との間で予期せぬトラブルが発生するリスクも考えられます。

これらの問題を未然に防ぐためにも、住宅ローン完済後は速やかに抵当権抹消の手続きを行いましょう。

抵当権抹消登記の費用に関して把握しておくべきこと

登記費用の見積もりや準備を行う際には、以下の点に注意しましょう。

  • 法定費用以外の費用がある
  • 書類不備で追加費用が発生する
  • 費用を事前に確認する方法がある

法定費用以外の費用がある

登録免許税や証明書取得費用といった法定費用の他にも必要となる費用があります。

金融機関とのやり取りに使う郵送料(書留で400円程度)や、自分で手続きを行う場合の法務局への交通費なども考慮に入れる必要があります。

また、複数の金融機関から借り入れがある場合は、それぞれの抵当権について手続きが必要となり、さらなる費用がかかります。

書類不備で追加費用が発生する

書類の不備や記載ミスがあると、再申請のための費用が別途必要になります。

住所変更や相続が絡むケースでは、戸籍謄本や住民票などの追加書類が必要となり、取得費用がかさむ可能性があります。

再発行には追加の費用と時間がかかるので、有効期限のある書類は期限切れに注意しましょう。

費用を事前に確認する方法がある

具体的な費用は、法務局のWebサイトで基本料金を確認できるほか、司法書士事務所に事前相談をすることで、おおよその総額を把握できます。

特に、住所変更や相続などの追加手続きが必要な場合は、司法書士に相談して詳細な見積もりを取ることをおすすめします。見積もりの際は、後々のトラブルを防ぐために実費や追加手数料の有無についても確認しておきましょう。

所有不動産でお悩みの方は「ワケガイ」にご相談ください

訳あり物件・不動産の買取・売却のワケガイ
当社(株式会社ネクスウィル)は、抵当権が設定された訳あり物件の買取に特化したサービス「ワケガイ」を提供しています。

ワケガイでは、抵当権が設定されたままの物件も買取可能です。住宅ローンの残債がある場合でも、一括返済を含めた売却のプランをご提案します。

また、相続で抵当権の問題を抱えた物件や、金融機関の統廃合で抹消手続きが複雑化した物件など、通常の不動産取引では対応が難しいケースにも、豊富な実績と専門知識で解決へと導きます。

まずは無料相談で、ご状況とご要望をお聞かせください。最適な解決方法をご提案させていただきます。

抵当権抹消手続きの費用についてよくある質問

抵当権抹消手続きの費用についてよくある質問は、以下のとおりです。

  • 抵当権抹消とは何?
  • 抵当権抹消を自分でやるといくら費用がかかる?
  • 抵当権抹消を司法書士に頼むといくらかかる?
  • 住宅ローン完済や抵当権抹消は誰がする?
  • 抵当権抹消は自分でできる?
  • 抵当権抹消の費用は誰が払うの?

それでは、それぞれの質問とその回答を紹介します。

抵当権抹消とは何?

抵当権抹消とは、住宅ローンなどの完済によって不要になった抵当権の登記を、法務局の登記簿から抹消する手続きです。完済しても自動的には消えず、登記簿上に残ったままになります。放置すると将来の売却や借り換え、相続の際に手続きが煩雑になったり支障が出たりすることがあるため、完済後は速やかに抹消登記を申請するのが一般的です。手続きは所有者自身で行うことも、司法書士に依頼することもできます。

抵当権抹消を自分でやるといくら費用がかかる?

抵当権抹消登記を自分で申請する場合、司法書士報酬はかからず、法務局に納める登録免許税や必要書類の取得費用などの実費のみで済みます。登録免許税は不動産の個数に応じて計算され、一戸建てなら土地と建物の2個分、マンションなら建物と敷地権の2個分が目安とされています。これに登記事項証明書の取得費用などを合わせても、自分で行えば数千円程度に収まることが多いとされます。ただし、平日に法務局へ出向く時間が必要なうえ、書類に不備があると再申請の手間がかかる点には注意が必要です。

抵当権抹消を司法書士に頼むといくらかかる?

司法書士に抵当権抹消登記を依頼する場合、登録免許税などの実費に加えて司法書士報酬が発生します。報酬額は事務所や地域、不動産の個数によって幅がありますが、一般的には1万円台前半から2万円台半ば程度が目安とされることが多いようです。自分で手続きするより費用はかかりますが、書類作成や法務局への申請を任せられるため、平日に時間を取りにくい方や手続きに不安がある方には安心できる選択肢といえます。事前に複数の事務所から見積もりを取って比較することをおすすめします。

住宅ローン完済や抵当権抹消は誰がする?

住宅ローンを完済しても、抵当権抹消登記は金融機関や法務局が自動的に行ってくれるわけではなく、原則として不動産の所有者自身が申請する必要があります。完済すると金融機関から登記に必要な書類一式が送られてくるため、それを使って自分で法務局に申請するか、司法書士に依頼して代行してもらいます。書類の中には有効期限が定められているものもあり、期限を過ぎると再発行の手続きが必要になる場合があるため、受け取ったら早めに手続きを進めることが大切です。

抵当権抹消は自分でできる?

抵当権抹消登記は、必要書類がそろっていれば所有者自身で申請することも可能な手続きです。法務局の窓口やホームページで案内されている申請書の様式を使い、金融機関から受け取った書類とあわせて提出します。不動産の名義や住所に変更がない標準的なケースであれば、比較的取り組みやすいとされています。ただし、記載内容に誤りがあると法務局から補正を求められることもあるため、平日に時間を取りにくい方や手続きに不安がある方は司法書士へ相談するのも一つの方法です。

抵当権抹消の費用は誰が払うの?

抵当権抹消登記にかかる費用について、法律上の負担者が明確に定められているわけではありませんが、不動産の所有者、つまり住宅ローンを完済した本人が負担するのが一般的です。登録免許税や司法書士報酬は、いずれも登記名義人側の負担として扱われることが多く、住宅ローンを貸していた金融機関が費用を負担するケースは基本的にありません。夫婦などで共有名義になっている場合は、持分に応じて負担を按分するなど、事前に話し合っておくとスムーズに進められます。

まとめ

抵当権抹消登記は、不動産取引の重要な手続きの一つです。

手続きを放置すると、不動産売却の妨げになるだけでなく、相続時のトラブルや新規融資を受ける際の支障となる可能性もあります。

費用面では、基本の登録免許税に加え、証明書取得費用や司法書士への依頼費用など、ケースによって異なる費用が発生することも理解しておく必要があります。

住宅ローンを完済したら、まずは必要書類を確認し、期限切れに注意しながら速やかに抵当権抹消の手続きを進めましょう

運営団体

株式会社ネクスウィル

2019年1月29日設立。訳あり不動産の買取を行う不動産会社。相続やペアローンによる共有持分、空き家、再建築不可物件、借地、底地など、権利関係が複雑な不動産を買い取り、法的知識や専門知識を以って、再度市場に流通させている。

訳あり不動産の買取サービス「ワケガイ」、空き家、訳あり不動産CtoCプラットフォーム「空き家のURI・KAI」を展開。

経済界(2022年)、日刊ゲンダイ(2022年)、TBSラジオ「BOOST!」(2023年)、夕刊フジ(2023年)などで訳あり不動産について解説している。2024年度ベストベンチャー100選出。

これまでの買取の経験をもとに、訳あり不動産の解説をする著書『拝啓 売りたいのに家が売れません』(代表取締役 丸岡・著)を2024年5月2日に出版。

この記事の監修者

監修者プロフィール写真

川村 有毅 (司法書士)

私が司法書士になる前は、接客サービス・営業等、お客様と直に接する仕事に長く携わってきました。
そこから、お客様とのコミュニケーションを事務的にせず、お話をしっかりと拝聴し、問題を共有することの大切さを学びました。
お客様と接する機会をもっと重要視し、人と人とのつながりを大切にします。
お客様に人の手のぬくもりが感じられる「あたたかな安心」を提供いたします。

この記事をシェアする


【訳あり物件・不動産の処分・買取】について今すぐご相談できます。