こんにちは。ワケガイ編集部です。
相続や住み替えをきっかけに空き家を売却しようとすると、「家の中をすべて片付けてからでないと売れないのではないか」「残置物があると買い手がつかないのではないか」と迷う方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし、空き家は必ずしも片付けを終えた状態でなければ売却できないわけではなく、名義や契約条件が整っていれば、残置物がある状態でも売却は成立します。
一方で、片付けの進め方を誤ると、売却条件が不利になったり、想定外の費用が発生しかねません。空き家売却では、「法的に可能か」と「実務上どう判断されるか」を切り分けて考える必要があります。
そこで本記事では、そんな空き家売却における片付けの考え方、判断の分かれ目、費用の目安、売却までの進め方について解説します。
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目次
空き家の残置物を片付けていなくても売却自体は可能!
空き家を売ろうと考えたとき、「家の中をすべて片付けなければ売れないのではないか」と不安に感じる方は少なくないでしょう。
確かに、室内が整理されている方が売却活動は進めやすくなりますが、法律上は必ずしもそうではありません。残置物がある状態でも売却が成立するケースは現実に存在します。この点を正しく理解しておくと、片付けに踏み切るかどうかの判断がしやすくなります。
法的には名義変更していれば売却可能
空き家に家具や家財が残っていても、所有権の名義が現在の所有者に移っていれば、売却そのものは可能です。不動産の売買で問われるのは、建物や土地の所有権を買主へ移転できるかどうかであり、室内の片付け状況は法律上の必須条件ではありません。
相続した空き家であれば、相続登記が済んでいるかどうかが判断の分かれ目になります。
一方で、実務の場面では話が少し変わります。残置物が多い状態では、内見時に建物の傷み具合や広さが把握しにくくなり、買主の検討が進みにくくなることがあります。売却できるかどうかと、売れやすいかどうかは別の話だと考えると分かりやすいでしょう。
片付けは法的な義務ではありませんが、売却活動を円滑に進めるための選択肢の一つとして位置づけられています。
残置物をそのまま買主に譲渡できるケースもある
残置物を撤去せず、「現状のまま引き渡す」条件で売却する方法もあります。特に、空き家を再利用せず解体する前提の買主や、残置物の処分も含めて対応する買取業者の場合、家財が残った状態でも取引が成立することがあります。
この場合、売主は片付けの手間や費用をかけずに売却を進められる点が特徴です。
ただし、この方法には注意が必要です。残置物を誰が処分するのか、処分費用はどちらが負担するのかを曖昧にしたまま契約すると、引き渡し後にトラブルになることがあります。契約書の中で、残置物の扱いを明確にし、買主が引き取る範囲を具体的に定めておきましょう。
現状渡しは便利な手段ですが、条件整理を怠ると後悔につながりやすい方法でもあります。
それでも空き家を売却するなら片付けておいた方がいい理由
残置物があっても売却自体は可能ですが、実際の売却活動を考えると、あらかじめ片付けておいた方が有利に働く場面は少なくありません。
主な理由としては、以下のものが挙げられます。
- 理由①:内見で建物の状態が把握されやすくなり、評価が安定するから
- 理由②:売却スピードが変わる可能性があるから
- 理由③:撤去費用をめぐる交渉を避けやすくなるため
それぞれ詳しく解説します。
理由①:内見で建物の状態が把握されやすくなり、評価が安定するから
空き家の売却では、買主が実際に建物を見る内見が重要な判断材料になります。室内に家財や生活用品が多く残っていると「床や壁の傷み」「雨漏りの跡」「建物の傾き」といった状態が確認しづらくなります。
その結果、買主は「見えない部分に問題があるのではないか」と慎重になり、評価を低めに見積もる傾向が出てきます。
一方、最低限でも片付けられていれば、建物そのものの状態が伝わりやすくなります。築年数が古い空き家であっても、傷みの範囲や修繕の要否が把握できれば、買主は冷静に判断しやすくなります。評価が大きくぶれにくくなる点は、売却条件をまとめるうえで無視できない要素です。
関連記事:なぜ空き家を売らないのか?所有者が放置する理由、売却のための必要ステップとは
理由②:売却スピードが変わる可能性があるから
空き家の売却では、成約までにかかる時間が所有者の負担に直結します。売れるまでの間も、固定資産税や管理の手間は発生し続けます。残置物が多い状態では内見を敬遠されることがあり、問い合わせ自体が減るケースも見られます。
(参考:総務省「固定資産税」)
片付けられた空き家は、購入後の生活や活用イメージがしやすくなります。その結果、内見につながりやすくなり、検討が進むスピードも変わります。
必ず早く売れると断言できるわけではありませんが、売却活動が停滞しにくくなる点は、時間的な負担を軽減する要因になります。
理由③:撤去費用をめぐる交渉を避けやすくなるため
残置物がある状態で売却する場合、買主から撤去費用の負担を求められることがあります。売却価格から処分費用相当額の値引きを求められたり、条件調整に時間がかかったりすることも珍しくありません。こうした交渉は、想定以上に精神的な負担になるものです。
事前に片付けを済ませておけば、残置物に関する条件調整が不要になり、話がシンプルになります。
価格交渉も建物や立地そのものに集中しやすくなり、不要なやり取りを避けられます。結果として、売却条件をまとめやすくなる点は、片付けの大きな利点と言えるでしょう。
空き家の残置物を片付ける方法とその費用
空き家の残置物をどう片付けるかは、売却の進め方や費用負担に直結します。方法は大きく分けて「自分で片付ける」「業者に依頼する」の二つですが、どちらが適しているかは、物量や立地、かけられる時間によって変わります。
ここからは代表的な方法ごとに、考え方と費用感を整理します。
自力で片付ける
時間に余裕があり、残置物の量が比較的少ない場合は、自力での片付けも選択肢になります。自治体の粗大ごみ回収や可燃・不燃ごみの分別を利用すれば、費用は抑えやすくなります。
また、まだ使える家具や家電があれば、リサイクルショップやフリマアプリで売却できるケースもあります。
ただし、自力で進める場合は想像以上に手間がかかります。長年使われていない空き家では、家財の量が多いだけでなく、埃やカビが広がっていることもあります。搬出作業を一人で行うのが難しい場面も少なくありません。
費用は抑えられる一方で、体力的・時間的な負担が大きくなりやすい点は理解しておく必要があります。
不用品回収業者への依頼
自力での片付けが難しい場合や、短期間で整理したい場合は、不用品回収業者への依頼が現実的です。業者に任せれば、分別や運び出しまでまとめて対応してもらえるため、作業の負担は大きく軽減されます。売却スケジュールが決まっている場合には、選ばれやすい方法です。
不用品回収業者に依頼した場合の費用相場
費用は、物量や作業人数、トラックの台数によって変わりますが、一般的な戸建て空き家では数十万円前後になることが多々あります。軽トラック1台分で数万円、2トントラックになると10万円を超えるケースもあります。
見積もり時には、追加料金が発生する条件や、回収対象外の品目がないかを確認しておくと安心です。
遺品整理業者への依頼
空き家が親の実家などで、遺品が多く残っている場合は、遺品整理業者への依頼が検討されます。単なる不用品回収とは異なり、形見分けや貴重品の探索に配慮しながら作業が進められる点が特徴です。気持ちの整理をしながら片付けを進めたい場合に向いています。
遺品整理業者に依頼した場合の費用相場
遺品整理の費用は、不用品回収より高くなる傾向があります。戸建ての場合、30万円から50万円程度が一つの目安です。
部屋数が多い、物量が多い、特殊清掃が必要といった条件が重なると、さらに費用が上がることもあります。費用だけでなく、作業内容や対応範囲を見比べて判断することが大切です。
残置物の片付けから空き家売却までの必要手順
空き家の片付けと売却は、「すべて終えてから次に進む」という直線的な流れではなく、実際には同時並行で進むことが多い作業です。最初から完璧を目指すよりも、動きながら判断材料を集めていく方が、結果として無駄が出にくくなります。
具体的な手順としては、以下のとおり。
- 手順①:自分で片付けながら売れる物・処分する物を仕分ける
- 手順②:並行して不用品回収・買取・売却業者に相談する
- 手順③:残す残置物と撤去する範囲を決める
- 手順④:必要に応じて片付け・撤去を業者に依頼する
- 手順⑤:売却方法(仲介・買取・現状渡し)を確定する
- 手順⑥:条件を整理したうえで売却を進める
それぞれ個別に解説します。
手順①:自分で片付けながら売れる物・処分する物を仕分ける
最初の段階では、いきなり業者に依頼するのではなく、自分の手で軽く片付けを始めるのが現実的です。目的は「すべてを片付けること」ではなく、残置物の中身を把握することにあります。
家具や家電、骨董品、書類などを確認し、売れる可能性がある物と、明らかに処分対象となる物を大まかに分けていきます。
この作業を通じて、残置物の量や状態が具体的に見えてきます。思っていたより物が少ない、あるいは価値がありそうな物が残っていると分かれば、後の判断も変わってきます。売却前に慌てて処分してしまい、後から後悔するケースもあります。最初は時間をかけすぎず、全体像をつかむことを意識すると進めやすくなります。
手順②:並行して不用品回収・買取・売却業者に相談する
仕分けを進めながら、同時に業者への相談も始めます。すべて片付けてから相談する必要はありません。むしろ、残置物がある状態だからこそ、現実的な見積もりや売却条件の話ができます。
不用品回収業者には撤去費用の目安を、買取業者には現状のまま売却できるかどうかを、売却仲介業者には市場での評価を確認します。
この段階で複数の選択肢を知っておくと、「どこまで自分で片付けるか」「業者に任せる範囲はどこか」といった判断がしやすくなります。後から条件を知って慌てるよりも、早めに情報を集めておく方が、結果的に無駄な出費や手戻りを減らせます。
手順③:残す残置物と撤去する範囲を決める
業者からの見積もりや売却条件を踏まえた上で、最終的に残置物の扱いを整理します。「すべて撤去するのか」「一部を現状のまま引き渡すのか」「売却前に最低限だけ片付けるのか」を決めていきます。この判断は、売却方法やスケジュールによって最適解が変わります。
重要なのは、「なんとなく全部片付ける」「面倒だからすべて残す」といった極端な判断を避けることです。撤去費用と売却条件を照らし合わせながら、手間と金額のバランスを取っていくと、納得感のある形に落ち着きやすくなります。
この段階まで進めば、売却に向けた具体的な準備が整った状態と言えるでしょう。
手順④:必要に応じて片付け・撤去を業者に依頼する
手順③までで残置物の扱いが整理できたら、必要な範囲についてのみ業者へ片付けや撤去を依頼します。すべてを任せるのではなく、「自分では難しい部分だけ」「売却に支障が出そうな部分だけ」といった切り分けを行うと、費用を抑えやすくなります。
家具の運び出しや大量の不用品処分など、負担が大きい作業は無理をせず外注した方が現実的です。
この段階では、作業内容と費用の関係を確認しながら進めることが大切です。見積もりと実際の作業範囲がずれていないか、撤去後の状態が売却に適しているかを意識すると、後戻りが少なくなります。
売却を前提とした片付けである点を業者に共有しておくと、作業の進め方も噛み合いやすくなります。
手順⑤:売却方法(仲介・買取・現状渡し)を確定する
片付けや撤去の目処が立った段階で、最終的な売却方法を決めます。一般的な仲介で市場に出すのか、買取業者へ売却するのか、あるいは残置物を残したまま現状渡しとするのかによって、条件やスケジュールは大きく変わります。
これまで集めた情報や見積もりを踏まえ、自分にとって無理のない選択肢を選ぶことが求められます。
売却価格だけで判断すると、後から手間や追加費用が発生する場合があります。売却までにかかる期間や、引き渡しまでの負担も含めて考えると、納得できる判断につながります。この段階で方向性を固めておくことで、以降の手続きがスムーズになります。
手順⑥:条件を整理したうえで売却を進める
売却方法が決まったら、条件を整理したうえで実際の売却活動に入ります。仲介の場合は販売条件や引き渡し時期を確認し、買取や現状渡しの場合は契約内容に残置物の扱いが反映されているかを確認します。
特に、どこまでが売主の負担で、どこからが買主の負担になるのかを明確にしておく必要があります。
条件が整理されていれば、契約後に認識の違いが生じにくくなります。売却は片付けと同じく、一つひとつ積み重ねて進める作業です。最後まで流れを崩さず進めることで、余計なトラブルを避けながら売却を完了させやすくなります。
空き家売却で残置物を片付ける際に大切なポイント
空き家の片付けは、単に家の中をきれいにする作業ではありません。誰の判断で、どこまで手を入れ、どの条件で売却するのかによって、その後のトラブルや負担の大きさが変わってきます。
特に相続や共有が関係する空き家では、片付けの進め方を誤ると、売却以前の段階で問題が生じることもあります。ここからは、売却を見据えた片付けを行う際に押さえておきたいポイントを整理します。
- ポイント①:有持分の場合は単独判断で片付けを進めない
- ポイント②:価値がある物を先に見極めて処分しない
- ポイント③:契約条件と残置物の扱いを明確にする
それぞれ個別にみていきましょう。
ポイント①:有持分の場合は単独判断で片付けを進めない
空き家が共有名義の場合、残置物の片付けを一人の判断で進めることには注意が必要です。家具や家電、生活用品の多くは、法的には建物とは別の「動産」にあたります。
共有者の同意を得ずに処分してしまうと、「勝手に財産を処分された」と受け取られる可能性があります。
特に相続で取得した空き家では、誰がどの物に思い入れを持っているか分かりにくいことがあります。売却を急ぐあまり片付けを先行させると、後から共有者との関係がこじれ、売却自体が止まってしまうケースも見られます。
まずは共有者全員で、片付けの進め方や残置物の扱いについて方向性をすり合わせておくことが、結果的に近道になります。
ポイント②:価値がある物を先に見極めて処分しない
空き家の片付けでは、「とにかく早く減らしたい」という気持ちから、まとめて処分してしまいがちです。しかし、残置物の中には、思わぬ価値を持つ物が含まれていることがあります。
古い家具や食器、掛け軸、書画、カメラ、工具などは、見た目では判断しにくいことも少なくありません。
一度処分してしまうと、取り戻すことはできません。売却前の段階では、処分を急がず、売却や買取の可能性がある物を切り分ける時間を確保することが大切です。
すべてを高く売る必要はありませんが、「知らずに捨ててしまった」という後悔を避けるだけでも、片付けの進め方は変わってきます。
ポイント③:契約条件と残置物の扱いを明確にする
残置物をどう扱うかは、売却条件の一部として整理しておく必要があります。現状渡しで売却するのか、引き渡しまでにすべて撤去するのかによって、契約内容は大きく変わります。
この点を曖昧にしたまま話を進めると、引き渡し後に「聞いていなかった」「想定と違う」といった認識のずれが生じやすくなります。
売却契約では、残置物の範囲や処分責任を文章で明示しておくことが求められます。。誰が、いつまでに、どこまで対応するのかを整理しておくことで、余計な交渉やトラブルを避けやすくなります。
片付けと売却は切り離された作業ではなく、条件整理まで含めて一連の流れとして考えることが大切です。
片付け費用以外に空き家の売却で発生する費用
空き家を売却する際は、残置物の片付け費用以外にも、いくつかの支出が発生します。売却後に「想定していなかった出費があった」とならないよう、あらかじめ全体像を把握しておくことが大切です。
売却時に生じやすい代表的な費用としては、次のものが挙げられます。
- 仲介手数料
- 譲渡所得税・住民税
- 相続登記・名義変更にかかる費用
- 測量費用・境界確定費用(必要な場合)
- 解体費用や修繕費用が発生するケース
次項より、詳しく解説します。
仲介手数料
不動産会社に仲介を依頼して空き家を売却する場合、売買契約が成立した時点で仲介手数料が発生します。これは「売れたことへの成功報酬」として支払うもので、売却活動を依頼した段階では原則として費用はかかりません。
仲介手数料の金額には上限が定められており、売却価格に応じて計算されます。空き家の売却では、数十万円から、条件によっては百万円近くになることもあります。
片付け費用や解体費用と同時期に支払いが発生するため、資金計画を立てる際には見落としやすい項目です。
なお、買取業者に直接売却する場合は仲介手数料が不要になるケースが多く、売却方法によって発生の有無が変わります。どの方法を選ぶかによって、最終的な手取り額が変わる点は意識しておくとよいでしょう。
譲渡所得税・住民税
空き家を売却して利益が出た場合、その利益に対して譲渡所得税と住民税が課されます。ここでいう利益とは、単純に「売却価格」ではなく、購入時の価格や売却にかかった費用を差し引いた金額を指します。相続した空き家であっても、この考え方は変わりません。
一方で、相続した空き家については、一定の条件を満たすことで税負担が軽減される特例が用意されています。
(参考:総務省「不動産取得税」)
ただし、誰でも自動的に適用されるわけではなく、期限や要件を外れると対象外になります。売却後に税金の話を知り、「想定より手元に残らなかった」と感じる方も少なくありません。
売却価格が決まった段階で、税金がかかる可能性があることを前提に、手取り額を見積もっておくことが大切です。税金は売却後にまとめて支払うことになるため、資金繰りの面でも注意が必要です。
相続登記・名義変更にかかる費用
相続した空き家を売却するには、名義が現在の所有者に変更されている必要があります。被相続人の名義のままでは売却手続きを進めることができず、まず相続登記を行わなければなりません。
相続登記には、登録免許税がかかるほか、司法書士に手続きを依頼する場合は報酬も発生します。相続人が複数いる場合や、相続関係が複雑な場合には、書類の準備にも時間と費用がかかることがあります。
(参考:国税庁「登録免許税のあらまし」)
この費用は、空き家を売るかどうかに関わらず、名義を整えるために必要になるものです。売却を決めてから慌てて対応すると、スケジュールがずれ込む原因にもなります。片付けや売却活動と並行して、名義の状況を早めに確認しておくと、全体の流れが滞りにくくなります。
測量費用・境界確定費用(必要な場合)
空き家を売却する際、必ず測量が必要になるわけではありません。ただし、土地の境界が不明確な場合や、買主から要望が出た場合には、測量や境界確定が求められることがあります。
特に、古い住宅地や相続を繰り返してきた土地では、境界標が見当たらない、隣地との境が曖昧なまま使われてきた、といったケースが少なくありません。
境界がはっきりしない土地は、買主にとって将来のトラブル要因になりやすいため、売買契約の前提条件として境界の明示を求められることがあります。その場合、土地家屋調査士に依頼して測量を行い、隣地所有者と立ち会いのうえで境界を確定させます。
すでに境界が確定している土地であれば不要な費用ですが、売却の話が進んだ段階で初めて必要性が判明することもあります。売却を検討し始めた段階で、過去の測量図や境界標の有無を確認しておくと、後から慌てずに済みます。
解体費用や修繕費用が発生するケース
空き家の状態によっては、建物をそのまま売却するよりも、解体や修繕を行った方が話が進みやすい場合があります。具体的には、老朽化が進み、安全面に不安がある建物や、長期間放置されて傷みが目立つ空き家では、建物付きでの売却が難航することも珍しくありません。
このような場合、更地にして土地として売却する選択肢が出てきます。その際に発生するのが解体費用です。
木造か鉄骨かといった構造や、建物の規模によって金額は変わりますが、決して小さな出費ではありません。一方で、解体することで購入希望者の幅が広がり、売却が進みやすくなるケースもあります。
また、仲介で建物付きのまま売却する場合でも、雨漏りや設備の故障など、最低限の修繕を求められることも考えられます。すべてを直す必要はありませんが、買主が敬遠しやすい点だけを補修することで、条件交渉がスムーズになる場合もあります。
解体や修繕は必須ではありませんが、売却条件とのバランスを見ながら検討する費用として位置づけておくと判断しやすくなります。
関連記事:空き家の解体費用はどのくらい?抑えるための方法や高くなるケースを解説
売却が難しい空き家の対策方法
空き家の中には、一般的な仲介では買い手が見つかりにくいものがあります。老朽化が著しい、権利関係が複雑、立地条件が厳しいといった事情が重なると、売却活動そのものが長期化しがちです。
そのような場合でも、選択肢が完全になくなるわけではありません。状況に応じて検討されやすい代表的な対策として、以下のものが存在します。
- 訳あり物件の買取専門業者に買い取ってもらう
- 相続放棄する
- 自治体に寄付する
- 空き家バンクに登録する
それぞれ個別に解説します。
訳あり物件の買取専門業者に買い取ってもらう
一般の買主が敬遠しやすい空き家でも、訳あり物件を専門に扱う買取業者であれば対応できるケースが多くあります。
こうした業者は、老朽化した建物や残置物が多い状態、再建築が難しい土地などを前提に価格を算定し、現状のまま買い取ることを想定しています。そのため、片付けや修繕を行わずに売却できる点が特徴です。
価格面では、仲介での売却に比べて低くなる傾向がありますが、売却までのスピードや手間の少なさを重視する場合には現実的な選択肢になります。残置物の撤去や解体を業者側で引き受ける条件が含まれることもあり、売主が抱える負担を整理しやすくなります。
売却が長引くことで管理費や税金がかさむ状況では、早期に手放す判断が結果的に負担軽減につながる場合もあります。
相続放棄する
相続した空き家が売却できず、今後も利用や管理の見通しが立たない場合には、相続放棄という選択肢もあります。相続放棄を行うと、空き家を含むすべての相続財産を引き継がないことになります。その結果、固定資産税の支払いや管理責任からも離れることになります。
ただし、相続放棄には期限があり、原則として相続開始を知った日から一定期間内に手続きを行う必要があります。
(参考:裁判所「相続の放棄の申述」)
また、空き家だけを放棄することはできず、預貯金など他の財産も含めて放棄する点には注意が必要です。すでに空き家を使用したり、処分に近い行為を行っている場合は、放棄が認められない可能性もあります。
売却が難しい空き家ほど、判断を先送りにすると負担が積み重なりやすくなります。買取や相続放棄といった選択肢は、状況によって現実的な出口になり得るため、早めに検討対象に入れておくと判断がしやすくなります。
自治体に寄付する
売却が難しい空き家については、自治体への寄付を検討する人もいます。ただし、寄付と聞くと受け入れてもらえそうに感じますが、実際には自治体が無条件で引き取るケースは多くありません。
自治体側は、受け取った後の管理費用や解体費用、利活用の見込みを慎重に判断します。そのため、老朽化が激しい建物や、活用予定の立たない立地の空き家は、寄付を断られることもあります。
一方で、公共施設としての活用が見込まれる土地や、地域の課題解決に使える可能性がある物件であれば、検討の対象になりかねません。
ただし、寄付が成立する場合でも、登記費用や測量費用、場合によっては解体費用を所有者側が負担することもあります。「無料で引き取ってもらえる手段」と考えるのではなく、自治体の受け入れ条件を確認した上で、現実的な選択肢かどうかを見極めましょう。
空き家バンクに登録する
空き家バンクは、自治体や関連団体が運営する仕組みで、空き家を探している人と所有者をつなぐ役割を担っています。
一般的な不動産市場では注目されにくい物件でも、地域への移住希望者や、用途を限定して探している人の目に留まる可能性があります。売却だけでなく、賃貸や無償譲渡を含めた募集ができる点も特徴です。
ただし、空き家バンクに登録したからといって、すぐに買い手が見つかるわけではありません。立地や建物の状態によっては、問い合わせがほとんど入らないこともあります。
また、登録後の管理や内見対応は原則として所有者が行わなければなりません。時間をかけて活用先を探したい場合には選択肢になりますが、早期に手放したい場合には別の方法と併せて検討する方が現実的です。
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FAQ:空き家売却時の片付けに関するよくある質問
空き家の売却を検討する中で、片付けに関する疑問は多くの方が直面します。費用の目安が分からないまま作業を進めてよいのか、どこまで片付ける必要があるのかといった点は、判断を迷わせやすい部分です。ここでは、実際に寄せられることの多い質問を取り上げ、空き家売却と片付けを考えるうえでの目安を整理します。
空き家の片付け費用はいくらくらいかかりますか?
空き家の片付け費用は、物量と作業内容によって大きく変わります。家財が少なく、自力や自治体の粗大ごみ回収を利用できる場合は、数万円程度で収まることもあります。一方、長年放置されていた空き家で家具や生活用品が多い場合は、不用品回収業者を利用して数十万円かかるケースも存在します。費用の幅が大きいため、まずは物量を把握することが目安を立てる第一歩になります。
家を売るとき、どこまで片付けておく必要がありますか?
法律上、必ずしもすべて片付ける必要はありません。残置物があっても売却は可能です。ただし、仲介での売却を考えている場合は、内見で建物の状態が分かる程度には整理されている方が、買主の検討が進みやすくなります。
買取や現状渡しを選ぶ場合は、片付けの範囲を最小限に抑える判断も現実的です。売却方法に応じて考えることがポイントです。
実家を売却する場合、片付けを業者に依頼すると費用はいくらですか?
実家の片付けを業者に依頼する場合、一般的な不用品回収であれば、戸建てで20万円から40万円程度が一つの目安です。部屋数が多い、物量が多いといった条件が重なると、さらに高くなることもあります。見積もりは業者ごとに差が出やすいため、作業範囲と金額の内訳を確認しながら検討すると安心です。
実家じまいの片付け費用はどの程度を見込めばよいですか?
実家じまいでは、不用品回収に加えて遺品整理が必要になることが多く、費用は30万円から50万円程度を見込むケースが一般的です。形見分けや貴重品の探索を含む場合は、通常の回収より費用が上がる傾向があります。すべてを一度に進めるのではなく、売却や活用の方針と合わせて、どこまで業者に任せるかを整理して考えると負担を抑えやすくなります。
まとめ
空き家の売却では、「先にすべて片付ける」か「何もせずに売る」かの二択で考える必要はありません。まずは残置物の量や内容を把握し、仲介・買取・現状渡しのいずれが現実的かを見極めたうえで、片付ける範囲を決めていくと判断しやすくなります。
自分で対応できる部分と、業者に任せた方がよい部分を切り分けることで、費用と手間のバランスが取りやすくなります。また、残置物を残す場合は、その扱いを契約条件として明確にしておくことで、引き渡し後の認識違いを避けられます。
空き家売却は一度きりの判断になることが多いため、片付けと売却を同時に考え、状況に応じて段階的に進めましょう。












