空き家

空き家が増える原因って?理由や問題点について詳しく解説

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こんにちは。ワケガイ編集部です。

相続した家をそのままにしている、遠方の実家を管理できていない。こうしたケースでは、建物の老朽化や固定資産税の負担、近隣トラブルなどの問題が発生します。

その際に深刻化するのが「空き家問題」です。空き家問題とは、使われていない住宅が長期に放置されることで、地域の安全や景観、資産価値に悪影響を及ぼす社会的課題を指します。

老朽化による倒壊リスクや犯罪発生、地価下落など、放置による弊害は年々拡大しています。

そこで本記事では、空き家問題の現状や増加の原因、社会的リスク、そして個人が取れる対策や補助制度についてわかりやすく解説します。

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目次

空き家問題とは?

かつては家族が暮らしていた住宅が、転居や相続をきっかけに使われなくなる。こうした「空き家」は、いま全国で急速に増えています。

総務省の「住宅・土地統計調査(令和5年)」によると、全国の空き家は約900万戸、住宅全体の13.8%に達し、過去最多を更新しました。これは、およそ7軒に1軒が空き家という計算になります。

(出典:総務省「令和5年住宅・土地統計調査 住宅数概数集計(速報集計)結果

空き家問題とは、こうした使われない住宅が長期間放置されることで、地域や所有者にさまざまな悪影響を及ぼす社会的課題のことを指します。

老朽化した建物が倒壊や火災を引き起こす危険があるほか、雑草の繁茂や害虫の発生、景観の悪化、不法侵入といったトラブルも増えています。

主な空き家問題具体的な影響
建物の老朽化倒壊・火災・漏水などの危険性
管理不全景観悪化・衛生問題・害虫発生
社会的影響治安低下・地価下落・地域の空洞化
経済的負担固定資産税や修繕費の継続的支出

また、空き家は単なる個人資産の問題にとどまらず、地域社会の安心や安全を脅かす構造的な課題にもなっています。人口減少と高齢化が進む中で、空き家の増加は止まらず、今後さらに深刻化する見通しです。

 

空き家が増え続ける6つの原因

空き家がここまで増えた背景には、単一の理由ではなく、社会構造や生活様式の変化が影響しています。ここからは、空き家が増え続ける主な6つの原因のうち、特に影響の大きい6つをみていきましょう。

  • 人口減少・少子高齢化と住宅需要減
  • 都市集中・過疎化と地域間の需要ギャップ
  • 相続・所有者交代での管理断絶
  • 解体コスト・税制負担と更地化抑制
  • 新築過剰供給・住宅ストック過多
  • ライフスタイル変化・住み替えニーズの変化 

それぞれ個別に解説します。

人口減少・少子高齢化と住宅需要減

日本の人口は2008年を境に減少へ転じ、世帯数も今後は減少局面に入ると予測されています。

一方で住宅の供給は止まらず、住む人よりも家が多い「住宅ストック過剰」の状態が続いています。前述のとおり、全国の空き家は約900万戸、住宅全体の13.8%に上り、過去最多を更新しています。

さらに高齢化の進行により、介護施設への入居や住み替えを契機に家が空くケースも増えています。こうした人口構造の変化は、「家が余る社会」を生み出す最大の要因といえるでしょう。

(出典:国土交通省「空き家政策の現状と課題及び検討の方向性」)

都市集中・過疎化と地域間の需要ギャップ

次に挙げられるのが、都市と地方の人口偏在です。地方では若年層が仕事や教育を求めて都市部へ移り住み、高齢化と過疎化が進行しています。

その結果、地方では空き家が増え、都市では住宅需要が集中する「地域間ギャップ」が拡大しているのが実情です。

特に公共交通の衰退や商業施設の閉鎖が進む地域では、生活の利便性が低下し、家を手放す人が増えています。しかし、需要が乏しい地域では買い手も借り手もつかず、「売れないまま残る空き家」が放置される構図が生まれています。

相続・所有者交代での管理断絶

国土交通省の調査によると、空き家の半数以上が相続によって発生しています。親から受け継いだ実家を使う予定がなく、そのまま放置されてしまうケースが典型的です。また、相続人が複数いると、名義の整理や処分の方針が決まらず、管理が滞りかねません。

こうした「管理断絶」は、建物の劣化を加速させるだけでなく、周囲の景観や安全にも影響します。さらに、名義が曖昧なまま年月が経つと、所有者の所在が分からなくなる「所有者不明土地問題」に発展する恐れもあります。

相続と空き家問題は切り離せない関係にあるといえます。

解体コスト・税制負担と更地化抑制

空き家を解体するには、建物の規模にもよりますが100万円から300万円程度の費用がかかるのが一般的です。加えて、土地を更地にすると「住宅用地の固定資産税軽減措置(最大6分の1)」が適用されなくなり、翌年度から税負担が大幅に増える仕組みになっています。

(参考:総務省「固定資産税」)

そのため、「壊すと税金が上がる」という逆転現象が起き、老朽化した家でも解体せず残しておくほうが得策と考える所有者も存在します。

国土交通省の調査でも、空き家を放置する理由として「解体費用が高い」「税金が上がる」が上位を占めています。経済的な負担構造が、結果として空き家を残す方向に働いているのです。

新築過剰供給・住宅ストック過多

日本では長らく「新築志向」が根強く、中古住宅よりも新築を好む傾向が続いてきました。その結果、住宅の供給が需要を上回る状態が続き、住み手のいない住宅が増えています。

国土交通省のデータによれば、総住宅数は世帯数を大きく上回っており、住宅ストックはすでに十分以上に蓄積されています。

にもかかわらず、毎年80万戸前後の新築住宅が建てられており、古い住宅が市場に戻る機会は限られたままです。中古住宅の流通が欧米に比べて遅れていることも、空き家の「増えて減らない」構造を後押ししています。

こうした供給偏重の体質は、今後の人口減少局面ではさらに問題化するでしょう。

ライフスタイル変化・住み替えニーズの変化

かつては「家を建てて一生住む」ことが一般的でしたが、近年は働き方や家族構成の変化により、住まい方そのものが多様化しています。転勤やリモートワークの普及、単身世帯の増加などにより、居住地を固定しない生活スタイルが広がっています。

その一方で、古い実家や空き家を維持する手間やコストを負担しきれず、放置されるケースが増えています。

また、核家族化や高齢化によって「家を継ぐ人」が減少し、使われない住宅が世代をまたいで残る傾向も見られます。住み替えやライフステージの変化が進むほど、空き家は増えやすくなる。これも現代ならではの構造的要因といえるでしょう。

 

空き家が増え続けることで発生する社会的なリスク

空き家は単に「使われていない建物」ではありません。適切な管理がされないまま放置されると、安全・景観・地域経済の三方向に悪影響を及ぼす社会的リスクを生み出します。火災や倒壊の危険、地域イメージの低下などは、所有者だけでなく周辺住民や行政にも波及する現実的な問題です。

その代表的なリスクとしては。次のものが挙げられます。

  • 防災・防犯上の危険が高まる
  • 老朽化による倒壊や火災の危険性が高まる
  • 景観が損なわれ、地域の印象が悪化する
  • 不法侵入やごみ投棄などのトラブルが増える
  • 地域住民の不安材料になる
  • 地価が下がっていき、周辺不動産にも影響を与える
  • 行政コストが増え、公共サービスへの負担が大きくなる 

次項より、個別にみていきましょう。

防災・防犯上の危険が高まる

管理が行き届かない空き家は、防災・防犯の両面で危険を増大させます。消防庁の火災統計では、放火および放火の疑いによる出火が総出火件数の約10%を占めており、空き家でも注意すべき原因の一つです。

(参考:総務省「令和3年版 消防白書

雑草や廃材が放置された状態では、可燃物が多く延焼のリスクも高まります。また、人の出入りがない建物は不審者が侵入しやすく、不法投棄や盗難、放火の発生率が高いことが報告されています。

とくに夜間や人通りの少ない地域では、周辺住民の不安が強まり、地域全体の治安悪化につながることもあります。防犯カメラやパトロールが増えるほど、行政コストも上昇するため、社会全体の負担となっています。

老朽化による倒壊や火災の危険性が高まる

住宅は築30年を過ぎると、外壁や屋根、防水部分の劣化が目立ち始めます。定期的な修繕が行われない空き家では、木材の腐食や雨漏りによる構造の弱体化が進み、強風や地震時に倒壊する危険があります

実際、自治体が「特定空家等」に指定する理由の多くが、建物の傾きや屋根材の落下といった構造上のリスクです。
(参考:国土交通省「管理不全空家等及び特定空家等に対する措置に関する適切な実施を図るために必要な指針(ガイドライン)」)

さらに、老朽化が進むと電気配線やガス管の劣化から自然発火・漏電火災が発生することもあります。このような被害は所有者だけでなく、隣家や通行人にも及ぶため、所有者責任が問われるケースもあります。

放置による老朽化は、もはや個人の問題ではなく、地域安全上の課題といえます。

景観が損なわれ、地域の印象が悪化する

雑草が伸び放題の庭、壊れた塀、色あせた外壁。これらが放置された空き家は、周囲の住宅街の雰囲気を一気に損ねます。特に観光地や住宅開発エリアでは、景観の悪化が地価下落や住民離れに直結するケースもあります。

こうした印象の悪化は、地域経済の停滞にもつながり、空き家の再利用をさらに難しくするという悪循環を生んでいます。

不法侵入やごみ投棄などのトラブルが増える

空き家は、人の出入りがないことから不法侵入やごみ投棄の標的になりやすい場所です。なかには、廃棄物や家電、家具などを持ち込んで放置する「不法ごみ置き場」と化すケースもあります。

特に住宅街の一角にある空き家では、悪臭や害虫の発生によって近隣トラブルに発展する事例もあります。また、放置住宅を無断で占拠する「空き家不法占有」も、都市部で報告が増えています。

これらのトラブルは、所有者だけでなく、近隣住民や自治体の対応コストを増やす結果となります。不法行為が起きやすい環境を作ること自体が、空き家の社会的リスクのひとつです。

地域住民の不安材料になる

空き家が点在する地域では、住民同士の見守りや交流が減少し、地域の結びつきが弱まります。特に、通学路や住宅街の中に管理されていない空き家があると、子どもや高齢者が安心して歩けない環境になってしまうでしょう。

こうした心理的な「不安」が続くと、人の往来が減り、地域行事や自治活動の参加率も下がります。結果として、「人が人を見守る文化」が失われ、孤立や治安悪化が連鎖的に進むことになります。

空き家の増加は、単なる物理的な問題ではなく、地域社会のつながりを蝕む社会現象でもあるのです。

地価が下がっていき、周辺不動産にも影響を与える

空き家の多い地域では、地価が下がりやすくなる傾向があります。景観の悪化や治安不安が評価に影響することがその理由で、売却を考える際にも、近隣に空き家が多いと買い手の印象が悪くなり、「売れにくい地域」として市場価値が低下します。

これがさらに空き家を増やすという悪循環を生み、地域経済全体の停滞へとつながります。つまり、空き家の放置は個人資産だけでなく、地域全体の資産価値にも影響を及ぼす問題なのです。

行政コストが増え、公共サービスへの負担が大きくなる

空き家問題は、最終的に行政の負担にも跳ね返ってきます。倒壊の危険がある建物を撤去するためには、「特定空家等」に指定したうえで行政代執行を行う必要がありますが、所有者不明のケースでは費用回収が難しく、実際に自治体が費用を負担せざるを得なかったケースもあります

空き家問題に関する報道

(出典:福井テレビ「行政が費用を“肩代わり” 所有者不明の空き家を勝山市が「略式代執行」 全国で過去最多、福井県内でも5年で8000戸増 “空き家問題”が深刻化

また、防災点検・苦情対応・防犯パトロールなどにも人的コストがかかり、他の公共サービスに影響が出ることもあります。空き家の放置は、自治体財政の圧迫要因となるだけでなく、福祉・教育など本来の行政サービスの質を下げる一因にもなります。

社会全体で見れば、空き家の増加は地域の持続性を損なう構造的リスクといえるでしょう。

 

所有者が空き家を放置してしまう主な理由

空き家を放置している人の多くは、「問題があるとわかっていても、どうにも動けない」状態にあります。放置の背景には、感情的な迷いだけでなく、費用負担・税制・相続トラブルといった現実的な要因が複雑に絡んでいます。

ここからは、空き家をそのままにしてしまう代表的な理由をみていきましょう。

  • 理由①:解体や修繕にかかる費用が高く踏み切れない
  • 理由②:固定資産税の軽減措置を失うことを避けたい
  • 理由③:相続人同士で意見がまとまらない
  • 理由④:遠方に住んでおり管理や手続きが難しい
  • 理由⑤:家への思い入れや心理的な抵抗がある
  • 理由⑥:売却や活用の具体的な方法を知らない
  • 理由⑦:再建築不可や立地条件など、物理的な制約がある

次項より、詳しく解説します。

理由①:解体や修繕にかかる費用が高く踏み切れない

建物を取り壊すには、構造や立地にもよりますが100万〜300万円前後の解体費用が必要です。

さらに、老朽化が進んだ建物ほど廃材処理やアスベスト除去などのコストが上乗せされる場合があります。修繕にしても、屋根や外壁の補修、シロアリ駆除などを行えば、維持だけで数十万円単位の出費が発生します。

このように、解体・修繕のどちらを選んでも負担が大きいため、「今は使わないから後で」と先送りする人が多いのです。また、建設業者への見積もり依頼や補助金申請など、手続きの煩雑さも判断を鈍らせる一因です。

結果として、費用面でのハードルが高いほど、放置期間は長くなる傾向があります。

関連記事:空き家の解体費用はどのくらい?抑えるための方法や高くなるケースを解説

理由②:固定資産税の軽減措置を失うことを避けたい

空き家を解体すると、固定資産税の軽減措置が外れるという税制上の仕組みも、放置の大きな理由です。住宅が建っている土地は「住宅用地特例」により、固定資産税が最大で6分の1まで軽減されています。

(参考:総務省「固定資産税」)

しかし、建物を取り壊して更地にするとその優遇がなくなり、翌年度から税額が数倍に跳ね上がるケースが一般的。そのため、「壊すと税金が上がるなら残しておこう」という選択が経済的に合理的に見えるのです。

この構造は国土交通省や自治体も課題視しており、特定空家等に指定された場合に軽減を除外する制度改正が進められています。それでも、多くの所有者にとっては、現行制度が「解体をためらう動機」として強く働いています。

理由③:相続人同士で意見がまとまらない

相続によって複数人が同じ家を共有する場合、処分方法をめぐって話し合いが難航することがあります。「思い出のある家を壊したくない」「売るなら高く売りたい」など、感情と金銭の両面で意見が食い違うのです。

こうした意見の不一致は、名義変更や売却、修繕などの判断を先送りさせ、結果的に空き家を放置する要因となります。

特に、共有名義のまま年月が経つと、連絡が取れない相続人が出てくるケースもあります。そうなると、法的な手続きも進まず、建物は老朽化していく一方です。つまり、相続人間の意見調整ができない状態こそが、空き家問題を長期化させる最大のボトルネックのひとつと言えるでしょう。

理由④:遠方に住んでおり管理や手続きが難しい

空き家の所有者の中には、すでに別の地域や都市に住んでいる人が存在しますが、距離があるほど、定期的な点検や草刈り、郵便物の確認などの管理が難しくなります。

また、相続登記や売却手続きなども現地での対応が必要な場面が多く、時間的・労力的な負担が増します。こうした「距離の壁」は心理的にも障害となり、結果的に“見に行けない=気にかけにくい”状態が続いてしまうのです。

関連記事:空き家管理は代行サービスに依頼した方がいい?おすすめの業者を5選にして紹介

理由⑤:家への思い入れや心理的な抵抗がある

前述したように、空き家が実家や長年住んだ家である場合、「壊す」あるいは「手放す」ことに強い抵抗を感じる人もいます。親が建てた家、家族が集まった場所としての記憶が残っているため、経済合理性だけでは割り切れない感情が判断を遅らせます。

特に、遺品や家具が残っている場合には「片づける=思い出を消す」ように感じてしまうこともあります。このような心理的なブレーキが、結果として放置の一因となります。つまり、空き家問題の背景には、経済ではなく心の整理の難しさが隠れているのです。

理由⑥:売却や活用の具体的な方法を知らない

「どうすればいいかわからない」という情報不足も、大きな放置要因のひとつです。不動産会社に相談しても「買い手がつきにくい」「修繕が必要」と言われ、どう動くべきか判断できずに時間だけが過ぎていきます。

特に、再建築不可や共有名義など“訳あり”の条件がある空き家では、一般的な仲介では対応が難しいケースも多くあります。

また、補助金や税制優遇制度の存在を知らず、損をするのではないかと不安を感じて手を出せない人もいるでしょう。結果として、「選択肢を知らないまま何もしない」という消極的放置が起きやすいのです。

理由⑦:再建築不可や立地条件など、物理的な制約がある

法律上または物理的に制約がある土地・建物も、空き家化を加速させます。代表的なのは、接道義務を満たしていない「再建築不可物件」です。建て替えができないため、古い家を壊しても新しい建物を建てられず、買い手がつかないという問題が発生します。

さらに、傾斜地や旗竿地などの狭小地、交通の便が悪い地域では、活用方法そのものが限られます。

このように、物理的・法的な制約がある物件は、所有者が動きたくても動けない構造的ハードルを抱えています。結果として、「売れない」「使えない」「壊せない」の三重苦が放置を固定化しているのです。

 

個人ができる空き家問題対策

空き家対策というと「行政や専門業者が行うもの」と思われがちですが、日常的な点検や簡単な整備を行うだけでも、劣化やトラブルのリスクを大幅に減らすことができます。

ここからは、所有者自身が実践できる基本的な管理方法を紹介します。

  • 定期的に点検や清掃を行う
  • 劣化や破損箇所を早期に修繕する
  • 電気・水道などライフラインを止めておく
  • 相続や名義を早めに整理しておく
  • 売却・賃貸・利活用の方法を検討する
  • 空き家バンクや専門業者を活用する
  • 補助金や税制優遇制度を調べて活用する
  • 地域や近隣と情報共有を行う 

次項より、個別にみていきましょう。

定期的に点検や清掃を行う

空き家管理の基本は「定期的な点検と清掃」です。人が住まなくなった家は、わずか数か月で湿気やホコリがこもり、内部の腐食やカビ、害虫被害が発生します。

最低でも年2回、できれば春と秋の季節の変わり目に以下の点をチェックしましょう。

点検項目確認内容
外観屋根・外壁のひび割れ、雨どいの詰まり
室内カビ・水漏れ・畳や床の沈み
庭・外周雑草・樹木の越境、フェンスの損傷

短時間でも換気を行うと、湿気を逃がし、木材の腐食を防げます。清掃と点検を“定期ルーティン”にすることが、空き家の長期保全につながります。

劣化や破損箇所を早期に修繕する

ひび割れや瓦のズレなど、些細な損傷を放置すると、雨漏りや壁材の腐食へと発展します。一度水が入り込むと、木材の腐朽菌やシロアリの被害が進行し、修繕費が数十万円単位に膨らむこともあります。

小さな不具合のうちに修理すれば、被害を最小限に抑えられます。自治体によっては「空き家修繕補助金」「屋根修繕支援」などの制度があり、工事費の一部を助成してもらえるケースもあります。

建物の状態を見極め、早期修繕=最小コスト管理を意識しましょう。

電気・水道などライフラインを止めておく

長期間使わない空き家では、電気・ガス・水道などのライフラインをそのままにしておくと、漏電・漏水・火災の原因になります。使用予定がなければ契約を一時停止し、ブレーカーや元栓を閉じておくことが安全です。

また、郵便物が溜まる、夜間に照明がつかないといった状況は、「無人である」と周囲に知らせるサインになります。これを防ぐために、ポストの確認や照明のタイマー設定、防犯カメラの設置などを行うと効果的です。

ライフライン管理と防犯対策を同時に行うことで、空き家を“放置物”ではなく“管理物件”として維持できます。

相続や名義を早めに整理しておく

相続によって空き家を引き継いだ場合、まず行うべきは名義(登記)の整理です。名義が曖昧なままでは、売却・修繕・解体などの手続きが一切進められません。

特に、複数の相続人が共有名義で登記している場合は、将来の判断が困難になります。早めに相続登記を行い、誰が所有者であるかを明確にしておくことが大切です。

2024年4月からは相続登記が義務化され、3年以内に登記をしなければ過料の対象となります。法務局や司法書士に相談しながら、トラブルを防ぐ体制を整えておきましょう。

(参考:東京法務局「相続登記が義務化されました(令和6年4月1日制度開始」)

売却・賃貸・利活用の方法を検討する

空き家を「手放す」か「活かす」かを早めに判断しましょう。築年数が経つほど建物の価値は下がり、売却や再利用の選択肢が限られていきます

「現状の建物をそのまま使うのか」「リフォームして賃貸に出すのか」「あるいは解体して土地として売るのか」について、現状のままにせず、複数のシナリオを比較検討することが賢明です。

判断に迷う場合は、不動産会社だけでなく「空き家相談センター」や自治体の窓口に相談し、市場価格・修繕費・税金の試算を出してもらうと良いでしょう。数字をもとに考えれば、感情だけで決断するリスクを減らせます。

空き家バンクや専門業者を活用する

自治体が運営する「空き家バンク」は、空き家を売りたい人と買いたい人をつなぐ仕組みです。登録すれば、地方移住希望者や事業用物件を探す人などに情報を広く届けられます。

特に地方部では、通常の不動産市場よりもマッチング率が高いケースもあります。

一方で、老朽化や共有名義などの理由で買い手がつかない場合は、「訳あり不動産の買取専門業者」に相談するのも一つの方法です。解体や残置物撤去を含めて一括で引き取ってくれる業者もあり、放置によるリスクを早期に断ち切る現実的な選択肢として注目されています。

補助金や税制優遇制度を調べて活用する

空き家の修繕や解体には費用がかかりますが、自治体の補助金制度を利用すれば負担を軽減できます。

多くの自治体では、解体費用の一部を上限50万円〜100万円まで助成する制度や、耐震改修・リフォーム・除却支援といった補助事業を設けています

また、国税庁の制度では「空き家を売却した際の3,000万円特別控除(いわゆる“空き家特例”)」が適用できる場合もあります。条件を満たせば、相続した実家を売却しても譲渡所得税を大幅に抑えられます。

(参考:国土交通省「空き家の発生を抑制するための特例措置(空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除)」)

これらの支援は自治体ごとに内容が異なるため、「〇〇市 空き家 補助金」「〇〇市 空き家特例」と検索して最新情報を確認するのが確実です。制度をうまく活用することで、放置ではなく“動ける選択肢”を広げられます。

地域や近隣と情報共有を行う

空き家を適切に管理するうえで、地域との関係性を保つことも意識する必要があります。近隣住民に所有者や連絡先を伝えておけば、倒木や雨漏りなど異常があった際にすぐ知らせてもらえます。特に遠方に住んでいる場合は、地域の自治会・管理組合・見回りボランティアなどと連携しておくと安心です。

また、地域単位で空き家を再利用する動きも広がっています。自治体やNPOが主導する「空き家利活用プロジェクト」に参加すれば、個人では難しい再生・リノベーションを共同で進められるケースもあります。

空き家の問題は一人で抱え込むものではなく、地域全体で見守る課題です。周囲とのつながりを維持することが、最も現実的で効果的な“防止策”のひとつになります。

 

空き家問題への対策で使える補助制度

空き家の管理・解体・活用には費用がかかりますが、国や自治体が用意している補助制度を活用すれば、負担を抑えながら対策を進めることができます。ここからは代表的な3つの制度を紹介します。

空き家バンク

空き家バンクは、自治体が空き家の情報を公開し、利用希望者と所有者をつなぐ公的な仕組みです。登録された物件は、地方移住や地域活動を目的とする人に紹介され、売却や賃貸の機会が広がります。

(参考国土交通省「空き家・空き地バンク総合情報ページ

通常の不動産市場では買い手がつかない物件でも、地域おこしや店舗活用など地域内の新しい需要に結びつく可能性があります。

一度登録すれば、自治体が内覧調整や契約支援を行うケースも多く、「放置」から「地域に活かす」方向へ転換できる制度です。詳しくは国土交通省の公式サイトで、全国の空き家バンクを検索できます。

空き家解体・改修補助金

空き家の老朽化が進んで危険になった場合や、活用を前提に改修を行う場合に利用できる制度です。自治体によって異なりますが、解体費用の半額(上限50万円〜100万円程度)を補助する事例が多く、リフォームや耐震改修に対しても支援対象となる場合があります。

(参考:国土交通省「国土交通省における空き家対策支援メニュー等」)

この制度を使えば、解体・修繕にかかる初期費用の負担を抑えられ、「壊すにもお金がかかる」という放置の最大要因を解消できます。また、補助を受けて更地にした後は、売却や貸地など次の活用にもつなげやすくなります。

 

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空き家増加の原因に関するQ&A

空き家が増える背景には、人口減少や少子高齢化だけでなく、住宅市場や社会構造の変化が複雑に絡み合っています。ここからは、ユーザーの方からよく寄せられる疑問をもとに、空き家が増える理由や仕組みをわかりやすく整理します。

空き家はなぜ増えるのですか?

空き家が増えている最大の理由は、人口減少と少子高齢化による「住む人の減少」です。

日本では2008年をピークに人口が減少に転じ、同時に高齢化が進んでいます。その結果、施設入居や転居で家を空ける高齢者が増え、相続を受けた家も活用されずに放置されるケースが増加しています。

空き地と空き家の違いは何ですか?

「空き地」とは建物が建っていない土地のことで、「空き家」は建物が残ったまま使われていない状態を指します。空き地の場合は、建物がないため倒壊や火災などのリスクは少ない一方、雑草や不法投棄といった管理上の課題があります。

空き家率が高くなる原因は?

空き家率の上昇には、地域ごとの人口動態と経済状況が密接に関係しています。都市部では転勤や単身赴任による一時的な空き家が多く、地方では高齢化と過疎化によって長期放置の空き家が増えています。

特に、交通の便が悪い地域や再建築不可の土地では、「売れない・貸せない・壊せない」三重苦に陥りやすく、空き家率が高止まりする傾向があります。つまり、人口の流れと市場性の低さが、空き家を増やす大きな要因となっています。

なぜ空き家が社会問題になるのですか?

空き家の放置は、個人の問題にとどまらず、地域全体に悪影響を及ぼすためです。老朽化による倒壊・火災リスク、不法侵入やごみ投棄などの防犯上の問題、さらには景観の悪化による地価下落など、地域の安全・経済・環境の3分野に影響を及ぼします。

空き家問題は「所有者の課題」であると同時に、「地域社会全体で取り組むべき課題」として位置づけられています。

 

まとめ

空き家問題は、個人の所有物にとどまらず、地域社会全体に影響を及ぼす深刻な課題です。放置が長期化するほど、修繕や解体の費用、近隣への迷惑、税負担などのリスクが大きくなります。

そのため、早期に「現状を把握する」「利活用や売却を検討する」「補助制度を活用する」といった行動を取ることが求められます。

また、自治体の空き家バンクや専門業者を通じて、管理・解体・再利用の選択肢を広げることで、経済的負担を抑えながら解決に近づけます。「まだ大丈夫」と先延ばしにせず、今のうちに自分の空き家の扱い方を明確にしておきましょう。

この記事の監修者

監修者プロフィール写真

丸岡 智幸 (宅地建物取引士)

訳あり不動産の買取を専門にする会社の代表取締役。
相続やペアローンによる共有持分、空き家、再建築不可物件、借地、底地など、権利関係が複雑な不動産の買取を専門としている。
訳あり不動産の買取サービス「ワケガイ」、空き家、訳あり不動産CtoCプラットフォーム「空き家のURI・KAI」を運営。
買取の経験をもとに、訳あり不動産の解説をする著書『拝啓 売りたいのに家が売れません』を2024年5月2日に出版。

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