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空き家の固定資産税が6倍に!? 適用される条件や対策方法を完全解説

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空き家を相続したものの、遠方で管理が難しい、修繕費用の捻出が困難といったケースでは、建物の老朽化が進み、近隣からの苦情も増えていきます。こうした状況で2023年12月の法改正により、管理不全な空き家は固定資産税が最大6倍になるリスクが高まっています。

空き家の固定資産税6倍化とは、建物の管理状態が著しく悪化した場合に、これまで受けていた税の優遇措置が適用されなくなる制度です。

本記事では、固定資産税が6倍になる仕組みや対策方法、それを踏まえた空き家の具体的な活用方法について詳しく解説します。

目次

空き家の固定資産税が6倍になる仕組み

固定資産税を理解することは、空き家所有者にとって重要な課題となっています。まずは基本的な仕組みから見ていきましょう。

固定資産税の基本的な仕組み

固定資産税は土地や建物を所有している人なら誰もが支払う税金です。毎年1月1日時点で不動産を所有している人に課される地方税で、その土地が所在する市区町村に納めます。

一般的な住宅の場合、固定資産税は土地と建物それぞれに対して課税されます。税額の計算方法は、固定資産税評価額に税率1.4%を掛けて算出します。例えば評価額1,000万円の土地であれば、14万円が基本の税額となります。

住宅用地の特例とは

住宅用地の特例制度は、住宅所有者の税負担を軽くするための優遇措置です。土地の広さによって「小規模住宅用地」と「一般住宅用地」の2種類に分かれています

小規模住宅用地は住宅1戸あたり200平方メートルまでの土地を指し、固定資産税の課税標準額を評価額の6分の1に減額します。

一方、一般住宅用地は200平方メートルを超える部分を指し、課税標準額は評価額の3分の1となります。

なぜ固定資産税が6倍になるのか?

空き家の固定資産税が6倍になるのは、この住宅用地の特例が適用されなくなるためです。小規模住宅用地で受けていた6分の1の軽減措置が外れることで、税額は自動的に6倍に跳ね上がります。

例えば、年間2万円の固定資産税が12万円になるケースもあるでしょう。

固定資産税が6倍になる条件とは

では、どのような状況下であれば、空き家の固定資産税は6倍になるのでしょうか。その条件は「特定空き家」と「管理不全空き家」の2つに分類されます。

「特定空き家」に指定される条件

特定空き家の指定は、建物の状態が周辺環境に悪影響を及ぼすと判断された場合に行われます。具体的には、建物の倒壊の恐れがある、雨漏りで建物内部が腐食している、ネズミや害虫が発生して衛生上の問題がある、といった状態です。

外壁が崩れかけている、屋根の一部が剥がれている、窓ガラスが割れたまま放置されているなど、見た目でも危険な状態が明らかな場合は、自治体の立ち入り調査の対象となりやすいでしょう。

「管理不全空き家」に指定される条件

管理不全空き家は、特定空き家ほど深刻ではないものの、このまま放置すれば特定空き家になる可能性が高い建物を指します。これは、2023年12月からの新制度で導入された区分です。

具体的には、庭木が伸び放題で隣家に越境している、雑草が繁茂して害虫が発生している、郵便受けに配達物が溜まったまま、などの状態を指します。こうした日常的な管理の不足が見られる空き家は、自治体から早期の改善を求められる可能性があります。

この制度は、空き家問題の予防的な対策として機能することが期待されています。

固定資産税が6倍になるまでのプロセス

空き家の固定資産税が6倍になるまでには、自治体による慎重な判断と所有者への複数回の警告が設けられています。大別すると、以下の5段階に分けられるでしょう。

  • 第1段階:自治体による空き家の実態調査
  • 第2段階:特定空き家・管理不全空き家の指定
  • 第3段階:改善のための助言・指導
  • 第4段階:改善命令と勧告の発令
  • 第5段階:固定資産税の引き上げ開始

次項より、詳しく解説します。

第1段階:自治体による空き家の実態調査

自治体による空き家の調査は、主に近隣住民からの通報や定期的な巡回によって開始されます。調査員は建物の外観や敷地内の状態を確認し、写真撮影や測定などの客観的な記録を行います。

この際、建物の傾きや外壁の損傷具合、雑草の繁茂状況などが重点的にチェックされます。

第2段階:特定空き家・管理不全空き家の指定

実態調査の結果を踏まえ、自治体内の審議会で空き家の状態が評価されます。建物の危険度や周辺への影響度に応じて、「特定空き家」または「管理不全空き家」への指定が検討されます。

この判断には建築の専門家や法律家も関わり、公平性が担保されています。

第3段階:改善のための助言・指導

指定を受けた空き家の所有者に対して、自治体から具体的な改善項目を示した文書が送付されます。

例えば「外壁の補修が必要」「庭木の剪定を実施すること」といった具体的な指示内容と、改善期限が明記されています。この段階で適切に対応すれば、増税を避けることが可能です。

第4段階:改善命令と勧告の発令

指導に従わず改善が見られない場合、自治体は正式な「勧告」を行います。勧告書には具体的な措置の内容と実施期限が記載され、所有者の署名・押印による受領確認が求められます。

この勧告を受けた時点で、住宅用地の特例が適用されなくなる可能性が生じます。

第5段階:固定資産税の引き上げ開始

勧告を受けた翌年度から、固定資産税の住宅用地特例が適用されなくなり、税額が最大6倍に引き上げられます。ただし、この段階でも建物の改善や解体などの対応を行えば、将来的な特例の再適用を検討してもらえる場合もあります。

納税通知書が届く前に、自治体の担当窓口に相談することをおすすめします。

自治体はあくまでも空き家の適切な管理を促すことが目的であり、増税自体を目的としているわけではありません。

各段階で示される改善要求に真摯に対応することで、増税を回避できる可能性は十分にあるのです。

税負担増加を防ぐために「空き家オーナーができる」対策

空き家の固定資産税が6倍になることを防ぐには、予防的な対策が重要です。具体的には、以下のものが挙げられます。

  • 適切な維持管理を行う
  • 改善指導に従う
  • 補助金や支援制度を活用する
  • 早い段階から専門家に相談する

それぞれ個別にみていきましょう。

適切な維持管理を行う

空き家の維持管理は、外観と内部の両方に目を配る必要があります。外観では、特に庭木の剪定と雑草の除去を定期的に行いましょう。道路から見える部分の手入れが行き届いているだけで、管理状態の評価は大きく変わってきます。

建物内部では、月1回程度の換気と水回りの点検が効果的です。カビの発生や害虫の侵入を防ぎ、建物の腐食を防ぐことができます。

これらの管理は、シルバー人材センターや空き家管理サービスに依頼することも可能です。

改善指導に従う

自治体から改善指導を受けた場合は、速やかな対応が求められます。まずは指摘された箇所の写真を撮影し、修繕の見積もりを取ることから始めましょう。

見積額が高額な場合でも、すぐに諦めずに自治体と相談することが賢明です。

部分的な修繕から始めるなど、段階的な改善計画を提案することで、柔軟な対応が認められる可能性もあります。改善の意思と具体的な行動を示すことが、自治体との良好な関係を築きましょう。

補助金や支援制度を活用する

空き家の修繕や解体には、自治体による補助金制度が用意されています。例えば、老朽化した空き家の解体に最大50万円が支給される制度や、耐震改修工事に100万円までの補助が出る制度も存在します。

補助金の申請は年度ごとに受付期間が設けられており、予算にも限りがあります。制度を利用する場合は、年度初めの早い段階で申請することをおすすめします。

自治体によって補助内容は大きく異なるため、お住まいの地域の制度を確認しておきましょう。

早い段階から専門家に相談する

空き家の維持管理や活用方法について迷った場合は、建築士や宅建士などの専門家に相談することで、適切な判断ができます。多くの自治体では、無料の空き家相談窓口を設置しており、専門家による個別相談も実施しています。

相談することで、建物の状態に応じた具体的な対応策や、補助金制度の活用方法、さらには売却や賃貸などの利活用の提案まで受けられます。

放置して問題が深刻化する前に、専門家の知見を借りることで、将来的な税負担の増加を防ぐことができるでしょう。

空き家には防犯対策も必要?

空き家の管理というと、建物の腐食や雨漏り対策、庭木の手入れなどを思い浮かべる方が多いでしょう。しかし、犯罪から空き家を守る防犯対策も重要な課題となっています。

空き家は空き巣のターゲットになりやすい

空き家は「誰も住んでいない」「人の目が届きにくい」という特徴から、空き巣被害に遭うリスクが高まるものです。

特に、郵便物が溜まっている、庭の雑草が伸び放題、カーテンが閉めっ放しといった状態は、建物が使用されていないことを外部に知らせるサインとなってしまいます。

さらに、空き家への侵入は犯行時間を気にせずに済むため、家財道具を持ち出しやすいというリスクも。一見して価値がないように見えるものでも、換金目的の犯罪者にとっては魅力的な標的となる可能性があるのです。

低コストで実践できる防犯のポイント

防犯対策は、必ずしも高額な設備投資を必要としません。例えば、月1回程度の定期的な見回りで、郵便物を回収し、庭の手入れを行うだけでも大きな効果があります。

これは「人が定期的に訪れている」という形跡を残すことで、不審者が犯行のターゲットから外す可能性が高まるためです。

また、人の動きを感知して自動的に点灯するセンサーライトの設置も有効。1万円程度から購入できる上、電気代もLED電球を使用すれば月々数百円程度。窓の周辺や玄関付近に設置することで、夜間の不審者を威嚇する効果が期待できます。

さらに、近隣住民との関係づくりも重要な防犯対策の1つです。見回りの際に積極的に挨拶を交わし、緊急連絡先を伝えておくことで、不審者の存在にいち早く気付いてもらえる可能性が高まります。

空き家の維持管理を業者にお願いするのはあり?

遠方に住んでいるなど、自分での定期的な管理が難しい場合、空き家管理サービスの利用は有効な選択肢となります。

特に2023年12月の法改正後は、管理不足による固定資産税の引き上げリスクもあり、専門家による適切な管理の重要性が増しています。

空き家管理サービスの内容と費用相場

一般的な空き家管理サービスでは、月1回程度の見回りを基本に、建物の外観確認や室内の換気、郵便物の確認などを行います。庭の手入れや室内の清掃といった作業も、オプションで依頼可能です。

月額費用は基本プランで5,000~1万円程度。緊急時の駆けつけサービスなどを追加すると、さらに費用は上乗せとなります。

自分で管理するか業者に依頼するかの判断のポイント

判断の基準となるのは、空き家までの距離と自身の時間的余裕です。月に1度の見回りが難しい、突発的な問題への対応が困難といった場合は、業者への依頼を検討すべきでしょう。

特に、空き家が遠方にある場合、交通費や移動時間を考えると、むしろ業者への依頼の方が経済的な場合もあります。加えて、管理不足による税負担増のリスクを考えると、専門家による定期的な管理は費用に見合う価値があるといえます。

問題解決に繋がる空き家活用の選択肢

空き家の維持管理に悩む場合、「空き家を有効活用する」ことで、収益を得つつ固定資産税が6倍になるのを防ぐことが可能です。

例えば、次のような手法が考えられます。

  • 選択肢①:賃貸物件として活用する
  • 選択肢②:売却して資産を現金化する
  • 選択肢③:地域コミュニティ施設として活用する
  • 選択肢④:好条件で解体して土地活用する
  • 選択肢⑤:行政の補助金を活用してリフォームする

以下より、個別にみていきましょう。

選択肢①:賃貸物件として活用する

賃貸活用は、空き家を収益源に変える有効な方法です。特に駅から徒歩圏内の物件や、学校周辺の空き家は、需要が見込めます

一般的な賃貸住宅としての活用のほか、最近では民泊施設やシェアハウスとしての転用も注目を集めています。

必要な投資額は物件の状態によって異なりますが、水回りの改修や壁紙の張り替えといった最低限の改修でも、月5万円程度の家賃収入が見込める地域もあります。

賃貸管理会社に委託すれば、遠方に住んでいても安心して経営できます。

選択肢②:売却して資産を現金化する

建物の老朽化が進む前の売却は、将来的なリスクを回避する賢明な選択です。特に相続した空き家の場合、売却時の譲渡所得から最大3,000万円が控除される特例制度を利用できます。

この特例は相続開始から3年以内の売却が条件となるため、早めの決断が重要です。売却価格は立地や建物の状態によって大きく異なりますが、複数の不動産会社に相談することで、より有利な条件を引き出せる可能性があります。

売却後の確定申告の際には、税理士に相談し、適切な特例適用を受けることをおすすめします。

選択肢③:地域コミュニティ施設として活用する

手間はかかりますが、空き家を地域の集会所や子育て支援施設として活用する方法もあります。

自治体によっては、コミュニティ施設への転用に対して改修費用の補助や、固定資産税の減免措置を設けているところもあります。

この活用方法は、地域貢献という社会的な価値を生み出しながら、建物の維持管理も継続的に行えることが利点です。

NPO法人などに貸し出すことで、安定的な賃料収入を得られるケースもあります。

選択肢④:好条件で解体して土地活用する

建物の老朽化が著しい場合は、思い切って解体を選択するのも一案です。更地にすることで固定資産税は上がりますが、駐車場やコインパーキングとして活用すれば、新たな収入源となります。

解体費用は建物の規模にもよりますが、一般的な木造住宅で100万円前後。自治体の解体補助金を利用すれば、実質的な負担を抑えることも可能です。

土地の評価額が高い地域では、更地にすることで売却しやすくなるという副次的な効果も期待できます。

選択肢⑤:行政の補助金を活用してリフォームする

空き家のリフォームには、国や自治体によるさまざまな補助金制度が用意されています。耐震改修や省エネ改修などの目的別補助金のほか、一般的な改修工事にも適用できる制度があります。

補助金を活用することで、断熱性能の向上や設備の更新など、物件の価値を高めるリフォームが実現可能です。改修後は賃貸活用や売却など、次のステップに進むための選択肢が広がります。自治体の空き家対策窓口で、利用可能な補助金の情報を確認してみましょう。

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まとめ

空き家問題は、早期の対策が何より重要です。建物の老朽化は時間とともに進行し、それに伴って修繕費用は増加。さらに固定資産税の6倍化という新たなリスクも加わり、所有者の負担は確実に重くなっていきます。

ワケガイでは、このような空き家の問題に対して親身に対応いたします。

建物の状態や権利関係に関わらず、現状のままでの買取が可能です。まずは無料査定をご利用いただき、専門スタッフに気軽にご相談ください。

この記事の監修者

監修者プロフィール写真

丸岡 智幸 (宅地建物取引士)

訳あり不動産の買取を専門にする会社の代表取締役。
相続やペアローンによる共有持分、空き家、再建築不可物件、借地、底地など、権利関係が複雑な不動産の買取を専門としている。
訳あり不動産の買取サービス「ワケガイ」、空き家、訳あり不動産CtoCプラットフォーム「空き家のURI・KAI」を運営。
買取の経験をもとに、訳あり不動産の解説をする著書『拝啓 売りたいのに家が売れません』を2024年5月2日に出版。

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