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空き家の放置を続けるとどうなる? 行政代執行までの流れを解説

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人口減少の影響により、空き家の数は年々増え続けており、全国で848万9000戸の空き家があるとされ、その数は住宅全体の13.6%にも該当します。

今後も年々増加していくといわれており、2033年には1,955万戸にもなると予想されております。

その多くは空き家を相続しても、誰も管理せず、そのまま使用することなく放置されてしまっている空き家となっています。

そのような空き家は、空き家を放置し続けてしまった場合、行政執行を受けてしまう危険性があります。今回は、行政代執行の概要や流れを解説しますので、お役立てください。

空き家特別措置法の施行とは

2015年、日本では空き家問題に対応するための「空き家特別措置法」が施行されました。この法律により、放置されている空き家に対して、市区町村の行政が強制的な解体、いわゆる「行政代執行」を行うことが可能になりました。所有者には解体費用が請求される仕組みです。

空き家に対して行われる行政代執行の流れ

空き家が行政執行を受ける流れを整理すると、以下のようになります。

  • 1.特定空き家に指定
  • 2.助言・指導
  • 3.勧告・命令・戒告
  • 4.代執行令書での通知
  • 5.行政代執行

それぞれについて、詳しく解説します。

1.特定空き家に指定

「特定空き家」として指定されるための条件は以下の通りです。

  • 倒壊の危険性があるなど放置による安全上の問題
  • 衛生上の問題や有害な影響の可能性
  • 周辺住民の生活環境を損なうこと
  • 地域の景観を乱す、地域ルールに違反する

など

空き家がこれらの条件に当てはまる場合、特定空き家として指定される可能性があります。ただし、指定された空き家でも、問題点を改善すれば指定解除が可能です。

例えば、敷地内の立木や雑草が近隣に迷惑をかけている場合、これを伐採・整理することで特定空き家の指定を解除できる可能性があります。

2.助言・指導

特定空き家に指定された後、所有者が何らかの対策を講じない場合、市町村長は以下の条件を満たす空き家に対して助言・指導を行えます。

  • 保安上の問題(例:倒壊の危険性)がある場合
  • 衛生上の問題や有害な影響が懸念される場合

市町村からの助言・指導に従い、所有者は空き家の除去、修繕、立木林の伐採などの対策を行う必要があります。

3.勧告・命令・戒告

市町村からの助言・指導にも関わらず、所有者が適切な対応を取らない場合、次の段階として勧告が行われます。この勧告は法的な拘束力はないものの、助言・指導よりも強い行政の指示となります。

勧告を受けると、特定空き家の所有者は固定資産税の住宅用地特例を受けられなくなるため、税負担が増加します。

勧告に応じない場合、市町村はさらに強い法的効力を持つ命令へと移行します。この段階での命令違反は、最大50万円の過料に処される可能性があります。

さらに、行政代執行が実施される前には文書による戒告が行われ、履行期限が設定されます。期限内に適切な対応が取られない場合、行政代執行の通知がされます。

緊急の場合や行政代執行の必要性が高い場合には、戒告と代執行令書の通知が省略されることも。そのため、命令の段階で迅速な対応を取ることが重要です。

4.代執行令書での通知

戒告の期限内に所有者が対応しない場合、行政代執行の通知、すなわち代執行令書が発行されます。この令書には、代執行の実施時期、責任者の氏名、および費用の見積もりが記載されています。ただし、緊急性がある場合は、この通知手続きが省略されることもあります。

5.行政代執行

代執行令書に指定された時期になると、市町村が指定した解体業者により行政代執行が実施されます。

所有者が自ら業者を選ぶよりも費用が高くなる可能性があるため、行政代執行を避けるためには、早期に市町村の指示に従うことが望ましいでしょう。

行政代執行の費用は1000万円以上に達することもあり、その全額が所有者に請求されます。代執行が完了すると、費用の納付命令書が所有者に送付され、行政代執行の詳細、費用、納付期限などが記されます。

費用の支払いを怠ると、財産の差し押さえという厳しい結果に直面する可能性があります。支払いが困難な場合は、自治体に相談し、分納などの対応を依頼することも1つの手段です。

空き家に対して行われた行政代執行の事例

ここからは、実際に空き家に対して行われた行政執行の事例を紹介します。 

事例1:東京都品川区

  • 構造(築年数):木造2階建て(築58年)
  • 損壊状況等:壁の破損、ベランダの腐食。
  • 周辺環境:小学校の通学路に面しているため、空き家の改善要望書(署名1600人余り)が提出された。
  • 動産:建物内部に大量の廃棄物が残されている
  • 所有者等の状況:建物所有者と土地所有者が別。登記上の建物所有者が死亡。相続人の2人のうち1人は相続放棄し、別の1人は居所不明。
  • 費用:423万円
  • 費用回収状況:預金差し押さえにより回収済

<経過>

  • 平成27年8月:特定空き家等判定
  • 平成27年9月:助言・指導
  • 平成27年10月:勧告
  • 平成28年2月:命令
  • 平成28年3月:戒告
  • 平成28年5月:行政代執行の実施(廃棄物の処理、外壁、柱の補修)

相続人を特定後、協議を行えていたが、のちに連絡が取れなくなり、行政代執行が行われた事例です。かかった費用は相続人の預金差し押さえによって支払われました。

事例2:千葉県柏市

  • 構造:鉄骨造3階建て(築45年)
  • 損壊状況等:建物全体が老朽化により劣化している。
  • 周辺環境:JRの線路及び都市計画道路に近接
  • 動産:有り
  • 所有者の状況:元事業所であり、建物は法人名義だが当該法人は実態がない(解散等はしておらず登記上存続しているものの営業は行なっていない)
  • 費用:1,000万円
  • 費用回収状況:土地差し押さえ後、公売により一部回収

<経過>

  • 平成28年4月:特定空き家等判定
  • 平成28年4月:助言・指導
  • 平成28年5月:立ち入り調査
  • 平成28年10月:勧告
  • 平成29年2月:命令
  • 平成29年2月:戒告
  • 平成29年4月:行政代執行の実施(解体)

このケースでは、所有者である法人代表者との協議の結果、所有者による除却は経済的理由により対応困難とのことから、解体後に土地差し押さえ、公売にて一部費用を回収されました。

事例3:新潟県十日町市

  • 構造:木造2階建て(築48年)
  • 損壊状況等:建物の一部が降雪により倒壊
  • 周辺環境:郊外の田園集落
  • 動産:なし
  • 所有者等の状況:土地所有者と建物所有者が別。所有者は県外に居住しており、平成25年より空き家への対応を依頼してきたが、27年2月に一部が倒壊。同年10月に所有者死亡。相続人へ対応依頼したが、相続人全員が相続放棄のため所有者等不確知と判断。その後、所有者の生前所有の土地の債権回収のため、相続財産管理人が選任されていたことから、当該相続財産管理人を相手方都市、行政代執行を実施。
  • 費用:270万円
  • 費用回収状況:所有者の他所有土地の差し押さえ後、それらの公売により一部回収

<経過>

  • 平成27年12月:立ち入り調査
  • 平成27年12月:特定空き家等判定
  • 平成28年11月:助言・指導
  • 平成28年12月:勧告
  • 平成28年12月:命令
  • 平成28年12月:戒告
  • 平成29年1月:行政代執行の実施

特定空き家判定後に、所有者が死亡。相続人が相続放棄した一例です。別の土地で相続財産管理人が選定されていたため、それらの土地を差し押さえ後、公売によって費用を一部回収されました。

空き家に対して行政代執行された事例を見ていくと、所有者が特定できても経済的に対応ができない状況。あるいは、相続人が複数いて特定困難であるため、相続放棄されており、協議対象者が不在であったりする事例が多く散見されました。

空き家への行政代執行を避けるための対応策 

では、空き家が行政執行を受けないようにするためには、どのような対応をとればよいのでしょうか。具体的には、以下のものが考えられます。

  • 状態の改善
  • 解体
  • 修繕・撤去についての届出

それぞれ、個別に解説します。

状態の改善

定空き家に指定された際、軽微な修繕が必要な場合は、所有者自身で問題箇所を修正することで、特定空き家の指定を解除してもらえます。

しかし、空き家の管理と修繕は一度きりではなく、継続的な取り組みが必要です。一度改善しても、その後放置すると再び特定空き家に指定されるリスクがあります。

空き家の維持管理を専門業者に任せる選択肢もありますが、これには月額約1万円程度のコストがかかります。そのため、空き家を活用しない場合は売却することが経済的にも合理的な選択といえるでしょう。

解体

「空き家を解体したいが費用が高くて躊躇している」という状況の所有者は、自治体の助成金制度の活用を検討することをお勧めします。地域名と「空き家 解体 助成金」で検索すると、地域ごとの制度がみつかります。

しかし、空き家を解体して更地にすると、固定資産税が最大6倍に増加するリスクがあります。そのため、助成金やローンを利用することが可能であっても、解体は慎重に検討すべきです。

リスク回避として、専門の買取業者に売却する選択もあります。本ブログで情報発信を行っている「ワケガイ」は、訳あり物件を積極的に買い取っている専門業者です。

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修繕・撤去についての届出

特定空き家に指定された後、修繕や撤去がすぐに行えない場合は、自治体に対して改善の意志と計画を伝えることが大切です。これにより行政代執行を延期してもらえる可能性があります。

例えば、兵庫県姫路市で、空き家の所有者が除去作業の意向を示し、具体的な工程表を提出した結果、行政代執行が延期された事例があります。

最終的には所有者の作業が不十分だったため、行政代執行が実施されましたが、適切な対応をすることで延期が可能であることが分かります。

ただし、前述の通り、空き家の管理と修繕は継続的な取り組みが必要。自治体に計画を届け出る際は、一時的な解決ではなく、長期的な管理責任を持って行うことが重要です。

関連記事:空き家の放置を続けるとどうなる? 行政代執行までの流れを解説!

まとめ

老朽化した空き家は、そのまま放置し続けることで、建物の損壊等で隣家や通行人に危害を加えてしまう可能性もあります。

加えて、空き家特別措置法の施行により、ペナルティを受けたり、行政代執行にて費用負担の請求をされたりするリスクもあります。

本ブログで情報発信を行っている「ワケガイ」は、訳あり物件を積極的に買い取っている専門業者です。所有物件についてお悩みの方は、訳あり物件の買取に特化したワケガイに、ぜひお問い合わせください。

運営団体
株式会社ネクスウィル

2019年1月29日設立。訳あり不動産の買取を行う不動産会社。相続やペアローンによる共有持分、空き家、再建築不可物件、借地、底地など、権利関係が複雑な不動産を買い取り、法的知識や専門知識を以って、再度市場に流通させている。
訳あり不動産の買取サービス「ワケガイ」、空き家、訳あり不動産CtoCプラットフォーム「空き家のURI・KAI」を展開。
経済界(2022年)、日刊ゲンダイ(2022年)、TBSラジオ「BOOST!」(2023年)、夕刊フジ(2023年)などで訳あり不動産について解説している。2024年度ベストベンチャー100選出。
これまでの買取の経験をもとに、訳あり不動産の解説をする著書『拝啓 売りたいのに家が売れません』(代表取締役 丸岡・著)を2024年5月2日に出版。

この記事の監修者

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松本 大介 (司法書士)

得意分野:相続全般、遺言書作成、不動産売却
お客様に「君にまかせてよかった」「君だから依頼したんだよ」そう言っていただけることを目標に、この仕事に誇りを持って取り組んでおり、お客様の立場に寄り添い考えるよう心がけています。

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