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相続した建物が違法建築の可能性がある場合、どのような物件が違法で、違法建築の建物を所有するとどのようなデメリットがあるのかどうかについて不安に感じるケースは多いでしょう。
実際に、違法建築物を所有していると多くのリスクが発生します。そこで今回は、違法建築物件の概要に加え、売買するに当たって必要な知識を詳しく解説しますので、ぜひお役立てください。
目次
違法建築の特徴
違法建築とは、「建築基準法やその他の関連法律に違反する形で建てられた建築物」を指します。合法的な建築を行うためには、まず建築許可証の申請が必要です。このプロセスでは、計画されている建物が建築基準法に準拠しているかが確認されます。
建築許可証を取得せずに工事を開始すると「建築物は違法」とみなされ、使用許可を得ることができません。許可を得ずに建物を新築したり、増改築を行ったりする行為も違法とされます。
違法建築になってしまう要件としては、次のものが挙げられます。
- 建ぺい率や容積率の違反
- 斜線制限への違反
- 道路が接道していない
- 条例や地方自治体のガイドラインへの不適合
- 未登記
以下より、詳しくみていきましょう。
建ぺい率や容積率の違反
建ぺい率とは、土地の面積に対する建築可能な面積の比率を意味します。例えば、100m2の土地において建ぺい率60%の場合、60m2までの建物が建築可能。これは、土地利用の効率性と環境への影響を考慮して設定されます。
この建ぺい率は「用途地域」によって異なります。用途地域は、都市計画に基づいて定められ、住居地域、商業地域、工業地域などがあります。住宅が建設される「住居地域」では、建ぺい率は30〜80%の範囲で設定されています。
一方、容積率は敷地面積に対する建築物の延床面積の比率を指し、これも用途地域によって異なります。通常、50〜200%の範囲で設定されています。
これらの基準を理解せずに土地を選ぶと、希望通りの建物を建てることができなくなるリスクがあります。建築計画の初期段階でこれらの法的要件を確認し、違法建築のリスクを回避することが重要です。
斜線制限への違反
斜線制限は、建物の高さを道路や隣地境界線からの距離に応じて制限する規定です。この規定の主な目的は、隣地の日照権を保護し、良好な通風と住環境を維持することにあります。
斜線制限には「隣地斜線制限」「道路斜線制限」「北側斜線制限」などがあり、これらは境界線から一定の角度で引かれた斜線に建物の高さが収まるように設定されます。この制限が適用される角度は、地域の用途地域によって異なります。斜線制限に違反すると、隣地の生活環境に影響を与えるため、違法とみなされます。
道路が接道していない
建築物を建設する際、その建物の間口が法的に認められた道路に面していることが重要です。
これは、緊急時のアクセスを確保するため。建物が必要な道路幅に接していない。あるいは法的に認められた道路に面していない場合、その建物は接道義務を満たしていないとされ、違法となります。
条例や地方自治体のガイドラインへの不適合
建築基準法に加えて、地方自治体は独自の建築規定を設けることがあります。これには、政令指定都市や県庁所在地で見られる特別な条例やガイドラインが含まれます。
例えば、防火設備の設置や駐車場の建設に関する規定などがこれに該当します。これらの地方規定に適合しない建築物は違法となる可能性があるため留意しましょう。
未登記
不動産登記法では、土地や建物の所有者はこれらの登記を行うことが義務付けられています。建物が建設されたり、所有者が変わったりした場合には、登記を行う必要がありますが、費用や手間の関係で未登記の建物も存在します。
未登記の建物は、法的な問題を引き起こす可能性があり、違法とされるケースがあります。
関連記事:違法建築とは?建築基準法の基準やデメリット、見分け方を詳しく解説
違法建築物がどうか調べる方法
相続で建物を取得した場合、その建物が違法であるかどうかはどのように確認すればよいのでしょうか。ここからは、違法建築物かどうかを確認する以下の方法をご紹介します。
- 家の性能に不安がある
- 建ぺい率と容積率から計算する
次項より、個別に解説します。
査済証の確認
建築物が合法的に建設されたかを確認するための基本的な手段は、検査済証の存在を確認することです。
建物の建築時には、建築確認申請が必要となり、建築物完成後に行われる竣工検査で合格を受けた際に「検査済証」が発行されます。この証明書は、建物が法的要件に沿って建設されたことを示す重要な文書です。
検査済証は、不動産の売買やローンの担保などの際にも必要となります。かつては再発行が不可能でしたが、2014年以降は再取得が可能になっています。
建ぺい率と容積率から計算する
建物が法的な接道要件や登記要件を満たしている場合、建ぺい率と容積率を用いて違法建築でないかを確認できます。敷地の面積が分かる図面があれば、以下のように計算して確認することが可能です。
- 建ぺい率=建築面積/敷地面積
- 容積率=延床面積/敷地面積
自分の敷地の建ぺい率や容積率を事前に理解しておくことは、違法建築を未然に防ぐ上で非常に重要。これにより、建築プロジェクトの計画段階で、法律に準拠した設計が可能になります。
違法建築の建物の売却が困難な理由
違法建築の建物は売買が難しいといわれていますが、なぜ難しいのでしょうか。その理由としては、以下のものが挙げられます。
- 違法建築だとローンが組めない
- 家の性能に不安がある
それぞれ、個別にみていきましょう。
違法建築だとローンが組めない
「違法建築」という事実があると、その建物を担保に金融機関からの融資を受けることがほぼ不可能になります。
通常、不動産購入の際には抵当権設定を通じてローンが組まれるでしょう。違法建築物はその資格を満たすことが難しく、結果として購入希望者がローンを利用することができないため、売却が困難になります。
家の性能に不安がある
違法建築物は、建築基準法に準拠していないため、増築や改築が許可されないことが多く、住宅の性能向上が困難です。
断熱材の追加やリフォーム工事が制限されるため、快適な居住環境を維持することが難しくなります。災害時の修理や再建にも制限がかかり、長期的な維持管理に関して大きな不安が伴います。
関連記事:相続した物件が「違法建築」だった場合、どうしたらいいの?
違法建築でも売却する方法とは
以上のように、デメリットの多い違法建築物ですが、売却できる可能性はあるのでしょうか。居住用として現金で物件を購入するケースもあります。
違法建築物はローンが組めないため、比較的低価格で市場に出されるケースも存在します。
そのため、現金で購入を検討している買い手にとっては魅力的な選択肢になる場合があるのです。低価格ながらも居住に支障がない物件を求める買い手にとっては、適切な選択になる可能性が懸念されます。
違法建築物の中には、アパートなどの投資用物件も含まれている場合も。これらの物件は、建ぺい率や容積率の制限を超えることで、収益性を高めることを目的として建設されるケースがあります。
賃貸需要が高い都市部では、これらの物件を投資物件として販売することで、売却の可能性を探れるでしょう。高い収益率を見込むことができるため、特定の投資家にとって魅力的な選択肢になる場合があります。
違法建築の物件を売却する際の注意点
違法建築の物件を売却する際には、以下の点に留意しましょう。
- 買主への告知義務がある
- 売却価格は相場よりも低くなる
次項より、個別に解説します。
買主への告知義務がある
違法建築物件を売却する際には、違法である事実及びその具体的な内容を買主に伝える必要があります。
これは「瑕疵担保責任」と呼ばれ、購入後1年以内に隠された瑕疵(欠陥や問題点)が発見された場合、売主は修理費用やその他の責任を負う義務が生じるため。
違法建築であることを隠して売却した場合、購入者からの損害賠償請求や契約の解除、売却額の返金要求に直面する可能性が高くなります。そのため、違法建築物件の売却時には、この点を明確に説明することが重要です。
売却価格は相場よりも低くなる
違法建築物件には、再建築不可や増改築制限などのいくつかの問題があります。例えば、「再建築不可」とされる土地では、建物の建て替えが不可能です。
容積率を超えている場合、増改築を行うには建物を縮小しなければなりません。住宅ローンの審査基準に「建築基準法の遵守」が含まれるため、違法建築物件は融資審査に通りにくい可能性もあるでしょう。
こういった制限により、大規模なリフォームや建て替えが制限され、自由度の低い物件となるため、市場価格は合法的な物件に比べて低くなる傾向があります。
売却価格は法律に準拠した物件に比べて一般的に低く設定されるケースが多々あります。
まとめ
違法建築にはさまざまな種類があり、違法状態を解消するためには、修繕や登記などで多額の費用が必要になる場合があります。活用するか売却するかという問題が発生しますが、所有している物件によっては、投資物件としての需要があるかもしれません。
相続などで違法建築物を取得した場合は、状況に応じて活用や売却を検討してみましょう。
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運営団体 株式会社ネクスウィル 2019年1月29日設立。訳あり不動産の買取を行う不動産会社。相続やペアローンによる共有持分、空き家、再建築不可物件、借地、底地など、権利関係が複雑な不動産を買い取り、法的知識や専門知識を以って、再度市場に流通させている。 |