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不動産の売却を検討する際、多くの方が気になるのが買取相場でしょう。一般的に、不動産の買取相場は市場価格の7割程度といわわれています。つまり、3,000万円の不動産であれば、買取価格は約2,100万円になるということです。
しかし、なぜ買取相場が市場価格よりも低くなるのか、その理由について詳しく説明できる方は少ないのではないでしょうか。
そこで本記事では、不動産買取相場が市場価格の7割程度になる3つの理由を解説します。買取のメリットに加え、売却方法を選択する際に役立つ情報についてみていきましょう。
目次
家の直接買取の相場は市場価格の7割程度が妥当
不動産の買取の相場は、仲介による売却相場と比較すると、おおむね7割から8割程度が目安となります。
「買取」とは、売却予定の不動産を不動産会社に直接買い取ってもらう方法を指します。一方、「仲介」は、不動産会社が売主に代わって買主を探してくれる方法のことをいいます。
例えば、市場価格が3,000万円の不動産の場合、買取価格としては2,100万円前後が相場だと考えられます。買取価格は安くなってしまうというデメリットはありますが、その反面、売れ残るリスクはほとんどありません。
上記はあくまで一例ですが、仲介と買取とでは、このように金額面で大きな開きが生じるケースが少なくありません。金額面だけに着目すると、買取にメリットはないように感じられるかもしれませんが、実際には買取にもメリットが存在しますので、詳しくは後述します。
関連記事:不動産買取とは?仲介との違いや、選ぶ際のポイントを詳しく紹介
家の買取相場が安くなる3つの理由
家の買取相場が安くなる理由としては、以下の3つが挙げられます。
- 利益になりづらいため
- リフォームやリノベーション費用が必要になるため
- 再売却するにも費用がかかるから
次項より、個別にみていきましょう。
利益になりづらいため
不動産会社は、通常、売主と買主の間に入って仲介業務を行い、売買契約が成立した際に仲介手数料を受け取ることで利益を得ています。
しかし、不動産買取の場合、買主は不動産会社自身なので、仲介業務は発生せず、仲介手数料を請求することができないのです。
さらに、買い取った不動産が売れる保証はありません。不動産を買い取っても、それが確実に利益につながるとは限らないため、不動産会社は利益を確保するために、あらかじめ若干低めの価格で買い取ることが一般的です。
リフォームやリノベーション費用が必要になるため
不動産会社は、売主から買い取った不動産に対して、リフォームやリノベーションを施した上で販売します。そのリフォームやリノベーションにかかる費用は、売却価格から差し引かれることになるため、結果的に買取価格が低くなってしまうのです。
ただし、不動産を仲介で売却する場合であっても、リフォーム費用が必要になるケースは少なくありません。自分でリフォームやリノベーションを行うとなると、かなりの高額な費用がかかってしまいます。状況によっては、リフォームを行わずに不動産買取を選択した方が、利益が大きくなることもあり得ます。
関連記事:実家のリフォームには費用はどのくらいかかる?利用できる補助制度もセットで紹介!
再売却するにも費用がかかるから
リフォーム費用やリノベーション費用以外にも、不動産会社が買い取った不動産を再販する際には、「人件費」や「広告宣伝費」、さらには「不動産取得税」「登録免許税」など、不動産の取得や売却に関わるさまざまな費用が発生します。これらの費用はすべて、買取時の利益から賄われることになるのです。
そのため、不動産会社としては、少しでも利益を確保するために、買取価格を低めに設定せざるを得ないのが実情なのです。
【築年数別】家の買取相場
中古戸建住宅の買取相場は、築年数によって大きく変動します。一般的に、築年数が経過するほど買取価格は下がる傾向にあります。これは、建物の老朽化や設備の陳腐化などが原因と考えられます。
2024年3月度に公開された「Market Watch」を参照すると、首都圏における中古戸建住宅の平均築年数と成約価格は以下のように変動しているとわかります。
地域 | 平均築年数 | 平均延床面積 | 平均成約価格 |
東京都 | 23.72年 | 101.38㎡ | 5,610万円 |
神奈川県 | 25.15年 | 107.14㎡ | 4,248万円 |
埼玉県 | 24.61年 | 105.76㎡ | 2,639万円 |
千葉県 | 23.19年 | 105.35㎡ | 2,659万円 |
北海道 | 26.42年 | 118.27㎡ | 2,536万円 |
宮城県 | 22.87年 | 127.45㎡ | 2,995万円 |
(参考:REINS TOWER「Market Watch」を基に、当社にて作成)
表をみると、東京都と神奈川県は、他の都道府県と比べて平均延床面積が小さいにもかかわらず、平均成約価格が高くなっています。これは、東京都と神奈川県の不動産市場の特性を反映していると考えられます。
一方、北海道と宮城県は、平均延床面積が比較的大きいものの、平均成約価格は東京都や神奈川県と比べると低くなっています。このことから、物件の広さだけでなく、地域の不動産市場の状況が買取相場に大きな影響を与えていることがわかります。
以上のように、中古戸建住宅の買取相場は、築年数、延床面積、地域の不動産市場の状況などが複合的に影響し合っています。これらの要因を総合的に考慮することで、より正確な買取相場の判断ができるといえるでしょう。
自分で家の買取相場を調べる方法
家の買取相場を調べる方法としては、次の手法が一般的です。
- レインズ マーケットインフォメーション
- 土地情報総合システム
- 不動産ポータルサイト
それぞれ詳しく解説します。
レインズ マーケットインフォメーション
レインズマーケットインフォメーションは、国土交通大臣指定の不動産流通機構が運営する不動産取引価格の情報提供サイトです。
このサイトでは、実際に取り引きされた不動産の価格に基づいた売却参考価格を確認できます。詳細な検索条件を設定することで、自分の不動産に近い取引事例を見つけることが可能です。
より正確な買取相場価格を把握するためには、条件が類似している不動産を複数件選んで調べてみることをおすすめします。
土地情報総合システム
土地総合情報システムは、国土交通省が公開している不動産の相場情報を提供するシステムです。
「土地」だけでなく、「戸建て」「マンション」「山林」「農地」など、さまざまな種類の不動産について調べることができるのが特徴です。
このシステムのデータは、国土交通省が不動産取引の売買当事者にアンケート調査を実施することで収集されています。実際の成約価格を元にデータベース化されているため、比較的実態に近い価格を把握できます。
ただし、データ数が少ないため、希望する地域で取引事例が見つからないこともあります。物件の正確な位置は特定できないため、大まかな情報しか得られない場合もあります。
不動産ポータルサイト
不動産ポータルサイトは、売り物件の情報が掲載されているウェブサイトのことを指します。
最寄り駅や駅からの距離、間取りなどの条件で絞り込みができるため、自分の物件に近い条件の売り物件を探しやすいというメリットがあります。
ただし、不動産ポータルサイトで調べられるのは売り出し価格のみであり、実際の取引では値引き交渉が行われることも多いため、相場は売り出し価格よりも低くなる可能性があることに注意が必要です。
特に戸建ての場合、売り出し価格と成約価格の差が大きくなる傾向があり、成約価格が売り出し価格よりも1~2割程度低くなることもあります。
一方、マンションについては大幅な値引きが行われるケースは少ないため、同じマンション内の売り物件の価格は参考になりやすいといえます。
それでも直接買取を選択するメリット
不動産の直接買取は、仲介による売却と比べて買取価格が低くなる傾向があります。しかし、それでも直接買取を選択するメリットがいくつかあります。ここでは、その主なメリットについて詳しく説明します。
- 短期で買い取ってもらえる
- 周囲に知られるリスクが低い
- 内見対応の必要がない
以下より、個別にみていきましょう。
短期で買い取ってもらえる
直接買取の大きなメリットの1つは、売却までの期間が短いことです。仲介による売却の場合、買主を見つけるまでに時間がかかり、その後も契約手続きや引き渡しなどに一定の期間を要します。
一方、直接買取の場合は、不動産会社が自ら買主となるため、売主と不動産会社の間で売買契約を締結すれば速やかに売却が完了します。これにより、急ぎで資金を手にしたい場合や、早期に物件を処分したい場合に有効な選択肢となります。
周囲に知られるリスクが低い
仲介による売却の場合、不特定多数の買主候補に物件情報が公開されるため、周囲の人に売却の事実を知られるリスクがあります。特に、近隣住民や知人・友人などに売却を知られたくない場合、このリスクは無視できません。
直接買取なら、不動産会社との間で秘密裏に取引を進められるため、周囲に知られるリスクを最小限に抑えられます。プライバシーを重視する売主にとって、直接買取は大きなメリットといえるでしょう。
内見対応の必要がない
仲介による売却では、買主候補による内見に立ち会う必要があります。内見の日程調整や、物件の清掃・整理など、売主の負担は小さくありません。
しかし、直接買取の場合は、不動産会社が買主となるため、内見は不要です。売主は、物件の引き渡しまで、通常通りの生活を送ることができます。特に、遠方に住んでいる場合や、多忙で時間が取れない場合など、内見対応が難しい売主にとって、直接買取は大きなメリットとなります。
家をなるべく高く買い取ってもらうコツ
家をなるべく高く買い取ってもらう上では、以下の点に留意しましょう。
- 所有物件が存在するエリアでの買取実績
- 得意な買取物件の種別
- 買取価格の実績(公開されていれば)
次項より、詳しく解説します。
所有物件が存在するエリアでの買取実績
不動産の価値は、立地によって大きく異なります。そのため、所有物件が存在するエリアでの買取実績が豊富な不動産会社を選ぶことが重要です。
地域に精通している不動産会社なら、物件の特性を正確に評価し、適切な買取価格を提示してくれる可能性が高くなるでしょう。地域の市場動向を熟知しているため、売却のタイミングについても的確なアドバイスが期待できます。
得意な買取物件の種別
不動産会社によって、得意とする物件の種別が異なります。戸建て住宅に強い会社もあれば、マンションを専門に扱う会社もあります。
所有物件の種別に特化した不動産会社を選ぶことで、物件の価値を最大限に引き出してもらえる可能性が高くなります。特に、特殊な物件や築年数の古い物件を売却する場合は、その種別を得意とする会社を探すことが重要です。
買取価格の実績(公開されていれば)
不動産会社の中には、過去の買取実績を公開しているところがあります。これらの情報は、会社の買取価格の水準を知る上で重要な判断材料です。
ただし、公開されている買取事例は、あくまでも一部の物件に限られます。そのため、実際の買取価格は物件の状態や立地によって大きく異なることを理解しておく必要があります。
買取価格の実績が公開されていない場合でも、不動産会社の担当者に直接聞いてみることをおすすめします。口頭でも、過去の買取事例について教えてもらえる可能性があります。
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まとめ
不動産会社が利益を出しにくいこと、リフォームやリノベーションにコストがかかること、再販売の際にもさまざまな費用が発生することが、買取相場を下げる主な要因です。
ただし、買取には仲介にはないメリットもあります。売却までのスピードが速いこと、内見対応が不要なこと、周囲に知られるリスクが低いことなどは、状況によっては大きな利点となるでしょう。
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運営団体 株式会社ネクスウィル 2019年1月29日設立。訳あり不動産の買取を行う不動産会社。相続やペアローンによる共有持分、空き家、再建築不可物件、借地、底地など、権利関係が複雑な不動産を買い取り、法的知識や専門知識を以って、再度市場に流通させている。 |