「借地権を売りたいが、いくらで売れるのか分からない」「地主に買い取ってもらう場合の相場や、借地権付き建物の売却価格を知りたい」とのお悩みは多く耳にします。
借地権の売却価格に、全国一律の相場が決まっているわけではありません。地主に買い取ってもらう場合は更地価格の50〜70%程度がひとつの目安として示されることがありますが、第三者への仲介売却や不動産会社による買取では、契約条件や地主の承諾条件、建物の状態などによって価格差が大きくなります。
相場を考える際は、更地の実勢価格や国税庁の借地権割合を参考にしつつ、借地権の種類、残存期間、地代、更新条件、売却先などを個別に確認することが重要です。借地権割合から計算した金額も、実際の成約価格を直接示すものではありません。
相場の見方を整理しておけば、提示された査定額が妥当かを比較しやすくなり、条件に合った売却方法も選びやすくなります。
本記事では借地権・訳あり不動産の専門家であるワケガイ編集部が、借地権の売却相場や計算方法、売却時の注意点について解説します。
について今すぐご相談できます。
訳アリ物件専門のワケガイ編集部について
「ワケガイ」のコラムは、相続した空き家、共有持分、再建築不可物件、借地・底地など、いわゆる“訳あり不動産”にお悩みの方が、売却・処分・活用の判断を正しく行えるようにすることを目的に運営しています。私たちは運営会社・株式会社ネクスウィルが訳あり不動産の買取実務で培った一次情報にもとづいた記事づくりを徹底しています。
編集ポリシー・コンテンツ制作方針の詳細借地権の売却相場はいくら?早見表で目安を確認

借地権の売却相場は更地価格の10~50%
借地権の売却相場は、更地価格の10〜50%程度がひとつの目安です。まずは全体の相場感を確認しておきましょう。
| 借地権の条件 | 売却相場の目安(更地価格比) |
| 条件が良い(都市部・権利関係が良好) | 40〜50%前後 |
| 一般的な借地権 | 20〜40%前後 |
| 条件に難あり(地方・制約あり) | 10〜30%前後 |
借地権は土地の所有権ではなく「土地を使う権利」のため、立地や契約条件によって価格差が大きくなります。
同じ借地権でも、地主の承諾条件や残りの借地期間によって査定額は変わります。「更地価格の何割か」という目安と、個別条件の確認をセットで考えることが売却価格を見極めるポイントです。
更地価格の10〜50%が目安となる5つの理由
「更地価格の10〜50%」という範囲は、条件に制約がある借地権や専門業者による買取などを含む場合に見られる目安であり、借地権全体に当てはまる一律の相場ではありません。地主への売却では、更地価格の50〜70%程度が目安として示されるケースもあります。
借地権の売却価格に幅が生じる主な理由は、土地そのものではなく利用する権利を取引することに加え、契約内容や残存期間、地主との条件調整などが査定に影響するためです。
そのため、「更地価格の何%なら適正」と割合だけで判断するより、売却先と契約条件を揃えたうえで査定額を比較するほうが実際の相場を把握しやすくなります。
売却先別の相場一覧(地主・第三者・不動産業者)

地主・第三者・不動産業者ごとに相場がある
借地権は、売却先によって価格の決まり方が異なります。
| 売却先 | 価格の考え方 | 主な注意点 |
|---|---|---|
| 地主 | 更地価格の50〜70%程度がひとつの目安 | どちらから買取を持ちかけたかでも交渉条件が変わる |
| 第三者(仲介・一般買主) | 更地の実勢価格や借地権割合を参考に個別査定 | 賃借権を譲渡する場合は原則として地主の承諾が必要 |
| 不動産業者(買取) | 物件ごとの個別査定 | 再販や権利調整に必要な費用が査定へ反映されやすい |
地主に売却する場合、借地人側から買い取りを申し出るケースでは更地価格の50%程度、地主側から買い取りを打診するケースでは60〜70%程度が目安として示されることがあります。ただし、いずれも法令で決まった価格ではありません。
第三者や不動産業者への売却は、契約内容、残存期間、地代、譲渡承諾条件、住宅ローンの利用しやすさなどによって価格差が生じます。売却価格だけでなく、譲渡承諾料などを差し引いた手残り額まで比較すると判断しやすくなります。
旧法借地権と定期借地権で相場が違う理由
借地権の主な売却方法は、地主への売却、第三者への売却、不動産会社への買取、底地と借地権の同時売却などです。
| 売却方法 | 価格の傾向 | 向いているケース |
|---|---|---|
| 地主に買い取ってもらう | 更地価格の50〜70%程度がひとつの目安 | 地主に購入意思がある |
| 第三者へ売却する | 個別条件によって大きく変動 | 時間をかけて買主を探せる |
| 不動産会社に買い取ってもらう | 仲介より低くなる場合がある | 早期売却や複雑な権利整理を優先する |
| 借地権と底地を同時に売却する | 借地権単独より完全所有権の市場価格に近づきやすい | 地主と共同売却について合意できる |
実際の金額は、借地権割合だけでなく、誰にどの方法で売却するかによっても変わります。査定額だけでなく、売却期間や費用、地主との調整まで含めて比較することが大切です。
借地権の売却先別の相場と特徴
借地権の売却先別の相場と特徴については、以下のとおりです。
| 売却先 | 相場目安(更地価格比) | 向いているケース | 特徴 |
| 地主に買い取ってもらう | 30〜50%程度 | 早く整理したい | 承諾料が不要なことが多く、売却が進みやすいが、価格は下がりやすい |
| 第三者に売却する(仲介) | 50〜70%程度 | 高値売却を狙いたい | 高値を期待しやすいが、地主の承諾料や買主探しが必要 |
| 不動産業者に買い取ってもらう | 30〜50%程度 | すぐ現金化したい | 売却が早く、権利関係が複雑でも対応しやすい |
| 借地権と底地を同時に売却する | 80〜100%程度 | 高値売却を狙いたい | 完全所有権として売れるため、市場価格に近づきやすい |
借地権は、売却先によって「価格」と「売りやすさ」が大きく変わります。高く売りたいなら第三者売却、早く手放したいなら地主や不動産業者への売却という形で、何を優先するかによって選び方が変わります。
借地権は地主との承諾関係も絡むため、相場だけでなく手続きの進めやすさも含めて判断しましょう。
地主に買い取ってもらう場合の相場
地主へ売却する場合は、更地価格の50〜70%程度がひとつの目安です。
ただし、借地人から買い取りを申し出た場合と、地主から買い取りを持ちかけられた場合では交渉条件が異なります。
借地人側から売却を希望する場合は更地価格の50%程度、地主側に土地を一体で利用したい事情があり買い取りを希望する場合は60〜70%程度が目安として示されることがあります。
地主には借地権を任意に買い取る義務があるわけではないため、最終的な価格は双方の合意によって決まります。地主への売却では第三者への譲渡に伴う承諾手続きが不要になるため、売却価格だけでなく手続きや費用を含めた条件を確認するとよいでしょう。
第三者に売却する場合の相場
第三者への売却には、全国一律に適用できる固定の相場はありません。
更地の実勢価格や借地権割合を参考にしながら、残存期間、地代、更新条件、建物の状態、地主の承諾条件などを加味して価格を決めます。
条件の良い借地権であれば地主への売却より高い価格で成約する可能性もありますが、買主が住宅ローンを利用できるかどうかなども価格へ影響します。
また、土地の賃借権を内容とする借地権を第三者へ譲渡する場合は、地主の承諾が原則として必要です。売却価格だけでなく、譲渡承諾料などを控除した後の手残り額で比較することが重要です。
等価交換で売却する場合の相場
等価交換は、借地権と底地を一本化し、その後の土地や建物を一定割合で分ける方法です。
権利調整後の資産価値で評価され、借地権単独で売るより有利になることがあります。
| 項目 | 内容 |
| 相場の目安 | 借地権単独売却より高くなることがある |
| 向いているケース | 地主と協議ができる・再開発や建て替えを検討している |
| メリット | 権利関係を整理しやすい |
| 注意点 | 地主との合意が前提 |
借地権と底地を別々に持ったままだと売却価格が伸びにくい場合でも、等価交換で権利を整理すると、土地全体の価値を活かしやすくなります。
ただし、地主との合意や専門的な権利調整が必要になるため、一般的な借地権売却より手続きは複雑です。
底地と同時売却する場合の相場
地主と借地人が協力して底地と借地権を同時に売却すると、買主は土地の完全な所有権を取得できるため、借地権だけを売却する場合より市場価格に近づきやすくなります。
ただし、「更地価格の何%」と一律に決まるわけではありません。物件全体の売却価格に加えて、地主と借地人が売却代金をどの割合で分けるかについても協議が必要です。
事前に分配方法まで合意しておけば、売却後の金銭トラブルを防ぎやすくなります。
不動産買取業者に売却する場合の相場
不動産買取業者への売却価格は、物件ごとの差が大きいため一律の割合では判断できません。
買取業者は、取得後の権利調整や再販売に必要な費用・リスクを織り込んで査定します。そのため、一般の買主へ仲介で売却する場合より価格が低くなることがあります。
一方、地主との関係が難しい、建物が老朽化している、通常の仲介では買主を見つけにくいといった物件でも査定対象になる場合があります。価格だけでなく、売却までの期間や売主側で必要となる対応も含めて比較することがポイントです。
借地権の売却相場を自分で計算する方法

借地権の売却相場の計算方法は2つ
借地権の価格を考える際は、「税務上の評価額」と「実際の売却価格」を分けて考える必要があります。
国税庁の借地権割合は、相続税・贈与税における財産評価で用いる指標です。売却価格を法律上決定する割合ではありませんが、借地権の価値を検討するときの参考材料として利用されています。
借地権割合を使って計算する方法

(出典:国税庁「路線価図・評価倍率表」)
国税庁の財産評価では、普通借地権の価額を「自用地としての価額×借地権割合」で計算します。
たとえば、相続税評価上の自用地価額が3,000万円、借地権割合が60%であれば、借地権の評価額は次のとおりです。
3,000万円 × 60% = 1,800万円
ここで算出される1,800万円は、相続税・贈与税の財産評価上の借地権価額です。実際に1,800万円で売却できることを保証する金額ではありません。
実際の売却では、土地の実勢価格、残存期間、地代、更新条件、地主の承諾条件、建物の状態なども査定へ反映されます。借地権割合は「価格を検討するための基準のひとつ」と捉えるのが適切です。
関連記事:底地を売却する方法とは?売却のメリットや注意点を紹介
路線価図から借地権割合を調べる手順
借地権割合は、国税庁の路線価図で確認できます。路線価の数字に付されたアルファベットが借地権割合を表し、A=90%、B=80%、C=70%、D=60%、E=50%、F=40%、G=30%です。
たとえば、「300D」であれば、路線価が1㎡あたり300千円、借地権割合が60%であることを示します。
ただし、路線価自体も相続税や贈与税の評価に用いる価格です。路線価から求めた金額を、そのまま市場での更地価格や売却価格とみなさないようにしましょう。
更地価格を目安に簡易計算する方法
更地として売却した場合の実勢価格が分かっているなら、その価格と借地権割合を使って借地権の価値を概算する方法があります。
たとえば、更地の実勢価格が3,000万円で、地域の借地権割合が60%なら、
3,000万円 × 60% = 1,800万円
をひとつの参考値にできます。
ただし、これは成約価格を決める計算式ではありません。実際の査定では、契約期間、地代、更新料、譲渡条件、建物の価値などを加味するため、参考値より高くなる場合も低くなる場合もあります。
「更地価格の50%」と固定して計算するより、所在地の借地権割合と個別条件を確認したほうが精度の高い判断につながります。
【シミュレーション】土地評価3,000万円の場合
相続税評価上の自用地価額が3,000万円の場合、借地権割合による評価額は以下のように変わります。
| 借地権割合 | 計算式 | 相続税評価上の借地権価額 |
|---|---|---|
| 70% | 3,000万円×70% | 2,100万円 |
| 60% | 3,000万円×60% | 1,800万円 |
| 50% | 3,000万円×50% | 1,500万円 |
| 40% | 3,000万円×40% | 1,200万円 |
この表で分かるのは、借地権割合による税務上の評価額の違いです。実際の売却価格を比較するときは、更地の実勢価格や売却先、契約条件なども別途確認する必要があります。
借地権の売却相場が下がる5つの要因

借地権の売却相場が下がる主な要因については、主に以下の5つが挙げられます。
- 残存期間が短い
- 地代や更新料が高い
- 地主との関係が悪化している
- 建物の老朽化が進んでいる
- 再建築や増改築に制限がある
借地権は、更地価格や借地権割合だけで売却価格が決まるわけではありません。買主から見て「購入後に使いにくい」「負担が大きい」と判断される条件があると、相場は下がりやすくなります。
売却前にどの条件が価格に影響するのか把握しておくと、その後の売却方法も選びやすくなりますので、しっかりと確認しましょう。
残存期間が短い
借地権は、残りの契約期間が短いほど相場が下がりやすくなります。
| 残存期間の目安 | 相場への影響 | 買主からの見え方 |
| 20年以上 | 比較的高くなりやすい | 長く利用できる |
| 10〜20年 | 標準的 | 条件次第 |
| 10年未満 | 下がりやすい | 更新リスクが大きい |
定期借地権は、契約満了後に土地を返還する前提のため、残存期間が短くなるほど価格が下がりやすくなります。
普通借地権でも、更新条件が不透明な場合は買主が慎重になるため、契約書で残りの借地期間と更新条件を確認しておくことが大切です。
地代や更新料が高い
借地権は、地代や更新料が高いほど相場が下がりやすくなります。 買主にとって購入後の維持費負担が大きくなるため、購入希望者が減りやすくなることが理由です。
| 費用項目 | 相場への影響 | 確認すべきこと |
| 地代が相場並み | 大きな影響は出にくい | 毎月の支払額 |
| 地代が高い | 下がりやすい | 周辺相場との差 |
| 更新料が低い・明確 | 影響が出にくい | 更新条件 |
| 更新料が高い・不透明 | 下がりやすい | 更新時の負担額 |
売却価格が同程度の借地権でも、毎月の地代が高い物件は、住宅ローンに加えて固定費が増えるため買主が付きにくくなります。価格交渉をスムーズにするため、地代と更新条件を整理しておきましょう。
地主との関係が悪化している
借地権は、地主との関係が悪化していると相場が下がりやすくなります。 借地権の売却では地主の譲渡承諾が必要になるケースが多く、関係がこじれていると売却手続きが進みにくくなるからです。
| 状況 | 相場への影響 | 買主が気にする点 |
| 関係が良好 | 大きな影響は出にくい | 承諾が得やすい |
| 条件交渉が難しい | やや下がりやすい | 承諾料・条件面 |
| トラブルがある | 下がりやすい | 売却後の関係悪化リスク |
借地権は購入後も地主との関係が続くため、権利内容だけでなく人間関係も売却価格に影響するのが特徴です。
売却前に、地主との契約条件や過去のやり取りを整理しておくと判断しやすくなります。
建物の老朽化が進んでいる
借地権付き建物は、建物の老朽化が進んでいると相場が下がりやすくなります。 建物に価値がなくなるだけでなく、解体費用や建て替え制限まで買主が考慮するためです。
| 建物の状態 | 相場への影響 | 買主からの見え方 |
| そのまま居住可能 | 比較的高くなりやすい | すぐ使える |
| 修繕が必要 | やや下がりやすい | 修繕費がかかる |
| 老朽化が激しい | 下がりやすい | 解体前提になる |
特に借地権付き建物は、「建物を解体して更地にすればよい」という単純な話になりません。
建て替え時に地主承諾が必要なケースもあり、古い建物ほど買主からの負担感が大きくなります。雨漏りや傾き、設備の故障がある場合は、建物付きの価値ではなく“負担付き借地権”として見られることもあります。
再建築や増改築に制限がある
借地権は、再建築や増改築に制限があると相場が下がりやすくなります。 買主が自由に建物を建て替えたり、リフォームしたりできないと、活用の幅が狭くなるからです。
| 制限内容 | 相場への影響 | 確認すべきこと |
| 制限が少ない | 大きな影響は出にくい | 契約条件 |
| 地主承諾が必要 | やや下がりやすい | 承諾料・手続き |
| 再建築不可・制限が強い | 下がりやすい | 建築可否・法的条件 |
「建て替えには地主承諾が必要」「増改築に細かい条件がある」「接道義務を満たさず再建築できない」といった借地権は、買主が限られやすくなります。
特に古い借地契約では、契約書に厳しい制限が入っていることもあるため、売却前に再建築や増改築の条件を確認しておきましょう。
借地権付き住宅の売却方法
借地権付き住宅の売却方法は、以下のとおりです。
- 地主に買い取ってもらう
- 等価交換をする
- 借地権と底地をいっしょに売却する
- 不動産業者に売却する
借地権付き住宅は、一般的な不動産のように自由に売却できるとは限りません。
地主との関係や権利調整が必要になるため、「高く売りたいのか」「早く手放したいのか」によって選ぶ方法が変わります。それぞれの特徴を確認し、自分に合った方法を選びましょう。
地主に買い取ってもらう
地主への売却は、借地権を比較的スムーズに整理しやすい方法です。地主にとっては、借地権を買い取ることで底地と権利を一本化できるため、条件がまとまれば売却が進みやすくなります。
| 確認ポイント | 内容 |
| 向いているケース | 早く手放したい |
| メリット | 売却交渉がまとまりやすい |
| 注意点 | 相場より安くなることがある |
建物が老朽化している場合は、解体して更地にしたうえで借地権を売却するケースもあります。ただし、解体費用の負担は契約内容によって異なるため、事前に確認しておきましょう。
一方で、建物が比較的新しい場合は、建物付きのまま売却できることもあります。解体を前提にせず、地主との協議や不動産会社の査定を踏まえて判断すると進めやすくなります。
等価交換をする
等価交換は、借地権と底地を一定の割合で交換し、権利関係を整理する方法です。地主と借地人が協議したうえで、土地を分筆してそれぞれ所有する形になることもあります。
| 確認ポイント | 内容 |
| 向いているケース | 地主と協議できる・権利整理をしたい |
| メリット | 借地権を単独で売るより有利になることがある |
| 注意点 | 権利割合や税金の確認が必要 |
借地権と底地をそのまま持ち続けると、どちらも単独では売却しにくいことがあります。等価交換で権利関係を整理すると、その後の売却や活用を進めやすくなるケースがあります。
なお、交換差金(不足分の金銭)を支払う場合は、譲渡所得税などの課税対象になることがあります。税金が発生するケースもあるため、事前に確認しておくと安心です。
借地権と底地をいっしょに売却する
借地権と底地を同時に売却する方法は、借地権単独より高値で売りやすい方法です。
| 確認ポイント | 内容 |
| 向いているケース | 高値売却を狙いたい |
| メリット | 更地価格に近い価格を期待しやすい |
| 注意点 | 地主との協議が必要 |
売却代金は、一般的に借地権割合をもとに分配されますが、地主と借地人が合意すれば別の割合にすることも可能です。
地主が売却に消極的な場合でも、借地権単独より高値で売れる可能性があることを踏まえて交渉すると、話が進みやすくなることがあります。
専門の不動産業者に売却する
地主が借地権の買い取りに応じない場合は、借地権の取り扱いに詳しい不動産業者を通じて第三者に売却する方法があります。
| 確認ポイント | 内容 |
| 向いているケース | 地主が買い取らない・早く売却したい |
| メリット | 借地権の売却先を探しやすい |
| 注意点 | 地主の承諾や条件調整が必要 |
借地権は個人へ売却することも可能ですが、借地権付き住宅を購入したい個人は限られます。
ただし、地主に相談せずに第三者への売却を進めると、トラブルになることがあります。まずは地主に売却の意向を伝え、条件を確認したうえで進めることが大切です。
不動産業者を通じて売却する際は、主に以下の承諾が必要になることがあります。
| 必要な承諾 | 内容 |
| 譲渡の承諾 | 借地権を第三者へ売却する承諾 |
| 建物建て替えの承諾 | 建て替え・増改築を行う場合の承諾 |
| 抵当権設定の承諾 | 買主が住宅ローンを利用する際の承諾 |
特に、抵当権設定の承諾が得られないと、買主が住宅ローンを組みにくくなり、売却が進みにくくなることがあります。
借地権付き住宅を売るときの流れ

借地権付き住宅の売却では、地主への打診や承諾、不動産会社への相談を経て売買契約へ進みます。
借地権付き住宅を売却する流れは、次のとおり大別されます。
- 手順①:地主に借地権の買い取りを打診する
- 手順②:地主に売却の許可を得る
- 手順③:不動産会社に相談し、査定依頼する
- 手順④:地主に譲渡承諾料を支払う
- 手順⑤:売買契約を締結する
借地権付き住宅の売却は、一般的な不動産売却と違い、地主との権利調整が必要になる点が特徴です。
特に、譲渡承諾や承諾料の条件が売却価格や手続きに影響するため、契約内容を整理したうえで、不動産会社と相談しながら進めるのが現実的です。それぞれの流れを順番に見ていきましょう。
手順①:地主に借地権の買い取りを打診する
まず、地主に借地権の買い取りを打診します。 借地権の売却では、地主の意向によって売却方法が変わるため、最初に確認しておく必要があります。
| 確認項目 | 内容 |
| 地主の買い取り意思 | 借地権を直接買い取る意向があるか |
| 底地の売却意思 | 底地も含めて売却できるか |
| 売却方法への影響 | 地主売却・同時売却・第三者売却の判断材料になる |
地主が底地も手放す意向がある場合は、借地権と底地の同時売却を検討する方法もあります。
借地権単独より高値で売れることもあるため、この段階で地主の意向を確認しておくと、その後の進め方を判断しやすくなります。
手順②:地主に売却の許可を得る
地主が買い取る意思や底地と同時に売却する意思がない場合は、第三者への売却条件を確認します。
特に確認したいのは、借地権の内容が地上権なのか土地の賃借権なのかという点です。借地借家法上の借地権には両方が含まれますが、土地の賃借権を第三者へ譲渡する場合は、民法612条により賃貸人である地主の承諾が原則として必要です。
契約書や登記事項証明書を確認し、譲渡承諾の可否だけでなく、承諾に伴う条件や更新条件についても整理しておくと、その後の売却手続きを進めやすくなります。
手順③:不動産会社に相談し、査定依頼する
地主から売却の許可を得た後は、借地権の取り扱いに精通した不動産会社に相談し、査定を受けます。
| 確認項目 | 内容 |
| 査定額 | 借地権の相場を確認する |
| 売却方法 | 仲介・買取・地主売却など |
| 会社の実績 | 借地権の取り扱い経験があるか |
借地権は、一般的な不動産より権利関係が複雑なため、査定額に差が出ることがあります。
借地権の価値は所有権の土地より低く評価されることもあるため、借地権に強い不動産会社へ相談し、売却方法まで含めて比較することがポイントです。複数社に査定を依頼すると、相場も把握しやすくなります。
手順④:地主に譲渡承諾料を支払う
土地の賃借権を第三者へ譲渡する際、地主が承諾条件として譲渡承諾料を求めることがあります。
譲渡承諾料は法律で一律に金額や支払義務が定められている費用ではなく、契約内容や地主との協議によって決まるものです。実務では借地権価格の10%程度が目安として示されることがありますが、承諾料が不要なケースや異なる割合になるケースもあります。
そのため、売却価格だけでなく、承諾料の金額・支払時期・その他の承諾条件を事前に確認しておくことが重要です。
手順⑤:売買契約をする
地主との譲渡条件が確定したら、買主と借地権付き建物の売買契約を締結します。
契約では売買価格だけでなく、地主の承諾を得ることを条件とするか、譲渡承諾料を誰がいつ負担するか、引き渡し時期をどうするかなども確認します。
その後、契約で定めた条件を満たしたうえで決済と引き渡しを行います。
借地権売却にかかる税金と3,000万円特別控除
借地権を売却して利益が出た場合は、譲渡所得税(所得税・住民税・復興特別所得税)がかかります。
ただし、借地権付き建物がマイホーム(居住用財産)に該当する場合は、譲渡所得から最大3,000万円を差し引ける特別控除が使えることがあります。
(参考:国税庁「マイホームを売ったときの特例」)
借地権売却で確認したい税金のポイントは、以下のとおりです。
- 譲渡所得税の計算方法
- 3,000万円特別控除の適用条件
- 所有期間による税率の違い
借地権は「売却代金=そのまま課税」ではなく、取得費や売却費用を差し引いた利益(譲渡所得)に対して課税されます。
さらに、居住用財産の特例が使えるかどうかで税額が大きく変わるため、売却前に計算の仕組みを把握しておくことが大切です。
譲渡所得税の計算方法
借地権売却でかかる税金は、売却価格そのものではなく「譲渡所得(利益)」に対して課税されます。計算の基本は以下のとおりです。
| 項目 | 内容 |
| 売却価格(収入金額) | 借地権を売った金額 |
| 取得費 | 借地権の取得費・購入費など |
| 譲渡費用 | 仲介手数料・印紙代など |
| 計算式 | 売却価格 −(取得費+譲渡費用)=譲渡所得 |
(参考:国税庁「土地や建物を売ったとき」)
さらに、居住用財産の3,000万円特別控除が使える場合は、以下の形になります。
- 課税譲渡所得=売却価格−(取得費+譲渡費用)−3,000万円
(参考:国税庁「マイホームを売ったときの特例」)
なお、3,000万円特別控除は居住用財産に該当する場合のみ適用されるため、借地権なら必ず使えるわけではない点には注意しましょう。
マイホーム3,000万円特別控除の適用条件
借地権付き建物がマイホーム(居住用財産)に該当する場合は、譲渡所得から最大3,000万円を差し引ける特別控除が使えることがあります。利益が3,000万円以下なら、譲渡所得税が発生しないケースもあります。
| 主な適用条件 | 内容 |
| 居住用財産である | 自分が住んでいた家屋とその借地権である |
| 売却期限 | 住まなくなった日から3年後の12月31日までに売却 |
| 売却相手 | 親子・夫婦など特別な関係者への売却は対象外 |
| 特例の利用状況 | 前年・前々年に同じ特例を使っていない |
| 確定申告 | 特例を使うには申告が必要 |
特に注意したいのは、借地権なら自動的に使える制度ではないという点です。あくまで「居住用財産」の条件を満たす必要があります。
賃貸用の借地権や親族間売買では適用できないため、売却前に条件を確認しておきましょう。なお、この特例は所有期間の長短に関係なく適用可能です。
所有期間による税率の違い
借地権売却で利益が出た場合の税率は、所有期間が5年を超えるかどうかで大きく変わります。5年を超えると長期譲渡所得となり、税率が大きく下がります。
| 所有期間 | 区分 | 税率(所得税・住民税・復興特別所得税含む) |
| 5年以下 | 短期譲渡所得 | 約39.63% |
| 5年超 | 長期譲渡所得 | 約20.315% |
(参考:国税庁「短期譲渡所得の税額の計算/長期譲渡所得の税額の計算」)
所有期間の違いだけで税額が大きく変わるため、売却時期の判断にも影響します。なお、判定基準は「売却した年の1月1日時点」で所有期間5年を超えているかどうかです。
地主が売却を拒否する場合の対処法
地主が売却を拒否する場合の主な対処法については、以下のとおりです。
| 対処法 | 向いているケース | 特徴 |
| 借地非訟手続きで裁判所の許可を得る | 地主が承諾しない | 裁判所の許可で売却できる可能性がある |
| 専門の買取業者に相談する | 権利関係が複雑・早く売りたい | 買取や交渉を含めて相談しやすい |
借地権は、地主の承諾が必要になるケースが多いため、地主が売却に反対すると手続きが進まなくなることがあります。
ただし、地主が承諾しないからといって、必ず売却できなくなるわけではありません。裁判所の手続きや借地権専門の業者を活用する方法もあるため、状況に応じて対処法を検討しましょう。
借地非訟手続きで裁判所の許可を得る
土地の賃借権を内容とする借地権について地主の譲渡承諾を得られない場合でも、一定の要件を満たせば、借地借家法19条に基づいて裁判所へ承諾に代わる許可を申し立てられます。
対象となるのは、借地上の建物を第三者へ譲渡し、その第三者が賃借権を取得または転借しても地主に不利となるおそれがないにもかかわらず、地主が承諾しない場合です。
裁判所は、賃借権の残存期間やこれまでの借地関係、譲渡を必要とする事情などを考慮して判断します。また、許可にあたって借地条件の変更や財産上の給付を命じる場合もあります。
したがって、「地主が正当な理由なく拒否した場合だけ利用できる制度」と単純に判断するのではなく、個別事情を踏まえて利用可否を確認する必要があります。
専門の買取業者に相談する

地主との交渉が難しい場合は、借地権や底地に強い専門の買取業者へ相談する方法もあります。一般的な不動産会社より、権利関係が複雑な案件に対応していることがあります。
| 確認ポイント | 内容 |
| 向いているケース | 地主との関係が悪い・権利関係が複雑 |
| メリット | 売却や交渉をまとめて相談しやすい |
| 注意点 | 買取価格は低くなりやすい |
借地権専門の業者は、借地権の買取だけでなく、地主との交渉や底地との調整まで含めて対応しているケースがあります。
訳あり物件の買取専門サービスであるワケガイでは、借地権付戸建の買取実績もあります。借地権があるためどの業者も買い取ってくれないとお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
借地権を高く売るための4つのコツ
借地権を高く売るためのコツについては、以下のとおりです。
- 地主との交渉を円滑に進める
- 借地権専門の不動産会社に依頼する
- 底地との同時売却も検討する
- 複数の売却方法を比較する
借地権は、一般的な土地や建物と違い、地主との関係や権利調整が売却価格に大きく影響します。
少しでも高く売りたい場合は、事前の準備や売却先の選び方も確認しておきましょう。
地主との交渉を円滑に進める
借地権を高く売るには、地主との交渉を円滑に進めることが有利です。 借地権の第三者売却では地主の譲渡承諾が必要になるケースが多く、ここで条件がまとまらないと売却価格が下がったり、買主が離れたりすることがあります。
| 確認ポイント | 売却への影響 | 事前に確認したいこと |
| 譲渡承諾の可否 | 売却の進みやすさに影響 | 承諾の意向 |
| 承諾料の金額 | 買主負担に影響 | 相場・支払条件 |
| 更新条件 | 将来の価値に影響 | 更新料・更新時期 |
一例を挙げると、承諾料が高すぎたり、地主が譲渡に消極的だったりすると、買主にとって負担が大きくなり価格交渉で不利になります。
逆に、条件が整理されている借地権は買主も検討しやすくなります。売却前に地主との条件を確認し、交渉の見通しを立てておくことが高値売却につながります。
借地権専門の不動産会社に依頼する
借地権を高く売りたいなら、借地権専門の不動産会社に依頼する方法も有効です。
| 比較ポイント | 一般的な不動産会社 | 借地権専門の不動産会社 |
| 借地権の知識 | 会社によって差がある | 実績が多い傾向 |
| 地主との交渉 | 対応に差がある | 交渉経験が豊富なことがある |
| 売却方法の提案 | 仲介中心になりやすい | 買取・底地同時売却なども提案しやすい |
借地権は一般的な不動産仲介より権利関係が複雑なため、経験の少ない会社では適正価格で売却しにくいことがあります。
借地権に強い会社なら、単純な査定額だけでなく、どの売却方法が有利かまで比較しやすいのが特徴です。依頼する際は、借地権や底地の取り扱い実績があるかを確認しましょう。
売却前に契約内容を整理しておく
借地権を高く売るには、売却前に契約内容を整理しておくことが有効です。 契約条件が曖昧なままだと、買主が不安を感じたり、査定額が下がったりすることがあります。
| 確認項目 | 売却への影響 | 事前に確認したいこと |
| 借地期間 | 価格に影響しやすい | 残存期間・更新時期 |
| 地代・更新料 | 買主負担に影響 | 支払額・改定条件 |
| 譲渡承諾 | 売却の進みやすさに影響 | 承諾の可否・承諾料 |
| 増改築条件 | 活用のしやすさに影響 | 制限の有無 |
売却前に契約内容を整理し、説明できる状態にしておくことで、買主からの不安を減らしやすくなります。
複数社の査定を比較する
借地権を高く売るには、以下の観点から複数社の査定を比較することが有効です。
| 比較ポイント | 確認したいこと |
| 査定額 | 金額に大きな差がないか |
| 売却方法 | 仲介・買取・地主売却などの提案内容 |
| 借地権の実績 | 借地権・底地案件の経験があるか |
| 査定根拠 | なぜその価格になるのか |
借地権は不動産会社によって査定額や売却方法の提案が大きく変わることがあるため、1社だけで判断すると相場より安く売ってしまうことがあります。
査定額だけを見るのではなく、売却方法や査定根拠まで比較することで、より有利な売却先を選びやすくなります。 最低でも2〜3社程度は比較しておくと判断しやすくなります。
借地権売却相場についてよくある質問
借地権売却相場についてよくある質問は、以下のとおりです。
- 借地権割合で計算した金額がそのまま売却価格になりますか?
- 借地権はなぜ売却できるのですか?
- 借地権の取得費が分からない場合、税金はどう計算しますか?
それでは、それぞれの質問とその回答を紹介します。
借地権割合で計算した金額がそのまま売却価格になりますか?
借地権割合から計算した金額が、そのまま実際の売却価格になるわけではありません。国税庁の借地権割合は、相続税や贈与税の財産評価で借地権を評価するために使われる指標です。売却価格を検討する際の参考にはできますが、実際の成約価格は更地の実勢価格や残存期間、地代、地主の承諾条件、建物の状態、売却先などによって変わります。査定額を判断するときは、借地権割合による計算結果だけでなく、同じ条件で複数の売却方法を比較すると相場を把握しやすくなります。
借地権はなぜ売却できるのですか?
借地権は、土地そのものではなく、建物を所有するために土地を利用する権利として法律上認められているため、一定の条件のもとで第三者へ移転できます。借地借家法では、借地権を「建物の所有を目的とする地上権または土地の賃借権」と定めています。このうち土地の賃借権を第三者へ譲渡する場合は、地主の承諾が原則として必要です。つまり、土地の所有権そのものを売るのではなく、借地上の建物と、その土地を利用する権利を引き継いでもらう形で取引されます。
借地権の取得費が分からない場合、税金はどう計算しますか?
売却した土地・建物の取得費が分からない場合には、一定のケースで売却代金の5%相当額を概算取得費として計算できます。たとえば、対象となる資産を3,000万円で売却し、取得費を確認できない場合は、150万円を概算取得費とする方法があります。実際の取得費を証明できれば税額が変わる可能性があるため、古い売買契約書や領収書などが残っていないか確認したうえで計算することが重要です。
借地権売却の相場のまとめ
借地権付き住宅は、地主にも借地人にもあらゆる権利が設定されているため、理解した上で進めないとトラブルになってしまうことがあります。
借地権に精通しているプロに頼ることで、地主との関係悪化を防ぎながらスムーズに手放すことが可能。
「借地権付き住宅を地主が買い取ってくれない」「売却の承諾をしてくれない」などでお困りの場合はプロに相談しましょう。
本ブログで情報発信を行っている「ワケガイ」は、訳あり物件を積極的に買い取っている専門業者です。所有物件についてお悩みの方は、訳あり物件の買取に特化したワケガイに、ぜひお問い合わせください。












