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借地権付きの建物に住んでいる場合、「売却したいけれど、どうしたらいいのかわからない」というケースがあるのではないでしょうか。
借地権の売却は法的な権利関係を理解した上で進めなければ、地主とトラブルになってしまう可能性が懸念されます。
そこで今回は、借地権の基本的知識について解説します。「地主が借地権の買い取りをしてくれない」「売却の承諾をしてくれない」というケースを含め、どのように借地権付き住宅を手放せばいいのかを紹介しますので、ぜひお役立てください。
借地権とは
地権とは、土地を借りるための権利を意味します。この権利を持つと、「借地権付き建物」の形式で、建物のみを所有し、その土地の所有者は地主となります。この場合、借地人(土地を借りる人)は定期的に地主に土地の使用料(地代)を支払う義務があります。
借地権と共に守られている権利
借地権の下では、地上権や賃借権といった追加の権利もしばしば関連します。地上権は、他人の土地上に建物を所有する権利であり、この権利を持つ人は地代の支払い義務が発生することがあります。
地上権を持つ者は、その土地を利用する権利を他人に譲渡することも可能。一方、賃借権は賃貸借契約に基づく権利で、所有者が変わっても賃借人は居住の権利を保持し続けられますが、代わりに賃料の支払い義務も負います。
借地権付き住宅のメリット
借地権付き住宅は、賃貸マンションやアパートよりも、しばしば地代が安価になるため、コストを抑えやすいという利点があります。土地に関連する税金は地主が負担するため、借地人には影響しません。
しかし、建物に対する税金は借地人が負担する必要があります。借地借家法によって、借地権者の権利は保護されており、地主の都合で土地を返還するよう要求されても、法律で権利が保護されているため、拒否できます。
借地権には、普通借地権と定期借地権の2種類があります。普通借地権は20年以上の長期契約が可能で、更新も10年以上行えます。対照的に、定期借地権は更新ができず、契約終了時には土地を更地にして地主に返す必要があります。
関連記事:借地権付き建物とは?メリット・デメリット、売却方法を詳しく解説
借地権付き住宅のデメリット
一方で、借地権付き住宅には以下のようなデメリットが存在します。
- 地代を支払う必要がある
- 増改築時に承諾とコストが発生する
- 建て替え時にも承諾とコストが発生する
- 更新料がかかる
- 自由に活用できない
- 担保としての価値が低い
次項より、個別にみていきましょう。
地代を支払う必要がある
借地権の下で、借地人は土地の使用料として地主に毎月地代を支払う必要があります。この地代は、双方の合意があれば変更可能ですが、基本的には契約に基づいて定期的に支払われるものです。
増改築時に承諾とコストが発生する
借地上の建物は借地人が所有するものの、増改築には一定の制限があります。小規模なリフォームや修繕は問題ありませんが、床面積を変更するような大規模な改築には地主の承諾が必要です。
これに伴い、「増改築承諾料」が必要になる場合もあり、その額は地主との協議で決定されます。
建て替え時にも承諾とコストが発生する
増改築だけでなく、建物の建て替え時にも地主の承諾が求められます。建て替え承諾料の支払いが必要になることがあります。
特に、構造を変更する大幅な建て替えでは、借地契約の条件変更が生じるため、「条件変更料」が発生する可能性もあるでしょう。
更新料がかかる
借地権契約の更新時には、更新料が発生することがあります。更新料の目安は、土地の時価の3~5%程度とされていますが、地域や地主との交渉により変動することも。
特に首都圏などの都市部では更新料が高くなる傾向も見受けられます。
関連記事:借地権の更新手続きはどうすればいい?メリット・デメリットも合わせて解説
自由に活用できない
借地権を持つ場合、土地が自己の所有物ではないため、リフォームや建て替えには地主の許可が必要になります。
これにより、増改築、建て替え、契約更新など、さまざまな場面で追加のコストが発生する可能性があり、借地人にとっては負担となるでしょう
担保としての価値が低い
借地権付き住宅は、不動産としての価値が低いため、ローンの担保としての価値も低くなります。通常、抵当権は土地や建物に設定されます。
借地権の場合、土地の所有権がないため、抵当権の設定が難しく、建物のみでは価値が低く見積もられるため、融資が受けにくい場合があります。
借地権付き住宅の売却方法
「借地権付き住宅を手放したい」と考えた際に、売却する方法としては以下のものが存在します。
- 地主に買い取ってもらう
- 等価交換をする
- 借地権と底地をいっしょに売却する
- 不動産業者に売却する
次項より、個別にみていきましょう。
地主に買い取ってもらう
借地権を地主に売却する方法は、地主に借地権を買い戻す権利が優先されるため、比較的スムーズな解決策です。多くの借地人がこの方法で借地権付き住宅を手放しています。
建物が老朽化した場合、一般的には更地にしてから借地権を売却します。解体費用の負担に関しては、通常は借地人が担当しますが、契約内容によっては地主が負担することもあるため、事前に確認することが重要です。
地主に借地権を売却する際、建物が比較的新しい場合は、建物も含めて売却できる可能性があります。解体する前に地主と協議し、必要であれば不動産業者に査定を依頼し、適切な価格で交渉を行うことが望ましいといえます。
等価交換をする
借地権と底地を等価で交換し、借地権を手放す方法もあります。この際、土地を分筆して分けることが可能です。金銭(交換差金)を支払えば、自分の権利割合を増やすこともできます。その場合は「等価交換」とは見なされず、譲渡所得税などの課税対象になる可能性があるため注意が必要です。
借地権と底地をいっしょに売却する
地主と借地人が協力して、借地権と底地を第三者に売却する方法もあります。借地権や底地を単独で売却すると価値が低下しますが、同時に売却すれば通常の市場価値での売却が期待できます。
この場合、売却額の分配は通常、借地権の割合に基づいて行われますが、両者の同意があれば割合の変更が可能。ただし、地主が売却に積極的でない場合は、市場価値での売却のメリットを伝えて交渉を進めることが重要です。
不動産業者に売却する
地主が買い取りに応じない場合、不動産業者を通じて第三者に売却する方法があります。個人への売却も可能ですが、借地権の買い取りを希望する個人は少ないため、不動産業者を利用する方が効率的です。
ただし、いきなり第三者への売却を進めるとトラブルの原因になるため、最初に地主に相談し、売却の同意を得ることが重要。
不動産業者に売却する際は、地主から「譲渡の承諾」「建物建て替えの承諾」「抵当権設定の承諾」を得る必要があります。
借地権付き住宅を売るときの流れ
借地権付き住宅を売却する流れは、次のとおり大別されます。
- 手順①:地主に借地権の買い取りを打診する
- 手順②:地主に売却の許可を得る
- 手順③:不動産会社に相談・査定
- 手順④:地主に譲渡承諾料を支払う
- 手順⑤:売買契約をする
それぞれ、個別にみていきましょう。
手順①:地主に借地権の買い取りを打診する
まず、地主に借地権の買い取りを打診します。地主の意向は売却プロセスにおいて重要であり、地主が底地を手放す意向がある場合は、借地権と底地の同時売却を提案するのがよいでしょう。
手順②:地主に売却の許可を得る
地主が買い取る意思や底地と同時に売却する意思がない場合は、借地権を第三者に売却する許可を得る必要があります。
手順③:不動産会社に相談・査定
地主から売却の許可を得た後、借地権の取り扱いに精通した不動産会社に相談し、査定を受けます。借地権の価値は一般の不動産より低い可能性があるため、専門家のアドバイスが重要です。
手順④:地主に譲渡承諾料を支払う
借地権の譲渡には、地主への譲渡承諾料の支払いが求められます。この料金は一般的に借地権価格の約10%とされていますが、実際の金額は地主との交渉によります。
手順⑤:売買契約をする
地主に譲渡承諾料を支払ったら、不動産会社と借地権の売買契約を交わします。決済・引き渡しをすれば、借地権付き住宅の売却が完了です。
地主が売却を拒否する場合の対処法
「借地権付き住宅を売るときの流れ」では地主が売却に同意している状況が前提です。しかし、地主が売却の承諾を拒否する場合、借地人は「借地借家法」に基づいて裁判所への申し立てが可能。
この場合、まず地主から売却の承諾を得られなかった際に裁判所に申し立てを行います。裁判所が事情を精査し、問題がないと判断すれば「借地権譲渡承諾に代わる許可制度」によって譲渡承諾許可が下りる可能性があります。
ただし、この場合でも地主に譲渡承諾料を支払う必要が生じます。
借地権の買い取り相場とは
借地権は、一体いくらくらいで売れるのでしょうか。ここからは、借地権の買い取り相場を紹介します。
不動産の50%程度
借地権の買い取り相場は一概には決められませんが、一般的には「不動産価値の50%程度」と言われています。
ただし、専門業者による買い取りは再利用を前提としているため、再利用からの収益を考慮して価格が決まり、市場価格より低くなることもあります。
借地権割合をもとに計算
借地権の買い取り価格は「借地権割合」に基づいて概算することも可能です。借地権割合とは、土地全体のうち借地が占める割合を指し、相続税や贈与税の算出にも使用されます。
この割合は国税庁の「路線価図・評価倍率表」を参照して求められます。計算式は以下のとおりです。
【借地権割合の算出方法】
- 更地評価 -(更地評価 × 借地権割合)
まとめ
借地権付き住宅は、地主にも借地人にもあらゆる権利が設定されているため、理解した上で進めないとトラブルになってしまうことがあります。
借地権に精通しているプロに頼ることで、地主との関係悪化を防ぎながらスムーズに手放すことが可能。
「借地権付き住宅を地主が買い取ってくれない」「売却の承諾をしてくれない」などでお困りの場合はプロに相談しましょう。
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運営団体 株式会社ネクスウィル 2019年1月29日設立。訳あり不動産の買取を行う不動産会社。相続やペアローンによる共有持分、空き家、再建築不可物件、借地、底地など、権利関係が複雑な不動産を買い取り、法的知識や専門知識を以って、再度市場に流通させている。 |