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不動産を売却すると、翌年の住民税が予想以上に高額になるケースがあります。特に、売却時期や控除制度の選択を誤ると、必要以上の税負担を強いられる可能性も考えられます。
そのため注目すべきなのが、不動産売却時の住民税の仕組みと対策です。住民税は地方自治体に納める税金で、不動産売却による利益(譲渡所得)に対しても課税されます。
適切な知識があれば、特例制度の活用や売却時期の調整により、税負担を抑えることが可能です。
今回の記事では、不動産売却時の住民税について、計算方法から納付時期、負担軽減の方法まで、実践的な知識を解説します。
目次
住民税の基本的な仕組み
毎年納税することになる住民税は私たちの暮らしを支える重要な財源です。道路や学校、ゴミ処理など、地域のさまざまな公共サービスを維持するために使われています。
住民税は「市町村民税」と「道府県民税」で構成され、これらを合わせて「住民税」と呼びます。毎年1月1日時点での居住地の自治体に納めるのが基本的なルールとなっています。
税金の計算方法は、所得に応じて課税される「所得割」と一律で課税される「均等割」の二本立て。所得割の標準税率は10%で、市町村民税が6%、道府県民税が4%です。
均等割は年間4,000円(市町村民税3,000円、道府県民税1,000円)となっています。なお、2024年度からは森林環境税として1,000円が上乗せされます。
不動産売却が住民税に与える影響
不動産を売却して利益が発生すると、翌年の住民税額が増加する可能性があります。この利益は「譲渡所得」と呼ばれ、給与所得などとは別に計算されます。
譲渡所得に対する住民税の税率は、不動産の所有期間によって異なります。売却時点で5年以下の所有期間なら9%、5年超の所有期間なら5%の税率が適用されます。
例えば、1,000万円の譲渡所得があった場合、所有期間5年超なら50万円、5年以下なら90万円の住民税を納める計算になります。
ただし、実際の譲渡所得は単純な売却価格ではありません。取得時の費用や売却にかかる経費、建物の減価償却費などを差し引いて計算します。
そのため、売却価格が高くても、必ずしも住民税が大幅に増えるとは限りません。住民税の増加額を把握するためには、これらの要素を考慮した正確な譲渡所得の計算が欠かせないでしょう。
住民税の具体的な計算方法
不動産売却による住民税を正確に把握するには、まず譲渡所得を計算する必要があります。これは確定申告の際にも重要となる基本的な計算ですので、丁寧にみていきましょう。
譲渡所得の計算方法
譲渡所得は、売却価格から諸経費を差し引いて算出します。基本的な計算式は以下のとおり。
- 譲渡所得 = 売却価格 -(取得費 – 減価償却費 + 譲渡費用)
ここで重要なのは、取得費には不動産の購入価格だけでなく、取得時の仲介手数料や印紙税、登録免許税なども含まれる点です。また、建物については経年劣化による価値の減少分(減価償却費)を考慮します。
例えば、15年前に3,000万円で購入した木造一戸建て(建物部分1,600万円)を3,680万円で売却し、仲介手数料などの譲渡費用が129万円かかったケースを考えてみましょう。
木造建物の減価償却費が816万円と計算された場合、譲渡所得は以下のようになります。
- 3,680万円 -(3,000万円 – 816万円 + 129万円)= 1,367万円
税率と具体的な計算例
譲渡所得に対する住民税の税率は所有期間によって異なります。売却時点での所有期間が5年を超える場合は5%、5年以下の場合は9%となります。先ほどの例では15年の所有期間なので、5%の税率が適用されます。
- 1,367万円 × 5% = 68.35万円(住民税額)
住民税の支払いに関する基礎知識
不動産売却による住民税は、売却した翌年から支払いが始まります。具体的な納付方法については、確定申告時に選択することになります。
確定申告から納付までの流れ
不動産を売却した翌年の2月16日から3月15日までの期間に確定申告を行います。この際、住民税については自動的に自治体に通知されるため、別途申告する必要はありません。
納税通知書は5月以降に届き、6月から支払いが始まります。
普通徴収と特別徴収の違い
住民税の納付方法には「普通徴収」と「特別徴収」の2種類があります。普通徴収は年4回(6月、8月、10月、翌年1月)に分けて自分で納付する方式です。
一方、特別徴収は給与所得者向けの方式で、毎月の給与から自動的に天引きされます。
特別徴収を選択すると、毎月の支払額が少なくて済む利点がありますが、会社に不動産売却による収入があったことが分かってしまいます。そのため、副業などを会社に知られたくない場合は、普通徴収を選択する方が望ましいかもしれません。
納付方法の選択は確定申告時に行うため、自身の状況に応じて慎重に判断しましょう。
不動産売却後に住民税の負担を軽減する方法
不動産売却による住民税の負担は、適切な特例や控除制度を利用することで軽減できます。これらの制度は、一定の条件を満たせば誰でも利用可能です。
ただし、制度によって適用条件や控除額が異なるため、事前の確認が必要ですので、それぞれ個別にみていきましょう。
特例や控除を活用する
所有不動産を売却した際に住民税の負担を抑える最も効果的な方法は、3,000万円特別控除制度の活用です。この制度は、マイホームを売却する際に利用できる特例で、譲渡所得から最大3,000万円を差し引くことが認められています。
例えば4,000万円の譲渡所得があった場合、この特例を使えば課税対象額を1,000万円まで減らすことが可能です。
利用の条件として、以下の要件を満たす必要があります。
- 自身が住んでいた家を売却する、または住まなくなってから3年以内の売却であること
- 売却前年や前々年に3,000万円特別控除を利用していないこと
- 売却相手が親族などの特別な関係者でないこと
また、所有期間が10年を超えるマイホームの場合は、軽減税率の特例も併用できます。この特例により、譲渡所得6,000万円までの部分については住民税率が5%から4%に引き下げられます。
両方の特例を組み合わせることで、さらなる税負担の軽減が見込めます。
ふるさと納税を活用する
ふるさと納税は、不動産売却による住民税増加への対策として有効な手段で、寄附額から2,000円を差し引いた金額が住民税から控除されます。
特に注目したいのは、不動産売却による譲渡所得が加算された年は、ふるさと納税の控除上限額も上がる点です。
これは総所得金額をベースに控除限度額が計算されるためです。例えば、給与収入500万円の方が1,000万円の譲渡所得を得た場合、通常年の2倍以上の金額までふるさと納税が可能になります。
ただし、この恩恵を受けられるのは不動産を売却した年に限られます。翌年からは通常の控除上限額に戻るため、売却年中にふるさと納税を済ませることが重要です。
寄附先の自治体からは返礼品も受け取れるため、税負担の軽減と返礼品の獲得という二重のメリットを得られる仕組みといえるでしょう。なお、具体的な控除限度額は、総務省のふるさと納税ポータルサイトで確認できます。
不動産売却時の住民税に関する注意点
不動産売却による住民税は、売却した翌年に発生する税金です。そのため、売却時には見えにくい支出となりがちです。そのため、事前に以下のような対策を講じておきましょう。
- 事前の資金計画を立てる
- 売却時期の調整で税負担を抑える
- 特例適用の要件を確認する
それぞれ個別に解説します。
事前の資金計画を立てる
住民税の支払いは売却後かなり期間が空いてから始まります。例えば、2024年12月に不動産を売却した場合、住民税の支払いは2025年6月からスタートします。そのため、売却代金を使い切ってしまい、納税資金が不足するケースも少なくありません。
こうした事態を防ぐには、売却時点で想定される住民税額を試算し、その分の資金を確保しておく必要があります。
具体的な納税額は自治体から通知されますが、その時になって慌てないよう、予め必要な資金を見込んでおくと安心です。
売却時期の調整で税負担を抑える
不動産の所有期間は、売却した年の1月1日時点で判断されます。このルールを活用すれば、売却時期の調整によって税負担を抑えることも可能です。
例えば、所有期間が4年10か月の物件を売却する場合、年をまたいでから売却すれば5年超となり、住民税率が9%から5%に下がります。
具体的には、2024年11月に所有期間が4年10か月の物件を売却すると短期譲渡所得として9%の税率が適用されます。一方、2025年1月まで待って売却すれば、5年超の長期譲渡所得として5%の税率が適用されます。
わずか2か月の違いで税率が大きく変わるため、可能な限り売却時期の調整を検討する価値があります。
特例適用の要件を確認する
前述した住民税の軽減に使える特例制度は、要件を満たさないと適用できません。特に3,000万円特別控除は、居住用財産であることや親族への売却でないことなど、複数の要件があります。
これらの要件を事前に確認し、必要な書類を準備しておくことで、スムーズな特例適用が可能になります。
また、要件を満たすために必要な手続きもあります。例えば、居住用財産の3,000万円特別控除を使う場合、引っ越し後3年以内の売却という期限が設けられています。
このような期限を意識して売却のタイミングを決めることで、確実に特例を活用できます。なお、特例の適用漏れは取り返しがつかないため、不安な点があれば早めに税理士などの専門家に相談することをおすすめします。
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まとめ
不動産売却による住民税は、売却から実際の支払いまでに1年近くのタイムラグがあります。そのため、売却代金を使い切ってしまい、納税時に資金が不足するケースが少なくありません。これを避けるために重要なのは、売却前の入念な計画立案です。
まずは概算でも構わないので、予想される譲渡所得と住民税額を試算しましょう。その上で、適用可能な特例制度の要件を確認し、必要な書類を準備します。
また、売却のタイミングによって税率が変わる可能性もあるため、余裕を持ったスケジュール設定も大切です。不明な点がある場合は、売却前に税理士などの専門家に相談しましょう。