家の売却では「やっていけないことの原則」に背くと、相場より安く手放したり売却が長期化するおそれがあります。
特に住宅ローンが残っている家や事故物件は、通常の家とは売却方法が異なるため注意点が必要です。
物件の不具合を隠したり、不動産会社に任せきりにするといった行動も、売却後のトラブルになります。
本記事では家の売却でやってはいけないこと22選を、準備・売却活動・契約・引き渡しの段階ごとに解説します。高齢者が失敗しない家の売り方や、信頼できる不動産会社の選び方まで紹介するので売却前によく確認しておきましょう。
訳アリ物件専門のワケガイ編集部について
「ワケガイ」のコラムは、相続した空き家、共有持分、再建築不可物件、借地・底地など、いわゆる“訳あり不動産”にお悩みの方が、売却・処分・活用の判断を正しく行えるようにすることを目的に運営しています。私たちは運営会社・株式会社ネクスウィルが訳あり不動産の買取実務で培った一次情報にもとづいた記事づくりを徹底しています。
編集ポリシー・コンテンツ制作方針の詳細家の売却でやってはいけないことを22選を段階別に総整理

家の売却を成功させるには、準備から引き渡しの各段階でやってはいけないことがあります。
| 段階 | やってはいけないこと | 理由・リスク |
| 売却準備 | 相場を調べずに売り出す | 適正価格を見誤り損失につながる |
| 売却価格査定 | 1社だけに査定を依頼する | 価格の妥当性を判断できない |
| 不動産業者との契約 | 担当者を比較せず決める | 営業力不足で売却が長期化 |
| 販売中 | 内覧の準備を怠る | 印象が悪化し成約率が低下 |
| 契約・引渡し | 瑕疵を隠して売却する | 契約不適合責任で損害賠償の恐れ |
わずかな判断ミスが数百万円単位の損失につながることもあるので、注意しましょう。特に、住宅ローンが残っている場合や共有名義・古家など条件に特徴がある場合は、慎重な準備が必要です。
家の売却準備でやってはいけないこと7選

家の売却準備でやってはいけないことは、以下のとおりです。
- スケジュールを立てずに売却活動を始める
- 自分で相場を調べず査定依頼をする
- 一社しか査定を依頼しない
- 媒介契約の種類を理解せず契約する
- 売却にかかる費用・税金を見積もらない
- 住宅ローン残債・担保抹消を確認せず進める
- 売却方法(仲介・買取)を検討せず決めてしまう
それぞれ個別に解説します。
①:スケジュールを立てずに売却活動を始める

予定を立てずに査定に出して売却活動を始めてはいけません。
売却には下記のように法律上・税務上の期限や準備期間が決まっているので、計画が不十分だと手続き待ちになり売却が長引いてしまいます。
| 段階 | 目安期限 |
| 査定・不動産会社選び | 売却開始の2週間〜1か月前 |
| 媒介契約 | 査定後〜売却活動開始前 |
| 売却活動 | 1〜3か月程度 |
| 買付・売買契約 | 買付後1〜2週間程度 |
| 決済・引き渡し | 売買契約後1〜2か月程度 |
住宅ローンの完済時期、確定申告の期限、引っ越し予定などを踏まえずに進めると、取引直前にスケジュールが破綻しかねません。「いつまでに現金化したいのか」から逆算して、全体を3〜6か月単位で計画するようにしましょう。
②:自分で相場を調べず査定依頼をする
査定する前に、まずは相場を掴んでおきましょう。
不動産会社によって査定方法は異なり、立地条件や販売方針によって数百万円単位の差が出ることもあります。
レインズマーケットインフォメーションで相場を調べたうえで査定を受けると「この価格は高すぎる/安すぎる」の判断ができ、根拠のある価格交渉が可能です。
③:一社しか査定を依頼しない
家を売却する際は、一社だけでなく複数の不動産会社に査定を依頼しましょう。
いくつか査定を受けないと金額や提案内容が本当に適正なのか判断できません。不動産会社によって「経験」「販売戦略」「対応の早さ」「説明のわかりやすさ」に差があります。
少なくとも3社以上に査定を依頼し、「なぜその査定額になるのか」「どのように売却を進めるのか」まで比較しましょう。
極端に高い査定額を提示された場合、売却後に値下げを迫られることがあるので注意が必要です。
④:媒介契約の種類を理解せず契約する
媒介契約の内容を理解しないまま署名するのも避けましょう。
媒介契約は売主と不動産会社の関係を決める重要な書面です。
契約には3種類あり、どの契約を選ぶかによって進め方が変わります。
| 種類 | 特徴 | 売主の自由度 | 報告義務 |
| 専属専任媒介契約 | 1社に限定、自分で見つけた買主とも契約不可 | 低 | 1週間に1回 |
| 専任媒介契約 | 1社に限定だが、自力で見つけた買主と契約可 | 中 | 2週間に1回 |
| 一般媒介契約 | 複数社への依頼が可能 | 高 | なし |
スピードを優先するなら「専属専任」、幅広く買主を探したいなら「一般」を選びましょう。契約書の内容を理解し、自分の目的(価格重視・スピード重視)に合う契約を選ぶことが売却成功につながります。
⑤:売却にかかる費用・税金を見積もらない
家を売却する前に、諸費用や税金を見積もっておくことが大切です。
家の売却では、売却代金がそのまま手元に残るわけではありません。売却のために直接かかった費用を差し引いたうえで、譲渡益が出た場合には譲渡所得税などがかかる可能性があります。
| 費用項目 | 目安金額 | 支払時期 |
| 仲介手数料 | 売却価格×3%+6万円+消費税 | 契約時・引渡し時 |
| 印紙税 | 1〜6万円 | 契約時 |
| 抵当権抹消費用 | 1〜3万円 | 引渡し時 |
| 譲渡所得税 | 利益×20〜39% | 翌年の確定申告時 |
| ハウスクリーニング | 5〜10万円 | 販売活動前 |
これらを考慮せずに売却を進めると、住み替え資金や住宅ローンの返済計画に影響が出ることがあります。
(参考:国税庁「No.3252 取得費となるもの」)
「いくらで売れるか」だけでなく、「諸費用や税金を差し引いた後に、実際にいくら手元に残るのか」まで確認しておきましょう。
⑥:住宅ローン残債・担保抹消を確認せず進める
住宅ローンが残っている家を売却するときは、事前に残債を確認しておくことが大切です。
住宅ローンを完済し金融機関の担保を抹消しなければ、基本的に家の売却手続きを完了することはできません。
残債が売却価格を上回る場合は、自己資金で不足分を補ったり任意売却を検討する必要があります。契約トラブルにつながることもあるため、事前に金融機関へ残債を確認し売却代金で完済できるか確認しておきましょう。
⑦:売却方法(仲介・買取)を検討せず決めてしまう

仲介は価格を重視したい場合、買取は売却スピードや手間を抑えたい場合に検討しやすい方法です。
家を売るときは、仲介と買取の違いを理解したうえで売却方法を選ぶことが大切です。
仲介とは市場で一般の買主を探す方法です。高く売れる可能性はありますが、売却まで時間がかかるのがデメリットです。一方、買取とは不動産会社が直接買い取る方法で、現金化できるスピードは早いものの、価格は相場より下がる傾向にあります。
「もっと早く売れたのに」「もう少し高く売れたのに」と後悔しないよう、目的に応じて売却方法を検討しましょう。
家の売却活動中にやってはいけないこと10選

家の売却活動中にやってはいけないことは、以下のとおりです。
- 相場を無視して高すぎる価格で売り出す
- 逆に過度に安く設定してしまう
- 物件の不具合や不利点を隠す/後出しする
- 内覧対応を怠る・雑にする
- 提示された条件交渉をすべて拒否する/急に妥協する
- 売り出し活動を業者に丸投げしてしまう
- 売れるまで貸し出してしまう
- 荷物・残置物をそのままにしておく
- 訳あり物件の告知義務を曖昧にする
- 不動産広告の掲載内容を確認せずに任せる
それぞれ個別にみていきましょう。
①:相場を無視して高すぎる価格で売り出す
せっかくだから少し高めで出したい、といって相場を大きく上回る価格で売り出すのは避けましょう。
買主からの問い合わせ自体が激減したまま時間が経つと、売れ残り感が出てしまいます。その結果、値下げを繰り返して相場より安く売ってしまうケースも珍しくありません。
不動産市場は「最初の印象」が大切です。始めから現実的な価格設定を行い、1〜2か月後に調整することで、高値での売却につながります。
②:逆に過度に安く設定してしまう
「早く売りたいから」と相場より安く設定しすぎるのも危険です。
成約スピードは上がりますが、本来得られるはずの利益を逃してしまいます。
特に、複数の買主が現れる可能性があるエリアでは、相場より3~5%程度高めの価格設定からスタートし、反応を見て調整しましょう。早く売れる価格だけを基準に決めてしまうと後悔する可能性があります。
③:物件の不具合や不利点を隠す/後出しする
雨漏りやシロアリ被害、設備の故障など、契約内容に関わる不具合を把握しているにもかかわらず伝えずに売却すると、引き渡し後のトラブルにつながります。
引き渡された物件が種類や品質などの点で契約内容に適合していない場合、買主は条件に応じて修補などの追完や代金減額、損害賠償、契約解除を求められる可能性があります。契約不適合を巡るトラブルを防ぐには、把握している不具合や修繕履歴を整理し、物件状況報告書や契約書などの記載と食い違いがない状態にしておくことが重要です。
一方、「売主にとって不利な情報」であれば何でも同じ法的責任が生じるわけではありません。物件の状態と契約でどこまで合意するのかを整理し、不明な点は仲介会社などへ確認しながら売却を進めるとトラブルを避けやすくなります。
④:内覧対応を怠る・雑にする
内覧前には、掃除・換気・照明の調整・家具配置の見直しなどの準備も大切です。
内覧は買主にとって物件の第一印象を決める重要な場面ですので、印象が悪いといくら立地や価格が良くても購入をためらわれることがあります。
部屋が散らかっていたりカーテンを閉め切っていると、大切に使われていない家という印象を与えかねません。
対応時の言葉遣いや態度にも注意し、買主に対して「早く決めてほしい」といった圧力をかけないようにしましょう。誠実で穏やかな説明を心がけることが、成約率を高める鍵になります。
⑤:提示された条件交渉をすべて拒否する/急に妥協する
価格交渉や引き渡し時期の調整など、売買交渉では柔軟さが求められます。
「少しでも高く売りたい」とすべての交渉を拒否してしまうと買主が離れてしまい、結果的にチャンスを逃してしまいます。
「価格は50万円までなら下げられる」「引き渡しは1か月延長まで対応可能」などの具体的な基準を決め、冷静に判断できるようにしましょう。
焦って大幅な値下げに応じないよう、事前に「どこまで譲れるか」を明確にしておくことが大切です。
⑥:売り出し活動を業者に丸投げしてしまう
業者に丸投げではなく主体的に売却を進めることも大切です。
不動産会社に任せきりにすると、販売状況の報告が不十分なまま時間が過ぎ、気づけば相場が下がっていたというケースも珍しくありません。
媒介契約を結んだ後も、定期的に販売状況を確認し、価格・広告・反響を一緒に分析しましょう。
内覧件数や反応の傾向を把握しておけば、価格の調整や広告写真の見直しといった改善をすることができます。
⑦:売れるまで貸し出してしまう
売却時期が決まっている家を安易に貸し出すと、希望する時期に空室で引き渡せなくなるおそれがあります。
特に注意したいのは、「短期間の賃貸契約にすれば期間満了で必ず退去してもらえる」とは限らない点です。期間満了によって更新せず終了する定期建物賃貸借を利用する場合には、契約の更新がなく期間満了で終了することについて、契約前に書面で説明するなどの要件があります。
売却までの一時的な賃貸を考える場合は、賃貸借契約の種類や期間、退去条件、売却時の引き渡し方法まで確認したうえで判断する必要があります。家賃収入だけを見て貸し出すと、売却スケジュールとの調整が難しくなる可能性があるためです。
⑧:荷物・残置物をそのままにしておく

空き家に残された残地物
売却時に不要な家具や家電、生活用品を残したままにするのは避けましょう。
部屋が狭く見えるうえ、買主が「片付け費用がかかりそう」と感じて印象を悪くします。特に空き家の場合は、ホコリやカビの発生、動物の侵入など、管理面のトラブルも起きやすくなります。
「住む人の暮らしを想像できる状態」に整えることが内覧成功のポイントです。リフォームやリノベーションを行わなくても、清掃と不用品撤去だけで印象は大きく変わります。
残置物を整理できない場合は、不動産会社に「現状有姿での販売可否」を相談し、あらかじめ契約書で条件を明記することが大切です。
⑨:訳あり物件の告知義務を曖昧にする
物件の権利関係や法的な制約、契約内容に影響する不具合などを曖昧にしたまま売却を進めると、買主との認識違いにつながります。
把握している事実は仲介会社へ正確に伝え、契約書や物件状況報告書などへ適切に反映させることが重要です。
人の死に関する告知は、すべてのケースで一律に必要になるわけではありません。国土交通省のガイドラインでは、対象不動産で発生した自然死や日常生活の中での不慮の死は、原則として告げなくてもよいとされています。一方、買主から事案の有無を尋ねられた場合や、社会的影響が大きく、買主が把握しておくべき特段の事情がある場合などは告げる必要があります。
そのため、「心理的抵抗を感じる可能性がある事項はすべて告知義務がある」と一括りにするのは正確ではありません。事故・事件の内容や発生場所、取引形態などを確認し、個別に判断することが大切です。
⑩:不動産広告の掲載内容を確認せずに任せる
家の売却を不動産会社へ依頼した後も、広告の掲載内容を必ず確認しましょう。
不動産広告には、宅地建物取引業法や「不動産の表示に関する公正競争規約」に基づくルールがあります。物件の価格や面積、築年数、交通アクセス、設備などについて、事実と異なる内容や買主に誤解を与える表示をすることは認められていません。
<チェック項目>
- 売出価格
- 土地・建物の面積
- 築年数や間取り
- 最寄り駅までの距離や所要時間
- 設備やリフォームの履歴
- 再建築不可などの取引条件
- 写真と現在の物件状態の相違
広告の作成や法令の遵守は不動産会社の役割ですが、実際の物件と異なる説明が掲載されている場合は放置せずに不動産会社へ訂正を依頼しましょう。
家の売買契約・引き渡し段階でやってはいけないこと6選

家の売買契約・引き渡し段階でやってはいけないことは、以下のとおりです。
- 契約書をよく読まず署名・捺印してしまう
- 引き渡し前に物件状況を勝手に変更する
- 引き渡し期日を守らない・遅延する
- 家財を残して引き渡す/残置物処理を忘れる
- 登記抹消・抵当権抹消手続きを怠る
- 確定申告や税務処理を誤る/申告を怠る
それぞれ個別にみていきましょう。
①:契約書をよく読まず署名・捺印してしまう

契約書は不動産会社任せにせず、必ず自分の目で一文ずつ確認しましょう。
契約書には、価格や引き渡し日だけでなく「契約不適合責任(旧・瑕疵担保責任)の範囲」
「設備の引き渡し条件」「違約金の定め」など、重要な取り決めが細かく記載されています。内容を十分に理解せずに署名・捺印した場合、後で「そんな約束はしていない」と主張しても通りません。
特に注意すべきは、「特約」や「備考欄」です。これらには標準条項にない条件や売主に不利な内容が含まれている場合があるのでよく確認しましょう。
②:引き渡し前に物件状況を勝手に変更する
引渡し前に無断で設備や家具を変更してはいけません。
契約時点での状態が「引き渡し時の基準」になるためです。例えば契約成立後に照明やエアコン、カーテンレールなどを「自分で買ったから」と勝手に外すと契約違反にあたる可能性があります。
やむを得ず変更する場合は、事前に不動産会社や買主へ説明し、同等品を設置するなどの対応が必要です。引き渡し後に「契約不適合」として修補や損害賠償を求められることもあるため注意しましょう。
③:引き渡し期日を守らない・遅延する
引き渡しの期日は必ず守るようにしましょう。
契約書に定めた期日は、売主・買主双方の予定に基づいて設定されています。引っ越し準備が間に合わず期日を過ぎると、買主側の資金繰りや住宅ローンにも影響を及ぼします。
期日を守れなかった場合、違約金や損害賠償を請求されることもあります。スムーズに引き渡すためには、契約締結直後から逆算して準備スケジュールを立てることが大切です。
どうしても遅れそうな場合は、早めに仲介会社を通じて買主に連絡し日程調整を行いましょう。
④:家財を残して引き渡す/残置物処理を忘れる
引き渡しの際は、家具や家電を残さないようにしましょう。
買主の新生活に支障をきたすだけでなく、契約内容によっては契約不適合とみなされ、撤去費用の請求や損害賠償につながるおそれがあります。
特に空き家や相続した物件では、荷物が多く残っていることがあります。売却前に専門業者へ「残置物撤去」や「ハウスクリーニング」を依頼しておくと安心です。現状のまま引き渡す場合は、「現状有姿での引き渡し」と明記し、買主と合意を取っておく必要があります。
⑤:登記抹消・抵当権抹消手続きを怠る
住宅ローンを完済しても、登記簿に設定された抵当権が自動的に抹消されるわけではありません。
金融機関から必要書類を受け取り、抵当権抹消登記を行う必要があります。法務局も、住宅ローン完済後は必要書類を受け取ったら、できるだけ速やかに抹消登記を申請するよう案内しています。
抵当権が残っているからといって、所有権移転登記そのものが常に不可能になるわけではありません。ただし、通常の不動産売買では、買主が抵当権などの負担が残っていない状態で所有権を取得できるよう、売買代金の決済と同時に住宅ローンを完済し、抵当権を抹消する方法が一般的です。
売却が決まったら金融機関へ完済手続きの日程を確認し、司法書士へ依頼する場合は決済日までに必要書類がそろうよう準備を進めましょう。
⑥:確定申告や税務処理を誤る/申告を怠る
家を売って譲渡所得が生じた場合は、原則として売却した年の翌年2月16日〜3月15日に確定申告を行います。
譲渡所得は、売却価格そのものではなく、売却価格から取得費や譲渡費用、適用できる特別控除などを差し引いて計算します。
マイホームの売却では、一定の要件を満たすと譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例があります。税額が発生しない場合でも、この特例を利用するには確定申告が必要です。
また、売却損が出れば必ず給与所得などと損益通算できるわけではありません。マイホームの買い換えなどで一定の要件を満たした場合には、譲渡損失の損益通算や繰越控除を利用できることがあります。売却前から取得費や売却費用に関する資料を整理しておくと、申告時の計算を進めやすくなります。
住宅ローン残債がある家の売却で注意すべきこと

住宅ローンが残っている家を売る場合は、アンダーローンかオーバーローンかによって取るべき対応が変わります。
アンダーローン時の売却で気をつけるポイント
アンダーローンとは、売却価格が住宅ローン残債を上回っている状態です。
売却代金でローンを完済できるため、抵当権抹消の見通しも立てやすく、通常の売却とほとんど同じ流れで進めることができます。
例えば、住宅ローン残債が2,000万円で売却価格が2,500万円の場合、売却代金からローンを完済できます。ただし、手元に500万円がそのまま残るわけではありません。
仲介手数料、登記費用、引っ越し費用、必要に応じた測量費などがかかるため、売却価格からこれらの費用を差し引いた金額が手元に残ります。
アンダーローンであっても、「ローンを完済できるから大丈夫」と考えるのではなく、売却価格・残債・諸費用を含めて手元にいくら残るかを確認しておきましょう。
オーバーローン時に検討すべき任意売却
オーバーローンとは、売却価格より住宅ローン残債の方が多い状態です。
売却代金だけでローンを完済できないため、不足分を自己資金で補う必要があります。
例えば、住宅ローン残債が2,500万円で売却価格が2,000万円しか見込めない場合、500万円の不足が発生します。この不足分を補えない場合は金融機関の合意を得て任意売却になります。
任意売却はローン残債が残る不動産を売却する方法ですが、売却後も残債の返済が残る可能性があります。任意売却でも補えない場合は競売に出すこともあり、相場より安い価格で売却されるほか、立ち退きを求められることもあります。
オーバーローン時には早い段階で金融機関や不動産会社に相談し、返済計画まで含めて検討することが大切です。
抵当権抹消のタイミングを誤らないための手順

抵当権抹消までの基本的な流れは、以下のとおりです。
- 売却活動を始める前に、金融機関へ住宅ローン残債を確認する
- 査定額や売却予定価格から、ローンを完済できるか確認する
- 売買契約が決まったら、金融機関へ完済予定日を伝える
- 決済日までに、抵当権抹消に必要な書類を金融機関に準備してもらう
- 決済日に、買主から受け取った売却代金で住宅ローンを完済する
- 同日に、司法書士が抵当権抹消登記と所有権移転登記を進める
抵当権抹消は売却後の自由なタイミングで行うものではなく、決済・引き渡しと同じときに進めるのが一般的です。準備が遅れると、決済日や引き渡しに影響するおそれがあります。
住宅ローンが残っている家を売るなら、売却活動を始める前に残債・完済手続き・必要書類を金融機関へ確認しましょう。
築古・訳あり・空き家など条件が悪い家を売る際の落とし穴

条件が悪い家を売却する場合はすぐに売ろうとせず、リフォーム・告知・管理の判断を誤らないことが大切です。
築古の家で安易にリフォームしてはいけない理由
古い家だからといって、安易にリフォームするのは避けましょう。
リフォーム費用をかけても高く売れるとは限らず、買主のなかには自分好みにリノベーションしたい人もいます。
古いキッチンや浴室を新品に交換しても、買主が「間取りから変えたい」「設備のグレードを自分で選びたい」というケースではリフォームはあまり評価されません。
それどころか、リフォーム費用を売出価格に上乗せすれば周辺相場より高くなり、問い合わせが減る可能性もあります。築古住宅を売る場合は不動産会社に相談し、最低限の補修で十分なのか古家付き土地として売るべきかを決めておきましょう。
事故物件・心理的瑕疵物件の告知で失敗しないコツ
心理的瑕疵がある家は自己判断で隠さず、不動産会社へ正確に伝えることが大切です。
告知すべき内容を伝えないまま契約すると、買主とのトラブルにつながる可能性があります。
告知で失敗しないためには、以下を整理しておきましょう。
- いつ、どの場所で、どのような事案があったのか
- 自然死・事故死・自殺・事件性の有無
- 特殊清掃やリフォームの有無
- 近隣でどの程度知られているか
国土交通省のガイドラインでは、「宅地建物取引業者が売主に対して告知書などへの記載を求めることで、通常の情報収集としての調査義務を果たすもの」とされています。
ただし、すべての人の死を必ず告知しなければならないわけではありません。
自然死や日常生活の中での不慮の死は、原則として告げなくてもよいとされています。
心理的瑕疵は判断が難しいため、売主だけで決めるのは危険です。少しでも不安がある場合は、不動産会社に事実を伝え、どこまで告知すべきか確認してから売却を進めましょう。
空き家のまま長期放置するリスク
空き家を売る予定があるなら、長期間放置せず早めに売却方針を決めることが大切です。空き家は人が住んでいないため、建物の傷みが進みやすく以下のリスクが高まります。
- 建物の劣化が進み、売却価格が下がる
- 雨漏りや害虫被害に気づくのが遅れる
- 庭木や雑草で近隣トラブルになる
- 不法侵入や放火などの防犯リスクが高まる
- 管理不全空家や特定空家に指定される可能性がある
適切に管理されていない空き家は、管理不全空家や特定空家として指導の対象になることがあります。指導に従わず勧告を受けると住宅用地特例が解除され、固定資産税が最大6倍になります。
早めに不動産会社へ査定を取り、売る・貸す・解体するといった方針を決めましょう。
まずは空き家の簡易査定ができるので以下より試してください。

高齢者が家を売却する際に知っておきたい注意点
高齢者が家を売る場合は、売却価格だけでなく売却後の暮らしまで考える必要があります。
65歳以降に家を売ると後悔しやすい理由
65歳以降に家を売る場合は、売却後の生活を具体的に考えておきましょう。
退職後は収入が限られ、住み替え後の固定費が家計に大きく影響します。
持ち家を売却すると、まとまった資金が得られる一方で以下の費用が発生します。
- 新しい住まいの家賃、管理費、修繕費
- 介護施設への入居費用
高齢になるほど入居先の選択肢が限られ、希望するエリアや間取りに住めないこともあります。売却代金を老後資金に充てるつもりでも、住み替え費用や生活費を見込んでおかないと思ったほどお金が残りません。
65歳以降に家を売るなら売却価格だけで判断せず、住み替え後の生活費や介護費まで考えることが大切です。
住み替え先を決めずに売却を進めるリスク
高齢者が住み替え先を決めないまま、家の売却を進めるのは避けましょう。
売買契約が進むと引き渡し日が決まるので、住み替え先が決まっていないと以下のリスクを抱えることになります。
- 希望する賃貸物件や施設がすぐに見つからない
- 引き渡し日までに引っ越しが間に合わない
- 仮住まいが必要になり、費用が増える
- 荷物の整理や処分が間に合わない
- 通院・買い物・家族のサポート体制が崩れる
- 焦って条件の悪い住まいを選んでしまう
特に高齢者の場合、引っ越しそのものの負担も大きくなります。家財の整理、不要品の処分、各種手続き、通院先の変更など、準備に時間がかかってしまいます。
あらかじめ住み替え先の候補を決め、引っ越し時期や生活費の見通しを立てたうえで売却活動を始めましょう。
悪質な不動産会社に騙されないためのチェックポイント
家を売るときは、査定額の高さだけで不動産会社を選ばないことが大切です。
囲い込み・両手仲介を見抜くサイン
囲い込みや両手仲介狙いを見抜くには、売却活動の透明性を確認します。囲い込みとは、不動産会社が自社で買主も見つける両手仲介という取引を狙うために、他社からの問い合わせや紹介を意図的に制限する行為です。
両手仲介そのものは違法ではありませんが、買主と売主のどちらからも手数料を得るためトラブルになりやすい側面があります。
囲い込みの特徴は以下のとおりです。
- レインズの登録内容や取引状況を見せたがらない
- 他社からの問い合わせ状況を具体的に報告しない
- 紹介停止中と言われてないのに取引状況が止まっている
- 広告の掲載先を教えてくれない
- 「他社に声をかける必要はない」と強く提案される
- 売主に不利な条件でも、自社の買主との契約を急がせる
特に専任媒介・専属専任媒介では、レインズへの登録期限や業務報告の頻度が決められています。
| 媒介契約の種類 | レインズへの登録期限 | 売却活動の業務報告 |
| 専属専任媒介契約 | 媒介契約の締結から5日以内 | 1週間に1回以上 |
| 専任媒介契約 | 媒介契約の締結から7日以内 | 2週間に1回以上 |
囲い込みを避けるには、契約後も不動産会社に任せきりにしないことが大切です。レインズの登録証明書、取引状況、内覧件数、他社からの問い合わせ状況を定期的に確認しましょう。
信頼できる担当者を見極める質問リスト
信頼できる担当者かどうかは、契約前の質問である程度判断できます。
査定額や販売戦略の根拠を具体的に説明できるかチェックしましょう。
<質問リスト>
- この査定額の根拠は何ですか?
- 周辺の成約事例と比べて、どの点を評価しましたか?
- 売出価格はいくらから始めるのが現実的ですか?
- 価格を見直す場合、どのタイミングで判断しますか?
- レインズにはいつ登録されますか?
- 登録証明書はいつ受け取れますか?
- 他社から買主紹介があった場合も対応してもらえますか?
- 売却活動の報告では、何をどの頻度で教えてもらえますか?
- 内覧が入らない場合、どのように改善しますか?
- 囲い込みを疑われないために、どのように情報公開しますか?
数字や事例を交えて説明せず、質問をはぐらかしたり、「任せてください」とだけ言ったりする場合は要注意です。不動産会社選びでは査定額の高さだけでなく、説明の具体性・報告の透明性・質問への対応も重視しましょう。
家の売却を成功させるための3つのポイント
家の売却を成功させるための3つのポイントは、以下のとおりです。
- 売却目的と優先順位を明確にする
- 信頼できる不動産会社を選ぶ
- 市場動向と物件特性に合わせた売却戦略を立てる
それでは、各ポイントについて解説します。
売却目的と優先順位を明確にする(価格・スピード・安心のどれを取るか)
家を売却するときは目的を明確にしましょう。目的を曖昧にしたまま進めると、途中で方針がブレて判断ミスにつながります。
例えば、「転勤が迫っている」「相続税の納付期限がある」という状況なら、価格よりスピードの方が優先順位は高くなります。価格もスピードも安心も全て狙うと売却活動が進まないので、目的に沿った順位づけが重要です。
信頼できる不動産会社を選ぶ(担当者の力量で結果が変わる)
家の売却は担当者の知識と対応力によって、結果が大きく変わります。広告の出し方、価格調整のタイミング、交渉姿勢など、売却を主導するのは不動産会社の担当者です。
実績や会社の規模だけでなく、レスポンスの早さ・説明の丁寧さ・誠実さを確認することが大切です。
複数社に査定を依頼し、担当者の提案内容を比較して信頼できるパートナーを見つけましょう。「誰に任せるか」で売却のスピードも価格も変わります。
市場動向と物件特性に合わせた売却戦略を立てる
市場動向と家の特性に合わせた戦略設計も重要です。不動産市場は、季節や金利、地域の開発計画などによって常に変動しています。
特に、駅近・築浅なら需要が高く、相場よりやや高めの価格設定も行えます。老朽化や事故歴がある「訳あり物件」は、買取や現状渡しにすることでスピーディに現金化できます。
物件の特徴に合わせて、価格や・売却条件を柔軟に見直しながら、不動産会社と一緒に最適な戦略を選びましょう。
実家の買取は「ワケガイ」にご相談ください!

当社(株式会社ネクスウィル)は、訳あり不動産の買取に特化したサービス「ワケガイ」を提供しています。
共有持分のように所有者間の調整が難しい物件や、老朽化・再建築不可・事故歴のある住宅など、一般的な市場では買い手がつきにくいケースにも柔軟に対応しています。
全国対応で、最短1日・最大3億円の一括決済も可能。査定から契約・決済までをワンストップで完結できる体制を整えています。また、現状のままの買取にも対応しており、残置物の処分や修繕を行う必要はありません。
売却のスピード・安心・確実さを重視される方は、お気軽に無料査定をご活用ください。
実家や空き家の売却を急ぎたいなら、まずは空き家の簡易査定ができるので以下より試してください。

家の売却でやってはいけないことについてよくある質問
家の売却でやってはいけないことについてよくある質問は、以下のとおりです。
- 家を売るときのNG行為は?
- 家を1,000万円で売ったら税金はいくらですか?
- なぜ65歳を過ぎたら自宅を売ってはいけないのでしょうか?
- 不動産屋が一番嫌がることは何ですか?
それでは、それぞれの質問とその回答を紹介します。
家を売るときのNG行為は?
避けたいのは、相場を確認せずに価格を決める、1社だけの査定額で売却先を決める、把握している不具合を伝えない、内覧前の清掃や片付けを怠るといった行為です。共有名義の物件で共有者との調整が済んでいない場合や、相続した不動産の登記手続きが終わっていない場合も、契約や引き渡しの段階で手続きが止まる可能性があります。売却準備・販売活動・契約の各段階で必要な確認を済ませてから進めることが、トラブルを防ぐ基本となります。
家を1,000万円で売ったら税金はいくらですか?
売却価格が1,000万円という情報だけでは、税額は決まりません。土地や建物の譲渡所得は、原則として「売却価格-取得費-譲渡費用-特別控除額」で計算します。例えば、売却価格が1,000万円、取得費が800万円、譲渡費用が50万円で、特別控除を適用しない場合の課税譲渡所得は150万円です。売却した年の1月1日時点で所有期間が5年を超えていれば長期譲渡所得となり、所得税・復興特別所得税・住民税を合わせた税率は20.315%なので、税額は約30万5,000円となります。5年以下の短期譲渡所得なら税率は39.63%となり、約59万4,000円です。
なぜ65歳を過ぎたら自宅を売ってはいけないのでしょうか?
65歳を過ぎたら自宅を売ってはいけないという法律や、一律の年齢基準はありません。年齢だけで売却の可否を判断するのではなく、売却後の住まいと資金計画を先に確認することが重要です。例えば、売却後に賃貸住宅へ移る場合は入居審査の条件を確認し、新たに住宅を購入する場合は利用できる資金や融資条件を整理しておく必要があります。条件は金融機関や賃貸物件ごとに異なるため、「先に自宅を売ってから次の住まいを探す」と決めつけず、住み替え先を確保できる見通しを立ててから売却時期を考えると安心です。
不動産屋が一番嫌がることは何ですか?
不動産会社によって事情が異なるため、「一番嫌がること」を一律に決めることはできません。仲介を進めにくくなりやすいのは、権利関係や売却条件が整理されておらず、成約までの見通しを立てにくいケースです。例えば、共有不動産全体を売却したいのに他の共有者との調整ができていない、境界や道路条件を確認できていない、抵当権の処理方法が決まっていないといった状態では、調査や買主への説明に時間がかかります。再建築の可否などによっては、買主側の融資にも影響する可能性があります。
まとめ
家の売却では、早く売りたい・高く売りたいという焦りから、つい判断を急いでしまいがちです。
しかし、スケジュール設計や相場把握、契約内容などを確認することでトラブルを防ぎながら納得のいく取引が可能になります。
特に、訳あり物件のように事情が複雑なケースでは、リスクを把握し誠実な情報開示と専門家のサポートを組み合わせることが成功の鍵です。焦らず段階を踏み、売却の目的を明確にしたうえで、一つひとつの判断を慎重に行いましょう。それが結果的に最も安全で確実な売却への近道となります。












