私道に接する土地や建物を相続したり購入したりするケースでは、「通行できない」「建て替えができない」などの問題が発生することがあります。
その際に大きなカギとなるのが「私道持分」です。私道持分とは、複数人で私道を所有している場合に、自分が持っている権利の割合を指します。
持分があるかないかによって、不動産の利用価値や売却のしやすさが大きく変わるため、十分に理解しておく必要があります。
本記事では、私道と公道の違い、私道持分のメリット・デメリット、実際のトラブル事例、そして売却時の注意点や流れまで、私道持分をめぐる基礎知識を丁寧に解説します。
目次
私道持分とは何か?
戸建て住宅や小規模な分譲地を購入する際、不動産の一部として「私道持分」が付いてくることがあります。この言葉に馴染みがない方も多いかもしれませんが、生活や資産価値に密接に関わるため、無視できない要素です。
まず「私道」とは、個人や法人が所有する道路を指します。通常、こうした道路は近隣の数軒が共同で利用しており、通行やインフラのために不可欠な役割を果たしています。
その私道の権利の一部を所有することを「私道持分がある」と表現します。言い換えれば、道路の一部分を共同で所有している状態です。
私道と公道の違い
一見すると、どちらも「道」であり、日常的に人や車が行き交う場所に変わりはありません。しかし、私道と公道とでは、その管理主体や権利関係に大きな違いがあります。
公道は国や地方自治体が所有し、管理・整備を行っている道路です。車道や歩道、信号、標識、排水などすべてが行政の責任のもとで維持されており、誰でも自由に通行することができます。
言い換えれば、道路そのものに個人の所有権が関与していません。
私道持分の定義と種類
私道持分とは、私道という私有地の一部に対して、自分が所有している割合(持分)を指します。
例えば、4軒の家が並ぶ私道において、それぞれが4分の1ずつの権利を持っている場合、各人が「私道持分を有している」といえます。
この持分には大きく分けて「共有持分」と「単独持分」があります。前者は複数人で共同所有する形で、分譲住宅や開発地などではよく見られます。
共有持分は、持分の割合に応じて管理や意思決定に参加する権利がありますが、他の共有者との協議が不可欠な場面も多いため、合意形成の難しさが課題になりやすいです。
私道持分を持つことで得られるメリット
私道持分は、ただの「道の権利」ではなく、実際の暮らしや不動産の活用に直結する重要な要素です。
ここでは、その中でも特に影響が大きいメリットを三つの視点から見ていきます。
- 自由に通行や利用ができる
- 建物の建築や改築が可能になる
- 不動産の資産価値が向上する
次項より、詳しく解説します。
自由に通行や利用ができる
私道持分を持っているということは、その道の一部に自らの権利があることを意味します。これはつまり、自宅に接する私道を、他人の許可を得ることなく自由に通行できるということです。
一般的に、私道を通らなければ道路に出られない家は少なくありません。例えば旗竿地や路地状敷地では、前面の私道を通らなければ車も人も出入りできません。
このとき、自分がその道に対する持分を持っていなければ、道の所有者から通行承諾を得る必要があります。
それに対して、持分がある場合は、法律上も事実上も、通行権が確保されることになります。
建物の建築や改築が可能になる
都市部や住宅密集地では、建築基準法により「接道義務」が課せられています。これは、建物を建てるためには、その敷地が幅4メートル以上の道路に2メートル以上接していなければならないというルールです。
問題は、その「道路」が公道ではなく私道だった場合です。
このとき、建築許可を得るには、その私道が建築基準法上の「道路」として認定されているだけでなく、申請者が通行・掘削等を行える法的根拠を持っている必要があります。
私道持分があることは、その根拠の一つになり得ます。持分がない場合は、通行承諾や掘削承諾といった書面の取得が不可欠になり、再建築の申請手続きが一気に煩雑になります。
不動産の資産価値が向上する
私道持分があるかどうかは、その不動産の資産価値にも影響します。例えば同じような立地・面積・築年数の物件でも、私道持分が付いていないものは「通行権や建築の可否にリスクがある」と見なされ、買主や金融機関に敬遠される傾向があります。
実際に住宅ローンの審査においても、私道に接する物件はその道の権利関係が不明確だと融資が下りないケースもあります。
ローンが通らないということは、それだけ買い手が限られるということでもあり、結果的に売却価格にも影響が出てくることがあります。
所有不動産に接する私道の持分を持っていないとどうなる?
私道に接した土地や建物を所有していても、その私道の持分を持っていない場合、日常の生活や不動産の価値に思わぬ不都合が生じることがあります。
特に影響が大きいのは、以下3つです。
- 通行や利用に制限がかかる可能性がある
- インフラ整備や修繕が困難になることがある
- 不動産の価値や取引性に影響を及ぼす可能性がある
それぞれ個別にみていきましょう。
通行や利用に制限がかかる可能性がある
私道に接する家であっても、そこを通る権利が自動的に保障されているわけではありません。
とりわけ私道の所有者が他人であり、その人との間に明確な通行承諾書や使用契約がない場合、法律上は「勝手に通っているだけ」という状態になってしまう可能性があります。
実際には黙認されているケースも多いものの、所有者が変わったり関係がこじれたりすると、通行を制限されたり、使用料を請求されたりすることもあります。
特に私道が自宅への唯一の出入り口である場合、この問題は死活的です。トラブルになった際に解決する手段が限られてしまう点に、不安を覚える方も少なくありません。
インフラ整備や修繕が困難になることがある
私道には上下水道やガス管、電気・通信設備など、さまざまなライフラインが通っています。新築や建て替え時、あるいは老朽化による修繕時には、これらの設備の工事や掘削が必要となることがあります。
しかし、私道の持分がないと、こうした工事を行うために私道の所有者から事前の承諾を得る必要が生じます。
この承諾がスムーズに得られない場合、ライフラインの敷設そのものができず、建物の使用に重大な支障をきたすことがあります。
また、トラブルを避けるために、私道掘削に関する書面を作成することも一般的で、こうした書類の取得や交渉に時間がかかることもあります。
例えば、以下のような場面で問題が発生することがあります。
状況 | 支障が生じる可能性 |
建て替えのための水道工事 | 掘削承諾が得られず着工できない |
ガス管の引き直し | 所有者に拒否されると使用不可に |
災害後の緊急復旧 | 緊急時でも私道の利用に制限がかかる場合あり |
このように、持分の有無はライフライン整備と深く関わっています。
不動産の価値や取引性に影響を及ぼす可能性がある
私道持分の有無は、不動産の売却時にも大きな影響を与えます。通行や工事に関して他人の承諾を要する不動産は、将来のトラブルの火種を抱えていると見なされ、買い手に敬遠されやすくなります。
特に、住宅ローンを利用して購入しようとする場合、金融機関の審査で引っかかるケースも珍しくありません。
ローン審査では、対象の不動産が再建築可能か、必要なインフラが整っているか、そして法的な権利関係が明確かといった点が確認されます。私道の持分がない場合、「通行権が不安定」「掘削できる保証がない」と判断され、担保価値が低く評価されることがあります。
結果として、買い手が見つかりにくくなったり、希望額での売却が難しくなったりすることがあり、資産としての魅力が落ちてしまう可能性があります。
持分の有無は目に見えにくい要素ですが、取引の現場では非常に重く見られているのです。
私道持分に関するトラブル事例
私道持分は、ただ権利の一部を持つだけでは済まされない問題を内包しています。特に持分がない、または共有者と協調できない場合、想像以上に日常生活や資産管理に影響を及ぼすことがあります。
ここでは、実際に起こり得る4つのトラブル事例を紹介します。
- 事例①:私道の通行を拒否されて生活に支障が出た
- 事例②:インフラ工事ができず、建て替えが不可能になった
- 事例③:共有者との意見対立で道路の管理が進まない
それぞれ個別にみていきましょう。
事例①:私道の通行を拒否されて生活に支障が出た
ある戸建て住宅の購入者は、物件自体には問題がなかったものの、前面道路が私道で、その持分を一切所有していませんでした。
当初は前所有者との口頭の取り決めで通行が黙認されていたものの、私道の所有者が代替わりし、ある日突然「通行しないでほしい」と言われたのです。
交渉を試みたものの、新しい所有者は「契約書がないなら通らせる義務はない」と譲らず、結果として通行できる時間帯や範囲が制限されるようになりました。
ゴミ出しや子どもの送迎など、日々の生活にも支障が出はじめ、不便さを感じながら暮らすことになってしまったのです。
このような事例では、私道持分がないことが「黙認」の上に成り立った生活だったという脆弱性を露呈します。所有者が変わるだけで、住環境が一変してしまうリスクがあるのです。
事例②:インフラ工事ができず、建て替えが不可能になった
築40年を超える古家の建て替えを検討していたある家族は、建築確認申請の段階で、前面の私道が接道義務を満たしているかどうかの確認を求められました。
結果、私道には建築基準法上の「道路」指定がなく、かつ所有者からの掘削許可も得られていない状態だったため、水道やガス管の引き直し工事の計画が進められなくなってしまいました。
行政からは「道路位置指定申請を出すか、所有者の承諾書を提出するように」と指導されましたが、私道の所有者は高齢で意思疎通が難しく、結局建て替え計画そのものが棚上げとなったのです。
このように、私道持分を持っていないことで、法的にも物理的にも工事に制限がかかり、居住環境の改善を断念せざるを得ないケースもあります。
事例③:共有者との意見対立で道路の管理が進まない
複数世帯で私道を共有している住宅地では、舗装の補修や排水溝の清掃といった維持管理が住民の協力によって行われています。
ところが、あるエリアでは私道の一部が陥没してしまったにもかかわらず、費用の負担を巡って共有者の間で意見が分かれ、対応が大幅に遅れてしまいました。
なかには「自分の家の前ではないから負担したくない」という住民もおり、全体で合意が得られず、工事が何か月も先送りに。雨の日にぬかるみがひどくなり、宅配業者や介護サービスの車が入りづらくなるなど、地域全体に悪影響が及びました。
私道持分があるということは、言い換えれば共同管理者であるということでもあります。意見の食い違いや無関心が、管理の停滞を招く典型的な事例といえます。
私道持分を売却する際の流れ
私道持分は建物や土地と違って、単体ではあまり馴染みのない資産です。そのため、売却を検討する際にはいくつか独特の確認や準備が必要となります。
ここでは、実際の売却を進めるうえでの流れを順を追って見ていきます。
- 手順①:私道持分の権利関係を確認する
- 手順②:売却の可否を判断する
- 手順③:売却先の候補を探す
- 手順④:売却価格の相場を調査する
- 手順⑤:売却に必要な書類を準備する
- 手順⑥:売買契約を締結する
- 手順⑦:名義変更の登記手続きを行う
それぞれ個別にみていきましょう。
手順①:私道持分の権利関係を確認する
売却を始めるにあたって最初に行うべきは、自身がどのような持分を所有しているかを把握することです。具体的には、登記簿謄本(全部事項証明書)を取り寄せ、所在地・地番・地目のほか、共有者の人数や持分割合を確認します。
私道持分は「土地の共有」という性質を持つため、他の所有者との関係性がとても重要です。場合によっては、数十年前からの相続未登記が残っており、実際の権利者と登記上の情報が食い違っていることもあります。
こうした状態では売却が進められないため、まずは現状を正確に洗い出す必要があります。
手順②:売却の可否を判断する
権利関係を確認したら、次に本当に売却が可能かどうかを見極めます。私道の持分が共有である場合、民法上は自分の持分のみ単独で売却することが認められていますが、実際には共有者からの理解が得られないと後々トラブルになることもあります。
特に私道全体の用途や管理について住民同士で取り決めがある場合は、そのルールに則って売却の相談を進める必要があります。
また、私道に通行権などが設定されているかどうか、抵当権や地役権のような他人の権利が付いていないかも、確認しておきたいポイントです。
手順③:売却先の候補を探す
私道持分の売却先は、不動産業者や一般投資家だけでなく、実はごく身近なところにいる場合もあります。
例えば、私道を日常的に利用している近隣住民がその代表です。自分の持分を追加で取得したい、通行や工事の自由度を確保したいと考える人にとって、買い取るメリットは大きいからです。
また、不動産管理会社や開発業者が将来的な整備や再開発を見据えて持分を集めているケースもあります。周辺の事情に応じて、売却先を柔軟に検討する姿勢が求められます。
手順④:売却価格の相場を調査する
私道持分は、一般的な宅地のように明確な「路線価」が適用されないことが多く、相場の把握が難しい資産です。
しかし、過去の類似事例や地域の取引傾向を調べることで、ある程度の参考価格を算出することは可能です。
具体的には、次のような情報が役立ちます。
- 同様の私道持分が実際にいくらで売買されたか
- 私道に接する土地の価格や坪単価
- 近隣の不動産業者が提示する査定
とはいえ、流通性が低いこともあり、必ずしも「相場通り」に売れるとは限りません。価格交渉の余地を見込んで、やや幅を持たせておくとよいでしょう。
手順⑤:売却に必要な書類を準備する
売買を成立させるためには、一定の書類の準備が必要です。特に以下のような書類は、買主との信頼関係を築くうえでも重要になります。
- 登記簿謄本(全部事項証明書)
- 測量図や境界確認書(可能であれば)
- 身分証明書や印鑑証明書
- 売買契約書の案(司法書士が作成する場合もあり)
測量図や境界の情報が不明瞭な場合、買主が不安を感じる要因となるため、古い資料でもできる限り整理しておくことが望ましいです。
手順⑥:売買契約を締結する
買主との条件が整えば、売買契約を締結します。私道持分は一般の土地とは違い、用途や制限に関する説明が不十分だとトラブルのもとになります。
そのため、契約書には「通行や掘削の可否」「管理状況」「将来の負担の有無」など、持分の性質に特有の注意点を記載しておくことが肝心です。
契約は口頭ではなく必ず書面で交わし、不動産業者を通す場合でも、書面内容を自分で確認して納得したうえで署名・押印するようにしましょう。
手順⑦:名義変更の登記手続きを行う
契約が完了したら、最後に名義変更(所有権移転登記)を行います。登記の申請は司法書士に依頼するのが一般的で、売主・買主双方の協力が必要です。必要書類を事前にそろえておくことで、手続きは比較的スムーズに進みます。
なお、持分の売却でも登録免許税がかかるため、金額や納付方法を司法書士と相談しながら進めると安心です。登記が完了すれば、売却は正式に完了します。
私道持分の売却で発生する費用
私道持分の売却は、一般的な土地や建物と同様に費用がかかります。
ただし、私道ならではの事情が関わることもあり、事前に把握しておかないと想定外の出費に驚くことにもなりかねません。
ここでは、代表的な費用項目について整理します。
- 登記費用(※名義変更登記)
- 契約書の作成費用
- 譲渡所得税
- 仲介手数料(※仲介を依頼した場合)
- 測量費用(※必要な場合)
以下より、詳しく解説します。
登記費用(※名義変更登記)
売却が成立した後、私道持分の所有権を買主に移すためには、名義変更登記の手続きが必要になります。このとき発生するのが、登記費用です。具体的には、登録免許税と司法書士への報酬が含まれます。
登録免許税は、売買価格または固定資産評価額に基づいて算出されるため、金額はケースによって異なります。私道持分の評価額は低めに設定されていることが多いものの、登記が複雑になると司法書士の報酬が上乗せされることもあるため、事前の見積もりが大切です。
契約書の作成費用
売買契約を締結する際には、契約書の作成が不可欠です。不動産会社を通さず個人間で売買を行う場合には、専門家に契約書の作成を依頼することが一般的です。
特に私道持分のような権利関係が複雑な不動産では、通行や掘削、管理に関する特記事項を盛り込む必要があり、雛形の流用では不十分なケースもあります。
契約後のトラブルを防ぐためにも、契約書作成には数万円程度の費用をかけてでも、司法書士や行政書士に依頼するのが無難です。
譲渡所得税
私道持分の売却によって利益が出た場合には、譲渡所得税が発生する可能性があります。課税対象となるのは、売却金額から取得費や譲渡費用を差し引いた「譲渡所得」であり、その額に応じて所得税・住民税がかかります。
ただし、取得費が不明な場合や私道持分の評価が低い場合には、利益が出たと見なされないこともあります。計算方法がやや複雑なため、不安な場合は税理士などに相談し、申告漏れを避けるようにしましょう。
仲介手数料(※仲介を依頼した場合)
不動産会社に仲介を依頼して私道持分を売却する場合は、仲介手数料が発生します。上限額は法律で定められており、売買価格の3%+6万円(税別)が一般的な計算方法です。
ただし、私道持分は買い手が限られるため、売却に時間がかかることもあります。その場合、仲介会社によっては通常の物件よりも割高な報酬設定をしていることもあるため、依頼前に詳細を確認しておくことが大切です。
測量費用(※必要な場合)
買主から「境界を明確にしてほしい」と求められた場合や、権利関係が不明確な場合には、私道の測量が必要になることがあります。
特に、長年登記が更新されていない私道や、相続が繰り返されている共有地では、図面と現況が一致していないこともあります。
測量費用は土地の広さや状況、立ち会いの有無などによって変動しますが、数十万円単位の出費になることもあるため、売却前の段階で発生可能性を見積もっておくと安心です。
私道持分を売却する際の注意点
私道持分の売却は、法的には単独で可能なケースが多いものの、実務では注意すべき点がいくつもあります。特に共有者との関係や通行・利用の条件整理を怠ると、売却後のトラブルに発展しかねません。
取引をスムーズに進めるために押さえておきたいポイントとしては、以下の3つが挙げられます。
- 売却前に共有者の同意が必要か確認する
- 私道の通行権や使用条件を明確にする
- 売却後のトラブルを避けるため契約内容を精査する
次項より、詳しく解説します。
売却前に共有者の同意が必要か確認する
民法上、共有不動産の持分は単独で処分できます。ただし、私道のように複数人で利用・管理している土地では、他の共有者と事前に話し合いを行うのが現実的な対応です。
特に、長年にわたって地元の慣習や協定のもとで私道が運用されているような場合には、単独での売却が周囲の反感を買う可能性もあります。
共有者のなかには、通行の安全や管理の都合上、外部の第三者が新たな持分所有者になることに難色を示す人もいるでしょう。
のちの人間関係のこじれを防ぐ意味でも、事前に売却の意思を共有し、必要があれば書面で同意を得ておくのが賢明です。
私道の通行権や使用条件を明確にする
私道持分があるからといって、私道の全体を自由に使えるとは限りません。例えば、持分はあっても日常的な通行や工事に制限がかかっている場合や、過去の協定で掘削行為に条件が設けられていることもあります。
買主にとっては、「その私道を使って自由に出入りできるのか」「将来的な工事が可能か」といった点は非常に重要です。
売却にあたっては、登記情報に加え、通行承諾書や使用契約書があるかを確認し、必要に応じて新たに取得しておくとよいでしょう。情報が不明確なままでは、買主が安心して契約に踏み切れないことがあります。
売却後のトラブルを避けるため契約内容を精査する
契約書の内容があいまいなままでは、売却後に「聞いていた条件と違う」としてトラブルに発展する恐れがあります。
特に私道持分は、通常の土地売買とは異なり、通行・掘削・管理といった日常的な使われ方が細かく関わるため、契約書に盛り込むべき項目も異なります。
例えば、「将来の維持管理に売主が関与しないこと」や、「本件持分の範囲に通行権が伴うか否か」といった点は、紛争予防の観点からも明記しておくのが望ましいです。
内容の確認には、司法書士や不動産に詳しい専門家のアドバイスを得ることで、より確実な取引が可能になります。
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当社(株式会社ネクスウィル)は、共有持分や再建築不可物件など、一般には売却が難しい不動産を専門に扱う「ワケガイ」を提供しています。
私道の持分だけを相続したものの活用できず困っている、他の共有者との関係性から売却が進まないといったご相談を、これまで数多くお受けしてきました。
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まとめ
私道持分は、見過ごされがちな不動産権利のひとつですが、通行の自由や建築の可否、売却時の成約率にまで影響を及ぼす重要な要素です。特に、都市部の旗竿地や袋小路に面した住宅では、持分の有無が居住性に直結するケースも少なくありません。
日常生活や資産形成におけるリスクを最小限に抑えるには、「自分が何を持っていて、何を持っていないか」を正確に把握することが第一歩です。
権利関係の書類を確認し、不明な点があれば早めに状況を整理しておくことが、将来のトラブル予防につながります。単なる権利の一部と考えず、実用面からの影響も含めて、私道持分の意味を正しく理解しましょう。