
昨今、日本でホットトピックとなり続けている「空き家」問題。相続などで空き家を取得された方には、利活用も難しいため、その扱いに悩まれるケースは多いのではないでしょうか。
そのような場合は、たとえ想い出の詰まった実家であったとしても、早期に売却してしまうのが賢明です。本稿では、空き家を売却するメリットやその手順を解説しますので、ぜひお役立てください。
目次
空き家売却のメリット
維持・管理の負担がなくなる
空き家の維持・管理には多くの時間的・資金的負担がかかりますが、売却すればその心配はなくなります。
公益社団法人「全国宅地建物取引業協会連合会」が発表した調査内容によると、空き家所有者が抱える悩みの内、最も負担が大きいものは「維持管理にかかる費用」であるとわかります。
出典:公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合会「2017年土地・住宅に関する消費者アンケート調査ウェブアンケート調査結果」
「空き家関連の費用負担」と言えば、固定資産税が挙げられるでしょう。空き家にかかる固定資産税は「固定資産税評価額 × 1.4%(標準税率)」となっており、物件の評価額次第では年間数十万円の支払いが必要になるケースも珍しくありません(※1)。
近隣住民に迷惑がかかるリスクがなくなる
さらに、空き家を売却すれば近隣住民に迷惑がかからなくなるというメリットもあります。考えられるトラブルの事例としては、以下のようなものです。
- 景観の悪化
- 害虫、野生動物の発生
- 雑草の繁茂
- 塀や壁の倒壊
- 火災の発生
- 犯罪の発生・誘発
前述のアンケートでは、空き家関連の悩み事として「近隣から建物及び使用状況に苦情がある」という項目も含まれており、自分の耳には届いていないだけで、近隣住民に不満自体は溜まっている可能性も想定されます。
現在苦情が発生していなくても、将来的に倒壊や火災が発生しないとは言い切れません。今後、十分なメンテナンスが難しいと予想されるなら、早期に売却した方がいいでしょう。
空き家の築年数に応じた売却方法
築20年以内の空き家は「仲介」での売却
空き家の築年数が「20年以内」と比較的良い状態ならば、ある程度の市場価値は見込めるため、「中古住宅」としての売却が適しています。
空き家の場合、解体して土地のみを売却するという手段もありますが、築20年未満なら解体費がかかる土地のみの売却よりも、最終的な収益が大きくなるでしょう。
築20年以上の空き家は「古屋付き土地」「土地のみ」の売却
築20年以上が過ぎた空き家は、「古屋付き土地」としての売却が選択肢に入ります。古家付き土地とは、経済的な価値がほとんどなくなった家屋が建っている土地を指します。
空き家は築20年を境に売却価格が大きく下がると言われており、買い手探しも難航しやすいため、このような売却方式が取られるのが一般的です。
一方で、「築20年を過ぎた=価値がない」訳ではなく、あくまで築20年を境に売却価格が下がりやすいという“目安”として捉えておきましょう。
古屋付き土地としての売却が難しい場合は、更地にして「土地のみ」を売りに出しを行います。ただし、空き家を解体して売却する場合は解体費がかかるだけでなく、固定資産税の支払額が最大6倍になる可能性がある点には留意しなければなりません。
訳あり物件なら「直接買取」
当該空き家が再建築不可物件であったり、何らかの痛ましい事件があった瑕疵(かし)を抱える訳あり物件であったりする場合は、一般的な売却は難しいでしょう。買い手からすれば、ネガティブな印象しか持たれず、売却価格を大きく下げたとしても買ってくれる人が見つからない状況は大いに想定されます。
そのような場合は、訳あり物件を専門的に買い取っている業者に直接買取を依頼するのが有効です。訳あり物件の買取専門業者なら、物件を再利用する手段に長けており、買取までのノウハウもあるためスピーディーな売却もできます。
一方で、買取後に業者側がリフォームをしたり、新たな買い手を探さなければならなかったりするため、売却価格が市場相場よりも何割か安くなってしまう点には留意しましょう。
【仲介を依頼した場合】空き家売却のステップ
STEP1.査定依頼
空き家の売却を検討した場合、まずは不動産会社に査定を依頼します。その際に売りたい空き家が「どのくらいの価格で売却できるのか」について知るため、査定額を出してもらいます。
この際、複数の不動産会社に依頼すれば、各社の査定額を見比べられますので、相場から大きく外れた金額を提示されるリスクを減らせます。 一度の申し込みで複数の不動産業者に査定依頼できるサービスもありますので、積極的に利用しましょう。
STEP2.不動産会社と媒介契約の締結
査定金額に加え、「担当者の印象」「当該企業の過去の実績」なども踏まえて、仲介を頼む不動産業者を決定したら、その企業と媒介契約を締結します。媒介契約とは不動産売却にかかる広告宣伝などに関する取り決めで、「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の3種類があります。
それぞれの媒介契約には「契約を結んだ企業が見つけた買い手としか不動産取引ができない」「一週間に1回は広告宣伝の報告義務が生じる」など、契約内容の違いがあります。
STEP3.売り出し価格の決定
媒介契約の締結と同時並行で売り出し価格についても決めておく必要があります。スタート時の売り出し価格は、不動産売却を成功するかどうかを左右する重要な要素です。
そのため、周辺の競合物件の状況や不動産会社の意見も取り入れつつ、慎重に金額を決めましょう。
設定価格が低すぎると全く利益になりませんし、逆に高すぎれば買い手がなかなか見つからなくなってしまいます。
STEP4.買い手探しと交渉
空き家の売り出し価格が決まったら、広告宣伝を行い買い手探しを行います。なお、締結している媒介契約が「一般」「専任」である場合は、仲介業者ではなく自分で見つけた買い手と売買契約を結べます。
物件の購入希望者が現れたら「いくらで売買するのか」「支払いタイミングはいつになるのか」などについて取り決めを行います。
購入希望者から価格交渉が行われる可能性もありますが「他に買い手が見つかりそうかどうか」「自分がいつまでに売却したいか」といった諸要因も鑑みて対応しましょう。
さらに、買い手が見つかったからといってすぐに売却が完了するわけではなく、住宅ローンなどの借り入れを行うため、ある程度のタイムラグが発生する点にも留意が必要です。
STEP5.契約と引き渡し
交渉が成立したら不動産会社のサポートも受けつつ、売買契約を締結します。契約に必要な書類が全て揃い、 売却金額が振り込まれたら後は所有者移転手続きをすれば、引き渡しが完了します。
空き家売却でなるべく多くの利益を得る方法
スタート価格は高めに設定する
前述の通り、購入希望者から値下げの打診が発生する可能性を考慮すれば、スタート価格は多少高めに設定した方が、交渉の際に余裕が生まれます。買い手が見つからない場合でも、「売り出し価格を下げる」という選択肢も取りやすいでしょう。
ただし、あまりにも頻繁に値下げを行ってしまうと「もう少し待てばまだ値下がりが起こるかもしれない」と買い手希望者に判断される要因ともなりますので、過度な値下げは禁物です。
取得から3年以内に売却する
空き家のような戸建て物件を売却するためにかかる期間は、およそ「3ヶ月〜半年」が目安となります。もちろん、物件の状態や賃貸需要などによっては、それ以上の期間がかかるのが一般的ですが、それでもなるべく“物件取得から3年以内”を目指して売却しましょう。
なぜなら、空き家売却で利用可能な控除制度が「取得から3年」を目安に設定されているからです。
相続から3年以内なら「取得費加算の特例」「相続空き家の3,000万円特別控除」を利用できます。もともと空き家に住んでいた場合は、住まなくなってから3年目の年末までなら 「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除」を適用可能です。
こういった制度を利用することで、所得税の節税に繋がり、最終的な手残りの金額を多くできますので、積極的に活用しましょう。
空き家の悩みを解決する「Wakegai(ワケガイ)」の空き家買取サービス
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まとめ
空き家は放置すれば、それだけで維持管理の負担が発生するため、早期売却を目指すのが賢明です。しかし、空き家の築年数によっては、そのままの売却が難しいケースもあります。
空き家が築古であるなら「古屋付きの土地」「解体して土地のみ」としての売却が選択肢として挙がります。 空き家が再建築不可であったり、何らかの瑕疵を抱えていたりする場合は訳あり物件の買取専門業者への売却も検討しましょう。
参考:
※1 国税庁,「土地や建物を売ったとき」,https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/html/05_2.htm,(2022/07/21)