
空き家売却の際に「どのように、いくらで売るのか」といった事柄と同時に考えておかなければならないのが、売却によって発生する「税金」です。空き家売却では複数の税金が課税されますので、正しく把握していないと「思ったより手残りの金額が少ない」といった状況になりかねません。
今回の記事では、空き家売却時に発生する税金の概要に加え、節税に繋がる控除制度について紹介します。
目次
空き家を売却した際に発生する譲渡所得税
譲渡所得税とは
譲渡所得とは、空き家を売却して発生しての“儲け”で。それに課税される譲渡所得税は、厳密には所得発生の翌年支払う「所得税」「住民税」を指します。
空き家売却で発生する譲渡所得は分離課税として通常の給与所得などとは分けて捉えられます。そのため、サラリーマンであっても空き家を売却すれば確定申告を行わなければなりません。
譲渡所得は「売却価格 -(取得費+売却にかかった諸経費)- 特別控除(※適用する場合)」で算出され、その金額に譲渡所得税率をかければ課税額がわかります。
なお、譲渡所得は空き家の取得した日付から売却した年の1月1日時点までの所有期間に応じて「長期譲渡所得」「短期譲渡所得」に分類され、以下のように税率も変わります(※1)。
上記の通り、長期所得と短期所得を比べた場合は20%近くも税率が変わってしまうので、節税のためにもなるべく取得から5年超の売却を目指しましょう。
譲渡所得を得たら確定申告を行おう
譲渡所得を得ると確定申告が必要になると前述しましたが、申告の手順は以下の通りです。
- 必要書類の準備
- 各種書類への記入
- 税務署への書類の提出
- 納付
確定申告では、申告対象の所得が発生した翌年の2月16日から3月15日までに、必要書類を揃えて税務署に提出しなければなりません。確定申告を怠れば、罰則に処される可能性もあるので、十分に注意しましょう。
なお、空き家売却にかかる確定申告については、下記の記事で解説していますので、合わせてご確認ください。
空き家を売却すると確定申告が必要になるケースがある|申告のための知識を紹介
空き家売却にかかるその他の税金
印紙税
空き家売却では売買契約書を作成しますが、この契約書類には印紙税が課税されます。印紙税は課税額は当該取引における契約金額によって決まり、課税される印紙税額と同じ値段の収入印紙を購入し、契約書に貼り付ける形で納税を行います。
契約金額に応じた印紙税額は以下の通りです(※2)。
上記の通り、印紙税は高くとも6万円となっています。空き家売却における現実的な契約金額を考慮すると、空き家オーナーが支払うことになる印紙税はほとんどのケースで高くとも1万円までになると想定可能です。
復興特別所得税
復興特別所得税とは、東日本大震災からの復興で必要となる予算を確保するため、近年創設された税金です。復興特別所得税は納税者全てに負担義務があり、空き家売却においては「譲渡所得税 × 2.1%」の計算式で算出されます(※4)。
消費税(※一部ケースのみ)
空き家売却においても消費税が発生するケースがあり、課税対象は不動産会社へ支払う仲介手数料となります(※5)。
空き家売却では不動産会社と媒介契約を締結して買い手探しを行う必要がありますが、成功報酬として支払う仲介手数料では、同時に消費税も納税しなければなりません。なお、専門業者への直接買取を選択した場合は、消費税が課税されるような支出は発生しません。
なお、仲介手数料は売却価格に応じた手数料率をかける形で算出され、それぞれ以下のようになっていますので、仲介手数料および消費税を計算する目安としてお役立てください(※6)。
登録免許税
登録免許税は、厳密には空き家売却の前に必要になる税金です。空き家のような不動産物件は、名義人しか売却を行うことができません。
そのため、相続や生前贈与で取得した空き家を売却する前段階として、名義人変更のための登記手続きが求められ、その手続きに課税されるのが登録免許税となります。
登録免許税の課税額は「固定資産税評価額×0.4%(本則税率)」です(※3)。加えて、登記手続きにおいては各種書類の取得費が数千円、司法書士への依頼料が6〜10万円ほど必要であることも把握しておきましょう。
空き家売却で節税に繋がる特別控除
空き家の3,000万円特別控除
空き家を売却した場合、要件を満たしていた場合、譲渡所得から最大3,000万円が控除できる「空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例」という制度を利用可能です(※7)。
これにより「譲渡所得 – 控除額」で算出した数値が譲渡所得税の課税対象となりますので、大幅な節税に繋がります。
マイホームを売ったときの特例
もともと自身で居住していた空き家を売却した場合「マイホームを売った時の特例」を利用できます。所有期間の長さに関係なく所有期間の長短に関係なく譲渡所得から最大3,000万円までを控除ができ、正式には「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」とされています(※8)。
なお、下記のような空き家に対しては特例を適用できないため、注意が必要です。
- 特例の適用を受けることだけを目的として入居したと認められる家屋
- 居住用家屋を新築する期間中だけ仮住まいとして使った家屋、その他一時的な目的で入居したと認められる家屋
- 別荘などのように主として趣味、娯楽または保養のために所有する家屋
10年超所有の軽減税率
空き家を売却した際に利用できる控除制度は、「空き家になってから3年以内」といったように、比較的所有期間が短期に設定されているケースが多くあります。しかし、「10年超所有の軽減税率」は1月1日時点で所有期間が10年を超えている場合に利用可能な制度です。
前述の3,000万円の特別控除を利用してなお譲渡所得税が発生する場合、所得額に対して、以下のような軽減税率を適用できます。
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まとめ
空き家売却では、譲渡所得税(所得税 + 住民税)や印紙税をはじめとした、さまざまな税金を支払うことになります。空き家の売却方法で仲介を選択していた場合は仲介手数料に対して消費税、売却のために名義変更をしたら登録免許税が課税されもします。
このように、空き家売却で支払う税金が積み重なれば大きな支出となります。最も大きな支出となる譲渡所得税については、節税に繋がる控除制度がいくつか設けられていますので、要件を確認し、積極的に活用しましょう。
参考:
※1 国税庁,「土地や建物を売ったとき」,https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/html/05_2.htm,(2022/07/21)
※2 国税庁,「印紙税」,https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/inshi301.htm,
(2022/07/21)
※3 財務省,「登録免許税に関する資料」,https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/property/e08.htm,
(2022/07/21)
※4 国税庁,「個人の方に係る復興特別所得税のあらまし」,https://www.nta.go.jp/publication/pamph/shotoku/fukko_tokubetsu/index.htm,(2022/07/21)
※5 国税庁,「消費税のしくみ」,https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/html/01_3.htm,(2022/07/21)
※6 REDS,「仲介手数料の法定上限金額とは」,https://www.reds.co.jp/system/term/fee/,
(2022/07/21)
※7 国税庁,「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」,https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3306.htm
,(2022/07/21)
※8 国税庁,「マイホームを売ったときの特例」,https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3306.htm,
(2022/07/21)