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瑕疵担保責任の代わりに定められた「契約不適合責任」とは?

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これまでの民法では「瑕疵担保責任」が規定されていましたが、2020年の改正と共に廃止となりました。そこで瑕疵担保責任に代わって導入されたものが「契約不適合責任」です。

今回は、なぜ「瑕疵担保責任」が廃止されたのか。新しく導入された「契約不適合責任」とはどのような権利なのかをわかりやすく解説します。

今後、不動産取引をする予定がある方や、近年不動産購入をした方はぜひご覧ください。

従来の「瑕疵担保責任」とは

「瑕疵担保責任」は、これまでの民法で取り決められてきた1つの重要な概念です。

瑕疵とは、物品の傷や欠陥を意味します。さらに、法律的な観点から見て何らかの欠陥が存在する場合や、意思表示における詐欺や脅迫のような背景が存在するケースでも、この「瑕疵」という言葉で表現されます。

瑕疵担保責任は、欠陥のある商品を販売または製造した際に生じる責任を指します。例えば、買い手が契約時に知り得なかった欠陥が後に明らかになった場合、売り手はこの責任を負担しなければなりません。

住宅を例に挙げると、雨漏りやシロアリの被害がその典型的な事例として挙げられます。

瑕疵が契約後に発覚した場合、売主がその責任を持つこととなり、買主は売主に対して契約の解除や損害賠償の請求が許されるというのが従来のルールでした。

新しく導入された「契約不適合責任」とは

2020年の法改正を受け、「瑕疵担保責任」の概念は「契約不適合責任」として更新されました。

新しい改正民法で取り入れられた「契約不適合」という言葉は、民法562条1項に「契約の内容として取り決められた種類、品質、または数量に沿っていないもの」と明示されています。この用語は新しく導入されましたが、背後にある実質的な内容は大きく変わっていないとの認識があります。

契約不適合責任とは、簡潔に言うと、「売買の対象となる物品が契約で定められた目的に適合していない場合に売主が持つ責任」を指します。この「目的の適合性」は、売買契約の内容や締結の背景を踏まえて総合的に判断されるものとなります。

契約不適合責任で請求できること

契約不適合責任が発生すると、買主は売主に対して以下のような請求ができます。

  • ①:追完請求
  • ②:代金減額請求
  • ③:損害賠償
  • ④:催告解除
  • ⑤:無催告解除

次項より、個別に解説します。

①:追完請求

「追完請求」は、契約に照らし合わせて、引き渡された物が種類、品質、または数量に関して不適合である場合に発生します。買主は売主に、欠陥の修復、代替品の提供、もしくは不足分の追加引き渡しを求めることができるのです。具体例として、新築住宅で雨漏りが発生した場合、買主は修理を要求することが可能です。

②:代金減額請求

もし追完請求を行ったにも関わらず、対応が得られないとき、買主は売主に対して代金の減額を要求することが認められています。

ただし、通常は先に「追完請求」を行うことが必須です。しかし、以下の特定のケースでは、追完請求の手続きを省略して直接代金減額請求を行うことが許されます。

<すぐに代金減額請求ができるケース>

  • 履行の追完が不可能な場合
  • 売主が履行の追完を拒絶したとき
  • 契約の性質や、当事者の意思表示によって一定の期間内に履行しなければ契約の目的が達成されない場合で、その期間を経過しているとき
  • その他、買主が催促しても売主から追完を受ける見込みがないとき

③:損害賠償

物の欠陥によって買主が何らかの損害を受けた際、買主は売主に対して損害賠償を求める権利があります。

ただし、この請求を行うためには、売主が欠陥について知っていたことが前提となります。例を挙げると、売主が住宅の雨漏りの事実を隠して売った場合、その故意や過失により、損害賠償請求が成立します。

④:催告解除

「催告解除」とは、契約の一方当事者が約束の履行を怠った際、もう一方の当事者が指定の期間内にその履行を求め、期間経過後も履行されない場合、契約を解除する権利を意味します。

契約不適合が生じた場合、ただちに契約を解除する前に、一定の期間を設けて履行を求める手続きが必要。この解除が成立した場合、買主はすでに支払った代金の返還を要求できます。

⑤:無催告解除

特定の状況下で、催告手続きを経ずに直接契約解除を求めることができます。この「無催告解除」は、「契約の履行が不可能」「売主が履行を明示的に拒絶する」場合などに適用されます。

例として、物件の不備を修復する要求に「絶対に応じない」との返答があった場合、買主は催告をスキップして契約を解除する権利を持ちます。

契約不適合責任が発生しないケース

たとえ住宅が雨漏りをしていたとしても、契約不適合責任が発生しないケースがあります。それは、契約書に「雨漏りがします」と書かれてあり、買主も同意した上で購入した場合です。

つまり、「契約書への記載内容」が重要なポイントとなるため、これから不動産購入をお考えの方はきちんと契約書を確認するようにしましょう。

法改正された理由

物件に雨漏りの問題が発覚したとしても、契約不適合責任を問うことができない場合が存在します。

具体的には、契約書上に「雨漏りの存在」が明示的に記載されており、それを理解した上で買主が購入を進めた場合です。これを踏まえ、不動産の購入を考慮する際は、契約内容の確認を徹底的に行うことが欠かせません。

瑕疵担保責任と契約不適合責任の違い

瑕疵担保責任と契約不適合責任の違いについて説明します。

買主に認められる権利内容

瑕疵担保責任では、瑕疵が存在した場合、買主が行えるアクションは「解除」と「損害賠償請求」のみでした。

これに対して、契約不適合責任の下では、「追完請求」や「代金減額請求」も加わり、買主の権利範囲が拡大されました。

 契約解除の内容

瑕疵担保責任では、解除が「契約の目的を達成不能とする状況」に限られていました。しかし、契約不適合責任のもとでは、解除ができないのは「不適合の程度が軽微である場合」だけと明確化されました。

 不適合発生の期間

瑕疵担保責任では、「契約時点での瑕疵」のみが対象とされていましたが、現実的には契約後、引き渡しまでの期間にも新たな瑕疵や問題が発生することが考えられます。

このため、契約不適合責任では、「引き渡し時点までに判明した問題」も適用の対象とされるよう変更されました。

 損害賠償の範囲

瑕疵担保責任では、損害賠償の対象が「信頼利益」のみとなっていました。しかし、契約不適合責任の下では、この範囲は信頼利益だけに留まらず、履行利益も損害として認められるよう変わりました。

履行利益は、契約が適切に履行されていたならば得られたはずの利益を指します。転売目的で宝石を購入し、売主の過ちにより宝石が破損して転売ができなくなった場合、その失われた転売利益が履行利益として考えられます。

一方、信頼利益とは、契約が順調に実行されると信じた結果生じた損害を示すものです。宝石の購入に際して購入資金を借入れていた場合、その際の利息が信頼利益として計算されます。

 損害賠償請求できる要件

瑕疵担保責任の下では、売主の過失や故意の有無に関わらず、買主は損害賠償請求が可能でした。しかし、契約不適合責任では、売主に故意や過失がなければ、買主は損害賠償請求ができなくなりました。

 権利行使できる期間

瑕疵担保責任には引き渡し後1年の期間制限が設けられており、この期間中に権利の行使をする必要がありました。

一方で、契約不適合責任の場合、引き渡し後1年以内に通知を行えば、その後での権利行使も可能です。これにより、買主の権利行使のチャンスが拡がりました。

契約不適合責任は任意で規定を設けられる

瑕疵担保責任も契約不適合責任も、その規定は「任意規定」となります。詳しく解説します。

任意規定とは

任意規定とは、契約当事者間の合意により、特定の条項が有効となる規定を指します。例として、売主と買主が協議して、瑕疵担保責任を部分的または完全に免責することが許容されます。

特に、年数が経過した物件の販売の際に、「完全免責」とするケースが考えられます。このような特約を設けることで、部分的な免責や全面的な免責が実現されます。

さらに、「追完請求は修補請求のみ」とする、あるいは「損害賠償の上限を設定する」といった特約も可能です。

売主が宅地建物取引業者の場合は免除できない

宅地建物取引業者である売主は、契約不適合責任を一方的に放棄することは認められていません。引き渡し後の最低2年間、全ての契約不適合責任を担う必要があります。

これは、宅建業法40条に基づくもので、「2年未満の契約不適合責任の期間の短縮」や「買主に不利な契約不適合責任の変更」は認められていません。しかし、宅建業者間の取引においては、この制約は適用されず、契約不適合責任の放棄も認められています。

契約不適合責任における注意点

では、自分が不動産を売る立場になったときは、どのようなことに気をつけたらいいでしょうか。具体的には、以下のようなものが挙げられます。

  • 特約・容認事項を契約書に明記する
  • 心理的瑕疵や環境的瑕疵も明記する
  • 設備に関しての責任を明確にしておくこと
  • 目的物をはっきりさせる
  • インスペクションを行う

次項より、個別にみていきましょう。

特約・容認事項を契約書に明記する

契約不適合責任においては、明文化の重要性が高まります。売買契約書には通常の条文に加えて、物件ごとの特別な事情や取り決めを反映した特約・容認事項の欄が存在します。

例えば、何らかの追完請求が発生した際の具体的な手続きや方法について、買主の意向を受けた指定を求める場合は、「追完の方法は買主が指定」と明記することが必須です。

さらに、法律が定める契約不適合責任の通知期限を特定の期間に変更したい場合も、それを特約として文書に取り決めておくことが可能です。

心理的瑕疵や環境的瑕疵も明記する

心理的瑕疵とは、物件の過去の出来事が新しい居住者にとって心的なストレスとなるような事柄を指します。これには、過去の事件や事故が該当します。

一方、環境的瑕疵は、物件の周囲の環境が原因で生じる問題を指し示します。例としては、不快な臭いや騒音の原因となる施設、安全面での懸念がある施設などが挙げられます。これらの瑕疵については、契約書に明確に告知し、買主の了解を取り付けることが賢明です。

設備に関しての責任を明確にしておくこと

不動産取引において、設備は重要な要素の1つです。特に中古の住宅では、設備に一定の摩耗や不具合が生じている場合が考えられます。

こうした軽度な不具合に対して契約不適合責任を厳格に適用すると、取引そのものが困難となる恐れがあります。そのため、設備に関する契約不適合責任を免除する条項を契約書に盛り込むことを検討すべきです。

目的物をはっきりさせる

契約不適合責任の範囲を明確にするためには、取引の対象となる「目的物」が何であるかを明示することが不可欠です。契約書において、この点を詳細に記載することで、双方の認識の齟齬を避けることができます。

 インスペクションを行う

既存の住宅を取引する際には、「インスペクション」という調査手法を取り入れることを推奨します。これは、住宅の状態や品質を第三者の専門家が確認するための手続きです。

この調査によって、物件の現状や必要な情報を詳しく把握することができ、それをもとに契約内容をより具体的にすることが可能となります。

まとめ

民法改正によって、瑕疵担保責任から契約不適合責任へと変わりましたが、本質的な意味は大きく変わりません。ただし、契約書に記載されていることが重要であるため、不動産購入前にはよく確認して締結するようにしましょう。 

売主の場合、不動産の状態をよく把握してから、特約や容認事項、責任の範囲を明確にしておくといいでしょう。曖昧なまま契約締結をすると、あとで契約不適合責任を追及されてしまう可能性があります。

本ブログで情報発信を行っている「ワケガイ」は、訳あり物件を積極的に買い取っている専門業者です。所有物件についてお悩みの方は、訳あり物件の買取に特化したワケガイに、ぜひお問い合わせください。

この記事の監修者

監修者プロフィール写真

川村 有毅 (司法書士)

私が司法書士になる前は、接客サービス・営業等、お客様と直に接する仕事に長く携わってきました。
そこから、お客様とのコミュニケーションを事務的にせず、お話をしっかりと拝聴し、問題を共有することの大切さを学びました。
お客様と接する機会をもっと重要視し、人と人とのつながりを大切にします。
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