不動産の「告知事項あり」とは? 瑕疵の種類や告知事項あり物件の見分け方を解説

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土地や建物などの不動産を購入する際に「告知事項」について説明されることがあります。この意味を正しく理解していないと、購入して住んだ後に後悔することになってしまうかもしれません。

そもそも「告知事項」とはどのような要素であり、告知事項あり物件を回避したい場合、どのような方法で見分けることができるのかについて、具体的に把握している方は多くないはずです。

そこで、今回は不動産の告知事項について詳しく解説しますので、ぜひお役立てください。

告知事項とは

告知事項とは義務

告知事項を未伝達だとペナルティの可能性

告知事項は、特定の義務や法律に基づいて伝えるべき情報を指します。

これは告知義務者が知っている事実に限られ、事実と異なる報告や必要な情報の未伝達は「告知義務違反」とみなされ、ペナルティを受けるリスクがあります。

保険業界では、告知事項として被保険者の健康状態や過去の病歴などが挙げられます。これらの情報は保険契約の条件や保険料の算出に重要な要素です。

「瑕疵(かし)」があると「告知事項あり」となる

瑕疵のある不動産は、売買や賃貸する際に告知事項として説明する義務が分かる図解

瑕疵がある不動産を売却、賃貸する際は、購入者や賃借人に瑕疵の内容を原則として告知しなければなりません。

不動産広告に「告知事項あり」と記載されている場合、購入や賃貸の判断に影響する事情が物件にあることを示しています。

告知事項ありという表示は事故物件だけを意味するものではなく、建物や土地の不具合のほか、法令上の制限や周辺環境の問題なども対象になり得ます

過去の自殺や他殺などによる心理的瑕疵のほか、雨漏りやシロアリ被害などの物理的瑕疵も確認が必要です。再建築できないなどの法的瑕疵や、騒音・異臭などの環境的瑕疵が関係するケースもあります。そのため「告知事項あり」の表示を見たときは、事故物件と決めつけず、何について告知が必要なのかを契約前に確認することが大切です。

関連記事:事故物件とは?定義や売却時の告知義務について詳しく解説

瑕疵の内容を伝えないと損害賠償責任が発生することも

不動産の購入は一般的に高額であり、一度の購入が人生に大きな影響を与えます。

瑕疵の有無は購入決定に大きく関わり、瑕疵が後から発覚した場合、契約解除や損害賠償請求のリスクが生じます。

そのため、売主側にとって告知事項の適切な伝達は、将来のトラブルを避けるためにも重要です。

告知事項は4種類に分けられる

告知事項あり物件における物理的瑕疵・心理的瑕疵・法的瑕疵・環境的瑕疵の4種類を示した図

告知事項は、物理的瑕疵・心理的瑕疵・法的瑕疵・環境的瑕疵の4種類に分けられます。

告知事項は大きく、以下の4つに分けられます。

  • ①物理的瑕疵
  • ②心理的瑕疵
  • ③法的瑕疵
  • ④環境的瑕疵

次項より、個別にみていきましょう。

①:物理的瑕疵

物理的瑕疵とは、文字通り物件に存在する物理的な損傷や不具合を指します。

これには建物のひび割れ、シロアリの被害、雨漏り、耐震基準未満などが含まれます。

地盤沈下や土壌汚染、地中障害物のような土地に関する問題も物理的瑕疵に該当するため、しっかり把握しておきましょう。

【物理的瑕疵の具体例】

  • ひび割れ
  • シロアリによる傷み
  • アスベスト
  • 雨漏り
  • 床下浸水
  • 地盤沈下
  • 土壌汚染
  • 耐震基準未満

など

②:心理的瑕疵

心理的瑕疵は、物件の過去の出来事が購入者の心理に影響を与える場合を指します。

これには、自殺、殺人事件、火災などの過去の事件や事故が含まれます。

自然死があった場合は通常心理的瑕疵には含まれませんが、発見まで時間がかかった場合は含まれるケースがあります。

【心理的瑕疵の具体例】

  • 過去の入居者が自殺をした
  • 過去に殺人事件が起こった
  • 過去の入居者が事故によって死亡した
  • 過去の入居者が死亡し遺体発見までに時間がかかった

など

③:法的瑕疵

法的瑕疵は、法律による制限が原因で物件の活用や価値が制限される場合を指します。

再建築不可物件、違法建築、古い防災設備などがこれに当たります。

これらの物件は、現状維持やリフォームで利用可能ですが、災害時に住めなくなるリスクも伴います。

【法的瑕疵の具体例】

  • 接道義務に違反している再建築不可物件
  • 違法建築
  • 防災設備が古い

など

④:環境的瑕疵

環境的瑕疵は、物件の周辺環境に由来する問題を指します。

異臭や騒音、公害の発生源となる施設、治安の懸念がある施設がこれに該当。

異臭を発する施設にはゴミ焼却場や下水処理場、産業廃棄物処理施設などがあり、騒音や公害の問題がある施設には工場や大型トラックの出入りが多い地域が含まれます。治安の問題がある施設としては、風俗店や反社会的勢力の拠点などが挙げられます。

さらに、火葬場や刑務所、宗教施設、軍事施設なども一部の人々にとっては不快感や不安を引き起こす場合があり、環境的瑕疵とみなされることがあります。

買い手によって捉え方が異なるため、契約解除が困難な場合が多いです。購入前に周辺環境の調査が重要であり、地図上でも確認しましょう。

【環境的瑕疵の具体例】

  • ゴミ焼却場
  • 下水処理場
  • 産業廃棄物処理施設
  • 工場
  • 火葬場
  • 刑務所
  • 宗教施設

など

告知事項あり物件のメリットとデメリット

告知事項あり物件のメリット・デメリット

告知事項あり物件にもメリットがある

瑕疵がある告知事項ありの物件に住む場合のメリットとデメリットについて解説します。

告知事項あり物件のメリット

告知事項あり物件は、事情の内容を受け入れられる人にとって、周辺の同種物件より低い価格や賃料で契約できる可能性があります。

告知事項があると購入希望者や入居希望者が限られやすく、売主や貸主が価格を調整するケースがあるためです。

ただし、告知事項あり物件が必ず安くなるわけではなく、値下がり幅も一律ではありません。心理的瑕疵なのか、建物の不具合なのかによっても購入後の影響は変わります。価格だけを理由に判断せず、告知された内容と現在の状態を確認し、自分にとって許容できる条件かを比較することが重要になります。

関連記事:事故物件って売れるの?売却方法について徹底解説

告知事項あり物件のデメリット

告知事項あり物件、特に事件や事故のあった物件や環境的瑕疵のある物件に対して、「気味が悪い」と感じたり、心霊現象などへの恐れを抱く可能性が大いにあるでしょう。

環境的瑕疵が原因で、騒音や異臭などによる不快感や治安への不安感から精神的ストレスを感じることがあります。これらのストレスは、不眠やその他の体調不良を引き起こす原因にもなり得ます。

近隣住民がその物件の過去を知っている場合、事故物件に住むことで忌避される可能性があります。これは近所づきあいに悪影響を及ぼしかねません。

事件や事故がメディアに取り上げられている場合、物件の住所が特定されるリスクがあります。これにより、不要な勧誘やセールスの訪問が増加する可能性があり、プライバシーの侵害につながる可能性があります。

告知事項を伝えられないケース

告知事項を伝えなくてもよい場合について、賃貸と売買の違いを示した図

告知事項を伝えなくてもよい場合について、賃貸と売買の違いを示した図

告知事項を伝えられないケースは、以下のとおりです。

  • ケース①:2人目以降の入居者の場合
  • ケース②:長い年月が経過している場合

下記より、詳しく解説します。

ケース①:2人目以降の入居者の場合

2人目以降の入居者への告知については、事案の内容や経過期間などを踏まえて判断されます。

国土交通省のガイドラインでは、居住用不動産で生じた人の死について、死因や発生場所などを確認したうえで告知の要否を判断する考え方が示されています。

賃貸では、自殺や他殺など一定の事案について、おおむね3年が経過した後は原則として告げなくてもよいとされるケースがあります。そのため、告知事項あり物件を検討するときは、過去の入居状況だけでなく、どのような事案があったのかを確認することが重要です。

なお、2人目以降の入居者であっても一律に告知が不要になるわけではなく、借主から事案の有無を尋ねられた場合などは、経過期間にかかわらず告げる必要があります。

ケース②:長い年月が経過している場合

事件や事故から長い年月が経過している場合は、経過期間や取引の種類などを踏まえて告知の要否を判断します。

賃貸について一定の事案からおおむね3年が経過すると、原則として告げなくてもよい場合があります。

売買については賃貸と同じ期間の目安が設けられていないため、事案の内容や社会的な影響などを踏まえた判断が必要です。そのため、告知事項あり物件では、事案が発生してからの期間だけでなく、売買か賃貸かも含めて確認することが大切です。

なお、買主や借主から事案の有無を尋ねられた場合などは、長い年月が経過していても告知が必要になることがあります。

瑕疵がある物件を見分ける方法

瑕疵がある物件を見分ける方法は、以下のとおりです。

  • 「告知事項あり」と記載されているかを確認する
  • 相場よりも料金が安い場合は要注意
  • 「一部リフォーム済」と記載されている場合は要注意

次項より、詳しくみていきましょう。

「告知事項あり」と記載されているかを確認する

物件情報で「告知事項あり」と表示されている場合は、契約を進める前に具体的な内容まで確認することが重要です。

SUUMOなどの物件情報サイトでは、備考欄などに「告知事項あり」とだけ記載され、詳しい事情が広告上ではわからないケースもあります。

告知事項ありという表示だけでは、心理的瑕疵なのか、建物や土地の問題なのかまでは判断できません。気になる物件が見つかったら、不動産会社に告知の対象となっている事実や発生時期を確認します。広告に表示がないことだけを理由に問題がないと断定せず、契約前の説明も踏まえて判断しましょう。

相場よりも料金が安い場合は要注意

物件の賃料や価格が周辺の相場と比較して著しく低い場合には警戒が必要です。

売主が告知事項のある物件を早期に売却しようとする際には、価格を下げることが一般的。

そのため、物件が安価である理由を深く調べることが重要です。

「一部リフォーム済」と記載されている場合は要注意

「一部リフォーム済」との記載がある物件も注意しましょう。

この表記は、事故や問題のあった部分を修正するためのリフォームを示唆している可能性があります。

特に、築年数が新しい物件で部分的なリフォームが行われている場合は、その背景を詳しく調査することが勧められます。

告知事項についてよくある質問

告知事項についてよくある質問は、以下のとおりです。

  • 告知事項ありは、何で見られる?
  • 告知事項ありの賃貸物件を借りても問題ない?
  • 告知事項ありの物件に実際に住んでみるとどうなる?
  • 告知事項ありの物件を売却するときの注意点は?

それでは、それぞれの質問とその回答を紹介します。

告知事項ありは、何で見られる?

物件情報サイトの備考欄や、不動産会社が交付する重要事項説明書で確認できます。ポータルサイトでは「告知事項あり」とだけ記載され詳細が伏せられていることも多いため、気になる場合は不動産会社に直接問い合わせるのが確実です。契約前には宅地建物取引士による重要事項説明が義務づけられており、その場で内容が説明されます。事故物件の情報を集めたサイトもありますが、正確性が保証されているわけではないため、参考程度にとどめるのが無難でしょう。

告知事項ありの賃貸物件を借りても問題ない?

契約自体に法的な問題はなく、周辺相場より賃料が抑えられている点を利点と考える人もいます。ただし、どのような事情があるのかを事前に確認し、自分が納得できるかどうかを見極めることが前提となります。国土交通省のガイドラインでは、賃貸は事案からおおむね3年経過後は告知不要とされているため、表示がなくても過去に事案があった可能性は残ります。気になる場合は、契約前に不動産会社へ具体的に質問しておくとよいでしょう。

告知事項ありの物件に実際に住んでみるとどうなる?

感じ方には個人差が大きく、まったく気にならないという人がいる一方で、事情を知ってから落ち着かなくなったという人もいます。物件そのものの設備や構造に問題がないケースも多く、その場合は通常の住まいと変わらない使い勝手が期待できます。ただし、来客や家族に説明する場面で気まずさを感じる、将来売却や転貸をする際に同じ説明義務が生じるといった点は考慮が必要です。内見時に室内の状態と周辺環境を自分の目で確認することをおすすめします。

告知事項ありの物件を売却するときの注意点は?

売主には、買主の判断に影響する事情を知りながら伝えない場合、契約不適合責任や損害賠償を問われるリスクがあります。事案の内容と時期を正確に不動産会社へ伝え、重要事項説明に反映してもらうことが第一です。価格は相場より下がる傾向があり、一般の仲介では買主が見つかりにくいこともあります。その場合は、訳あり物件を専門に扱う買取業者へ相談すると、告知事項を前提とした条件で早期に売却できる可能性があります。

まとめ

告知事項については、常識的な不動産業者や売主であれば、契約前に詳細をを伝え、その上で購入の判断を任せることでしょう。

契約前には、告知事項を知った上で「気にしないから大丈夫」と思っていたとしても、実際に住んでみると不安感や不快感を覚えるというケースもあります。買い手は告知事項をよく確認した上で、慎重に検討するようにしたいものです。

もし「告知事項がよくわからない」「契約してしまったけれどやはり解消したい」などといった場合は、プロに相談することをおすすめします。

本ブログで情報発信を行っている「ワケガイ」は、訳あり物件を積極的に買い取っている専門業者です。所有物件についてお悩みの方は、訳あり物件の買取に特化したワケガイに、ぜひお問い合わせください。

 

運営団体

株式会社ネクスウィル

2019年1月29日設立。訳あり不動産の買取を行う不動産会社。相続やペアローンによる共有持分、空き家、再建築不可物件、借地、底地など、権利関係が複雑な不動産を買い取り、法的知識や専門知識を以って、再度市場に流通させている。

訳あり不動産の買取サービス「ワケガイ」、空き家、訳あり不動産CtoCプラットフォーム「空き家のURI・KAI」を展開。

経済界(2022年)、日刊ゲンダイ(2022年)、TBSラジオ「BOOST!」(2023年)、夕刊フジ(2023年)などで訳あり不動産について解説している。2024年度ベストベンチャー100選出。

これまでの買取の経験をもとに、訳あり不動産の解説をする著書『拝啓 売りたいのに家が売れません』(代表取締役 丸岡・著)を2024年5月2日に出版。

この記事の監修者

監修者プロフィール写真

丸岡 智幸 (宅地建物取引士)

訳あり不動産の買取を専門にする会社の代表取締役。
相続やペアローンによる共有持分、空き家、再建築不可物件、借地、底地など、権利関係が複雑な不動産の買取を専門としている。
訳あり不動産の買取サービス「ワケガイ」、空き家、訳あり不動産CtoCプラットフォーム「空き家のURI・KAI」を運営。
買取の経験をもとに、訳あり不動産の解説をする著書『拝啓 売りたいのに家が売れません』を2024年5月2日に出版。

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