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再建築不可物件のアパートを譲渡や相続などによって取得した場合、どのようなことに気をつければいいかご存知でしょうか。
再建築不可物件は一見するとアパート経営におけるリスクのように思えるかもしれませんが、実はそこには隠れた機会が潜んでいます。法的な制約により新たな建築ができないこれらの物件は、通常、市場価値が低く設定され、購入価格が比較的安価になる傾向があります。
そこで今回は再建築不可アパートを経営することのメリットとデメリットを紹介します。経営せずに所有し続ける場合のリスクや活用方法・売却方法などもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
再建築不可のアパートとは
「再建築不可」とは、現存する建築物を取り壊した後、同じ場所に新たな建築物を建てることが法律上許されていない状態を指します。
このような不動産は「再建築不可物件」と呼ばれます。特に都市部や歴史的な市街地では、このような物件が存在することがあります。
幅員4m以上の道路に2m以上接していない場合「再建築不可」
不動産における「接道義務」とは、建物が一定の幅員を持つ公共道路に面していなければならないという法的要件です。
具体的には、建築基準法により、敷地は幅員4m以上の道路に2m以上接している必要があります。これは、災害時の消防車や救急車のアクセスや、避難経路の確保のために重要です。
なぜ再建築不可物件が存在するのか?
再建築不可物件が存在する理由は、主に歴史的な法律の変遷にあります。1950年に制定された現行の建築基準法では、建物の敷地が道路に2m以上接することが必須とされています。
しかし、江戸時代から続く旧市街地の中には、大正・昭和前期の1.8m幅の道路が存在し、これらに面する不動産は現在の法律に適合しないため、再建築不可とみなされます。
このように、現代の法規制が旧来の市街地の構造に適用されることで、再建築不可物件が生じるのです。
再建築不可のアパート経営のメリット
再建築不可アパートを経営することのメリットを紹介します。具体例としては、以下のとおり。
- 物件価格が安い
- すでに入居者がいる可能性が高い
- 住宅ローンを支払わずに家賃収入を得られる
それぞれ、個別に解説します。
物件価格が安い
再建築不可物件は市場価値が低いため、通常の物件に比べて購入価格が安くなります。この低価格での取得は、コスト効率の高い不動産運用につながり、適切な管理下であれば高い収益を生む可能性があります。
再建築不可物件の土地は評価額が低めに設定されることが多く、結果として固定資産税も低く抑えられます。固定資産税は「課税標準額×1.4%」で計算され、物件の年数が経過するにつれて減額される傾向にあります。
特に築50年以上の再建築不可物件は、新築時の価値の20%程度にまで下がる場合もあります。道路に面していない土地では、土地評価が通常の40%減となるケースも。
再建築不可物件は土地の評価額が低いため、相続税の算出基準も低くなります。これは、相続税対策として財産の評価を下げる1つの手段となり得ます。
すでに入居者がいる可能性が高い
再建築不可アパートは長い歴史を有していることが多く、すでに入居者が居住している可能性が高いです。新築アパートでは入居者を確保するための広告や準備が必要ですが、このような手間が省けるのは大きな利点といえます。
住宅ローンを支払わずに家賃収入を得られる
既に入居者がいる再建築不可アパートを所有することで、直ちに家賃収入を得ることが可能です。
新築アパートを建てる際には高額な住宅ローンを組む必要がありますが、再建築不可物件は多くの場合、ローンが完済されているため、追加の支払いを最小限に抑えることができます。
再建築不可のアパート経営のデメリット
一方で、再建築不可のアパート経営には以下のようなデメリットが存在します。
- 建て替えができない
- 修繕費がかかる可能性がある
- 退去者が出ると新しい入居者を探すことが難しい
- リフォーム工事代が高くなる可能性がある
上記について、詳しくみていきましょう。
建て替えができない
再建築不可物件の主なデメリットは、文字通り建て替えができないことです。これらの物件はしばしば古く、老朽化が進んでいるため、建て替えを希望しても法的な制約により実現が困難です。
さらに、自然災害や火災などによる意外な倒壊のリスクも考慮する必要があります。これらの事態においても、建て替えは認められないため、所有者はこのリスクを常に意識する必要があります。
修繕費がかかる可能性がある
古いアパートは、長年の使用により様々な箇所で老朽化が進んでいます。居住者の安全を保障するために必要な修繕は避けられず、これに伴う費用負担が大きくなる可能性があります。
退去者が出ると新しい入居者を探すことが難しい
築年数が長いアパートは、外観や間取りが現代のニーズに合っていないことが多く、新しい入居者を見つけるのが難しい場合があります。
特に多くの新しいマンションが建設されている地域では、入居者の獲得が一層困難になります。
リフォーム工事代が高くなる可能性がある
再建築不可物件は、リフォームは可能ですが、敷地の特性上、工事の実施が困難な場合があります。
「道路が狭い」「敷地へのアクセスが難しい」などの理由で、大型の工事車両や重機の使用が制限されるケースが存在します。これにより、材料の搬入回数が増えたり、工期が延びたりする可能性があり、結果としてリフォームコストが高くなるリスクがあります。
再建築不可のアパートを空き屋状態で所有することのリスク
再建築不可アパートを経営するのではなく、入居者をいれずに空き家として所有する場合もあり得ます。この場合、どのようなリスクがあるでしょうか。具体的には、以下のものが考えられます。
- 固定資産税などの維持・管理費用がかかる
- メンテナンスの手間・コストがかかる
- 売却しづらい
- 自分の子どもや孫に影響を及ぼしかねない
次項より、詳しく解説します。
固定資産税などの維持・管理費用がかかる
不動産を所有すると、空き家であっても固定資産税や、地域によっては都市計画税の負担があります。
これらは毎年1月1日現在の所有者に課せられる税金です。さらに、修繕費や事故に伴う損害賠償費用も考慮しなければなりません。
例えば、自身の敷地内で発生したブロック塀の倒壊が通行人に迷惑をかけたり、怪我をさせたりした場合、所有者は修繕費や損害賠償の責任を負う可能性があります。
メンテナンスの手間・コストがかかる
空き家として放置されたアパートは、不審者や野良猫が集まり、近隣住民に迷惑をかけたり、不法投棄の場所となるリスクが伴います。
そのため、定期的な点検やメンテナンスが必要です。特に所有者が遠方に住んでいる場合は、これらの作業のために人を雇う必要があり、それに伴う人件費も発生します。
売却しづらい
再建築不可アパートは、一度解体すると新たな建物を建てることができないため、売却時に買い手を見つけるのが難しいでしょう。
そのため、不要になった際にすぐに売りたいと思っても、市場での需要が低いため売却に時間がかかることがあります。
自分の子どもや孫に影響を及ぼしかねない
再建築不可のアパートを長期間所有し続けると、所有者が亡くなった場合、その物件は子どもや孫に相続されます。
時間が経過するにつれ、売却が一層困難になる可能性があり、将来的に子孫に負担をかけるリスクがあります。これは特に、長期的な不動産計画を立てる際に重要な考慮点となります。
再建築不可のアパートの相続回避方法
再建築不可アパートを所有する前であれば、相続を回避することもひとつの方法です。上述したように、再建築不可アパートは経営デメリットがある。あるいは所有そのものにリスクが存在します。
そこで、相続回避の方法を紹介します。具体的には、以下のとおり。
- 遺産分割協議
- 相続放棄
それぞれ、詳しくみていきましょう。
遺産分割協議
遺言書が存在する場合、通常はその内容に基づいて遺産分割が行われます。しかし、遺言書がない場合、相続人全員が遺産分割協議を通じて遺産の分配を決めます。
この際、再建築不可アパートを相続しないように協議することが重要です。ただし、全員が相続を拒否した場合、共有状態になり、固定資産税や管理の責任を共有することになるため注意が必要です。
相続放棄
相続放棄は、被相続人の財産や負債を一切受け継がない選択です。この選択をすると、再建築不可物件を含むすべての相続財産を放棄することになります。
ただし、相続放棄は他の遺産も放棄することを意味するため、慎重な検討が必要です。また、相続放棄には「相続を知ってから3ヶ月以内」という期限が設けられています。
再建築不可のアパートの活用方法
再建築不可のアパートを活用する方法としては、次のものが存在します。
- 隣の土地を購入して新しいアパート・マンションを再建築する
- 隣の土地を購入して自分の住居を建築する
- リフォームをして家賃収入を得る
それぞれ、詳しくみていきましょう。
隣の土地を購入して新しいアパート・マンションを再建築する
再建築不可の状況が敷地の道路接道問題に起因する場合、隣接する土地を購入して敷地を拡張することで再建築が可能になる場合があります。
新たなアパートやマンションの建設は新しい入居者の獲得につながる可能性があります。ただし、建て替えに伴う経費や固定資産税の増加に注意し、事前に収支計画を立てることが重要です。
隣の土地を購入して自分の住居を建築する
隣地を取得し、再建築可能になった場合、アパートを取り壊して個人の住居を建てることも1つの選択肢です。これは新しい土地を探して購入するよりもコスト効率の良い方法となることがあります。まずは隣地の所有者との交渉から始めることが推奨されます。
リフォームをして家賃収入を得る
再建築不可物件でも、リフォームは実行可能です。建物を魅力的な状態にリフォームすることで、入居者を引き付けやすくなる可能性があります。
しかし、建物の構造上の制約やアクセスの問題から、通常のリフォームよりも高額な費用がかかることもあり得ます。具体的な工事計画や費用については事前に専門業者と相談することが重要です。
再建築不可物件では、増築など床面積の変更を伴うリフォームは制限されています。しかし、柱や梁を残した状態で内装や設備を一新するスケルトンリフォーム(フルリフォーム)なら可能です。
この方法により、物件は新築に近い状態に生まれ変わることができ、より魅力的な賃貸物件となります。
再建築不可のアパートの売却方法
「再建築不可のアパートを相続や譲渡によって取得したものの、管理のコストや手間だけがかかるため手放したい」と、考えることもあるでしょう。
隣地の所有者が土地の拡大や新しい建築物の構築を検討している場合、再建築不可物件の売却先として適しているかもしれません。隣地所有者への売却提案は、買い手を見つける1つの方法。
市場での通常の売却が難しい場合、買取専門業者への売却も選択肢として考えられます。売却価格は市場価格よりも低くなる可能性が高いですが、迅速かつビジネスライクに取引を進めることができます。
再建築不可物件は一般的に売却が難しいですが、都市部や人気エリアに位置している場合は売却が比較的容易になることがあります。
立地が良好であれば、需要がある可能性があります。不動産会社に相談し、市場価値を把握することが重要です。
まとめ
今回は、再建築不可アパートのメリット・デメリットをご紹介しました。所有する前の状態であれば、所有後のリスクなども考慮した上で、相続放棄などをすることもひとつの方法です。よく検討しましょう。
すでに相続や譲渡などによって再建築不可アパートを所有している状態であれば、活用方法や売却方法を参考にしてください。
本ブログで情報発信を行っている「ワケガイ」は、訳あり物件を積極的に買い取っている専門業者です。所有物件についてお悩みの方は、訳あり物件の買取に特化したワケガイに、ぜひお問い合わせください。
運営団体 株式会社ネクスウィル 2019年1月29日設立。訳あり不動産の買取を行う不動産会社。相続やペアローンによる共有持分、空き家、再建築不可物件、借地、底地など、権利関係が複雑な不動産を買い取り、法的知識や専門知識を以って、再度市場に流通させている。 |