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土地の名義変更はどうすればいい?必要書類や手順について詳しく紹介!

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「遺産相続で承継した物件を売却したいものの、土地だけ名義人が違う」といったケースは往々にして存在します。その場合、土地の名義変更が選択肢になるでしょう。

土地の名義変更を行う際、一般的には本人が手続きを行うことが求められますが、専門的な知識がないケースも珍しくありません。

そこで本稿では、土地の名義変更についての基本的な知識や手続き方法を詳しく解説します。名義が異なる不動産の取扱いについてお悩みの方は、ぜひお役立てください。

土地の名義変更とは?

土地が売られた時や相続が行われたタイミングでは、所有者が変わることを法的に認めるために「所有権移転登記」、つまり名義変更を行います。名義変更が行われると、不動産の現況や権利関係を示す登記簿が更新されます。

所有権移転登記は法律上、必ずしなければならないものではありません。しかし、登記しないと、その土地を使用・管理していたとしても、他人に対して土地の所有者であると主張できません。

名義変更の手続きは、法務局という国の機関で行われます。所有権移転登記の手続きが完了すると、法務局から「登記識別情報」が発行されるので、これは大切に保管しましょう。この書類は土地の所有者をはっきりさせる書類で、土地を売買する時に必要です。

土地の名義変が必要なケース

では、土地の名義変更はどのようなケースで必要になるのでしょうか。考えられるものとしては、以下のとおり。

  • ケース①:売買を行った
  • ケース②:相続が発生した
  • ケース③:贈与した
  • ケース④:財産分与を行った

それぞれについて、個別にみていきましょう。

ケース①:売買を行った

土地の売買を行った場合、売る側・買う側には名義変更の手続きが求められます。売主と買主が契約を結んだだけでは、登記簿には前の所有者の名前が残るため、名義変更をしなければ、買主が土地の所有権を主張できません。

手続きは売主と買主が一緒に申請します。不動産会社が登記の専門家である司法書士を紹介し、彼に名義変更を頼むことで、手続きは円滑に進むでしょう。

買主が購入した土地と家を担保に住宅ローンを組む場合、登記簿上でその土地の所有者が買主であることが必須条件。そこで、不動産の引き渡しと名義変更は同じ日に行うことが一般的です。

ケース②:相続が発生した

親や親族の土地を相続するときにも、名義変更手続きが求められます。原則、名義変更は土地の所有者が行うものですが、相続の場合は、土地の所有者が亡くなっているため、相続人が名義変更の申請を行います。

相続して名義変更をする時、相続人(土地を所有していた故人)との関係性を示す戸籍や、他の相続人からの許可などが必要になるため、手続きや書類は複雑になります。

ケース③:贈与した

土地を贈与された場合も、名義変更手続きが必要です。この時、土地を贈った側と土地を受け取った側の本人確認書類などを提出します。

なお、年間110万円を超える贈与をすると、贈与税の課税対象になるので注意しましょう。生前贈与を検討している場合は、税金の申告や納税の準備も必要です。

ケース④:財産分与を行った

財産分与の際にも、名義変更手続きが必要です。財産分与とは、夫婦が離婚する際に、2人が結婚中に積み上げた財産を、それぞれの貢献度に応じて分けることを指します。

共有名義だった土地や建物をどちらかの名義に変える場合、基本的には夫婦で共同申請することになります。離婚前後のコミュニケーションが難しい場合は、弁護士を介して協議を進めると、手続きがスムーズに進むでしょう

土地の名義変更の手順

名義変更の手続きの流れは「売買」「相続」「贈与」「財産分与」など、名義変更の理由によって、それぞれ異なります。各手順については、以下のとおり。

<売買の手続き>

  • 手順1.売買契約を結ぶ
  • 手順2.必要書類を集める
  • 手順3.土地の引渡しと購入代金を支払う
  • 手順4 法務局へ登記申請する

<相続の手続き>

  • 手順1. 不動産関連の情報や関係者の戸籍関連の書類を収集する
  • 手順2. 固定資産税評価証明書を発行してもらう
  • 手順3. 遺産分割協議を相続人の間で実施する
  • 手順4 登記申請書の作成を行う
  • 手順5 法務局へ登記申請する

<贈与の手続き>

  • 手順1. 贈与の手続きを行う
  • 手順2. 必要書類を集める
  • 手順3. 登記申請書を作成する
  • 手順4 付属している書類を作成する
  • 手順5 法務局へ登記申請する

<財産分与の手続き>

  • 手順1. 財産分与について話し合い、合意する
  • 手順2. 必要書類を集める
  • 手順3. 登記申請書を作成する
  • 手順4 法務局へ登記申請する

土地の名義変更で必要な書類

土地の名義変更にあたり、予め必要な書類を整備することが求められます。事例ごとに求められる書類の一覧を以下に記載します。

なお、すべての事例に共通して必要となるのは、「登記申請書」です。登記申請書は、法務局のウェブサイトからダウンロード可能であり、さらに参考用の記載例も掲載されています。

<売買の必要書類>

買主が用意する書類

売主が用意する書類

  • 住民票
  • 印鑑証明書(住宅ローンを組む際に必要)
  • 顔写真付きの本人確認書類
  • 印鑑と印鑑証明書(発行3か月以内のもの)
  • 登記済権利証または登記識別情報通知
  • 固定資産税評価証明書
  • 住民票または戸籍の附票
  • (登記時の住所から住民票を変更した場合のみ)
  • 顔写真付きの本人確認書類

 

<相続の必要書類>

遺言による相続登記の必要書類遺産分割協議による相続登記の必要書類法定相続分による相続
  • 固定資産評価証明書
  • 遺言(家庭裁判所で検認を受けた場合は検認済証明書を用意)
  • 被相続人が亡くなったときの戸籍謄本と住民票の除票
  • 相続する人の戸籍謄本と住民票
  • 固定資産評価証明書
  • 遺産分割協議書
  • 被相続人の出生から亡くなったときまでの全ての戸籍謄本と住民票の除票
  • 不動産を相続する全ての人の戸籍謄本と印鑑証明書
  • 不動産を相続する全ての人の住民票
  • 固定資産評価証明書
  • 被相続人の出生から亡くなったときまでの全ての戸籍謄本と住民票の除票
  • 全ての相続人の戸籍謄本、住民票

<贈与の必要書類>

贈与する側が用意する書類贈与される側が用意する書類
  • 登記申請書(登記時の住所から住民票を変更した場合のみ)
  • 固定資産評価証明書
  • 不動産の権利書または登記識別情報
  • 印鑑証明書(3か月以内のもの)
  • 住民票または戸籍の附票
  • 不動産贈与契約書(登記原因証明情報)
  • 住民票
  • 不動産贈与契約書(登記原因証明情報)

<財産分与の必要書類>

分与する側が用意する書類分与される側が用意する書類
  • 登記申請書
  • 固定資産評税価証明書
  • 不動産の権利書または登記識別情報
  • 印鑑証明書(3か月以内のもの)
  • 住民票または戸籍謄本(登記上の住所から変わっている場合のみ)
  • 離婚の記載がある戸籍謄本(離婚裁判の場合は不要
  • 自分の住民票
  • 固定資産税評価証明書(裁判離婚の場合のみ必要)
  • 調停書・和解調停書等(裁判離婚の場合のみ必要)
  • 譲渡する人の住民票(裁判離婚の場合、登記時の住所から住民票を変更した場合のみ必要)

土地の名義変更で必要な費用

土地の名義変更で必要な費用についていえば、以下のようなものが挙げられます。

  • 各種税金
  • 必要書類の取得費
  • 司法書士への報酬

それぞれについて、具体的に解説します。

各種税金

名義変更に伴う不動産登記には、「登録免許税」を支払う必要があります。登録免許税は法務局に納付し、その額は「固定資産税評価額 × 登録免許税率」で算出します。

共有持分移転登記においては、所有割合が税率に影響する点に注意しましょう。登録免許税率は次のとおり(※1)。

<建物の登記>

内容税率
所有権の保存0.4%
売買または競売による所有権の移転2%
相続または法人の合併による所有権の移転0.4%
その他の所有権の移転(贈与・交換・収用等)2%

それに加えて、名義変更が発生したケースごとに異なる税金が課税されます。

  • 不動産売買の場合:譲渡所得税
  • 相続の場合:相続税
  • 贈与・財産分与の場合:贈与税

このような課税は無視することができないコストですので、税理士に相談しながら進めましょう。

必要書類の取得費

名義変更にはさまざまな書類が必要です。登記簿謄本である登記事項証明書や、戸籍謄本などを取得する際には、手数料が発生します。

必要な書類はケースによって変わるため、その取得費用も前後します。ただし、各種書類は数百円単位で、大きな出費にはならないでしょう。

  • 住民票:300円
  • 固定資産税評価証明書:300円
  • 登記簿謄本:600円
  • 印鑑証明書:300円
  • 登記原因証明情報:1万円(司法書士の作成の場合)

司法書士への報酬

名義変更は自分で行う方法と司法書士に依頼する方法の2通りあります。司法書士に依頼した場合、その報酬も費用に含まれます。

司法書士への報酬は個々の司法書士によりますが、大体5〜7万円程度。相続の場合、戸籍の収集など手間がかかるため、10万円程度になることもあります。

土地を名義変更する際の注意点

土地の名義変更を行う際には、以下の点に留意しましょう。

  • 代理人が手続きを行う場合
  • 成年後見人制度を利用する場合

次項より、個別に解説します。

代理人が手続きを行う場合

代理人が土地売却を行う際、名義人の売却意志を買主に証明するために、名義人が署名・押印した委任状と印鑑証明が必要です。しかし、不動産取引では通常、不動産仲介業者や司法書士が関与し、彼らは本人と面談し、意思確認を行う義務があります。

重要な点として、代理人は委任状の内容に基づいて法律行為の手続きを行うだけで、その土地に対する権利は獲得できないことは把握しておきましょう。売却代金は全て名義人の利益のために使用することとなります。

さらに、委任状があっても、買主は名義人以外との契約には慎重になるべきといえます。詐欺などのリスクを避けるため、取引には不動産仲介業者や司法書士の関与が必要。買主の信用を得るためには、弁護士を代理人とするのも1つの選択肢です。

司法書士は名義人本人と面談し、意思確認をした後でのみ登記申請を行います。これは取引や登記の公平性や確実性を保証するためのもので、名義人本人の売却意思がない場合、その契約は無効となる点にも留意が必要です。

成年後見人制度を利用する場合

成年後見人は、本人の代わりに土地の売却を行うことも可能です。ただし、売却した不動産の代金は本人の生活費や医療費などの支払いに使用されることが前提。成年後見人が本人の住まいとなる不動産を売却する場合には、家庭裁判所の許可が求められます。

被成年後見人の財産を不当に利用すると業務上横領罪となる可能性があるため、注意が必要です。自己や親族への贈与や、施設への寄付など、資産を減少させる行為は原則として認められていません。

成年後見人には「親族」「弁護士」「司法書士」「社会福祉士」が選任されることが多く、家庭裁判所の判断で決まります。親族を成年後見人にしたい場合でも、最終的な選任は家庭裁判所の裁量に委ねられます。

成年後見人制度は本人を保護するための制度であり、その土地を売る目的で成年後見人になることは、不当な利益を得たい意図と区別が難しいことが懸念点。家庭裁判所も慎重な対応が求められる点については把握しておきましょう。

まとめ

土地の名義変更は煩雑な手続きであり、法律についての理解も求められます。代理人による手続きでは、委任状と印鑑証明の提出が必要であり、司法書士や不動産仲介業者への依頼も必須。成年後見人制度を利用する場合は、家庭裁判所の許可が必要となる場合もあります。

不明点がある場合や、より具体的なアドバイスが必要な場合は、専門家に相談しつつ名義変更をスムーズに行いましょう。

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この記事の監修者

監修者プロフィール写真

松本 大介 (司法書士)

得意分野:相続全般、遺言書作成、不動産売却
お客様に「君にまかせてよかった」「君だから依頼したんだよ」そう言っていただけることを目標に、この仕事に誇りを持って取り組んでおり、お客様の立場に寄り添い考えるよう心がけています。

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