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空き家の所有者は、「誰も住んでいない建物に火災保険は必要なのか」と悩むケースが少なくありません。
しかし、空き家は放火や漏電による火災、自然災害による損壊、管理不備による第三者への損害など、予期せぬリスクにさらされています。その際に必要となるのが空き家の火災保険です。
空き家の火災保険とは、居住者がいない建物をさまざまなリスクから守るための保険商品のこと。ただし、一般の火災保険とは加入条件や保険料が異なるため、慎重な検討が必要です。
本記事では、空き家の火災保険の必要性から選び方、保険料の相場、おすすめの保険商品まで、具体的に解説します。
目次
空き家でも火災保険は必要?
空き家への火災保険の加入は、思いがけない事態から所有者を守る強力な味方となります。補償内容は保険会社によって異なりますが、基本的な部分では共通点も多くみられます。
どのような保護が得られるのか、具体的に解説します。
空き家特有の火災リスクとは
人が住んでいない建物は、思いがけない火災の危険にさらされています。「人目につきにくい」「日常的な管理が行き届かない」といった特徴を持つ空き家は、不審者の侵入を招きやすく、放火のリスクは居住中の建物よりもはるかに高くなります。
建物の老朽化に伴う漏電火災の危険性も見過ごせません。電気配線の劣化やネズミによる配線の損傷は、予期せぬ出火につながる可能性があります。
火災保険がないと直面する問題
火災保険に未加入のまま火災が発生すると、建物の解体費用は数百万円規模になることも珍しくありませんし、近隣への延焼被害が生じた場合には、数千万円単位の賠償責任を負う可能性もあります。火災保険への加入は、このような予期せぬ事態への備えとして不可欠な選択肢となっています。
火災以外の補償も重要な理由
空き家の所有者が直面するリスクは、火災だけにとどまりません。近年増加する台風や豪雨による被害も深刻な問題です。日本住宅総合センターの報告によると、築55年の空き家アパートで強風により屋根や外壁が損壊した事例も報告されています。
火災保険は、このような自然災害による被害も補償範囲に含めることができます。定期的なメンテナンスが難しい空き家だからこそ、包括的な保険によるリスク対策が欠かせないのです。
空き家の火災保険で得られるメリット
火災保険に加入するメリットとしては以下のものが挙げられます。
- 予期せぬ火災から建物を守れる
- 自然災害による被害も補償を受けられる
- 近隣への損害賠償リスクに備えられる
それぞれ個別にみていきましょう。
予期せぬ火災から建物を守れる
火災保険の最も基本的な補償は、火災による損害への備えです。放火や漏電による火災はもちろんのこと、隣家からの延焼被害なども保険の対象となります。
保険金は建物の修繕費用だけでなく、焼け残った建物の解体費用や、残存物の片付け費用にも充てることが可能です。実際の補償額は契約内容によって変動しますが、一般的な火災保険では建物の時価額を基準に算出された金額が支払われます。
自然災害による被害も補償を受けられる
火災保険は自然災害による被害も幅広くカバーします。具体的な補償内容は以下のとおりです。
- 風災:台風や竜巻による屋根や外壁の損壊
- 水災:豪雨による浸水被害や土砂災害
- 雪災:積雪による建物の損壊
- 落雷:建物への直接的な被害や電気機器の故障
特に空き家は日常的な点検が行き届きにくいため、これらの自然災害による被害が拡大しやすい傾向にあります。保険による補償があれば、突発的な災害にも慌てることなく対応できるでしょう。
近隣への損害賠償リスクに備えられる
空き家の所有者には、民法上の管理責任が課せられています。建物の管理不備により近隣に被害が及んだ場合、高額な賠償金を請求される可能性があります。
火災保険には「個人賠償責任特約」を付帯することで、このような事態にも備えることができます。
例えば、空き家の外壁が剥落して隣家の車を傷つけた場合や、倒木により通行人がケガをした場合なども、保険による補償の対象となります。
賠償額は数千万円規模に及ぶケースもあり、所有者個人で対応するのは困難な場合が多いため、保険による備えは心強い味方となるはずです。
空き家の火災保険加入時の課題
空き家の火災保険加入には、次のような課題を理解したうえで、適切な保険選びを進めていく必要があります。
- 保険料が居住物件より高くなる
- 保険会社の審査が厳しくなる
- 補償内容が限定される
以下より、個別にみていきましょう。
保険料が居住物件より高くなる
空き家の火災保険料は、一般的な居住用物件と比べて1.5〜2倍程度高額になります。これは空き家が火災や自然災害のリスクが高いと判断されるためです。
具体的な保険料は建物の構造や築年数によって異なりますが、年間の保険料は1万円から6万円程度が相場となっています。例えば、木造住宅で築30年の空き家の場合、居住用では年間2万円程度の保険料が、空き家では4万円前後まで跳ね上がる可能性があります。
保険会社の審査が厳しくなる
保険会社は空き家の引受審査において、建物の管理状態を重視します。定期的な見回りや換気、清掃などが行われているか、雑草は適切に管理されているか、不審者の侵入を防ぐ対策は十分かなど、細かなチェックが行われます。
これらの条件を満たせない場合、契約を断られることもあるため、空き家の適切な維持管理は保険加入の前提条件といえます。
補償内容が限定される
一般の居住用物件と比べ、空き家の火災保険は補償内容が限定されがちです。とりわけ、水災や盗難などの補償が付帯できないケースや、家財の補償が対象外となるケースが多く見られます。
また、地震保険の加入も制限される可能性があり、総合的な保障を得るのが難しい現状があります。
住宅物件と一般物件の違い
火災保険において、建物は「住宅物件」と「一般物件」に分類されます。この区分は保険料や補償内容に大きく影響するため、理解しておく必要があります。
空き家はどちらに該当する?
基本的に、空き家は「一般物件」として扱われます。これは、人が常時居住していない建物は、店舗や事務所と同様のリスク区分で評価されるためです。
ただし、一時的な空き家や別荘として利用する場合など、条件によっては「住宅物件」として認められるケースもあります。
住宅物件として認定されれば、比較的安価な保険料で加入できる可能性が高まります。
空き家の利用状況による分類方法
利用状況によって、空き家の分類は大きく変わります。別荘など季節的に使用され、家財が常時備え付けられている建物は、「住宅物件」として扱われる可能性が高くなります。
また、転勤などで一時的に空き家となっている場合も、住宅物件として認められやすい傾向にあります。
一方、今後の利用予定がない空き家や、家財が一切ない建物は、原則として一般物件扱いとなります。この分類は保険料に大きく影響するため、契約前に保険会社に詳しく確認することをおすすめします。
空き家の火災保険を選ぶ際のポイント
空き家の火災保険選びで重要なのは、必要な補償を適切な保険料で確保することです。ただし、やみくもに補償を増やせば保険料も高額になります。
以下のポイントを押さえて、バランスの取れた保険選びを進めていきましょう。
- 補償範囲
- 保険金額の設定基準
- 保険期間と保険料のバランス
それぞれ個別に解説します。
補償範囲
空き家の火災保険では、火災による損害の補償が基本となりますが、実際に必要な補償はそれだけではありません。台風や豪雨による建物の損壊、第三者への賠償責任など、さまざまなリスクへの備えを検討する必要があります。
基本補償に含まれる項目は以下のとおりです。
- 火災・落雷・破裂・爆発
- 風災・雹災・雪災
- 水災(浸水・土砂災害)
- 建物の外部からの物体の衝突
これらに加えて、空き家特有のリスクに対応する特約の検討も欠かせません。例えば、「個人賠償責任特約」は建物の管理不備による第三者への賠償に備えることができます。
また、地域特性に応じて水災補償の要否を判断するなど、リスクの実態に即した補償範囲の設定が求められます。
保険金額の設定基準
保険金額は建物の実態に即して適切に設定する必要があります。高すぎる保険金額は無駄な保険料負担につながり、低すぎれば十分な補償が得られない事態を招きかねません。
具体的な設定方法として、以下の要素を考慮しましょう。
- 建物の時価評価額
- 解体費用や残存物取片付け費用
- 近隣への延焼時の想定賠償額
特に空き家の場合、建物の老朽化による価値の低下を考慮することが重要です。極端に古い建物では、再調達価額ではなく時価額での契約が現実的な選択となるかもしれません。
保険期間と保険料のバランス
保険期間の設定は保険料に大きく影響します。一般的に長期契約では保険料の割引が適用され、年換算での負担を抑えることが可能です。2年から5年の長期契約であれば、年払いと比べて5〜10%程度の保険料が割り引かれる仕組みとなっています。
ただし、空き家の今後の利用予定も考慮に入れる必要があります。売却や取り壊しの可能性がある場合は、長期契約による縛りが足かせとなる可能性も考えられます。
保険料の負担と契約期間の柔軟性のバランスを見極めることが、賢明な選択につながるでしょう。
保険料の相場はどのくらい?
空き家の火災保険料は、一般的な居住用物件と比べて1.5〜2倍程度高額になるのが実情です。
具体的な年間保険料は1万円から6万円程度が相場となっていますが、建物の状態や契約内容によって大きく変動します。
保険料を左右する主な要因は以下の3つです。
<建物の構造>
- 鉄骨造(M構造):最も保険料が安価
- 耐火構造(T構造):標準的な保険料
- 非耐火構造(H構造):最も保険料が高額
築年数による影響も見逃せません。特に昭和56年5月31日以前に建築された建物は、新耐震基準を満たしていないため保険料が割高になります。
例えば、木造住宅で築40年の空き家の場合、新耐震基準を満たす同規模の建物と比べて、保険料が30%程度上乗せされるケースもあります。
また、立地条件も重要な要素です。災害リスクの高いエリアでは保険料が上がる傾向にあります。
具体的には、土砂災害警戒区域や浸水想定区域に指定されている場合、標準的な保険料から20〜40%程度の上乗せが生じる可能性があります。
保険料を抑える方法とは?
一方で、保険料を抑える工夫も可能です。例えば、火災保険の契約期間を長めに設定すれば、年間保険料を10%程度削減できます。
また、補償内容を必要最小限に絞ることで、保険料の負担を軽減することも検討に値するでしょう。
ただし、補償を削りすぎると、万が一の際に十分な保障が受けられない事態も考えられます。適切なバランスを見極めることが重要です。
代表的な火災保険6選
ここからは、空き家でも加入できる主要な火災保険商品を紹介します。
- 【あいおいニッセイ同和損保】タフビズ事業活動総合保険
- 【東京海上日動】企業総合保険(財産補償条項)
- 【損保ジャパン】企業総合補償保険
- 【三井住友海上】ビジネスキーパー
- 【セコム損保】企業財産の保険(安心ビジネスプラン)
それぞれ個別にみていきましょう。
【あいおいニッセイ同和損保】タフビズ事業活動総合保険
(出典:あいおいニッセイ同和損保)
あいおいニッセイ同和損保のタフビズ事業活動総合保険は、建物と家財の両方を手厚く補償します。4つの契約プランから選択でき、基本補償では火災や落雷、風災・雹災・雪災、水濡れ、騒擾など幅広いリスクに対応し、補償金額や特約も柔軟に設定できます。
一般物件として契約する場合は、物件ごとに保険会社への相談が必要となります。
保険期間は最長5年まで設定でき、保険料の支払いも一括から分割まで選択可能です。とくに築古物件や管理状態に不安のある空き家でも、現地調査後に加入できるケースが多くなっています。
【東京海上日動】企業総合保険(財産補償条項)
(出典:東京海上日動)
東京海上日動の企業総合保険は、事業用空き家に特化した補償内容が特徴です。建物と商品を補償対象とし、火災、落雷や破裂・爆発から、風災・雹災・雪災、水災まで、6段階のプランから補償を選択できます。
空き家の用途や管理状況に応じて、必要な補償を組み立てられる設計となっています。
保険金額の設定も、時価額での契約から再調達価額まで柔軟に対応。とくに事業用として活用予定のある空き家には、休業損害補償と組み合わせることで、より手厚い補償を実現できます。
【損保ジャパン】企業総合補償保険
(出典:損保ジャパン)
損保ジャパンの企業総合補償保険は、将来の居住予定がない空き家でも加入できます。火災から風災・水災、電気的・機械的事故、衝突、水濡れ、盗難まで、空き家特有のリスクを幅広くカバー。地震災害の特約もオプションで付帯でき、家財が残っているものの使用予定のない空き家にも対応します。
【三井住友海上】ビジネスキーパー
(出典:三井住友海上)
三井住友海上のビジネスキーパーは、休業損害まで含めた総合的な補償を提供します。基本的な補償から充実補償まで4段階のプランがあり、火災や自然災害による損害に加え、賠償責任リスクにも対応。
被災設備修復サービスや気象情報アラートサービスといった実用的な付帯サービスも含まれています。
充実補償のワイドPlusでは火災や自然災害はもちろん、不測かつ突発的な事故まで補償。基本的なエコノミープランでも、火災や風災といった基本リスクはしっかりとカバーできます
【セコム損保】企業財産の保険(安心ビジネスプラン)
(出典:セコム損保)
セコム損保の安心ビジネスプランは、臨時費用が自動セットされた使いやすい保険です。建物や設備、商品などへの基本補償として、火災、落雷、破裂・爆発、風災・雹災・雪災による損害を補償。
残存物取片づけ費用なども自動的に補償されますが、空き家の管理状況によって加入条件が異なるため、事前の確認が重要です。
【楽天損保】オールインワンの分かりやすい補償設計
(出典:楽天損保)
楽天損保のビジネス総合保険は、基本補償がオールインワンで分かりやすい設計です。火災、落雷、破裂・爆発といった基本的な補償に加え、水災や破壊行為、建物の外部からの物体の衝突など幅広いリスクを補償。
臨時費用や残存物取片づけ費用、失火見舞費用なども自動的に補償され、シンプルながら充実した内容となっています。
空き家の火災保険に関するQ&A
ここからは、空き家の火災保険について、頻繁に発生する疑問についてQ&A形式で解説します。
相続時の火災保険は名義変更だけでいい?
「故人が加入していた火災保険をそのまま引き継げば良い」と考えがちですが、実はそう単純ではありません。空き家になることで建物の使用状況が変わるため、保険契約の見直しが必要になります。
まず保険会社へ契約者死亡の報告と名義変更の手続きを行います。その際、建物の利用状況も合わせて確認が必要です。従来の居住用物件としての契約のままでは、事故が起きた際に保険金が支払われないリスクがあるからです。
空き家として適切な契約内容に見直すことで、必要な補償を確実に受けられます。
空き家は一般物件として申し込む必要がある?
これは一概に「はい」とはいえません。空き家の利用状況によって、住宅物件として扱われるケースもあるためです。
例えば、以下のような場合は住宅物件として火災保険に加入できる可能性があります。
- 別荘として定期的に利用し、家財が常時備え付けられている
- 転勤などで一時的に空き家となっている
- 近い将来に居住や賃貸の予定がある
ただし、完全な空き家で今後の利用予定がない場合は、一般物件として申し込む必要があります。保険料は住宅物件より割高になりますが、空き家特有のリスクに対応した適切な補償を受けられます。
火災保険の契約期間は何年がお得?
一般的に、長期契約を選択すると保険料が割安になります。2年契約で年間保険料の5%程度、5年契約では10%程度の割引が適用されるケースが多く見られます。
ただし、契約期間の選択は単に割引率だけで判断すべきではありません。以下のような要素も考慮に入れる必要があります。
- 建物の老朽化状態
- 今後の売却や解体の予定
- 維持管理費用の見通し
例えば、築年数が古く、数年以内の売却も視野に入れている場合は、割引率の高い長期契約よりも、柔軟な対応が可能な短期契約の方が賢明かもしれません。
火災保険に入っていないと損害賠償はどうなる?
火災保険に未加入の場合、空き家から出火して近隣に被害が及んだ際の損害賠償は、すべて所有者の自己負担となります。実際の賠償額は数千万円規模になることも珍しくありません。
重要なのは、火災の原因が放火であっても、建物の管理に重大な過失があったと判断されれば、所有者が賠償責任を問われる可能性があるという点です。
例えば、空き家の管理を怠り、不審者が侵入しやすい状態だったと認定されれば、放火による延焼被害でも賠償責任が発生する可能性があります。こうしたリスクに備えるため、火災保険への加入と適切な建物管理の両方が欠かせません。
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まとめ
空き家の火災保険は、単なる建物の補償だけでなく、所有者の財産と責任を守る重要な役割を担っています。
加入にあたっては、建物の状態や利用状況を正確に把握し、必要な補償内容を見極めることが大切です。保険料は一般の住宅より高額になりがちですが、長期契約による割引の活用や、本当に必要な補償に絞り込むことで、負担を抑えることも可能。
また、定期的な建物の点検や管理を怠らないことで、保険料の上昇を防ぎ、万が一の際の保険金支払いもスムーズになります。
空き家特有のリスクを理解し、適切な保険選びと管理を心がけましょう。