共有持分・共有名義

不動産の共有者が差押えられたらどうなる? 自分への影響と対処法を解説

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誰かと共有している不動産があると、たとえ自分の方に非はなくても、共有者が借金返済を滞納して差押えにあった場合、共有する不動産に影響が出る可能性があります。

共有持分は複雑な権利関係が関わるため、適切な対処を行うためには専門的な知識が必要です。

そこで今回は、共有者の持分が差押えられたときの影響と、どのように対処したらいいのかについて解説します。ある日突然、共有者の持分が差押えられたときに慌てないように、共有持分権者の方はぜひ参考にしてください。

共有持分の差押えとは

差押えは、個人がローンやクレジットカードの支払い、税金や保険料の滞納をした場合に、債権者がその負債を回収するために行う法的手続きです。裁判所の決定により、債務者の財産を凍結し、競売などにより換金することで、債権者は滞納された金額を回収できます。

差押えの対象となるものとならないもの

差押えの対象となるものは、「不動産」「動産」「債権」の3種類で、具体的には下記のとおりです。

【差押えの対象となるもの】

  • 給料
  • 土地
  • 建物
  • 貴金属
  • 預貯金
  • 有価証券

など

 上記以外にも、金銭的価値があるものは「差押え対象」となります。給料は全額差し押さえられるわけではありませんが、差押えによって借金を滞納している事実が会社に知られてしまうため、信用を失ってしまうリスクがあると言えるでしょう。

【差押えの対象にならないもの】

  • 66万円以下の現金
  • 家電や家具・衣服など生活に欠かせないもの
  • 賃貸の家(自分の所有財産ではないため)
  • 家族や同居人の所有物

など

なお、家族名義の銀行口座などが無断で差押えられることはありませんが、生計を共にしているのであれば金銭的にも精神的にも負担をかけてしまうかもしれません。

また、家族に秘密にしていたとしても、給料や自宅などが差押えられることで露呈してしまうでしょう。

共有持分は差押えの対象

土地や建物などの不動産は差押えの対象となりますが、不動産の共有持分も同様に差押えの対象になります。

共有持分とは、共有者が持つ不動産の所有権の割合を指し、これは独立した権利として金銭的価値があるため、差押えを避けられません。

差押えまでの流れ

ローンの未払いが即座に差押えにつながるわけではありません。差押えに至るまでの典型的なステップを解説しますが、このプロセスは金融機関によって異なる可能性を孕んでいます。

一般的な差し押さえの流れについては、以下より解説します。

手順①:督促の連絡が来る

期日を過ぎても支払いがない場合、金融機関などから督促の連絡が来ます。電話で連絡がつかなかった場合、督促状が届きます。ここで支払い予定について話し、予定通りに入金をすれば差押えにはなりません。

手順②:債務残額一括請求書が届く

滞納が2~3ヶ月続くと、金融機関から債務の一括返済を求める通知が届きます。

手順③:差押え予告通知が届く

さらに滞納が続くと、差押えの予告通知が送られます。この時点で迅速に支払うことで、差押えを回避できる可能性があります。

手順④:裁判所から「支払督促」が届く

金融機関が裁判所に申立てを行い、裁判所から支払督促が届く段階です。この督促を受け取った後、2週間以内に異議申し立てを行うと、法的な話し合いが設定されます。

手順⑤:裁判所から「仮執行宣言付支払督促」が届く

異議申し立てを行わずに放置すると、「仮執行宣言付支払督促」が届き、これに対しても異議を唱えない場合、強制執行により差押えが実施されます。

差押え前に共有持分を譲渡できない

差押えを避けるために、共有持分を他人に譲渡することは許されません。法律は差押え対象となる財産の不正な譲渡や隠匿、破壊を禁じているため、共有持分も差押えの前に譲渡はできません。

【差押え前にしてはいけないこと】

  • 対象財産を他人に譲渡する
  • 対象財産の隠匿・破壊

共有者が差押えられたときの影響

共有者が滞納をして差押えられた場合、共有者の持分は差押え対象となります。それでは自分の持分はどうなるのでしょうか。考えられる影響としては、次のようなものです。

  • 自分の共有持分は差押え対象外
  • 差押えられた共有持分は競売にかけられる
  • 知らない人(業者)との共有状態になる

次項より、個別にみていきましょう。

自分の共有持分は差押え対象外

もし共有者の一人の持分が差押えられたとしても、他の共有者の持分には影響が及びません。差押えは個別の持分に対してのみ適用され、その他の共有者の持分や不動産全体に対しては影響しないのが通例です。

差押えられた共有持分は競売にかけられる

差押えられた共有者の持分は競売にかけられます。共有持分の競売は一般的には不動産市場の価格よりも低く設定されるため、専門業者によって低価格で落札されることが一般的です。

その結果、共有持分が市場価格よりも安く売られることになり、他の共有者にとっても不利益な状況を招く可能性があります。

知らない人(業者)との共有状態になる

共有持分が競売にかけられ落札されると、落札者(通常は業者)との共有状態が生じます。業者が共有者となることにより、不動産の管理や処分に関する複数のデメリットが発生する可能性があります。

共有不動産の処分や重要な変更は、全共有者の同意が必要。つまり、業者との意見の相違がある場合、不動産の売却や賃貸などの重要な決定が困難になります。処分行為には以下のようなものが含まれます。

【変更(処分)行為】

  • 売却
  • 贈与
  • 長期賃貸借
  • 増築、改築
  • 大規模な修繕
  • 抵当権の設定
  • 解体
  • 建て替え
  • 分筆・合筆

共有持分を落札した業者は通常、他の共有者に連絡を取ります。これは、落札した持分の買取を提案するためです。業者は共有者の状況を利用して、高値で持分を買い取るよう提案することがあります。

業者から「あなたの持分を売ってほしい」という要求がなされるケースもあるでしょう。これにより業者は不動産全体の所有権を獲得しようとしますが、こちらも不当に低い価格での売却を迫られるリスクがあります。

他の共有者が差押えられても、自分の持分が直接的に差押えられることはありません。しかし、業者との持分の売買が必要になった場合、不利な条件で取引を強いられる可能性があります。業者との交渉による精神的ストレスも無視できない問題です。

関連記事:共有持分とは?トラブルの元となるリスクや売却方法を徹底解説

共有者の持分が差押えられたときの対処法(所有し続ける場合)

自分が「不動産に住み続けたい」「所有権を手放したくない」などの意思があり、持分を所有し続けたい場合は以下のような対象方法を検討しましょう。

  • 差押えられる前に共有者から持分を買い取る
  • 共有者の代わりに負債を支払う
  • 差押え後であれば、自分で落札する

それぞれ個別に解説します。

差押えられる前に共有者から持分を買い取る

差押えが実施される前に共有者の持分を買い取る方法がありますが、この際注意すべき点がいくつかあります。

共有者から持分を買い取る行為は、詐害行為取消の対象になる可能性があります。詐害行為とは、債務者が債権者に対して不公平な利益を与えないように財産を処分する行為を指します。詐害行為取消は、債権者がそのような取引を無効にできる法的手段です。

持分売買の価格は通常、不動産時価に持分割合を乗じて計算されますが、交渉によっては異なる価格で決まることもあります。

ただし、取引価格が著しく低い場合、贈与税が課税される「みなし贈与」と見なされる恐れがあるので注意が必要です。 

共有者の代わりに負債を支払う

共有者の代わりに負債を支払い、代わりに共有持分を譲渡してもらう方法もあります。これには十分な資力が必要ですが、所有権を維持しながら滞納問題を解決することが可能です。

差押え後であれば、自分で落札する

もし差押え後に競売にかけられた場合、自らが落札することも1つの方法です。業者が入札しても、より高い金額を提示すれば落札できます。

一般人にとってプロの業者との交渉は不利になりがちなので、業者に持分が渡る前に対策を講じることが望ましいでしょう。

共有者の持分が差押えられたときの対処法(手放す場合)

一方で「不動産の所有権を手放してもいい」と考えた場合は、以下の対処方法を検討しましょう。

  • 差押え前であれば協力して不動産自体を売却
  • 差押え前に自分の共有持分のみを売却

それぞれ個別に解説します。

差押え前であれば協力して不動産自体を売却

共有者全員が合意すれば、不動産全体を市場で売却することが可能です。共有者が財政的に困窮している場合は、売却に賛成する可能性が高いでしょう。

市場での売却は競売よりも高価格での取引が期待できます。ただし、差押え直前であれば、詐害行為に該当する恐れがあるので、慎重な判断が求められます。

差押え前に自分の共有持分のみを売却

共有持分が差押えられてしまう前に、自分の持分を適切な価格で売却することは有効な選択肢です。これにより、差押えによって価値が下がるリスクを避けられます。

共有持分は他の共有者の同意なしに売却可能で、特に専門業者はこの種の取引に興味を示すことが多々あります。この方法なは、将来的なトラブルからも解放されます。

自分が差押えにあったときの対処法

もし自分が借金を滞納して共有持分を差押えられそうになった場合の対処法としては、次のものが挙げられます。

  • 滞納前に任意売却
  • 共有者に事前に報告
  • 自分の持分を業者に買い取ってもらう

以下より、個別に解説します。

滞納前に任意売却

共有者全員の合意が得られれば、住宅ローンの滞納を避けるために任意売却を選択しましょう。任意売却は不動産市場での売却を意味し、競売よりも高価格で売却できる可能性があります。

この方法では売却者の意向が反映されやすく、周囲に差押えの事実が知られるリスクを低減できます。

共有者に事前に報告

差押えの危機が迫っている場合、共有者に事前に報告し、持分の買取を提案するのも1つの方法です。これにより、自分の持分が他人の手に渡ることによる共有者への影響を最小限に抑えられます。

自分の持分を業者に買い取ってもらう

他の共有者が任意売却や持分の買取に消極的な場合、専門業者に持分を売却することも検討してみましょう。これにより、所有権を失うことになりますが、得られる資金で滞納を回避し、差押えのリスクを避けることが可能になる場合があります。

まとめ

共有者が差押えにあってしまうと、自分の持分は直接的に失わないにしても、なんらかの影響が出る可能性があります。相手が差押えにあう前に対処できればベストですが、そうはいかないこともあるでしょう。

間違った対処をしてしまうと詐害行為とみなされてしまう可能性が存在するため、注意も必要です。自分で対処して問題を複雑化させる前に、プロに相談することをおすすめします。

本ブログで情報発信を行っている「ワケガイ」は、訳あり物件を積極的に買い取っている専門業者です。所有物件についてお悩みの方は、訳あり物件の買取に特化したワケガイに、ぜひお問い合わせください。

この記事の監修者

監修者プロフィール写真

松本 大介 (司法書士)

得意分野:相続全般、遺言書作成、不動産売却
お客様に「君にまかせてよかった」「君だから依頼したんだよ」そう言っていただけることを目標に、この仕事に誇りを持って取り組んでおり、お客様の立場に寄り添い考えるよう心がけています。

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