再建築不可

袋地の不動産は再建築できない? 袋地のデメリットと対処法を解説

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袋地の不動産は法的制限があるため、「建て替えたい」と思った場合でも再建築することが難しい物件とされています。物件自体が抱えるさまざまなデメリットから、住みづらかったり売却しづらかったりします。

そこで今回は、袋地のメリット・デメリットと再建築できない理由について紹介します。さらに再建築するための方法や売却しやすくなる方法についてもあわせてお伝えしますので、袋地を所有している方はぜひ参考にしてください。

袋地とは

「袋地」とは、他の土地に完全に囲まれ、直接道路に面していない土地を指します。この用語は「無道路地」や「盲地」としても知られています。周囲を取り囲む土地は「囲繞地」と呼ばれます。

準袋地も袋地と同じ扱い

「準袋地」とは、池、沼、河川、海などを経由しなければ公道に出られない。あるいは土地と公道の間に大きな高低差がある土地を指します。これらも袋地と同等に扱われます。

なぜ袋地が存在するのか?

袋地は、かつて建築基準法に準拠した道路が整備される前に大きな土地が分割され、その中央部分が道路と接しないまま残された結果生じます。

袋地での通行方法

袋地は周囲を他人の土地に囲まれているため、一見通行不可能にみえることもありますが、袋地の所有者は法的に囲繞地を通って公道に出る権利があります。民法では袋地の所有者に対し、このような権利が与えられています。

民法210条

  • 他の土地に囲まれて公道に通じない土地の所有者は、公道に至るため、その土地を囲んでいる他の土地を通行することができる。
  • 池沼、河川、水路もしくは海を通らなければ公道に至ることができないとき、又は崖があって土地と公道とに著しい高低差があるときも、前項と同様とする。

つまり、袋地の所有者は他の土地(囲繞地)を通って道路に出ることが法律的に認められている、ということです。このとき、囲繞地所有者の合意を得る必要はありません。

囲繞地所有者に通行料を支払わなければいけない

袋地の所有者は、囲繞地を通る際、通常は囲繞地の所有者に通行料を支払う義務があります。この規定は民法第212条に基づいており、通行によって生じる損害の補償として設けられているとおりです。

民法第212条

  • 第210条の規定による通行権を有する者は、その通行する他の土地の損害に対して償金を支払わなければならない。ただし、通路の開設のために生じた損害に対するものを除き、一年ごとにその償金を支払うことができる。 

一般的に、通行料は囲繞地所有者との協議を通じて決定され、年に一度の支払いが慣例です。金額の決定には、地域の相場や近隣の駐車場料金などが参考にされます。

通行料を支払わないケース

法律上、通行料の支払いが求められることが一般的ですが、特定の条件下では支払いが免除される場合があります。具体的には、分筆や共有物分割によって袋地が形成された場合、袋地の発生時に囲繞地通行権が考慮されるため、追加の通行料は発生しません。

長期にわたり無償で通行されている場合も、引き続き無償での通行が認められることがあります。この際、「通行地役権」という法的概念が適用されるケースも存在します。

囲繞地通行権と通行地役権のちがいとは?

「通行地役権」とは、袋地所有者が道路へのアクセスのために他人の土地を通行する権利です。主な違いは、囲繞地通行権は囲繞地所有者の同意が不要であるのに対し、通行地役権は契約や合意が必要です。

囲繞地通行権では通常通行料が発生するのに対し、通行地役権では契約により無償で通行することも可能。さらに、通行地役権は通行範囲や期限を契約で定めることができ、この権利の設定には登記が求められます。

「通行料を支払ったから」と自由に囲繞地を使えるわけではない

「通行料を支払えば囲繞地を自由に使えるか」という疑問に対しては、民法第211条により、その使用には制限があることが定められています。

民法第211条

  • 通行の場所及び方法は、同条の規定による通行権を有する者のために必要であり、かつ他の土地のために損害が最も少ないものを選ばなければならない。

この条文は、通行の場所と方法を、通行権を有する者にとって必要な範囲内で、かつ囲繞地所有者に最小限の損害を与える方法で行うべきことを指しています。つまり、囲繞通行権があるとしても、その使用は慎重に、最小限度に留める必要があります。

一般的には、通行可能な幅は「2メートル」とされるケースが多々あります。これは接道義務に関連する標準的な幅であり、この範囲内での通行が認められます。

袋地のメリット

袋地のメリットには、以下のようなものがあります。

  • 人通り・車通りが少ない
  • 固定資産税が低いケースがある

次項より、個別にみていきましょう。

人通り・車通りが少ない

袋地は通常、限られた人々(囲繞地の住人、配達員、来客など)しか通らないため、非常に静かな環境を提供します。道路に直接接していないため、車の通行も少なく、子供たちが遊ぶには比較的安全な環境です。

固定資産税が低いケースがある

不動産の価値に基づいて固定資産税が計算されるため、評価額が低い袋地では、税額が低くなる可能性があります。これは財政的にはメリットですが、売却時には価値が低いという点がデメリットとなり得るでしょう。

袋地のデメリット

一方で、袋地には次のようなデメリットもあります。

  • 囲繞地の住人に気をつかう
  • 火災などの非常時にリスクがある
  • 日当たりが悪い
  • 空き巣被害のリスクがある
  • 再建築できない
  • 売却しづらい

以下より、個別に解説しますので、しっかりと把握しておきましょう。

囲繞地の住人に気をつかう

他人の土地を通ることになるため、囲繞地の住人への配慮が必要です。通行料を支払っている場合でも、周囲の住人との関係性が悪化すると、通行が困難になることも考えられます。

このような事態は、日常生活においてストレスや不便を生じさせる可能性があります。

火災などの非常時にリスクがある

袋地は道路に直接接していないため、火災や急病の際に消防車や救急車の進入が困難になるケースが発生します。これにより、緊急対応が遅れる可能性があり、特に火災時には隣接する住居への延焼のリスクも考慮する必要があります。

日当たりが悪い

袋地では、建物が密集しているため日当たりや風通しが悪くなることも珍しくありません。これは日常生活における不便さや不快感につながる可能性があります。

空き巣被害リスクがある

袋地は人目につきにくい特性を持つため、空き巣に狙われやすいことがあります。そのため、防犯カメラの設置やその他の防犯対策を強化する必要があるでしょう。

再建築できない

袋地の物件は再建築ができない場合が多々あります。これは、一度建物が解体された場合、新たに建築する権利がないことを意味します。火災や地震などの災害で建物が破壊された場合、建て替えが不可能になる恐れがあります。

売却しづらい

不動産市場において、袋地は他の土地に比べて価値が低く設定される傾向があります。そのため売却が困難であり、もし売れたとしても低価格での取引になることも。一般的には、同エリアの整形地に比べて約40%安いとされています。

袋地の不動産が再建築できない理由

袋地の不動産が再建築不可とされる主な理由は、接道義務を満たしていないためです。建築基準法第43条により、建築物の敷地は4メートル以上の幅員を持つ道路に2メートル以上接する必要があります。袋地は道路に接していないため、この条件を満たさず、建て替えが認められないのです。

旗竿地も再建築不可となるケースがある

旗竿地も袋地と似ていますが、道路に狭い間口で接して細長く敷地が伸びている点が異なります。この敷地形状が旗竿のように見えることから名付けられました。

旗竿地は、接道する道路の幅が建築基準法で要求する幅(2メートル以上)であれば再建築が可能です。しかし、道路幅が2メートル未満の場合は、袋地と同様に再建築不可になります。

袋地の不動産を再建築する方法

袋地の不動産を再建築したい場合の対処法を紹介します。具体的には、以下のとおり。

  • 通路敷地分を取得する
  • 隣家と等価交換をする
  • 隣家の土地の一部に通行地役権を設定する
  • リフォームをする

それぞれについて、詳しくみていきましょう。

通路敷地分を取得する

囲繞地の所有者から通路として使用されている敷地の一部を購入することで、接道義務を満たすことが可能です。

ただし、この方法は囲繞地所有者の同意が必要であり、土地購入に伴う費用や手続きには相応の資金が必要。取得する敷地は、道路に2メートル以上接していなければなりません。

隣家と等価交換をする

別の方法として、隣接する土地所有者と等価交換を行うことも可能です。これは、自分の所有する袋地の一部と道路に接する敷地を交換することで、再建築可能な状態を作り出す方法。

この場合も隣家の合意が必要ですが、土地の購入に比べて経済的な負担が少ない場合があります。

隣家の土地の一部に通行地役権を設定する

隣家の土地に2m以上の通行地役権を設定することも一つの解決策です。通行地役権は両者の合意に基づく契約で設定でき、条件によっては無償での設定も行えます。

リフォームをする

再建築不可物件は解体後の再建築が認められませんが、リフォームは可能です。これには、設備の更新や外壁の修繕、フルリフォームが含まれます。ただし、床面積の増築は建築確認が必要であり、再建築不可物件では不可能です。

袋地の不動産を売却する方法

袋地は不動産価値が低くなるため、売却が難しいと上述しました。そんな袋地を売却しやすくする方法として、以下のものが検討できます。

  • 隣地の所有者に売却する
  • リフォームをする
  • 専門業者に買い取ってもらう

それぞれ個別に解説します。

隣地の所有者に売却する

袋地は隣接する土地の所有者にとって価値がある場合があります。これは、敷地拡張や増築計画がある際に特に顕著です。囲繞地の所有者に売却を打診するのが良い方法です。

リフォームをする

リフォームを行って物件の状態を改善することで、売却時の魅力を高められます。フルリフォームにより、内装や設備を一新し、新築同様の状態にすることが可能です。

専門業者に買い取ってもらう

市場での売却が難しい場合、買取専門の不動産業者に売却することも1つの選択肢です。売却価格は低くなる可能性がありますが、迅速な取引が期待できます。

まとめ

囲繞地も売却が難しいケースがあります。囲繞地通行権が設定されている場合、他人が自分の土地を通行することが売却時のネガティブな要因となることがあります。

制約のない土地と比べて売却価格が低くなる可能性があるため、ここでも専門業者への相談が有効です。

「袋地を所有しており、再建築できなくて困っている」「袋地・囲繞地が売却できない」など、お困りの場合はプロに頼ることをおすすめします。

袋地で無理に再建築してしまうと「違法建築」となってしまい、ローンが借りられないことはもちろん、是正指導をされてしまいます。適切な方法で最適な対処をするために、独断で行う前にプロに相談するとよいでしょう。

本ブログで情報発信を行っている「ワケガイ」は、訳あり物件を積極的に買い取っている専門業者です。所有物件についてお悩みの方は、訳あり物件の買取に特化したワケガイに、ぜひお問い合わせください。

この記事の監修者

監修者プロフィール写真

丸岡 智幸 (宅地建物取引士)

訳あり不動産の買取を専門にする会社の代表取締役。
相続やペアローンによる共有持分、空き家、再建築不可物件、借地、底地など、権利関係が複雑な不動産の買取を専門としている。
訳あり不動産の買取サービス「ワケガイ」、空き家、訳あり不動産CtoCプラットフォーム「空き家のURI・KAI」を運営。
買取の経験をもとに、訳あり不動産の解説をする著書『拝啓 売りたいのに家が売れません』を2024年5月2日に出版。

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