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差押えを受けた不動産は任意売却できる?

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不動産の差押えは、住宅ローンや税金の滞納、個人的な借金などが原因で発生することはご存知でしょう。しかし、実際に差押えを受けるとどうなるのか。あるいは、差押え後の流れや対処法については、よくわからないという方が多いのではないでしょうか。

特に、差押えを受けた不動産を任意売却する方法や、そのメリットについては、あまり知られていない重要な情報です。

差押えによって不動産を失うリスクを回避し、できるだけ有利な条件で問題を解決するためには、任意売却の仕組みを理解しておくことが大切。

そこで本記事では、不動産の差押えが発生するケースとその後の流れに加え、差押え不動産を任意売却するための方法と注意点について、詳しく解説します。

不動産の差押えが発生する3つのケース

そもそも不動産の差押えは、以下のようなケースで発生します。

  • ローンの滞納
  • 税金などの滞納
  • 個人から借りた借金の滞納

それぞれ詳しく解説します。

ローンの滞納

住宅ローンや不動産投資用のローンを借りた債務者が、返済を滞納すると深刻な事態に陥ります。金融機関は、債務者が支払いを怠った場合に備えて、借り入れの対象となった不動産に「抵当権」を設定しているのです。

抵当権とは、債務者がローンの返済を長期間滞納した際に、金融機関が不動産を強制的に売却して、貸し付けた資金を回収するための法的権利です。

債務者が住宅ローンなどの支払いを数ヶ月以上滞納し続けると、金融機関は抵当権を行使します。つまり、担保となっている不動産を差し押さえ、裁判所に「競売」を申し立てるのです。

裁判所から差し押さえと競売開始決定の通知が債務者に届くと、もはや取り返しがつきません。競売の手続きが進行し、不動産が強制的に売却されれば、債務者はその物件の所有権を失い、新しい所有者に引き渡さなければならないのです。

税金などの滞納

住宅ローンだけでなく、所得税や固定資産税、相続税などの税金、あるいは健康保険料といった公的な支払いを怠った場合にも、不動産が差し押さえられる危険性があります。

国や自治体には、滞納された税金や保険料などを回収するために、債務者の財産を強制的に「公売」にかける権限が与えられているのです。

債務者が税金等の支払いを長らく放置していると、ある日突然、国税庁や自治体から差し押さえと公売開始の通知書が届きます。

もし公売が実施されて不動産の所有権が移転してしまえば、債務者はその物件から退去しなければなりません。新しい所有者に明け渡さないと、不法占拠として立ち退き訴訟を起こされるおそれもあるのです。

個人から借りた借金の滞納

住宅ローンや税金だけでなく、個人間の金銭貸借においても、借主が返済を怠ると、貸主は法的手段に訴えて、借主の不動産を差し押さえ、競売にかけることができます。

国税庁の法令解釈通達にも、次のような条文があります。

「滞納者がこの督促を受けた場合で、その督促のため督促状又は納付催告書を発した日から起算して10日を経過した日までにその督促に係る国税を完納しないときは、差押えをすることができる」

(出典:国税庁「第47条関係 差押えの要件」)

この条文は、税金等の滞納に関するものですが、個人間の借金についても同様の法理が適用されます。つまり、貸主が借主に対して返済を催告し、一定期間内に支払いがなされなかった場合、貸主は裁判所に申し立てて、借主の不動産を差し押さえることができるのです。

住宅ローンを利用して購入した不動産には、金融機関が抵当権を設定していますが、それ以外の不動産でも、個人的な借金やその他の債務があれば、債権者が裁判所に差し押さえを申し立てることは可能なのです。

不動産の差押えを受けるとどうなる?

前述したように、不動産が差し押さえられるシナリオはいくつか存在します。住宅ローンや税金の滞納、あるいは個人間の借金などが原因となって、債権者が法的手段に訴えた結果、不動産の差し押さえに至るのです。

では、実際に不動産が差し押さえられた場合、具体的にどのような事態が生じるのでしょうか。まずは、差し押さえの基本的な流れと影響について、詳しく見ていきましょう。

まずは「差押え登記」される

不動産が差し押さえられると、まず登記簿上の変更が行われます。「権利部 (甲区)」と呼ばれる欄に、「差押登記」という記載が追加されるのです。この差押登記がなされると、たとえ物件の所有者であっても、自由にその不動産を売却したり、新たに抵当権を設定したりすることができなくなります。賃貸物件として貸し出すことも難しくなるでしょう。

ただし、差し押さえ以前から賃貸に出していた物件であれば、現在の入居者を無理に退去させる必要はありません。契約に基づいて、引き続き賃貸借関係を継続することが可能です。

自己居住用の不動産を差し押さえられ、売却手続きが開始された場合でも、新しい買主が決定するまでは、そのまま住み続けることができます。

通常、買主(次の所有者)が確定するまでには、10カ月以上の期間を要することが多いため、その間に新居を見つけて退去すれば、大きなトラブルにはならないでしょう。

差押え後は競売・公売にかけられる

債権者は、差し押さえた不動産を競売あるいは公売にかけることで、滞納された債務の回収を図ります。売却によって得られた金銭を、未払いの債権の弁済に充てるわけです。

ただし、競売や公売にかけられた不動産が、必ずしも債務の全額をカバーできる価格で売却されるとは限りません。物件の状態や市場の需給状況によっては、債務の一部しか回収できないケースも少なくないのです。

差押えられた不動産は任意売却なら売却可能!

差し押さえられた不動産は競売されるのを待つだけではなく、「任意売却」で債務者自ら売ることが可能です。

任意売却とは、住宅ローンを滞納していたり、物件の売却価格よりローン残高が多い場合に、借入先金融機関(銀行など)の許可を得て売却する方法です。

つまり、売却してもローンを全額返済できない状況になりますが、それでもなお抵当権を消してもらうことになるため、金融機関との交渉が必要になるのです。

売却代金を使ってローンを返済し、諸経費を支出してもなお債務が残ることになるでしょうが、残債務の処理は金融機関や金融機関から債権を譲り受けたサービサー(債権管理会社)との協議で決定します。

競売と比較すると、任意売却では市場相場に近い価格で売買することが可能です。

差押えられた不動産を任意売却するメリット

では、差押えられた不動産を任意売却することには、どのようなメリットがあるのでしょうか。具体的には、以下のとおり。

  • キャッシュを多めに残せる
  • 引っ越し費用をもらえる
  • 周りに知られにくい

次項より、詳しく解説します。

キャッシュを多めに残せる

前述のとおり、一般的に、競売や公売による不動産の売却よりも、債務者自身が任意売却を行った方がより高い価格で物件を売ることができます。

任意売却では、競売や公売の場合と比べて、売却金額が高くなる傾向があるため、その分、債務の返済に充てられる金額も多くなるのです。これは債務者にとって大きなメリットと言えるでしょう。より多くの金額を債務の弁済に充当できれば、残債務を大幅に減らすことができ、その後の返済負担も軽くなります。

引っ越し費用をもらえる

競売や公売によって不動産を売却された場合、債務者は強制的に物件から退去しなければなりませんが、その際の引っ越し費用は一切支給されません。

これに対し、任意売却の場合は、通常は金融機関から10万円から30万円程度の引っ越し費用を受け取れます。物件から退去しなければならないものの、手持ちの資金が乏しい債務者にとっては、この引っ越し費用の支給は大変ありがたい制度だと言えるでしょう。

周りに知られにくい

任意売却のもう1つの利点は、競売や公売と比べて、周囲の人々に不動産の売却を知られるリスクが低いという点です。

競売に付された不動産については、裁判所のWebサイトや裁判所内の掲示板に、物件の詳細情報が公開されます。同様に、公売の場合も、国税庁や自治体のWebサイトなどで、公売物件の詳細情報が公示されるのが一般的です。これらの情報は、誰でも自由に閲覧することができます。

つまり、競売や公売によって不動産が売却されると、債務者の経済的困窮状態が周囲の人々に知られてしまう可能性が高くなるのです。親戚や知人、あるいは近隣住民などに、自分の不動産が競売や公売に付されたことを知られるのは、債務者にとって精神的な負担となるでしょう。

一方、任意売却は、債務者と金融機関の間で交渉と手続きが進められるため、外部に情報が漏れるリスクは比較的低いと言えます。不動産の売却に関する詳細な情報が公になることはありませんし、物件の内覧も債務者の意向を踏まえて設定できます。

【ケース別】差押えを受けた不動産を任意売却する難易度

ここからは、ケース別に差押えられた不動産を任意売却することの難易度について解説します。

ケース①:債権者が金融機関

差し押さえを行った債権者が金融機関である場合、債務者にとって任意売却を進めやすい環境にあると言えるでしょう。

債務者が金融機関に任意売却の意向を伝えると、多くのケースで了承を得られます。その理由は、金融機関が任意売却のメリットをよく理解しているためです。

任意売却を行えば、競売よりも高い価格で不動産を売却でき、その分、より多くの債権を回収できる可能性が高まります。金融機関としても、任意売却に協力することで、債権回収の最大化を図ることができるのです。

ケース②:債権者が公的機関

税金の滞納によって不動産が差し押さえられ、債権者が国や自治体である場合は、任意売却が認められないことがほとんどです。

公的機関は、税金の公平性や徴収の厳格性を重視するため、個別の事情を考慮して任意売却を容認するケースは稀だと言えます。差し押さえに至るほどの滞納状態では、国や自治体としても厳しい姿勢で臨まざるを得ないでしょう。

ケース③:債権者が個人

差し押さえを行った債権者が一般の個人である場合、任意売却の難易度は債権者の考え方や債務者との関係性によって大きく変わります。

個人間の金銭トラブルに起因する差し押さえでは、債権者が任意売却に関する十分な知識を持っていないことも少なくありません。任意売却のメリットを理解していなかったり、不動産売買の手続きに不慣れだったりするため、債務者からの任意売却の申し入れを拒絶してしまう可能性があります。

差押えられた不動産を任意売却する際の流れ

差押えられた不動産を任意売却する際の流れは、以下のとおりです。

  • Step1.不動産会社への査定依頼
  • Step2.債権者への確認
  • Step3.売買契約の締結
  • Step4.決済・引き渡し

それぞれ詳しく解説します。

Step1.不動産会社への査定依頼

金銭債務の返済が滞りそうな兆候が見えてきたら、早めに任意売却に精通した不動産買取業者に相談するのが賢明です。

すでに滞納状態に陥っていたり、差押通知を受け取った後でも、不動産買取業者に相談することは可能ですが、できる限り早い段階で専門家に相談するのが望ましいと言えるでしょう。

早期に行動を起こせば、金融機関との交渉スケジュールにも余裕を持って臨むことができます。任意売却の実現に向けて、十分な時間的猶予を確保できるからです。

任意売却の相談をした際は、まず不動産買取業者に物件の査定を依頼し、査定書を作成してもらいましょう。

Step2.債権者への確認

任意売却のプロセスの中で、最も重要な局面の一つが、「債権者に対し、抵当権抹消の条件となる返済金額を交渉し、任意売却の合意を得る」というステップです。

通常、不動産業者や提携弁護士が、各債権者への分配案を作成するため、債務者自身が複雑な計算を行う必要はありません。しかし、不動産を売却する所有者として、任意売却の基本的な仕組みは理解しておくべきでしょう。

任意売却における債権者への分配方法は、法律上厳格に規定されているわけではありませんが、不動産に複数の抵当権が設定されている場合は、一般的に競売の規則に準じて、先順位の債権者から優先的に配当が行われます。

Step3.売買契約の締結

不動産買取業者が物件を購入する場合、不動産業者と所有者(債務者)の間で正式な売買契約を締結する必要があります。

任意売却ならではの特殊な事情がある場合は、売買契約書の特約事項欄にそれらを明記しておくことが重要です。例えば、売主が動産を物件内に残置したまま売買するといった内容は、特約事項に記載しておくべきでしょう。

Step4.決済・引き渡し

売買契約の締結後、いよいよ物件の決済と引き渡しを行う段階となります。

決済当日には、所有者(債務者であり売主)、買主、債権者、不動産仲介業者など、関係者全員が一堂に会します。そして、手付金を除く残金の支払いと、物件の引き渡しが行われます。

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まとめ

不動産の差押えは、誰にでも起こり得る危機です。しかし、差押えを受けてしまったからといって、すぐに諦める必要はありません。

任意売却という方法を活用すれば、比較的有利な条件で不動産を売却し、債務の圧縮を図ることができるのです。

ただし、任意売却を成功させるためには、債権者との交渉力や専門的な知識が不可欠です。物件の査定や売買契約、決済などの手続きも、専門家のサポートがあれば、スムーズに進められるでしょう。

この記事の監修者

監修者プロフィール写真

丸岡 智幸 (宅地建物取引士)

訳あり不動産の買取を専門にする会社の代表取締役。
相続やペアローンによる共有持分、空き家、再建築不可物件、借地、底地など、権利関係が複雑な不動産の買取を専門としている。
訳あり不動産の買取サービス「ワケガイ」、空き家、訳あり不動産CtoCプラットフォーム「空き家のURI・KAI」を運営。
買取の経験をもとに、訳あり不動産の解説をする著書『拝啓 売りたいのに家が売れません』を2024年5月2日に出版。

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