差し押さえ

自宅が差押えを受けたら解除は可能?方法や期限について解説

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差押えとは、財産の所有者以外の人が、所有者に対する権利を根拠に財産の処分を制限することです。自宅が差し押さえられると、勝手に売ったり譲ったりできなくなります。

では、差押えの影響範囲や解除方法までご存知でしょうか。差押えは、債権者が債権を回収するための準備に過ぎません。放置すると、最終的には自宅は競売にかけられて強制的に売却されてしまいます。

今回の記事では、そんな差押えを解除するための要件について解説します。

差押えとは

差し押さえとは、債権者が債務者の財産に対して行使する強制的な権利実行手続きの1つです。債務者が債務を履行しない場合、債権者は裁判所に申し立てを行い、債務者の財産を差し押さえることができます。これにより、債務者は差し押さえられた財産を自由に処分することができなくなります。

自宅に対する差し押さえが実行されると、所有者であっても自宅を売却したり、他人に譲渡したりすることが制限されます。

差し押さえは所有者の財産権を大きく制限する手続きであるため、債権者は裁判所に対して適法性を証明する必要があります。裁判所が差し押さえを認めた場合にのみ、実際の差し押さえが行われることになります。

自宅の差し押さえは、多くの場合、債務の担保となっている不動産を強制的に売却するための競売手続きの一環として行われます。差し押さえ自体が目的ではなく、あくまでも債権回収のための準備段階という位置づけです。

自宅が差押えを受けた際の影響範囲

ここからは、自宅が差押えを受けた場合に備えて知っておくべきことを解説します。

差押え対象の財産

そもそも差押えの対象となる可能性があるのは、債務者が所有する様々な財産です。具体的には以下のようなものが挙げられます。

<差押え対象となりうる財産の例>

  • 預金口座の残高、国債や社債などの有価証券:普通預金、定期預金、国債、転換社債など
  • 動産および有価証券:家具、家電製品、車両、株式など
  • 不動産(登記の有無を問わない)および大型機械設備:土地、建物、船舶、航空機、建設機械など
  • 無形資産:電話加入権、特許権、著作権など
  • 債権:貸付金の返済請求権、売掛金債権など

なお、未払いの給与も、労働の対価として会社に対して有する債権として差押えの対象となる場合があります。

給与、年金、賃料収入、診療報酬債権などの継続的な収入に対する債権についても、差押えの効力は及びます。国税徴収法第66条では、このような継続収入に対する債権の差押えは、徴収すべき国税の額を限度として、差押え後に発生する収入にも及ぶと定められています。

差押えられた財産は勝手に処分できない

差押えを受けた財産は、債務者であってもその処分が制限されます。差押え後に、差押財産を勝手に売却したり、他人に譲渡したりすることは原則として認められません。

もし債務者が差押えを無視して財産を処分した場合、法的な罰則が科されることもあります。

国税徴収法 基本通達第47条関係」では、差押えによって禁止される処分は、差押債権者である国に不利益となる処分に限られるとしています。したがって、差押財産の賃貸借契約の解除や改良などは、禁止される処分には含まれないことになります。

差押えの効力は強力であり、債務者の財産権を大きく制限するものです。自宅が差押えを受けた場合、その影響は広範囲に及ぶことを理解しておく必要があるでしょう。債務の弁済や債権者との交渉などを通じて、できる限り早期に差押えを解除することが重要です。

自宅の差押えを解除できる要件

では、自宅の差押えはどうすれば解除できるのでしょうか。必要な要件は、次のとおり。

  • 差押超過
  • 差押財産の金銭的価値の消失
  • 公売での売却ができない
  • ほかに相当分の財産が提供された

以下より、詳しく解説します。

差押超過

差押えが解除される要件の1つに、「差押超過の場合」があります。これは、債務者の財産に対して過剰な差押えが行われた場合を指します。

債務者の財産を強制執行の対象とする際、必要以上に多くの財産を差し押さえることは、債務者に過度な不利益を与えることになります。そのため、差押超過に該当する場合は、解除の対象となります。

例えば、500万円の債務に対して差押えを行う場合、800万円の財産を差し押さえるのであれば差押超過にはなりません。しかし、800万円の財産に加えて1,000万円の財産も差し押さえるのであれば、1つの財産だけで債務の回収が可能であるにもかかわらず、過剰な差押えを行っていることになり、「差押超過」に該当します

差押財産の金銭的価値の消失

差押えが解除される要件として、「差押財産に金銭的価値がなくなった場合」も挙げられます。

例えば、差押えの対象となった建物が火災で全焼したような場合、その財産の金銭的価値は失われたと考えられます。このような場合、差押えは解除されることになります。

差押え対象が金銭的価値のある財産であっても、その財産に設定された抵当権の被担保債権額が、差押財産の価値を上回る場合も、差押えが解除されます。これは、差押財産を売却しても、抵当権者への弁済が優先されるため、差押債権者が満足を得られないためです。

公売での売却ができない

差押えが解除される要件として、「公売で売却できない場合」も挙げられます。

公売とは、差し押さえた財産を国が売却する手続きのことです。滞納者が税金を納付しない場合などに、差押財産を入札などの方法で売却し、その売却代金を滞納国税の徴収に充てるのです。

例えば、不動産を差し押さえた場合、その不動産を公売に付し、入札により買受人を募ることになります。しかし、不動産の形状や立地等の理由で買受人が現れる見込みがない場合や、同一の財産について3回の公売を実施しても売却できなかった場合には、差押えが解除されます。

ほかに相当分の財産が提供された

差押えが解除される要件として、「適当な代替財産の提供があった場合」も挙げられます。

例えば、差押え対象の財産の代わりに、現金化が容易な貴金属などの財産を提供し、滞納債務の弁済に充てることができる場合、差押えは解除されることになります。

このように、差押えの解除には様々な要件があります。債務者としては、これらの要件に該当する事情がある場合、速やかに解除の申立てを行うことが重要です。

自宅の差押えを解除するための手続き

自宅の差押えを解除するための手続きには、以下のようなものがあります。

  • 債務の弁済
  • 債権者との交渉
  • 任意売却
  • 個人再生
  • 自己破産
  • 不服申立制度の活用
  • 差押禁止債権の範囲変更

それぞれ個別にみていきましょう。

債務の弁済

差押えを解除する最も確実な方法は、債務者が滞納している借金や税金などを期日までに全額返済することです。

差押えの目的は、債務者の財産を強制的に売却して滞納債務の回収を図ることにあります。したがって、債務者が自ら全額弁済を行えば、差押えを継続する必要性はなくなります。

ただし、多くの場合、借金の滞納は債務者の経済的困窮を背景としているため、全額弁済による差押え解除は現実的に難しいケースが多いのが実情です。債務者としては、債権者との交渉や他の解除手続きを検討する必要があるでしょう。

債権者との交渉

債務者が債権者に対して、差押えによる競売の取下げを求めて交渉を行い、合意に達すれば、差押えを解除してもらえます。

ただし、債権者としては、滞納債務の回収見込みがない中で差押えを取り下げることには慎重になるため、簡単には合意が得られないのが一般的です。

ただし、差押え対象が不動産である場合、競売よりも有利な条件で売却できる「任意売却」を条件として交渉することで、債権者が差押えの解除に応じる可能性があります。任意売却による回収額の増加が見込める場合、債権者にとってもメリットがあるからです。

任意売却

「任意売却」とは、債務者が所有する不動産のうち、住宅ローン残債が売却価格を上回る「オーバーローン物件」について、債権者の同意を得た上で一般市場で売却する方法です。

任意売却では、競売による売却よりも高い価格で不動産を売却できる可能性があります。これは、債権者にとっても債権回収の観点からメリットがあるといえます。

任意売却による不動産の売却について債権者の承諾が得られれば、差押えを解除してもらえる可能性があります。債務者としては、任意売却による差押え解除を債権者に積極的に提案していくことが重要です。

個人再生

「個人再生」とは、債務者が借金の返済に困窮していることを裁判所に認めてもらい、債務の大幅な減額を受けられる法的手続きです。個人再生では、通常、債務の約5分の1程度まで減額が認められます。

差押え対象が給与である場合、個人再生手続開始決定により、差押えは一時的に中止されます。

ただし、個人再生手続きが失敗に終わる可能性もあるため、再生計画が認可されるまでの間、差し押さえられた給与は管理されることになります。再生計画が認可されれば、管理されていた給与は一括して債務者に支払われます。

自己破産

「自己破産」とは、債務者が借金の返済が不可能な状態にあることを裁判所に認めてもらい、その結果として債務の支払義務を免除してもらう法的手続きです。

差押え対象が給与などの場合、自己破産手続きの開始により、差押えは一時的に中止されます。ただし、破産手続開始決定が出るまでは、差押えが完全に解除されるわけではありません。

給与の差押えについては、民間債権者に対する債務に限って解除の対象となります。税金などの公的債権については、破産手続開始決定後も差押えが解除されず、支払義務が残ることに注意が必要です。

不服申立制度の活用

不服申立制度とは、債務者が差押えに不服がある場合に、自らの権利や異議を主張する手続きです。不服申立てを行うことで、差押えの取消しや変更を求めることができます。

ただし、不服申立ては専門性の高い手続きであるため、弁護士などの専門家に相談した上で検討することが望ましいでしょう。

差押禁止債権の範囲変更

差押禁止債権とは、差押えの対象とならない債権を指します。年金や生活保護費などがこれに該当します。ただし、差押えによって債務者の生活が著しく困窮する場合、裁判所は差押禁止債権の範囲を拡大することがあります。

例えば、年金のうち一定額のみが差押禁止とされていたものの、差押えによって最低限の生活も維持できなくなるような場合、債務者は裁判所に差押禁止債権の範囲変更を申し立てることができます。裁判所が債務者の生活状況を考慮して範囲変更を認めれば、差押えの全部または一部が取り消されることになります。

ただし、差押禁止債権の範囲変更は、差押え自体を完全に解除するものではありません。債務者としては、差押え解除を根本的に実現するために、他の解除手続きも併せて検討する必要があるでしょう。

差押え解除に設けられた期限とは

差押え解除を求める手続きには、極めて重要な期限が設けられています。原則として、財産が差し押さえられてから「1週間以内」に解除手続きを行う必要があります。

例えば、預金口座が差し押さえられた場合、差押えと同時に口座の残高は引き落とされることになります。ただし、引き落とされた預金は、すぐに債権者に渡されるわけではありません。

差し押さえられた預金の中には、本来であれば差押えの対象とならない年金などが含まれている可能性があるため、その確認のために一定の期間、通常は1週間程度、預金は銀行に留め置かれます。

問題は、この1週間という期間が経過した後です。1週間後に債権者から取立てがあった場合、差し押さえられた預金は債権者に引き渡されることになります。その後に差押え解除が認められたとしても、既に債権者に渡った預金を取り戻すことはできません。

そもそも、差押え解除を求めるためには、解除を正当化する相当な理由や事情が必要とされます。たとえ解除の必要性が認められる場合であっても、債権者への取立てが既に行われた後では、解除手続きが間に合わないリスクがあるのです。

まとめ

差押えを解除するには、差押超過、差押財産の価値消失、公売での売却不能、代替財産の提供など、一定の要件を満たす必要があります。具体的な方法としては、債務の弁済、債権者との交渉など、さまざまな解除手続きが用意されています。

ただし、差押え解除には原則として1週間以内という期限が設けられており、期限内に適切な手続きを行わなければ、差し押さえられた財産が債権者に渡ってしまうリスクがあります。

自宅の差押えに直面した場合は、速やかに弁護士などの専門家に相談し、最適な解除手続きを検討することが重要です。

この記事の監修者

監修者プロフィール写真

丸岡 智幸 (宅地建物取引士)

訳あり不動産の買取を専門にする会社の代表取締役。
相続やペアローンによる共有持分、空き家、再建築不可物件、借地、底地など、権利関係が複雑な不動産の買取を専門としている。
訳あり不動産の買取サービス「ワケガイ」、空き家、訳あり不動産CtoCプラットフォーム「空き家のURI・KAI」を運営。
買取の経験をもとに、訳あり不動産の解説をする著書『拝啓 売りたいのに家が売れません』を2024年5月2日に出版。

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