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相続は多くの家庭にとって避けて通れない重要なプロセスですが、この過程は複雑であり、知識を持って対応することが大切です。
特に、兄弟で土地を相続する場合、単純に財産を当分しづらいため、トラブルに発展する可能性が大いにあるでしょう。このような状況を円滑に解決するためには、遺産分割の方法を理解し、適切な選択をする必要があります。
この記事では、兄弟で土地を相続する際に知っておくべき知識や、相続における代表的な分割方法について、その特徴と注意点を詳しく解説します。
正しい知識を持って、適切な選択をするために、この記事を参考にしてください。
目次
土地相続の基本の流れ
まず、土地相続の基本的な流れについて解説します。一般的な手順としては、以下のとおり。
- 手順①:遺言書の確認
- 手順②:相続人の確認
- 手順③:遺産分割協議(※遺言書がない場合)
- 手順④:名義変更・不動産登記
次項より、順番に解説します。
手順①:遺言書の確認
相続発生時、最初は故人が遺言書を残しているかどうかを確認します。遺言書があれば、その内容に従って相続が進められます。遺言書は公正証書遺言や自筆証書遺言など、形式が異なる場合があるので、適切に確認することが必要です。
手順②:相続人の確認
次に、相続人が誰であるかを確定します。相続人は法律によって定められており、通常は配偶者、子供、両親などが相続人となります。
遺言書が存在しない場合、相続人同士で遺産分割の協議を行わなければなりません。
手順③:遺産分割協議(※遺言書がない場合)
遺言書がない場合、相続人全員で遺産分割協議を行います。この協議は、相続財産(土地や建物など)をどのように分割するかを決めるもの。協議がまとまらない場合は、家庭裁判所に申し立てて調停や審判を受けることも可能です。
手順④:名義変更・不動産登記
最後に、遺産分割協議に基づいて、不動産の名義変更や不動産登記を行います。これは法的手続きであり、登記所で行われます。名義変更が完了すると、正式に相続人の財産となります。
相続は複雑な手続きが多く、場合によっては専門家の助言を仰ぐことが重要です。また、遺産分割協議では感情が介入しやすいため、冷静かつ公平に話し合うことが大切です。
兄弟間で土地を相続するとトラブルに発展する原因
兄弟間で土地を相続すると、以下のような要因からトラブルに発展する可能性があります。
- 理由①:遺言書が存在しない
- 理由②:相続財産で現金が少ない
- 理由③:お互いに利潤を追求してしまう
次項より、詳しくみていきましょう。
理由①:遺言書が存在しない
遺言書がないと、相続の際に兄弟間で意見の衝突が生じやすくなります。遺言書とは、被相続人(故人)が生前に自身の財産の分割方法などを記した重要な文書。
しばしば、遺言書は大きな資産を持つ人々に限定されると誤解されがちですが、これは誤りです。相続はあらゆる人に発生する可能性があり、遺産の分割方法を明確にしておくことは、資産規模に関わらず大切にしましょう。
財産分割の指針となる遺言書があれば、通常はその指示に従って相続が進行します。遺言書がない場合、相続人は自分たちで財産の分割方法を協議する必要があります。
これを「遺産分割協議」と呼びます。遺言で遺産の分割を定めるのは被相続人の生前の手段であり、故人が亡くなった後は遺産分割協議が中心となります。遺言書があると、兄弟間での意見の衝突を避けやすくなる点がメリットです。
ただし、遺言の内容は遺産分割協議によって変更することが可能。不合理な内容の場合、相続人同士で話し合いを通じて、より合理的な分割方法を決定できます。
しかし、この協議には全ての相続人の同意が必要で、合意に至らない場合は遺言書に従うことになります。そのため、遺言書の存在は非常に重要です。相続前の人は、親に遺言書を準備するよう勧めると良いでしょう。
理由②:相続財産で現金が少ない
相続財産の中で不動産が大きな割合を占める場合、兄弟間でトラブルが生じることがあります。自宅とわずかな貯金だけを残して亡くなる人の場合、相続財産の中で不動産の割合が高くなるでしょう。
現金は分割しやすいため、通常は兄弟間での争いは少ないのが実情。しかし、不動産のように分割しにくい財産は、売却しない限り等分に分けることが難しく、しばしば争いの原因となります。特に土地は分割が難しい財産の1つです。一方に偏ると金銭的な不公平が生じやすく、これを理解しておきましょう。
また、相続時に予想外に現金が少ないことも、兄弟間の争いの原因となります。たとえ相続の準備をしていたとしても、このような事態は起こり得ますので、注意が必要です。
理由③:お互いに利潤を追求してしまう
相続がトラブルに発展する一因として、相続人の一方が「寄与分」を主張するケースがあります。寄与分とは、相続人が被相続人の生前に、看護やその他の方法で被相続人の財産維持や増加に特別に寄与した場合、ほかの相続人との公平を図るために設けられた制度です。
例えば、一方が親の近くで介護を行い、「自分の方が多くの財産を受け取るべき」と主張する場合です。一方が寄与分を主張すると、相続の協議が難航し、争いの原因になります。
原則として、寄与分の認定は遺産分割協議の中で相続人同士の話し合いによって決定されます。場合によっては、兄弟間で譲歩し合うことで合意に達することもあります。しかし、話がまとまらない場合は家庭裁判所での調停に進むことになります。
ただし、通常の介護程度では寄与分として認められることは稀であり、子供による親の介護は基本的に当然と見なされるます。したがって、普通の介護程度では寄与分が認められることは少ないという点を理解しておく必要があります。
相続でのトラブルのもう1つの原因として、特別受益の主張があります。特別受益とは、被相続人から生前に贈与等を受けた特別な利益のこと。
民法では、遺贈、結婚や養子縁組のための贈与、生計のための資本としての贈与が特別受益に該当します。特別受益がある場合、それを考慮した財産分割が認められていますが、これはケースバイケースであり、明確なもの以外は認められにくい。
相続に関するトラブルが深刻化すると、子供時代の些細な出来事まで持ち出されることもあります。私情や個人的なわだかまりは特別受益として認められないことを理解し、感情的な対立を避けましょう。
兄弟間での土地相続の問題を解消する方法
「兄弟間での土地相続の問題を解消したい」と考えた場合、以下の方法が有効です。
- 相続放棄
- 代償分割
- 換価分割
- 現物分割(※分筆)
それぞれ、詳しくみていきましょう。
相続放棄
相続問題において、相続放棄を選ぶ方法は現実によく採用されます。相続放棄とは、相続人が故人の権利や義務を全く受け継がないことを意味し、特に故人の財産が債務を上回る場合に有効です。
例えば、故人が多額の借金を残した場合、相続放棄を行うことで、相続人はその債務から免れることができます。
しかし、実際には故人がプラスの財産を残していたとしても、兄弟間で1人に資産を集中させるために相続放棄が利用されるケースもあります。相続放棄のメリットには「手続きの簡便さ」「費用の安さ」が挙げられます。
相続放棄は、家庭裁判所に「相続放棄の申述書」を提出することで行えますので、兄弟間での複数回にわたる話し合いが不要です。費用も比較的安価で、遺産分割協議書の作成費用よりも低く抑えられます。
相続放棄に必要な主な費用は以下のとおり。
- 相続放棄の申述書に添付する印紙代: 800円
- 被相続人の戸籍謄本: 450円
- 被相続人の除籍謄本・改製原戸籍謄本: 750円
- 被相続人の住民票: 300円(市区町村によって異なる)
- 申述人の戸籍謄本: 450円
一部の家庭では、財産を分散させるよりも、一人に集中させる方が合理的と考えることもあるでしょう。相続財産を無理に分割する必要がない場合、相続放棄によって資産を一方の兄弟に集中させる方法は効果的です。
ただし、相続放棄を行うには、相続が開始したことを知った時から3か月以内という期限が設けられています。この期限を過ぎると、相続放棄を行うことはできませんので注意が必要です。
代償分割
代償分割は、相続財産の分割方法の一つで、特定の相続人が不均等な財産を受け取った場合、その不均等を現金で調整する手段です。
例えば、相続財産として3,000万円の価値がある土地と1,000万円の現金があるケースを考えます。相続人が兄弟2人の場合、理想的にはそれぞれ2,000万円ずつの財産を相続することが望ましいです。
しかし、兄が3,000万円の土地を、弟が1,000万円の現金を受け取ると、分配の不均等が生じます。この不均等を解消するために、土地を受け取った兄が弟に1,000万円の現金を代償として支払うことが代償分割です。
これにより、兄は実質的に2,000万円相当の資産を、弟も合計で2,000万円を受け取ることができ、公平な相続が実現されます。
しかし、代償分割を実施するためには、代償金を支払う側の相続人が十分な現金を持っている必要があります。理論上は公平な方法ですが、現実には実行が難しい場合も多いです。
換価分割
換価分割は、相続する遺産を売却し、その売却益を相続人の間で分配する方法です。特に、相続人にとって不要な土地などの資産を売却する場合に適しています。
例えば、相続人全員が利用する予定のない土地があれば、その土地を売却し、得た現金を分割することが可能です。
しかし、不動産のような相続財産が相続人にとって重要な居住用不動産である場合、換価分割は選択肢になり得ません。相続人の一人がその不動産に住み続ける意向がある場合、売却が不可能となり、換価分割は実行できないと認識しましょう。
したがって、特に相続人が利用する予定がない不動産の場合、共有状態で売却し、得られた現金を相続人間で分配する方法が最も現実的で公平な分割方法といえます。
現物分割(※分筆)
現物分割、不動産を物理的に分割する手法で、土地を分割する場合は「分筆」を行います。分筆は、文字通り土地を分けるプロセスを指します。例えば、都心部に位置する広大な土地の場合、その価値を考えると売却するのはもったいないと判断されることがあります。
現物分割の利点は、相続人が土地を自由に使えることにあります。しかし、この方法を選択する際には、分割後も十分な利用価値を持つための広さが必要です。
例えば40坪の土地を半分に分割すると、20坪となり、用途が限られてしまいます。小さすぎると土地の価値を下げてしまう可能性があるため、狭い土地では現物分割は適していません。
一般的に一戸建て住宅の敷地は40~60坪程度であることを考えると、2人で現物分割を行う場合、最低でも80坪以上の広さが望ましいでしょう。分割後も利用価値が高く、売却が可能な広さの土地で現物分割を検討することが重要です。
土地を売却したい場合の注意点
一方で、相続する土地を売却する際には、以下の点に留意しましょう。
- 売却価格や必要経費について認識を合わせておく
- 税金を誰が支払うのか決めておく
それぞれ個別に解説します。
売却価格や必要経費について認識を合わせておく
換価分割を行う際、共有状態での不動産売却には共有者全員の意見の一致が必要です。例えば、一方が売却価格を3,000万円と考えているのに対し、もう一方が3,500万円でなければ納得しない場合があります。
共有物件の売却には全共有者の同意が必要であるため、売却価格についての意思統一は大切です。
そのため、共有土地を売却する際は、事前に「最低売却価格」を設定しなければなりません。この価格を決定するためには、複数の不動産会社に査定を依頼し、土地の市場価格を冷静に評価することが求められます。
税金を誰が支払うのか決めておく
土地の売却によって税金が発生する場合、その負担をどう分配するかをあらかじめ決めておく必要があります。土地の売却による税金は、以下の式で計算される「譲渡所得」がプラスの場合に発生します。
<計算式>
- 譲渡所得 = 譲渡価額 - 取得費 - 譲渡費用
<各費用の詳細>
- 譲渡価額:土地の売却額
- 譲渡費用:仲介手数料などの売却にかかる費用
- 取得費:土地の購入価額。不明な場合は、譲渡価額の5%を概算取得費として使用
相続土地の場合、取得費が不明なことが多いため、概算取得費を使用することが一般的です。税率は土地の所有期間に応じて異なり、所有期間が5年以下なら短期譲渡所得、5年超なら長期譲渡所得として区分されます。
相続では、親の所有期間が引き継がれるため、親が5年以上所有していた場合は長期譲渡所得の税率が適用されます。
税金の概算として、長期譲渡所得で概算取得費を使用した場合、税金は約2割程度発生すると考えることができます。土地売却に伴う税金や特例に関する詳細は、専門記事で確認することをお勧めします。
まとめ
相続は家族関係に大きな影響を与えるため、公平で円滑な解決を目指すことが重要です。特に、売却価格の合意や税金の負担に関しては、家族間での認識の不一致がトラブルの原因となりやすいため、事前の十分な話し合いが必要です。
そのため、複雑な状況や不明点がある場合は、専門家に相談することが推奨されます。
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