共有不動産を複数人で所有している中で、共有者の一人が自分の持分の一部だけを他人に譲渡したいというケースでは、「他の共有者の同意が必要なのか」「登記はどうすればいいのか」といった実務的な問題が発生します。
その際に重要となるのが「共有持分の一部移転登記」です。共有持分の一部移転登記とは、共有者が持つ持分の“中の一部”を別の人に移すための手続きで、売買や贈与などが原因となることが一般的です。
この登記手続きは、一般的な所有権移転登記や相続登記とは異なる独自の注意点があり、誤った方法で進めると、後のトラブルの原因になりかねません。
そこで本記事では、共有持分の一部移転登記の基本から、手続きの流れ、他の登記との違い、リスクと代替手段までを実務に即して解説します。

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共有持分の窓口の詳細はこちら共有持分の一部移転登記とは
共有持分の一部移転登記とは、不動産を複数人で共有している場合に、そのうちの一人の「持分の一部だけ」を別の人に譲渡する際に行う登記のことを指します。
例えば、ある土地を兄弟2人で2分の1ずつ共有している状態で、兄の持分のうち4分の1だけを弟に渡す場合、この手続きが必要になります。
通常の所有権移転登記が「不動産全体の所有権を移す」のに対し、この登記では「持分の中の一部のみ」を対象とする点が大きな特徴です。つまり、不動産の権利関係を一部だけ変えるという極めて限定的な移転であり、非常に繊細な対応が求められます。
一部移転登記の定義と必要性
一部移転登記とは、登記簿上で共有者が有する持分のうち、その一部だけを他人に移転することを記録する手続きです。
この登記を行うことで、誰がどれだけの割合の権利を持っているかを明示し、不動産の法的な所有関係を正確に示すことができます。
この手続きが必要になる主な理由は、以下のようなケースです。
- 相続人の一部が持分を他の相続人にまとめたいと考える場合
- 共有者同士で持分割合の見直しをしたい場合
- 特定の共有者にだけ経済的利益を移したい場合(例:贈与)
また、法的には持分の一部でも第三者に譲渡することは可能であり、登記をしておかないと、その権利移転は対外的に主張できません。万が一トラブルが発生した際、「口約束」や「契約書」だけでは不十分で、登記簿に反映されていなければ、第三者に対して自らの権利を主張できないのです。
そのため、たとえ少額の取引であっても、一部移転登記を行っておくことは、後々の紛争予防にもつながります。
実際、共有不動産をめぐるトラブルの多くは「誰がどれだけの権利を持っているのか」が曖昧なまま放置されてきた結果として起こっているのです。
一部移転登記とその他の移転登記との違い
「一部移転登記」は、共有状態の中で特定の共有者が持つ“持分の一部だけ”を移すという、かなり限定的で繊細な手続きです。
それに対し、持分をすべて移す場合や、相続・贈与などを原因とする登記では、対象となる権利や法的な背景がまったく異なります。
一部移転登記を検討している方の多くは、「ほかの登記とどう違うのか」「自分のケースにはどれが適しているのか」といった疑問を持っているはずです。以下では、代表的な三つの登記との違いについて詳しく見ていきます。
持分全部移転登記との違い

持分一部移転では元の共有者に持分が残る一方、持分全部移転では保有していた持分すべてが移転します。
持分全部移転登記は、共有者が保有する持分のすべてを第三者や他の共有者へ移す登記です。
持分の全部を移転すると、その人が保有していた現在の持分はなくなり、移転先の人がその持分を取得します。
一方、持分一部移転登記では、自分が保有する持分の一部だけを移すため、移転後も元の共有者には残りの持分が残ります。
例えば、4分の1の持分を持つ共有者が、そのうち8分の1を他人へ移す場合は持分一部移転となります。
なお、持分全部移転によって現在の共有者ではなくなっても、過去の登記名義や権利移転の履歴そのものが登記記録から消えるわけではありません。
相続による移転登記との違い
相続では、被相続人が持っていた権利を相続人が承継します。
被相続人が不動産を単独所有していた場合、登記の目的は原則として「所有権移転」です。
被相続人が共有持分を所有していた場合は、その持分全体を相続人が承継するため、「○○持分全部移転」と記載します。複数の相続人が取得する場合は、それぞれが取得する持分割合を申請書に記載します。
したがって、相続人が不動産を複数人で取得するからといって、登記の目的が「所有権一部移転」や「持分一部移転」になるわけではありません。売買や贈与によって既存の共有者が自己の持分の一部だけを移す場合とは、登記の原因と目的を区別する必要があります。
贈与による単独移転登記との違い
贈与による単独移転登記は、ある人が自己の不動産全体(または共有持分全体)を他人に無償で譲り渡す場合に行う登記です。
典型的なのは、親が子に自宅を贈与するようなケースで、贈与契約書と登録免許税の納付をもって登記がなされます。
これに対して一部移転登記では、「共有者の持分の一部だけを贈与する」という点で複雑性が増します。持分の一部を第三者に贈与すること自体は可能ですが、他の共有者の意向や今後の管理・利用計画にも影響が及ぶため、より慎重な対応が求められます。
共有持分の一部移転登記を行うメリット
共有持分の一部移転登記を行うメリットは、以下のとおりです。
- 相続税対策ができる
- 持分割合の調整ができる
それぞれ個別に解説します。
相続税対策ができる
共有持分の一部を生前贈与することで、将来の相続税負担が軽減される場合はあります。
ただし、持分を毎年少しずつ贈与すれば必ず相続税を減らせるとは限りません。
暦年課税には年間110万円の基礎控除がありますが、相続等によって財産を取得した人が被相続人から一定期間内に受けた暦年贈与は、相続税の課税価格へ加算される場合があります。2024年1月1日以後の贈与については、相続開始日に応じて加算対象期間が段階的に最長7年へ延長されます。
加算対象期間内であれば、贈与税がかからなかった110万円以下の贈与も加算対象となる場合があります。また、相続時精算課税を選択した場合は暦年課税とは異なる計算になるため、贈与する持分や時期だけで税負担を判断するのは適切ではありません。
持分の生前贈与を検討する際は、贈与税だけでなく、将来の相続税や登録免許税なども含めて税負担を確認することが大切です。
持分割合の調整ができる
一部移転登記を用いて適正な割合に調整することが可能です。
これは特に、相続によって「法定相続分どおり」に共有が始まった場合に有効です。相続時には平等に分けたつもりでも、後になって一人が固定資産税を支払っていたり、リフォーム費用を負担していたりすると、不公平感が生まれることがあります。
そのようなときに、負担に応じた形で持分を調整すれば、納得感のある共有関係に改めることができます。このような持分の調整は、後々の売却や管理・処分時の意思決定にも良い影響を与えます。明確な役割と権利の分担があってこそ、共有不動産は円滑に機能するといえるでしょう。
共有持分の一部移転登記の具体的な方法
一部移転登記は、法的には単純に見えても、実際にどうやって行うかが分かりづらい手続きの一つです。
特に、売買と贈与という2つの代表的な方法によって、手続きの流れや必要書類が異なる点に注意が必要です。
ここでは、「どのような場面でどの方法を選ぶべきか」といった視点も踏まえながら、それぞれの方法について詳しくみていきましょう。
売買による持分の一部移転
売買による持分一部移転では、売買契約を締結したうえで、その内容に基づいて登記を申請します。
一般的には、登記申請書、登記原因証明情報、売主の登記識別情報または登記済証、売主の印鑑証明書、買主の住所証明情報などを準備します。代理人へ申請を依頼する場合は、委任状も必要です。登録免許税を計算するため、不動産の固定資産評価額を確認できる資料も用意します。
登記識別情報を提出できない場合、本人確認書類を添付するだけで単純に代用できるわけではありません。登記識別情報を提供できない場合には、事前通知制度など別の手続が必要になります。
必要書類は当事者や不動産の状況によって変わるため、登記記録と契約内容を確認したうえで準備することが大切です。
贈与による持分の一部移転
贈与による持分一部移転では、持分の一部を無償で受贈者へ移し、その内容を登記へ反映します。
登記申請では、登記申請書、贈与を原因とする登記原因証明情報、贈与者の登記識別情報または登記済証、贈与者の印鑑証明書、受贈者の住所証明情報などを準備します。代理人へ依頼する場合は委任状も必要です。
贈与を受けた側には贈与税がかかる場合があります。暦年課税では、1月1日から12月31日までの1年間に受けた贈与財産の価額を合計し、110万円の基礎控除を超える場合に原則として申告が必要です。
相続時精算課税を選択した場合は別の計算や手続が適用されるため、単に1回の贈与額だけを見て申告の要否を判断することはできません。
共有持分の一部移転登記の手続きの流れ

持分一部移転登記について、必要書類の準備から申請、登録免許税の納付までの手続きを順番に整理しています。
共有持分の一部移転登記の手続きの流れは、以下のとおりです。
- 手順①:必要書類を準備する
- 手順②:登記申請書を作成する
- 手順③:法務局へ申請する
- 手順④:登録免許税を納付する
- 手順⑤:登記完了後の確認をする
売買・贈与いずれの場合でも共通する流れを中心に解説していますので、全体像の把握にお役立てください。
手順①:必要書類を準備する
持分一部移転登記では、移転原因や当事者の状況に応じて必要書類をそろえます。
売買や贈与の場合は、登記申請書、登記原因証明情報、登記義務者となる売主・贈与者の登記識別情報または登記済証、印鑑証明書、登記権利者となる買主・受贈者の住所証明情報などが主な書類です。代理人へ申請を依頼するときは委任状も準備します。
印鑑証明書は、売買や贈与による所有権移転では原則として登記義務者側が提出するものであり、「当事者双方の印鑑証明書が必要」と一律に考える必要はありません。
また、固定資産評価額は登録免許税の課税価格を計算するために確認します。不動産や申請内容によって追加書類が必要になるため、登記記録と法務局の最新様式を確認して準備するとよいでしょう。
手順②:登記申請書を作成する
必要書類をそろえたら、登記申請書を作成します。
既に共有名義となっている不動産について、特定の共有者が持つ持分の一部を移す場合、登記の目的は「○○持分一部移転」のように記載します。誰のどの持分を移すのかを明確にすることが重要で、持分の取得経緯によっては順位番号などによる特定が必要になる場合もあります。
申請書には、登記の目的のほか、売買・贈与などの原因と日付、登記権利者と登記義務者、移転する持分、不動産の表示、課税価格、登録免許税、添付情報などを記載します。
また、所有権の移転登記では、新たに所有権の登記名義人となる人について、氏名・氏名の振り仮名、住所、生年月日、メールアドレスなどの検索用情報の申出が必要です。制度改正により申出事項が追加されるため、申請時点の法務局の様式を使用することが大切です。
手順③:法務局へ申請する
作成した登記申請書と添付情報は、不動産の所在地を管轄する法務局へ提出します。
申請方法は窓口だけではありません。書面を郵送する方法のほか、不動産登記のオンライン申請にも対応しています。オンライン申請では、登記・供託オンライン申請システムを利用して申請情報や必要な情報を提出します。
登記の完了までにかかる期間は、管轄の登記所や申請内容、補正の有無などによって変わります。「通常1〜2週間」と一律に決めず、申請先の登記完了予定日を確認するとよいでしょう。
申請内容に不備がある場合は補正が必要になることもあるため、登記の目的、持分割合、当事者情報、添付情報を提出前に確認することが大切です。
手順④:登録免許税を納付する

登録免許税は移転原因や不動産の種類によって税率が異なり、移転する持分に対応する課税価格をもとに計算します。
持分一部移転登記では、移転する持分に対応する不動産の価額を課税標準として登録免許税を計算します。
売買を原因とする場合の本則税率は2%です。ただし、土地の売買による所有権移転登記には軽減措置があり、2029年3月31日までに登記を受ける場合は1.5%となります。建物の売買は原則2%で、一定の住宅用家屋には別の軽減措置があります。贈与による所有権移転の税率は2%です。
土地を売買によって移転するケースで、固定資産課税台帳に登録された価格が1,000万円、移転する持分が2分の1の場合は、次のように計算します。
課税価格:1,000万円 × 2分の1 = 500万円
登録免許税:500万円 × 1.5% = 7万5,000円
従来の「2%で10万円」という計算例は、土地の売買に現在適用される軽減税率を反映していないため修正が必要です。
登録免許税には現金や収入印紙などによる納付方法があり、オンライン申請では電子納付を利用できる場合もあります。「必ず収入印紙を貼って納付する」と限定せず、申請方法に応じた納付方法を確認します。
(参考:国税庁「登録免許税の税額表」)
手順⑤:登記完了後の確認をする
登記が完了すると、法務局から「登記完了通知」が届きます。
これを受け取った後は、登記内容が正しく反映されているかを登記簿で確認しましょう。オンラインの登記情報提供サービスや、法務局窓口での登記事項証明書の取得によって確認可能です。
確認するポイントは以下のとおりです。
- 所有者欄に新しい共有者が追加されているか
- 移転した持分割合が正確に記載されているか
- その他の登記情報に誤りがないか
また、登記識別情報(いわゆる「新しい権利証」)は、新たに共有者となった人に対して交付されます。これは今後売却やさらに登記を行う際に必要となる重要書類ですので、紛失しないよう保管してください。一連の確認を終えることで、ようやく登記手続きが正式に完了したといえます。
共有持分の一部移転登記を行うリスクとは?
共有持分の一部移転登記を行うリスクは、以下のとおりです。
- 共有者との関係が悪化することがある
- 持分だけを買い取る人が見つかりにくい
- 売却後の不動産の管理が難しくなる
それぞれ個別にみていきましょう。
共有者との関係が悪化することがある
共有持分の一部を他人に譲渡することで、既存の共有者との信頼関係が損なわれる可能性があります。
特に、譲渡先がまったくの第三者だった場合、「なぜ相談なしに他人と共有することになったのか」といった感情的な対立が起こりやすくなります。
共有者の一人が意図せず新たな共有者と関わることになることで、話し合いの場に緊張が走り、物件の利用や将来的な売却方針にも支障が出かねません。持分の一部であっても、他の共有者にとっては「知らない人と土地や建物を共同で所有する」という大きな心理的ハードルとなります。
そのため、譲渡を検討する際には、事前に他の共有者へ説明をし、理解を得る姿勢が極めて重要です。対話を怠ったことで関係が壊れ、解決が長期化するケースも少なくありません。
持分だけを買い取る人が見つかりにくい
不動産の通常の売却と異なり、「持分だけ」の不動産を購入する人は非常に限られています。
例えば、3分の1の持分を譲渡しようとしても、購入後すぐに単独で住めるわけでも、自由に売却できるわけでもありません。
不動産の持分は、あくまでも「全体に対する権利の割合」であり、物理的に特定の区画を独占できるわけではないため、使い勝手が悪く、一般の投資家や居住希望者には敬遠されがちです。
そのため、実際に持分を売却しようとしても、買い手が見つからない、あるいは著しく低い価格での売却を余儀なくされるということもあり得ます。持分売却を進めるのであれば、市場価値や売却可能性を冷静に見極めたうえで、慎重に判断する必要があります。
持分の買い手が見つかりにくいと感じているなら、まずは共有持分の簡易査定ができるので以下より試してください。

売却後の不動産の管理が難しくなる
持分の一部を譲渡すると共有者が増えるため、不動産の管理について話し合う相手も増える可能性があります。
ただし、共有不動産に関するすべての判断で共有者全員の同意が必要になるわけではありません。共有物の形状や効用を著しく変える変更は原則として他の共有者の同意が必要ですが、通常の管理に関する事項は持分の価格に従った過半数で決めます。保存行為は各共有者が単独で行えます。
そのため、修繕や賃貸などを検討するときは、その行為が変更・管理・保存のどれに当たるのかを確認することが重要です。共有者が増えるほど意見調整の機会も増えるため、持分を移転する前に今後の利用や費用負担について話し合っておくと、トラブルの防止につながります。
共有持分の一部移転登記を避けるべきケース
共有持分の一部移転登記を避けるべきケースは、以下のとおりです。
- ケース①:持分の放棄を検討する場合
- ケース②:共有名義の解消を希望する場合
それぞれ個別に解説します。
ケース①:持分の放棄を検討する場合
不動産を所有しているだけで、経済的な負担(例:固定資産税、管理費)が生じているケースでは、「持分を売る」よりも「放棄する」ほうが合理的なこともあります。
特に、地方にある利用価値の低い土地などでは、買い手がつかない一方で、持っているだけで維持費がかさむといった状況も少なくありません。
このような場合、一部移転登記を行っても現実的な解決にはつながらず、むしろ手間や費用だけがかかってしまいます。相手が見つからず登記もできないという悪循環を防ぐためにも、「不動産を手放す」という判断を検討すべき場面もあるのです。
なお、持分の放棄は一定の条件下で成立しますが、他の共有者の同意や手続き上の配慮も必要となるため、実行前に専門家への相談が望まれます。
ケース②:共有名義の解消を希望する場合
そもそも共有状態そのものを終わらせたいと考えている場合には、一部の持分を移転するのではなく、「共有名義を解消する」方向で検討すべきです。
例えば、他の共有者の持分をすべて買い取って単独所有とする、あるいは共有物分割請求によって不動産を売却し、代金を分け合うといった方法が考えられます。
一部移転登記はあくまで「共有状態を前提としたままの持分調整」に過ぎず、根本的な問題の解決にはなりにくいのが実情です。将来的に売却やリフォーム、賃貸活用を視野に入れている場合、共有状態を維持すること自体が足かせになるケースもあります。
共有持分の問題を解決する代替手段
共有持分の問題を解決する代替手段は、以下のとおりです。
- 持分の全部移転による単独所有化
- 共有物分割請求による解消
- 専門業者への持分売却
持分の全部移転による単独所有化
もっともシンプルで根本的な解決策は、他の共有者が持つ持分をすべて取得し、自分ひとりで単独所有にする方法です。
この場合、他の共有者と合意して売買や贈与などの形で持分を譲り受け、登記を「持分全部移転登記」として行います。
単独所有になることで、不動産の利用・処分に関する全権限を持てるようになります。例えば売却やリフォーム、賃貸なども自分の判断だけで進められ、他の共有者に説明・同意を求める必要がなくなるため、将来のトラブルを大幅に軽減できます。
共有物分割請求による解消
共有者間で分割について協議がまとまらない場合や、協議自体ができない場合は、裁判所に共有物の分割を請求できます。
裁判所は、共有物を現物で分ける方法のほか、一人の共有者に他の共有者の持分の全部または一部を取得させ、その共有者に金銭の支払義務を負わせる方法を命じることができます。これらの方法で分割できない場合や、分割によって不動産の価格が著しく下がるおそれがある場合には、競売を命じることも可能です。
そのため、裁判による共有物分割では、「代償金を支払う方法は共有者全員の合意がなければ利用できない」とは限りません。協議による分割と裁判による分割では、成立の条件を分けて確認する必要があります。
専門業者への持分売却
共有関係を自ら解消するのが難しい場合は、自分の持分を第三者、特に「共有持分の買取を専門とする業者」へ売却するという方法もあります。
こうした業者は、共有状態にある不動産でも価値を見出し、将来的な買取や権利調整を見越して買い取ってくれる存在です。
通常の不動産市場では、持分だけの売却は買い手が見つかりにくいため、売却価格が大きく下がる傾向にあります。しかし、専門業者は、共有状態の処理ノウハウを持っているため、相場に近い価格での買い取りやスピード感のある手続きが可能です。
この手段は「早期に現金化したい」「共有関係から早く抜けたい」と考える人にとって、精神的にも経済的にも大きなメリットがあります。ただし、買い取り後に他の共有者との関係に影響が出ることもあるため、事前に説明や調整をしておくとトラブルを避けやすくなります。
共有持分も「ワケガイ」なら煩雑な手続きなしで現金化が可能です!

当社(株式会社ネクスウィル)は、共有持分や再建築不可、空き家などの“訳あり物件”を専門に取り扱う不動産買取サービス「ワケガイ」を提供しています。
共有不動産の一部だけを手放したいと考えても、通常の不動産会社では取り扱いを断られるケースがほとんどです。特に持分だけの売却は、買主を見つけにくく、交渉や契約が思うように進まないことが多くあります。
ワケガイでは、共有者全員の同意がそろっていなくても、単独での売却に対応可能です。司法書士や弁護士と連携し、複雑な登記や調整も当社が代行いたしますので、スムーズかつ安心してご相談いただけます。共有状態にお悩みの方は、お気軽に無料査定をご活用ください。
持分一部移転登記についてよくある質問
持分一部移転登記についてよくある質問は、以下のとおりです。
- 所有権一部移転と持分一部移転の一括申請はできますか?
- 共有持分の一部移転の申請書はどのように作成しますか?
- 相続で所有権の一部を移転することはできますか?
- 売買・贈与・相続では必要書類が同じですか?
それでは、それぞれの質問とその回答を紹介します。
所有権一部移転と持分一部移転の一括申請はできますか?
登記原因と日付が同じというだけでは、所有権一部移転と持分一部移転を一つの申請にまとめることはできません。不動産登記では、登記の目的と登記原因に応じて申請情報を作成するのが原則です。「所有権一部移転」と「○○持分一部移転」では登記の目的が異なるため、原則として別の申請として扱います。複数の不動産を同時に登記する場合など、一括申請が認められる別の取扱いもあるため、複数の権利変動を一度に申請するときは管轄の法務局や司法書士へ確認するとよいでしょう。
共有持分の一部移転の申請書はどのように作成しますか?
既存の共有者が自己の持分の一部を移す場合は、登記の目的を「○○持分一部移転」のように記載します。そのうえで、売買・贈与などの原因と日付、登記権利者と登記義務者、移転する持分、不動産の表示、課税価格、登録免許税、添付情報などを記載します。同じ人が複数回に分けて取得した持分のうち特定の持分だけを移す場合などは、順位番号等によって対象となる持分を特定する必要が生じることもあります。登記記録の内容によって書き方が変わるため、申請前に登記事項証明書を確認することが大切です。
相続で所有権の一部を移転することはできますか?
複数の相続人がそれぞれ持分を取得することはできますが、そのことだけを理由に登記の目的を「所有権一部移転」とするわけではありません。被相続人が不動産を単独所有していた場合は、複数人が持分を取得しても登記の目的は原則として「所有権移転」です。被相続人が共有持分を所有していた場合は、その持分全体を承継するため「○○持分全部移転」とします。各相続人が取得する割合は、登記権利者となる相続人ごとの持分として申請書に記載します。
売買・贈与・相続では必要書類が同じですか?
必要書類は登記原因によって異なります。売買や贈与では、登記原因証明情報、登記義務者の登記識別情報または登記済証、印鑑証明書、登記権利者の住所証明情報などが主な添付情報となります。相続の場合は、被相続人と相続人の戸籍関係書類、被相続人の住所を確認する書類、相続人の住所証明情報、遺産分割協議を行った場合は遺産分割協議書などが必要です。登記原因や当事者、不動産の状態によって追加書類が必要になるため、売買・贈与用の書類をそのまま相続登記へ流用することはできません。
まとめ
共有不動産を巡る問題は、当事者の関係性や物件の活用方針によって非常に複雑になります。
中でも、一部だけの持分移転は、権利関係が細分化されることで、管理や売却の判断が一層困難になるリスクをはらんでいます。
そのため、登記による権利の明確化だけでなく、「本当に共有状態を続けるべきか」という視点も含めて、根本的な解決策を検討することが重要です。
持分調整や単独所有化、共有物分割、さらには専門業者への売却といった複数の選択肢を視野に入れ、自身の状況に適した現実的な対処を進めましょう。





















