相続や共同購入によって不動産が共有名義となった場合、家賃収入の分配や管理方針で揉めたり、将来の相続で権利関係が複雑化したりするなどの問題が発生します。
その際に注意が必要なのが共有名義アパートの運営と売却方法です。
共有名義アパートとは、複数の所有者が1つのアパートを共同で所有する形態を指します。共有名義には資金調達のしやすさやリスク分散などのメリットがある一方で、意思決定の遅さやトラブルの発生しやすさなどのデメリットも存在します。
そこで本記事では、共有名義アパートの基礎知識から運営上の注意点、売却方法、よくあるトラブルについてみていきましょう。

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共有持分の窓口の詳細はこちら共有名義のアパートとは
共有名義のアパートは、複数の所有者が1つのアパートを共同で所有する形態を指します。
この所有形態では、各所有者が持分に応じた権利と責任を持ちます。共有名義は、相続や共同購入によって生じることが多く、近年では資産運用の一環として注目されています。
共有名義のアパートでは、各所有者の持分が登記簿に明記されます。例えば、AさんとBさんが50%ずつの持分を持つ場合、登記簿には「A 2分の1」「B 2分の1」と記載されます。この持分は、アパートの売却や賃貸収入の分配時に重要な意味を持ちます。

丸岡 智幸
代表取締役 / 株式会社ネクスウィル
複数の個人が同一の不動産を同時に所有する状態を「共有」と称します。この共有状態にある人々は「共有者」と呼ばれ、共同で所有する不動産は「共有物」と定義されます。また、各共有者が共有物に対して持つ権利は「持分」または「持分権」として認識されます。共有物の取り扱いについては、保存行為は単独で可能ですが、賃貸借などの管理行為には持分の過半数の同意が、売却や取り壊しといった変更行為には共有者全員の同意が必須となります。
出典: 丸岡智幸『拝啓売りたいのに家が売れません』
共有名義アパートのメリット
共有名義アパートには、単独所有とは異なる以下のようなメリットがあります。
- 資金調達がしやすい
- リスク分散ができる
- 管理業務を分担できる
それぞれ個別にみていきましょう。
資金調達がしやすい

共有名義でアパートを購入する際は、複数人で購入資金を分担できます。図は2人が同額を出資する例です。
共有名義でアパートを購入する場合、複数人で購入資金を負担できるため、1人あたりの初期費用を抑えられます。
例えば、5,000万円のアパートを2人が同額ずつ出資して購入するなら、物件価格の負担額はそれぞれ2,500万円です。単独では購入が難しい物件でも、共同出資によって取得できる可能性があります。
ただし、共有名義にすれば融資を受けやすくなるとは限りません。金融機関は、借入希望者の収入や資産状況、アパートの収益性、返済計画などを踏まえて審査します。
また、賃貸経営を目的とするアパートでは、原則として自己居住用の住宅ローンではなく、アパートローンなどの事業用融資を検討する必要があります。
共有者全員が借入人になるとは限らず、金融機関によって融資条件も異なります。購入前に、各自の出資額、借入契約の内容、返済負担を確認しておくことが重要です。
リスク分散ができる
共有名義アパートでは、投資リスクを分散させることが可能です。
不動産投資にはさまざまなリスクが伴いますが、それらを複数の所有者で分担することで、個人が負うリスクを軽減できます。
例えば、空室や修繕費用などの予期せぬ出費が生じた場合、その負担を持分に応じて分担できます。また、経済状況の変化による資産価値の変動リスクも、複数人で負担することで、個人への影響を抑えることができます。
管理業務を分担できる
アパート経営にはさまざまな管理業務が付きものですが、共有名義の場合はこれらの業務を分担できます。
入居者の募集や契約管理、日常的な修繕や清掃、さらには会計処理など、多岐にわたる業務を所有者間で分担することで、個人の負担を軽減できます。
例えば、Aさんが入居者対応を担当し、Bさんが建物の維持管理を担当するといった具合に、各自の得意分野や都合に合わせて役割分担を決めることができます。これにより、効率的な運営が可能になるとともに、所有者それぞれの知識や経験を活かした質の高い管理を実現できます。
共有名義アパートのデメリット
共有名義アパートにはさまざまなメリットがある一方で、次のようなデメリットも存在します。
- 意思決定に時間がかかる
- トラブルが発生しやすい
- 将来の相続で複雑化する可能性がある
以下より、詳しく解説します。
意思決定に時間がかかる

共有者間で意見が分かれると意思決定に時間がかかることがあります。必要な同意は行為の内容によって異なります。
共有名義アパートでは、売却や修繕などの意思決定に複数の共有者が関わるため、意見が一致しないと対応が遅れることがあります。
ただし、すべての行為に共有者全員の同意が必要なわけではありません。民法では、行為の内容によって必要な同意が異なります。
- 共有物全体の売却や形状・効用の著しい変更:原則として共有者全員の同意が必要
- 通常の管理や形状・効用の著しい変更を伴わない工事:原則として持分の価格の過半数で決定
- 建物の現状を維持するための保存行為:各共有者が単独で実施可能
例えば、外壁補修や屋上防水工事のような大規模修繕でも、建物の形状や効用を著しく変更しない場合は、持分の過半数で決定できることがあります。
一方、アパート全体を第三者へ売却する際は、共有者全員の同意が原則として必要です。また、普通借家契約のように所定の期間内に終了することが確保されない賃貸借契約についても、原則として全員の同意が必要になります。そのため、共有者の人数だけでなく、持分割合や予定する行為の内容によっても、意思決定の難しさは変わります。
共有者間で意見が対立している場合は、法律上どの程度の同意が必要なのかを整理したうえで、対応方法を検討することが大切です。
(参照:e-Gov法令検索「民法第251条・第252条」)
トラブルが発生しやすい
共有名義アパートでは、所有者間のトラブルが発生するリスクが高まります。
特に、収益の分配や費用負担、管理方針などをめぐって意見の相違が生じやすく、これらが深刻な対立に発展することもあります。
典型的な例として、ある所有者が修繕費用の負担を拒否したり、収益分配の不公平さを主張したりするケースが挙げられます。また、一部の所有者が管理に非協力的である場合、他の所有者に過度の負担がかかり、不満が蓄積されることもあります。
こうしたトラブルは、単に経営上の問題にとどまらず、所有者間の人間関係にも悪影響を及ぼしかねません。特に、家族や親族間での共有の場合、こうした対立が家族関係の悪化につながることも少なくないでしょう。
将来の相続で複雑化する可能性がある
共有名義アパートは、相続時に権利関係が複雑化するリスクをはらんでいます。
所有者の一人が亡くなった場合、その持分は相続人に引き継がれますが、これにより新たな共有者が加わることになります。
例えば、当初は兄弟2人で所有していたアパートが、一方の相続により、その配偶者や子どもたちも共有者となる可能性があります。こうして共有者が増えれば増えるほど、意思決定の難しさやトラブルのリスクは高まります。
さらに、相続税の問題も生じかねません。共有持分の評価方法や、相続税の納付方法をめぐって、相続人間で意見が分かれることもあります。また、一部の相続人が相続放棄を選択した場合、残された相続人の負担が増大するケースも考えられます。
共有名義アパートの運営で注意すべきポイント
共有名義アパートの運営で注意すべきポイントは、以下のとおりです。
- 共有者間の取り決めを明確にする
- 収益の分配方法を決める
- 修繕や管理の方針を決める
それぞれ個別に解説します。
共有者間の取り決めを明確にする
共有名義アパートの運営において最も重要なのは、共有者間の取り決めを明確にすることです。
これは、将来的なトラブルを防ぐための基本的な対策といえます。具体的には、共有者間で運営に関する合意書や規約を作成することが推奨されます。
合意書には、各共有者の役割、家賃の管理方法、修繕費用の負担、意思決定の手順などを記載します。例えば、年間の修繕予算や緊急時の連絡方法、管理を担当する共有者の権限をあらかじめ定めておく方法があります。
その際は、通常の管理行為と共有者全員の同意が必要な行為を区別し、法律上の要件を踏まえて取り決めることが重要です。
また、定期的に共有者間で会議を開催し、運営状況を共有することも有効です。これにより、問題の早期発見や迅速な対応が可能となり、所有者間の信頼関係も強化されます。
収益の分配方法を決める
アパート経営から得られる収益の分配方法は、共有者間のトラブルの原因となりやすい要素の1つです。そのため、あらかじめ明確な分配方法を決めておくことが重要です。
共有名義アパートの家賃収入は、原則として各共有者の持分割合に応じて帰属します。
例えば、Aさんが持分60%、Bさんが40%を所有している場合、家賃収入も原則としてAさんが60%、Bさんが40%の割合で取得します。共有物の管理費用についても、民法上は各共有者が持分に応じて負担することが原則です。
ただし、実際の管理業務を一方の共有者が多く担当している場合は、共有者間で管理報酬を取り決める方法も考えられます。家賃収入の分配と管理業務への対価を分けて整理することで、負担の不公平感を軽減できます。
なお、共有者間で金銭の分配方法を変更しても、税務上の不動産所得の帰属まで自由に変更できるわけではありません。所得の帰属は所有権や実際の権利関係などを踏まえて判断されるため、特殊な分配方法を採用する場合は税理士への確認が必要です。
修繕や管理の方針を決める

共有名義アパートでは、屋根・外壁・窓・玄関・周辺環境の状態を確認し、修繕の必要性や費用負担について共有者間で話し合うことが大切です。
アパートの価値を維持し、長期的な収益を確保するためには、適切な修繕や管理が欠かせません。
共有名義アパートでは、これらの方針についても所有者間で事前に合意しておくことが重要です。
まず、定期的な点検や小規模修繕については、年間の予算を設定し、その範囲内で実施する方法が一般的です。大規模修繕に関しては、計画的に積立金を用意するなど、長期的な視点での取り決めが必要。
また、日常的な管理業務の分担方法も明確にしておくべきです。例えば、入居者対応や清掃、会計処理などの役割を所有者間で分担したり、管理会社に委託したりするなどの方法が考えられます。
共有名義アパートの売却方法
共有名義アパートの売却方法は、以下のとおりです。
- 方法①:全員合意での売却
- 方法②:持分の個別売却
- 方法③:共有物分割請求
次項より、詳しく解説します。
方法①:全員合意での売却
全員合意での売却は、共有者全員の同意を得て、アパート全体を一括で売却する方法です。
この方法では、通常の不動産売却と同様のプロセスを踏むことができ、市場価格での売却が期待できます。
全員合意での売却のメリットは、アパート全体を一括で売却できるため、比較的高値で売却できる可能性が高いことです。また、売却後の収益分配も、持分に応じて明確に行うことができます。
ただし、全ての所有者の同意が必要なため、意見の相違がある場合は売却が難航する可能性があります。そのため、事前に十分な話し合いを行い、売却条件や収益の分配方法について合意を形成しておくことが重要です。
方法②:持分の個別売却
持分の個別売却は、共有者の一人が自身の持分のみを売却する方法です。
この方法の最大の特徴は、他の共有者の同意を得ずに売却できること。
個別売却のメリットは、売却の意思決定が比較的迅速に行えます。自身の事情に応じて、柔軟に対応することが可能です。また、他の共有者との関係悪化を避けたい場合にも有効な方法といえます。
一方で、持分のみの売却は、一般的な不動産市場では需要が限られるため、売却価格が低くなる傾向があります。多くの場合、不動産業者による買取りや、他の共有者への売却が主な選択肢となります。
アパートの持分だけを売るといくらになるか知りたいなら、まずは共有持分の簡易査定ができるので以下より試してください。

方法③:共有物分割請求
共有物分割請求は、共有者が共有関係の解消を求めるための法律上の手段です。
民法第256条では、原則として各共有者がいつでも共有物の分割を請求できると定めています。ただし、共有物の分割について協議ができない場合や、協議しても合意できない場合は、裁判所へ分割を請求することになります。
裁判所による分割方法には、主に以下のものがあります。
- 現物分割:共有物を物理的に分ける方法
- 価格賠償:共有者の一部が他の共有者の持分を取得し、対価を支払う方法
- 競売:現物分割や価格賠償などで解決できない場合に、競売によって共有物を換金する方法
アパートは建物を物理的に分けることが難しいため、他の共有者が持分を取得する方法や、競売による解決が検討されることがあります。
ただし、競売になれば必ず希望する価格で売却できるとは限りません。また、裁判には費用や時間がかかり、共有者間の関係がさらに悪化する可能性もあります。そのため、まずは共有者間での協議による解決を検討し、合意できない場合に裁判所への請求を考えることになります。
(参照:e-Gov法令検索「民法第256条・第258条」)
売却以外で共有名義のアパートを手放す方法
アパートを売却せずに共有関係から抜ける方法も存在します。具体的には、以下のようなもの。
- 共有持分の放棄
- 共有者間での持分譲渡
- 家族信託の活用
以下より、個別にみていきましょう。
共有持分の放棄
共有持分の放棄は、対価を受け取らずに自分の持分を手放す方法です。
民法第255条では、共有者の一人が持分を放棄した場合、その持分は他の共有者に帰属すると定められています。
持分の放棄は、原則として他の共有者の同意を得ずに意思表示できます。ただし、不動産の登記名義を変更する際は、原則として登記権利者と登記義務者による共同申請が必要です。
そのため、他の共有者が登記手続きに協力しない場合は、登記手続きを求める訴訟などの対応が必要になることもあります。
また、アパートの購入に伴う借入金が残っていても、持分の放棄自体が当然に禁止されるわけではありません。ただし、持分を放棄しても借入金の返済義務が自動的に消滅することはなく、融資契約によっては金融機関の承諾が必要です。
固定資産税についても、放棄の意思表示だけですべての納税義務から直ちに解放されるとは限りません。課税時点や登記の状況などによって取り扱いが異なります。
共有持分の放棄は、対価を得ずに所有権を手放す方法であるため、登記手続きや借入金、税務上の負担を確認したうえで検討する必要があります。
(参照:e-Gov法令検索「民法第255条」)
共有者間での持分譲渡
共有者間での持分譲渡は、自身の持分を他の共有者に売却または贈与する方法です。
この方法は、共有者間の合意があれば比較的スムーズに進められます。
持分譲渡のメリットは、共有関係をシンプルにできる点です。また、第三者への売却と比べて、譲渡価格や条件を柔軟に設定できる可能性があります。
ただし、譲渡を受ける側の資金力や意向によっては実現が難しい場合もあります。また、適正価格での譲渡でない場合、税務上の問題が生じる可能性があるため、専門家への相談が推奨されます。
家族信託の活用
家族信託は、自分が所有する財産の管理や処分を信頼できる家族などに任せる仕組みです。
共有名義アパートの場合も、自分の共有持分を信託財産として、家族に管理を委ねることができます。
例えば、親が所有するアパートの共有持分を子どもに信託し、子どもが信託契約で定められた範囲内で管理する方法が考えられます。将来的に親の判断能力が低下した場合に備えて、財産管理の体制を整えることにもつながります。
ただし、家族信託では、通常、信託した不動産の所有権が受託者へ移転します。委託者が直接所有権を保持したまま、管理だけを依頼する契約とは異なります。
委託者が受益者となる場合は、信託財産から生じる利益を受ける権利を持つことができます。
また、自分の共有持分だけを信託しても、他の共有者との共有関係が解消されるわけではありません。アパート全体の売却などには、引き続き他の共有者の同意が必要です。
信託契約の設計や登記には専門的な手続きが伴うため、受託者の権限や受益者の権利、費用、税務上の取り扱いを確認しておく必要があります。
(参照:e-Gov法令検索「信託法第2条・第26条」)
共有名義アパートに関してよくあるトラブル
共有名義アパートに関してよくあるトラブルは、以下のとおりです。
- 家賃収入の分配で揉める
- 管理方針で対立する
- 相続時に権利関係が複雑になる
それぞれ個別に解説します。
家賃収入の分配で揉める
家賃収入の分配は、共有名義アパートにおいて最もトラブルが発生しやすい要因の1つです。
持分比率に応じた分配が基本ですが、実際の運用ではさまざまな問題が生じることがあります。
例えば、ある共有アパートで、AさんとBさんが50%ずつの持分を所有しているケースを考えてみましょう。Aさんが日常的な管理業務を担当し、Bさんは遠方に住んでいるため管理に関与していないとします。この場合、Aさんは「管理の労力に見合った報酬が必要だ」と主張し、Bさんは「持分に応じた平等な分配が当然だ」と反論するような事態が起こりえます。
また、修繕費用の負担をめぐっても対立が生じるケースがあります。急な修繕が必要になった際、一方の所有者が費用負担を拒否したり、支払いを遅延したりすることで、他の所有者との間に軋轢が生まれることがあります。
このようなトラブルを防ぐためには、事前に詳細な取り決めを行い、文書化しておくことが重要です。
定期的な話し合いの機会を設け、お互いの貢献度や負担を公平に評価し、必要に応じて分配方法を見直すなどの柔軟な対応が求められます。
管理方針で対立する
アパートの管理方針をめぐる対立も、共有名義物件では頻繁に発生します。
所有者それぞれが異なる考えや優先事項を持っているため、意見の相違が生じやすいのです。
典型的な例として、大規模修繕の実施時期や方法をめぐる対立があります。ある所有者は「今すぐに外壁塗装を行うべきだ」と主張する一方で、別の所有者は「もう少し様子を見てから判断したい」と慎重な姿勢を示すといったケースです。
こうした対立が長引くと、適切な時期に必要な修繕ができず、結果的に物件の価値低下に繋がりかねません。
また、入居者の選定基準や家賃設定についても意見が分かれることがあります。「高額家賃で良質な入居者を狙うべきだ」という意見と「安定した入居を重視して家賃を抑えるべきだ」という意見が対立するなど、経営方針の違いが顕在化するケースも存在します。
このような対立を回避するためには、定期的な会議の開催や情報共有の仕組みづくりが欠かせません。また、専門家のアドバイスを取り入れながら、客観的なデータに基づいて判断を行うことも有効です。
相続時に権利関係が複雑になる
共有名義アパートの相続は、権利関係が複雑化するリスクをはらんでいます。
所有者の一人が亡くなった場合、その持分は相続人に引き継がれますが、これにより新たな共有者が加わることになり、管理や運営が一層難しくなる可能性があります。
例えば、兄弟2人でアパートを共有していたところ、兄が亡くなり、その持分を兄の配偶者と子ども2人が相続したとします。
この場合、亡くなった兄に代わって3人の相続人が共有者となるため、共有者は当初の2人から4人に増えることになります。
共有者が増えると、修繕方針や家賃収入の分配などについて調整する相手も増えます。さらに、相続人の中にアパート経営を続ける意思がない人がいれば、共有関係の維持が難しくなることも考えられます。
この場合、元々2人だった共有者が5人に増えることになります。意思決定に時間がかかるようになるだけでなく、相続人の中にアパート経営に興味がない人がいれば、円滑な運営が困難になる可能性があります。
さらに、相続税の問題も生じます。共有持分の評価方法や、相続税の納付方法をめぐって、相続人間で意見が分かれかねません。場合によっては、相続税支払いのためにアパートの売却を迫られるケースも考えられます。
共有名義アパートについてよくある質問
共有名義アパートについてよくある質問は、以下のとおりです。
- 共有名義アパートの家賃収入は、誰が確定申告しますか?
- アパートを2人の共有名義で購入するときの注意点は?
それでは、それぞれの質問とその回答を紹介します。
共有名義アパートの家賃収入は、誰が確定申告しますか?
共有名義アパートの家賃収入から生じる不動産所得は、原則として各共有者の持分割合に応じて計算します。例えば、2人の共有者がそれぞれ持分2分の1で所有している場合は、各自の持分に対応する家賃収入と必要経費を基に、不動産所得を算出します。家賃を代表者1人の口座で受け取っていても、原則として全額がその代表者の所得になるわけではありません。各共有者は自分に帰属する所得を計算し、確定申告が必要な場合はそれぞれ申告します。
アパートを2人の共有名義で購入するときの注意点は?
アパートは夫婦や親子など、2人の共有名義で購入することが可能です。ただし、購入する際は、実際に負担する購入資金と登記上の持分割合の関係に注意する必要があります。例えば、一方が購入資金の大部分を負担しているにもかかわらず、登記上の持分を2分の1ずつにすると、資金負担との差額について贈与税の問題が生じる場合があります。また、融資を利用する場合は、共有者それぞれの返済義務や担保の設定、金融機関が定める融資条件についても確認が必要です。将来的な売却や相続でトラブルを防ぐためにも、購入前に出資額と持分割合、借入契約、管理費用の負担方法を明確にしておくことが大切です。
まとめ
共有名義アパートの運営には、メリットとデメリットの両面があります。
資金調達のしやすさやリスク分散などのメリットを活かしつつ、意思決定の遅さやトラブルの発生しやすさなどのデメリットを最小限に抑えることが重要です。
そのためには、共有者間の取り決めを明確にし、収益の分配方法や修繕・管理の方針を事前に決めておくことが不可欠。また、将来的な売却や相続のことも視野に入れ、長期的な視点で運営を行うことが大切です。
共有名義アパートの運営や売却に関しては、法律や税務の専門的な知識が必要となる場面も多いため、不安な点がある場合は早めに弁護士や税理士などの専門家に相談することをおすすめします。





















