再建築不可

再建築不可のアパート経営のメリット・デメリットとは? 活用方法・売却方法も解説

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再建築不可物件のアパートを譲渡や相続などによって取得した場合、どのようなことに気をつければいいかご存知でしょうか?

今回は再建築不可アパートを経営することのメリットとデメリットをご紹介します。

また、経営せずに所有し続ける場合のリスクや活用方法・売却方法などもご紹介しますので、参考にしてください。

■再建築不可のアパートとは?

「再建築不可のアパート」とは、どのようなアパートを指すのでしょうか?説明します。

 

・再建築不可とは?

再建築不可とは文字通り、「再建築ができないこと」を指します。現在建っている建築物を一度解体してしまうと、その場所に再度建築物を建てることができなくなります。法律上、再建築ができない不動産のことを「再建築不可物件」と言います。

 

・幅員4m以上の道路に2m以上接していない場合「再建築不可」

建物を建てる敷地には接道義務があり、原則として幅員4m以上の建築基準法道路に2m以上接していなければいけません。なぜなら、火災などの災害時や急病時などに消防車や救急車が入ってきたり非難する経路を確保したりするために必要となるためです。

 

・なぜ再建築不可物件が存在するのか?

そもそも、なぜ建て替えることができない「再建築不可物件」というものが存在するのでしょうか?それは法律制定が関係しています。

 

建築基準法第43条では、このように定められています。

「建築物の敷地は、道路に2m以上接しなければならない。ただし、その敷地の周囲に広い空地を有する建築物その他の国土交通省令で定める基準に適合する建築物で、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて建築審査会の同意を得て許可したものについては、この限りでない。」

 

現在の建築基準法が定められたのは1950年であり、江戸時代から続く旧市街地では、大正・昭和前期の道路規格である1.8m道路が存在します。1.8m道路に接道している不動産は現在の法律に適合しないため、「再建築不可物件」とみなされてしまうのです。

 

 

■再建築不可のアパート経営のメリット

再建築不可アパートを経営することのメリットをご紹介します。

 

・メリット①物件価格が安い

再建築不可物件は不動産価値が低いため、物件購入価格が安くなることがメリットです。低いコストで取得して効率的に運用することができれば、高い利益を得られるでしょう。

 

・メリット②固定資産税が低い

再建築不可物件は土地の評価額が低い場合が多いため、固定資産税も低くなります。固定資産税は、原則として「課税標準額×1.4%」で算出されますが、物件の経年によって減額していきます。再建築不可物件は築年数50年以上の場合が多いため、評価額は新築時の2割にまで下がるでしょう。また、道路に面していない「無道路地」であれば、通常の土地評価の4割減の評価となることがあります。

 

・メリット③相続税対策になる

再建築不可物件は土地評価が低いため、相続税も低額になります。相続税対策として評価額を下げつつ、財産(不動産)を譲渡できる方法のひとつだと言えます。

 

・メリット④すでに入居者がいる可能性が高い

再建築不可アパートは昔から建っているため、すでに入居者がいる可能性が高くなります。新築アパートの場合、入居者を集めるために広告を出したり引き渡しの手間がかかったりしますが、それらがないことはメリットと言えます。

 

・メリット⑤住宅ローンを支払わずに家賃収入を得られる

すでに入居者がいる場合、所有したあとすぐから家賃収入を得ることができます。アパート経営をしようと思うと、まずはアパートを建築するために高額なローンを組みますが、再建築不可アパートは住宅ローンを完済している場合も多いため、支払いを最小限におさえつつ家賃収入を得ることが期待できます。

 

■再建築不可のアパート経営のデメリット

再建築不可アパートを経営することのデメリットをご紹介します。

 

・デメリット①建て替えができない

再建築不可物件の大きなデメリットは、「再建築ができない」ということです。再建築不可物件は古い建物である場合が多いため、老朽化による建て替えを希望したとしても叶えることができません。

また、「建て替える予定はないから大丈夫」と考えていたとしても、自然災害や火災などによって倒壊してしまう可能性はゼロではありません。たとえ不可抗力による倒壊であっても、建て替えは認められないことを念頭におく必要があります。

 

・デメリット②修繕費がかかる可能性がある

再建築不可のアパートは築年数が経過し、あらゆる箇所が老朽化している可能性があります。入居者が被害を受ける欠陥などは直さなければいけないため、やはり修繕費はかかってきます。

 

・デメリット③退去者が出ると新しい入居者を探すことが難しい

築年数が経過しているアパートは、見た目が古いことをはじめ、間取りや内装が時代のニーズに合っていない場合が多くなっています。またマンションが乱立し、賃貸入居者を探すことが難しい地域も多いです。退去者が出たら、新しい入居者を探すことに苦労する可能性は高くなります。

 

・デメリット④リフォーム工事代が高くなる可能性がある

再建築不可物件は、一度解体すると建て替えることができませんが、「リフォーム」であれば行うことが可能です。しかし、再建築不可物件は道路幅が狭かったり敷地内に入りにくかったりするため、工事車両や材料を運びにくいという懸念点があります。

その結果、通常物件であれば使用できる大型車両や重機が使えず、搬入回数が増えたり工事期間が長くなったりし、コストがかかる可能性があります。

 

 

■再建築不可のアパートを空き屋状態で所有することのリスク

再建築不可アパートを経営するのではなく、入居者をいれずに空き家として所有する場合もあり得ます。この場合、どのようなリスクがあるでしょうか?

 

・固定資産税などの維持・管理費用がかかる

不動産を所有していると、たとえ空き家であっても、1月1日現在の所有者に固定資産税、さらに地域によっては都市計画税がかかります。

また、税金以外にも修繕費や損害賠償費用などがかかる可能性があります。例えば、ブロック塀が倒壊し通行人の妨げになってしまったら、所有者が修繕しなくてはいけません。その倒れたブロック塀で誰かが怪我をしたとなれば、損害賠償責任などを負うことにもなるでしょう。

 

・メンテナンスの手間・コストがかかる

空き家としてアパートを放置しておくと、不審者やノラネコなどが近づき近隣の住人に迷惑をかけたり、人目につきにくいことからゴミを不法投棄されてしまったりする可能性があります。空き家だとしても定期的なチェックやメンテナンスが必要になります。

もし自分が遠方で直接確認できない場合、人を雇う必要があるので人件費もかかってしまうことがあります。

 

・売却しづらい

持て余してしまう再建築不可アパートを「今すぐ売りたい」と考えたとしても、一度解体したら建物を建てることができないため、なかなか買い手が見つかりにくいことがリスクとして挙げられます。

 

・自分の子どもや孫に影響を及ぼす可能性も

再建築不可のアパートを所有し続け、自分が死亡した場合、子どもや孫が相続することになります。年月が経つにつれてさらに売りにくくなれば、子孫にも迷惑をかけてしまうおそれがあります。

 

■再建築不可のアパートの相続回避方法

再建築不可アパートを所有する前であれば、相続を回避することもひとつの方法です。上述したように、再建築不可アパートは経営デメリットがあったり、所有することのリスクがあったりします。ここでは、相続回避方法をご紹介します。

 

・遺産分割協議をする

遺言書があれば、原則として遺言書通りの遺産分割となりますが、遺言書がない場合は相続人全員で話し合いをして遺産の分け方を決定します(遺産分割協議)。

このときに再建築不可アパートの相続を回避できるよう話し合うといいでしょう。しかし、相続人全員が相続拒否をして協議が進まない場合、相続人全員の共有状態とみなされてしまいます。相続が決定しない間は、全員が固定資産税などを支払う義務や管理責任を負うことになるため、気をつけましょう。

 

・相続放棄をする

相続放棄とは、被相続人(亡くなった方)の財産または負債などすべてを承継せず、相続人である地位を放棄することです。相続放棄をすると、最初から相続人ではなかったことになるため、再建築不可物件を相続する必要がなくなります。

しかし、相続放棄をするとプラスの遺産も相続することができなくなってしまいます。遺産は不動産や預貯金だけでなく、車や証券なども含まれるため、よく検討してから相続放棄をしましょう。また、相続放棄には期間が限定されています。「相続を知ってから3ヶ月」と定められているので、気をつけましょう。

 

■再建築不可のアパートの活用方法

再建築不可のアパートを活用する方法をご紹介します。

 

・隣の土地を購入して新しいアパート・マンションを再建築する

道路と接している敷地部分が2m未満であるために再建築不可物件となっているのであれば、隣の土地を購入して2m以上にすることで再建築ができるようになります。

新しいアパートやマンションを建てることができれば、新しい入居者を集めることができるかもしれません。建て替え後の収支計画をシミュレーションし、経営がうまく進むのか判断してから行いましょう。また固定資産税などが高くなる可能性があるため、注意が必要です。

 

・隣の土地を購入して自分の住居を建築する

隣地を取得して再建築できるようになれば、アパートを取り壊して自分の住居を建てることもひとつの方法です。新しい土地を探して購入するよりも、安く建てられるかもしれません。まずは、隣地の所有者に土地を購入できないか交渉してみましょう。

 

・リフォームをして家賃収入を得る

前述したように、再建築不可物件は一度解体すると建てることができませんが、リフォームであれば可能です。リフォームをして綺麗な状態にすれば、入居者が見つかりやすくなるかもしれません。

一方、「デメリット」でもご紹介したように、工事しづらいことから余計な費用がかかってしまう可能性もあります。事前に工事業者に確認しましょう。

 

・リフォームでは「増築」はNG、フルリフォームならOK

再建築不可物件は、どのようなリフォームでもできるわけではないため注意が必要です。床面積が変わる増築は建築確認申請が必要になるため、できません。

一方、柱や梁だけを残して総取り替えをする「スケルトンリフォーム(フルリフォーム)」は行うことができます。内装や外装を変えて設備を新しいものに変えれば、限りなく新築に近い状態にできるでしょう。

 

 

■再建築不可のアパートの売却方法

「再建築不可のアパートを相続や譲渡によって取得したものの、管理のコストや手間だけがかかるため手放したい」と、考えることもあるでしょう。どのようにしたら売却できるでしょうか?

 

・都内であれば売却しやすい場合も

再建築できないため売りにくい物件ですが、都内や人気の高い地域に位置するのであれば、売却できる可能性があります。また、交通アクセスが良いなど、立地が良ければすぐに売れる場合もあります。一度不動産会社に確認してみましょう。

 

・隣地の所有者に売却する

隣地の所有者が「自分の敷地を広くしたい」「子ども家族のために敷地内にもう一軒建てたい」などと考えていれば、買い取ってくれるかもしれません。一度打診してみることもいいでしょう。

 

・業者に売却する

再建築不可物件がなかなか売れない場合、買い取り専門業者に売却することもひとつの方法です。

売却額は低くなってしまうかもしれませんが、ビジネスライクに進められるため、スムーズに不動産を手放すことができるかもしれません。

■再建築不可のアパートでお困りの場合はプロにご相談を

今回は、再建築不可アパートのメリット・デメリットをご紹介しました。所有する前の状態であれば、所有後のリスクなども考慮した上で、相続放棄などをすることもひとつの方法です。よく検討しましょう。

すでに相続や譲渡などによって再建築不可アパートを所有している状態であれば、活用方法や売却方法を参考にしてみてください。また、その際にはプロに相談することをおすすめします。

 

 

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