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放置された空き家は倒壊や火災の危険性があり、近隣への被害や高額な賠償責任が発生するケースが増えています。その際に必要となるのが空き家の解体です。しかし、費用の捻出に悩む方も多く、放置せざるを得ない状況に陥りがちです。
空き家の解体費用は建物の構造や規模によって大きく異なり、補助金制度の活用や解体時期の選定など、さまざまな工夫で費用負担を抑えることが可能です。
本稿では、空き家の解体にかかる「費用相場」「具体的な費用削減方法」「費用捻出が難しい場合の対応策」まで、実践的な内容を詳しく解説します。
目次
空き家を放置するとどうなる?
空き家の放置は、予想以上に大きなリスクとコストを伴います。2015年に施行された空き家対策特別措置法により、適切な管理を怠るとさまざまなペナルティが課されることになりました。
特に注目すべきは、税金面での影響です。空き家が「特定空家等」に認定されると、固定資産税の住宅用地特例が適用されなくなり、税負担が最大で6倍にまで跳ね上がる可能性があります。例えば、年間10万円の固定資産税が、最大で60万円にまで上昇するケースも。
さらに、建物の老朽化による倒壊や外壁の落下などで近隣に被害を与えた場合、所有者は高額な損害賠償責任を負うことになります。実際に、強風で空き家の屋根材が隣家に飛散し、数百万円の賠償金を請求されたケースもあります。
放置期間が長くなるほど建物の劣化は進み、解体費用も上昇していきますので、利活用の予定がないなら早めに対応したほうがよいでしょう。
空き家の解体費用の相場はどのくらい?
空き家の解体費用は建物の構造や規模によって大きく異なります。ここでは一般的な相場と、解体を検討する際に知っておくべき費用について詳しく解説していきます。
構造別の解体費用の相場感
一般的な木造住宅の場合、1坪あたり3〜5万円程度の解体費用を見込む必要があります。標準的な30坪の建物であれば、90〜150万円ほどの費用となります。
鉄骨造の建物になると1坪あたり5〜7万円、鉄筋コンクリート造では6〜8万円と、建物の構造が頑丈になるほど解体費用は上昇していきます。
建物の構造による費用の違いは、解体工事の難易度に起因しています。木造住宅は比較的容易に解体できるのに対し、鉄骨造や鉄筋コンクリート造は重機による作業や特殊な工具が必要となるため、必然的に費用は高額になります。
建物の階数によっても費用は変動し、2階建て以上の場合は安全対策のための足場設置費用なども加算されます。
追加で発生する費用
基本的な解体費用以外にも、いくつかの追加費用を考慮に入れなければなりません。特に重要なのは、建物内の残置物処分費用と各種申請手数料です。
残置物の処分費用は、家具や家電などの量によって変動します。一般的な住宅の場合、20〜50万円ほどの処分費用が発生するケースが多いようです。この費用を抑えるためには、解体前に不用品を自身で処分しておくといった工夫も有効です。
また、解体工事には建設リサイクル法に基づく届出や道路使用許可申請といった各種手続きが必要です。これらの申請手数料に加え、解体後には建物の滅失登記も必要となり、司法書士への依頼費用として4〜5万円ほどが必要です。
敷地内に浄化槽がある場合は、その撤去費用として50〜80万円ほどの追加費用も見込んでおく必要があります。
空き家の早期解体のメリット
近年、空き家の放置による問題が深刻化しています。空き家の所有者には適切な管理責任が求められており、早期の解体には多くのメリットがあります。具体的には、以下のとおり。
- 放置し続けることで責任が重くなる
- 解体することで土地活用の選択肢が広がる
- 解体により税負担が変化する
それぞれ個別にみていきましょう。
放置し続けることで責任が重くなる
空き家を放置すると、所有者は予想以上に大きな責任を負うことになります。2015年に施行された空き家対策特別措置法により、管理不全な空き家は「特定空き家」に認定され、行政から改善命令や勧告を受けることになりました。
最悪の場合、行政代執行による強制解体も行われ、その費用は所有者に請求されます。
実際に、強風で空き家の屋根材が隣家に飛散し、高額な損害賠償を求められるケースも発生しています。このような事態を防ぐためにも、建物の老朽化が進む前に解体を検討することが賢明な選択といえます。
解体することで土地活用の選択肢が広がる
更地にすることで、土地の価値を最大限に引き出せる可能性が広がります。駐車場やアパート、商業施設など、立地に応じた収益物件としての活用も視野に入れることが可能です。不動産業者からも、更地の方が売却や活用の提案を受けやすくなります。
築年数の古い建物が建っている場合、その存在自体が土地の価値を下げてしまうケースもあります。特に都市部では、更地の需要が高く、解体によって土地の価値が上がることも珍しくありません。
解体により税負担が変化する
解体後の税負担については、プラスとマイナスの両面があります。建物分の固定資産税はかからなくなる一方で、土地の固定資産税は住宅用地の特例が外れることで上昇します。ただし、この税負担の増加は、土地の有効活用による収益でカバーできる可能性があります。
具体的な試算例として、200平方メートルの土地に建つ空き家の場合、建物を解体すると年間の固定資産税は約3倍になります。しかし、土地を駐車場として活用すれば、税負担増加分を上回る収入を得られる可能性も十分にあります。
税負担の変化は、将来の土地活用計画と合わせて検討することが重要なポイントです。
空き家の解体工事の進め方
ここからは、空き家解体工事を進めるための手順を以下の4つに分けて解説します。
- 手順1:業者選びと見積り
- 手順2:契約と事前準備
- 手順3:各種申請手続き
- 手順4:工事実施と完了
それぞれ詳しく解説します。
手順1:業者選びと見積り
信頼できる解体業者を選ぶことが、工事の成否を左右します。まずは地域の実績豊富な業者を3社程度選定し、見積依頼を行いましょう。見積り時には必ず現地調査を依頼し、建物の状態や周辺環境を確認してもらうことが大切です。
現地調査の際には、建物の構造や規模だけでなく、重機の搬入経路や作業スペースの確保についても詳しく確認を行います。道路が狭い場合や住宅密集地では、追加の安全対策が必要となり費用が変動する可能性もあるためです。
経験豊富な業者であれば、このような現場特有の課題も的確に見積りに反映してくれるでしょう。
手順2:契約と事前準備
業者が決まったら、工事内容や費用、工期などを記載した契約書を取り交わします。この際、解体範囲や残置物の処分について細かく確認し、追加費用が発生する可能性がある項目は事前に明確にしておくことが重要です。
契約後は、電気・ガス・水道などのライフラインの解約手続きを進めます。特に水道については解体工事での使用も考えられるため、業者と相談の上で解約時期を決めましょう。
建物内の片付けも、この段階で着手します。思い出の品や重要書類の取り忘れがないよう、十分な時間的余裕を持って整理を進めることをおすすめします。
手順3:各種申請手続き
解体工事にはさまざまな行政手続きが必要です。建設リサイクル法に基づく届出は工事開始の7日前までに提出しなければなりません。また、解体作業中に道路を使用する場合は、警察署への道路使用許可申請も必要となります。
これらの申請手続きは基本的に解体業者が代行してくれますが、申請費用は施主負担となるのが一般的です。手続きの不備により工事開始が遅れることのないよう、業者との連携を密にして進捗状況を確認しておくことが大切です。
手順4:工事実施と完了
工事開始前には近隣住民への挨拶回りを行います。工事による騒音や振動、粉じんの発生は避けられないため、丁寧な説明と協力のお願いが必要です。
工事期間中は定期的に現場確認を行い、予定通りに作業が進んでいるか確認します。
工事完了時には、解体業者立ち会いのもと、整地状態や境界標の確認を行います。その後1か月以内に法務局で建物滅失登記を行う必要があります。この手続きは司法書士に依頼することもできますが、自分で行えば費用を抑えることも可能です。
解体工事の完了後も、更地の管理や活用方法について計画的に検討を進めていくことが望ましいでしょう。
空き家の解体費用を抑えるポイント
解体費用は決して安くはありませんが、以下のような工夫で負担を抑えることが可能です。
- 自治体の補助金を活用する
- 解体時期を賢く選ぶ
- 複数の解体業者から見積りを取る
- 残置物を自分で処分する
次項より、詳しく解説します。
自治体の補助金を活用する
全国の自治体では空き家対策の一環として、解体費用の補助制度を設けています。東京都では新宿区や文京区をはじめとする多くの区で支援制度があり、地域によって補助額は大きく異なります。
ただし、補助金の申請には建物が1年以上使用されていないことや、倒壊の危険性があることなど、いくつかの条件をクリアする必要があります。
また、多くの自治体では予算に限りがあるため、申請は年度初めに集中する傾向が見受けられます。早めに自治体の窓口に相談し、次年度の申請に向けて準備を進めることをおすすめします。
解体時期を賢く選ぶ
解体工事の時期については、年度末である2〜3月は駆け込み需要により業者の予約が取りにくくなる傾向にあります。スムーズに工事を進めるためには、比較的予約が取りやすい4〜11月での計画を立てることをおすすめします。
ただし、解体費用自体は時期による大きな変動はありません。むしろ重要なのは、複数の業者から見積もりを取り、工事内容や費用の内訳を丁寧に比較検討することです。
複数の解体業者から見積りを取る
解体業者によって見積額には大きな開きがあります。これは各社の得意分野や施工体制、外注の有無などが影響しているためです。最低でも3社以上から見積りを取り、内容を比較検討することが賢明といえます。
見積りの比較では、単に金額だけでなく、工事内容の違いにも注目しましょう。例えば、建物の基礎をどこまで撤去するのか、整地の程度はどの水準まで行うのかといった部分で、業者ごとに差が出ることも少なくありません。見積書の細かい内容まで確認し、必要な作業が含まれているか精査することが重要です。
残置物を自分で処分する
建物内に残された家具や家電製品は、解体業者に処分を依頼すると産業廃棄物として扱われ、高額な処分費用が発生します。これらを事前に自分で処分することで、解体費用を大幅に抑えることが可能です。
例えば、まだ使える家具や家電は、リサイクルショップへの買取や、フリーマーケットアプリでの出品など、換金できる可能性もあります。粗大ごみについては、市区町村の収集サービスを利用すれば、業者依頼と比べてかなり安価に処分できます。
ただし、危険物や重量物の処分は専門業者に任せるなど、安全面には十分な配慮が必要です。
空き家の解体費用が捻出できない場合の対応策
解体費用の捻出に悩む方は少なくありません。一括での支払いが難しい場合でも、いくつかの選択肢があります。資金面での課題を解決するための具体的な方法を見ていきましょう。
空き家解体ローンを活用する
近年、空き家問題への対応として、金融機関では空き家の解体に特化したローン商品を提供しています。一般的な住宅ローンと比べて審査基準が緩やかで、担保や保証人が不要なケースも多いのが特徴です。
金融機関によって条件は異なりますが、月々の返済額を試算すると、200万円を5年で返済する場合、月額4万円程度と、比較的無理のない金額に収まります。
古家付き土地としての売却を検討する
建物をそのまま残して売却する方法も視野に入れてみましょう。実は築年数が古くても、立地条件次第では買い手が付くケースがあります。特にリノベーション会社や不動産投資家は、古い建物でも積極的に購入を検討する傾向にあります。
ポイントは適正な価格設定です。たとえば、更地価格が3,000万円の土地でも、解体費用や建物の状態を考慮して2,700万円程度で売り出すことで、買い手が付きやすくなります。実際の取引事例では、都市部の物件で、古家付きのまま売却できたケースも少なくありません。
仮に解体を前提とした売却であっても、売主が解体費用を負担する「更地渡し」の約束で契約を結び、売却代金から解体費用を捻出する方法もあります。
ただし、建物の状態が著しく悪い場合や、再建築不可の土地では、買い手がつきにくいのも事実です。そのような場合は、不動産会社に相談し、買取りの可能性を探ることも一案です。買取価格は市場価格よりも低くなりますが、確実な売却が見込めるうえ、諸費用も抑えられるメリットがあります。
空き家を解体せずに活用する方法は?
空き家の解体を決断する前に、建物を活かした活用方法も検討してみましょう。例えば、空き家の活用方法としては以下の選択肢が存在します。
- 選択肢①:賃貸物件としてリノベーション
- 選択肢②:シェアハウスやゲストハウスとして活用
- 選択肢③:自治体の空き家バンクに登録
- 選択肢④:訳あり物件専門の買取業者への売却
それぞれ個別にみていきましょう。
選択肢①:賃貸物件としてリノベーション
空き家をリノベーションして賃貸物件として蘇らせる選択肢があります。特に都市部や駅周辺の物件であれば、リノベーション後の賃貸需要は見込めるでしょう。
最近では、住宅確保要配慮者向けの賃貸住宅として登録することで、改修費の補助金を受けられる制度もあります。補助額は改修工事費用の最大3分の2にのぼり、費用負担を大幅に抑えることができます。
リノベーションのポイントは、若い世代や単身者のニーズを意識した設計です。開放的なLDKや充実した収納スペース、在宅ワークに対応したワークスペースの確保など、現代のライフスタイルに合わせた間取りの工夫が重要です。
選択肢②:シェアハウスやゲストハウスとして活用
一戸建ての空き家を複数人で共有して暮らすシェアハウスや、旅行者向けのゲストハウスとして活用する方法もあります。広い一戸建ては、共用スペースと個室を適切に配置することで、効率的な活用が可能です。
シェアハウスの場合、一人あたりの家賃設定を抑えられるため、学生や若手社会人などの需要を見込めます。また、複数の入居者がいることで、家賃収入のリスクも分散できるメリットがあります。
観光地や大学周辺では、ゲストハウスとしての活用も検討価値があります。改修費用は必要ですが、一般的な賃貸住宅よりも高い収益が期待できます。ただし、旅館業法などの法規制への対応や、日々の運営管理体制の整備が必要です。開業前に必ず関係機関への確認や専門家への相談を行いましょう。
選択肢③:自治体の空き家バンクに登録
空き家バンクとは、自治体が空き家の所有者と利用希望者をマッチングする制度です。全国の約7割の自治体が運営しており、地方移住の受け皿として注目を集めています。
登録や利用に費用はかからず、自治体が仲介に入ることで安心感があります。多くの自治体では、空き家の改修費用の補助制度も用意されています。
ただし、空き家バンクはあくまでマッチングの場。成約までに時間がかかることもあり、建物の状態が良好で、ある程度の管理が可能な物件に向いています。また、自治体によって補助金額や条件が異なるため、事前に確認が必要です。
選択肢④:訳あり物件専門の買取業者への売却
建物の老朽化が進んでいたり、再建築不可の土地だったりする場合、一般的な不動産会社では売却が難しいケースがあります。そんなときは、訳あり物件の買取に特化した専門業者への相談がおすすめです。
買取専門業者は、通常の不動産会社では敬遠されがちな物件でも、柔軟に対応してくれます。建物の状態に関係なく現状のまま売却できるため、解体費用の捻出に悩む必要もありません。
特に、相続問題や共有名義など権利関係が複雑な場合は、買取専門業者が提携する弁護士や司法書士のサポートを受けられる点も魅力です。複数の専門家と連携しながら、スピーディーな売却を実現できます。
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まとめ
空き家の解体は決して安くない買い物ですが、放置することで生じるリスクを考えれば、できるだけ早期の対応が望ましいといえます。補助金の活用や解体時期の選定、複数業者からの見積り取得など、さまざまな工夫で費用負担を抑えることは可能です。
しかし、解体工事は一度きりの大きな決断。適切な判断を行うためには、建物の状態や立地条件、将来の土地活用計画なども含めた総合的な検討が必要です。
まずは信頼できる不動産の専門家に相談し、最適な解決策を検討しましょう。